説明

振動検出システム、該システムを用いた装置及び振動検出方法

【課題】ファイバ・ブラッグ・グレーティング(FBG)を用いた超音波・AE等の振動検出装置は、材料衝撃時の弾性波検出や超音波探傷に用いられるが、温度変化や歪み変化を受ける環境では、超音波検出が不可能であったり、性能が劣るという問題があり、また小型で軽量の装置が望まれていた。
【解決手段】広帯域光源を用いて、FBG反射波長域を包含する広帯域光を前記FBGに入射し、前記FBGからの反射光強度を電気信号に変換し、前記電気信号に対して、前記FBGが受ける振動に基づく応答信号を抽出する信号処理を行うことにより振動を検出することで、光フィルタを用いずに、超音波等の振動を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広帯域光を用い、ファイバ・ブラッグ・グレーティングを利用して、可聴域から超音波域の振動を検出するシステムおよび該システムを用いた装置並びに振動検出方法に関する。例えば、超音波探傷装置、アコースティック・エミッション(AE)センサ、材料(構造体を含む)健全性評価装置に有用なシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
超音波には、材料中を伝搬するとき、超音波が欠陥箇所で大きな分散及び減衰を受けることから、その伝搬状況が欠陥がない場合とある場合とで異なるという性質がある。この性質を利用した材料の欠陥検出法が超音波探傷であり、従来は超音波センサとして圧電素子が多用されてきた。また材料に微視破壊が発生するとアコースティック・エミッション(AE)が放出されることから、AEを検出することで材料の微視破壊状況を監視することができる。AEは超音波域の弾性波であることから、超音波センサと同様にAEセンサに圧電素子が多用されている。
【0003】
しかしながら、電気センサである圧電素子は電磁波障害を受けることや引火性雰囲気では使用できないなどの問題がある。近年、これらの問題を解決できる超音波・AEセンサとして光ファイバセンサの一種であるファイバ・ブラッグ・グレーティング(Fiber Bragg Grating、以下「FBG」とも呼ぶ。)が期待されている。
【0004】
FBGをセンサとする超音波又はAE検出システムは、光源としてレーザまたは広帯域光を用いる二種類に大別される。レーザを用いる場合は、FBG反射スペクトルの反射率変化が大きな波長で発振するレーザを、FBGに入射することで、FBGが受ける超音波やAE振動に同期したFBG反射光強度を得ることができる。広帯域光源を用いる場合を図24に示す。広帯域光源2を用いる場合は、FBG反射波長域を包含する広帯域光を、光サーキュレータ3を介してFBG4に入射し、FBG反射波長域において透過または反射特性が急峻に変化する光フィルタ5に、FBG反射光を入射することで、超音波・AE振動に同期した光フィルタ透過または反射光強度を得ることができる。光フィルタを透過した光を光電変換器6に入力し、ここで光強度に対応した電気出力に変換する。波形収録器7は、光電変換器6からの電気出力を、FBG4が検知したAE・超音波として表示部に表示したり記録装置内に記録する。また、図24に図示した光フィルタ5を、広帯域光源2と光サーキュレータ3の間に設置しても同様の機能が得られる。発明者による非特許文献1には、それぞれの光源を用いたFBGによる超音波検出及び超音波探傷を行った実験が示されている。また、従来技術として、発明者らによる特許文献1乃至5がある。
【0005】
ファイバ・ブラッグ・グレーティング(FBG)は、光ファイバの導光路であるコアの屈折率がファイバ軸方向に周期的に変化した構造を持ち、式(1)で表されるブラッグ波長λを中心とする狭帯域光を反射する。
【0006】
【数1】

【0007】
nは屈折率、Λは屈折率変化の周期間隔(グレーティング間隔)を表す。FBGが温度またはひずみ変化を受けると、屈折率nおよびグレーティング間隔Λが変化し、それに伴いブラッグ波長λが変化する(式(1)参照)。ひずみおよび温度変化がもたらすブラッグ波長変化量は、通信分野で汎用されている1.55μm帯にブラッグ波長を持つFBGにおいて、それぞれ1.2pm/マイクロひずみ、および14pm/℃である。超音波やAEといった弾性波は、高々数マイクロひずみ程度の微弱な振動をもたらすことから、FBGが超音波やAEを受信した場合、そのブラッグ波長は高々数pm程度しか変化しない。一般に構造物の健全性評価に利用されているFBGはグレーティング長1〜20mmのものが多く、反射スペクトル全幅は高々1〜2nm程度である。このためFBGが大きな温度またはひずみ変化を受けた場合は、ブラッグ波長が大きく変化して、レーザ光源を用いたシステムでは、レーザ波長がFBGの反射波長域から外れてしまうことがある。また広帯域光源を用いたシステムでも、FBGの反射スペクトルと光フィルタの透過または反射特性が急峻に変化する波長域が交差しない状況になる。このような場合、FBGが受ける超音波やAEを検出することができなくなる。
【0008】
そこで波長可変レーザまたはチューナブルフィルタを用いて、FBGのブラッグ波長変化に応じて、レーザ波長、または光フィルタの光学特性が変化する波長を、制御することが考えられる。しかし、高速にFBGのブラッグ波長が変動する場合は、これらの制御がブラッグ波長変化に追随できず、超音波やAEを検出することができない。特にAEは材料破壊時に発生する瞬時のひずみ変化に伴う現象であることから、AE発生時には高速なブラッグ波長変動が生じる。このため波長可変レーザやチューナブルフィルタを用いた計測システムではAEを検出することは困難であると考えられる。
【0009】
この問題を解決するため、FBGを被検体に取り付けずに被検体を伝搬する超音波やAEを検出する技術が、発明者による特許文献3の「材料健全性評価装置」に開示されている。従来のFBGによる超音波やAE検出においてはFBGを被検体に取り付けていたが、この技術ではFBGを書き込んだ光ファイバのFBG以外の箇所を被検体に接触させる。被検体を伝搬する超音波やAEは、光ファイバの接触箇所を介して、光ファイバに流入し、そして光ファイバ中を伝搬して、FBGを超音波・AE振動させる。FBGが被検体に取り付けられていないことから、FBGのブラッグ波長は、被検体が受けるひずみに無関係になる。しかし、温度変化に伴うFBGのブラッグ波長変化をなくすことはできず、温度変化が生じる環境での超音波やAE検出に問題が残る。
【0010】
また、発明者による特許文献4の「AE・超音波検出システム、及びそれを備えた材料監視装置並びに非破壊検査装置」では、二つのファブリ・ペローフィルタを用いたFBGのブラッグ波長に依存しない超音波・AE検出技術を開示している。この従来技術は、FBGに広帯域光を入射し、FBG反射光を二つのファブリ・ペローフィルタに入射することを特徴としている。二つのファブリ・ペローフィルタは、FBGの反射スペクトル全幅とほぼ等しいFSR(Free Spectral Range:周期的な透過特性を有するファブリ・ペローフィルタの透過率ピーク波長の間隔)を有し、透過率ピーク波長がFSR/4だけ異なるものである。この従来技術では、FBGのブラッグ波長に関係なく、少なくとも片方のファブリ・ペローフィルタ透過光強度はFBGが受ける超音波又はAE振動に同期して変動することになり、ブラッグ波長変化に依存しない超音波又はAE検出が可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2005−326326号公報
【特許文献2】特開2005−009937号公報
【特許文献3】特開2007−240447号公報
【特許文献4】特開2008−046036号公報
【特許文献5】特開2006−132952号公報
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】Hiroshi Tsuda,“Ultrasound and Damage Detection in CFRP using Fiber Bragg Grating Sensors”, Composites Science and Technology,Vol.66,p.676−683(2006)
【非特許文献2】J.R.Lee, H.Tsuda,“Acousto−ultrasonic sensing using capsular fibre Bragg gratings for temperature compensation”, Meas.Sci.Technol. 17(2006)2920−2926
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
温度変化や歪み変化を受ける環境では、ブラッグ波長が大きく変化して、レーザ光源を用いたシステムでは、レーザ波長がFBGの反射波長域から外れてしまう問題があるので、広帯域光源を用いたシステムが望まれる。しかしながら、広帯域光源を用いた場合は、FBG反射波長域において透過または反射特性が急峻に変化する光フィルタを必要としていた。また、従来の技術では、温度変化に伴うFBGのブラッグ波長変化をなくすことはできないという問題がある。
【0014】
また、特許文献4に記載された超音波・AE検出システムでは、第一にFBGの反射スペクトル全幅にほぼ等しいFSRを有する二つのファブリ・ペローフィルタを揃える、第二に二つのファブリ・ペローフィルタの透過率ピーク波長をFSR/4ずらす必要がある。しかし第一の必要条件であるFBGの反射スペクトル全幅及びファブリ・ペローフィルタのFSRを精密に制御することは、これらの製造において困難なことであり、システム構成要素が高価になる要因となる。また第二の必要条件である二つのファブリ・ペローフィルタの透過率ピーク波長をFSR/4ずらすためには、透過率ピーク波長制御用の温度調節器をファブリ・ペローフィルタに取り付ける、または多数のファブリ・ペローフィルタを準備してその中から透過率ピーク波長がFSR/4ずれた二つのファブリ・ペローフィルタを選択する必要がある。このように、特許文献4の技術では、システム構成要素が高価であること、およびシステム構成要素数が多くなる問題がある。
【0015】
さらに輸送機、特に航空・宇宙分野で利用される輸送機に搭載される健全性評価システムにおいては、厳しい重量制限、電力制限、寸法制限を満足することが要求される。
【0016】
本発明はこれらの問題を解決するものであり、従来の広帯域光を光源とした超音波・AE検出システムの光フィルタを不要にした、ひずみおよび温度変動条件下で、超音波又はAEを検出する高信頼性の検出システムを実現することを目的とする。また、本発明は、超音波やAEの検出能を改善することを目的とする。また、本発明は、構成要素数が少なく、かつ高価な要素がなく、小型で軽量、かつ安価に組み立てることができるシステムを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、上記課題を解決するために、広帯域光をFBGに入射し、ブラッグ波長変化検出のための光フィルタを用いることなく、該FBGからの反射光を光電変換器に入射して反射光強度を電気信号に変換し、該電気信号に対して平均化処理または周波数フィルタ処理などの適切な信号処理を行うことで、FBGが受信する超音波・AEに対応する応答信号を得るものである。
【0018】
本発明は、FBGセンサが書き込まれた光ファイバのFBGの一部、またはFBG以外の箇所を被検体に取り付けることにより、FBGセンサに共振構造を持たせるものである。該共振構造を有するFBGセンサからの反射光強度を電気信号に変換した後、その電気信号に対して適切な信号処理を行うことで、超音波・AE検出能をさらに向上させることができる。
【0019】
本発明は、前記目的を達成するために、以下の特徴を有するものである。
【0020】
本発明の装置は、振動検出システムであり、可聴域から超音波域の振動を検出することを特徴とする。前記振動は、代表的には、超音波またはアコースティック・エミッションである。本発明の振動検出システムは、広帯域光源とファイバ・ブラッグ・グレーティング(FBG)と光電変換部と信号処理部とを備えることを特徴とする。前記広帯域光源は、FBG反射波長域を包含する広帯域光を出射することを特徴とする。前記FBGに、FBG反射波長域を包含する広帯域光が入射すると、ブラッグ波長と呼ばれる波長成分がFBGで反射され、残りの成分は透過される。該ブラッグ波長のシフトが超音波振動やAEによって生じることにより、FBG反射光強度が変化することを特徴とする。前記信号処理部は、FBG反射光強度を変換した電気信号に対して、前記FBGが受ける振動に基づく応答信号を抽出する信号処理を行うことを特徴とする。前記信号処理は、平均化処理および周波数フィルタ処理のいずれか1つ以上の信号処理であることを特徴とする。前記周波数フィルタ処理は、ローパスフィルタ処理またはバンドパスフィルタ処理である。本発明の振動検出システムは、ブラッグ波長変化検出のための光フィルタを用いないことを特徴とする。
【0021】
本発明の振動検出システムは、FBGセンサに共振特性を持たせることを特徴とする。FBGを書き込んだ光ファイバのFBGの一部、またはFBG以外の箇所を、被検体に接触させて、FBGセンサに共振特性を持たせることが好ましい。振動は、被検体との接触箇所を介して光ファイバに流入させることを特徴とする。また、周波数フィルタ処理をする場合は、前記共振特性に基づく共振周波数帯域近傍のバンドパスフィルタ処理であることが望ましい。本発明の振動検出システムにおける周波数フィルタ処理は、FBGを書き込んだ光ファイバにおける被検体との接触点と自由端との間の距離であるところの、光ファイバ共振部長さに基づいて決定される共振周波数を通過させる処理であることを特徴とする。前記光ファイバ共振部長さを調整して、前記共振周波数を制御することができる。
【0022】
本発明の振動検出システムは、可動式の構成とすることができる。非共振型の構造をとる場合は、FBGを、被検体よりも超音波伝搬速度の遅い媒体または1mm以下の媒体に接触させることにより、可動式FBGセンサとし、該可動式FBGセンサを被検体に接触させるとよい。共振型の構造をとる場合は、FBGを書き込んだ光ファイバのFBGの一部、またはFBG以外の箇所を、被検体よりも超音波伝搬速度の遅い媒体または1mm以下の媒体に接触させることにより、共振特性をもつ可動式FBGセンサとし、該可動式FBGセンサを被検体に接触させるとよい。
【0023】
本発明の振動検出システムは、FBGセンサを複数備えることにより多点計測を行うことができる。本発明の振動検出システムを用いて、超音波伝搬状況を測定することにより、被検体の健全性を評価する材料健全性評価装置、超音波探傷装置、または材料破壊時に生じるアコースティック・エミッションを検出する装置を提供する。
【0024】
本発明の方法は、振動検出方法であり、FBGに、FBG反射波長域を包含する広帯域光を入射し、前記FBGからの反射光強度を電気信号に変換し、前記電気信号に対して、前記FBGが受ける振動に基づく応答信号を抽出する信号処理を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、歪み及び温度が変動する状況においても、FBGを用いて超音波やAEを検出することができる。また、本発明によれば、広帯域光を光源とした超音波・AE検出システムにおいて、従来必要とされていた光学フィルタを不要としたので、システム構成要素数が少なく、システムの小型化・軽量化・低価格化・高信頼性を向上させることができる。また、本発明によれば、FBG反射光強度を電気信号に変換して、平均化や周波数フィルタリングなどの信号処理を施すことにより、超音波・AE応答を検出することができる。また、FBGセンサを共振特性をもつ構造とすることにより、超音波やAEの検出能を改善することができる。
【0026】
本発明によれば、可聴域から超音波域に亘る範囲の振動を検出することができる。超音波の単発パルスのみでも検出することができるので、材料破壊が発生するときに放出されるアコースティック・エミッション(AE)を的確に検出できる。また、周期性のある超音波振動を用いて応答信号を得る場合は、共振構造を有するFBGセンサは受信する超音波の周波数に近接する共振周波数において高い成分強度を有する応答を示すので、適切な周波数フィルタ処理をすることにより、超音波やAEの検出能をより改善することができる。
【0027】
また、本発明は、FBGセンサを可動式にすることにより、被検体の検査に便利な装置とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の第1の実施の形態に対応する超音波計測実験に用いたシステムを表す図。
【図2】本発明の第2の実施の形態に対応する超音波計測実験に用いたシステムを表す図。
【図3】非共振構造を持つFBGセンサのスパイク波励起超音波に対する、(a)はレーザを光源に用いたときの平均化処理なしの応答波形、(b)は平均化処理なしの応答波形、(c)は平均化処理を行った応答波形を示す図。
【図4】(a)(b)(c)は、それぞれ図3(a)(b)(c)に示した応答波形の周波数特性を示す図。
【図5】光ファイバ共振部長さ291mmにおけるスパイク波励起超音波に対する、(a)はレーザを光源に用いたときの平均化処理なしの応答波形、(b)は平均化処理なしの応答波形、(c)は平均化処理を行った応答波形を示す図。
【図6】(a)(b)(c)は、それぞれ図5(a)(b)(c)に示した応答波形の周波数特性を示す図。
【図7】スパイク波励起超音波に対し、光ファイバ共振部長さ291mmの共振構造を有するFBGセンサから得られた、(a)は平均化なしでバンドパスフィルタ処理された応答波形、(b)はフィルタ未処理で平均化処理された応答波形を示す図。
【図8】スパイク波励起超音波に対し、光ファイバ共振部長さ50.5mmの共振構造を有するFBGセンサから得られた、(a)はフィルタ処理なしで平均化処理された応答波形、(b)はフィルタ未処理および平均化処理なしの応答波形、(c)は平均化処理なしでローパスフィルタ処理された応答波形を示す図。
【図9】(a)(b)は、それぞれ図8(a)(b)に示した応答波形の周波数特性を示す図。
【図10】周波数を変化させた3周期正弦波励起超音波に対する光ファイバ共振部長さ50.5mmの共振構造を有するFBGセンサ応答波形で、正弦波の周波数を(a)は100kHz、(b)は200kHz、(c)は300kHz、(d)は400kHzにしたときの応答波形を示す図。
【図11】(a)(b)(c)(d)は、それぞれ図10(a)(b)(c)(d)に示した応答波形の周波数特性を示す図。
【図12】第5の実施の形態のシステムを表す図。
【図13】探傷実験で得られた、(a)は健全部のみを通過した超音波に対する応答波形、(b)は衝撃損傷部を通過した超音波に対する応答波形を示す図。
【図14】(a)(b)は、それぞれ図13(a)(b)に示した応答波形の周波数特性を示す図。
【図15】第6および第7の実施の形態のシステムを表す図。
【図16】被検体を伝搬する超音波に対し、共振構造を持つFBGセンサから得られた、(a)はローパスフィルタ処理および平均化処理された応答波形、(b)は平均化処理なしでローパスフィルタ処理された応答波形、(c)は平均化処理なしでバンドパスフィルタ処理された応答波形を示す図。
【図17】(a)(b)は、それぞれ図16(a)(b)に示した応答波形の周波数特性を示す図。
【図18】被検体を伝搬する超音波に対し、非共振構造を持つFBGセンサから得られた、(a)はローパスフィルタ処理および平均化処理された応答信号、(b)は平均化処理なしでローパスフィルタ処理された応答信号を示す図。
【図19】(a)(b)は、それぞれ図18(a)(b)に示した応答信号の周波数特性を示す図。
【図20】第9の実施の形態のセンサ部を可動式にした装置を表す図。
【図21】第10の実施の形態の多点計測装置を表す図。
【図22】第10の実施の形態の同時多点計測装置を表す図。
【図23】第10の実施の形態の波長分離技術を利用する同時多点計測装置を表す図。
【図24】従来例を表す図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明は、可聴域から超音波域の振動を検出するシステムに関し、該振動として、可聴周波数30Hz〜20kHz程度およびこれより高い周波数の音波即ち超音波、あるいは広義の意味で、人間の耳で直接聞くことを目的としない音波即ち超音波を、検出するためのシステムである。また、超音波検出と同様にAE検出、およびこれらの検出を利用する超音波探傷装置、アコースティック・エミッション(AE)センサ、材料(構造体)健全性評価装置に適用できる。以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0030】
(第1の実施の形態)
第1の実施の形態は、FBGセンサを用いた超音波応答の基本的な形態である。本実施の形態の超音波検出システムは、従来の広帯域光源を用いた検出システムにおいて必須な構成要素であった光フィルタを用いることなく、FBGが受ける超音波を検出することを最大の特徴とするものである。本実施の形態の超音波検出システムは、広帯域光源と、光サーキュレータと、FBGと、光電変換器と、波形収録器とを備える。本実施の形態の超音波検出システムにおいて、広帯域光源と光サーキュレータとは光ファイバで接続され、光サーキュレータと光電変換器とは、光ファイバで接続されている。広帯域光源からの広帯域光が、光サーキュレータを介して、FBGを書き込んだ光ファイバに入射され、FBGからの反射光は光サーキュレータを介して、光電変換器に入射され、FBGからの反射光強度は、光電変換器で電気信号に変換される。この電気信号は、必要に応じて増幅およびフィルタ処理された後、波形収録器に収録される。本実施の形態では、光電変換器からの電気信号を、平均化処理することにより、FBGが受ける超音波を検出し、波形収録器の表示部に表示したり、記録装置に記録する。該平均化処理は、以下の実験で示すように、単発のパルス状超音波に対する応答信号波形を複数回加算平均して得られる。例えば、スパイク励起超音波発振子の励起信号をトリガーとして、平均化処理器で加算平均するとよい。また、波形収録器に、平均化処理機能を持たせてもよい。
【0031】
図1及び図2は、本発明の振動検出システムを説明するための超音波計測実験に用いたシステムの模式図であり、第1および第2の実施の形態を理解するための図である。図1の超音波計測実験システムは、広帯域光源12、光サーキュレータ13、FBG14、超音波発振子11、光電変換器15、増幅器16、フィルタ17、波形収録器18からなり、接着箇所19で光ファイバを超音波発振子11に接着している。図2の超音波計測実験システムは、広帯域光源22、光サーキュレータ23、FBG24、超音波発振子21、光電変換器25、増幅器26、フィルタ27、波形収録器28からなり、接着箇所29で、FBGを有する光ファイバを超音波発振子21に接着している。
【0032】
図1を参照して以下説明する。図1の超音波計測実験用システムにおいて、広帯域光源12と光サーキュレータ13は、光ファイバで接続され、光サーキュレータ13と光電変換器15は、光ファイバで接続されている。広帯域光源12からの広帯域光が光サーキュレータ13を介して、FBG14を書き込んだ光ファイバに入射され、FBG14からの反射光は光サーキュレータ13を介して、光電変換器15に入射され、FBG14からの反射光強度は、光電変換器15で電気信号に変換される。この電気信号は、必要に応じて増幅およびフィルタ処理された後、波形収録器18に収録される。図1及び図2のシステムは、図24に示した従来の広帯域光源を用いた検出システムにおいて必須な構成要素であった光フィルタ5を含んでいないことが特徴である。
【0033】
FBGを書き込んだ光ファイバに超音波を伝搬させるため、図1または図2のように超音波発振子に光ファイバの一部を接着した。超音波発振子は励起信号入力により超音波振動し、接着箇所を介して光ファイバに超音波が流れる。図1では、FBGが超音波発振子に貼り付けられている。図2では、FBGを有する光ファイバの一部が超音波発振子に接着され、FBGを備える光ファイバ(FBGセンサとも呼ぶ)は、光ファイバ接着点と光ファイバ自由端の間を往復伝搬する超音波を検出することから、その応答は共振特性を示す。そこで本発明では、光ファイバ接着点から自由端までの光ファイバの長さを「光ファイバ共振部長さ」と定義する。図2に、光ファイバ共振部長さLを図示する。
【0034】
比較例として、光源にレーザを用いて得られる超音波応答信号を収録した。その際、図24に示した光フィルタ5を取り除き、広帯域光源を波長可変レーザに置換し、レーザ波長をFBGの反射率が半減する波長に設定した。
【0035】
本実施の形態で用いたFBGのグレーティング長は10mmで、他の実施の形態においてもFBGのグレーティング長を特に記さない例においては、10mm長のFBGを用いた。
【0036】
FBGセンサとして、光ファイバ共振部長さが0mm、つまりFBG全長を超音波発振子に貼り付けた非共振構造のFBGセンサを用い、かつ中心周波数250kHzの超音波発振子をスパイク波励起して、光源の異なる二種類のシステムで、応答波形を収録した。図3に、該応答波形を示す。図3(a)は、レーザを光源として、単発のスパイク波を超音波発振子に入力した際に得られた応答波形である。以下、単発の励起信号入力により発振された超音波に対する応答信号を「平均化処理なしの応答信号」と呼ぶ。時間ゼロにおいて大きな超音波応答が現れるが、応答振幅は時間経過に従い急激に減衰した。
【0037】
図3(b)は、スパイク波励起超音波に対する図1に示した広帯域光源を用いるシステムから得られた「平均化処理なしの応答波形」である。ノイズが大きく、波形から超音波応答を識別することはできない。図3(c)は、図3(b)と同じシステムを用いて、スパイク波励起超音波に対する512回の応答を平均化処理した波形であり、図3(a)に示したレーザを光源とするシステムから得られた応答波形と類似する波形が得られた。光フィルタを用いない図1に示したシステムを用いて非共振構造を有するセンサから得られる応答波形を平均化処理することで、超音波検出が可能なことがわかる。
【0038】
従来の広帯域光源を用いたシステムによる超音波検出では、FBGのブラッグ波長変化に応じて光学特性の波長シフトが可能なチューナブルフィルタを用いるか、または特許文献4のようにFBGの反射全幅にほぼ等しいFSRを有するファブリ・ペローフィルタを用いる必要があった。つまり超音波振動がもたらすFBGのブラッグ波長変化を、光学特性が波長に依存する光フィルタを介して、光強度に変化していた。これに対して、本実施の形態の超音波検出システムでは、光学特性が波長に依存する光フィルタを用いることなく、FBGが受ける超音波を検出する。検出部において波長に依存する光フィルタを用いていないことから、FBGのブラッグ波長に関係なく超音波検出が可能である。つまりFBGの受けるひずみや温度に関係しない超音波検出が可能となる。
【0039】
図4に、図3に示した各応答信号の周波数特性を示す。図4(a)および(c)の周波数特性は、超音波発振子の中心周波数250kHzを中心とした広帯域な特徴を有する。一方、図4(b)では全周波数帯域でランダムに高い成分強度が現れている。ノイズに埋もれた信号から超音波応答を得る手段としてフィルタ処理が考えられるが、「平均化処理なしの応答信号」の周波数特性からは応答信号抽出のためのフィルタ条件を設定することができず、フィルタ処理による超音波応答の抽出は不可能である。
【0040】
以上のことから、本実施の形態では、光電変換器からの電気信号を、平均化処理することにより、FBGが受ける超音波に基づく応答信号を検出することができる。
【0041】
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態は、共振構造を持つFBGセンサの超音波応答の場合である。本実施の形態の振動検出システムでは、FBGを書き込んだ光ファイバのFBGの一部、またはFBG以外の箇所を、被検体に接触させて、FBGセンサに共振特性を持たせる。超音波振動を、被検体との接触箇所を介して光ファイバに流入させる。そして、光電変換器からの電気信号を、バンドパスフィルタによる周波数フィルタ処理することにより、FBGが受ける超音波に基づく応答信号を検出することができる。第2の実施の形態の超音波検出システムは、第1の実施の形態と同様、広帯域光源と、光サーキュレータと、FBGと、光電変換器と、波形収録器とを備える。
【0042】
第2の実施の形態を説明するために、FBGセンサの構造以外は図1と同様の超音波計測実験について、図2を参照して説明する。図5に、光ファイバ共振部長さ291mmの共振構造を持つFBGセンサを用いて、図1と同様の超音波検出実験を行った結果を示す。図5(a)は、光源にレーザを用いた場合の平均化処理なしの応答波形である。時間ゼロにおいて1番目の超音波応答が現れ、0.11ms後に2番目の応答が検出された。これら最初の二つの応答は超音波発振子から発生した超音波が光ファイバを伝搬して時間ゼロにFBGを通過し、その後、光ファイバ自由端部で反射して最初のFBG通過から0.11ms後に再びFBGを通過した現象に対応している。その後は超音波発振子上の光ファイバ接着点と光ファイバ自由端部の間を超音波が往復伝搬して、超音波がFBGを通過するたびに大きな振幅を伴う応答が検出された。このように、超音波が往復伝搬することにより大きな振幅を伴う応答が検出されるような構成又は構造を、「共振特性を有する構成」または「共振構造」と呼ぶ。
【0043】
図5(b)に、広帯域光をFBGに入射したときの、平均化処理なしの応答波形を示す。この場合は、ノイズが大きく超音波応答を認識することができない。そこで、512回の平均化処理した応答波形を図5(c)に示す。平均化処理したことにより、レーザを光源とするシステムから得られた波形(図5(a))と類似した応答波形(図5(c))が得られている。共振構造を有するFBGセンサにおいても、非共振構造を持つ場合と同様に平均化処理を行うことにより、超音波を検出することができる。
【0044】
図6に、図5に示した各応答信号の周波数特性を示す。図6(a)(b)(c)のいずれの周波数特性にも、離散的に高い成分強度を有する共振特性が現れた。レーザシステムから得られた応答波形は超音波発振子の中心周波数250kHzと良く一致する248kHzに最大成分強度が現れた(図6(a)参照)。また高い成分強度が現れる周波数間隔は8.7kHzであった。
【0045】
図6(b)及び(c)に、それぞれ広帯域光システムで得られた「平均化処理なし応答信号」および「平均化処理された応答信号」の周波数特性を示す。両者は282kHzに最大成分強度が現れる類似した周波数特性を有し、高い成分強度が現れる周波数間隔は図6(a)と同じ8.7kHzであった。また「平均化処理なし応答信号」の周波数特性には、400kHz以上の高周波域にも無視できない成分強度があることから、これら高周波ノイズのため超音波応答を識別することができなかったと考えられる(図5(b)参照)。
【0046】
光ファイバ共振部長さが所定の値の共振構造を持つFBGセンサについて、その共振の動作原理について考察する。FBGセンサを図2のように取り付けたとき、このFBGセンサは、光ファイバ共振部長さを梁の長さとする片持ち梁と同じ共振特性を示すことになり、共振周波数fr,nは式(2)で与えられる。
【0047】
【数2】

【0048】
ここで、vおよびLは、それぞれ光ファイバ中の超音波伝搬速度および光ファイバ共振部長さを表す。式(2)から、高い成分強度が現れる周波数間隔Δfは、式(3)で与えられる。
【0049】
【数3】

【0050】
本実施の形態では、Δf=8.7kHz、および光ファイバ共振部長さL=291mmである。これらの値を式(3)に代入して得られる光ファイバ中の超音波伝搬速度vは5,060m/sで、非特許文献2に記された光ファイバ中を伝搬する周波数200kHzの超音波速度5,110m/sと非常に良く一致する。
【0051】
図6(b)および(c)に示す広帯域光システムから得られた応答波形の周波数特性は、平均化処理の有無に関係なく282kHzにおいて最大成分強度が現れたことから、平均化処理なしでも282kHz近傍のバンドパスフィルタ処理を施すことで超音波応答が得られると考えられる。図2のフィルタを280kHz〜290kHzのバンドパスに設定して平均化処理なしで収録した波形を図7(a)に示す。また参照のためフィルタ未処理で、512回の平均化処理された応答信号を図7(b)に示す(図5(c)と同じ)。平均化処理なしでも最大成分強度が現れる周波数帯域近傍のバンドパスフィルタ処理により、平均化処理された応答波形と同じ時間に大きな振幅を有する波形を得ることができた。
【0052】
以上のことから、第2の実施の形態では、光ファイバ共振部長さが所定の値の共振構造を持つFBGセンサを用いることで、超音波検出が可能となる。具体的には、広帯域光源からの広帯域光が、光サーキュレータを介して、光ファイバ共振部長さが所定の値の共振構造を持つFBGセンサに入射され、FBGからの反射光は光サーキュレータを介して光電変換器に入射され、FBGからの反射光強度は光電変換器で電気信号に変換される。この電気信号は、必要に応じて増幅された後、周波数フィルタ処理されて、波形収録器に収録される。周波数フィルタ処理は、最大成分強度が現れる周波数帯域近傍のバンドパスフィルタ処理が望ましい。電気信号は、平均化処理しなくともよいが、平均化処理することにより、さらに検出能力が高性能となる。
【0053】
(第3の実施の形態)
第3の実施の形態は、共振構造を持つFBGセンサの超音波応答について、光ファイバ共振部長さを調整する場合に関する。本実施の形態の超音波検出システムは、広帯域光源と、光サーキュレータと、FBGと、光電変換器と、波形収録器とを備える。本実施の形態は、第2の実施の形態と同様に、FBGを書き込んだ光ファイバのFBGの一部、またはFBG以外の箇所を、被検体に接触させて、FBGセンサに共振特性を持たせる。超音波振動を、被検体との接触箇所を介して光ファイバに流入させる。そして、光電変換器からの電気信号を、ローパスフィルタ等による周波数フィルタ処理することにより、FBGが受ける超音波に基づく応答信号を検出することができる。
【0054】
第3の実施の形態を理解するために、光ファイバ共振構造以外は第2の実施の形態の説明と同様の超音波計測実験について、説明する。図2に示した超音波計測実験の装置を用いて、光ファイバ共振部長さを50.5mmにした時のスパイク波励起超音波に対する応答波形を図8に示す。図8(a)は、512回の平均化処理された応答波形である。図8(a)には、光ファイバ共振部長さ291mmのFBGセンサが示した断続的な応答(図5(c)参照)ではなく、連続的な応答が現れた。これは光ファイバ共振部が短くなり、超音波が短時間でFBGを往復通過するため連続的な応答信号になった。平均化処理なしの応答波形を図8(b)に示すが、ノイズに埋もれ超音波応答は識別できない。
【0055】
図9(a)(b)は、それぞれ図8(a)(b)の応答波形の周波数特性である。両応答波形の最大成分強度は270kHzに現れた。また、両応答波形には、320kHzにおいても比較的大きな成分強度が現れている。平均化処理された応答信号の周波数特性においては、図9(a)に矢印を入れた高い成分強度を有する共振周波数以外の成分強度は極めて低い。また図9(a)から共振周波数間隔は51kHzである。この共振周波数間隔の値は、式(3)に、第2の実施の形態から評価された光ファイバ中の超音波伝搬速度v=5,060m/s、および本実施の形態における光ファイバ共振部長さL=50.5mmを代入して計算されるΔf=50kHzと良く一致している。
【0056】
図9(a)および(b)に示すように、平均化処理の有無に関係なく応答信号は周波数320kHz以下に大きな成分強度を有したことから、平均化処理なしで超音波応答を得るためにはこの共振周波数より若干高い周波数をカットオフ周波数とするローパスフィルタ処理が有効であると考えられる。そこで図2のフィルタをカットオフ周波数350kHzのローパスフィルタに設定し、平均化処理なしで収録した。該収録した波形を図8(c)に示す。平均化処理を行った場合と同様に、時間ゼロにおいて大きな振幅を有する応答が現れている。
【0057】
以上の実験からわかるように、共振構造を有するFBGセンサの共振周波数およびその周波数間隔は、光ファイバ共振部長さにより制御できる。
【0058】
本実施の形態では、光電変換器からの電気信号を、フィルタ処理するものである。該フィルタとして、ローパスフィルタを用いることが好ましい。該ローパスフィルタとして、共振構造を有するFBGセンサの光ファイバ共振部長さに対応する所定の共振周波数および周波数間隔に基づいて、該共振周波数より若干高い周波数をカットオフ周波数とするとよい。また、フィルタ処理をする場合、平均化処理をする必要はないが、平均化処理を施してもよい。
【0059】
また、本実施の形態では、共振構造を有するFBGセンサの超音波検出システムにおいて、その光ファイバ共振部長さを調整することにより、超音波応答を得るためのフィルタ条件を制御することができる。
【0060】
(第4の実施の形態)
第4の実施の形態は、周期性の超音波を用いる場合に関する。共振構造を持つFBGセンサの超音波応答に、超音波周波数が及ぼす影響を利用したものである。第4の実施の形態の超音波検出システムは、広帯域光源と、光サーキュレータと、FBGと、光電変換器と、波形収録器とを備える。本実施の形態では、第2の実施の形態と同様に、FBGを書き込んだ光ファイバのFBGの一部、またはFBG以外の箇所を、被検体に接触させて、FBGセンサに共振特性を持たせる。超音波振動を、被検体との接触箇所を介して光ファイバに流入させる。そして、光電変換器からの電気信号を、ローパスフィルタまたはバンドパスフィルタによる周波数フィルタ処理することにより、FBGが受ける超音波に基づく応答信号を検出することができる。
【0061】
第4の実施の形態を理解するために、光ファイバ共振構造と超音波以外は第2の実施の形態で示したものと同様の超音波計測実験について、説明する。
【0062】
超音波発振子に入力する励起信号に周期性のある正弦波を用いたとき、発振される超音波の周波数は正弦波の周波数と一致する。つまり発振される超音波の周波数を制御することができる。ここでは超音波周波数が共振型FBGセンサの応答信号に与える影響を評価するため、100kHz〜400kHzの3周期の正弦波で励起された超音波に対する応答信号を収録した。本実施の形態における光ファイバ共振部長さは50.5mmである。
【0063】
図10(a)〜(d)に、超音波励起正弦波信号の周波数を100kHz、200kHz、300kHz、400kHzとして、図2のシステムを用いてフィルタ処理なしで、512回の平均化処理を施して収録された応答波形を示す。また各応答波形の周波数特性を図11(a)〜(d)に示す。
【0064】
この実験では、式(2)から、次数nが1〜8までの共振周波数は、75.1kHz、125kHz、175kHz、225kHz、276kHz、326kHz、376kHz、426kHzと計算される。図11(a)〜(d)に現れた成分強度の高い周波数はこれらの共振周波数に対応し、超音波周波数に近接する共振周波数で最大成分強度が現れた。つまり共振構造を有するFBGセンサは、受信する超音波の周波数に近接する共振周波数において高い成分強度を有する応答を示す。
【0065】
以上のことから、本実施の形態では、第2、3の実施の形態における超音波として、超音波の周波数を所定の周波数に設定することにより、共振構造を有するFBGセンサは、受信する超音波の周波数に近接する共振周波数において高い成分強度を有する応答を示す。この応答特性を利用して、該応答に適するフィルタを用いてフィルタ処理をする。該フィルタとして、ローパスフィルタを用いる場合は、受信する超音波の周波数に近接する共振周波数より若干高い周波数をカットオフ周波数とするとよい。また、該共振周波数及び周波数間隔に基づいて、カットオフ周波数を適宜設定することとよい。
【0066】
本実施の形態のように、周期性のある超音波振動を用いて応答信号を得る場合は、共振構造を有するFBGセンサは受信する超音波の周波数に近接する共振周波数において高い成分強度を有する応答を示すことを利用して、ローパスフィルタやバンドパスフィルタなどの周波数フィルタ処理すると、超音波やAEの検出能をより改善することができる。
【0067】
(第5の実施の形態)
第5の実施の形態は、第1乃至4の実施の形態で説明した超音波検出システムを超音波探傷に適用した装置である。本発明の超音波検出システムを利用して、衝撃損傷を有する炭素繊維強化プラスティックス(CFRP)の超音波探傷を行った例を図12に示す。図12の超音波探傷装置は、広帯域光源32、光サーキュレータ33、FBG34、超音波発振子31、光電変換器35、増幅器36、フィルタ37、波形収録器38からなり、光ファイバを被検体40に接触箇所39で接触させている。被検体40は、300×150mmの直交積層CFRP板で、被検体40の中央部に、長径および短径がそれぞれ30mmおよび20mmの楕円形状の衝撃損傷41がある。なお、図12において、衝撃損傷41は模式的に楕円で示し、光ファイバ接触点は、模式的に接触箇所39として円で示した。超音波発振子31と光ファイバ接触点間距離を150mmにして、中心周波数250kHzの超音波発振子31をスパイク波励起した。被検体40の健全部のみを通過した超音波、および衝撃損傷41の短径方向を通過した超音波に対する応答を収録した。なお、この例では光ファイバ共振部長さを52mmとし、信号収録においてはカットオフ周波数1MHzのローパスフィルタ処理、ならびに512回の平均化処理を行った。
【0068】
図13(a)(b)に、それぞれ健全部のみ通過した超音波と、損傷部を通過した超音波に対する応答波形を示す。両応答波形を比較すると、損傷部を通過した超音波に対する応答レベルは極めて低下していることが分かる。
【0069】
図14(a)(b)は、それぞれ図13(a)(b)に示した両応答波形の周波数特性である。超音波発振子の中心周波数である250kHz付近で、両応答波形に大きな成分強度が現れた。図14(a)に示されるように、超音波が健全部のみを通過した時、250kHz以上の成分強度は極めて低く、それ以下の周波数帯では離散的に成分強度の高い周波数域が現れた。一方、図14(b)に示されるように、損傷部を通過した超音波に対する応答波形は、発振子中心周波数の1/4に相当する72.5kHzにおいて最大成分強度が現れた。また超音波周波数の2倍に相当する500kHzにおいても比較的高い成分強度が現れた。
【0070】
このように、超音波伝搬経路における損傷の有無により、応答波形の強度変化が現れることや、他に、周波数特性に変化が現れる特徴を利用して、超音波探傷することができる。本実施の形態では、ローパスフィルタやバンドパスフィルタにより周波数フィルタ処理や平均化処理を行うことにより、超音波探傷を高精度で検出できる。
【0071】
(第6の実施の形態)
第6の実施の形態では、第1乃至第3の実施の形態で説明した超音波検出システムをAE検出に適用する例を示す。本実施の形態の超音波検出システムは、広帯域光源と、光サーキュレータと、FBGと、光電変換器と、波形収録器とを備える。
【0072】
AEは、材料の微視破壊発生に伴う突発的な弾性波放出であり、超音波帯域の弾性波となって材料中を伝搬する。即ち、AEは、単発のパルス状の超音波といえる。このため材料中を伝搬する超音波を平均化処理なしで検出できる計測システムでなければAEを検出することはできない。第2の実施の形態および第3の実施の形態では、平均化処理を施さずに超音波を検出できることを示した(図7(a)、および図8(c)参照)。これらの例では、FBGを書き込んだ光ファイバに、超音波発振子から超音波を流入させたため、強力な超音波が光ファイバ中を伝搬したと考えられる。
【0073】
材料中を伝搬する超音波を平均化処理せずに検出できるかどうかを検証するために、図15に示す実験装置を組み立てた。図15のAE検出実験システムは、広帯域光源52、光サーキュレータ53、FBG54、光電変換器55、増幅器56、フィルタ57、波形収録器58を備える。被検体60は、厚さ1mmのアルミ板を用いる。図15において、光ファイバ接触点は、模式的に接触箇所59として円で示した。超音波発振子51と光ファイバ接触点間距離を150mmにして、中心周波数250kHzの超音波発振子をスパイク波励して、被検体60に超音波を伝搬させた。この例ではグレーティング長さ20mmのFBGを用い、光ファイバ共振部長さを22mmとした。なお、光ファイバ中のFBG箇所は特定できない場合があり、実験ではFBGの一部を被検体に接着させた恐れがあるが、接着箇所59にFBGの一部が入っているか否かは、検出には影響していない。
【0074】
図16(a)に、カットオフ周波数500kHzのローパスフィルタ処理、および512回の平均化処理を施した応答信号を示す。被検体60を通過した超音波に対する応答を、平均化することで明確に超音波を検出することができる。図16(b)に平均化処理なしで500kHzローパスフィルタ処理した応答波形を示す。平均化処理なしのローパスフィルタ処理では、超音波応答は識別できない。
【0075】
図17(a)(b)は、それぞれ図16(a)(b)に示した両応答波形の周波数特性である。図17(a)は、カットオフ周波数500kHzのローパスフィルタ処理、および512回の平均化処理を施した場合であり、図17(b)は、平均化処理なしで500kHzローパスフィルタ処理した場合である。図17(a)および(b)において、両応答信号は173kHzにおいて最大成分強度が現れている。一方、光ファイバ共振部長さL=22mm、および光ファイバ中の超音波伝搬速度v=5,060m/sを、式(2)に代入して、本実施の形態で用いたFBGセンサの共振周波数は、次数0から高次の順に、57.5kHz、172.5kHz、287.5kHz、402.5kHzと計算される。したがって、1次の共振周波数において最大成分強度が現れたことになり、この共振周波数近傍のバンドパスフィルタ処理がノイズに埋もれた超音波応答の抽出に有効であると考えられる。
【0076】
そこで、図15において、光電変換器からの電気信号を、平均化処理なしで170kHzを中心周波数とするバンドパスフィルタ処理をフィルタ57で行い波形収録器58により収録した。図16(c)に、収録された応答波形を示す。増幅器56は増幅の必要に応じて適宜設けるとよい。図16(c)によれば、時間ゼロにおいて大きな振幅を伴う超音波応答が確認できる。この結果から平均化処理なしでも適切なフィルタ処理を行うことで被検体を伝搬する超音波を検出することが可能であること、特に本発明に基づきAEを検出することが可能であることがわかる。
【0077】
なお、第4の実施の形態に示したように、共振構造を取るFBGセンサは、FBGが受信する超音波の周波数に近接する共振周波数に高い成分強度を有する応答を示すことが分かっている。図17(a)(b)では、1次の共振周波数に高い成分強度を有する応答が現れたが、この例より低周波の超音波を受信した場合は、0次の共振周波数に高い成分強度を有する応答が現れ、また高周波の超音波を受信した場合は2次以上の共振周波数に高い成分強度を有する応答が現れると考えられる。
【0078】
以上のことから、本実施の形態の、AEを検出する装置では、共振型FBGセンサの複数の共振周波数を中心とする帯域のバンドパスフィルタ処理を応答信号に対して行うことで、AE発生を漏れなく検出できる。バンドパスフィルタとして、例えば、0次、1次、2次等の複数の共振周波数を中心とするバンドパスフィルタでもよい。
【0079】
(第7の実施の形態)
第7の実施の形態では、非共振構造のFBGセンサを用いる場合を示す。
【0080】
既に第6の実施の形態では、共振構造を持つFBGセンサを用いて、被検体を伝搬する超音波を平均化処理なしで検出すること、つまりAE検出が可能であることを示した。FBGセンサに共振構造を持たせることが、本発明の超音波やAE検出に大きく寄与することを実証するため、図15に示す装置において、FBG全体を被検体に接着させ、非共振構造にして、第6の実施の形態で示したものと同じ実験を行った。図18(a)および(b)に、それぞれカットオフ周波数500kHzのローパスフィルタ処理後に512回の平均化処理した応答波形、および同じフィルタ処理後に平均化なしで収録された応答波形を示す。FBGセンサを非共振構造にしても、応答信号を平均化処理することで超音波検出は可能であるが、平均化処理なしでは超音波応答はノイズの中に埋もれて識別することはできない。
【0081】
図19(a)および(b)に、それぞれ図18(a)および(b)に示した応答波形の周波数特性を示す。非共振構造FBGセンサの平均化処理を行った応答波形の周波数特性(図19(a))は、共振構造を持つ場合(図17(a))と比較して、広帯域で、300kHz以下に大きな成分強度が現れた。また平均化処理なしの応答信号の周波数特性(図19(b))は、300kHzを超える高周波数領域においても大きな成分強度を有する周波数がランダムに現れ、平均化処理された応答波形の周波数特性とは大きく異なる特徴を有した。このため非共振構造を持つFBGセンサにおいては、超音波応答を抽出するための適切なフィルタ条件を見つけることができず、平均化処理なしでは超音波の検出は極めて困難で、AE検出には適用できないと考えられる。なお、AE以外の振動検出には平均化処理は有効である。
【0082】
以上のことから、FBGセンサを共振構造とする(第2乃至第6の実施の形態)ことにより、超音波検出性能が向上される効果があることが示された。一方、非共振構造を用いる本実施の形態の場合は、平均化処理のみ、またはローパスフィルタ処理および平均化処理により、超音波応答を抽出することができる。
【0083】
(第8の実施の形態)
上記した各実施の形態で示した超音波検出のための信号処理について、次のような形態をとることができる。各実施の形態では、ノイズに埋もれた超音波・AE応答を取り出すために、波形収録器での信号収録前に周波数フィルタ処理を行っているが、信号収録後に同処理を行って同様に超音波・AE応答の取り出してもよい。またセンサ出力に対する周波数フィルタ処理の他に、バックグラウンドノイズ成分を除去するスペクトルサブトラクション処理なども、超音波・AE検出に有効な手段であり、設けることができる。
【0084】
また、共振構造を持つFBGセンサは、超音波やAE受信時に共振周波数において大きな成分強度を有する応答信号を出力する。そこで共振型FBGセンサを用いて、超音波やAE応答を収録する際に、センサの共振周波数をロックインアンプの測定信号周波数に設定し、ロックインアンプ出力を収録トリガーとするとよい。
【0085】
また、FBGセンサの構造が非共振又は共振に関わらず、平均化処理は超音波応答を取り出すための有効な手段であり、各実施の形態で示したフィルタ処理と適宜組み合わせることができる。
【0086】
(第9の実施の形態)
第9の実施の形態では、超音波送受信点を移動させながら超音波を検出する場合を示す。既に示した実施の形態では、FBGを書き込んだ光ファイバを被検体に貼り付けた場合について示した。しかし、多くの超音波探傷では超音波送受信点を移動させながら欠陥位置を同定するため、超音波発振子およびFBGセンサの両方ともに可動式とした方が実用的であり便利である。FBGセンサを可動式とする技術が、特許文献5に開示されているが、本発明に基づく超音波検出システムのセンサ部においても、上記特許文献5と同様の可動部構造を構成して、FBGセンサを可動式とすることもできる。
【0087】
図20は、上記実施の形態で示した超音波検出システムを可動式にした装置である。図20に示すように、FBG74を書き込んだ光ファイバの一部を可動用治具71に取り付け、被検体70を伝わる超音波を、可動用治具71を介して光ファイバに伝える。例えば、FBGを書き込んだ光ファイバのFBG74の一部、またはFBG以外の箇所を、超音波伝搬速度の遅い媒体または厚さ1mm以下の薄い媒体(可動治具71に相当)に、接着箇所79で接触させることにより、共振特性を持たせた可動式FBGセンサとするとよい。可動式FBGセンサを被検体70に接触させることで、被検体を伝搬する超音波またはAEを検出する。
【0088】
図20には、共振型FBGセンサの例を図示したが、非共振構造FBGセンサを可動用治具に取り付けて可動式の振動検出システムとすることができる。具体的には、FBGを、被検体よりも超音波伝搬速度の遅い媒体または厚さ1mm以下の薄い媒体に接触させることにより、可動式FBGセンサとし、その可動式FBGセンサを被検体に接触させることで、被検体を伝搬する超音波またはAEを検出する。
【0089】
FBGセンサを可動式とすることにより、超音波検出ならびに超音波探傷検査を容易に行うことができる。
【0090】
(第10の実施の形態)
本実施の形態では、既に示した実施の形態を応用して、複数のFBGを有するシステムに拡張する場合を示す。
【0091】
本発明の超音波検出システムを用いて多点計測するための装置を、図21に示す。図21の多点計測装置は、広帯域光源82と、光サーキュレータ83と、複数のFBG(1、2・・・n)と、光電変換器85と、波形収録器88と、光スイッチ89とを備え、増幅器86、フィルタ87は必要に応じて設けられる。広帯域光を入射するFBG(1、2・・・n)を、光スイッチ89を用いて選択する。
【0092】
本発明の超音波検出システムを用いて同時多点計測するための装置を、図22に示す。図22の同時多点計測装置は、広帯域光源92と、複数の光サーキュレータ93と、複数のFBG(1、2・・・n)と、光電変換器95と、波形収録器98と、1×N カップラ99とを備え、増幅器96、フィルタ97は必要に応じて設けられる。1×Nカップラ99を用いて、複数のFBGに同時に広帯域光を入射して、各FBGからの反射光強度を測定し、同時に複数のFBG反射強度を測定する。
【0093】
本発明の超音波検出システムを用いて同時多点計測するための装置を、図23に示す。図23の同時多点計測装置は、広帯域光源102と、光サーキュレータと、複数のFBG(1、2・・・n)と、光電変換器105と、波形収録器108と、光分波器109とを備え、増幅器106、フィルタ107は必要に応じて設けられる。図23の同時多点計測装置は、ブラッグ波長の異なる複数のFBGからの反射光を、波長により出力ラインの異なる光分波器109に通し、それぞれのFBGからの反射光強度を異なるライン(λ、λ、・・・λ)に出力させ、各FBGからの反射光強度を測定することにより、同時に複数のFBG反射強度を測定する。
【0094】
以上の実施の形態において、20kHzを超える超音波帯域の場合の例を示したが、20kHz以下の可聴域振動についても同様に検出することができる。共振型FBGセンサの場合は、光ファイバ共振部長さを調整することにより、20kHz以下の可聴域に共振周波数を持たせることができる。また、本発明の超音波検出システムは、実施の形態で示した超音波探傷による欠陥検出、AE検出による損傷発生検知、および振動検知による機械の異常発生検知等の装置に適用することができる。
【0095】
本発明では、各実施の形態で示した信号処理を適宜組み合わせて実施することができる。なお、上記実施の形態等で示した例は、発明を理解しやすくするために記載したものであり、この形態に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0096】
本発明は、超音波探傷による欠陥検出、AE検出による損傷発生検知、および振動検知による機械の異常発生検知等に有用である。
【符号の説明】
【0097】
2、12、22、32、52、72、82、92、102 広帯域光源
3、13、23、33、53、73、83、93 光サーキュレータ
4、14、24、34、54、74 FBG
5 光フィルタ
6、15、25、35、55、75、85、95、105 光電変換器
7、18、28、38、58、88、98、108 波形収録器
11、21、31、51 超音波発振子
16、26、36、56、86、96、106 増幅器
17、27、37、57、87、97、107 フィルタ
19、29、39、59、79 接着箇所
40、60、70 被検体
41 衝撃損傷
42 超音波
62 超音波またはAE
71 可動用治具
89 光スイッチ
99 1×Nカップラ
109 光分波器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可聴域から超音波域の振動を検出するシステムであって、
広帯域光源と、
前記広帯域光源からの広帯域光が入射するファイバ・ブラッグ・グレーティング(以下、FBGという。)と、
前記FBGからの反射光強度を電気信号に変換する光電変換部と、
前記電気信号に対して、前記FBGが受ける振動に基づく応答信号を抽出する信号処理を行う信号処理部と、
を備えることを特徴とする振動検出システム。
【請求項2】
前記信号処理は、平均化処理および周波数フィルタ処理のいずれか1つ以上の信号処理であることを特徴とする請求項1記載の振動検出システム。
【請求項3】
前記振動検出システムは、FBGを書き込んだ光ファイバのFBGの一部、またはFBG以外の箇所を、被検体に接触させて、FBGセンサに共振特性を持たせ、振動を被検体との接触箇所を介して光ファイバに流入させることを特徴とする請求項1または2記載の振動検出システム。
【請求項4】
前記周波数フィルタ処理は、前記共振特性に基づく共振周波数帯域近傍のバンドパスフィルタ処理であることを特徴とする請求項3に記載の振動検出システム。
【請求項5】
前記周波数フィルタ処理は、ローパスフィルタ処理であることを特徴とする請求項2記載の振動検出システム。
【請求項6】
前記周波数フィルタ処理は、バンドパスフィルタ処理であることを特徴とする請求項2記載の振動検出システム。
【請求項7】
前記周波数フィルタ処理は、FBGを書き込んだ光ファイバにおける、被検体との接触点と自由端との間の光ファイバ共振部長さに基づいて決定される共振周波数を通過させる処理であることを特徴とする請求項2の振動検出システム。
【請求項8】
前記光ファイバ共振部長さを調整して、前記共振周波数を制御することを特徴とする請求項7記載の振動検出システム。
【請求項9】
前記FBGを複数備えることにより多点計測を行うことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項記載の振動検出システム。
【請求項10】
前記FBGを、被検体よりも超音波伝搬速度の遅い媒体または1mm以下の媒体に接触させることにより可動式FBGセンサとし、該可動式FBGセンサを被検体に接触させることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項記載の振動検出システム。
【請求項11】
前記FBGを書き込んだ光ファイバのFBGの一部、またはFBG以外の箇所を、被検体よりも超音波伝搬速度の遅い媒体または1mm以下の媒体に接触させることにより共振特性をもつ可動式FBGセンサとし、該可動式FBGセンサを被検体に接触させることを特徴とする請求項2乃至9のいずれか1項記載の振動検出システム。
【請求項12】
前記振動は、超音波またはアコースティック・エミッションであることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項記載の振動検出システム。
【請求項13】
ブラッグ波長変化検出のための光フィルタを用いないことを特徴とする請求項1記載の振動検出システム。
【請求項14】
請求項1乃至13のいずれか1項に記載の振動検出システムを備えることを特徴とする超音波探傷装置。
【請求項15】
請求項1乃至13のいずれか1項に記載の振動検出システムを用いて、超音波伝搬状況を測定することにより、被検体の健全性を評価することを特徴とする材料健全性評価装置。
【請求項16】
請求項1乃至13のいずれか1項に記載の振動検出システムを用いて、材料破壊時に生じるアコースティック・エミッションを検出して、被検体の健全性を評価することを特徴とする材料健全性評価装置。
【請求項17】
FBG反射波長域を包含する広帯域光を前記FBGに入射し、前記FBGからの反射光強度を電気信号に変換し、前記電気信号に対して、前記FBGが受ける振動に基づく応答信号を抽出する信号処理を行うことにより振動を検出することを特徴とする振動検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2011−149828(P2011−149828A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−11526(P2010−11526)
【出願日】平成22年1月22日(2010.1.22)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【Fターム(参考)】