挾持具
【課題】部品点数の削減によって製造コストの低廉化を図りながら、シーツや毛布等の長尺干し物を干す場合の取り扱いも容易に行うことがでる。
【解決手段】一対の挾持部材Aを挾持付勢手段Bに抗して揺動支点部C周りで開き操作可能に構成してある挾持具であって、両挾持部材Aの挾持部には、他の挾持具Pの挾持部材Aにおける操作摘み部に設けられた係合部20と脱着可能な状態で係合して他の挾持具Pを同じ向き又はそれに近い向きの連結姿勢で係合保持する被係合部21が設けられているとともに、両挾持部材Aの操作摘み部には、他の挾持具Pの挾持部材Aにおける挾持部に設けられている被係合部21と脱着可能な状態で係合して他の挾持具Pと同じ向き又はそれに近い向きの連結姿勢で係合保持される係合部20が設けられている。
【解決手段】一対の挾持部材Aを挾持付勢手段Bに抗して揺動支点部C周りで開き操作可能に構成してある挾持具であって、両挾持部材Aの挾持部には、他の挾持具Pの挾持部材Aにおける操作摘み部に設けられた係合部20と脱着可能な状態で係合して他の挾持具Pを同じ向き又はそれに近い向きの連結姿勢で係合保持する被係合部21が設けられているとともに、両挾持部材Aの操作摘み部には、他の挾持具Pの挾持部材Aにおける挾持部に設けられている被係合部21と脱着可能な状態で係合して他の挾持具Pと同じ向き又はそれに近い向きの連結姿勢で係合保持される係合部20が設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一対の挾持部材を挾持付勢手段に抗して揺動支点部周りで開き操作可能に構成してある挾持具に関する。
【背景技術】
【0002】
挾持具の使用形態を見ると、例えば、シーツや毛布等の長尺干し物を干す場合、二つ折りにして物干し竿に掛けられた長尺干し物の中央折り曲げ部をそれの外側から物干し竿に挾持固定する機能と、地面と接触する可能性のある長尺干し物の両遊端部側をそれぞれU字状に折り返した状態で吊下げ支持する機能とが要求されている。
【0003】
この要望に対して、従来では、長尺干し物の中央折り曲げ部を物干し竿に挾持固定可能な挾持具の両挾持部材における挾持部の外側面に、外方に突出するフック部を形成するとともに、長尺干し物のU字状に折り返された遊端部を挾持保持可能な第2挾持具と、当該第2挾持具の挾持付勢手段である略C形のスプリングを係止保持する第1係止部及び前記各フック部に対して脱着自在に係止される第2係止部を備えた吊持用索状体とからなる補助吊下げ具を設けている(特許文献1参照)。
【0004】
また、前記挾持具のフック部を横外方への張り出し量の大きなアーム部に構成するとともに、前記補助吊下げ具の吊持用索状体をアーム部先端に係止されるチェーンから構成したものも提案されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−135399号公報
【特許文献2】特開2004−267658号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来では、長尺干し物の中央折り部を物干し竿に挾持固定する挾持具以外に、長尺干し物のU字状に折り返された遊端部を挾持保持可能な第2挾持具と、この第2挾持具を挾持具の両挾持部に突出形成されたフック部又はアーム部に取り付けるための吊持用索状体又はチェーンとから構成される補助吊下げ具を準備する必要があり、この補助吊下げ具の部品点数の分だけ製造コストの高騰化を招来するとともに、取り扱いも不便であった。
【0007】
本発明は、上述の実状に鑑みて為されたものであって、その主たる課題は、部品点数の削減によって製造コストの低廉化を図りながら、シーツや毛布等の長尺干し物を干す場合の取り扱いも容易に行うことのできる挾持具を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による第1の特徴構成は、一対の挾持部材を挾持付勢手段に抗して揺動支点部周りで開き操作可能に構成してある挾持具であって、
前記両挾持部材の挾持部には、他の挾持具の挾持部材における操作摘み部に設けられた係合部又は被係合部と脱着可能な状態で係合して他の挾持具を同じ向き又はそれに近い向きの連結姿勢で係合保持する被係合部又は係合部が設けられているとともに、前記両挾持部材の操作摘み部には、他の挾持具の挾持部材における挾持部に設けられている被係合部又は係合部と脱着可能な状態で係合して他の挾持具と同じ向き又はそれに近い向きの連結姿勢で係合保持される係合部又は被係合部が設けられている点にある。
【0009】
上記構成によれば、一つの挾持具における一方の挾持部材の挾持部に設けた被係合部又は係合部に、他の挾持具における一方の挾持部材の操作摘み部に設けた係合部又は被係合部を係合することにより、同じ向き又はそれに近い向きの連結姿勢で係合保持されている二個の挾持具をもって、シーツや毛布等の長尺干し物をN字状の三つ折り状態で物干し竿に簡便に干すことができる。
【0010】
このとき、長尺干し物の遊端部側の持ち上げ代を小さくしたい場合には、連結された二個の挾持具のうち、上側の挾持具で長尺干し物の上側折り曲げ部をそれの外側から物干し竿に挾持固定するとともに、下側の挾持具で長尺干し物のU字状に折り返された遊端部を挾持保持する。
【0011】
これとは逆に、長尺干し物の遊端部側の持ち上げ代を大きくしたい場合には、連結された二個の挾持具のうち、下側の挾持具で長尺干し物の上側折り曲げ部をそれの外側から物干し竿に挾持固定するとともに、上側の挾持具で長尺干し物のU字状に折り返された遊端部を挾持保持する。
【0012】
また、一つの挾持具における両挾持部材の挾持部に設けた被係合部又は係合部の各々に、他の二つの挾持具における一方の挾持部材の操作摘み部に設けた係合部又は被係合部を係合することにより、同じ向き又はそれに近い向きの連結姿勢で係合保持されている三個の挾持具をもって、シーツや毛布等の長尺干し物をW字状の四つ折り状態で物干し竿に簡便に干すことができる。
【0013】
さらに、前記挾持具の連結数を四個以上に増設することにより、横方向及び上下方向での挾持間隔を調節することができる。
【0014】
したがって、同一構造の挾持具の連結数を調節するだけであるから、部品点数の削減によって製造コストの低廉化を図りながら、長尺干し物を干す場合の取り扱いの容易化を図ることができる。
【0015】
本発明による第2の特徴構成は、前記係合部と被係合部とが、前記両挾持具の相対移動操作により他の挾持具の被係合部又は係合部と係合された連結状態と他の挾持具の被係合部又は係合部との係合が解除された連結解除状態とに切り替え可能に構成されている点にある。
【0016】
上記構成によれば、前記両挾持具を相対移動操作するだけで、両挾持具の係合部と被係合部とを連結状態と連結解除状態とに簡単に切り替えることができる。
【0017】
本発明による第3の特徴構成は、前記両挾持部材の挾持部には、他の挾持具の操作摘み部との当接又は係合によって両挾持具を設定連結姿勢に保持する連結姿勢保持手段が設けられている点にある。
【0018】
上記構成によれば、前記一方の挾持具における挾持部材の挾持部に設けた被係合部又は係合部に、他方の挾持具における挾持部材の操作摘み部に設けた係合部又は被係合部を係合したとき、一方の挾持具の挾持部に設けられた連結姿勢保持手段が他方の挾持具の操作摘み部と当接又は係合して、両挾持具を設定連結姿勢に確実に保持することができるから、長尺干し物を干す場合の取り扱いの容易化を図ることができる。
【0019】
本発明による第4の特徴構成は、前記連結姿勢保持手段が、前記挾持部材の長手方向の複数位置で他の挾持具の操作摘み部を選択的に係合保持可能に構成されている点にある。
【0020】
上記構成によれば、前記両挾持具の係合部と被係合部とが係合されている状態で、前記連結姿勢保持手段と他の挾持具の操作摘み部との係合位置を挾持部材の長手方向の複数位置で選択することにより、両挾持具の水平方向での挾持間隔を変更することができる。
【0021】
本発明による第5の特徴構成は、前記係合部が、前記挾持部材から外方に突出する突出姿勢と挾持部材側に引退させた格納姿勢とに切り替え可能な係合体から構成されているとともに、前記被係合部が、突出姿勢にある係合体が係脱可能な係合孔から構成されている点にある。
【0022】
上記構成によれば、両挾持具を連結する場合には、一方の挾持具に設けられている係合体を外方に突出する突出姿勢に切り換えて、他方の挾持具の係合孔に確実に係合させることができるように構成しながらも、非連結時には、不要となる係合体を挾持部材側に引退させた状態でコンパクトに格納することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1実施形態を示すピンチの正面図
【図2】ピンチの側面図
【図3】ピンチの断面図
【図4】挾持部材の左側面図(a)と正面図(b)と右側面図(c)
【図5】図4(c)におけるV−V線断面図
【図6】挾持部材の上端側の要部の平面図
【図7】図4(c)におけるVII−VII線断面図
【図8】ピンチの両挾持部の係合孔における下側連結位置に他の二つのピンチを連結したときの断面図
【図9】ピンチの両挾持部の係合孔における上側連結位置に他の二つのピンチを連結したときの断面図
【図10】本発明の第2実施形態を示すピンチの正面図
【図11】ピンチの側面図
【図12】要部の斜視図
【図13】係合解除時の要部の拡大断面図(a)と係合時の要部の拡大断面図(b)
【図14】本発明の第3実施形態を示すピンチの正面図
【図15】挾持部材の斜視図
【図16】二つのピンチを係合連結したときの断面図
【図17】本発明の第4実施形態を示すピンチの正面図
【図18】挾持部材の斜視図
【図19】二つのピンチを係合連結したときの断面図
【図20】本発明の第5実施形態を示すピンチの正面図
【図21】挾持部材の斜視図
【図22】二つのピンチを係合連結したときの断面図
【発明を実施するための形態】
【0024】
〔第1実施形態〕
図1〜図9は、一対の挾持部材Aを挾持付勢手段Bに抗して揺動支点部C周りで開き操作可能に構成してある挾持具の一例で、シーツや毛布等の長尺干し物を干す場合に有用なピンチPを示す。
【0025】
このピンチPの両挾持部材Aの挾持部A1には、他の同一構造のピンチPの挾持部材Aにおける操作摘み部A3に設けられた係合部20と脱着可能な状態で係合して他の同一構造のピンチPを同じ向き又はそれに近い向きの連結姿勢で係合保持する被係合部21が設けられているとともに、両挾持部材Aの操作摘み部A3には、他の同一構造のピンチPの挾持部材Aにおける挾持部A1に設けられている被係合部21と脱着可能な状態で係合して他の同一構造のピンチPと同じ向き又はそれに近い向きの連結姿勢で係合保持される係合部20が設けられている。
【0026】
前記一対の挾持部材Aは、合成樹脂で成形された同一構造のものを向かい合わせにして正面視で変形「A」の字状に組み合わせて構成されている。
【0027】
前記各挾持部材Aは、横断面形状が「コ」の字状に構成されているとともに、弧状に彎曲する挾持部A1と、揺動支点部Cを備えた中央支点部A2と、当該中央支点部A2に対して外拡がりの傾斜姿勢で連続する操作摘み部A3とを主要構成として備えている。
【0028】
前記挾持部A1には、図1〜図5に示すように、干し物を挾持保持可能な先端側の直線状挾持面1と、物干し竿を径方向外方から挾持可能な大径の第1弧状挾持面2と、物干しロープを径方向外方から挾持可能な小径の第2弧状挾持面3とが形成されているとともに、直線状挾持面1には、干し物を凹凸状に挾持する抜け落ち防止用の複数の挾持突起4が、相手側の挾持部材Aの直線状挾持面1に形成される挾持突起4と位置齟齬する配置で一体形成されている。
【0029】
前記挾持部材Aの両側板部5のうち、中央支点部A2における一方の側板部分には、図4、図5に示すように、両挾持部材Aの揺動中心周りの半円状の揺動ガイド凸面6aを備えた第1揺動支点板部6が一体形成されているとともに、中央支点部A2における他方の側板部分には、相手側の挾持部材Aの中央支点部A2における一方の側板部分に形成された第1揺動支点板部6の揺動ガイド凸面6aと相対揺動自在に嵌合する半円状の揺動ガイド凹面7が形成されている。
【0030】
また、前記挾持部材Aの両側板部5に連続する外面板部8のうち、中央支点部A2における外面板部分の内面には、揺動ガイド凹面7と同じ曲率形状の揺動ガイド溝9aを備えた支点凸部9が内方側に突出形成されている。
【0031】
前記支点凸部9の揺動ガイド溝9aのうち、第1揺動支点板部6に小間隔をおいて近接する長手方向の一端部側には、第1揺動支点板部6と同一形状の第2揺動支点板部10が一体形成されているとともに、揺動ガイド溝9aの長手方向の他端部には、相手側の挾持部材Aの中央支点部A2に形成されている第1揺動支点板部6及び第2揺動支点板部10間に入り込んで両挾持部材Aの揺動軸芯方向でのずれ移動を規制する第1揺動支点板部6と同一構造の第3揺動支点板部11が一体形成されている。
【0032】
前記第2揺動支点板部10及び第3揺動支点板部11の各先端には、相手側の挾持部材Aの中央支点部A2における支点凸部9の揺動ガイド溝9aに嵌合する半円状の揺動ガイド凸面10a、11aが形成されている。
【0033】
そして、前記揺動ガイド凸面6aを備えた第1揺動支点板部6と、揺動ガイド凸面10aを備えた第2揺動支点板部10と、揺動ガイド凸面11aを備えた第3揺動支点板部11と、揺動ガイド凹面7と、揺動ガイド溝9aを備えた支点凸部9とから前記揺動支点部Cが構成されている。
【0034】
前記挾持付勢手段Bは、図3、図4に示すように、バネ線材を「C」の字状に折り曲げた二つのバネ12を主要構成として備えるとともに、両挾持部材Aの外面板部8における挾持部A1側の幅方向二箇所には、各バネ12の両端部を係合保持するバネ受け凹部13を形成するとともに、両挾持部材Aの外面板部8における操作摘み部A3側の幅方向二箇所には、両挾持部材Aのバネ受け凹部13にわたって掛け止められる各バネ12の中間部分を挿通させるための貫通孔14を形成して構成されている。
【0035】
前記両挾持部材Aの外面板部8における操作摘み部A3の外面には、複数の滑り止め突条15が形成されている。
【0036】
前記係合部20は、図1〜図7に示すように、両挾持部材Aの操作摘み部A3の端部側内面に形成された係合凹部22に対して脱着可能に嵌合装着される揺動支点軸部20aと、両挾持部材Aの外面板部8における挾持部A1側の幅方向中央位置に形成された被係合部21の一例である長孔状の第1係合孔21Aに対して係脱自在な係合軸部20b、及び、これら両軸部20a,20bを略H字状に繋ぐ繋ぎ軸部20cとを合成樹脂にて一体成形してなる第1係合体20Aから構成されている。
【0037】
前記係合凹部22は、図3〜図5に示すように、両挾持部材Aの両側板部5及び外面板部8における操作摘み部A3側の内面に、操作摘み部A3の端板部23との対向面間に前記第1係合体20Aの揺動支点軸部20aが係入可能な間隔をおいて仕切り壁24を一体成形し、この仕切り壁24と操作摘み部A3の端板部23との対向面に、第1係合体20Aの揺動支点軸部20aの嵌入操作を許容する状態で抜止め保持する抜止め突起25が一体形成されている。
【0038】
前記操作摘み部A3の端板部23には、図4、図6に示すように、係合凹部22に嵌合装着された第1係合体20Aの揺動支点軸部20a周りでの外方への突出揺動を許容する切欠き部23aが形成され、この切欠き部23aの内面には、突出姿勢にある第1係合体20Aの繋ぎ軸部20cと接触して、第1係合体20Aが挾持部材Aの内面側に引退させた格納姿勢へ揺動操作されるときに抵抗を付与する抵抗付与手段としての小突起26が形成されている。
【0039】
前記仕切り壁24には、図4、図6に示すように、係合凹部22に嵌合装着された第1係合体20Aの揺動支点軸部20a周りでの内方への格納揺動を許容する切欠き部24aが形成され、この切欠き部24aの内面には、格納姿勢にある第1係合体20Aの繋ぎ軸部20cと接触して、第1係合体20Aが突出姿勢へ揺動操作されるときに抵抗を付与する抵抗付与手段としての小突起27が形成されている。
【0040】
前記両挾持部材Aの両側板部5と外面板部8及び支点凸部9と仕切り壁24とで区画形成される内側空間Sが、前記第1係合体20Aを格納姿勢で格納するための格納空間に構成されている。
【0041】
前記両挾持部材Aの外面板部8における内側空間S側の内面には、図3、図4に示すように、格納姿勢にある第1係合体20Aの繋ぎ軸部20cと当接して、第1係合体20Aの係合軸部20bと外面板部8の内面との間に持ち上げ用の操作空間を形成する突起28が形成されている。
【0042】
前記第1係合体20Aの係合軸部20bは「D」字状の横断面形状に構成され、当該係合軸部20bの外側部位に、格納姿勢にある第1係合体20Aの繋ぎ軸部20cを引き起こし操作するときの偏平な指当て面20kが形成されている。
【0043】
前記第1係合孔21Aは、図3〜図5に示すように、挾持部材Aの長手方向に沿う長孔に形成されているため、ピンチP同士を連結する場合、両挾持部材Aの両側板部5が鉛直方向に沿う姿勢にある一方のピンチPに対して、他方のピンチPを、それの両挾持部材Aの両側板部5が水平方向となる直交横向き姿勢に姿勢変更して、一方のピンチPの第1係合孔21Aに他方のピンチPの第1係合体20Aの係合軸部20bを係入し、この状態で他方のピンチPをそれの両挾持部材Aの直線状挾持面1が下方に位置する状態に90度回転させることにより、一方のピンチPの第1係合孔21Aの内面側開口周縁に他方のピンチPの第1係合体20Aの係合軸部20bが抜止め係合され、両ピンチPが同じ向き姿勢又はそれに近い向き姿勢で連結される。
【0044】
前記両挾持部材Aの挾持部A1には、図1〜図5、図8、図9に示すように、他の同一構造のピンチPの操作摘み部A3における先端角部29との係合によって両ピンチPを複数の設定連結位置で選択的に安定良く確実に保持する連結姿勢保持手段Dが設けられている。
【0045】
この連結姿勢保持手段Dを構成するに、両挾持部材Aの外面板部8の外面における挾持部A1側の長手方向複数箇所(当該実施形態では二箇所)には、一方のピンチPの第1係合孔21Aに他方のピンチPの第1係合体20Aの係合軸部20bが係合されている状態で、他方のピンチPにおける操作摘み部A3側の先端角部29が複数の設定連結位置で選択的に係合可能な係合溝部30が形成されているとともに、両挾持部材Aの外面板部8の内面における挾持部A1側の長手方向複数箇所(当該実施形態では二箇所)には、他方のピンチPの第1係合体20Aの係合軸部20bが複数の設定連結位置で選択的に係合するリブ状の位置決め係止部31が形成されている。
【0046】
そして、図8に示すように、前記連結姿勢保持手段Dの下側の係合溝部30に他方のピンチPにおける操作摘み部A3側の先端角部29が係合するとき、下側の位置決め係止部31に他方のピンチPの第1係合体20Aの係合軸部20bが係合して、他方のピンチPの自重及びこれに挾持保持される干し物の重量に抗して、両ピンチPを下側の設定連結位置で確実に連結保持することができる。
【0047】
また、図9に示すように、前記連結姿勢保持手段Dの上側の係合溝部30に他方のピンチPにおける操作摘み部A3側の先端角部29が係合するとき、上側の位置決め係止部31に他方のピンチPの第1係合体20Aの係合軸部20bが係合して、他方のピンチPの自重及びこれに挾持保持される干し物の重量に抗して、両ピンチPを上側の設定連結位置で確実に連結保持することができる。
【0048】
前記両挾持部材Aの外面板部8の外面における挾持部A1側は弧状に彎曲しているため、図8に示すように、両ピンチPが下側の設定連結位置で連結された場合には、両ピンチPの中心が鉛直方向に沿って平行となる略同じ向きの連結姿勢となり、また、図9に示すように、両ピンチPが上側の設定連結位置で連結された場合には、他方のピンチPの中心が外方に向く傾斜方向となり、両ピンチPが近い向きの連結姿勢で連結される。
【0049】
〔第2実施形態〕
図10〜図13は、ピンチP同志を一つの設定連結姿勢でのみ連結可能に構成した別の実施形態を示す。具体的には、ピンチPの両挾持部材Aの挾持部A1に、他の同一構造のピンチPの挾持部材Aにおける操作摘み部A3に設けられた被係合部21と脱着可能な状態で係合して他の同一構造のピンチPを同じ向き又はそれに近い向きの連結姿勢で係合保持する係合部20が設けられているとともに、両挾持部材Aの操作摘み部A3には、他の同一構造のピンチPの挾持部材Aにおける挾持部A1に設けられている係合部20と脱着可能な状態で係合して他の同一構造のピンチPと同じ向き又はそれに近い向きの連結姿勢で係合保持される被係合部21が設けられている。
【0050】
前記両挾持部材Aの外面板部8の外面における挾持部A1側部位には、係合部20を他の同一構造のピンチPの挾持部材Aにおける操作摘み部A3に設けられた被係合部21に係合させた状態において、他の同一構造のピンチPの操作摘み部A3における外側面との接当によって両ピンチPを同じ向きの一つの設定連結姿勢に規制する姿勢規制面35aを備えた台座部35が一体的に突出形成されている。
【0051】
前記係合部20は、台座部35の姿勢規制面35aから突出形成された筒状係止部20dのうち、挾持部材Aの外面板部8における操作摘み部A3での板厚よりも若干大なる間隔を隔てた先端部側の周方向二箇所に径方向外方に突出する係合突起20eを形成してなる第2係合体20Bから構成されているとともに、この第2係合体20Bの両係合突起20eを結ぶ線分が挾持部材Aの長手方向となる向き姿勢に構成されている。
【0052】
前記被係合部21は、第2係合体20Bの両係合突起20eの係脱操作を許容する状態で当該第2係合体20Bの先端輪郭形状と相似形に形成された第2係合孔21Bから構成され、前記第2係合体20Bとは向き姿勢を90度異ならした状態で挾持部材Aにおける操作摘み部A3に貫通形成されている。
【0053】
そのため、ピンチP同士を連結する場合、両挾持部材Aの両側板部5が鉛直方向に沿う姿勢にある一方のピンチPに対して、他方のピンチPをそれの両挾持部材Aの両側板部5が水平方向となる直交横向き姿勢に姿勢変更して、図13(a)に示すように、一方のピンチPの第2係合体20Bに対して他方のピンチPの第2係合孔21Bを嵌合し、この嵌合状態で他方のピンチPをそれの両挾持部材Aの直線状挾持面1が下方に位置する状態にまで90度回転操作することにより、図13(b)に示すように、他方のピンチPの第2係合孔21Bの内面側周縁が一方のピンチPの第2係合体20Bの両係合突起20eに抜止め係合され、両ピンチPが同じ向き姿勢で連結される。
【0054】
また、図13に示すように、前記両挾持部材Aの外面板部8における操作摘み部A3側の内面には、第2係合孔21Bに係入された他のピンチPの第2係合体20Bの脱着操作位置から係合連結操作位置への回動又は係合連結操作位置から脱着操作位置への回動に抵抗を付与する抵抗付与手段としての小突起36が形成されている。
尚、その他の構成は、第1実施形態で説明した構成と同一であるから、同一の構成箇所には、第1実施形態と同一の番号を付記してそれの説明は省略する。
【0055】
〔第3実施形態〕
図14〜図16は、上述の第2実施形態の変形例を示し、この第3実施形態では、前記係合部20が、台座部35の姿勢規制面35aから突出形成された略L字状の第3係合体20Cから構成されている。
【0056】
また、前記被係合部21は、両挾持部材Aの外面板部8における操作摘み部A3側の端部に形成したU字状切欠き部21aに係止棒21bを横架して形成される第3係合孔21Cから構成されている。
【0057】
そのため、この第3実施形態においては、ピンチP同士の連結操作方法として複数の操作方法が存在するが、その一例を示すと、両ピンチPを略同じ向き姿勢で相対近接移動して、一方のピンチPの第3係合体20Cに対して他方のピンチPの第3係合孔21Cの係止棒21bを係合することにより、両ピンチPを同じ向き姿勢で連結することができる。
【0058】
前記両挾持部材Aの外面板部8における操作摘み部A3側の外面には、複数条の滑り止め溝37が形成されているとともに、台座部35の姿勢規制面35aには、第3係合体20Cの係合受け面20fに対して他方のピンチPにおける第3係合孔21Cの係止棒21bが係合されたとき、操作摘み部A3の先端側の滑り止め溝37が係合する係合凸部38が形成されている。
【0059】
前記第3係合体20Cと他方のピンチPにおける第3係合孔21Cの係止棒21bとが係合状態に維持されている範囲内において、他方のピンチPにおける操作摘み部A3の先端から二番目の滑り止め溝37を台座部35の姿勢規制面35aに形成されている係合凸部38に係合させることにより、第3係合体20Cの係合受け面20fに対して他方のピンチPにおける第3係合孔21Cの係止棒21bが少し上方に離間した連結姿勢でも両ピンチP同志を連結可能に構成されている。
【0060】
尚、その他の構成は、第1実施形態で説明した構成と同一であるから、同一の構成箇所には、第1実施形態と同一の番号を付記してそれの説明は省略する。
【0061】
〔第4実施形態〕
図17〜図19は、ピンチP同志を一つの設定連結姿勢でのみ連結可能に構成した別の実施形態を示す。具体的には、ピンチPの両挾持部材Aの挾持部A1に、他の同一構造のピンチPの挾持部材Aにおける操作摘み部A3に設けられている係合部20と脱着可能な状態で係合して他の同一構造のピンチPを同じ向き又はそれに近い向きの連結姿勢で係合保持する被係合部21が設けられているとともに、両挾持部材Aの操作摘み部A3には、他の同一構造のピンチPの挾持部材Aにおける挾持部A1に設けられている被係合部21と脱着可能な状態で係合して他の同一構造のピンチPと同じ向き又はそれに近い向きの連結姿勢で係合保持される係合部20が設けられている。
【0062】
前記係合部20は、両挾持部材Aの外面板部8の外面における操作摘み部A3側部位に、水平断面視で略「T」字形で、且つ、正面視において倒立「L」字状の第4係合部20Dを突出形成して構成されている。
【0063】
この第4係合部20Dは、挾持部材Aの外面板部8に一体形成される正面視において倒立「L」字状の板状係止片20gと、当該板状係止片20gの内側面の幅方向中央位置とこれに対面する外面板部8の操作摘み部A3側部位とにわたって一体形成される中央補強片20hとから構成されている。
【0064】
前記被係合部21は、両挾持部材Aの外面板部8の外面における挾持部A1側部位に一体形成された外方に張り出す膨出部39に、他の同一構造のピンチPにおける操作摘み部A3側の部位に形成されている第4係合部20Dが着脱自在に係合する第4係合孔21Dを形成して構成されている。
【0065】
前記第4係合孔21Dは、これに対して他のピンチPの第4係合部20Dを操作摘み部A3側から挾持部A1側に近接移動させて係合させるとき、第4係合部20Dの板状係止片20gが係入する横向き係合孔部21cと、第4係合部20Dの中央補強片20hが係入する縦向き係合孔部21dとを連通形成して構成されている。
【0066】
前記膨出部39の外面は、第4係合孔21Dと他のピンチPの第4係合部20Dとを係合させた状態において、他のピンチPの操作摘み部A3における外側面との接当によって両ピンチPを同じ向きの一つの設定連結姿勢に規制する姿勢規制面39aに構成されている。
【0067】
尚、その他の構成は、第1実施形態で説明した構成と同一であるから、同一の構成箇所には、第1実施形態と同一の番号を付記してそれの説明は省略する。
【0068】
〔第5実施形態〕
図20〜図22は、上述の第4実施形態の変形例を示し、この実施形態では、ピンチPの両挾持部材Aの挾持部A1に、他の同一構造のピンチPの挾持部材Aにおける操作摘み部A3に設けられている被係合部21と脱着可能な状態で係合して他の同一構造のピンチPを同じ向き又はそれに近い向きの連結姿勢で係合保持する係合部20が設けられているとともに、両挾持部材Aの操作摘み部A3には、他の同一構造のピンチPの挾持部材Aにおける挾持部A1に設けられている係合部20と脱着可能な状態で係合して他の同一構造のピンチPと同じ向き又はそれに近い向きの連結姿勢で係合保持される被係合部21が設けられている。
【0069】
前記係合部20は、両挾持部材Aの外面板部8の外面における挾持部A1側部位に一体形成された外方に張り出す膨出部39に、水平断面視で略「T」字形で、且つ、正面視において「L」字状の第5係合部20Eを突出形成して構成されている。
【0070】
この第5係合部20Eは、挾持部材Aの外面板部8に一体形成される正面視においてL字状の板状係止片20iと、当該板状係止片20iの内側面の幅方向中央位置とこれに対面する外面板部8の挾持部A1側部位とにわたって一体形成される中央補強片20jとから構成されている。
【0071】
前記被係合部21は、両挾持部材Aの外面板部8の外面における操作摘み部A3側部位に、他の同一構造のピンチPにおける挾持部A1側の部位に形成されている第5係合部20Eが着脱自在に係合する第5係合孔21Eを形成して構成されている。
【0072】
前記第5係合孔21Eは、これに対して他のピンチPの第5係合部20Eを挾持部A1側から操作摘み部A3側に近接移動させて係合させたとき、第5係合部20Eの板状係止片20iが係入する横向き係合孔部21eと、第5係合部20Eの中央補強片20jが係入する縦向き係合孔部21fとを連通形成して構成されている。
【0073】
前記膨出部39の外面は、第5係合部20Eと他のピンチPの第5係合孔21Eとを係合させた状態において、他のピンチPの操作摘み部A3における外側面との接当によって両ピンチPを同じ向きの一つの設定連結姿勢に規制する姿勢規制面39aに形成されている。
【0074】
尚、その他の構成は、第1実施形態で説明した構成と同一であるから、同一の構成箇所には、第1実施形態と同一の番号を付記してそれの説明は省略する。
【0075】
〔その他の実施形態〕
(1)上述の各実施形態では、前記挾持付勢手段Bの主要構成を、バネ線材を「C」の字状に折り曲げた二つのバネ12から構成したが、一つのバネ12から構成してもよく、さらに、捻じりコイルバネ等の他のバネから構成してもよい。
【0076】
(2)前記両挾持部材Aの挾持部A1に設けられる被係合部21又は係合部20と操作摘み部A3に設けられる係合部20又は被係合部21は、両挾持具P同士を同じ向き又はそれに近い向きの連結姿勢で係合連結することのできるものであれば如何なる係合構造に構成してもよい。
【0077】
(3)前記連結姿勢保持手段Dとしては、一方の挾持具Pの被係合部21又は係合部20と他方の挾持具Pの係合部20又は被係合部21とが係合されている状態において、他の挾持具Pの操作摘み部A3との面接触や線接触等の接当によって両挾持具Pを一つ又は複数の設定連結姿勢に保持する構成であってもよく、また、他の挾持具Pの操作摘み部A3との係合によって両挾持具Pを一つの設定連結姿勢に保持する構成であってもよく、さらに、他の挾持具Pの操作摘み部A3との複数位置での選択的係合によって両挾持具Pを複数の設定連結姿勢で保持する構成であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0078】
以上説明したように、部品点数の削減によって製造コストの低廉化を図りながら、シーツや毛布等の長尺干し物を干す場合の取り扱いも容易に行うことができる挾持武具を提供することができる。
【符号の説明】
【0079】
P 挾持具(ピンチ)
A 挾持部材
A1 挾持部
A3 操作摘み部
B 挾持付勢手段
C 揺動支点部
D 連結姿勢保持部
20 係合部
20A 係合体(第1係合体)
20B 係合体(第2係合体)
20C 係合体(第3係合体)
20D 係合体(第4係合体)
20E 係合体(第5係合体)
21 被係合部
21A 係合孔(第1係合孔)
21B 係合孔(第2係合孔)
21C 係合孔(第3係合孔)
21D 係合孔(第4係合孔)
21E 係合孔(第5係合孔)
【技術分野】
【0001】
本発明は、一対の挾持部材を挾持付勢手段に抗して揺動支点部周りで開き操作可能に構成してある挾持具に関する。
【背景技術】
【0002】
挾持具の使用形態を見ると、例えば、シーツや毛布等の長尺干し物を干す場合、二つ折りにして物干し竿に掛けられた長尺干し物の中央折り曲げ部をそれの外側から物干し竿に挾持固定する機能と、地面と接触する可能性のある長尺干し物の両遊端部側をそれぞれU字状に折り返した状態で吊下げ支持する機能とが要求されている。
【0003】
この要望に対して、従来では、長尺干し物の中央折り曲げ部を物干し竿に挾持固定可能な挾持具の両挾持部材における挾持部の外側面に、外方に突出するフック部を形成するとともに、長尺干し物のU字状に折り返された遊端部を挾持保持可能な第2挾持具と、当該第2挾持具の挾持付勢手段である略C形のスプリングを係止保持する第1係止部及び前記各フック部に対して脱着自在に係止される第2係止部を備えた吊持用索状体とからなる補助吊下げ具を設けている(特許文献1参照)。
【0004】
また、前記挾持具のフック部を横外方への張り出し量の大きなアーム部に構成するとともに、前記補助吊下げ具の吊持用索状体をアーム部先端に係止されるチェーンから構成したものも提案されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−135399号公報
【特許文献2】特開2004−267658号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来では、長尺干し物の中央折り部を物干し竿に挾持固定する挾持具以外に、長尺干し物のU字状に折り返された遊端部を挾持保持可能な第2挾持具と、この第2挾持具を挾持具の両挾持部に突出形成されたフック部又はアーム部に取り付けるための吊持用索状体又はチェーンとから構成される補助吊下げ具を準備する必要があり、この補助吊下げ具の部品点数の分だけ製造コストの高騰化を招来するとともに、取り扱いも不便であった。
【0007】
本発明は、上述の実状に鑑みて為されたものであって、その主たる課題は、部品点数の削減によって製造コストの低廉化を図りながら、シーツや毛布等の長尺干し物を干す場合の取り扱いも容易に行うことのできる挾持具を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による第1の特徴構成は、一対の挾持部材を挾持付勢手段に抗して揺動支点部周りで開き操作可能に構成してある挾持具であって、
前記両挾持部材の挾持部には、他の挾持具の挾持部材における操作摘み部に設けられた係合部又は被係合部と脱着可能な状態で係合して他の挾持具を同じ向き又はそれに近い向きの連結姿勢で係合保持する被係合部又は係合部が設けられているとともに、前記両挾持部材の操作摘み部には、他の挾持具の挾持部材における挾持部に設けられている被係合部又は係合部と脱着可能な状態で係合して他の挾持具と同じ向き又はそれに近い向きの連結姿勢で係合保持される係合部又は被係合部が設けられている点にある。
【0009】
上記構成によれば、一つの挾持具における一方の挾持部材の挾持部に設けた被係合部又は係合部に、他の挾持具における一方の挾持部材の操作摘み部に設けた係合部又は被係合部を係合することにより、同じ向き又はそれに近い向きの連結姿勢で係合保持されている二個の挾持具をもって、シーツや毛布等の長尺干し物をN字状の三つ折り状態で物干し竿に簡便に干すことができる。
【0010】
このとき、長尺干し物の遊端部側の持ち上げ代を小さくしたい場合には、連結された二個の挾持具のうち、上側の挾持具で長尺干し物の上側折り曲げ部をそれの外側から物干し竿に挾持固定するとともに、下側の挾持具で長尺干し物のU字状に折り返された遊端部を挾持保持する。
【0011】
これとは逆に、長尺干し物の遊端部側の持ち上げ代を大きくしたい場合には、連結された二個の挾持具のうち、下側の挾持具で長尺干し物の上側折り曲げ部をそれの外側から物干し竿に挾持固定するとともに、上側の挾持具で長尺干し物のU字状に折り返された遊端部を挾持保持する。
【0012】
また、一つの挾持具における両挾持部材の挾持部に設けた被係合部又は係合部の各々に、他の二つの挾持具における一方の挾持部材の操作摘み部に設けた係合部又は被係合部を係合することにより、同じ向き又はそれに近い向きの連結姿勢で係合保持されている三個の挾持具をもって、シーツや毛布等の長尺干し物をW字状の四つ折り状態で物干し竿に簡便に干すことができる。
【0013】
さらに、前記挾持具の連結数を四個以上に増設することにより、横方向及び上下方向での挾持間隔を調節することができる。
【0014】
したがって、同一構造の挾持具の連結数を調節するだけであるから、部品点数の削減によって製造コストの低廉化を図りながら、長尺干し物を干す場合の取り扱いの容易化を図ることができる。
【0015】
本発明による第2の特徴構成は、前記係合部と被係合部とが、前記両挾持具の相対移動操作により他の挾持具の被係合部又は係合部と係合された連結状態と他の挾持具の被係合部又は係合部との係合が解除された連結解除状態とに切り替え可能に構成されている点にある。
【0016】
上記構成によれば、前記両挾持具を相対移動操作するだけで、両挾持具の係合部と被係合部とを連結状態と連結解除状態とに簡単に切り替えることができる。
【0017】
本発明による第3の特徴構成は、前記両挾持部材の挾持部には、他の挾持具の操作摘み部との当接又は係合によって両挾持具を設定連結姿勢に保持する連結姿勢保持手段が設けられている点にある。
【0018】
上記構成によれば、前記一方の挾持具における挾持部材の挾持部に設けた被係合部又は係合部に、他方の挾持具における挾持部材の操作摘み部に設けた係合部又は被係合部を係合したとき、一方の挾持具の挾持部に設けられた連結姿勢保持手段が他方の挾持具の操作摘み部と当接又は係合して、両挾持具を設定連結姿勢に確実に保持することができるから、長尺干し物を干す場合の取り扱いの容易化を図ることができる。
【0019】
本発明による第4の特徴構成は、前記連結姿勢保持手段が、前記挾持部材の長手方向の複数位置で他の挾持具の操作摘み部を選択的に係合保持可能に構成されている点にある。
【0020】
上記構成によれば、前記両挾持具の係合部と被係合部とが係合されている状態で、前記連結姿勢保持手段と他の挾持具の操作摘み部との係合位置を挾持部材の長手方向の複数位置で選択することにより、両挾持具の水平方向での挾持間隔を変更することができる。
【0021】
本発明による第5の特徴構成は、前記係合部が、前記挾持部材から外方に突出する突出姿勢と挾持部材側に引退させた格納姿勢とに切り替え可能な係合体から構成されているとともに、前記被係合部が、突出姿勢にある係合体が係脱可能な係合孔から構成されている点にある。
【0022】
上記構成によれば、両挾持具を連結する場合には、一方の挾持具に設けられている係合体を外方に突出する突出姿勢に切り換えて、他方の挾持具の係合孔に確実に係合させることができるように構成しながらも、非連結時には、不要となる係合体を挾持部材側に引退させた状態でコンパクトに格納することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1実施形態を示すピンチの正面図
【図2】ピンチの側面図
【図3】ピンチの断面図
【図4】挾持部材の左側面図(a)と正面図(b)と右側面図(c)
【図5】図4(c)におけるV−V線断面図
【図6】挾持部材の上端側の要部の平面図
【図7】図4(c)におけるVII−VII線断面図
【図8】ピンチの両挾持部の係合孔における下側連結位置に他の二つのピンチを連結したときの断面図
【図9】ピンチの両挾持部の係合孔における上側連結位置に他の二つのピンチを連結したときの断面図
【図10】本発明の第2実施形態を示すピンチの正面図
【図11】ピンチの側面図
【図12】要部の斜視図
【図13】係合解除時の要部の拡大断面図(a)と係合時の要部の拡大断面図(b)
【図14】本発明の第3実施形態を示すピンチの正面図
【図15】挾持部材の斜視図
【図16】二つのピンチを係合連結したときの断面図
【図17】本発明の第4実施形態を示すピンチの正面図
【図18】挾持部材の斜視図
【図19】二つのピンチを係合連結したときの断面図
【図20】本発明の第5実施形態を示すピンチの正面図
【図21】挾持部材の斜視図
【図22】二つのピンチを係合連結したときの断面図
【発明を実施するための形態】
【0024】
〔第1実施形態〕
図1〜図9は、一対の挾持部材Aを挾持付勢手段Bに抗して揺動支点部C周りで開き操作可能に構成してある挾持具の一例で、シーツや毛布等の長尺干し物を干す場合に有用なピンチPを示す。
【0025】
このピンチPの両挾持部材Aの挾持部A1には、他の同一構造のピンチPの挾持部材Aにおける操作摘み部A3に設けられた係合部20と脱着可能な状態で係合して他の同一構造のピンチPを同じ向き又はそれに近い向きの連結姿勢で係合保持する被係合部21が設けられているとともに、両挾持部材Aの操作摘み部A3には、他の同一構造のピンチPの挾持部材Aにおける挾持部A1に設けられている被係合部21と脱着可能な状態で係合して他の同一構造のピンチPと同じ向き又はそれに近い向きの連結姿勢で係合保持される係合部20が設けられている。
【0026】
前記一対の挾持部材Aは、合成樹脂で成形された同一構造のものを向かい合わせにして正面視で変形「A」の字状に組み合わせて構成されている。
【0027】
前記各挾持部材Aは、横断面形状が「コ」の字状に構成されているとともに、弧状に彎曲する挾持部A1と、揺動支点部Cを備えた中央支点部A2と、当該中央支点部A2に対して外拡がりの傾斜姿勢で連続する操作摘み部A3とを主要構成として備えている。
【0028】
前記挾持部A1には、図1〜図5に示すように、干し物を挾持保持可能な先端側の直線状挾持面1と、物干し竿を径方向外方から挾持可能な大径の第1弧状挾持面2と、物干しロープを径方向外方から挾持可能な小径の第2弧状挾持面3とが形成されているとともに、直線状挾持面1には、干し物を凹凸状に挾持する抜け落ち防止用の複数の挾持突起4が、相手側の挾持部材Aの直線状挾持面1に形成される挾持突起4と位置齟齬する配置で一体形成されている。
【0029】
前記挾持部材Aの両側板部5のうち、中央支点部A2における一方の側板部分には、図4、図5に示すように、両挾持部材Aの揺動中心周りの半円状の揺動ガイド凸面6aを備えた第1揺動支点板部6が一体形成されているとともに、中央支点部A2における他方の側板部分には、相手側の挾持部材Aの中央支点部A2における一方の側板部分に形成された第1揺動支点板部6の揺動ガイド凸面6aと相対揺動自在に嵌合する半円状の揺動ガイド凹面7が形成されている。
【0030】
また、前記挾持部材Aの両側板部5に連続する外面板部8のうち、中央支点部A2における外面板部分の内面には、揺動ガイド凹面7と同じ曲率形状の揺動ガイド溝9aを備えた支点凸部9が内方側に突出形成されている。
【0031】
前記支点凸部9の揺動ガイド溝9aのうち、第1揺動支点板部6に小間隔をおいて近接する長手方向の一端部側には、第1揺動支点板部6と同一形状の第2揺動支点板部10が一体形成されているとともに、揺動ガイド溝9aの長手方向の他端部には、相手側の挾持部材Aの中央支点部A2に形成されている第1揺動支点板部6及び第2揺動支点板部10間に入り込んで両挾持部材Aの揺動軸芯方向でのずれ移動を規制する第1揺動支点板部6と同一構造の第3揺動支点板部11が一体形成されている。
【0032】
前記第2揺動支点板部10及び第3揺動支点板部11の各先端には、相手側の挾持部材Aの中央支点部A2における支点凸部9の揺動ガイド溝9aに嵌合する半円状の揺動ガイド凸面10a、11aが形成されている。
【0033】
そして、前記揺動ガイド凸面6aを備えた第1揺動支点板部6と、揺動ガイド凸面10aを備えた第2揺動支点板部10と、揺動ガイド凸面11aを備えた第3揺動支点板部11と、揺動ガイド凹面7と、揺動ガイド溝9aを備えた支点凸部9とから前記揺動支点部Cが構成されている。
【0034】
前記挾持付勢手段Bは、図3、図4に示すように、バネ線材を「C」の字状に折り曲げた二つのバネ12を主要構成として備えるとともに、両挾持部材Aの外面板部8における挾持部A1側の幅方向二箇所には、各バネ12の両端部を係合保持するバネ受け凹部13を形成するとともに、両挾持部材Aの外面板部8における操作摘み部A3側の幅方向二箇所には、両挾持部材Aのバネ受け凹部13にわたって掛け止められる各バネ12の中間部分を挿通させるための貫通孔14を形成して構成されている。
【0035】
前記両挾持部材Aの外面板部8における操作摘み部A3の外面には、複数の滑り止め突条15が形成されている。
【0036】
前記係合部20は、図1〜図7に示すように、両挾持部材Aの操作摘み部A3の端部側内面に形成された係合凹部22に対して脱着可能に嵌合装着される揺動支点軸部20aと、両挾持部材Aの外面板部8における挾持部A1側の幅方向中央位置に形成された被係合部21の一例である長孔状の第1係合孔21Aに対して係脱自在な係合軸部20b、及び、これら両軸部20a,20bを略H字状に繋ぐ繋ぎ軸部20cとを合成樹脂にて一体成形してなる第1係合体20Aから構成されている。
【0037】
前記係合凹部22は、図3〜図5に示すように、両挾持部材Aの両側板部5及び外面板部8における操作摘み部A3側の内面に、操作摘み部A3の端板部23との対向面間に前記第1係合体20Aの揺動支点軸部20aが係入可能な間隔をおいて仕切り壁24を一体成形し、この仕切り壁24と操作摘み部A3の端板部23との対向面に、第1係合体20Aの揺動支点軸部20aの嵌入操作を許容する状態で抜止め保持する抜止め突起25が一体形成されている。
【0038】
前記操作摘み部A3の端板部23には、図4、図6に示すように、係合凹部22に嵌合装着された第1係合体20Aの揺動支点軸部20a周りでの外方への突出揺動を許容する切欠き部23aが形成され、この切欠き部23aの内面には、突出姿勢にある第1係合体20Aの繋ぎ軸部20cと接触して、第1係合体20Aが挾持部材Aの内面側に引退させた格納姿勢へ揺動操作されるときに抵抗を付与する抵抗付与手段としての小突起26が形成されている。
【0039】
前記仕切り壁24には、図4、図6に示すように、係合凹部22に嵌合装着された第1係合体20Aの揺動支点軸部20a周りでの内方への格納揺動を許容する切欠き部24aが形成され、この切欠き部24aの内面には、格納姿勢にある第1係合体20Aの繋ぎ軸部20cと接触して、第1係合体20Aが突出姿勢へ揺動操作されるときに抵抗を付与する抵抗付与手段としての小突起27が形成されている。
【0040】
前記両挾持部材Aの両側板部5と外面板部8及び支点凸部9と仕切り壁24とで区画形成される内側空間Sが、前記第1係合体20Aを格納姿勢で格納するための格納空間に構成されている。
【0041】
前記両挾持部材Aの外面板部8における内側空間S側の内面には、図3、図4に示すように、格納姿勢にある第1係合体20Aの繋ぎ軸部20cと当接して、第1係合体20Aの係合軸部20bと外面板部8の内面との間に持ち上げ用の操作空間を形成する突起28が形成されている。
【0042】
前記第1係合体20Aの係合軸部20bは「D」字状の横断面形状に構成され、当該係合軸部20bの外側部位に、格納姿勢にある第1係合体20Aの繋ぎ軸部20cを引き起こし操作するときの偏平な指当て面20kが形成されている。
【0043】
前記第1係合孔21Aは、図3〜図5に示すように、挾持部材Aの長手方向に沿う長孔に形成されているため、ピンチP同士を連結する場合、両挾持部材Aの両側板部5が鉛直方向に沿う姿勢にある一方のピンチPに対して、他方のピンチPを、それの両挾持部材Aの両側板部5が水平方向となる直交横向き姿勢に姿勢変更して、一方のピンチPの第1係合孔21Aに他方のピンチPの第1係合体20Aの係合軸部20bを係入し、この状態で他方のピンチPをそれの両挾持部材Aの直線状挾持面1が下方に位置する状態に90度回転させることにより、一方のピンチPの第1係合孔21Aの内面側開口周縁に他方のピンチPの第1係合体20Aの係合軸部20bが抜止め係合され、両ピンチPが同じ向き姿勢又はそれに近い向き姿勢で連結される。
【0044】
前記両挾持部材Aの挾持部A1には、図1〜図5、図8、図9に示すように、他の同一構造のピンチPの操作摘み部A3における先端角部29との係合によって両ピンチPを複数の設定連結位置で選択的に安定良く確実に保持する連結姿勢保持手段Dが設けられている。
【0045】
この連結姿勢保持手段Dを構成するに、両挾持部材Aの外面板部8の外面における挾持部A1側の長手方向複数箇所(当該実施形態では二箇所)には、一方のピンチPの第1係合孔21Aに他方のピンチPの第1係合体20Aの係合軸部20bが係合されている状態で、他方のピンチPにおける操作摘み部A3側の先端角部29が複数の設定連結位置で選択的に係合可能な係合溝部30が形成されているとともに、両挾持部材Aの外面板部8の内面における挾持部A1側の長手方向複数箇所(当該実施形態では二箇所)には、他方のピンチPの第1係合体20Aの係合軸部20bが複数の設定連結位置で選択的に係合するリブ状の位置決め係止部31が形成されている。
【0046】
そして、図8に示すように、前記連結姿勢保持手段Dの下側の係合溝部30に他方のピンチPにおける操作摘み部A3側の先端角部29が係合するとき、下側の位置決め係止部31に他方のピンチPの第1係合体20Aの係合軸部20bが係合して、他方のピンチPの自重及びこれに挾持保持される干し物の重量に抗して、両ピンチPを下側の設定連結位置で確実に連結保持することができる。
【0047】
また、図9に示すように、前記連結姿勢保持手段Dの上側の係合溝部30に他方のピンチPにおける操作摘み部A3側の先端角部29が係合するとき、上側の位置決め係止部31に他方のピンチPの第1係合体20Aの係合軸部20bが係合して、他方のピンチPの自重及びこれに挾持保持される干し物の重量に抗して、両ピンチPを上側の設定連結位置で確実に連結保持することができる。
【0048】
前記両挾持部材Aの外面板部8の外面における挾持部A1側は弧状に彎曲しているため、図8に示すように、両ピンチPが下側の設定連結位置で連結された場合には、両ピンチPの中心が鉛直方向に沿って平行となる略同じ向きの連結姿勢となり、また、図9に示すように、両ピンチPが上側の設定連結位置で連結された場合には、他方のピンチPの中心が外方に向く傾斜方向となり、両ピンチPが近い向きの連結姿勢で連結される。
【0049】
〔第2実施形態〕
図10〜図13は、ピンチP同志を一つの設定連結姿勢でのみ連結可能に構成した別の実施形態を示す。具体的には、ピンチPの両挾持部材Aの挾持部A1に、他の同一構造のピンチPの挾持部材Aにおける操作摘み部A3に設けられた被係合部21と脱着可能な状態で係合して他の同一構造のピンチPを同じ向き又はそれに近い向きの連結姿勢で係合保持する係合部20が設けられているとともに、両挾持部材Aの操作摘み部A3には、他の同一構造のピンチPの挾持部材Aにおける挾持部A1に設けられている係合部20と脱着可能な状態で係合して他の同一構造のピンチPと同じ向き又はそれに近い向きの連結姿勢で係合保持される被係合部21が設けられている。
【0050】
前記両挾持部材Aの外面板部8の外面における挾持部A1側部位には、係合部20を他の同一構造のピンチPの挾持部材Aにおける操作摘み部A3に設けられた被係合部21に係合させた状態において、他の同一構造のピンチPの操作摘み部A3における外側面との接当によって両ピンチPを同じ向きの一つの設定連結姿勢に規制する姿勢規制面35aを備えた台座部35が一体的に突出形成されている。
【0051】
前記係合部20は、台座部35の姿勢規制面35aから突出形成された筒状係止部20dのうち、挾持部材Aの外面板部8における操作摘み部A3での板厚よりも若干大なる間隔を隔てた先端部側の周方向二箇所に径方向外方に突出する係合突起20eを形成してなる第2係合体20Bから構成されているとともに、この第2係合体20Bの両係合突起20eを結ぶ線分が挾持部材Aの長手方向となる向き姿勢に構成されている。
【0052】
前記被係合部21は、第2係合体20Bの両係合突起20eの係脱操作を許容する状態で当該第2係合体20Bの先端輪郭形状と相似形に形成された第2係合孔21Bから構成され、前記第2係合体20Bとは向き姿勢を90度異ならした状態で挾持部材Aにおける操作摘み部A3に貫通形成されている。
【0053】
そのため、ピンチP同士を連結する場合、両挾持部材Aの両側板部5が鉛直方向に沿う姿勢にある一方のピンチPに対して、他方のピンチPをそれの両挾持部材Aの両側板部5が水平方向となる直交横向き姿勢に姿勢変更して、図13(a)に示すように、一方のピンチPの第2係合体20Bに対して他方のピンチPの第2係合孔21Bを嵌合し、この嵌合状態で他方のピンチPをそれの両挾持部材Aの直線状挾持面1が下方に位置する状態にまで90度回転操作することにより、図13(b)に示すように、他方のピンチPの第2係合孔21Bの内面側周縁が一方のピンチPの第2係合体20Bの両係合突起20eに抜止め係合され、両ピンチPが同じ向き姿勢で連結される。
【0054】
また、図13に示すように、前記両挾持部材Aの外面板部8における操作摘み部A3側の内面には、第2係合孔21Bに係入された他のピンチPの第2係合体20Bの脱着操作位置から係合連結操作位置への回動又は係合連結操作位置から脱着操作位置への回動に抵抗を付与する抵抗付与手段としての小突起36が形成されている。
尚、その他の構成は、第1実施形態で説明した構成と同一であるから、同一の構成箇所には、第1実施形態と同一の番号を付記してそれの説明は省略する。
【0055】
〔第3実施形態〕
図14〜図16は、上述の第2実施形態の変形例を示し、この第3実施形態では、前記係合部20が、台座部35の姿勢規制面35aから突出形成された略L字状の第3係合体20Cから構成されている。
【0056】
また、前記被係合部21は、両挾持部材Aの外面板部8における操作摘み部A3側の端部に形成したU字状切欠き部21aに係止棒21bを横架して形成される第3係合孔21Cから構成されている。
【0057】
そのため、この第3実施形態においては、ピンチP同士の連結操作方法として複数の操作方法が存在するが、その一例を示すと、両ピンチPを略同じ向き姿勢で相対近接移動して、一方のピンチPの第3係合体20Cに対して他方のピンチPの第3係合孔21Cの係止棒21bを係合することにより、両ピンチPを同じ向き姿勢で連結することができる。
【0058】
前記両挾持部材Aの外面板部8における操作摘み部A3側の外面には、複数条の滑り止め溝37が形成されているとともに、台座部35の姿勢規制面35aには、第3係合体20Cの係合受け面20fに対して他方のピンチPにおける第3係合孔21Cの係止棒21bが係合されたとき、操作摘み部A3の先端側の滑り止め溝37が係合する係合凸部38が形成されている。
【0059】
前記第3係合体20Cと他方のピンチPにおける第3係合孔21Cの係止棒21bとが係合状態に維持されている範囲内において、他方のピンチPにおける操作摘み部A3の先端から二番目の滑り止め溝37を台座部35の姿勢規制面35aに形成されている係合凸部38に係合させることにより、第3係合体20Cの係合受け面20fに対して他方のピンチPにおける第3係合孔21Cの係止棒21bが少し上方に離間した連結姿勢でも両ピンチP同志を連結可能に構成されている。
【0060】
尚、その他の構成は、第1実施形態で説明した構成と同一であるから、同一の構成箇所には、第1実施形態と同一の番号を付記してそれの説明は省略する。
【0061】
〔第4実施形態〕
図17〜図19は、ピンチP同志を一つの設定連結姿勢でのみ連結可能に構成した別の実施形態を示す。具体的には、ピンチPの両挾持部材Aの挾持部A1に、他の同一構造のピンチPの挾持部材Aにおける操作摘み部A3に設けられている係合部20と脱着可能な状態で係合して他の同一構造のピンチPを同じ向き又はそれに近い向きの連結姿勢で係合保持する被係合部21が設けられているとともに、両挾持部材Aの操作摘み部A3には、他の同一構造のピンチPの挾持部材Aにおける挾持部A1に設けられている被係合部21と脱着可能な状態で係合して他の同一構造のピンチPと同じ向き又はそれに近い向きの連結姿勢で係合保持される係合部20が設けられている。
【0062】
前記係合部20は、両挾持部材Aの外面板部8の外面における操作摘み部A3側部位に、水平断面視で略「T」字形で、且つ、正面視において倒立「L」字状の第4係合部20Dを突出形成して構成されている。
【0063】
この第4係合部20Dは、挾持部材Aの外面板部8に一体形成される正面視において倒立「L」字状の板状係止片20gと、当該板状係止片20gの内側面の幅方向中央位置とこれに対面する外面板部8の操作摘み部A3側部位とにわたって一体形成される中央補強片20hとから構成されている。
【0064】
前記被係合部21は、両挾持部材Aの外面板部8の外面における挾持部A1側部位に一体形成された外方に張り出す膨出部39に、他の同一構造のピンチPにおける操作摘み部A3側の部位に形成されている第4係合部20Dが着脱自在に係合する第4係合孔21Dを形成して構成されている。
【0065】
前記第4係合孔21Dは、これに対して他のピンチPの第4係合部20Dを操作摘み部A3側から挾持部A1側に近接移動させて係合させるとき、第4係合部20Dの板状係止片20gが係入する横向き係合孔部21cと、第4係合部20Dの中央補強片20hが係入する縦向き係合孔部21dとを連通形成して構成されている。
【0066】
前記膨出部39の外面は、第4係合孔21Dと他のピンチPの第4係合部20Dとを係合させた状態において、他のピンチPの操作摘み部A3における外側面との接当によって両ピンチPを同じ向きの一つの設定連結姿勢に規制する姿勢規制面39aに構成されている。
【0067】
尚、その他の構成は、第1実施形態で説明した構成と同一であるから、同一の構成箇所には、第1実施形態と同一の番号を付記してそれの説明は省略する。
【0068】
〔第5実施形態〕
図20〜図22は、上述の第4実施形態の変形例を示し、この実施形態では、ピンチPの両挾持部材Aの挾持部A1に、他の同一構造のピンチPの挾持部材Aにおける操作摘み部A3に設けられている被係合部21と脱着可能な状態で係合して他の同一構造のピンチPを同じ向き又はそれに近い向きの連結姿勢で係合保持する係合部20が設けられているとともに、両挾持部材Aの操作摘み部A3には、他の同一構造のピンチPの挾持部材Aにおける挾持部A1に設けられている係合部20と脱着可能な状態で係合して他の同一構造のピンチPと同じ向き又はそれに近い向きの連結姿勢で係合保持される被係合部21が設けられている。
【0069】
前記係合部20は、両挾持部材Aの外面板部8の外面における挾持部A1側部位に一体形成された外方に張り出す膨出部39に、水平断面視で略「T」字形で、且つ、正面視において「L」字状の第5係合部20Eを突出形成して構成されている。
【0070】
この第5係合部20Eは、挾持部材Aの外面板部8に一体形成される正面視においてL字状の板状係止片20iと、当該板状係止片20iの内側面の幅方向中央位置とこれに対面する外面板部8の挾持部A1側部位とにわたって一体形成される中央補強片20jとから構成されている。
【0071】
前記被係合部21は、両挾持部材Aの外面板部8の外面における操作摘み部A3側部位に、他の同一構造のピンチPにおける挾持部A1側の部位に形成されている第5係合部20Eが着脱自在に係合する第5係合孔21Eを形成して構成されている。
【0072】
前記第5係合孔21Eは、これに対して他のピンチPの第5係合部20Eを挾持部A1側から操作摘み部A3側に近接移動させて係合させたとき、第5係合部20Eの板状係止片20iが係入する横向き係合孔部21eと、第5係合部20Eの中央補強片20jが係入する縦向き係合孔部21fとを連通形成して構成されている。
【0073】
前記膨出部39の外面は、第5係合部20Eと他のピンチPの第5係合孔21Eとを係合させた状態において、他のピンチPの操作摘み部A3における外側面との接当によって両ピンチPを同じ向きの一つの設定連結姿勢に規制する姿勢規制面39aに形成されている。
【0074】
尚、その他の構成は、第1実施形態で説明した構成と同一であるから、同一の構成箇所には、第1実施形態と同一の番号を付記してそれの説明は省略する。
【0075】
〔その他の実施形態〕
(1)上述の各実施形態では、前記挾持付勢手段Bの主要構成を、バネ線材を「C」の字状に折り曲げた二つのバネ12から構成したが、一つのバネ12から構成してもよく、さらに、捻じりコイルバネ等の他のバネから構成してもよい。
【0076】
(2)前記両挾持部材Aの挾持部A1に設けられる被係合部21又は係合部20と操作摘み部A3に設けられる係合部20又は被係合部21は、両挾持具P同士を同じ向き又はそれに近い向きの連結姿勢で係合連結することのできるものであれば如何なる係合構造に構成してもよい。
【0077】
(3)前記連結姿勢保持手段Dとしては、一方の挾持具Pの被係合部21又は係合部20と他方の挾持具Pの係合部20又は被係合部21とが係合されている状態において、他の挾持具Pの操作摘み部A3との面接触や線接触等の接当によって両挾持具Pを一つ又は複数の設定連結姿勢に保持する構成であってもよく、また、他の挾持具Pの操作摘み部A3との係合によって両挾持具Pを一つの設定連結姿勢に保持する構成であってもよく、さらに、他の挾持具Pの操作摘み部A3との複数位置での選択的係合によって両挾持具Pを複数の設定連結姿勢で保持する構成であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0078】
以上説明したように、部品点数の削減によって製造コストの低廉化を図りながら、シーツや毛布等の長尺干し物を干す場合の取り扱いも容易に行うことができる挾持武具を提供することができる。
【符号の説明】
【0079】
P 挾持具(ピンチ)
A 挾持部材
A1 挾持部
A3 操作摘み部
B 挾持付勢手段
C 揺動支点部
D 連結姿勢保持部
20 係合部
20A 係合体(第1係合体)
20B 係合体(第2係合体)
20C 係合体(第3係合体)
20D 係合体(第4係合体)
20E 係合体(第5係合体)
21 被係合部
21A 係合孔(第1係合孔)
21B 係合孔(第2係合孔)
21C 係合孔(第3係合孔)
21D 係合孔(第4係合孔)
21E 係合孔(第5係合孔)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の挾持部材を挾持付勢手段に抗して揺動支点部周りで開き操作可能に構成してある挾持具であって、
前記両挾持部材の挾持部には、他の挾持具の挾持部材における操作摘み部に設けられた係合部又は被係合部と脱着可能な状態で係合して他の挾持具を同じ向き又はそれに近い向きの連結姿勢で係合保持する被係合部又は係合部が設けられているとともに、前記両挾持部材の操作摘み部には、他の挾持具の挾持部材における挾持部に設けられている被係合部又は係合部と脱着可能な状態で係合して他の挾持具と同じ向き又はそれに近い向きの連結姿勢で係合保持される係合部又は被係合部が設けられている挾持具。
【請求項2】
前記係合部と被係合部とが、前記両挾持具の相対移動操作により他の挾持具の被係合部又は係合部と係合された連結状態と他の挾持具の被係合部又は係合部との係合が解除された連結解除状態とに切り替え可能に構成されている請求項1記載の挾持具。
【請求項3】
前記両挾持部材の挾持部には、他の挾持具の操作摘み部との当接又は係合によって両挾持具を設定連結姿勢に保持する連結姿勢保持手段が設けられている請求項1又は2記載の挾持具。
【請求項4】
前記連結姿勢保持手段が、前記挾持部材の長手方向の複数の連結位置で他の挾持具の操作摘み部を選択的に係合保持可能に構成されている請求項3記載の挾持具。
【請求項5】
前記係合部が、前記挾持部材から外方に突出する突出姿勢と挾持部材側に引退させた格納姿勢とに切り替え可能な係合体から構成されているとともに、前記被係合部が、突出姿勢にある係合体が係脱可能な係合孔から構成されている請求項1〜4のいずれか1項に記載の挾持具。
【請求項1】
一対の挾持部材を挾持付勢手段に抗して揺動支点部周りで開き操作可能に構成してある挾持具であって、
前記両挾持部材の挾持部には、他の挾持具の挾持部材における操作摘み部に設けられた係合部又は被係合部と脱着可能な状態で係合して他の挾持具を同じ向き又はそれに近い向きの連結姿勢で係合保持する被係合部又は係合部が設けられているとともに、前記両挾持部材の操作摘み部には、他の挾持具の挾持部材における挾持部に設けられている被係合部又は係合部と脱着可能な状態で係合して他の挾持具と同じ向き又はそれに近い向きの連結姿勢で係合保持される係合部又は被係合部が設けられている挾持具。
【請求項2】
前記係合部と被係合部とが、前記両挾持具の相対移動操作により他の挾持具の被係合部又は係合部と係合された連結状態と他の挾持具の被係合部又は係合部との係合が解除された連結解除状態とに切り替え可能に構成されている請求項1記載の挾持具。
【請求項3】
前記両挾持部材の挾持部には、他の挾持具の操作摘み部との当接又は係合によって両挾持具を設定連結姿勢に保持する連結姿勢保持手段が設けられている請求項1又は2記載の挾持具。
【請求項4】
前記連結姿勢保持手段が、前記挾持部材の長手方向の複数の連結位置で他の挾持具の操作摘み部を選択的に係合保持可能に構成されている請求項3記載の挾持具。
【請求項5】
前記係合部が、前記挾持部材から外方に突出する突出姿勢と挾持部材側に引退させた格納姿勢とに切り替え可能な係合体から構成されているとともに、前記被係合部が、突出姿勢にある係合体が係脱可能な係合孔から構成されている請求項1〜4のいずれか1項に記載の挾持具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2013−52093(P2013−52093A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−191980(P2011−191980)
【出願日】平成23年9月2日(2011.9.2)
【出願人】(000100850)株式会社アイセン (33)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月2日(2011.9.2)
【出願人】(000100850)株式会社アイセン (33)
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