説明

捕獲ガンマ線熱量測定による中性子検出用の装置及び方法

本発明は、高中性子吸収性能を有する少なくとも一つの第一セクション(102)及び低中性子吸収性能を有する少なくとも一つの第二セクション(101)を備えた中性子、好ましくは熱中性子検出用装置に関し、第二セクションはガンマ線シンチレータを備え、ガンマ線シンチレータ物質は、第二セクション内部のエネルギーガンマ線に対する高ガンマ線阻止能を提供するために5MeVのエネルギーのガンマ線に対して10cm以下、好ましくは5cm以下の減衰長を有する無機物質を備え、第一セクションの物質は、主にガンマ線を介して中性子捕獲によって第一セクションに付与されるエネルギーを放出する物質の群から選択され、第二セクションが、第一セクションの大部分が第二セクションによって覆われるように第一セクションを取り囲み、第二セクションにおける光量を検出するために第二セクションに光学的に結合された評価デバイスを更に備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、間接検出用のガンマ線シンチレータを用いて、中性子放射、好ましくは熱(低速)中性子を検出するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
中性子検出用に利用可能な多様な方法及びデバイスにも関わらず、一般的なHeチューブが、高効率で安価な中性子計測を必要とする大抵の応用において未だ主流である。しかしながら、Heの不足が予測されていて、代替手段が必要とされている。
【0003】
そのような代替検出器は従来技術において知られている。非特許文献1によると、中性子を検出するのに用いられるありふれた反応は、荷電粒子放出を伴う反応である。より具体的には、検出用に考えられる反応生成物は、反跳核(大抵は陽子)、三重陽子、アルファ粒子、核分裂片である。他方、中性子捕獲反応によるガンマ線が、一部特殊な検出器において用いられるが、こうした応用は比較的稀である。
【0004】
ガンマ線シンチレータを用いた検出器が、Grodzinsの特許文献1に開示されている。Grodzinsは、入射光子に対して不透明で、二つの光ガイドに挟まれた中性子シンチレータを備えた検出器を開示していて、その光ガイドの一方も、ガンマ線シンチレータとして機能する。この検出器は、中性子捕獲による重荷電粒子放出も一般的に用いる。Grodzinsは、中性子捕獲物質としてLi、10B、113Cd、157Gdに言及している。これらは、ZnSシンチレーション成分と組み合わせて用いられて、荷電粒子がエネルギーを放出して、ZnS物質が、1kVのエネルギー損失毎に略50個の光子を放出して輝き、各中性子捕獲後に数十万の光量子がもたらされる。
【0005】
結果として、Grodzinsによって開示された検出器は、中性子シンチレータシートの両面に光量子を放出する。そして、検出器自体は、中性子シンチレータシートの両面に対する光検出を同時に測定する。このような同時測定は、中性子シンチレーションシートの中性子捕獲に対する特徴として見られる。ガンマ量子はガンマ線シンチレータのみによって阻止されて、他の光ガイドから光学的に分離されるので、この検出器はガンマ線を区別する。
【0006】
複雑な設定は別にして、Grodzinsの開示は、宇宙背景放射、及び、両方の光ガイド内への光放射を伴う他のエネルギー荷電粒子放射(中性子吸収物質内部でのシンチレーション又は光ガイド内のチェレンコフ光を生じさせ得る)に対して、中性子事象を区別することができないという欠点を有する。
【0007】
Grodzinsの開示の他の欠点は、中性子捕獲物質として113Cd又は157Gdを用いた場合における不十分な中性子‐ガンマ線の区別である。この場合、検出器は外部ガンマ線にも敏感である。中性子シンチレータにおいて外部ガンマ線を検出することによって生じるパルスは、中性子捕獲反応によって生じたガンマ線によるパルスと区別不能である。
【0008】
Reeder(非特許文献2)は、ガドリニウムオキシオルソシリケート(GSO)製の中性子検出器を提案していて、その中性子検出器は、GSOと同時に全ガンマ線吸収分光計として動作するプラスチックシンチレータによって取り囲まれている。プラスチックシンチレータは、エネルギーガンマ線に対する大きな減衰長によって区別されるので、提案されている全吸収分光計は、極めて不十分なものであるか、又は大量のプラスチックシンチレータを要するもののいずれかである。更なる欠点は、妥当な数の光検出器でプラスチック物質からの光を収集する際の難しさである。更に、大きなプラスチック層は、中性子束の一部を減速させるだけではなくて吸収して、中性子検出器の効率を低下させる。更なる欠点は、散乱ガンマ線とガンマ線検出器との相互作用を伴う中性子検出器内の外部源からのガンマ線のコンプトン散乱による背景放射を排除することができないことである。
【0009】
ガンマ線シンチレータを用いた他の中性子検出器がBellの特許文献2に開示されている。Bellは、中性子受感物質(好ましくはホウ素を有する)によって取り囲まれたガンマ線シンチレータを用いている。中性子捕獲反応は、中性子受感物質をアルファ粒子及びLiに分裂させて、リチウムイオンの第一励起状態が、478keVにおける単一のガンマ線の放射を介して減衰して、これがシンチレーション検出器によって検出される。同時に、Bellによって開示された検出器は、入射放射場に起因するガンマ線に敏感である。何故ならば、中性子受感物質がガンマ線に対するシールドとして機能していないからである。
【0010】
このような検出器の欠点の一つは、Liの第一励起状態の減衰による単一のガンマ線が、多数の他のガンマ線が存在しているエネルギー領域内に存在していることである。従って、少なくとも妥当な結果を得るために、この単一の減衰を非常に正確に測定する必要があり、技術的複雑性及び関連するコストが実質的に増大する。更に、Bellによって開示された検出器で、荷電粒子放射(例えば、宇宙由来のもの)を区別することは不可能ではないにしろ困難である。
【0011】
まとめると、体積当たりの中性子検出効率、コスト当たりの中性子検出効率、ガンマ線抑制因子、単純性、並びに検出器物質の耐久性及び可用性等の決定的パラメータを同時に考慮した場合に、既知の中性子検出器のコンセプトは、Heチューブに匹敵するものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第7525101号明細書
【特許文献2】米国特許第6011266号明細書
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】Knoll著、“Radiation Detection and Measurement”、第3版、2000年、p.506
【非特許文献2】Reeder、Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A、第340巻、1994年、p.371
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
従って、本発明の目的は、従来技術の欠点を克服して、中性子検出の高い信頼性及び単純な設定を有する効率的な中性子検出器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この課題は、高中性子吸収性能を有する少なくとも一つの第一セクション及び低中性子吸収性能を有する少なくとも一つの第二セクションを備えた、中性子放射、好ましくは熱中性子を検出するための装置によって解決され、その第二セクションはガンマ線シンチレータを備え、そのガンマ線シンチレータの物質は、第二セクション内部のエネルギーガンマ線に対する高ガンマ線阻止能を提供するために5MeVのエネルギーのガンマ線に対して10cm以下、好ましくは5cm以下の減衰長を有する無機物質を備える。第一セクションの物質は、主にガンマ線を介した中性子捕獲によって第一セクションに付与されるエネルギーを放出する物質の群から選択され、第二セクションは、第一セクションの大部分が第二セクションによって覆われるように第一セクションを取り囲んでいる。本装置は、第二セクションにおける光量を検出するために第二セクションに光学的に結合された光検出器と、その光検出器に結合された評価デバイスとを更に備える。そのデバイスは、一つのシンチレーション事象に対して光検出器によって検出される光量を求めることができ、その光量は、第二セクションにおいてガンマ線によって付与されたエネルギーと既知の関係にある。評価デバイスは、測定された合計ガンマ線エネルギーEsumが2.614MeV以上の場合に検出された放射を中性子と分類するように構成される。評価デバイスは、測定された合計ガンマ線エネルギーが所定の閾値以下、好ましくは10MeV以下の場合に、検出された放射を中性子として分類するように更に構成され得る。
【0016】
第一セクションは、好ましくは、カドミウム(Cd)、サマリウム(Sm)、ジスプロシウム(Dy)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、イリジウム(Ir)、インジウム(In)、又は水銀(Hg)を備えていて、第二セクションは、好ましくは、タングステン酸鉛(PWO)、タングステン酸カルシウム(CaWO)、ゲルマン酸ビスマス(BGO)、ヨウ化ナトリウム(NaI)、ヨウ化セシウム(CsI)、フッ化バリウム(BaF)、フッ化鉛(PbF)、フッ化セリウム(CeF)、フッ化カルシウム(CaF)、又は発光(scintillating)ガラス物質を備えている。
【0017】
更なる実施形態では、第二セクションは、半球(2π)以上が第二セクションによって覆われるように、第一セクションを取り囲んでいる。
【0018】
第一セクションが中性子シンチレータを備えることが特に好ましく、その中性子シンチレータは、最大少なくとも100keV、好ましくは最大少なくとも500keVのガンマ線エネルギーを十分な効率で測定するのに十分なガンマ線捕獲断面積を有するように選択されることが好ましい。
【0019】
また、評価デバイスが、少なくとも一つのガンマ線事象が中性子シンチレータによって測定された場合に、検出された放射を中性子として分類するように更に構成されることが有利である。第一セクションにおける信号が、所定の閾値以上の測定されたエネルギーを有さない場合に、更なる改善が達成可能である。この閾値は、第一セクションのシンチレータの厚さd(cm単位)を測定して、その厚さにシンチレータ物質の密度(g/cm単位)及びそのシンチレータにおける最小電離粒子のエネルギー損失(MeV/(g/cm)単位)をかけることによって、そのシンチレータにおいて距離dに及ぶ最小電離粒子のエネルギー付与に対応するエネルギーEmin(MeV単位)を求めることによって、求められる。そして、その閾値はそのエネルギー以下に設定される。
【0020】
更に他の実施形態では、光検出器は、ガンマ線シンチレータ及び中性子シンチレータの光が両方ともその同じ光検出器に向けて伝播するように取り付けられる。好ましくは、中性子シンチレータ及びガンマ線シンチレータ用の物質は、放出光が異なるタイミング特性を有するような、例えば光が異なる減衰時間で放出されるような群から選択される。そして、評価デバイスは、個々のシンチレータによって放出された異なる特性を有する光を、両方のシンチレータの光成分を備えた単一の光検出器信号から区別することができるように構成される。中性子シンチレータ及びガンマ線シンチレータ用の物質は、同様の放出波長及び同様の光屈折率を有するような群から更に選択され得る。更に、第一セクション及び第二セクションは、第二セクションが第一セクションによって少なくとも二つの部分に分割されるように、共通の光検出器に取り付けられた一つの検出器内に共に配置され得て、第二セクションの一部分のみが光検出器に光学的に結合される。
【0021】
第一セクションの物質がタングステン酸カドミウム(CWO)を備え第二セクションの物質がタングステン酸鉛(PWO)を備えるか、又は、第一セクションの物質がガドリニウムオキシオルソシリケート(GSO)ベースの物質を備え第二セクションの物質がヨウ化ナトリウム(NaI)又はヨウ化セシウム(CsI)ベースのシンチレータを備えることが有利である。
【0022】
更に他の実施形態では、第二セクションは少なくとも三つのガンマ線シンチレータを備え得て、各ガンマ線シンチレータが、異なるガンマ線シンチレータからの信号を区別することができるように光検出器に結合される。特定の実施形態では、第一セクション及び第二セクションが、第二セクションが第一セクションによって少なくとも三つの部分に分割されるように、一つの検出器内に共に配置され、全ての部分が、部分からの光を別々に評価することができるように異なる光検出器に光学的に結合される。理想的には、評価デバイスは、少なくとも二つのガンマ線シンチレータが、第一セクションにおける中性子捕獲によるガンマ線相互作用に起因した信号を検出した場合に、検出された放射を中性子と分類するように構成される。
【0023】
前段落で説明したような第二セクションの部分は、単一の検出器の複数の一体部分を多かれ少なかれ形成し得て、又は、代替例として、少なくとも三つの個別のガンマ線シンチレータを備え得て、その信号は、上述のように、共に評価される。
【0024】
一代替例は、第一セクション及び第二セクションが、第二セクションが第一セクションによって二つの部分に分割されるように、共通の光検出器に取り付けられた一つの検出器内に共に配置されている装置であり、両方の部分がその光検出器に光学的に結合される。第二セクションが第一セクションによって少なくとも三つの部分に分割され、全ての部分が光検出器に光学的に結合されることが更に有利である。
【0025】
他の実施形態によると、第一セクションは、第二セクションの外球に取り付けられる。
【0026】
本発明の装置が第三セクションを備えることが更に有利となり得て、第一セクション及び第二セクションが共にその第三セクションによって部分的に取り囲まれて、第三セクションがシンチレータを備え、そのシンチレータの放出光は光検出器によって測定され、光検出器の出力信号が、装置の共通の評価デバイスによって評価される。特定の実施形態では、評価デバイスは、所定のシールド閾値以上のエネルギーを有する信号が第三セクションから同じ時間フレームにおいて検出されない場合(反同時の場合)に、検出された放射を中性子として分類するように構成され、そのシールド閾値は以下の複数のステップにおいて求められる。第一に、第三セクションのシンチレータの厚さt(cm単位)を測定し、次に、そのシンチレータにおいて距離tに及ぶ最小電離粒子のエネルギー付与に対応するエネルギーEmin(MeV単位)を、その厚さにシンチレータ物質の密度(g/cm単位)及びそのシンチレータにおける最小電離粒子のエネルギー損失(MeV/(g/cm)単位)をかけることによって求め、最後に、そのエネルギー以下にシールド閾値を設定する。
【0027】
第三セクションを第二セクションの光検出器に光学的に結合することができ、また、評価デバイスが第二セクションからの信号及び第二セクションからの信号をその信号の性質によって区別するように構成することができる。これは、第三セクションのシンチレータと光検出器との間に波長シフターを取り付けることによって、更に改善可能である。
【0028】
好ましくは、第三セクションのシンチレータ用の物質は、高速中性子に対する中性子減速体として機能する低原子番号Zの成分を備える物質の群から選択され得る。
【0029】
また、本発明は、上述の本発明の装置を用いて、中性子、好ましくは熱中性子を検出するための方法も有し、第一ステップとして、中性子を第一セクションにおいて捕獲して、次に、ガンマ線エネルギー損失の結果として第二セクションから放出された光を測定して、装置の第二セクションから放出された光から、中性子捕獲によるガンマ線の合計エネルギー損失を求める。測定された合計エネルギー損失が2.614MeV以上の場合に、測定された事象を中性子捕獲として分類する。測定された事象を中性子捕獲として分類するために上限を加えることができて、測定された合計エネルギー損失は、所定の閾値以下、好ましくは10MeV以下であることを要する。
【0030】
第二セクションが少なくとも三つのガンマ線シンチレータを備える本発明の検出器を用いる場合に、中性子、好ましくは熱中性子を検出するために用いることができる方法は、まず、第一セクションにおいて中性子を捕獲するステップと、ガンマ線エネルギー損失の結果として第二セクションから放出された光を測定するステップと、装置の第二セクションから放出された光から、中性子捕獲によるガンマ線の合計エネルギー損失を求めるステップと、最後に、測定された合計エネルギー損失が2.614MeV以上であり、且つ、エネルギー損失が少なくとも二つのガンマ線シンチレータにおいて測定された場合に、事象を中性子捕獲として分類するステップとを備える。
【0031】
本発明の装置がその第一セクションにおいて中性子シンチレータを用いる場合に、中性子、好ましくは熱中性子を検出するために用い得る方法は、まず、第一セクションにおいて中性子を捕獲するステップと、ガンマ線エネルギー損失の結果として第一セクションから放出された光を測定するのと同時に、ガンマ線エネルギー損失の結果として第二セクションから放出された光を測定するステップと、装置の第二セクションから放出された光から、中性子捕獲によるガンマ線の合計エネルギー損失を求めるステップと、第二セクションにおいて測定された合計エネルギー損失が2.614MeV以上であり、且つ、エネルギー損失が第一セクションにおいて同時に検出された場合に、事象を中性子捕獲として分類するステップとを備える。本方法は、装置の第一セクション及び第二セクションの両方から放出された光から、中性子捕獲によるガンマ線の合計エネルギー損失を求めることによって、更に改善可能である。
【0032】
この場合も、中性子捕獲によるガンマ線の合計エネルギー損失が所定の閾値以下、好ましくは10MeV以下であることを更に要することが有利となり得る。
【0033】
第一セクションにおいて測定されたエネルギー損失が所定の閾値以下であることを要する場合に、更に他の改善が達成可能である。この閾値は、第一セクションのシンチレータの厚さd(cm単位)を測定するステップと、その厚さにシンチレータ物質の密度(g/cm単位)及びそのシンチレータにおける最小電離粒子のエネルギー損失(MeV/(g/cm)単位)をかけることによって、そのシンチレータにおいて距離dに及ぶ最小電離粒子のエネルギー付与に対応するエネルギーEmin(MeV単位)を求めるステップと、最後に、そのエネルギー以下に閾値を設定するステップとを用いることによって、求められる。エネルギー損失が第二セクションにおいて観測されるが、エネルギー損失が第一セクションにおいて同時に観測されない場合に、事象を、中性子捕獲ではなくて、外部ガンマ線として分類すると、望んでいない事象に対する更なる区別が可能である。
【0034】
上述の第三(シールド)セクションを用いる場合、中性子、好ましくは熱中性子を、第一セクションにおいて中性子を捕獲するステップと、ガンマ線エネルギー損失の結果として第二セクションから放出された光を測定するステップと、装置の第二セクションから放出された光から、中性子捕獲によるガンマ線の合計エネルギー損失を求めるステップと、測定された合計エネルギー損失が2.614MeV以上であり、且つ、所定のシールド閾値以上のエネルギーを有する信号が第三セクションのシンチレータから同じ時間フレームにおいて検出されない場合(反同時の場合)に、事象を中性子捕獲として分類するステップとを用いることによって求めることができる。そのシールド閾値は、まず、第三セクションのシンチレータの厚さt(cm単位)を測定するステップと、その厚さにシンチレータ物質の密度(g/cm)及びそのシンチレータにおける最小電離粒子のエネルギー損失(MeV/(g/cm)単位)をかけることによって、そのシンチレータにおいて距離tに及ぶ最小電離粒子のエネルギー付与に対応するエネルギーEmin(MeV単位)を求めるステップと、最後に、そのエネルギー以下にシールド閾値を設定するステップとを用いることによって、求めることができる。
【0035】
中性子捕獲によるガンマ線の合計エネルギー損失が、第二セクション及び第三セクションの両方から放出された光から求められる場合に、このような方法の効率が改善可能である。更に、中性子捕獲によるガンマ線の合計エネルギー損失が所定の閾値以下、好ましくは10MeV以下の場合にのみ、事象を中性子捕獲として分類し得る。他方、シールド閾値以下のエネルギー損失が第三セクションにおいて観測されるが、エネルギー損失が第二セクションにおいて観測されない場合に、事象を、中性子捕獲事象ではなくて、外部ガンマ線として分類し得る。
【0036】
周囲の第三(シールド)セクションを備えた本発明の装置を用いて、中性子、好ましくは熱中性子を検出するための方法も開示され、第一セクションが中性子シンチレータを備え、本方法は、第一セクションにおいて中性子を捕獲するステップと、ガンマ線エネルギー損失の結果として第一セクションから放出された光を測定するステップと、ガンマ線エネルギー損失の結果として第二セクションから放出された光を測定するステップと、装置の第二セクションから放出された光から、中性子捕獲によるガンマ線の合計エネルギー損失を求めるステップとを用いる。本方法によると、第二セクションにおいて測定された合計エネルギー損失が2.614MeV以上であり、第一セクションにおいてエネルギー損失が同時に検出されるが、所定のシールド閾値以上のエネルギーを有する信号が第三セクションのシンチレータから同じ時間フレームにおいて検出されない場合(反同時の場合)に、事象が中性子捕獲として分類される。このシールド閾値は、まず、第三セクションのシンチレータの厚さt(cm単位)を測定するステップと、その厚さにシンチレータ物質の密度(g/cm単位)及びそのシンチレータにおける最小電離粒子のエネルギー損失(MeV/(g/cm)単位)をかけることによって、そのシンチレータにおいて距離tに及ぶ最小電離粒子のエネルギー付与に対応するエネルギーEmin(MeV単位)を求めるステップと、最後に、そのエネルギー以下にシールド閾値を設定するステップに従って、求められる。
【0037】
この場合も、中性子捕獲によるガンマ線の合計エネルギー損失を、第一セクションにおいて検出されたエネルギー損失及び第二セクションにおいて検出されたエネルギー損失を足し合わせることによって、又は、第二セクションにおいて検出されたエネルギー損失及び第三セクションにおいて検出されたエネルギー損失を足し合わせることによって、又は、第一セクションにおいて検出されたエネルギー損失、第二セクションにおいて検出されたエネルギー損失、及び第三セクションにおいて検出されたエネルギー損失を足し合わせることによって、求めると、本方法の効率が改善可能である。
【0038】
中性子捕獲によるガンマ線の測定された合計エネルギー損失が所定の閾値以下、好ましくは10MeV以下であることを要することによって、背景放射に対する区別が改善可能である。
【0039】
背景放射を区別する他の方法は、エネルギー損失が第二セクション又は第三セクションにおいて検出されるが、第三セクションにおいてシールド閾値以上のエネルギー損失が検出されず、第一セクションにおいてエネルギー損失が同時に検出されない場合に、事象を、中性子捕獲事象ではなくて、外部ガンマ線と分類することである。この場合、言うまでもないことであるが、“エネルギー損失が検出されない”とは、検出限界以下のエネルギー損失のことを意味している。
【0040】
添付図面に沿って、本発明の具体的な実施形態をいくつか説明する。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】シリンダー状シンチレータと、そのシンチレータの中間の中性子吸収層と、光検出器とを備えた本発明の一実施形態を示す。
【図2】二つの中性子捕獲層を備えた同様の設定を示す。
【図3】シンチレータ物質を二つの部分に分割している中性子捕獲シンチレータを備えた他の実施形態を示す。
【図4】周囲のシールド検出器を備えた本発明の検出器を示す。
【図5】単一の光検出器を用いた同様の検出器を示す。
【図6】異なるシンチレータ物質から放出された信号の多様な減衰時間を示す。
【発明を実施するための形態】
【0042】
図1は、下方に、一実施形態の縦断面を示す。検出器100及びその三つの主要セクションが示されている。光検出器103(好ましくは、光電子増倍管、又はガイガーモードアバランシェフォトダイオード(G‐APD)のアレイ)上に取り付けられたガンマ線シンチレータ物質101を見て取ることができる。このガンマ線シンチレータ物質は、縦軸に沿って、二つの部分に分割されて、中性子捕獲物質102が、ガンマ線シンチレータの二つの部分の間に配置される。中性子捕獲物質102の位置を、図1の上方に示されるシンチレータ物質の横断面に明確に見て取ることができる。
【0043】
ガンマ線シンチレータ物質は、熱(低速)中性子に対するその中性子捕獲断面積が小さくなるように選択されて、大抵の中性子が、中性子捕獲されずに、シンチレータ物質を通過する。
【0044】
検出器の中心に位置する中性子捕獲セクション102は、中性子捕獲用に大きな断面積を有する、つまり高い中性子吸収性能を有する物質のシートである。好ましくは、このセクション102は、ガンマ線に対して多かれ少なかれ透明である。
【0045】
従来技術において知られているのと異なるのは、第一セクション102の中性子捕獲物質が、中性子が捕獲されると分裂又は荷電粒子の放出を実質的にもたらす物質ではなくて、ガンマ線放出を介してその励起エネルギーを主に放出するものである点である。適切な物質は、例えば、ガドリニウム(Gd)、カドミウム(Cd)、ユウロピウム(Eu)、サマリウム(Sm)、ジスプロシウム(Dy)、イリジウム(Ir)、水銀(Hg)、又はインジウム(In)を含む物質である。全ての中性子捕獲が、捕獲核種に応じて、核内に顕著な量の励起エネルギー(大抵は略5から10MeV)を付与するので、これは、おおまかには、数keVから最大数MeVの範囲のエネルギーを有する複数のガンマ量子として放出されるエネルギーである。これとは対照的に、現状の検出器において用いられる通常の中性子捕獲反応は、大抵は核分裂生成物及び/又は荷電粒子の放出によるエネルギー放出をもたらす。また、こうしたプロセスはガンマ線を伴うことが多いが、全エネルギー放出のより小さな部分に過ぎない。
【0046】
本発明の装置は、5から10MeVの間の全エネルギーを有するガンマ量子の放出を伴う中性子捕獲を利用する。結果として、効率的なガンマ線シンチレータを有する新規検出器のコンセプトは、放出されるガンマ量子の大部分を測定して、放射背景に対して、特に大抵の放射性崩壊によるガンマ線に対して、中性子捕獲による事象を十分に区別することを可能にする。
【0047】
中性子捕獲によるガンマ線カスケードは超高速で放出されるので、単一のガンマ線事象をガンマ線シンチレータ101によって区別することができない点は留意されたい。従って、ガンマ線シンチレータ101自体は、全てのガンマ線エネルギーを足し合わせて、シンチレータ物質に付与された合計エネルギーEsumに大抵は比例する光量を生じさせる。従って、シンチレータは、単一の高エネルギーガンマ線と、同じ時間ウィンドウで吸収された複数の低エネルギーガンマ線とを区別することができない。
【0048】
従って、ガンマ線シンチレータ101は、一種の熱量計として動作するように設計されて、単一の中性子捕獲事象後に付与された全てのエネルギーを足し合わせる。ガンマ線シンチレータ101は、最小コスト及び最小検出器ボリュームで、中性子吸収体における中性子捕獲によりシンチレーション物質内に平均で吸収される合計エネルギーEsumの量を最大化するように構成されて配置される。用いられる具体的な反応に応じて、実際には合計エネルギーEsumの一部のみが吸収されることを考慮して、検出器に適切なウィンドウ、つまり合計エネルギーゲートを設けることが有利である。このウィンドウ内の合計エネルギーEsumの事象のみを、十分な確実性での中性子捕獲として識別する。
【0049】
光検出器103からの信号出力を評価する評価デバイス(図示せず)は、合計エネルギーEsumが2.614MeV以上である場合に中性子捕獲として事象を定義するように設定される。より低い閾値のためにこの条件で、本発明は、自然放射性系列の一つからの最高の単一ガンマ線エネルギーが正確に2.614MeVを有する事実を利用するが、これは208Tlにおけるガンマ崩壊であり、自然トリウム放射性系列の一部である。
【0050】
二つの源からの二つの独立したガンマ線を同時に測定することはほとんどあり得ないので、2.614MeVの閾値は、自然又は他の背景放射を区別するのに十分である。
【0051】
特筆すべきなのは、このようなガンマ線熱量計が、検出器の外側で生成された中性子捕獲ガンマ線に対しても十分な検出器であることである。これは、中性子源を検出するための本発明の装置の感度を改善することができる。これは、中性子源を取り囲む全ての物質が多かれ少なかれ中性子を捕獲して、最終的には源によって生成された全ての中性子を捕獲することに因る。これらのプロセスは大抵、3MeVを優に上回るエネルギーを有すること多いエネルギーガンマ線の放出を伴う。これらのガンマ線は、それらが装置の第二セクションにエネルギーの十分な部分を付与する場合に、本発明の検出器の中性子信号に寄与し得る。
【0052】
熱量測定方式でガンマ線シンチレータを動作させるために、中性子捕獲後に放出されるガンマ線の大部分をガンマ線シンチレータ内で阻止できるように、シンチレータ物質に応じて、シンチレータのサイズを選択することが有利である。特に適した物質は、例えばタングステン酸鉛(PWO又はPbWO)である。何故ならば、この物質は、対象のガンマ線エネルギー(最高ガンマ線を含む)に対する顕著な阻止能によって区別されるからである。PWOの低い光出力(光子数/MeVの単位)はこの応用において許容可能である。何故ならば、この応用は顕著な分光性能を必要としないからである。また、重要な側面は、この物質は低コストで容易に大量入手可能であることである。
【0053】
第二セクションに対して略5から8センチメートルの直径のPWOシンチレータ物質を使用することが望ましい。図1及び図2に示される設定と組み合わせると、このような検出器は、4MeV以上のエネルギーを有するガンマ線が中性子捕獲物質(第一セクション)に生成される全ての場合の50%以上において、3MeV以上のガンマ線エネルギーを吸収することができる。
【0054】
検出器の第一(中性子)セクション及び第二(ガンマ線)セクションは、ガンマ線シンチレータセクションが中性子捕獲第一セクションの少なくとも半球(2π)を覆うように配置されることが好ましく、また、第一セクション内での中性子捕獲後に放出されるガンマ線に対して高い検出効率を提供するために、第一セクションを多かれ少なかれ全体的に取り囲むことが好ましい。
【0055】
また、合計エネルギーEsumに対する上限を略10MeVに設定することも望ましい。中性子捕獲後に放出される全エネルギーは、通常、この値を超えない。しかしながら、特に検出器が比較的大型の場合に、ガンマ線シンチレータを介する宇宙放射(例えば、ミューオン)の通過によって、この閾値以上のエネルギーの特徴を有する信号が生じ得る。こうした事象は、その閾値によって区別及び抑制される。実際には、第二セクション内のエネルギー付与に対する両方の閾値(上限及び下限)は、効果対背景比が対象の計画にとって最適化されるように、最適化されることが望ましい。
【0056】
好ましい実施形態では、検出器の第一セクション102は、中性子シンチレータ物質を備え、好ましくはシンチレータ光子に対して透明である。
【0057】
本実施形態は、中性子シンチレータが、あらゆるシンチレータと同様に、ガンマ量子もある程度吸収するという事実を更に用い得て、この情報を更なる評価のために用いる。このようにするためには、中性子シンチレータにおけるガンマ線吸収後に放出される光を、ガンマ線シンチレータにおけるガンマ線吸収後に放出される光から区別する必要がある。二つのシンチレータにおける放出光の光減衰時間及び/又は周波数が異なるようにシンチレーション物質を選択する場合には、これは、単一の光検出器で容易に為され得る。
【0058】
異なる減衰時間での個々の信号の一例を図6に示す。パルス608は、例えば、短い減衰時間のシンチレーション物質を提供するガンマ線シンチレータに起因する。図6の破線609によって示されるように、中性子シンチレータから放出される光の減衰時間がはるかに大きい場合には、これらの信号は、デジタル信号処理によって、又は光検出器の信号出力に対して単純に二つのタイミングウィンドウ618及び619を設定することによって、容易に区別可能である。
【0059】
シンチレーション光に対して中性子シンチレータ及びガンマ線シンチレータを光学的に分離することができるが、中性子シンチレータの放出波長及び中性子シンチレータの屈折率の両方がガンマ線シンチレータの対応する値と同様である一部応用に対しては、これが特に好ましい。こうした条件が合致した場合、装置の第一セクション及び第二セクション、つまり中性子シンチレータ及びガンマ線シンチレータは、光学的に同様に機能して、単一ブロックのシンチレータに結合可能であり、光検出器103における光の検出器をより容易で効率的にする。
【0060】
光検出器103を用いてガンマ線シンチレータに生じた光を収集及び測定して、光検出器からの測定信号を評価することによって、合計エネルギーEsumが、ガンマ線シンチレータにおいて通常は測定される。中性子シンチレータにおいてガンマ線によって放出されたエネルギーEは、別途又は追加的に測定される。中性子シンチレータが、中性子捕獲において放出されたガンマ線エネルギーの一部を吸収するのに十分効率的である場合、これは、検出される中性子により多くの条件を定めることによって、中性子識別及び背景放射抑制を改善することができる。
【0061】
第一の中性子検出基準は一般的に、2.614MeV以上の合計エネルギーEsumである。
【0062】
第二の基準は、中性子シンチレータにおいて検出される信号である。その理由は、本発明の検出器における大抵の中性子捕獲事象は、ガンマ線カスケード、つまり厚さ数ミリメートルのシンチレータにおいて高確率で相互作用する500keV以下、更には100keV以下の低エネルギーガンマ線を含む複数のガンマ線の放出を伴うからである。従って、中性子シンチレータにおける信号は、中性子捕獲事象の優れた指標である。中性子捕獲事象に対する検出器システムの効率は、このような追加の基準によってはあまり影響されない。何故ならば、中性子捕獲は中性子シンチレータ内部で行われ、その中性子シンチレータ自体がガンマ線の源だからである。これは、中性子シンチレータが高い阻止能を有する低エネルギーガンマ線を含む。従って、中性子シンチレータが、第一セクション内部における中性子捕獲による少なくとも一つのガンマ線事象を検出する確率は高い。
【0063】
第三の有用な基準は、透過性宇宙放射による背景放射を抑制するために、中性子シンチレータに付与されたガンマ線エネルギーEに対する上限であり得る。厚さ数ミリメートルのシンチレータにおいて、中性子捕獲による1〜2MeV以上のガンマ線エネルギーの付与の確率はむしろ小さい。他方、透過性宇宙粒子は、このようなシンチレータにおいてかなりの量の運動エネルギーを付与し得る。透過性荷電粒子の最小エネルギー付与(MeV単位)は、検出器の厚さ(センチメートル単位)に、シンチレータの密度(グラム/立方センチメートル単位)及び対応するシンチレータ物質における所謂最小電離粒子(mip,minimum ionizing particle)のエネルギー損失(MeV/(グラム/平方センチメートル)単位)をかけることによって与えられて、このエネルギー損失は、ありふれた物質に対して1MeV/(g/cm)以上であり、その上限の簡単な見積もりを可能にする。例えば、0.5cmのタングステン酸カドミウム(CWO)シンチレータを中性子シンチレータとして用いると、中性子シンチレータを横切る荷電粒子のエネルギー付与に対して略0.5×7.8×1MeV、つまり略3.9MeVの下限となる。この値は、中性子シンチレータにおける中性子捕獲信号の対する上限とされて、より大きな信号は、エネルギー(宇宙)背景放射によって生じると考えられて、拒絶される。
【0064】
特筆すべきなのは、第二の基準が中性子捕獲事象を識別するために用いられる場合、信号が第二セクションから得られる際における第一セクションの消失信号を、第二セクションにおける外部ガンマ線の検出用の特徴とみなすことができて、本発明の検出器を外部ガンマ線に対する検出器として平行して使用できる点である。
【0065】
検出器システムの効率は、シンチレータ全体、つまり、第一(中性子)セクション及び第二(ガンマ線)セクションの組み合わせを、単一のガンマ線シンチレータとみなして、ガンマ線シンチレータに付与されたエネルギー及び中性子シンチレータに付与されたエネルギーを足し合わせて、その組み合わせた値を合計エネルギーEsumとして用いることによって、増大可能である。
【0066】
他の実施形態200を図2に示す。この場合、ガンマ線シンチレータ201は、中性子検出器202によって分けられた四つの部分に分割される。この場合も、シンチレータは光検出器203上に取り付けられる。
【0067】
中性子検出器として中性子シンチレータ物質を用いる場合、特にこのシンチレータ物質がガンマ線シンチレータ物質の屈折率と同様の屈折率を有する場合、更なる実施形態が考えられる。
【0068】
一例が図3に示されていて、ガンマ線シンチレータ物質301が、中性子シンチレータ313によって縦軸に垂直な二つの部分に分割される。
【0069】
全てのシンチレータ物質が実質的に同一の屈折率を有するので、第二セクションの上部におけるガンマ線捕獲による光は、あまり損失なく、検出器300の中心部分の中性子シンチレータ物質312を通過することができて、光検出器303によって依然として検出可能である。
【0070】
本発明の更に他の実施形態を図4に示す。第一の実施形態で説明したような装置を、中心に見て取ることができて、中性子を捕獲する第一セクション402、第二ガンマ線シンチレータセクション401及び光検出器403で構成される。この検出器は、任意で、物質406で封止可能である。検出器のシンチレータ部分全体は、第三セクション400によって取り囲まれ、その第三セクション400もシンチレータ物質404を備える。このシンチレータ物質において生じた光は、追加の光検出器405によって検出される。
【0071】
この外側検出器400は、背景放射(例えば宇宙放射)に対する反同時シールドとして機能する。第三セクション400がかなり低い原子番号のシンチレータ物質を用いている場合、第三セクション400は高速中性子に対する減速体としても同時に機能し得て、装置が高速中性子を検出することも可能にする。この場合、検出器の封止物質406も、この物質が中性子減速体として機能するように選択され得るが、留意すべきなのは、このような物質の選択が、周囲の第三セクション400を備えた実施形態に限られるものではなく、他の実施形態との組み合わせにおいても用いられ得る点である。
【0072】
好ましい実施形態では、第三セクションの外側シンチレータ物質404は、プラスチックシンチレータ物質を備える。このような物質は容易に入手可能であり、取り扱いが容易である。
【0073】
第三セクションのシンチレータにおける透過性荷電粒子の最小エネルギー付与(MeV単位)は、シンチレータの厚さ(センチメートル単位で与えられる)に、シンチレータの密度(グラム/立方センチメートル単位で与えられる)及び対応するシンチレータ物質における最小電離粒子(mip)のエネルギー損失(MeV/(グラム/平方センチメートル)単位で与えられる)をかけることによって与えられて、このエネルギー損失は、ありふれた物質に対して1MeV/(g/cm)以上であり、全ての軽物質に対して1.5MeV/(g/cm)以上であり、その上限の簡単な見積もりを可能にする。例えば、第三(シールド)セクションにおいて2cmのプラスチック(PVT)シンチレータを用いると、シールドセクションにおける透過性荷電粒子に起因する信号に対して、略2×1×1.5MeV、つまり略3MeVの下限となる。こうした信号は、背景放射として拒絶される。この場合、外側の第三セクションに対する反同時条件は、3MeV以上のエネルギーが第三セクションにおいて検出されないというものであり得る。
【0074】
結果として、この具体的な例において、装置の外側の第三セクションにおいて検出される3MeV以下のエネルギーは、エネルギー宇宙放射に由来しないものであると考えられて、第二セクションにおけるガンマ線と同時に検出される場合には、このような低エネルギー事象を合計エネルギーEsumに加えることができる。何故ならば、これは、その由来を、第一セクション内部での中性捕獲に有し得るからである。しかしながら、この信号が実際に外部ガンマ線によるものである場合には、合計エネルギーの条件(Esum>2614keV)は、対応する事象を拒絶する。
【0075】
特筆すべきなのは、透過性荷電粒子の最小エネルギー付与よりも小さいエネルギー付与が第三セクションで観測されるが、第一又は第二セクションにおいて同時に信号が観測されない場合、これを、第三セクションにおける外部ガンマ線の検出用の特徴と見なすことができて、(外部)ガンマ線用の検出器(又は分光計)としてシールドシンチレータを平行して使用できる点である。
【0076】
同様に、透過性荷電粒子の最小エネルギー付与以下の第三セクションにおけるエネルギー付与が、第二セクションにおける信号を伴うが、第一セクションにおいて同時に信号が観察されないと、これを、二次散乱作用又は光吸収を伴うコンプトン散乱により第二セクション及び第三セクションの両方においてエネルギーを付与する外部ガンマ線の検出用の特徴と見なすことができる。従って、第二セクション及び第三セクションの組み合わせが、外部ガンマ線用の検出器(又は分光計)として動作し得る一方で、第一セクションの中性子シンチレータは、中性子捕獲事象を区別することを可能にする。
【0077】
このシールド検出器の変形例の更なる改善を図5に示す。この場合も、ガンマ線シンチレータ501及び中性子吸収検出器502は、光検出器503上に取り付けられる。この場合も、ガンマ線センチレータは、ある種の封止材506によって取り囲まれ得る。
【0078】
他の実施形態とは異なり、光検出器503の感光面は、ガンマ線検出器501によって覆われたその直径にわたって広がっている。光検出器503のこの外側範囲は、検出器の第一セクション及び第二セクションを取り囲む円形の第三セクション(この場合も、好ましくはプラスチックシンチレータ504)に光学的に結合される。
【0079】
ガンマ線シンチレータ501に由来する信号を、プラスチックシンチレータ504に由来する信号から適切に区別するため、波長シフター507を追加し得る。このような波長シフターは、好ましくは、ガンマ線シンチレータ501から放出される波長と同様の波長を有する光を放出するプラスチックシンチレータ物質504からの光を吸収し、その光は、同じ検出器503によって適切に測定可能である。プラスチックシンチレータ504からの信号を、ガンマ線シンチレータからの信号から区別するためには、波長シフター507から放出される光が異なる減衰時間を有し、上述のように評価デバイスが二つの信号源を明確に区別できることが有利である。
【0080】
第二セクションが、共通の光検出器で読み出される単一の検出器ブロックに配置された単一のガンマ線シンチレータ物質を備えることは必須ではない。他の実施形態では、ガンマ線熱量計は、異なるシンチレータ物質に基づいていて別々の光検出器で読み出され得る複数の別々の検出器で構成される。総費用を削減するために、元々他の目的(例えば、外部ガンマ線の検出及び分光)のために設計された検出器を線量計に含めることができる場合には、この実施形態が有利なものになる。
【0081】
本発明の更に他の特徴は、中性子捕獲第一セクションにおける中性子捕獲後に放出されるガンマ線の高い多重度を利用できる可能性である。第二セクション(ガンマ線シンチレータ)が、三つ以上の検出器を備えるように設定される場合、その多重度も評価し得る。
【0082】
図2に示されるような設定は、第二セクションを四つの異なる部分に分割することができて、ガンマ線シンチレータが四つの部分に分割される。例えば、マルチアノード光電子増倍管(図2に示さず)を用いることによって、四つのガンマ線シンチレータの光が区別可能であるように、光検出器が分割される場合、これを別々に評価することもできる。従って、合計エネルギーEsumを測定することに加えて、測定されたガンマ線事象の所定の多重度を要求することもできる。
【0083】
検出器の限られた効率を考慮すると、第二セクションの少なくとも二つの部分、つまり、図2に示されるようなガンマ線シンチレータの二つの異なる部分がガンマ線事象を検出したことを要求することが有利であるとわかっている。特に、2.614MeV以上の合計エネルギーEsumの条件に加えて、この多重度の条件は、本発明の検出器の精度を更に増大させる。
【0084】
上述のことをまとめると、特許請求の範囲の本発明は、周知の安価で在庫のあるシンチレータ物質、及び、周知の安価で在庫のある光検出器に基づいた、低コストで設定が簡単な検出器を提供し、また、現状のHeカウンターに匹敵する効率及び精度で放出信号を評価するための方法を提供する。
【符号の説明】
【0085】
100 検出器
101 第二セクション
102 第一セクション
103 光検出器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中性子放射、好ましくは熱中性子を検出するための装置であって、該装置が、高中性子吸収性能を有する少なくとも一つの第一セクションと、低中性子吸収性能を有する少なくとも一つの第二セクションとを備え、前記第二セクションがガンマ線シンチレータを備え、前記ガンマ線シンチレータの物質が、前記第二セクション内部のエネルギーガンマ線に対して高ガンマ線阻止能を提供するために、5MeVのエネルギーのガンマ線に対して10cm以下、好ましくは5cm以下の減衰長を有する無機物質を備え、前記第一セクションの物質が、主にガンマ線放射を介する中性子捕獲によって前記第一セクションに付与されたエネルギーを放出する物質の群から選択されていて、前記第二セクションが、前記第一セクションの大部分が前記第二セクションによって覆われるように前記第一セクションを取り囲んでいて、該装置が、前記第二セクションにおける光量を検出するために前記第二セクションに光学的に結合された光検出器を更に備え、該装置が、前記光検出器に結合された評価デバイスを更に備え、前記評価デバイスが、一つのシンチレーション事象に対して前記光検出器によって検出された光量を求め、前記光量が、前記第二セクションにおけるガンマ線によって付与されたエネルギーと既知の関係にあり、前記評価デバイスが、測定された合計ガンマ線エネルギーEsumが2.614MeV以上の場合に、検出された放射を中性子として分類するように構成されている、装置。
【請求項2】
前記評価デバイスが、測定された合計ガンマ線エネルギーが所定の閾値以下、好ましくは10MeV以下である場合に、検出された放射を中性子として分類するように更に構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第一セクションが、カドミウム(Cd)、サマリウム(Sm)、ジスプロシウム(Dy)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、イリジウム(Ir)、インジウム(In)、又は水銀(Hg)を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記第二セクション用の物質が、タングステン酸鉛(PWO)、タングステン酸カルシウム(CaWO)、ゲルマン酸ビスマス(BGO)、ヨウ化ナトリウム(NaI)、ヨウ化セシウム(CsI)、フッ化バリウム(BaF)、フッ化鉛(PbF)、フッ化セリウム(CeF)、フッ化カルシウム(CaF)、及び発光ガラス物質から成る群から選択されている、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記第二セクションが、半球(2π)以上が前記第二セクションによって覆われるように前記第一セクションを取り囲んでいる、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記第一セクションが中性子シンチレータを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記中性子シンチレータが、少なくとも最大100keV、好ましくは少なくとも最大500keVのガンマ線エネルギーを十分な効率で測定するのに十分なガンマ線捕獲断面積を有するように選択されている、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記評価デバイスが、少なくとも一つのガンマ線事象が前記中性子シンチレータによって測定された場合に、検出された放射を中性子として分類するように更に構成されている、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記第一セクションにおける信号が、所定の閾値以上の測定されたエネルギーを有さず、前記閾値が、
前記第一セクションのシンチレータのcm単位での厚さdを測定するステップと、
前記厚さに前記シンチレータの物質のg/cm単位での密度及び前記シンチレータにおける最小電離粒子のMeV/(g/cm)単位でのエネルギー損失をかけることによって、前記シンチレータにおいて距離dに及ぶ最小電離粒子のエネルギー付与に対応するMeV単位でのエネルギー(Emin)を求めるステップと、
前記エネルギー以下に閾値を設定するステップとに従って求められている、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記光検出器が、前記ガンマ線シンチレータ及び前記中性子シンチレータの光が両方とも同じ該光検出器に伝播するように取り付けられている、請求項8に記載の装置。
【請求項11】
前記中性子シンチレータ及び前記ガンマ線シンチレータ用の物質が、放出される光が異なるタイミング特性を有するような、例えば光が異なる減衰時間で放出されるような群から選択されている、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記評価デバイスが、各シンチレータによって放出された異なる特性を有する光を、両方のシンチレータの光成分を有する単一の光検出器信号から区別するように設定されている、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記中性子シンチレータ及び前記ガンマ線シンチレータ用の物質が、同様の波長及び同様の光屈折率を有するような群から選択されている、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記第一セクション及び前記第二セクションが、前記第二セクションが前記第一セクションによって少なくとも二つの部分に分割されるように、共通の光検出器に取り付けられた一つの検出器内に共に配置されていて、前記第二セクションの一部分のみが前記光検出器に光学的に結合されている、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記第一セクションの物質がタングステン酸カドミウムを備え、前記第二セクションの物質がタングステン酸鉛(PWO)を備える、請求項13に記載の装置。
【請求項16】
前記第一セクションの物質がガドリニウムオキシオルソシリケート(GSO)ベースの物質を備え、前記第二セクションの物質がヨウ化ナトリウム(NaI)又はヨウ化セシウム(CsI)ベースのシンチレータを備える、請求項13に記載の装置。
【請求項17】
前記第二セクションが少なくとも三つのガンマ線シンチレータを備え、各ガンマ線シンチレータが、異なるガンマ線シンチレータからの信号を区別するように光検出器に結合されている、請求項1に記載の装置。
【請求項18】
前記第一セクション及び前記第二セクションが、前記第二セクションが前記第一セクションによって少なくとも三つの部分に分割されるように一つの検出器内に共に配置されていて、全ての前記部分が、該部分からの光を別々に評価するように異なる光検出器に光学的に結合されている、請求項1に記載の装置。
【請求項19】
前記評価デバイスが、少なくとも二つのガンマ線シンチレータが、前記第一セクションにおける中性子捕獲によるガンマ線相互作用に起因する信号を検出した場合に、検出された放射を中性子として分類するように構成されている、請求項17又は18に記載の装置。
【請求項20】
前記第一セクション及び前記第二セクションが、前記第二セクションが前記第一セクションによって二つの部分に分割されるように共通の光検出器に取り付けられた一つの検出器内に共に配置されていて、前記二つの部分の両方が前記光検出器に光学的に結合されている、請求項1に記載の装置。
【請求項21】
前記第二セクションが、前記第一セクションによって少なくとも三つの部分に分割されていて、全ての前記部分が前記光検出器に光学的に結合されている、請求項20に記載の装置。
【請求項22】
前記第一セクションが前記第二セクションの外球に取り付けられている、請求項1に記載の装置。
【請求項23】
前記第一セクション及び前記第二セクションが共に、第三セクションによって部分的に取り囲まれていて、前記第三セクションがシンチレータを備え、前記シンチレータの放出光が光検出器によって測定され、前記光検出器の出力信号が、前記装置の共通の評価デバイスによって評価される、請求項1に記載の装置。
【請求項24】
前記評価デバイスが、所定のシールド閾値以上のエネルギーを有する信号が前記第三セクションのシンチレータから同じ時間フレームにおいて検出されなかった場合(反同時の場合)に、検出された放射を中性子として分類するように構成されていて、前記シールド閾値が、
前記第三セクションのシンチレータのcm単位での厚さtを測定するステップと、
前記厚さに、前記シンチレータの物質のg/cm単位での密度及び前記シンチレータにおける最小電離粒子のMeV/(g/cm)単位でのエネルギー損失をかけることによって、前記シンチレータにおいて距離tに及ぶ最小電離粒子のエネルギー付与に対応するMeV単位でのエネルギー(Emin)を求めるステップと、
前記エネルギー以下にシールド閾値を設定するステップとに従って求められている、請求項22に記載の装置。
【請求項25】
前記第三セクションが、前記第二セクションの光検出器に光学的に結合されていて、前記評価デバイスが、前記第二セクションからの信号と前記第三セクションからの信号とを信号の性質によって区別するように構成されている、請求項24に記載の装置。
【請求項26】
波長シフターが前記第三セクションのシンチレータと前記光検出器との間に取り付けられている、請求項25に記載の装置。
【請求項27】
前記シンチレータが、高速中性子に対する中性子減速体として機能する低原子番号Zの成分を備えた物質の群から選択されている、請求項23に記載の装置。
【請求項28】
請求項1に記載の装置を用いて、中性子、好ましくは熱中性子を検出するための方法であって、
前記第一セクションにおいて中性子を捕獲するステップと、
ガンマ線エネルギー損失の結果として前記第二セクションから放出された光を測定するステップと、
前記装置の第二セクションから放出された光から、中性子捕獲によるガンマ線の合計エネルギー損失を求めるステップと、
測定された合計エネルギー損失が2.614MeV以上である場合に事象を中性子捕獲として分類するステップとを備えた方法。
【請求項29】
測定された合計エネルギー損失が所定の閾値以下、好ましくは10MeV以下の場合に事象を中性子捕獲として分類する、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
請求項17に記載の装置を用いて、中性子、好ましくは熱中性子を検出するための方法であって、
前記第一セクションにおいて中性子を捕獲するステップと、
ガンマ線エネルギー損失の結果として前記第二セクションから放出された光を測定するステップと、
前記装置の第二セクションから放出された光から、中性子捕獲によるガンマ線の合計エネルギー損失を求めるステップと、
測定された合計エネルギー損失が2.614MeV以上であり、且つエネルギー損失が少なくとも二つのガンマ線シンチレータにおいて測定された場合に事象を中性子捕獲として分類するステップとを備えた方法。
【請求項31】
請求項6に記載の装置を用いて、中性子、好ましくは熱中性子を検出するための方法であって、
前記第一セクションにおいて中性子を捕獲するステップと、
ガンマ線エネルギー損失の結果として前記第一セクションから放出された光を測定するステップと、
ガンマ線エネルギー損失の結果として前記第二セクションから放出された光を測定するステップと、
前記装置の第二セクションから放出された光から、中性子捕獲によるガンマ線の合計エネルギー損失を求めるステップと、
前記第二セクションにおいて測定された合計エネルギー損失が2.614MeV以上であり、且つエネルギー損失が前記第一セクションにおいて同時に測定された場合に事象を中性子捕獲として分類するステップとを備えた方法。
【請求項32】
中性子捕獲によるガンマ線の合計エネルギー損失を、前記装置の第一セクション及び第二セクションの両方から放出された光から求める、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
中性子捕獲によるガンマ線の合計エネルギー損失が所定の閾値以下、好ましくは10MeV以下である、請求項31又は32に記載の方法。
【請求項34】
前記第一セクションにおいて測定されたエネルギー損失が所定の閾値以下であり、前記閾値が、
前記第一セクションのシンチレータのcm単位での厚さdを測定するステップと、
前記厚さに前記シンチレータの物質のg/cm単位での密度及び前記シンチレータにおける最小電離粒子のMeV/(g/cm)単位でのエネルギー損失をかけることによって、前記シンチレータにおいて距離dに及ぶ最小電離粒子のエネルギー付与に対応するMeV単位でのエネルギーEminを求めるステップと、
前記エネルギー以下に閾値を設定するステップとに従って求められる、請求項31から33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
エネルギー損失が前記第二セクションにおいて測定されるが、エネルギー損失が前記第一セクションにおいて同時に測定されない場合に事象を外部ガンマ線として分類する、請求項31に記載の方法。
【請求項36】
請求項23に記載の装置を用いて、中性子、好ましくは熱中性子を検出するための方法であって、
前記第一セクションにおいて中性子を捕獲するステップと、
ガンマ線エネルギー損失の結果として前記第二セクションから放出された光を測定するステップと、
前記装置の第二セクションから放出された光から、中性子捕獲によるガンマ線の合計エネルギー損失を求めるステップと、
測定された合計エネルギー損失が2.614MeV以上であり、且つ所定のシールド閾値以上のエネルギーを有する信号が、前記第三セクションのシンチレータから同じ時間フレームにおいて検出されない場合(反同時の場合)に事象を中性子捕獲として分類するステップとを備え、前記シールド閾値が、
前記第三セクションのシンチレータのcm単位での厚さtを測定するステップと、
前記厚さに前記シンチレータの物質のg/cm単位での密度及び前記シンチレータにおける最小電離粒子のMeV/(g/cm)単位でのエネルギー損失をかけることによって、前記シンチレータにおいて距離tに及ぶ最小電離粒子のエネルギー付与に対応するMeV単位でのエネルギーEminを求めるステップと、
前記エネルギー以下にシールド閾値を設定するステップとに従って求められる、方法。
【請求項37】
中性子捕獲によるガンマ線の合計エネルギー損失を、前記第二セクション及び前記第三セクションの両方から放出された光から求める、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
中性子捕獲によるガンマ線の合計エネルギー損失が所定の閾値以下、好ましくは10MeV以下である場合のみに事象を中性子捕獲として分類する、請求項36又は37に記載の方法。
【請求項39】
前記シールド閾値以下のエネルギー損失が前記第三セクションにおいて観測されるが、エネルギー損失が前記第二セクションにおいて観測されない場合に事象を外部ガンマ線として分類する、請求項36に記載の方法。
【請求項40】
請求項23に記載の装置を用いて、中性子、好ましくは熱中性子を検出するための方法であって、前記第一セクションが中性子シンチレータを備え、
前記第一セクションにおいて中性子を捕獲するステップと、
ガンマ線エネルギー損失の結果として前記第一セクションから放出された光を測定するステップと、
ガンマ線エネルギー損失の結果として前記第二セクションから放出された光を測定するステップと、
前記装置の第二セクションから放出された光から、中性子捕獲によるガンマ線の合計エネルギー損失を求めるステップと、
前記第二セクションにおいて測定された合計エネルギー損失が2.614MeV以上であり、エネルギー損失が前記第一セクションにおいて同時に検出され、且つ所定のシールド閾値以上のエネルギーを有する信号が前記第三セクションのシンチレータから同じ時間フレームにおいて検出されない場合(反同時の場合)に事象を中性子捕獲として分類するステップとを備え、前記シールド閾値が、
前記第三セクションのシンチレータのcm単位での厚さtを測定するステップと、
前記厚さに前記シンチレータの物質のg/cm単位での密度及び前記シンチレータにおける最小電離粒子のMeV/(g/cm)単位でのエネルギー損失をかけることによって、前記シンチレータにおいて距離tに及ぶ最小電離粒子のエネルギー付与に対応するMeV単位でのエネルギーEminを求めるステップと、
前記エネルギー以下にシールド閾値を設定するステップとに従って求められる、方法。
【請求項41】
中性子捕獲によるガンマ線の合計エネルギー損失を、前記第一セクションにおいて検出されたエネルギー損失及び前記第二セクションにおいて検出されたエネルギー損失を足し合わせることによって求める、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
中性子捕獲によるガンマ線の合計エネルギー損失を、前記第二セクションにおいて検出されたエネルギー損失及び前記第三セクションにおいて検出されたエネルギー損失を足し合わせることによって求める、請求項40に記載の方法。
【請求項43】
中性子捕獲によるガンマ線の合計エネルギー損失を、前記第一セクションにおいて検出されたエネルギー損失、前記第二セクションにおいて検出されたエネルギー損失、及び前記第三セクションにおいて検出されたエネルギー損失を足し合わせることによって求める、請求項40に記載の方法。
【請求項44】
中性子捕獲によるガンマ線の測定された合計エネルギー損失が所定の閾値以下、好ましくは10MeV以下である、請求項40から43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記第二セクション又は前記第三セクションにおいてエネルギー損失が検出されるが、前記第三セクションにおける前記シールド閾値以上のエネルギー損失及び前記第一セクションにおけるエネルギー損失が同時に検出されない場合に事象を外部ガンマ線として分類する、請求項40に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2013−500480(P2013−500480A)
【公表日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−521972(P2012−521972)
【出願日】平成21年7月27日(2009.7.27)
【国際出願番号】PCT/EP2009/059691
【国際公開番号】WO2011/012154
【国際公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【出願人】(512022882)フリール・ラディエーション・ゲーエムベーハー (2)
【Fターム(参考)】