捕集ユニット
【課題】小型化しても空気中の浮遊菌を効率的に捕集することができる捕集担体を用いた捕集ユニットを提供することを目的としている。
【解決手段】本発明の捕集ユニット80は、中心に温水又はATP試薬の供給用ノズルが挿入される貫通孔82b3を穿孔し、貫通孔82b3の外周に空気中の浮遊菌を捕集する捕集担体90を充填する担体充填皿82bと、貫通孔82b3に挿通させる突起を形成して担体充填皿82bを載置する上蓋82aと、を備えた捕集担体カードリッジ82と、捕集担体90の表面を覆うと共に、捕集担体90の表面に対向する複数のノズル孔87を形成したインパクタノズルヘッド86と、ノズル孔87から捕集担体90の表面に空気を導入するファン84と、を備え、ノズル孔87を通過する空気の風速が40m/s〜50m/sであることを特徴としている。
【解決手段】本発明の捕集ユニット80は、中心に温水又はATP試薬の供給用ノズルが挿入される貫通孔82b3を穿孔し、貫通孔82b3の外周に空気中の浮遊菌を捕集する捕集担体90を充填する担体充填皿82bと、貫通孔82b3に挿通させる突起を形成して担体充填皿82bを載置する上蓋82aと、を備えた捕集担体カードリッジ82と、捕集担体90の表面を覆うと共に、捕集担体90の表面に対向する複数のノズル孔87を形成したインパクタノズルヘッド86と、ノズル孔87から捕集担体90の表面に空気を導入するファン84と、を備え、ノズル孔87を通過する空気の風速が40m/s〜50m/sであることを特徴としている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に空中に浮遊する生物細胞を捕集担体で捕集しATP法で測定する発光測定装置に適用可能な捕集ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
各種臨床医学や食品工場、医薬品製造工場、および基礎研究の現場等といった無菌性や生物的清浄度が要求される環境では、空気中の微生物(空中浮遊菌)の数(生菌数)や落下菌、および付着菌等の計数が成される。空中浮遊菌の測定方法として、浮遊菌の捕集には、浮遊菌の自然落下や、一定量の空気を吸引することにより捕集を行う空中浮遊菌サンプラを利用することが一般的である。
【0003】
これらの方法では、捕集した浮遊菌を普通寒天平板培地上に浮遊菌を捕集し、恒温器により2〜3日培養し、培養後に発生したコロニー数をもって生菌の数とする。しかしこのような方法では、生菌を培養するのに時間がかかるという問題が生ずることとなる。
これに対し、短時間に微生物数の計測を行うことを可能とする方法として、細胞内成分であるアデノシン3リン酸(ATP:Adenosine TriPhosphate)を生物発光法で測定することにより、微生物数を換算する方法が知られている。
【0004】
生物発光法は、ルシフェリン−ルシフェラーゼ発光反応が用いられ、基質ルシフェリンと酵素ルシフェラーゼを含む発光試薬と、微生物の細胞から抽出したATPを含むサンプル溶液を混合し、反応させることにより生ずる光の発光量からATP量を求め、生菌1当たりのATP量に基づいて、生菌数を算出するというものである。特許文献1には、このような発光反応を利用して生菌の数を計測するためのキットが開示されている。
【0005】
特許文献1に開示されているキットによる生菌数の計測方法は、計測時間の短縮として確かな効果を挙げることができる。しかし、極微量の生菌計測を対象とした場合には、発光量自体が微量となるため、残留ATPや計測対象外のATPの混入などの影響によるバックグラウンド発光の影響が大きくなり、良好な測定精度を得ることができないという問題があった。
【0006】
これに対し特許文献2には、試薬を分注するためのノズルに付着した生菌や、残留ATPに由来するバックグラウンド発光を抑え、高精度で迅速な発光測定を行うことのできる発光測定装置が開示されている。
特許文献2に開示されているような発光測定装置であれば、極微量の生菌計測を対象とした発光計測であっても、高精度かつ迅速に行うことが可能となると考えられる。
前記浮遊菌の捕集に関し、空中に浮遊する微生物を捕集して検査する作業を容易に且つ短時間で行なうことができる捕集ユニットとして特許文献3が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−155597号公報
【特許文献2】特開2008−249628号公報
【特許文献3】特開2009−131186号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
捕集対象となる室内へ捕集ユニットを容易に持ち運びするため、ユニット全体の小型化が望まれている。しかしながら捕集ユニットは捕集担体に生菌を衝突させて担持させるため、捕集ユニットへ流入する空気の流速がある程度必要となる。可動部の小型化に伴い捕集ユニットへ流入する空気の流速が遅くなり、捕集時間が長期化してしまうというおそれがあった。
そこで本発明では、小型化しても空気中の浮遊菌を効率的に捕集することができる捕集担体を用いた捕集ユニットを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため本発明の捕集ユニットは、中心に温水又はATP試薬の供給用ノズルが挿入される貫通孔を穿孔し、前記貫通孔の外周に空気中の浮遊菌を捕集する捕集担体を充填する担体充填皿と、前記貫通孔に挿通させる突起を形成して前記担体充填皿を載置する上蓋と、を備えた捕集担体カードリッジと、前記捕集担体の表面を覆うと共に、前記捕集担体の表面に対向する複数のノズル孔を形成したインパクタノズルヘッドと、前記ノズル孔から前記捕集担体の表面に空気を導入するファンと、を備え、前記ノズル孔を通過する空気の風速が40m/s〜50m/sであることを特徴としている。
【0010】
この場合において、前記ノズル孔は、隣接するノズル孔同士が千鳥配置されているとよい。前記ノズル孔は、隣接するノズル孔同士の孔中心が前記インパクタノズルヘッドを平面視して正三角形の各頂点位置に配置しているとよい。
この場合において、前記ノズル孔は、孔径が0.6mmであり、前記ノズル孔同士の孔ピッチが2.6mmであり、前記インパクタノズルヘッドの下面と前記捕集担体の表面との距離が1.5mmであるとよい。
【発明の効果】
【0011】
上記構成による本発明の捕集ユニットによれば、ユニット全体の小型化を図った構成であっても、インパクタノズルヘッドのノズル孔を通過する空気を所定の風速に維持することができる。これにより浮遊菌の捕集性能を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】発光測定装置の構成を示すブロック図である。
【図2】捕集ユニットの詳細構成を示すブロック図である。
【図3】捕集担体カートリッジの構成を示す分解図である。
【図4】捕集担体カートリッジにおける本体の詳細構成を示す図である。
【図5】捕集ユニットを構成するインパクタノズルヘッド及び捕集担体カートリッジの分解斜視図である。
【図6】インパクタノズルヘッドの平面図である。
【図7】図6のA部の部分拡大図である。
【図8】ノズル孔の説明図である。
【図9】計測ユニットの側面構成を示す概略図である。
【図10】試薬分注ノズルの構成を示すブロック図である。
【図11】Z軸機構部と固定ブロックと試薬分注ノズルの関係を示す参考斜視図である。
【図12】捕集担体カートリッジホルダの構成を示すブロック図である。
【図13】試薬・担体容器搭載部の構成を示す上面図である。
【図14】試薬分取・分注機構における各動作工程を説明するためのフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の捕集ユニットに係る実施の形態について、添付の図面を参照して詳細に説明する。
まず、図1を参照して、本発明の捕集ユニット80を適用可能な発光測定装置10の全体構成について説明する。本実施形態で説明する発光測定装置10は、捕集ユニット80と、計測ユニット12とによって構成されている。
【0014】
捕集ユニット80は図2に示すように、捕集担体カートリッジ82(図3参照)における担体充填皿82bに充填された捕集担体90に、空気中の生菌を捕集するための装置である。捕集ユニット80は、捕集担体カートリッジ82における担体充填皿82b、および上蓋82a、送風ファン84、インパクタノズルヘッド86、および排気フィルタ88を主な基本構成としている。
【0015】
担体充填皿82bを有する捕集担体カートリッジ82は、空気中に浮遊する生菌を捕集するための役割を担う。本実施形態に係る捕集担体カートリッジ82は図3に示すように、本体82cと、担体充填皿82b、上蓋82a、フィルタ82dおよびフィルタ固定リング82eとより成る。
【0016】
本体82cは、貯留部82c1とフィルタ配置部82c3、および連結孔82c2により構成される。貯留部82c1は、詳細を後述するように、溶融させた捕集担体90を温水により希釈した溶液を貯留するための部位である。貯留部82c1の内面は、中央に設けられた連結孔82c2に向けて、すり鉢状の傾斜面82c4により構成され、濾過時には、貯留した溶液を連結孔82c2へ流し込むことが可能に形成されている。すり鉢状の貯留部82c1の上端側には、垂直に形成された第1壁部82c5が設けられ、第1壁部82c5の上端には、フランジ状の平坦部82c6を介してその外側縁部に、第2壁部82c7が設けられている。第2壁部82c7には、内壁にL字状の溝82c7a(図4(B)参照)が形成されており、詳細を後述する上蓋82aをバヨネット方式により連結可能な構成とされている。なお、図4において、図4(A)は捕集担体カートリッジ本体の平面構成を示す図であり、図4(B)は、同本体の正面断面の構成を示す図である。
【0017】
フィルタ配置部82c3は、連結孔82c2の周囲に設けられた凹溝部82c3aと、凹溝部82c3aの周囲に形成されたすり鉢部82c3bとより構成される。なお、すり鉢部82c3bの直径は上述した貯留部82c1の直径よりも小さく形成されている。すり鉢部82c3bの端部には、下方へ向けて形成された第3壁部82c8が形成されている。第3壁部82c8の内壁にも、上記第2壁部82c7と同様にL字状の溝82c8aが形成され、詳細を後述するフィルタ固定リング82eをバヨネット方式により連結可能とされている。
【0018】
このような内部構造を有する捕集担体カートリッジ82の本体82cの外形は、貯留部82c1とフィルタ配置部82c3の内壁に沿って鼓状に形成された外壁と、第1壁部82c5に沿って設けられた第1外壁部、第2壁部82c7の外壁である第2外壁部と第1外壁部を繋ぐ平坦部82c6の外壁、および第3壁部82c8の外壁である第3外壁部より成る。また、貯留部82c1の外壁とフィルタ配置部82c3の外壁との間には、第3外壁部の形成範囲に沿って補強部82c9が形成されている。また、第1壁部82c5の外周上には、上述したカートリッジホルダに本体を固定するための突起部82c5aが設けられている。この突起部82c5aにより、詳細を後述する捕集担体カートリッジホルダ(以下、単にカートリッジホルダと称す)56とバヨネット方式の連結が可能となる。
【0019】
担体充填皿82bは、底板82b1と、内部隔壁82b4、および外部隔壁82b2により構成される。底板82b1は、上述した本体82cにおける第2壁部82c7の直径と同じ、あるいはその直径よりも若干小さい直径を有する平板であれば良く、中央に小径の貫通孔82b3を有する。内部隔壁82b4は、貫通孔82b3に沿って設けられた垂直壁である。また、外部隔壁82b2は、本体82cの第1壁部82c5の直径よりも一回り小さい直径を持つ円として形成された垂直壁であり、内部隔壁82b4と同じ高さを有する。外部隔壁82b2の配置形態をこのような形態とすることにより、底板82b1の外縁部は外部隔壁82b2の外側へと突出したフランジのような形態となる。このため担体充填皿82bは、内部隔壁82b4および外部隔壁82b2を貯留部82c1へ対向させた状態で本体82cに配置すると、外部隔壁82b2が第1壁部82c5の内側へ嵌り込み、底板82b1の外縁が平坦部82c6に引っ掛かることで位置決めされることとなる(図12(B)に、連結状態を示す)。また貫通孔82b3と連結孔82c2が直線状に配置されることとなり、貫通孔82b3内を通って温水供給ノズル48又は試薬分注ノズル24をフィルタ配置部82c3に配置したフィルタ82d上へ降下させることが可能となる。
【0020】
上蓋82aは、ベース82a1と枠部82a2を有し、担体充填皿82bを捕集ユニット80にセットするための部材である。ベース82a1は、担体充填皿82bを配置するための載置台であり、担体充填皿82bにおける底板82b1よりも若干大きく、本体の第2壁部82c7よりも若干小さい直径を持つ円形であり、中心に突起82a3を有する。突起82a3は円柱状を成し、その直径は担体充填皿82bに設けられた貫通孔82b3の直径に合わせられている。このような構成とすることにより、貫通孔82b3に突起82a3を挿通させた状態で担体充填皿82bを配置することが可能となる。これにより、送風ファン84を稼動させて捕集ユニット10に概ね垂直に当たる気流によってベース82a1上で担体充填皿82bが位置ずれすることが無くなる。枠部82a2は、ベース82a1の外縁に設けられた壁部であり、担体充填皿82bを配置する面と反対側に向けて立設されている。枠部82a2の外周上には複数の凸部(不図示)が設けられており、上述した第2壁部82c7との間で、バヨネット方式の連結機構を成すこととなる。
【0021】
フィルタ固定リング82eは、本体82cの凹溝部82c3aに配置したフィルタ82dを固定するための部材であり、凹溝部82c3aとすり鉢部82c3bの形状、および第3壁部82c8の高さに合わせて形成された凸部82e1と、当該凸部82e1の下端外周に形成されるフランジ部82e2とより成る。フィルタ固定部82eも、凸部82e1の外周に、第3壁部82c8に設けたL字状の溝82c8aに合わせた凸部(不図示)を有し、フィルタ配置部82c3との間において、バヨネット方式の連結機構を成すこととなる。
【0022】
捕集担体カートリッジ82の担体充填皿82bには、生菌を捕集するための捕集担体90が備えられる。本実施形態に係る捕集担体90は、捕集時(常温)においてはゲル状を成し、加熱することによって40℃以下でゾル化するものが使用される。特に相転移温度が15℃〜37℃であり、25℃で適度な強度のゲル状であると共に、37℃のときに数分でゾル状に相転移するものが好ましい。この温度範囲で相転移させることによって、捕集した生菌を死滅させることなく、取り出すことができる。捕集担体90は一例として、ゼラチン又はNAGAm/MBPDAを含むものが好ましい。このため、加熱された捕集担体90は、ゾル状となって本体82cの貯留部82c1に貯留されると共に、温水供給部42より供給される希釈用温水により希釈されることとなる。
【0023】
送風ファン84は、捕集ユニット80内に空気を吸引し、上述した担体充填皿82bにおける捕集担体90に、空気中の浮遊菌を衝突させる役割を担う。送風ファン84自体の汚染による検出誤差を避けるため、送風ファン84は、上述した担体充填皿82bの配置位置よりも下流側(本実施形態に係る捕集ユニット80では上部を吸引口とするため下部側)に配置することが望ましい。捕集ユニット80では、送風ファン84の送風量と稼動時間により、捕集対象とする空気の量を定めることができる。
【0024】
インパクタノズルヘッド86は、捕集ユニット80の上部に配置され、担体充填皿82bのカバー兼加速器としての役割を担う。担体充填皿82bの捕集担体90に生菌を衝突させて担持させるためには、捕集ユニット80へ流入する空気の流速が、ある程度速い必要がある。しかし、速い流速を得るためには、可動部となる送風ファン84を大きくしたり、ファン回転を高回転化させる必要が生じ、捕集ユニット80の大型化などが懸念される。
【0025】
図5は捕集ユニットを構成するインパクタノズルヘッド及び捕集担体カートリッジの分解斜視図である。図6はインパクタノズルヘッドの平面図である。図7は図6のA部の部分拡大図である。図8はノズル孔の説明図である。インパクタノズルヘッド86には、複数の小径口のノズル孔87が設けられ、送風ファン84により吸入された空気が、当該ノズル孔87を通過して捕集担体90へ衝突させられることとなる。空気の流量を一定とした場合、通過流路の面積を狭めることにより、通過する流体の流速を上げることができる。このため、送風ファン84の大型化や高回転化を行うこと無く、必要な流速を得ることができるようになる。
【0026】
図6に示すようにインパクタノズルヘッド86には複数のノズル孔87を形成している。なおインパクタノズルヘッド86の中心であって、上蓋82aの突起82a3及び担体充填皿82bの貫通孔82b3と対向する箇所にはノズル孔87を穿孔していない。ノズル孔87は、隣接する孔同士を互い違いに所定の間隔の2列配置となる千鳥状の配置にすることができる。一例として本実施形態のノズル孔87は円形のインパクタノズルヘッド86を平面視して、図7に示すように隣接するノズル孔同士の孔中心が正三角形の各頂点位置に配置している。このような構成によりノズル孔87と対向する捕集担体90に対して均一に空気を衝突させることができる。この他にもノズル孔87は、ノズル孔同士の中心が直角二等辺三角形の各頂点位置に配置された千鳥配置に設定することもでき、捕集担体90に対して均一に空気を衝突させるようにしている。
【0027】
またノズル孔87同士の孔ピッチは、正三角形の一辺(孔中心間の距離)が2.6mmとなる長さに設定している。さらにノズル孔87は孔径を0.6mmに設定している。そしてインパクタノズルヘッド86と捕集担体90との離間距離を1.5mmに設定している。このような構成によりノズル孔87を通過する空気の風速を40〜50m/sに設定できる。
【0028】
排気フィルタ88は、送風ファン84の下流側(本実施形態に係る捕集ユニット80では下側)に配置され、排気に含まれる塵埃を除去する役割を担う。排気フィルタ88は一例として、ファン駆動モータの外周を覆う円筒形のULPA(Ultra Low Penetration Air Filter)フィルタを用いることができる。
このような構成とすることにより、本実施形態に係る捕集ユニット80は、ノズル孔の空気の風速を所定の速度に維持しつつ、ファンを大型化することなくユニット全体の小型軽量なものとすることができる。
【0029】
計測ユニット12は、試薬分注部14、温水供給部42、試薬・担体容器搭載部54、バッファ供給部64、濾過部72、PMT(Photomultiplier Tube:光電子増倍管)部78、および入力・制御部(以下、単に制御部と称す)11を有する。このような各構成要素を外殻内に配置している。
【0030】
試薬分注部14は、3軸アクチュエータ16、試薬分注ノズル24、およびシリンジポンプ32を基本として構成されている。3軸アクチュエータ16は、詳細を後述する試薬分注ノズル24を所望位置へ移動させるための手段である。このため、3軸アクチュエータ16は図9に詳細を示すように、Y軸機構部18とX軸機構部20、およびZ軸機構部22より構成されることとなる。Y軸機構部18は、装置上部に配置可能とすることより、スペース的な制限が少ない。このため、本実施形態における計測ユニット12では、ステッピングモータ18aを駆動アクチュエータとし、リニアガイド18bに取り付けた稼動部18cを駆動ベルト18dにより摺動させる構成としている。
【0031】
これに対し、稼動部18cに取り付けられるX軸機構部20とZ軸機構部22は、スペース的な余裕を持たせることが難しい。このため、X軸機構部20とZ軸機構部22には共に、コンパクトアクチュエータを採用した。コンパクトアクチュエータとは、中空ロータに、大口径スラスト軸系を組み込むことで、モータと突出軸を一体化させた小型アクチュエータである。動作原理としては、駆動系をステッピングモータとし、突出軸をボールネジとしている。このため、小型でありながら、高精度な位置決めを可能とする。
【0032】
試薬分注ノズル24は、発光計測に用いる各種試薬を所望量分取・分注する役割を担うノズルである。試薬分注ノズル24は図10、図11に示すように、Z軸機構部22であるコンパクトアクチュエータに取り付けられたスライドガイド26に備えられた固定ブロック28により支持されている。このような支持形態を採ることにより、昇降動作の安定化を図ることができる。なお、図10において、図10(A)は、3軸アクチュエータ16の概略構成と試薬分注ノズル24との関係を示す正面ブロック図であり、図10(B)は、同図(A)における上面構成を示すブロック図である。また、図11は、Z軸機構部22と試薬分注ノズル24との関係を示す参考斜視図である。
【0033】
試薬分注ノズル24の後端には、詳細を後述するシリンジポンプ32に接続された分注動作用配管30が接続されている。試薬分注ノズル24は、この分注動作用配管30を介してノズル内に負圧をかけることにより試薬を分取し、ノズル内に正圧をかけることにより、分取した試薬を分注する。なお、試薬分注ノズル24は、ガラス製の管の他、樹脂製や金属性の管により構成しても良い。
【0034】
シリンジポンプ32は、上述した試薬分注ノズル24による試薬の分取、分注を行うための作動流体(本実施形態では純水)の制御を行う役割を担う。シリンジポンプ32は、シリンジ34とプランジャ36、およびアクチュエータ38を基本として構成される。シリンジ34は、作動流体である純水を貯留するタンクである。プランジャ36は、シリンジ34内に負圧または正圧をかけることにより、シリンジ34内への純水の導入と純水の排出を行う役割を担う押し棒である。アクチュエータ38は、プランジャ36の押し込み、あるいは引抜きを行うための駆動手段である。アクチュエータ38には、ステッピングモータとボールネジなどを用いることにより、高精度な位置制御が可能となる。
【0035】
このような構成のシリンジポンプ32におけるシリンジ34の先端には、分注動作用配管30の一端が接続されており、分注動作用配管30の他端は、上述した試薬分注ノズル24に接続されている。分注動作用配管30をこのように接続することにより、プランジャ36を引抜くことによりシリンジ34内には純水が溜まり、試薬分注ノズル24のノズル内に負圧が付与され、試薬分注ノズル24内への試薬の注入(分取)が成されることとなる。逆に、プランジャ36を押し込んだ場合には、シリンジ34内から排出された純水が試薬分注ノズル24へ移行されるため、試薬分注ノズル24内の圧力が上がり、試薬分注ノズル24内に溜められた試薬が吐出(分注)されることとなる。
【0036】
分注動作用配管30には、3方弁などの分配弁40を介して、詳細を後述するバッファ供給部64に接続されるバッファ供給配管70が接続されている。このような構成とすることにより、分注動作用配管30内に貯留された動作流体である純水を定期的に入れ替える事ができる。これにより、動作流体が汚染されることによる計測データの誤差を抑制することが可能となる。
【0037】
温水供給部42は、捕集担体90を希釈するための温水を供給する役割を担う。温水供給部42は、ペリスタルティックポンプ44、ヒータ46、および温水供給ノズル48を基本として構成される。ペリスタルティックポンプ44は、樹脂チューブとローラ、およびアクチュエータとを基本として構成される(いずれも不図示)。樹脂チューブは、送液用に用いられるチューブであり、搬送流体(本実施形態では純水)が流されることとなる。機構上、ローラにより押し潰されることとなるため、可撓性と耐久性を備えていることが望ましく、例えばシリコンチューブなどであれば良い。ローラは、樹脂チューブを押し潰しながら、自転と公転を繰り返すことで、押し潰し領域に閉じ込められた搬送流体をローラの公転方向へ押出す役割を担う。ローラにより押し潰された樹脂チューブには、元の形状に戻ろうとする力が働く。そして、搬送流体は非圧縮性流体であるため、複数のローラが連続的に公転することにより、搬送流体の押出しも連続的に行われることとなる。なおアクチュエータは、複数配置されたローラを回転させることのできるものであれば良い。
【0038】
このような構成のペリスタルティックポンプ44によれば、搬送流体(本実施形態では純水)と接触する箇所は、搬送流体が流れるチューブ内のみであるため、ポンプ自体が汚染されない。このため、無菌状態の維持と洗浄が容易となる。
【0039】
ヒータ46は、搬送流体である純水を加熱する役割を担う。ヒータ46の構成については特に限定することは無いが、小型化を重視する場合には、カートリッジヒータやチューブヒータを採用することが望ましい。例えばカートリッジヒータを採用した場合には、ヒータ本体46aの外周に、金属性の配管(以下、単に金属配管46bと称す)を巻回させ、当該巻回させた金属配管46bの内部に搬送流体である純水を送通させるようにすれば良い。このような構成とすることにより、金属配管46b内部の純水は、熱伝達により加熱されることとなるからである。また、チューブヒータを採用した場合には、樹脂配管(チューブ)などの回りにラバーヒータを巻回させ、樹脂チューブ内を送通させる搬送流体である純水を加熱することとなる。このような構成では、樹脂チューブにシリコン樹脂などを採用することにより熱伝達率が良好となる。また、樹脂チューブ、ラバーヒータともに可撓性を有することとなるため、配管の自由度が高く、加熱領域を長く確保することが可能となる。このため、加熱後の温度低下の回避、すなわち温度の安定化を図ることができる。ヒータ46の配置位置については特に限定することは無いが、加熱後の温度低下を防ぐためには、加熱後の送液距離を短くすることが望ましい。よって、本実施形態に係る計測ユニット12では、上述したペリスタルティックポンプ44と、詳細を後述する温水供給ノズル48との間に配置している。
【0040】
温水供給ノズル48は、ペリスタルティックポンプ44により送液され、ヒータ46により加熱された温水(純水)を、詳細を後述する試薬・担体容器搭載部54に配置された捕集担体カートリッジ82の本体82cに供給するための吐出ノズルである。構成としては、金属(SUS)管などであれば良く、ガラス管や、樹脂管などであっても良い。温水供給ノズル48における吐出口と反対側の端部には、ヒータ46を介してペリスタルティックポンプ44に接続された温水供給配管50が接続されている。なお、ペリスタルティックポンプ44における吸引側配管52は、詳細を後述するバッファ供給部64に接続されている。
このように構成された温水供給部42によれば、ペリスタルティックポンプ44を駆動させることにより、温水供給ノズル48から連続的に温水を吐出させることが可能となる。
【0041】
試薬・担体容器搭載部54は、発光測定に用いる試薬や、捕集担体を配置するためのステージである。試薬・担体容器搭載部54には、カートリッジホルダ56や、試薬ラック58、および発光計測チューブホルダ60aなどが配置される。カートリッジホルダ56は、捕集担体カートリッジ82における本体82と担体充填皿82b、フィルタ82d、およびフィルタ固定リング82eをセットするホルダである。カートリッジホルダ56には、ヒータが内蔵され、セットした捕集担体カートリッジ82を加熱可能な構成とされている。
【0042】
本実施形態に係るカートリッジホルダは図12に示すように、ホルダ本体56aと、断熱ケース56bとより構成される。なお図12において、図12(A)は、カートリッジホルダの断面構成を示す図であり、図12(B)は、カートリッジホルダに捕集担体カートリッジの本体を組付けた状態を示す断面構成図である。
【0043】
ホルダ本体56aは、詳細を後述する濾過部72における吸引ヘッド76が配置される開口部56a2と、この開口部56a2の外周に設けられるホルダ部とより成る。ホルダ部は、可動ブロック56a4と固定ブロック56a1とより成る。可動ブロック56a4は、捕集担体カートリッジ82における貯留部82c1の外壁に沿った傾斜面56a4aと、この傾斜面56a4aの下端上端に立設される垂直面56a4bとから成る接触面を有する。
【0044】
可動ブロック56a4は、固定ブロック56a1の内側に配置される保持機構である。固定ブロック56a1の内壁面には、上述した捕集担体カートリッジ82の本体82cにおける突起部82c5aが嵌め込まれる溝56a3が形成されている。可動ブロック56a4bは、ホルダ本体56aにセットされた本体82cを支えると共に上方へ押し上げることで、ホルダ本体56aによる本体82cの保持の安定化を図ることができる。
【0045】
ホルダ本体56aは、アルミなど熱伝達効率の良い材質で形成されており、内部に挿入(埋設)されたカートリッジヒータ(ヒータ)56cがホルダ本体56a(と捕集担体カートリッジ82の接触面)を介して捕集担体カートリッジ82を加熱する。なお、ヒータ56はホルダ本体56aにセットされた捕集担体カートリッジ82を所定温度に加熱することができれば手段は問わず、例えば、ホルダ本体56aをリング状もしくはキャップ状に覆うようなラバーヒータなどでも良い。断熱ケース56bは、発熱体であるホルダ本体56aが、直接外部に晒されることが無いように、ホルダ本体56aの外周面、および上面を覆うためのカバーである。断熱ケース56bの構成部材については、特に限定するものでは無いが、熱伝導率の低い物質、例えば耐熱性を有する樹脂などであることが望ましい。このような構成とすることにより、(カートリッジ)ヒータ56cは、熱伝達と熱伝導の作用により、ホルダ本体56aを介して捕集担体カートリッジ82の本体82cを加熱することができる。
【0046】
試薬ラック58には、発光測定に用いる試薬を充填した試薬カートリッジが配置される。試薬カートリッジは、図13に示すように、複数に仕切られた各凹部(図13(B)に示す例では9つ)に、それぞれ種類の異なる試薬や純水等が充填されたパッケージであり、凹部の上部開口部は、アルミシート(膜)などにより封止されている。このような構成とすることにより、アルミシートが剥がされて開封されるまでは、試薬が外部に晒されることが無く、ストックされている試薬が生菌等により汚染されることが無い。なお、図13において、図13(A)は、試薬・担体容器搭載部54の上面図であり、図13(B)は、試薬カートリッジ62の上面図である。
【0047】
発光計測チューブホルダ60aには、発光計測チューブ60が配置されている。発光計測チューブ60は、捕集担体カートリッジ82におけるフィルタ82dに捕集された生菌から抽出したATPの発光反応を実施するためのマイクロチューブである。
【0048】
バッファ供給部64は、試薬分注ノズル制御用水タンク(以下、単に制御用水タンク66と称す)と、温水供給用水タンク68を有する。試薬分注ノズル24を使用した後の工程には、遊離ATPを除去する工程を含まないため、シリンジポンプ32と試薬分注ノズル24を繋ぐ分注動作用配管30に充填される制御用水タンク66内の水(純水)は、温水供給用水タンク68内の水(純水)よりも清浄度を高く保つ必要がある。このため、制御用水タンク66は、温水供給用タンク68に比べて、その容量を小さくし、貯留水の交換を適宜行うようにしている。なお、温水供給用水タンク68内の水は、カートリッジホルダ56にセットされた捕集担体カートリッジ82の本体82cにおける貯留部82c1に注がれるため、制御用水タンク66に比べて多くの容量を必要とする。
【0049】
このように設定された制御用水タンク66は、バッファ供給配管70により、分注動作用配管30における分配弁40に接続され、当該分配弁40の切り替えにより、分注動作用配管30への純水の供給を可能な構成としている。また、温水供給用水タンク68は、上述したペリスタルティックポンプ44の吸引側に接続され、ペリスタルティックポンプ44の駆動により吸い上げられることとなる。
【0050】
濾過部72は、温水供給ノズル48から吐出された温水により希釈された貯留部82c1内の捕集担体90(捕集担体溶液)を除去する役割を担う。濾過部72は、吸引ポンプ74と吸引ヘッド76を基本として構成される。吸引ポンプ74は、詳細を後述する吸引ヘッド76の内部に負圧を生じさせるためのポンプである。また吸引ヘッド76は、先端開放型の筒状体である。吸引ヘッド76の先端は、捕集担体カートリッジ82におけるフィルタ固定リング82eの下面平坦部に接触する。このため、吸引ヘッド76の先端にはOリング76aが配置され、吸引時におけるエアのリークを防止可能な構成とされている。
【0051】
また、吸引ヘッド76には、制御部11からの制御信号により、所定の圧力でカートリッジホルダ56に組み付けられた捕集担体カートリッジ82の本体82cの下端部、すなわちフィルタ固定リング82eの下面に当該吸引ヘッド76の先端を押し付ける働きを担うアクチュエータ(不図示)が備えられている。このような構成とすることにより、吸引時にはカートリッジホルダ56に固定された本体82cの下面側に所定の圧力を付与した状態が維持されることとなる。
【0052】
このような基本構成を有する濾過部72では、先端をカートリッジホルダ56の下部に接続し、吸引ポンプ74を稼動させることにより、温水により希釈された捕集担体を、フィルタ82dを介して吸引除去することができる。
PMT部78は、発光計測チューブ60内におけるATPの発光量を測定する役割を担う。本実施形態における計測ユニット12では、PMT部78をヘッドオン型とし、上述した発光計測チューブ60の下部に配置する構成とした。このような構成とすることにより、発光計測チューブ60内で生じた光がPMT部78の上部から入射され、その発光量が計測されることとなる。
【0053】
なお、制御部11は、発光計測装置に対する入力値に対して、上記各構成要素を制御することで、発光測定の自動化を図る要素である。
上記のような基本構成を有する捕集ユニット80と、計測ユニット12から成る発光測定装置10では、まず、捕集ユニット80を捕集場所に設置し作動させ、捕集場所における空中浮遊菌を吸入し、捕集ユニット80に捕集する。(ステップ100:図14参照)。
【0054】
捕集ユニット80による捕集工程は、具体的には送風ファン84を稼動させることにより捕集ユニット80の外部の空気をインパクタノズルヘッド86の上面に千鳥配置されたノズル孔87から吸引し、さらに排気フィルタ88と排気口を経由して捕集ユニット80の外部に排出する。ノズル孔87を通過する空気の流速は40m/s〜50m/sであり、空気中の浮遊菌は図8に示すようにノズル孔87を通じて捕集ユニット80に概ね垂直に当たる気流によって運ばれ、慣性によりゲル状の捕集担体90と衝突して捕集される。空気や菌より粒径の小さい微粒子は、捕集担体90と衝突後、捕集担体90の表面と平行な方向に向きを変えて、空隙、送風ファン84、排気フィルタ88へと運ばれる。菌より粒径の小さな微粒子は排気フィルタ88に捕捉され、微粒子を含まない清浄な空気が排気フィルタ88、排気口を介して捕集ユニット80の外部に排気される。
【0055】
次に、生菌を捕集した捕集担体カートリッジ82における担体充填皿82bを捕集ユニット80から取り出し、本体82cにセットした状態で、計測ユニット12のカートリッジホルダ56に組み付ける。カートリッジホルダ56にセットされた本体82cは、ヒータ56cにより加熱される。加熱により、捕集担体はゾル化する。ゾル化した捕集担体90は、本体82cの貯留部82c1に貯留されると共に、担体補充皿82bの貫通孔82b3内に挿入した温水供給ノズル48から供給される温水により希釈される。そして、希釈された捕集担体90(捕集担体溶液)は、フィルタ82dを介して濾過部72により吸引除去され、フィルタ82dには、捕集担体90に捕集された生菌および遊離ATPが残留することとなる。ここで、濾過部72には、制御部11から吸引ヘッド76の図示しないアクチュエータに対して制御信号が出力される。制御信号を受けたアクチュエータは、吸引ヘッド76を本体82c下部のフィルタ固定リング82eへ所定の圧力で押付け、本体82cとフィルタ固定リング82eとの間に生ずる隙間を無くす。図示しないアクチュエータが、このような状態を維持している間に、制御部11からは、吸引部の吸引部74へ稼動信号が出力され、捕集担体溶液の吸引動作が成される(ステップ110:図14参照)。
【0056】
捕集担体90を濾過した後、試薬分注部14を稼動させて遊離ATPの除去と生菌からのATP抽出、およびサンプルの分取を行う。まず、担体補充皿82bの貫通孔82b3に挿入した試薬分注ノズル24により試薬カートリッジ62から試薬を分取し、捕集担体カートリッジ82に分注し、遊離ATPを除去する。この作業により、遊離ATPに起因する発光反応による発光量の計測誤差の発生を防ぐことができる。次に、遊離ATPを除去した後の捕集担体カートリッジ82におけるフィルタ82dに対してATP抽出試薬を分注し、生菌由来のATPを抽出する(ステップ120:図14参照)。
【0057】
生菌由来のATPを抽出した後、発光計測チューブ60に対して発光試薬を分注する。その後、フィルタ82dから、生菌由来のATPを分取し、発光試薬が分注された発光計測チューブ60へ分注し、PMT部78により、発光強度の計測を行う(ステップ130:図14参照)。
このような本実施形態の捕集ユニットによれば、ユニット全体の小型化を図った構成であっても、インパクタノズルヘッドのノズル孔を通過する空気を所定の風速に維持することができ、浮遊菌の捕集性能を高めることができる。
【符号の説明】
【0058】
10………発光測定装置、11………入力・制御部(制御部)、12………計測ユニット、14………試薬分注部、16………3軸アクチュエータ、18………Y軸機構部、20………X軸機構部、22………Z軸機構部、24………試薬分注ノズル、26………スライドガイド、28………固定ブロック、30………分注動作用配管、32………シリンジポンプ、34………シリンジ、36………プランジャ、38………アクチュエータ、40………分配弁、42………温水供給部、44………ペリスタルティックポンプ、46………ヒータ、48………温水供給ノズル、50………温水供給配管、52………吸引側配管、54………試薬・担体容器搭載部、56………捕集担体カートリッジホルダ(カートリッジホルダ)、56a………ホルダ本体、56b………断熱ケース、56c………カートリッジヒータ(ヒータ)、58………試薬ラック、60………発光計測チューブ、60a………発光計測チューブホルダ、62………試薬カートリッジ、64………バッファ供給部、66………制御用水タンク、68………温水供給用水タンク、70………バッファ供給配管、72………濾過部、74………吸引ポンプ、76………吸引ヘッド、78………PMT部、80………捕集ユニット、82………捕集担体カートリッジ、82a………上蓋、82b………担体充填皿、82c………本体、82d………フィルタ、82e………フィルタ固定リング、84………送風ファン、86………インパクタノズルヘッド、87………ノズル孔、88………排気フィルタ、90………捕集担体。
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に空中に浮遊する生物細胞を捕集担体で捕集しATP法で測定する発光測定装置に適用可能な捕集ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
各種臨床医学や食品工場、医薬品製造工場、および基礎研究の現場等といった無菌性や生物的清浄度が要求される環境では、空気中の微生物(空中浮遊菌)の数(生菌数)や落下菌、および付着菌等の計数が成される。空中浮遊菌の測定方法として、浮遊菌の捕集には、浮遊菌の自然落下や、一定量の空気を吸引することにより捕集を行う空中浮遊菌サンプラを利用することが一般的である。
【0003】
これらの方法では、捕集した浮遊菌を普通寒天平板培地上に浮遊菌を捕集し、恒温器により2〜3日培養し、培養後に発生したコロニー数をもって生菌の数とする。しかしこのような方法では、生菌を培養するのに時間がかかるという問題が生ずることとなる。
これに対し、短時間に微生物数の計測を行うことを可能とする方法として、細胞内成分であるアデノシン3リン酸(ATP:Adenosine TriPhosphate)を生物発光法で測定することにより、微生物数を換算する方法が知られている。
【0004】
生物発光法は、ルシフェリン−ルシフェラーゼ発光反応が用いられ、基質ルシフェリンと酵素ルシフェラーゼを含む発光試薬と、微生物の細胞から抽出したATPを含むサンプル溶液を混合し、反応させることにより生ずる光の発光量からATP量を求め、生菌1当たりのATP量に基づいて、生菌数を算出するというものである。特許文献1には、このような発光反応を利用して生菌の数を計測するためのキットが開示されている。
【0005】
特許文献1に開示されているキットによる生菌数の計測方法は、計測時間の短縮として確かな効果を挙げることができる。しかし、極微量の生菌計測を対象とした場合には、発光量自体が微量となるため、残留ATPや計測対象外のATPの混入などの影響によるバックグラウンド発光の影響が大きくなり、良好な測定精度を得ることができないという問題があった。
【0006】
これに対し特許文献2には、試薬を分注するためのノズルに付着した生菌や、残留ATPに由来するバックグラウンド発光を抑え、高精度で迅速な発光測定を行うことのできる発光測定装置が開示されている。
特許文献2に開示されているような発光測定装置であれば、極微量の生菌計測を対象とした発光計測であっても、高精度かつ迅速に行うことが可能となると考えられる。
前記浮遊菌の捕集に関し、空中に浮遊する微生物を捕集して検査する作業を容易に且つ短時間で行なうことができる捕集ユニットとして特許文献3が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−155597号公報
【特許文献2】特開2008−249628号公報
【特許文献3】特開2009−131186号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
捕集対象となる室内へ捕集ユニットを容易に持ち運びするため、ユニット全体の小型化が望まれている。しかしながら捕集ユニットは捕集担体に生菌を衝突させて担持させるため、捕集ユニットへ流入する空気の流速がある程度必要となる。可動部の小型化に伴い捕集ユニットへ流入する空気の流速が遅くなり、捕集時間が長期化してしまうというおそれがあった。
そこで本発明では、小型化しても空気中の浮遊菌を効率的に捕集することができる捕集担体を用いた捕集ユニットを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため本発明の捕集ユニットは、中心に温水又はATP試薬の供給用ノズルが挿入される貫通孔を穿孔し、前記貫通孔の外周に空気中の浮遊菌を捕集する捕集担体を充填する担体充填皿と、前記貫通孔に挿通させる突起を形成して前記担体充填皿を載置する上蓋と、を備えた捕集担体カードリッジと、前記捕集担体の表面を覆うと共に、前記捕集担体の表面に対向する複数のノズル孔を形成したインパクタノズルヘッドと、前記ノズル孔から前記捕集担体の表面に空気を導入するファンと、を備え、前記ノズル孔を通過する空気の風速が40m/s〜50m/sであることを特徴としている。
【0010】
この場合において、前記ノズル孔は、隣接するノズル孔同士が千鳥配置されているとよい。前記ノズル孔は、隣接するノズル孔同士の孔中心が前記インパクタノズルヘッドを平面視して正三角形の各頂点位置に配置しているとよい。
この場合において、前記ノズル孔は、孔径が0.6mmであり、前記ノズル孔同士の孔ピッチが2.6mmであり、前記インパクタノズルヘッドの下面と前記捕集担体の表面との距離が1.5mmであるとよい。
【発明の効果】
【0011】
上記構成による本発明の捕集ユニットによれば、ユニット全体の小型化を図った構成であっても、インパクタノズルヘッドのノズル孔を通過する空気を所定の風速に維持することができる。これにより浮遊菌の捕集性能を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】発光測定装置の構成を示すブロック図である。
【図2】捕集ユニットの詳細構成を示すブロック図である。
【図3】捕集担体カートリッジの構成を示す分解図である。
【図4】捕集担体カートリッジにおける本体の詳細構成を示す図である。
【図5】捕集ユニットを構成するインパクタノズルヘッド及び捕集担体カートリッジの分解斜視図である。
【図6】インパクタノズルヘッドの平面図である。
【図7】図6のA部の部分拡大図である。
【図8】ノズル孔の説明図である。
【図9】計測ユニットの側面構成を示す概略図である。
【図10】試薬分注ノズルの構成を示すブロック図である。
【図11】Z軸機構部と固定ブロックと試薬分注ノズルの関係を示す参考斜視図である。
【図12】捕集担体カートリッジホルダの構成を示すブロック図である。
【図13】試薬・担体容器搭載部の構成を示す上面図である。
【図14】試薬分取・分注機構における各動作工程を説明するためのフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の捕集ユニットに係る実施の形態について、添付の図面を参照して詳細に説明する。
まず、図1を参照して、本発明の捕集ユニット80を適用可能な発光測定装置10の全体構成について説明する。本実施形態で説明する発光測定装置10は、捕集ユニット80と、計測ユニット12とによって構成されている。
【0014】
捕集ユニット80は図2に示すように、捕集担体カートリッジ82(図3参照)における担体充填皿82bに充填された捕集担体90に、空気中の生菌を捕集するための装置である。捕集ユニット80は、捕集担体カートリッジ82における担体充填皿82b、および上蓋82a、送風ファン84、インパクタノズルヘッド86、および排気フィルタ88を主な基本構成としている。
【0015】
担体充填皿82bを有する捕集担体カートリッジ82は、空気中に浮遊する生菌を捕集するための役割を担う。本実施形態に係る捕集担体カートリッジ82は図3に示すように、本体82cと、担体充填皿82b、上蓋82a、フィルタ82dおよびフィルタ固定リング82eとより成る。
【0016】
本体82cは、貯留部82c1とフィルタ配置部82c3、および連結孔82c2により構成される。貯留部82c1は、詳細を後述するように、溶融させた捕集担体90を温水により希釈した溶液を貯留するための部位である。貯留部82c1の内面は、中央に設けられた連結孔82c2に向けて、すり鉢状の傾斜面82c4により構成され、濾過時には、貯留した溶液を連結孔82c2へ流し込むことが可能に形成されている。すり鉢状の貯留部82c1の上端側には、垂直に形成された第1壁部82c5が設けられ、第1壁部82c5の上端には、フランジ状の平坦部82c6を介してその外側縁部に、第2壁部82c7が設けられている。第2壁部82c7には、内壁にL字状の溝82c7a(図4(B)参照)が形成されており、詳細を後述する上蓋82aをバヨネット方式により連結可能な構成とされている。なお、図4において、図4(A)は捕集担体カートリッジ本体の平面構成を示す図であり、図4(B)は、同本体の正面断面の構成を示す図である。
【0017】
フィルタ配置部82c3は、連結孔82c2の周囲に設けられた凹溝部82c3aと、凹溝部82c3aの周囲に形成されたすり鉢部82c3bとより構成される。なお、すり鉢部82c3bの直径は上述した貯留部82c1の直径よりも小さく形成されている。すり鉢部82c3bの端部には、下方へ向けて形成された第3壁部82c8が形成されている。第3壁部82c8の内壁にも、上記第2壁部82c7と同様にL字状の溝82c8aが形成され、詳細を後述するフィルタ固定リング82eをバヨネット方式により連結可能とされている。
【0018】
このような内部構造を有する捕集担体カートリッジ82の本体82cの外形は、貯留部82c1とフィルタ配置部82c3の内壁に沿って鼓状に形成された外壁と、第1壁部82c5に沿って設けられた第1外壁部、第2壁部82c7の外壁である第2外壁部と第1外壁部を繋ぐ平坦部82c6の外壁、および第3壁部82c8の外壁である第3外壁部より成る。また、貯留部82c1の外壁とフィルタ配置部82c3の外壁との間には、第3外壁部の形成範囲に沿って補強部82c9が形成されている。また、第1壁部82c5の外周上には、上述したカートリッジホルダに本体を固定するための突起部82c5aが設けられている。この突起部82c5aにより、詳細を後述する捕集担体カートリッジホルダ(以下、単にカートリッジホルダと称す)56とバヨネット方式の連結が可能となる。
【0019】
担体充填皿82bは、底板82b1と、内部隔壁82b4、および外部隔壁82b2により構成される。底板82b1は、上述した本体82cにおける第2壁部82c7の直径と同じ、あるいはその直径よりも若干小さい直径を有する平板であれば良く、中央に小径の貫通孔82b3を有する。内部隔壁82b4は、貫通孔82b3に沿って設けられた垂直壁である。また、外部隔壁82b2は、本体82cの第1壁部82c5の直径よりも一回り小さい直径を持つ円として形成された垂直壁であり、内部隔壁82b4と同じ高さを有する。外部隔壁82b2の配置形態をこのような形態とすることにより、底板82b1の外縁部は外部隔壁82b2の外側へと突出したフランジのような形態となる。このため担体充填皿82bは、内部隔壁82b4および外部隔壁82b2を貯留部82c1へ対向させた状態で本体82cに配置すると、外部隔壁82b2が第1壁部82c5の内側へ嵌り込み、底板82b1の外縁が平坦部82c6に引っ掛かることで位置決めされることとなる(図12(B)に、連結状態を示す)。また貫通孔82b3と連結孔82c2が直線状に配置されることとなり、貫通孔82b3内を通って温水供給ノズル48又は試薬分注ノズル24をフィルタ配置部82c3に配置したフィルタ82d上へ降下させることが可能となる。
【0020】
上蓋82aは、ベース82a1と枠部82a2を有し、担体充填皿82bを捕集ユニット80にセットするための部材である。ベース82a1は、担体充填皿82bを配置するための載置台であり、担体充填皿82bにおける底板82b1よりも若干大きく、本体の第2壁部82c7よりも若干小さい直径を持つ円形であり、中心に突起82a3を有する。突起82a3は円柱状を成し、その直径は担体充填皿82bに設けられた貫通孔82b3の直径に合わせられている。このような構成とすることにより、貫通孔82b3に突起82a3を挿通させた状態で担体充填皿82bを配置することが可能となる。これにより、送風ファン84を稼動させて捕集ユニット10に概ね垂直に当たる気流によってベース82a1上で担体充填皿82bが位置ずれすることが無くなる。枠部82a2は、ベース82a1の外縁に設けられた壁部であり、担体充填皿82bを配置する面と反対側に向けて立設されている。枠部82a2の外周上には複数の凸部(不図示)が設けられており、上述した第2壁部82c7との間で、バヨネット方式の連結機構を成すこととなる。
【0021】
フィルタ固定リング82eは、本体82cの凹溝部82c3aに配置したフィルタ82dを固定するための部材であり、凹溝部82c3aとすり鉢部82c3bの形状、および第3壁部82c8の高さに合わせて形成された凸部82e1と、当該凸部82e1の下端外周に形成されるフランジ部82e2とより成る。フィルタ固定部82eも、凸部82e1の外周に、第3壁部82c8に設けたL字状の溝82c8aに合わせた凸部(不図示)を有し、フィルタ配置部82c3との間において、バヨネット方式の連結機構を成すこととなる。
【0022】
捕集担体カートリッジ82の担体充填皿82bには、生菌を捕集するための捕集担体90が備えられる。本実施形態に係る捕集担体90は、捕集時(常温)においてはゲル状を成し、加熱することによって40℃以下でゾル化するものが使用される。特に相転移温度が15℃〜37℃であり、25℃で適度な強度のゲル状であると共に、37℃のときに数分でゾル状に相転移するものが好ましい。この温度範囲で相転移させることによって、捕集した生菌を死滅させることなく、取り出すことができる。捕集担体90は一例として、ゼラチン又はNAGAm/MBPDAを含むものが好ましい。このため、加熱された捕集担体90は、ゾル状となって本体82cの貯留部82c1に貯留されると共に、温水供給部42より供給される希釈用温水により希釈されることとなる。
【0023】
送風ファン84は、捕集ユニット80内に空気を吸引し、上述した担体充填皿82bにおける捕集担体90に、空気中の浮遊菌を衝突させる役割を担う。送風ファン84自体の汚染による検出誤差を避けるため、送風ファン84は、上述した担体充填皿82bの配置位置よりも下流側(本実施形態に係る捕集ユニット80では上部を吸引口とするため下部側)に配置することが望ましい。捕集ユニット80では、送風ファン84の送風量と稼動時間により、捕集対象とする空気の量を定めることができる。
【0024】
インパクタノズルヘッド86は、捕集ユニット80の上部に配置され、担体充填皿82bのカバー兼加速器としての役割を担う。担体充填皿82bの捕集担体90に生菌を衝突させて担持させるためには、捕集ユニット80へ流入する空気の流速が、ある程度速い必要がある。しかし、速い流速を得るためには、可動部となる送風ファン84を大きくしたり、ファン回転を高回転化させる必要が生じ、捕集ユニット80の大型化などが懸念される。
【0025】
図5は捕集ユニットを構成するインパクタノズルヘッド及び捕集担体カートリッジの分解斜視図である。図6はインパクタノズルヘッドの平面図である。図7は図6のA部の部分拡大図である。図8はノズル孔の説明図である。インパクタノズルヘッド86には、複数の小径口のノズル孔87が設けられ、送風ファン84により吸入された空気が、当該ノズル孔87を通過して捕集担体90へ衝突させられることとなる。空気の流量を一定とした場合、通過流路の面積を狭めることにより、通過する流体の流速を上げることができる。このため、送風ファン84の大型化や高回転化を行うこと無く、必要な流速を得ることができるようになる。
【0026】
図6に示すようにインパクタノズルヘッド86には複数のノズル孔87を形成している。なおインパクタノズルヘッド86の中心であって、上蓋82aの突起82a3及び担体充填皿82bの貫通孔82b3と対向する箇所にはノズル孔87を穿孔していない。ノズル孔87は、隣接する孔同士を互い違いに所定の間隔の2列配置となる千鳥状の配置にすることができる。一例として本実施形態のノズル孔87は円形のインパクタノズルヘッド86を平面視して、図7に示すように隣接するノズル孔同士の孔中心が正三角形の各頂点位置に配置している。このような構成によりノズル孔87と対向する捕集担体90に対して均一に空気を衝突させることができる。この他にもノズル孔87は、ノズル孔同士の中心が直角二等辺三角形の各頂点位置に配置された千鳥配置に設定することもでき、捕集担体90に対して均一に空気を衝突させるようにしている。
【0027】
またノズル孔87同士の孔ピッチは、正三角形の一辺(孔中心間の距離)が2.6mmとなる長さに設定している。さらにノズル孔87は孔径を0.6mmに設定している。そしてインパクタノズルヘッド86と捕集担体90との離間距離を1.5mmに設定している。このような構成によりノズル孔87を通過する空気の風速を40〜50m/sに設定できる。
【0028】
排気フィルタ88は、送風ファン84の下流側(本実施形態に係る捕集ユニット80では下側)に配置され、排気に含まれる塵埃を除去する役割を担う。排気フィルタ88は一例として、ファン駆動モータの外周を覆う円筒形のULPA(Ultra Low Penetration Air Filter)フィルタを用いることができる。
このような構成とすることにより、本実施形態に係る捕集ユニット80は、ノズル孔の空気の風速を所定の速度に維持しつつ、ファンを大型化することなくユニット全体の小型軽量なものとすることができる。
【0029】
計測ユニット12は、試薬分注部14、温水供給部42、試薬・担体容器搭載部54、バッファ供給部64、濾過部72、PMT(Photomultiplier Tube:光電子増倍管)部78、および入力・制御部(以下、単に制御部と称す)11を有する。このような各構成要素を外殻内に配置している。
【0030】
試薬分注部14は、3軸アクチュエータ16、試薬分注ノズル24、およびシリンジポンプ32を基本として構成されている。3軸アクチュエータ16は、詳細を後述する試薬分注ノズル24を所望位置へ移動させるための手段である。このため、3軸アクチュエータ16は図9に詳細を示すように、Y軸機構部18とX軸機構部20、およびZ軸機構部22より構成されることとなる。Y軸機構部18は、装置上部に配置可能とすることより、スペース的な制限が少ない。このため、本実施形態における計測ユニット12では、ステッピングモータ18aを駆動アクチュエータとし、リニアガイド18bに取り付けた稼動部18cを駆動ベルト18dにより摺動させる構成としている。
【0031】
これに対し、稼動部18cに取り付けられるX軸機構部20とZ軸機構部22は、スペース的な余裕を持たせることが難しい。このため、X軸機構部20とZ軸機構部22には共に、コンパクトアクチュエータを採用した。コンパクトアクチュエータとは、中空ロータに、大口径スラスト軸系を組み込むことで、モータと突出軸を一体化させた小型アクチュエータである。動作原理としては、駆動系をステッピングモータとし、突出軸をボールネジとしている。このため、小型でありながら、高精度な位置決めを可能とする。
【0032】
試薬分注ノズル24は、発光計測に用いる各種試薬を所望量分取・分注する役割を担うノズルである。試薬分注ノズル24は図10、図11に示すように、Z軸機構部22であるコンパクトアクチュエータに取り付けられたスライドガイド26に備えられた固定ブロック28により支持されている。このような支持形態を採ることにより、昇降動作の安定化を図ることができる。なお、図10において、図10(A)は、3軸アクチュエータ16の概略構成と試薬分注ノズル24との関係を示す正面ブロック図であり、図10(B)は、同図(A)における上面構成を示すブロック図である。また、図11は、Z軸機構部22と試薬分注ノズル24との関係を示す参考斜視図である。
【0033】
試薬分注ノズル24の後端には、詳細を後述するシリンジポンプ32に接続された分注動作用配管30が接続されている。試薬分注ノズル24は、この分注動作用配管30を介してノズル内に負圧をかけることにより試薬を分取し、ノズル内に正圧をかけることにより、分取した試薬を分注する。なお、試薬分注ノズル24は、ガラス製の管の他、樹脂製や金属性の管により構成しても良い。
【0034】
シリンジポンプ32は、上述した試薬分注ノズル24による試薬の分取、分注を行うための作動流体(本実施形態では純水)の制御を行う役割を担う。シリンジポンプ32は、シリンジ34とプランジャ36、およびアクチュエータ38を基本として構成される。シリンジ34は、作動流体である純水を貯留するタンクである。プランジャ36は、シリンジ34内に負圧または正圧をかけることにより、シリンジ34内への純水の導入と純水の排出を行う役割を担う押し棒である。アクチュエータ38は、プランジャ36の押し込み、あるいは引抜きを行うための駆動手段である。アクチュエータ38には、ステッピングモータとボールネジなどを用いることにより、高精度な位置制御が可能となる。
【0035】
このような構成のシリンジポンプ32におけるシリンジ34の先端には、分注動作用配管30の一端が接続されており、分注動作用配管30の他端は、上述した試薬分注ノズル24に接続されている。分注動作用配管30をこのように接続することにより、プランジャ36を引抜くことによりシリンジ34内には純水が溜まり、試薬分注ノズル24のノズル内に負圧が付与され、試薬分注ノズル24内への試薬の注入(分取)が成されることとなる。逆に、プランジャ36を押し込んだ場合には、シリンジ34内から排出された純水が試薬分注ノズル24へ移行されるため、試薬分注ノズル24内の圧力が上がり、試薬分注ノズル24内に溜められた試薬が吐出(分注)されることとなる。
【0036】
分注動作用配管30には、3方弁などの分配弁40を介して、詳細を後述するバッファ供給部64に接続されるバッファ供給配管70が接続されている。このような構成とすることにより、分注動作用配管30内に貯留された動作流体である純水を定期的に入れ替える事ができる。これにより、動作流体が汚染されることによる計測データの誤差を抑制することが可能となる。
【0037】
温水供給部42は、捕集担体90を希釈するための温水を供給する役割を担う。温水供給部42は、ペリスタルティックポンプ44、ヒータ46、および温水供給ノズル48を基本として構成される。ペリスタルティックポンプ44は、樹脂チューブとローラ、およびアクチュエータとを基本として構成される(いずれも不図示)。樹脂チューブは、送液用に用いられるチューブであり、搬送流体(本実施形態では純水)が流されることとなる。機構上、ローラにより押し潰されることとなるため、可撓性と耐久性を備えていることが望ましく、例えばシリコンチューブなどであれば良い。ローラは、樹脂チューブを押し潰しながら、自転と公転を繰り返すことで、押し潰し領域に閉じ込められた搬送流体をローラの公転方向へ押出す役割を担う。ローラにより押し潰された樹脂チューブには、元の形状に戻ろうとする力が働く。そして、搬送流体は非圧縮性流体であるため、複数のローラが連続的に公転することにより、搬送流体の押出しも連続的に行われることとなる。なおアクチュエータは、複数配置されたローラを回転させることのできるものであれば良い。
【0038】
このような構成のペリスタルティックポンプ44によれば、搬送流体(本実施形態では純水)と接触する箇所は、搬送流体が流れるチューブ内のみであるため、ポンプ自体が汚染されない。このため、無菌状態の維持と洗浄が容易となる。
【0039】
ヒータ46は、搬送流体である純水を加熱する役割を担う。ヒータ46の構成については特に限定することは無いが、小型化を重視する場合には、カートリッジヒータやチューブヒータを採用することが望ましい。例えばカートリッジヒータを採用した場合には、ヒータ本体46aの外周に、金属性の配管(以下、単に金属配管46bと称す)を巻回させ、当該巻回させた金属配管46bの内部に搬送流体である純水を送通させるようにすれば良い。このような構成とすることにより、金属配管46b内部の純水は、熱伝達により加熱されることとなるからである。また、チューブヒータを採用した場合には、樹脂配管(チューブ)などの回りにラバーヒータを巻回させ、樹脂チューブ内を送通させる搬送流体である純水を加熱することとなる。このような構成では、樹脂チューブにシリコン樹脂などを採用することにより熱伝達率が良好となる。また、樹脂チューブ、ラバーヒータともに可撓性を有することとなるため、配管の自由度が高く、加熱領域を長く確保することが可能となる。このため、加熱後の温度低下の回避、すなわち温度の安定化を図ることができる。ヒータ46の配置位置については特に限定することは無いが、加熱後の温度低下を防ぐためには、加熱後の送液距離を短くすることが望ましい。よって、本実施形態に係る計測ユニット12では、上述したペリスタルティックポンプ44と、詳細を後述する温水供給ノズル48との間に配置している。
【0040】
温水供給ノズル48は、ペリスタルティックポンプ44により送液され、ヒータ46により加熱された温水(純水)を、詳細を後述する試薬・担体容器搭載部54に配置された捕集担体カートリッジ82の本体82cに供給するための吐出ノズルである。構成としては、金属(SUS)管などであれば良く、ガラス管や、樹脂管などであっても良い。温水供給ノズル48における吐出口と反対側の端部には、ヒータ46を介してペリスタルティックポンプ44に接続された温水供給配管50が接続されている。なお、ペリスタルティックポンプ44における吸引側配管52は、詳細を後述するバッファ供給部64に接続されている。
このように構成された温水供給部42によれば、ペリスタルティックポンプ44を駆動させることにより、温水供給ノズル48から連続的に温水を吐出させることが可能となる。
【0041】
試薬・担体容器搭載部54は、発光測定に用いる試薬や、捕集担体を配置するためのステージである。試薬・担体容器搭載部54には、カートリッジホルダ56や、試薬ラック58、および発光計測チューブホルダ60aなどが配置される。カートリッジホルダ56は、捕集担体カートリッジ82における本体82と担体充填皿82b、フィルタ82d、およびフィルタ固定リング82eをセットするホルダである。カートリッジホルダ56には、ヒータが内蔵され、セットした捕集担体カートリッジ82を加熱可能な構成とされている。
【0042】
本実施形態に係るカートリッジホルダは図12に示すように、ホルダ本体56aと、断熱ケース56bとより構成される。なお図12において、図12(A)は、カートリッジホルダの断面構成を示す図であり、図12(B)は、カートリッジホルダに捕集担体カートリッジの本体を組付けた状態を示す断面構成図である。
【0043】
ホルダ本体56aは、詳細を後述する濾過部72における吸引ヘッド76が配置される開口部56a2と、この開口部56a2の外周に設けられるホルダ部とより成る。ホルダ部は、可動ブロック56a4と固定ブロック56a1とより成る。可動ブロック56a4は、捕集担体カートリッジ82における貯留部82c1の外壁に沿った傾斜面56a4aと、この傾斜面56a4aの下端上端に立設される垂直面56a4bとから成る接触面を有する。
【0044】
可動ブロック56a4は、固定ブロック56a1の内側に配置される保持機構である。固定ブロック56a1の内壁面には、上述した捕集担体カートリッジ82の本体82cにおける突起部82c5aが嵌め込まれる溝56a3が形成されている。可動ブロック56a4bは、ホルダ本体56aにセットされた本体82cを支えると共に上方へ押し上げることで、ホルダ本体56aによる本体82cの保持の安定化を図ることができる。
【0045】
ホルダ本体56aは、アルミなど熱伝達効率の良い材質で形成されており、内部に挿入(埋設)されたカートリッジヒータ(ヒータ)56cがホルダ本体56a(と捕集担体カートリッジ82の接触面)を介して捕集担体カートリッジ82を加熱する。なお、ヒータ56はホルダ本体56aにセットされた捕集担体カートリッジ82を所定温度に加熱することができれば手段は問わず、例えば、ホルダ本体56aをリング状もしくはキャップ状に覆うようなラバーヒータなどでも良い。断熱ケース56bは、発熱体であるホルダ本体56aが、直接外部に晒されることが無いように、ホルダ本体56aの外周面、および上面を覆うためのカバーである。断熱ケース56bの構成部材については、特に限定するものでは無いが、熱伝導率の低い物質、例えば耐熱性を有する樹脂などであることが望ましい。このような構成とすることにより、(カートリッジ)ヒータ56cは、熱伝達と熱伝導の作用により、ホルダ本体56aを介して捕集担体カートリッジ82の本体82cを加熱することができる。
【0046】
試薬ラック58には、発光測定に用いる試薬を充填した試薬カートリッジが配置される。試薬カートリッジは、図13に示すように、複数に仕切られた各凹部(図13(B)に示す例では9つ)に、それぞれ種類の異なる試薬や純水等が充填されたパッケージであり、凹部の上部開口部は、アルミシート(膜)などにより封止されている。このような構成とすることにより、アルミシートが剥がされて開封されるまでは、試薬が外部に晒されることが無く、ストックされている試薬が生菌等により汚染されることが無い。なお、図13において、図13(A)は、試薬・担体容器搭載部54の上面図であり、図13(B)は、試薬カートリッジ62の上面図である。
【0047】
発光計測チューブホルダ60aには、発光計測チューブ60が配置されている。発光計測チューブ60は、捕集担体カートリッジ82におけるフィルタ82dに捕集された生菌から抽出したATPの発光反応を実施するためのマイクロチューブである。
【0048】
バッファ供給部64は、試薬分注ノズル制御用水タンク(以下、単に制御用水タンク66と称す)と、温水供給用水タンク68を有する。試薬分注ノズル24を使用した後の工程には、遊離ATPを除去する工程を含まないため、シリンジポンプ32と試薬分注ノズル24を繋ぐ分注動作用配管30に充填される制御用水タンク66内の水(純水)は、温水供給用水タンク68内の水(純水)よりも清浄度を高く保つ必要がある。このため、制御用水タンク66は、温水供給用タンク68に比べて、その容量を小さくし、貯留水の交換を適宜行うようにしている。なお、温水供給用水タンク68内の水は、カートリッジホルダ56にセットされた捕集担体カートリッジ82の本体82cにおける貯留部82c1に注がれるため、制御用水タンク66に比べて多くの容量を必要とする。
【0049】
このように設定された制御用水タンク66は、バッファ供給配管70により、分注動作用配管30における分配弁40に接続され、当該分配弁40の切り替えにより、分注動作用配管30への純水の供給を可能な構成としている。また、温水供給用水タンク68は、上述したペリスタルティックポンプ44の吸引側に接続され、ペリスタルティックポンプ44の駆動により吸い上げられることとなる。
【0050】
濾過部72は、温水供給ノズル48から吐出された温水により希釈された貯留部82c1内の捕集担体90(捕集担体溶液)を除去する役割を担う。濾過部72は、吸引ポンプ74と吸引ヘッド76を基本として構成される。吸引ポンプ74は、詳細を後述する吸引ヘッド76の内部に負圧を生じさせるためのポンプである。また吸引ヘッド76は、先端開放型の筒状体である。吸引ヘッド76の先端は、捕集担体カートリッジ82におけるフィルタ固定リング82eの下面平坦部に接触する。このため、吸引ヘッド76の先端にはOリング76aが配置され、吸引時におけるエアのリークを防止可能な構成とされている。
【0051】
また、吸引ヘッド76には、制御部11からの制御信号により、所定の圧力でカートリッジホルダ56に組み付けられた捕集担体カートリッジ82の本体82cの下端部、すなわちフィルタ固定リング82eの下面に当該吸引ヘッド76の先端を押し付ける働きを担うアクチュエータ(不図示)が備えられている。このような構成とすることにより、吸引時にはカートリッジホルダ56に固定された本体82cの下面側に所定の圧力を付与した状態が維持されることとなる。
【0052】
このような基本構成を有する濾過部72では、先端をカートリッジホルダ56の下部に接続し、吸引ポンプ74を稼動させることにより、温水により希釈された捕集担体を、フィルタ82dを介して吸引除去することができる。
PMT部78は、発光計測チューブ60内におけるATPの発光量を測定する役割を担う。本実施形態における計測ユニット12では、PMT部78をヘッドオン型とし、上述した発光計測チューブ60の下部に配置する構成とした。このような構成とすることにより、発光計測チューブ60内で生じた光がPMT部78の上部から入射され、その発光量が計測されることとなる。
【0053】
なお、制御部11は、発光計測装置に対する入力値に対して、上記各構成要素を制御することで、発光測定の自動化を図る要素である。
上記のような基本構成を有する捕集ユニット80と、計測ユニット12から成る発光測定装置10では、まず、捕集ユニット80を捕集場所に設置し作動させ、捕集場所における空中浮遊菌を吸入し、捕集ユニット80に捕集する。(ステップ100:図14参照)。
【0054】
捕集ユニット80による捕集工程は、具体的には送風ファン84を稼動させることにより捕集ユニット80の外部の空気をインパクタノズルヘッド86の上面に千鳥配置されたノズル孔87から吸引し、さらに排気フィルタ88と排気口を経由して捕集ユニット80の外部に排出する。ノズル孔87を通過する空気の流速は40m/s〜50m/sであり、空気中の浮遊菌は図8に示すようにノズル孔87を通じて捕集ユニット80に概ね垂直に当たる気流によって運ばれ、慣性によりゲル状の捕集担体90と衝突して捕集される。空気や菌より粒径の小さい微粒子は、捕集担体90と衝突後、捕集担体90の表面と平行な方向に向きを変えて、空隙、送風ファン84、排気フィルタ88へと運ばれる。菌より粒径の小さな微粒子は排気フィルタ88に捕捉され、微粒子を含まない清浄な空気が排気フィルタ88、排気口を介して捕集ユニット80の外部に排気される。
【0055】
次に、生菌を捕集した捕集担体カートリッジ82における担体充填皿82bを捕集ユニット80から取り出し、本体82cにセットした状態で、計測ユニット12のカートリッジホルダ56に組み付ける。カートリッジホルダ56にセットされた本体82cは、ヒータ56cにより加熱される。加熱により、捕集担体はゾル化する。ゾル化した捕集担体90は、本体82cの貯留部82c1に貯留されると共に、担体補充皿82bの貫通孔82b3内に挿入した温水供給ノズル48から供給される温水により希釈される。そして、希釈された捕集担体90(捕集担体溶液)は、フィルタ82dを介して濾過部72により吸引除去され、フィルタ82dには、捕集担体90に捕集された生菌および遊離ATPが残留することとなる。ここで、濾過部72には、制御部11から吸引ヘッド76の図示しないアクチュエータに対して制御信号が出力される。制御信号を受けたアクチュエータは、吸引ヘッド76を本体82c下部のフィルタ固定リング82eへ所定の圧力で押付け、本体82cとフィルタ固定リング82eとの間に生ずる隙間を無くす。図示しないアクチュエータが、このような状態を維持している間に、制御部11からは、吸引部の吸引部74へ稼動信号が出力され、捕集担体溶液の吸引動作が成される(ステップ110:図14参照)。
【0056】
捕集担体90を濾過した後、試薬分注部14を稼動させて遊離ATPの除去と生菌からのATP抽出、およびサンプルの分取を行う。まず、担体補充皿82bの貫通孔82b3に挿入した試薬分注ノズル24により試薬カートリッジ62から試薬を分取し、捕集担体カートリッジ82に分注し、遊離ATPを除去する。この作業により、遊離ATPに起因する発光反応による発光量の計測誤差の発生を防ぐことができる。次に、遊離ATPを除去した後の捕集担体カートリッジ82におけるフィルタ82dに対してATP抽出試薬を分注し、生菌由来のATPを抽出する(ステップ120:図14参照)。
【0057】
生菌由来のATPを抽出した後、発光計測チューブ60に対して発光試薬を分注する。その後、フィルタ82dから、生菌由来のATPを分取し、発光試薬が分注された発光計測チューブ60へ分注し、PMT部78により、発光強度の計測を行う(ステップ130:図14参照)。
このような本実施形態の捕集ユニットによれば、ユニット全体の小型化を図った構成であっても、インパクタノズルヘッドのノズル孔を通過する空気を所定の風速に維持することができ、浮遊菌の捕集性能を高めることができる。
【符号の説明】
【0058】
10………発光測定装置、11………入力・制御部(制御部)、12………計測ユニット、14………試薬分注部、16………3軸アクチュエータ、18………Y軸機構部、20………X軸機構部、22………Z軸機構部、24………試薬分注ノズル、26………スライドガイド、28………固定ブロック、30………分注動作用配管、32………シリンジポンプ、34………シリンジ、36………プランジャ、38………アクチュエータ、40………分配弁、42………温水供給部、44………ペリスタルティックポンプ、46………ヒータ、48………温水供給ノズル、50………温水供給配管、52………吸引側配管、54………試薬・担体容器搭載部、56………捕集担体カートリッジホルダ(カートリッジホルダ)、56a………ホルダ本体、56b………断熱ケース、56c………カートリッジヒータ(ヒータ)、58………試薬ラック、60………発光計測チューブ、60a………発光計測チューブホルダ、62………試薬カートリッジ、64………バッファ供給部、66………制御用水タンク、68………温水供給用水タンク、70………バッファ供給配管、72………濾過部、74………吸引ポンプ、76………吸引ヘッド、78………PMT部、80………捕集ユニット、82………捕集担体カートリッジ、82a………上蓋、82b………担体充填皿、82c………本体、82d………フィルタ、82e………フィルタ固定リング、84………送風ファン、86………インパクタノズルヘッド、87………ノズル孔、88………排気フィルタ、90………捕集担体。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心に温水又はATP試薬の供給用ノズルが挿入される貫通孔を穿孔し、前記貫通孔の外周に空気中の浮遊菌を捕集する捕集担体を充填する担体充填皿と、前記貫通孔に挿通させる突起を形成して前記担体充填皿を載置する上蓋と、を備えた捕集担体カードリッジと、
前記捕集担体の表面を覆うと共に、前記捕集担体の表面に対向する複数のノズル孔を形成したインパクタノズルヘッドと、
前記ノズル孔から前記捕集担体の表面に空気を導入するファンと、
を備え、
前記ノズル孔を通過する空気の風速が40m/s〜50m/sであることを特徴とする捕集ユニット。
【請求項2】
前記ノズル孔は、隣接するノズル孔同士が千鳥配置されていることを特徴とする請求項1に記載の捕集ユニット。
【請求項3】
前記ノズル孔は、隣接するノズル孔同士の孔中心が前記インパクタノズルヘッドを平面視して正三角形の各頂点位置に配置したことを特徴とする請求項2に記載の捕集ユニット。
【請求項4】
前記ノズル孔は、孔径が0.6mmであり、前記ノズル孔同士の孔ピッチが2.6mmであり、前記インパクタノズルヘッドの下面と前記捕集担体の表面との距離が1.5mmであることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の捕集ユニット。
【請求項1】
中心に温水又はATP試薬の供給用ノズルが挿入される貫通孔を穿孔し、前記貫通孔の外周に空気中の浮遊菌を捕集する捕集担体を充填する担体充填皿と、前記貫通孔に挿通させる突起を形成して前記担体充填皿を載置する上蓋と、を備えた捕集担体カードリッジと、
前記捕集担体の表面を覆うと共に、前記捕集担体の表面に対向する複数のノズル孔を形成したインパクタノズルヘッドと、
前記ノズル孔から前記捕集担体の表面に空気を導入するファンと、
を備え、
前記ノズル孔を通過する空気の風速が40m/s〜50m/sであることを特徴とする捕集ユニット。
【請求項2】
前記ノズル孔は、隣接するノズル孔同士が千鳥配置されていることを特徴とする請求項1に記載の捕集ユニット。
【請求項3】
前記ノズル孔は、隣接するノズル孔同士の孔中心が前記インパクタノズルヘッドを平面視して正三角形の各頂点位置に配置したことを特徴とする請求項2に記載の捕集ユニット。
【請求項4】
前記ノズル孔は、孔径が0.6mmであり、前記ノズル孔同士の孔ピッチが2.6mmであり、前記インパクタノズルヘッドの下面と前記捕集担体の表面との距離が1.5mmであることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の捕集ユニット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−203166(P2011−203166A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−72059(P2010−72059)
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【出願人】(000005452)株式会社日立プラントテクノロジー (1,767)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【出願人】(000005452)株式会社日立プラントテクノロジー (1,767)
【Fターム(参考)】
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