説明

捕集装置、分離方法、および表示方法

【課題】微生物中の生死菌を好適に分離することのできる捕集装置を提供する。
【解決手段】捕集システム1は、液体を貫流させるための貫流管および貫流管に向かう位置に設置された複数の電極とを備えた捕集装置と、貫流管内で液体を所定の液流方向に沿って搬送するためのポンプ800およびチューブ400A,Bと、捕集装置の複数の電極のそれぞれの周波数を制御するための制御装置200とを含む。上記複数の電極には、液流方向の上流側から下流側に段階的に配列された第1の電極と第2の電極とが含まれ、制御装置は、第1の電極で試料液中の生菌を捕集するよう第1の電極の周波数を制御し、第2の電極で第1の電極を通過した後の試料液中の死菌を捕集するよう第2の電極の周波数を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は捕集装置、分離方法、および表示方法に関し、特に、誘電泳動力を利用して試料液中の菌を捕集し、生死菌を分離する捕集装置、分離方法、および表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、サルモネラ菌、ブドウ球菌、ボツリヌス菌、および病原性大腸菌O−157といった微生物に起因する食中毒の被害が問題になっている。関係企業では、これらの微生物に対する予防・衛生に関わる講習会や啓蒙活動などを行なう一方で、高額な設備投資を通じて事故拡散を未然に防ごうとしており、微生物を簡易かつ迅速に検出する様々な試薬や装置が提案されている。
【0003】
微生物などのタンパク質を含む標的菌を効率よく濃縮して、かかる濃縮液を分析する濃縮技術の提供は、飲料水、食肉、惣菜、加工食品等の飲料・食品分野や、製薬、製剤、薬品、化粧品等の製薬・化粧品分野や、エイズ、結核菌、鳥インフルエンザ等の臨床・医療分野や、DNA・RNA、たんぱく質、核酸等のバイオ産業分野や、温泉、水処理、下水処理等の環境測定分野や、船舶バラスト、湾岸管理、海洋汚染等の海洋測定分野など、様々な分野で活躍することが期待される。
【0004】
微生物を捕集する方法として、たとえば特開2007−6858号公報(特許文献1)にも開示されているように、最近、誘電泳動力を利用した捕集方法が注目されている。上記特許文献1は、微生物が有する電荷に依存することなく、荷電量がわずかな微生物を低電圧で捕集できるとして、誘電泳動法による微生物の分離を目的としたチップを開示している。
【0005】
また、鈴木雅登らによる「誘電泳動法による微小流体中での微生物の生死分離」(非特許文献1)においては、微生物中の生死菌を分離するための原理説明がなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−6858号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】鈴木雅登、外3名,「誘電泳動法による微小流体中での微生物の生死分離」,分析化学,日本分析化学会,2005年,第54巻,第12号,p.1189−1195
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上述のような様々な分野において、試料液中の生菌と死菌とのそれぞれの菌を捕集したいというニーズがある。
【0009】
特許文献1の技術を用いて捕集すると生菌と死菌とが分離されず、上のニーズに応じることができないという問題があった。
【0010】
非特許文献1には分離の原理が開示されているものの、具体的に装置にて実現する方法を開示しておらず、その原理に基づいた実際の分離が難しいという問題があった。
【0011】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであって、試料液中の微生物を誘電泳動力によって捕集し、微生物中の生死菌を好適に分離することのできる捕集装置、分離方法、および表示方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明のある局面に従うと、捕集装置は、試料液中の菌を捕集するための捕集装置であって、液体を貫流させるための貫流管と、貫流管に向かう位置に設置された複数の電極と、貫流管内で液体を所定の液流方向に沿って搬送するための搬送機構と、複数の電極のそれぞれの周波数を制御するための制御装置とを備える。複数の電極は、液流方向の上流側から下流側に段階的に配列された第1の電極と第2の電極とを含む。制御装置は、第1の電極で貫流管に貫流された試料液中の生菌を捕集するよう第1の電極の周波数を制御し、第2の電極で第1の電極を通過した後の試料液中の死菌を捕集するよう第2の電極の周波数を制御する。
【0013】
好ましくは、貫流管内の試料液中の生菌、死菌共に生じる誘電泳動力を、搬送機構で搬送される試料液が生菌および死菌に及ぼす応力よりも大きいものとする周波数を第1の周波数とし、貫流管内の試料液中の死菌に生じる誘電泳動力を搬送機構で搬送される試料液が死菌に及ぼす応力よりも小さいものとし、試料液中の生菌に生じる誘電泳動力を搬送機構で搬送される試料液が生菌に及ぼす応力よりも大きいものとする周波数を第2の周波数とすると、制御装置は、第1の電極の周波数を第2の周波数とし、第2の電極の周波数を第1の周波数とする。
【0014】
好ましくは、貫流管内の試料液中の生菌、死菌共に生じる誘電泳動力を、搬送機構で搬送される試料液が生菌および死菌に及ぼす応力よりも大きいものとする周波数を第1の周波数とし、貫流管内の試料液中の死菌に生じる誘電泳動力を搬送機構で搬送される試料液が死菌に及ぼす応力よりも小さいものとし、試料液中の生菌に生じる誘電泳動力を搬送機構で搬送される試料液が生菌に及ぼす応力よりも大きいものとする周波数を第2の周波数とすると、制御装置は、第1の電極の周波数を第1の周波数とした後に、第1の電極の周波数を第1の周波数から第2の周波数に切り替え、かつ、第2の電極の周波数を第1の周波数とする。
【0015】
好ましくは、複数の電極は、第1の電極よりも液流方向の上流側に配列された第3の電極をさらに含み、制御装置は、第3の電極で貫流管に貫流された試料液中の生菌および死菌を捕集するよう第3の電極の周波数を制御し、制御装置は、第3の電極の周波数を制御した後に、第3の電極に捕集された生菌および死菌を第3の電極から放出するよう第3の電極の周波数を制御すると共に、第1の電極で生菌を捕集するよう第1の電極の周波数を制御し、かつ、第2の電極で死菌を捕集するよう第2の電極の周波数を制御する。
【0016】
より好ましくは、制御装置は、貫流管に貫流された試料液中の生菌および死菌を捕集するよう第3の電極の周波数を、貫流管内の試料液中の生菌、死菌共に生じる誘電泳動力を搬送機構で搬送される試料液が生菌および死菌に及ぼす応力よりも大きいものとする周波数とする。
【0017】
好ましくは、複数の電極は、第1の電極および第2の電極と液流方向に平行に、液流方向の上流側から下流側に段階的に、それぞれ、第1の電極および第2の電極と液流方向に直交方向に並んで配列された第4の電極および第5の電極を含む。制御装置は、第4の電極で貫流管に貫流された試料液中の生菌を捕集するよう第4の電極の周波数を制御し、第5の電極で第4の電極で捕集された後に放出された生菌を捕集するよう第5の電極の周波数を制御する。
【0018】
本発明の他の局面に従うと、分離方法は、流路の液流方向の上流側から下流側に段階的に配置された複数の電極のそれぞれの周波数を制御することで、当該流路を流れる試料液中の生死菌を分離する方法であって、液流方向に上流側に配列された第1の電極で試料液中の生菌を捕集するよう第1の電極の周波数を制御するステップと、液流方向に第1の電極よりも下流側に配列された第2の電極で第1の電極を通過した後の試料液中の死菌を捕集するよう第2の電極の周波数を制御するステップとを備える。
【0019】
本発明のさらに他の局面に従うと、表示方法は試料液中の菌を捕集装置で捕集し、その結果を表示装置で表示する方法であって、捕集装置は、流路の液流方向の上流側から下流側に段階的に配置された複数の電極を含み、液流方向に上流側に配列された第1の電極で試料液中の生菌を捕集するよう第1の電極の周波数を制御するステップと、液流方向に第1の電極よりも下流側に配列された第2の電極で第1の電極を通過した後の試料液中の死菌を捕集するよう第2の電極の周波数を制御するステップと、捕集された試料液中の生菌と捕集された試料液中の死菌とが同一画面となるような表示位置を特定し、当該表示位置に含まれる生菌と死菌とを表示装置の同一の画面において表示するステップとを備える。
【発明の効果】
【0020】
この発明によると、試料液中の微生物を誘電泳動力によって捕集し、微生物中の生死菌を好適に分離することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】実施の形態にかかる捕集システムの構成の具体例を示す図である。
【図2】捕集システムに含まれる捕集装置の構造を説明するための概略分解図である。
【図3】捕集装置の電極ユニットの、電極の配列の具体例を示す図である。
【図4】電極ユニットに形成される電極のパターン(形状)の具体例を示す図である。
【図5】電極ユニットに形成される電極のパターン(形状)の具体例を示す図である。
【図6】電極ユニットに形成される電極のパターン(形状)の具体例を示す図である。
【図7】電極ユニットに形成される電極のパターン(形状)の具体例を示す図である。
【図8】電極ユニットに形成される電極のパターン(形状)の具体例を示す図である。
【図9】電極パターンの組み合わせの具体例を示す図である。
【図10】電極パターンの組み合わせの具体例を示す図である。
【図11】電極パターンの組み合わせの具体例を示す図である。
【図12】電極パターンの組み合わせの具体例を示す図である。
【図13】電極パターンの組み合わせの具体例を示す図である。
【図14】捕集システムでの第1の動作例の概要を表わすフローチャートである。
【図15】図14のフローチャートの各ステップでの捕集状態を表わした図である。
【図16】図14のフローチャートの各ステップでの捕集状態を表わした図である。
【図17】図14のフローチャートの各ステップでの捕集状態を表わした図である。
【図18】図14のフローチャートの各ステップでの捕集状態を表わした図である。
【図19】図14のフローチャートの各ステップでの捕集状態を表わした図である。
【図20】捕集システムに含まれる制御装置の機能構成の具体例を示すブロック図である。
【図21】制御装置の動作の流れを表わすフローチャートである。
【図22】捕集システムでの第2の動作例の概要を表わすフローチャートである。
【図23】図22のフローチャートの各ステップでの捕集状態を表わした図である。
【図24】図22のフローチャートの各ステップでの捕集状態を表わした図である。
【図25】図22のフローチャートの各ステップでの捕集状態を表わした図である。
【図26】図22のフローチャートの各ステップでの捕集状態を表わした図である。
【図27】図22のフローチャートの各ステップでの捕集状態を表わした図である。
【図28】図22のフローチャートの各ステップでの捕集状態を表わした図である。
【図29】発明者らが行なった捕集システムを用いた捕集動作で撮影された顕微鏡写真である。
【図30】発明者らが行なった捕集システムを用いた捕集動作で撮影された顕微鏡写真である。
【図31】発明者らが行なった捕集システムを用いた捕集動作で撮影された顕微鏡写真である。
【図32】発明者らが行なった捕集システムを用いた捕集動作で撮影された顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。
【0023】
<システム構成>
図1は、本実施の形態にかかる捕集システム1の構成の具体例を示す図である。図1を参照して、捕集システム1は、複数の電極を含む捕集装置100と、内部に電源26を有し、当該電源と捕集装置100の各電極との接続を制御することで該電極への印加を制御するための制御装置200と、洗浄液を保持するための洗浄液チェンバ300Aおよび試料液を保持するための試料液チェンバ300Bと捕集装置100とを接続するためのチューブ400Aと、廃液を保持するための廃液チェンバ300Cと捕集装置100とを接続するためのチューブ400Bと、捕集装置100近傍に設置され、捕集装置100で捕集された菌を撮影するための撮像装置500と、撮像装置500に電気的に接続され、撮影画像を表示するための表示装置600とを含む。
【0024】
<捕集装置の装置構成>
捕集装置100は、後述するように内空を有し、上流側から下流側に液体が貫流する。上流側にチューブ400Aが接続され、下流側にチューブ400Bが接続されている。
【0025】
チューブ400Aには、貫流させる液体を切り替えるための機構の一例としての、三方弁700が接続される。三方弁700は、洗浄液チェンバ300Aとチューブ400Aとの間に設けられた弁700A、試料液チェンバ300Bとチューブ400Aとの間に設けられた弁700B、および捕集装置100とチューブ400Aとの間に設けられた弁700Cとの3つの弁を有し、各弁の開閉が制御装置200によって制御される。すなわち、制御装置200での制御によって、捕集装置100に洗浄液チェンバ300Aがチューブ400Aで接続された状態、または、捕集装置100に試料液チェンバ300Bがチューブ400Aで接続された状態、となる。
【0026】
もちろん、捕集装置100と洗浄液チェンバ300Aまたは試料液チェンバ300Bとの接続を切り替えるための機構は三方弁700のみに限定されず、他の方法であってもよい。
【0027】
チューブ400Bにはポンプ800が接続されている。ポンプ800は制御装置200に電気的に接続され、その稼動が制御装置200によって制御される。すなわち、制御装置200での制御によってポンプ800が稼動することで、図1中の矢印に示されるように、洗浄液チェンバ300Aまたは試料液チェンバ300Bからチューブ400Aを通って捕集装置100を抜け、チューブ400Bを通って廃液チェンバ300Cに達する流路が形成される。
【0028】
図2は、捕集装置100の構造を説明するための概略分解図である。
図2を参照して、捕集装置100は、大きくは、基板10と、電極ユニット11を含む電極部12と、水槽壁面14を有する水槽部13とから構成される。
【0029】
基板10は、電極部12および水槽部13を固定するための、図示しない固定機構を有する。
【0030】
電極部12および水槽部13は基板10上に上記機構によって固定される。詳しくは、電極部12が基板10直上に配置され、該電極部12を間に挟んで水槽部13が基板10上に配置される。
【0031】
水槽部13は水槽壁面14を有し、基板10上に電極部12が固定されることで、基板10を底面とし、基板10と水槽壁面14とでその内部に液体を保持し得る空間である水槽が形成される。
【0032】
水槽に接した捕集装置100の側部には、チューブ400Aを接続するための接続口15Aおよびチューブ400Bを接続するための接続口15Bが配されている。図1では、一例として直方体の捕集装置100の両端部にそれぞれチューブ400Aおよびチューブ400Bが接続される例が示されているが、図2では、他の例として、一方端に接続口15Aおよび接続口15Bが配されてチューブ400Aおよびチューブ400Bが一方端に接続される例が示されている。
【0033】
洗浄液チェンバ300Aまたは試料液チェンバ300Bと接続されたチューブ400Aが接続口15Aに接続され、チューブ400Bが接続口15Bに接続されてチューブ400Bに接続されたポンプ800が稼動することで、水槽内には、接続口15Aから接続口15Bに向かう方向の液流が発生する。
【0034】
電極部12の水槽側の面には、複数の電極が配された電極ユニット11が形成されている。水槽内に液体が保持されることで、電極ユニット11に配された電極が該液体に接し、水槽内の液体に電界を生じさせる。
【0035】
図3は、電極ユニット11の、電極の配列の具体例を示す図である。図3(A)は、電極ユニット11を水槽部13から基板10へ向く方向で見た図であって、この図を上面図とする。図3(B)は、図3(A)中の矢印B方向に見た図であって、この図を側面図とする。また、図中の矢印Fは液流方向を表わしている。
【0036】
図3(A)に示されるように、電極ユニット11には、複数の電極として第1電極11A、第2電極11B、第3電極11C、第4電極11D、および第5電極11Eが、液流方向に他段階に配置される。本発明においては少なくとも2段階に配置されればよく、以降の説明では、一例として液流方向に3段階に配列される例を説明する。
【0037】
なお、以降の説明において、液流方向の最も上流側の電極位置を第1ステージ、第1ステージに下流側に隣接する電極位置を第2ステージ、第2ステージに下流側に隣接する電極位置を第3ステージと称する。第1ステージには液流幅全体に近い幅の1つの電極、第2ステージおよび第3ステージには、それぞれ、液流に対して垂直並んだ、液流幅の概ね半分の幅の2つの電極が配列されるものとする。より詳しい配列例を図3に例示する。
【0038】
すなわち、図3(A)および図3(B)を参照して、第1ステージに1つの電極である第1電極11Aが、第2ステージには2つの電極である第2電極11Bおよび第3電極11Cが、第3ステージには2つの電極である第4電極11Dおよび第5電極11Eが配列される。
【0039】
図4〜図8は、それぞれ、電極ユニット11に形成される電極のパターン(形状)の具体例を示す図である。
【0040】
電極パターンは、一例として図4に示されたような垂直櫛形であってもよいし、図5に示されたような平行櫛形であってもよいし、図6に示されたような「コ」の字形であってもよいし、図7に示されたような交差形斜め形状であってもよいし、図8に示されたような櫛形斜め形状であってもよい。
【0041】
図4に示された垂直櫛形および図5に示された平行櫛形では、n本の垂直電極が等間隔に並列配置され、同形の電極n本が対面から交互に組み合わされている。これによって、2n−1のギャップ数をもつ櫛形の電極パターンが形成される。たとえば、1本の電極は電極幅50μmまたは100μmであって、電極の間隔(ギャップ)は10μmとすることができる。
【0042】
後述するように、捕集装置100では菌は誘電泳動力により電極に保持されて捕集される。垂直櫛形の電極パターンの場合、液流方向に対して電極が垂直に配列されていることから、捕集された菌は誘電泳動力により強固に電極で保持されることになる。そのため、図4に示された垂直櫛形電極は、第1電極11A〜第5電極11Eのいずれにも好適に用いられる。
【0043】
後述するように、捕集装置100における捕集動作においては電極に保持された菌を液流方向に沿って他の電極へと移動(放出)させる。平行櫛形の電極パターンの場合、液流方向に対して電極が平行に配列されていることから、垂直櫛形の電極パターンに比して捕集された菌を別の電極へとスムーズに移動(放出)させることができる。そのため、図5に示された平行櫛形電極は、第1電極11A〜第5電極11Eのいずれにも好適に用いられるである。
【0044】
図6に示された「コ」の字形では、n本の「コ」の字形電極が等間隔に並列配置され、対面から交互に組み合わされている。これによって、2n−1のギャップ数をもつ「コ」の字形の電極パターンが形成される。たとえば、1本の電極は電極幅100μmであって、電極の間隔(ギャップ)は10μmとすることができる。
【0045】
図6に示された「コ」の字形の電極パターンの場合、液流方向に対して電極が平行に配列されている箇所と垂直に配列されている箇所とがあることから、液流方向に対して平行に配列されている箇所から垂直に配列されている箇所へと菌を移動させて集約することができる。後述するように、捕集装置100における捕集動作においては、液流方向に菌を移動させながら下流側の観察位置に捕集する。そのため、図6に示された「コ」の字形電極は、第2電極11Bから第5電極11Eへと分岐するよりも上流側に配置される第1電極11Aに好適に用いられる。
【0046】
図7に示された交差形斜め形状の電極パターンでは、1本の斜め電極とn−1本の「V」の字形電極とが等間隔に並列配置され、同形の電極n本が対面から交互に組み合わされている。これによって、2n−1のギャップ数をもつ電極パターンが形成される。たとえば、1本の電極は電極幅50μmまたは100μmであって、電極の間隔(ギャップ)は10μmとすることができる。
【0047】
図7に示された交差形斜めの電極パターンの場合も「コ」の字形の電極パターンと同様の現象により、斜め電極がある中心部へ菌を集約することができる。そのため、図7に示された交差形斜めの電極もまた、第2電極11Bから第5電極11Eへと分岐するよりも上流側に配置される第1電極11Aに好適に用いられる。
【0048】
図8に示された櫛形斜めの電極パターンでは、n本の「ヘ」の字形電極が等間隔に並列配置されている。これにより、n−1のギャップ数をもつ電極パターンが形成される。たとえば、1本の電極は電極幅50μmまたは100μmであって、電極の間隔(ギャップ)は10μmとすることができる。
【0049】
電極間で保持された菌は電極の向きに従い電極下部へ移動するとともに、電極上流側で保持された菌は、電極下部まで移動したのち、液流方向と平行に移動して集積する。そんため、図4に示された垂直櫛形の電極パターンと比較してより狭い範囲に捕集された菌を集約させることができ、後述する撮影範囲に菌を捕集させるためには好適に用いられる。
【0050】
電極ユニット11の各電極11A〜11Eの形状は、上記図4〜図8の形状を組み合わせ、様々な構成とすることができる。本発明において、第1電極11A〜第5電極11Eそれぞれの形状は特定の形状に限定されるものではなく、例示された形状を様々に組み合わせることができる。そして、その電極上に撮像装置500での撮影領域を設定し、該領域を撮影領域とするよう、撮像装置500を設置する。
【0051】
図9〜図13は、第1電極11A〜第5電極11Eそれぞれの形状の組み合わせの具体例を示す図である。もちろん、本発明における第1電極11A〜第5電極11Eそれぞれの形状の組み合わせは図9〜図13に示されるもののみに限定されるものではない。なお、図9〜図13中の矢印Fは液流方向を表わしている。
【0052】
図9は、第1電極11A〜第5電極11Eすべてが櫛形の電極パターンで形成された例を表わしている。この構成において、これら電極に対する周波数の制御によって第4電極11Dに生菌が捕集され、第5電極11Eに死菌が捕集される場合、図9に示されるように、液流方向に直交する第3ステージの第4電極11Dおよび第5電極11Eをまたぐ領域P1を撮像装置500での撮影領域に設定することで、第4電極11Dに捕集された生菌および第5電極11Eに捕集された死菌が同時に撮影される。
【0053】
なお、他の周波数制御によっては第2電極11Bに生菌が捕集され、第4電極11Dに死菌が捕集される場合もある。この場合、液流方向に並んだ第2ステージの第2電極11Bと第3ステージの第4電極11Dとをまたぐ領域P2を撮像装置500での撮影領域に設定することで、第2電極11Bに捕集された生菌および第4電極11Dに捕集された死菌が同時に撮影される。
【0054】
図10は、第1電極11Aが「コ」の字形の電極パターン、第2電極11B〜第5電極11Eが櫛形の電極パターンで形成された例を表わしている。この構成において、これら電極に対する周波数の制御によって第4電極11Dに生菌が捕集され、第5電極11Eに死菌が捕集される場合、液流方向に直交する第3ステージの第4電極11Dおよび第5電極11Eをまたぐ領域P3を撮像装置500での撮影領域に設定することで、第4電極11Dに捕集された生菌および第5電極11Eに捕集された死菌が同時に撮影される。
【0055】
なお、他の周波数制御によっては第2電極11Bに生菌が捕集され、第4電極11Dに死菌が捕集される場合もある。この場合、液流方向に並んだ第2ステージの第2電極11Bと第3ステージの第4電極11Dとをまたぐ領域P4を撮像装置500での撮影領域に設定することで、第2電極11Bに捕集された生菌および第4電極11Dに捕集された死菌が同時に撮影される。
【0056】
図11は、第1電極11A〜第3電極11Cが櫛形の電極パターン、第4電極11Dおよび第5電極11Eが櫛形斜めの電極パターンで形成された例を表わしている。この構成において、これら電極に対する周波数の制御によって第4電極11Dに生菌が捕集され、第5電極11Eに死菌が捕集される場合、図11に示されるように、液流方向に直交する第3ステージの第4電極11Dおよび第5電極11Eをまたぐ領域であって、特に、菌が集約される櫛形斜めの先端の領域P5を撮像装置500での撮影領域に設定することで、第4電極11Dに捕集された生菌および第5電極11Eに捕集された死菌が同時に撮影される。
【0057】
図12は、第1電極11Aが「コ」の字形の電極パターン、第2電極11Bおよび第3電極11Cが櫛形の電極パターン、第4電極11Dおよび第5電極11Eが櫛形斜めの電極パターンで形成された例を表わしている。この構成において、これら電極に対する周波数の制御によって第4電極11Dに生菌が捕集され、第5電極11Eに死菌が捕集される場合、図12に示されるように、液流方向に直交する第3ステージの第4電極11Dおよび第5電極11Eをまたぐ領域であって、特に、菌が集約される櫛形斜めの先端の領域P6を撮像装置500での撮影領域に設定することで、第4電極11Dに捕集された生菌および第5電極11Eに捕集された死菌が同時に撮影される。
【0058】
図13は、第1電極11Aが交差形斜めの電極パターン、第2電極11Bおよび第3電極11Cが櫛形の電極パターン、第4電極11Dおよび第5電極11Eが櫛形斜めの電極パターンで形成された例を表わしている。この構成において、これら電極に対する周波数の制御によって第4電極11Dに生菌が捕集され、第5電極11Eに死菌が捕集される場合、図13に示されるように、液流方向に直交する第3ステージの第4電極11Dおよび第5電極11Eをまたぐ領域であって、特に、菌が集約される櫛形斜めの先端の領域P7を撮像装置500での撮影領域に設定することで、第4電極11Dに捕集された生菌および第5電極11Eに捕集された死菌が同時に撮影される。
【0059】
<制御装置の装置構成>
再度図1を参照して、制御装置200は、装置構成として、装置全体を制御するためのCPU(Central Processing Unit)20と、CPU20で実行されるプログラム等を記憶するためのメモリ21と、電源26と、電源26と第1電極11A〜第5電極11Eとの接続を切り替えるためのスイッチ22と、三方弁700と通信するための通信I/F(インタフェース)24と、ポンプ800と通信するための通信I/F23と、撮像装置500と通信するための通信I/F25とを含む。
【0060】
CPU20はスイッチ等の図示しない指示入力部から入力された指示に従ってメモリ21に記憶されるプログラムを読み出して実行し、捕集装置100に対して後述する捕集動作を実行させる。その際に、第1電極11A〜第5電極11Eそれぞれの周波数を制御する。
【0061】
CPU20が行なう電極の周波数制御の一例として、PWM制御(パルス幅変調)が挙げられる。PWM制御を行なうとすると、スイッチ22はトランジスタスイッチ等が該当し、CPU20は、スイッチ22の切り替えのタイミング、つまりパルス幅を制御することで第1電極11A〜第5電極11Eそれぞれの周波数を制御する。
【0062】
もちろん、CPU20での第1電極11A〜第5電極11Eそれぞれの周波数制御はPWM制御に限定されず、他の制御方法であってもよい。その場合、制御装置200には、その制御方法に対応した装置構成が含まれる。
【0063】
また、CPU20は三方弁700やポンプ800に対して制御信号を出力する。さらに、撮像装置500対して制御信号を出力し、撮像装置500での撮影を制御する。
【0064】
なお、制御装置200は一例として、一般的なコンピュータで構成されてよい。そのため、図1に示されていない他の装置構成が含まれていてもよい。
【0065】
<撮像装置の装置構成>
さらに図1を参照して、撮像装置500は、装置構成として、装置全体を制御するためのCPU50と、CPU50で実行されるプログラム等を記憶するためのメモリ51と、CCD(Charge Coupled Device)などの撮影部52と、制御装置200と通信するための通信I/F53と、表示装置600と通信するための通信I/F54とを含む。
【0066】
CPU50は通信I/F53を介して制御装置200からの制御信号を受信し、該制御信号に従ってメモリ51に記憶されるプログラムを読み出して実行する。該プログラムの実行に従って、CPU50は撮影部52を制御して、撮影動作を行なわせる。
【0067】
撮像装置500は、上述のように、捕集装置100に含まれる第1電極11A〜第5電極11Eの上方から該電極のいずれかの位置を撮影領域として含むようにセットされている。そして、制御装置200からの制御信号に従ったタイミングで撮影を行なうことで、該撮影領域の撮影を行なう。
【0068】
撮影して得られた画像データは通信I/F54を介して表示装置600に送信される。表示装置600は、図示しないCPUによって受信した画面データに基づく画面を表示する。また、表示装置600が解析プログラムを搭載したコンピュータである場合、図示しないCPUが該解析プログラムを実行することで該画像データの解析を行なうようにしてもよい。
【0069】
<分離方法の原理>
捕集装置100は、誘電泳動の原理を利用して試料液中の生物由来の粒子を電極に付着させて捕集する。
【0070】
ここで、誘電泳動の原理を利用した分離方法について説明する。
誘電泳動とは、生物由来の粒子と媒質(ここでは水等)との誘電率などの電気的な性質の差異を利用して誘起双極子モーメントを生じさせ、そのバランスによって生じる誘電泳動力によって粒子を電極に付着させたり乖離させたりする現象を指す。
【0071】
細胞膜の破損していない正常な生物の由来粒子(生菌)と破損した生物の由来粒子(死菌)との各々に生じる誘電泳動力は、生じさせる電場の周波数によって異なる傾向を見せることが知られている。
【0072】
詳しくは、H1[kHz]超までは生菌、死菌とも生じる誘電泳動力は周波数の増加に応じて増加し、常に生菌に生じる誘電泳動力が死菌に生じる誘電泳動力に勝っている。
【0073】
H1[kHz]超以降は、生じる誘電泳動力の大小関係は維持したまま生菌、死菌とも生じる誘電泳動力は周波数の増加に応じて減少するものの、その減少率は、周波数の増加に対して緩やかとなる。一方、死菌に生じる誘電泳動力の減少率の方が生菌に生じる誘電泳動力の減少率よりも大きくなる。H2[MHz]付近では、死菌に生じる誘電泳動力が生菌に生じる誘電泳動力の概ね1/3倍程度となるまで減少する。そして、H3[MHz]付近では、死菌に生じる誘電泳動力は0となる。
【0074】
捕集装置100では、この誘電泳動力の周波数に応じた変化を利用して生菌と死菌とを分離する。上記H1,H2,H3は、電極の幅、形状、電極間の距離に依存する。そこで発明者が確認用に試作した捕集装置100で大腸菌を用いて実験を行なったところ、上記H1,H2,H3は、各々100[kHz]程度、1[MHz]程度、4[MHz]程度であった。
【0075】
すなわち、水槽内に試料液が保持された状態で当該試料液に対して100[kHz]程度の周波数の電場を生じさせることで、電極に生菌、死菌共に付着させ、捕集することができる。この周波数を以降の説明において「第1周波数」と称する。第1周波数は、試料液中の生菌、死菌共に生じる誘電泳動力を、試料液がポンプ800の稼動によって搬送されることによって生菌、死菌に及ぼす応力よりも大きいものとする周波数と言え、具体的には、上の説明のように100[kHz]程度の周波数を指す。
【0076】
一方、第1周波数よりも高周波の死菌に生じる誘電泳動力が0となる周波数である4[MHz]の周波数の電場を生じさせることで、電極には生菌のみ付着することになるため、生菌のみ捕集されることになる。この周波数を以降の説明において「第2周波数」と称する。第2周波数は、試料液中の死菌に生じる誘電泳動力を試料液がポンプ800の稼動によって搬送されることによって死菌に及ぼす応力よりも小さいものとし、試料液中の生菌に生じる誘電泳動力を試料液がポンプ800の稼動によって搬送されることによって生菌に及ぼす応力よりも大きいものとする周波数と言え、具体的には、上の説明のように4[MHz]程度の周波数を指す。
【0077】
また、試料液に第2周波数の電場を生じさせて生菌のみを先に捕集し、生菌が除去された残りの試料液に対して第1周波数の電場を生じさせることで、電極には死菌のみ付着することになるため、死菌のみ捕集されることになる。
【0078】
この電極に対する周波数制御を液流の上流側の電極から順に行なうことで、最終的に、撮影領域が設定された下流側の電極に生菌と死菌とを分離して捕集することができる。
【0079】
また、試料液に第1周波数の電場を生じさせて生菌および死菌を捕集した後、周波数を第1周波数から第2周波数に変化させることで、捕集された生菌および死菌のうちの生菌は捕集されたまま保持され、死菌が放出されることになる。
【0080】
この電極に対する周波数制御を液流の上流側の電極にて行なうことで、下流側の電極で死菌のみ捕集することが可能となり、上流側の電極と下流側の電極とで、それぞれ、生菌と死菌とを分離して捕集することができる。
【0081】
<動作概要>
図14は、捕集システム1での第1の動作例の概要を表わすフローチャートである。また、図15〜図19は、図14のフローチャートの各ステップでの捕集状態を表わした図である。図15〜図19において、実線で表わされた菌は電極に捕集されている菌を表わし、点線で表わされた菌は電極に捕集されていない菌を表わしている。また、太線で表わされた電極は、電圧が印加されていることを表わしている。
【0082】
図14を参照して、はじめに捕集装置100内に試料液を貫流させる(#11)。図15はそのときの捕集状態を表わしており、水槽内に生死菌を含んだ試料液が搬送されてきている状態を表わしている。
【0083】
#11で試料液の貫流を開始すると共に、第1ステージで生死菌を捕集する(#12)。ここでは、第1ステージに配置されている第1電極11Aに上述の第1周波数で電圧を印加させる。
【0084】
図16はそのときの捕集状態を表わしている。すなわち、図16を参照して、第1ステージの第1電極11Aに上述の第1周波数で電圧が印加されることで、その上を通過する試料液中の当該電場が影響する範囲内にある生死菌が第1電極11Aに付着して捕集される。
【0085】
#12の後、各電極の電圧を維持したまま洗浄液を貫流させる(#13)。図17はそのときの捕集状態を表わしている。すなわち、図17を参照して、各電極の電圧を維持したまま洗浄液によって水槽内、つまり電極上が洗浄されることで、第1電極11Aに捕集された生死菌のみが電極上に留まり、他の菌が排除される。
【0086】
その後、洗浄液の貫流を継続したまま、第1ステージから生死菌を放出する(#14)。ここでは、第1ステージの第1電極11Aの電圧をオフする。
【0087】
図18はそのときの捕集状態を表わしており、#11で第1電極11Aに捕集された生死菌が第1電極11Aから解離する。第1電極11Aから解離した生死菌は、洗浄液の液流に沿って下流側の第2ステージに向かう。
【0088】
#14で第1ステージから生死菌を放出すると共に、その下流の第2ステージで生菌を捕集し(#15)、さらに下流の第3ステージで死菌を捕集する(#16)。ここでは、第2ステージの第2電極11Bまたは第3電極11Cに上述の第2周波数で電圧を印加させ、かつ、その下流側の第3ステージの第4電極11Dまたは第5電極11Eに上述の第1周波数で電圧を印加させる。
【0089】
図19はそのときの捕集状態を表わしており、一例として、液流に沿って並んで配置された第2電極11Bに上述の第2周波数で電圧が印加され、第4電極11Dに上述の第1周波数で電圧が印加された例が示されている。すなわち、上述の第2周波数では死菌には誘電泳動力が生じない、または洗浄液の流力よりも小さい誘電泳動力しか生じないため、第2電極11Bには生菌のみ捕集されることになる。上述の第1周波数では生菌にも死菌にも誘電泳動力が生じるものであるが、その上流側にて生菌が捕集されて液中から排除されていることで、第4電極11Dには死菌のみ捕集されることになる。
【0090】
さらに、第2電極11Bの幅は第1電極11Aの幅の概ね半分であるから、第1ステージの第1電極11Aから放出された生死菌のうち概ね半分の生死菌のうちの生菌が第2ステージの第2電極11Bに捕集され、第1電極11Aから放出された生死菌のうち概ね半分の生死菌のうちの死菌が第3ステージの第4電極11Dに捕集されることになる。
【0091】
<機能構成>
図20は、捕集システム1に上述の動作を行なわせるための制御装置200の機能構成の具体例を示すブロック図である。図20に示される各機能は、制御装置200のCPU20がメモリ21に記憶されるプログラムを読み出して実行することによって、主にCPU20上に形成される機能である。しかしながら、少なくとも一部が、電気回路などのハードウェア構成によって実現されてもよい。
【0092】
図20を参照して、制御装置200は、図示しないスイッチ等の図示しない指示入力部から捕集動作開始の指示入力を受け付けるための入力部201と、捕集動作開示に応じて、上記#11〜#16の各段階を判断するための判断部202と、判断部202での判断に応じて通信I/F23を介して三方弁700に対して制御信号を出力し三方弁700の開閉を制御するための弁制御部203と、判断部202での判断に応じて通信I/F24を介してポンプ800に対して制御信号を出力しポンプ800の稼動を制御するためのポンプ制御部204と、判断部202での判断に応じてスイッチ22の切り替えのタイミング、つまりパルス幅を制御することで第1電極11A〜第5電極11Eそれぞれの周波数を制御するための周波数制御部205と、判断部202での判断に応じて通信I/F25を介して撮像装置500に対して制御信号を出力することで撮像装置500での撮影を制御するための撮影制御部206を含む。
【0093】
<動作フロー>
図21は、上記第1の動作例で表わされた捕集動作を捕集システム1で行なわせるための制御装置200の動作の流れを表わすフローチャートである。図21のフローチャートに示された動作は、制御装置200のCPU20がメモリ21に記憶されているプログラムを読み出して実行し、図20に示される各機能を発揮させることによって実現される。
【0094】
図21を参照して、ステップS101でCPU20は、上記#11の試料液貫流用の三方弁700の制御を行なう。すなわち、洗浄液チェンバ300A側の弁700Aを閉塞し、試料液チェンバ300Bおよび捕集装置100側の弁700B,700Cを開放する。これにより、捕集装置100にチューブ400Aを介して試料液チェンバ300Bが接続された状態となる。
【0095】
次に、ステップS103でCPU20は、ポンプ800を稼動させる。これにより、試料液チェンバ300B内に保持された試料液がチューブ400Aを通って捕集装置100内に流入し、水槽を貫流してチューブ400Bを経て廃液チェンバ300Cまで搬送される。
【0096】
次に、ステップS105でCPU20は、第1ステージで生死菌を捕集するための電極への周波数制御を行なう。すなわち、第1ステージに配列された第1電極11Aに上述の第1周波数で電圧を印加し、第2ステージおよび第3ステージに配列された電極への電圧の印加をオフする。これによって、図16に示されたように、貫流している試料中の第1電極11Aによって生じた電場の影響を受ける範囲内の生死菌が第1電極11Aに付着し、捕集される。
【0097】
次に、ステップS107で上記#13の洗浄液貫流用の三方弁700の制御を行なう。すなわち、洗浄液チェンバ300A側の弁700Aおよび捕集装置100側の弁700Cを開放し、試料液チェンバ300B側の弁700Bを開放する。これにより、捕集装置100にチューブ400Aを介して洗浄液チェンバ300Aが接続された状態となる。
【0098】
この状態で上記ステップS103で稼動されたポンプによってチューブ内の液体が搬送されることで、洗浄液チェンバ300A内に保持された洗浄液がチューブ400Aを通って捕集装置100内に流入し、水槽を貫流してチューブ400Bを経て廃液チェンバ300Cまで搬送される。
【0099】
このとき、上記ステップS105で制御された周波数状態が維持されていることで、図17に示されたように、第1電極11Aに捕集された生死菌は第1電極11A上に留まり、その周囲の菌が排除される。
【0100】
次に、ステップS109でCPU20は、第2ステージで生菌を捕集し、第3ステージで死菌を捕集するための電極への周波数制御を行なう。すなわち、上述の例の場合、第1電極11Aへの第1周波数での電圧の印加をオフした後、第2ステージに配列された第2電極11Bに第2周波数で電極を印加すると共に、第3ステージに配列された第4電極11Dに第1周波数で電極を印加する。
【0101】
これによって、図18に示されたように第1電極11Aから捕集された生死菌が放出され、洗浄液の液流に乗って下流側に搬送される。そして、図19に示されたように、第2電極11Bで生菌が捕集され、その下流側の第4電極11Dで死菌が捕集される。
【0102】
次に、ステップS111でCPU20は、撮像装置500に対して制御信号を出力し、予め設定されている撮影範囲で撮影を行なわせる。この場合、撮影範囲としては図9に示されたように第2電極11Bと第4電極11Dとをまたぐ領域P2が設定されておればよく、上記制御信号に従って撮像装置500がその範囲を撮影することで、第2電極11Bに捕集された生菌および第4電極11Dに捕集された死菌が同時に撮影される。
【0103】
<実施の形態の効果>
本実施の形態にかかる捕集装置100では、液流の上流側の電極に4[MHz]程度である上述の第2周波数の電圧を印加することで生菌を捕集し、生菌が排除された試料液が搬送されるその下流側の電極に100[kHz]程度である上述の第1周波数の電圧を印加することで死菌が捕集される。すなわち、通常、第1周波数の電圧を印加するのみでは生菌と死菌とが区分されることなく捕集されるものであるが、捕集装置100では上に説明された生菌と死菌との周波数に対する誘電泳動力の差異を利用して上流側で先に生菌を捕集してしまうことで、その下流側で死菌を捕集することが可能となり、結果として、生菌と死菌とを分離して捕集することが可能となる。
【0104】
さらに、上に説明された液流方向に対して3段階に電極を配置し、第1ステージの電極で生死菌をいったん捕集した後に放出することで、第2ステージ、第3ステージの電極での捕集対象となる菌が洗浄液での液流において電極よりの位置、つまり、上の例では電極に沿って水槽の底寄りに集められることになる。そのため、放出された菌は第2ステージ、第3ステージの電極での電場の影響を受け得る範囲で搬送されることになり、これら電極で捕集される確率が格段に高くなる。また、下流側の電極での捕集能力に応じた量の菌が予め上流側の電極にて捕集されることになるので、下流側の電極で効率的に生死菌を捕集することができる。
【0105】
なお、上の例では、3段階に電極を配置して、最上流側の第1ステージの電極でいったん生死菌を捕集するものとしているが、必ずしもこの捕集は必須ではなく、少なくとも上流側の第2ステージでの生菌の捕集、および下流側の第3ステージでの死菌の捕集が行なわれればよい。または、後述するように、上流側で生死菌を捕集した後に死菌のみ放出するようにすることで、下流側で死菌のみ捕集することができる。
【0106】
<他の例>
なお、上で説明した捕集方法は一例であって、上述の原理を利用する他の捕集方法も挙げられる。
【0107】
図22は、他の例として、捕集システム1での第2の動作例の概要を表わすフローチャートである。また、図23〜図28は、図22のフローチャートの各ステップでの捕集状態を表わした図である。図23〜図28においても、実線で表わされた菌は電極に捕集されている菌を表わし、点線で表わされた菌は電極に捕集されていない菌を表わしている。また、太線で表わされた電極は、電圧が印加されていることを表わしている。
【0108】
図22を参照して、はじめに捕集装置100内に試料液を貫流させる(#21)。ここでは、上述のステップS101と同様の制御が行なわれる。
【0109】
第2の動作例では、#21で試料液の貫流を開始すると共に、第2ステージの一方で生菌を捕集する(#22)。ここでは、第2ステージに配置されている第2電極11Bおよび第3電極11Cのうちの一方に上述の第2周波数で電圧を印加させる。
【0110】
図23および図24はそのときの捕集状態を表わしている。すなわち、図23を参照して、ここでは、第2ステージの第3電極11Cに上述の第2周波数で電圧が印加され、第2ステージの第2電極11Bの電圧はオフされている。その状態で上記#21の動作がなされることで水槽内に生死菌を含む試料液が搬送されてくる。
【0111】
図24を参照して、第3電極11Cの液流方向に直交する方向の幅は概ね全幅の半分程度であるため、搬送された試料液中の概ね半分程度である、第3電極11C上を搬送される試料液中の生死菌のうちの生菌が第3電極11Cに付着し、捕集される。
【0112】
#22の後、#22での周波数状態を維持したまま、第1ステージで生菌を捕集すると共に(#23)、その下流側の第2ステージの他方側の電極で死菌を捕集する(#24)。ここでは、第1ステージに配置されている第1電極11Aに上述の第2周波数で電圧を印加させ、第2ステージに配置されている他方の電極に上述の第1周波数で電圧を印加させる。
【0113】
図25はそのときの捕集状態を表わしている。すなわち、図25を参照して、第1電極11Aの液流方向に直交する方向の幅は概ね全幅程度であるため、搬送された試料液中の生死菌のうちの生菌が第1電極11Aに付着し、捕集される。
【0114】
試料液中の生菌が液流の上流側で捕集されて排除された状態で、試料液は下流側の第2ステージに搬送される。このとき、第3電極11Cには第2周波数で電圧が印加されているものの、すでに搬送された試料液中の生菌は第1ステージにて捕集されているため、第3電極11Cにはこれ以上生菌が捕集されることがない。一方、第2電極11Bには第1周波数で電圧が印加されているため、試料液中に含まれる菌である死菌が第2電極11Bに付着し、捕集される。
【0115】
#24の後、各電極の電圧を維持したまま洗浄液を貫流させる(#25)。図26はそのときの捕集状態を表わしている。すなわち、図26を参照して、各電極の電圧を維持したまま洗浄液によって水槽内、つまり電極上が洗浄されることで、第1電極11Aに捕集された生菌、第2電極11Bに捕集された死菌、および第3電極11Cに捕集された生菌のみが電極上に留まり、他の菌が排除される。
【0116】
その後、洗浄液の貫流を継続したまま、第2ステージから生死菌を放出する(#26)。ここでは、第2ステージの両電極である第2電極11Bおよび第3電極11Cの電圧をオフする。
【0117】
それと共に、その下流の第3ステージで生死菌を捕集する(#27)。ここでは、第3ステージの両電極である第4電極11Dおよび第5電極11Eのいずれもに第1周波数で電圧を印加させる。
【0118】
図27はそのときの捕集状態を表わしており、#26で第2電極11Bに捕集された死菌および第3電極11Cに捕集された生菌がそれぞれ電極から解離する。これら電極から解離した生死菌は、洗浄液の液流に沿って下流側の第3ステージに向かう。このとき、死菌は第2電極11B側および生菌は第3電極11C側で、液流方向に搬送される。そのため、第3ステージの両電極に第1周波数で電圧が印加されることで、それぞれの電極上を搬送される洗浄液中の菌が捕集されることになる。すなわち、第2電極11Bの液流に沿って下流に隣接して配列された第4電極11Dには第2電極11Bから解離した死菌が捕集され、第3電極11Cの液流に沿って下流に隣接して配列された第5電極11Eには第3電極11Cから解離した生菌が捕集される。
【0119】
なお、図23〜図28に示された例の場合、図11〜図13に示されたように、第4電極11Dおよび第5電極11Eが櫛形斜めの電極パターンで形成されている。そのため、この例では、#27の動作の後、所定時間洗浄液の貫流を維持することで、「ヘ」の字形電極に沿って捕集された菌が移動し、徐々に、液流方向の最下流、つまり、先端部分に集められることになる。図28はそのときの捕集状態を表わしており、図27のように第3ステージの各電極に生死菌がそれぞれ捕集された後に、各電極の先端に生死菌が集約されている。
【0120】
この状態で櫛形斜めの先端の領域を撮影領域として撮像装置500で撮影することで、第4電極11Dに捕集された生菌および第5電極11Eに捕集された死菌が同時に撮影される。
【0121】
このような動作が行なわれることでも、本捕集システム1では生菌と死菌とを分離して捕集することが可能となる。
【0122】
なお、他の例として、上記#23において第1ステージの第1電極11Aの第1周波数で電圧を印加させて試料液中の生死菌共に捕集した後に、上記#24において第1電極11Aの周波数を第1周波数から第2周波数に切り替え、かつ、その下流側の第2ステージの他方側の電極の周波数を第1周波数で電圧を印加させてもよい。これによって、第1電極11Aに捕集された生死菌のうちの生菌はそのまま保持され死菌のみが放出され、放出された死菌が、その下流側の第2ステージの他方側の電極で捕集されることになる。
【0123】
つまり、捕集システム1での具体的な捕集動作は、上述の第1の動作例に示された動作のみに限定されるものではなく、生菌と死菌との周波数に対する誘電泳動力の差異を利用して上流側で先に生菌を捕集し、その下流側で捕集動作を行なうことで死菌を捕集する、という動作であれば、生死菌を分離して捕集することが可能となるため、どのような動作であってもよい。
【0124】
<実験結果の紹介>
なお、本願発明者らは捕集システム1を用いて生菌および死菌を分離して捕集し、その捕集状態を撮像装置500にて撮影している。
【0125】
以降、実際に撮影された顕微鏡写真を紹介する。これら顕微鏡写真は、いずれも、捕集装置100の電極部12の同じ位置を撮影範囲としたものである。また、同じ周波数制御の捕集動作の後に撮影したものである。
【0126】
図29は、捕集開始前の撮影範囲にある電極を撮影した顕微鏡写真である。図29の撮影範囲のほぼ中央の図の上下方向に伸びる太いラインは異なる電極間を表わしており、図29の右側と左側とにそれぞれ異なる電極が撮影されている。さらに、各電極におけるギャップが、左右の電極のそれぞれに上下方向に伸びる細いラインとして撮影されている。この段階ではいすれのギャップにも菌が付着しておらず、いずれの電極でも菌が捕集されていない。
【0127】
図30は、試料液中の菌を死菌100%として捕集動作を行なった後に撮影範囲にある電極を撮影した顕微鏡写真である。図30の右側の電極のギャップに菌が付着していることから、右側の電極が死菌を捕集した電極であることがわかる。
【0128】
図31は、試料液中の菌を生菌100%として捕集動作を行なった後に撮影範囲にある電極を撮影した顕微鏡写真である。図31の左側の電極のギャップに菌が付着していることから、左側の電極が生菌を捕集した電極であることがわかる。
【0129】
図32は、試料液中の菌を死菌50%、生菌50%として捕集動作を行なった後に撮影範囲にある電極を撮影した顕微鏡写真である。図32の顕微鏡写真より、左右の電極のギャップにそれぞれ同数程度の菌が付着している。図30、図31の撮影結果より、図32の右側の電極に死菌が、左側の電極に生菌が捕集され、それぞれ、試料液中の菌の比率に近い比率で捕集されていることがわかる。つまり、この捕集実験より、捕集システム1では、概ね、試料液中の生死菌の比率を維持して、それらを分離して捕集可能であることがわかった。
【0130】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0131】
1 捕集システム、10 基板、11 電極ユニット、11A 第1電極、11B 第2電極、11C 第3電極、11D 第4電極、11E 第5電極、12 電極部、13 水槽部、14 水槽壁面、15A,15B 接続口、20 CPU、21,51 メモリ、22 スイッチ、23,24,25,53,54 通信I/F、26 電源、50 CPU、52 撮影部、100 捕集装置、200 制御装置、201 入力部、202 判断部、203 弁制御部、204 ポンプ制御部、205 周波数制御部、206 撮影制御部、300A 洗浄液チェンバ、300B 試料液チェンバ、300C 廃液チェンバ、400A,400B チューブ、500 撮像装置、600 表示装置、700 三方弁、700A,700B,700C 弁、800 ポンプ、P1,P2,P3,P5,P6,P7 領域。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料液中の菌を捕集するための捕集装置であって、
液体を貫流させるための貫流管と、
前記貫流管に向かう位置に設置された複数の電極と、
前記貫流管内で液体を所定の液流方向に沿って搬送するための搬送機構と、
前記複数の電極のそれぞれの周波数を制御するための制御装置とを備え、
前記複数の電極は、前記液流方向の上流側から下流側に段階的に配列された第1の電極と第2の電極とを含み、
前記制御装置は、前記第1の電極で前記貫流管に貫流された前記試料液中の生菌を捕集するよう前記第1の電極の周波数を制御し、前記第2の電極で前記第1の電極を通過した後の前記試料液中の死菌を捕集するよう前記第2の電極の周波数を制御する、捕集装置。
【請求項2】
前記貫流管内の前記試料液中の生菌、死菌共に生じる誘電泳動力を、前記搬送機構で搬送される前記試料液が前記生菌および前記死菌に及ぼす応力よりも大きいものとする周波数を第1の周波数とし、
前記貫流管内の前記試料液中の死菌に生じる誘電泳動力を前記搬送機構で搬送される前記試料液が前記死菌に及ぼす応力よりも小さいものとし、前記試料液中の生菌に生じる誘電泳動力を前記搬送機構で搬送される前記試料液が前記生菌に及ぼす応力よりも大きいものとする周波数を第2の周波数とすると、
前記制御装置は、前記第1の電極の周波数を前記第2の周波数とし、前記第2の電極の周波数を前記第1の周波数とする、請求項1に記載の捕集装置。
【請求項3】
前記貫流管内の前記試料液中の生菌、死菌共に生じる誘電泳動力を、前記搬送機構で搬送される前記試料液が前記生菌および前記死菌に及ぼす応力よりも大きいものとする周波数を第1の周波数とし、
前記貫流管内の前記試料液中の死菌に生じる誘電泳動力を前記搬送機構で搬送される前記試料液が前記死菌に及ぼす応力よりも小さいものとし、前記試料液中の生菌に生じる誘電泳動力を前記搬送機構で搬送される前記試料液が前記生菌に及ぼす応力よりも大きいものとする周波数を第2の周波数とすると、
前記制御装置は、前記第1の電極の周波数を前記第1の周波数とした後に、前記第1の電極の周波数を前記第1の周波数から前記第2の周波数に切り替え、かつ、前記第2の電極の周波数を前記第1の周波数とする、請求項1に記載の捕集装置。
【請求項4】
前記複数の電極は、前記第1の電極よりも前記液流方向の上流側に配列された第3の電極をさらに含み、
前記制御装置は、前記第3の電極で前記貫流管に貫流された前記試料液中の生菌および死菌を捕集するよう前記第3の電極の周波数を制御し、
前記制御装置は、前記第3の電極の周波数を制御した後に、前記第3の電極に捕集された生菌および死菌を前記第3の電極から放出するよう前記第3の電極の周波数を制御すると共に、前記第1の電極で生菌を捕集するよう前記第1の電極の周波数を制御し、かつ、前記第2の電極で死菌を捕集するよう前記第2の電極の周波数を制御する、請求項1〜3のいずれかに記載の捕集装置。
【請求項5】
前記制御装置は、前記貫流管に貫流された前記試料液中の生菌および死菌を捕集するよう前記第3の電極の周波数を、前記貫流管内の前記試料液中の生菌、死菌共に生じる誘電泳動力を前記搬送機構で搬送される前記試料液が前記生菌および前記死菌に及ぼす応力よりも大きいものとする周波数とする、請求項4に記載の捕集装置。
【請求項6】
前記複数の電極は、前記第1の電極および前記第2の電極と前記液流方向に平行に、前記液流方向の上流側から下流側に段階的に、それぞれ、前記第1の電極および前記第2の電極と前記液流方向に直交方向に並んで配列された第4の電極および第5の電極を含み、
前記制御装置は、前記第4の電極で前記貫流管に貫流された前記試料液中の生菌を捕集するよう前記第4の電極の周波数を制御し、前記第5の電極で前記第4の電極で捕集された後に放出された前記生菌を捕集するよう前記第5の電極の周波数を制御する、請求項1〜5のいずれかに記載の捕集装置。
【請求項7】
流路の液流方向の上流側から下流側に段階的に配置された複数の電極のそれぞれの周波数を制御することで、前記流路を流れる試料液中の生死菌を分離する方法であって、
前記液流方向に上流側に配列された第1の電極で前記試料液中の生菌を捕集するよう前記第1の電極の周波数を制御するステップと、
前記液流方向に前記第1の電極よりも下流側に配列された第2の電極で前記第1の電極を通過した後の前記試料液中の死菌を捕集するよう前記第2の電極の周波数を制御するステップとを備える、分離方法。
【請求項8】
試料液中の菌を捕集装置で捕集し、その結果を表示装置で表示する方法であって、
前記捕集装置は、流路の液流方向の上流側から下流側に段階的に配置された複数の電極を含み、
前記液流方向に上流側に配列された第1の電極で前記試料液中の生菌を捕集するよう前記第1の電極の周波数を制御するステップと、
前記液流方向に前記第1の電極よりも下流側に配列された第2の電極で前記第1の電極を通過した後の前記試料液中の死菌を捕集するよう前記第2の電極の周波数を制御するステップと、
前記捕集された前記試料液中の生菌と前記捕集された前記試料液中の死菌とが同一画面となるような表示位置を特定し、当該表示位置に含まれる生菌と死菌とを前記表示装置の同一の画面において表示するステップとを備える、表示方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate

【図29】
image rotate

【図30】
image rotate

【図31】
image rotate

【図32】
image rotate


【公開番号】特開2013−27366(P2013−27366A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−166710(P2011−166710)
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【出願人】(511185450)フィルテクノジャパン株式会社 (1)
【Fターム(参考)】