説明

捜索財産情報収集システム及び捜索財産情報収集方法

【課題】徴収業務における差し押さえ物件情報の入力漏れや誤入力の防止。
【解決手段】携帯端末1から受信した電子メールに含まれる滞納者番号と差し押さえ対象物件の財産種別と具体的な財産の内容情報と写真情報を受信メール取込部9を用いて取込み、この取り込んだ滞納者番号の財産情報に前記対象物件の内容情報及び写真情報を調査財産管理部10を用いてデータベース3に登録する機能とを実行することによって、滞納者番号と差し押さえ物件写真及び物件内容とをデータベース3にヒモ付けして登録でき、差し押さえ物件の入力漏れや誤入力を防止する捜索財産情報収集システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、税金等の徴収業務において滞納者の財産を捜索する財産情報収集をサポートする捜索財産情報収集システム及び捜索財産情報収集方法に係り、特に徴収業務を管理するコンピュータシステムである徴収業務システムの滞納者情報と財産情報との関連付けを容易に行うことができる捜索財産情報収集システム及び捜索財産情報収集方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に徴収担当者が、滞納者財産の「捜索」を実施し、財産が存在すれば差押調書に財産を手書きにて記入し、その財産の差し押えを行った場合、一度、事務所に戻りその財産情報を徴収業務システムに入力し、「換価」等の次の滞納業務のフェーズへ進む事務作業が行われている。
【0003】
このように従来技術における徴収業務における徴収業務システムへのデータ入力業務は人手による入力作業となるため、入力漏れや誤入力の可能性があるものであった。
【0004】
なお、徴収業務ではないが、撮影した画像に対して時刻情報、位置情報及び重要度を含む調査情報を付与することにより統計調査情報を作成する統計調査報告書作成システムが、下記の特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−277167号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述の従来技術による捜索財産情報収集システムにおいては、人手によるデータ入力作業のために入力漏れや誤入力の可能性がある課題があり、前記した特許文献1に記載の技術は、滞納者の財産情報を位置情報ごとに集約することができるものの、別途、徴収業務システム上の滞納者情報とリンクさせる操作が必要であるという課題があった。
【0007】
本発明の目的は、前述の従来技術による課題を解決することであり、徴収担当者が収集滞納者の財産情報を円滑に徴収業務システムへ登録し、よりシステム情報を有効に集約・展開することができる捜索財産情報収集システム及び捜索財産情報収集方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために請求項1記載の本発明は、メールを送信するメール送信部と該メール送信部により送信されるメールに対する位置情報を付与する位置情報付加部と滞納者の財産を撮影する撮影部とを備える携帯端末とインターネットを介して接続され、前記携帯端末から受診したメールに含まれる滞納者番号並びに差し押さえ対象物件の内容情報及び写真情報を取込む受信メール取込部及び該受信メール取込部により取り込まれた滞納者を検索し、ヒットした滞納者の財産情報をデータベースから抽出する調査財産管理部を有する徴収業務システムとを含むコンピュータシステムの徴収業務システムであって、
該徴収業務システムが、前記携帯端末から受信した電子メールに含まれる滞納者番号並びに前記対象物件の内容情報及び写真情報を受信メール取込部を用いて取込む工程と、該工程により取り込んだ滞納者番号の財産情報に前記対象物件の内容情報及び写真情報を調査財産管理部を用いてデータベースに登録する機能とを実行することを第1の特徴とし、この徴収業務システムにおいて、前記携帯端末が、写真撮影を行った位置の経度緯度情報をメール送信する機能を有し、前記徴収業務システムが、前記携帯端末から受信した電子メールに含まれる写真情報を経度緯度情報と共にデータベースに登録することを第2の特徴とする。
【0009】
また、本発明は、メールを送信するメール送信部と該メール送信部により送信されるメールに対する位置情報を付与する位置情報付加部と滞納者の財産を撮影する撮影部とを備える携帯端末とインターネットを介して接続され、前記携帯端末から受診したメールに含まれる滞納者番号並びに差し押さえ対象物件の内容情報及び写真情報を取込む受信メール取込部及び該受信メール取込部により取り込まれた滞納者を検索し、ヒットした滞納者の財産情報をデータベースから抽出する調査財産管理部を有する徴収業務システムとを含むコンピュータシステムの徴収業務方法であって、
該徴収業務システムに、前記携帯端末から受信した電子メールに含まれる滞納者番号並びに前記対象物件の内容情報及び写真情報を受信メール取込部を用いて取込む工程と、該工程により取り込んだ滞納者番号の財産情報に前記対象物件の内容情報及び写真情報を調査財産管理部を用いてデータベースに登録する工程とを実行させることを第3の特徴とし、この徴収業務方法において、前記携帯端末が、写真撮影を行った位置の経度緯度情報をメール送信する機能を有し、前記徴収業務システムが、前記携帯端末から受信した電子メールに含まれる写真情報を経度緯度情報と共にデータベースに登録する工程を実行することを第4の特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明による捜索財産情報収集システム及び捜索財産情報収集方法は、徴収業務システムが、前記携帯端末から受信した電子メールに含まれる滞納者番号並びに前記対象物件の内容情報及び写真情報を受信メール取込部を用いて取込む工程と、該工程により取り込んだ滞納者番号の財産情報に前記対象物件の内容情報及び写真情報を調査財産管理部を用いてデータベースに登録する機能とを実行することによって、滞納者番号と差し押さえ物件写真及び物件内容とをデータベースにヒモ付けして登録でき、差し押さえ物件の入力漏れや誤入力を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態による捜索財産情報収集システムの構成を示す図。
【図2】本発明の実施形態による携帯端末の財産調査情報の入力画面を示す図。
【図3】本発明の実施形態によるクライアント端末の財産情報の表示画面を示す図。
【図4】本発明の実施形態によるクライアント端末の財産情報の表示画面処理を示すフローチャート図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明による捜索財産情報収集システム及び捜索財産情報収集方法の一実施形態を図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
本実施形態による捜索財産情報収集システムは、図1に示す如く、メールを送信するメール送信部6とメール送信部6により送信されるメールに対して位置情報を付与する位置情報付加部7と捜索実施をした滞納者の財産を撮影する撮影部8とを有する携帯端末1と、該携帯端末1とインターネット5を介して接続され、前記携帯端末1から受診したメールに含まれる滞納者番号及び差し押さえ対象物件の滞納者財産情報を取込む受信メール取込部9及び該受信メール取込部9により管理される財産情報から滞納者を検索し、ヒットした滞納者の付帯情報に含まれる財産情報をデータベース3から抽出する調査財産管理部10を有する徴収業務サーバである徴収業務システム2と、該徴収業務システム2及び該携帯端末1にインターネット5を介して接続され、滞納者財産情報を表示するための滞納者財産情報表示部11を有するクライアント端末4とから構成される。
【0014】
前記携帯端末1は、GPSによる緯度経度情報取得と滞納者の差し押さえ対象物件の入力と写真撮影の機能を有し、これら緯度経度情報と差し押さえ対象物件名と写真を電子メールとして徴収業務システム2にメール送信するものであって、その滞納者の財産情報を入力するための入力画面は、図2に示す如く、メールの送信先を入力又は選択するための宛先ウインド(欄)と、件名を入力するための件名ウインド(欄)と、徴収のために差し押さえる財産の種別をプルダウンメニューにより選択的に入力するための財産種別ウインド(欄)と、差し押さえ財産の詳細内容を入力するための内容ウインド(欄)とから成り、図示の例では、宛先が「徴収業務サーバ」、件名が滞納者号等の「123456789」、財産種別が「自動車」、内容が車種及びナンバープレートを表す「平成20年式セダン○○30ア1234」の如く入力される。
【0015】
前記クライアント端末4は、前記携帯端末1が撮影送信した差し押さえ物件の内容及び写真を表示するものであって、その滞納者財産情報表示部11に表示される表示画面は、図3に示す如く、滞納者番号と、この滞納者の住所と、携帯端末1から受信したメールに含まれる携帯端末の経度緯度と、携帯端末から受信したメールによる差し押さえ物件の財産種別及び画像とを表示するように構成されており、図示の例では、財産種別「自動車」、財産内容「平成20年式セダン○○30ア1234」と、財産種別「絵画」、財産内容「絵画2点」が表示されている。
【0016】
さて、このように構成された捜索財産情報収集システムは、図4に示す如く、徴収者が滞納者の差し押さえ対象物件の撮影を行い、携帯端末1が、図2に示した件名と財産種別と内容を入力して撮影した対象物件の写真を図示しないインターネットを介して徴収業務システム2にメール送信するステップST1と、該ステップST1によってメールを受信した徴収業務システム2が、メールを受信するステップST2と、前記受信メール取込部9を用いて該メールに含まれる滞納者番号及び差し押さえ対象物件の滞納者財産情報を取込むステップST3と、クライアント端末4が図示しない入力画面を用いて滞納者番号を入力して滞納者の差し押さえ物件の財産情報を要求するステップST4と、該ステップST4によるリクエストに応じて指定された滞納者番号に対応して登録された財産情報(財産種別、財産内容)を抽出するステップST5と、該ステップST5によって抽出した財産情報及び滞納者情報を図3に示した如く表示するステップST6を実行することによって、徴収者が差し押さえ現場で入力した滞納者番号と差し押さえ物件写真及び物件内容とを電子メール形式で徴収業務システム2に送信し、該徴収業務システム2が、滞納者番号と差し押さえ物件写真及び物件内容とをデータベース3の同一レコードにヒモ付けして登録するため、差し押さえ物件の入力漏れや誤入力を防止することができる。
【0017】
なお、前記実施形態においては、クライアント端末4の滞納者財産情報表示部11に差し押さえ物件の緯度経度情報を表示しない例を説明したが、差し押さえ対象物件が不動産の場合、その不動産の緯度経度情報を表示するように構成しても良い。
【符号の説明】
【0018】
1 携帯端末、2 徴収業務システム、3 データベース、
4 クライアント端末、5 インターネット、6 メール送信部、
7 位置情報付加部、8 撮影部、9 受信メール取込部、
10 調査財産管理部、11 滞納者財産情報表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メールを送信するメール送信部と該メール送信部により送信されるメールに対する位置情報を付与する位置情報付加部と滞納者の財産を撮影する撮影部とを備える携帯端末とインネットを介して接続され、前記携帯端末から受診したメールに含まれる滞納者番号並びに差し押さえ対象物件の内容情報及び写真情報を取込む受信メール取込部及び該受信メール取込部により取り込まれた滞納者番号を検索し、ヒットした滞納者の財産情報をデータベースから抽出する調査財産管理部を有する徴収業務システムとを含むコンピュータシステムの徴収業務システムであって、
該徴収業務システムが、前記携帯端末から受信した電子メールに含まれる滞納者番号並びに前記対象物件の内容情報及び写真情報を受信メール取込部を用いて取込む工程と、該工程により取り込んだ滞納者番号の財産情報に前記対象物件の内容情報及び写真情報を調査財産管理部を用いてデータベースに登録する機能とを実行することを特徴とする徴収業務システム。
【請求項2】
前記携帯端末が、写真撮影を行った位置の経度緯度情報をメール送信する機能を有し、前記徴収業務システムが、前記携帯端末から受信した電子メールに含まれる写真情報を経度緯度情報と共にデータベースに登録することを特徴とする請求項1記載の徴収業務システム。
【請求項3】
メールを送信するメール送信部と該メール送信部により送信されるメールに対する位置情報を付与する位置情報付加部と滞納者の財産を撮影する撮影部とを備える携帯端末とインターネットを介して接続され、前記携帯端末から受診したメールに含まれる滞納者番号並びに差し押さえ対象物件の内容情報及び写真情報を取込む受信メール取込部及び該受信メール取込部により取り込まれた滞納者を検索し、ヒットした滞納者の財産情報をデータベースから抽出する調査財産管理部を有する徴収業務システムとを含むコンピュータシステムの徴収業務方法であって、
該徴収業務システムに、前記携帯端末から受信した電子メールに含まれる滞納者番号並びに前記対象物件の内容情報及び写真情報を受信メール取込部を用いて取込む工程と、該工程により取り込んだ滞納者番号の財産情報に前記対象物件の内容情報及び写真情報を調査財産管理部を用いてデータベースに登録する工程とを実行させることを特徴とする徴収業務方法。
【請求項4】
前記携帯端末が、写真撮影を行った位置の経度緯度情報をメール送信する機能を有し、前記徴収業務システムが、前記携帯端末から受信した電子メールに含まれる写真情報を経度緯度情報と共にデータベースに登録する工程を実行することを特徴とする請求項3記載の徴収業務方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2013−11936(P2013−11936A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−142721(P2011−142721)
【出願日】平成23年6月28日(2011.6.28)
【出願人】(000233491)株式会社日立システムズ (394)