説明

捩りコイルバネを用いた付勢構造

【課題】捩りコイルバネの装着部が破損しにくい捩りコイルバネを用いた付勢構造を提供する。
【解決手段】捩りコイルバネ10と捩りコイルバネ10により付勢される被付勢部材20とが取り付けられる取付体30に,捩りコイルバネ10のコイル部11を収納する筒状穴部31を設けて筒状穴部31の内壁面32でコイル部11を外方から支持し,取付体30に,捩りコイルバネ10の一端12を掛ける掛け部33を設けるとともに,捩りコイルバネ10の他端13を被付勢部材20に掛けた。被付勢部材20は画像形成装置におけるローラ21の軸であり,ローラ21と取付体30と捩りコイルバネ10とでローラユニット40を構成した。捩りコイルバネ10の一端12を掛ける掛け部33は筒状穴部31に連通する溝穴で構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,捩りコイルバネを用いた付勢構造に関するものである。主として,プリンター、ファクシミリ、複写機等の画像形成装置におけるローラを付勢するのに適した,捩りコイルバネを用いた付勢構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来,画像形成装置におけるローラは,引っ張りバネを用いて付勢されていた(特許文献1,図5参照)。
【特許文献1】特開平6−16278号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述した従来の付勢構造では,被付勢部材であるローラを引っ張りバネで付勢していたので,大きなスペースを必要とするという問題があった。
このような問題は,付勢部材として捩りコイルバネを用いることで解決できる。
しかしながら,従来,捩りコイルバネの支持構造は,捩りコイルバネのコイル部を装着軸に装着する,すなわち,当該コイル部に挿入される装着軸で支持する構造となっていたので,バネ力を大きくすると,前記装着軸が破損し易いという問題が生じていた。
本発明の目的は,上記問題を解決し,捩りコイルバネの装着部が破損しにくい捩りコイルバネを用いた付勢構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために本発明の捩りコイルバネを用いた付勢構造は,捩りコイルバネとこの捩りコイルバネにより付勢される被付勢部材とが取り付けられる取付体に,前記捩りコイルバネのコイル部を収納する筒状穴部を設けて当該筒状穴部の内壁面で前記コイル部を外方から支持し,前記取付体に,前記捩りコイルバネの一端を掛ける掛け部を設けるとともに,前記捩りコイルバネの他端を前記被付勢部材に掛けた構成とした。
このような構成によれば,捩りコイルバネのコイル部が取付体の筒状穴部に収納されて筒状穴部の内壁面で支持されるので,コイル部が内側から装着軸で支持される従来の構造に比べて,取付体の筒状穴部は破損しにくくなる。すなわち,従来の構造であると,コイル部の内側にある装着軸に力が集中するのに対し,この発明の構造によれば,コイル部の外側にある筒状穴部の内壁面で力が分散されてコイル部が支持されるので,捩りコイルバネのバネ力を大きくしても,筒状穴部が破損しにくくなる。
しかも,捩りコイルバネとこの捩りコイルバネにより付勢される被付勢部材とが取り付けられる取付体に,前記捩りコイルバネのコイル部を収納する筒状穴部を設けて当該筒状穴部の内壁面で前記コイル部を外方から支持し,かつ,前記取付体に,前記捩りコイルバネの一端を掛ける掛け部を設けるとともに,前記捩りコイルバネの他端を前記被付勢部材に掛けた構成としてあるので,力学系が前記取付体内において閉じた状態となる。
したがって,取付体自体も破損しにくくなる。
したがってまた,この発明の捩りコイルバネを用いた付勢構造は,前記被付勢部材が画像形成装置におけるローラの軸であり,当該ローラと前記取付体と前記捩りコイルバネとでローラユニットを構成した場合に,特に有効である。
望ましくは,前記捩りコイルバネの一端を掛ける掛け部は,前記筒状穴部に連通する溝穴で構成する。
このような構成とすれば,捩りコイルバネのコイル部を前記筒状穴部に入れる際に,同時に,捩りコイルバネの一端を溝穴に入れることができるので,捩りコイルバネの取付が容易になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
以下,本発明に係る捩りコイルバネを用いた付勢構造の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は,本発明に係る捩りコイルバネを用いた付勢構造の一実施の形態を示す図で,(a)は斜視図,(b)は正面図,(c)は部分省略左側面図,(d)は部分省略右側面図である。
【0006】
同図に示すように,この捩りコイルバネを用いた付勢構造は,捩りコイルバネ10とこの捩りコイルバネ10により付勢される被付勢部材20とが取り付けられる取付体30に,捩りコイルバネ10のコイル部11を収納する筒状穴部31を設けて当該筒状穴部31の内壁面32でコイル部11を外方から支持し,取付体30に,捩りコイルバネ10の一端12を掛ける掛け部33を設けるとともに,捩りコイルバネ10の他端13を前記被付勢部材20に掛けた構造である。
【0007】
被付勢部材20は,画像形成装置(図示せず)におけるローラ21の軸であり,当該ローラ21と取付体30と捩りコイルバネ10とでローラユニット40が構成されている。
ローラ21の軸20は,軸受け部材22を介して前記捩りコイルバネ10の他端13で付勢される。
捩りコイルバネ10の一端12を掛ける掛け部33は,前記筒状穴部31に連通する溝穴で構成されている。
筒状穴部31は,筒状部34で形成されている。
【0008】
以上のような捩りコイルバネを用いた付勢構造によれば,捩りコイルバネ10のコイル部11が取付体30の筒状穴部31に収納されて筒状穴部31の内壁面32で支持されるので,コイル部11が内側から装着軸で支持される従来の構造に比べて,取付体30の筒状穴部31(この実施の形態では筒状部34)は破損しにくくなる。
【0009】
すなわち,図2(a)に示すように,捩りコイルバネのコイル部11を装着軸1に装着する構造(コイル部11に挿入される装着軸1で支持する構造)であると,捩りコイルバネ10に作用する力F1がコイル部11の内側にある装着軸1に力F2として集中する方向に作用するため,バネ力(F1)を大きくすると,装着軸1が破損し易い。
これに対し,この実施の形態の構造によれば,図2(b)に示すように,コイル部11の外側にある筒状穴部31の内壁面32で力が分散されて(分散された力をF3で示す)コイル部11が支持されるので,捩りコイルバネのバネ力(F1)を大きくしても,筒状穴部31(筒状部34)が破損しにくくなる。
【0010】
しかも,捩りコイルバネ10とこの捩りコイルバネ10により付勢される被付勢部材20とが取り付けられる取付体30に,捩りコイルバネ10のコイル部11を収納する筒状穴部31を設けて当該筒状穴部31の内壁面32でコイル部11を外方から支持し,かつ,取付体30に,捩りコイルバネ10の一端12を掛ける掛け部33を設けるとともに,捩りコイルバネ10の他端13を被付勢部材20に掛けた構成としてあるので,力学系が取付体30内において閉じた状態となる。
したがって,取付体30自体も破損しにくくなる。
【0011】
したがってまた,この実施の形態の捩りコイルバネを用いた付勢構造は,被付勢部材20が画像形成装置におけるローラ21の軸であり,当該ローラ21と取付体30と捩りコイルバネ10とでローラユニット40を構成した場合に,特に有効である。
また,捩りコイルバネ10の一端12を掛ける掛け部33は,筒状穴部31に連通する溝穴で構成してあるので,捩りコイルバネ10のコイル部11を筒状穴部31に入れる際に,同時に,捩りコイルバネ11の一端12を溝穴33に入れることができるので,捩りコイルバネ10の取付が容易になる。
【0012】
以上,本発明の実施の形態について説明したが,本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく,本発明の要旨の範囲内において適宜変形実施可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る捩りコイルバネを用いた付勢構造の一実施の形態を示す図で,(a)は斜視図,(b)は正面図,(c)は部分省略左側面図,(d)は部分省略左側面図。
【図2】(a)(b)は作用説明図。
【符号の説明】
【0014】
10:捩りコイルバネ,11:コイル部,12:一端,13:他端,20:ローラ軸(被付勢部材),21:ローラ,30:取付体,31:筒状穴部,32:内壁面,33:掛け部,40:ローラユニット。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
捩りコイルバネとこの捩りコイルバネにより付勢される被付勢部材とが取り付けられる取付体に,前記捩りコイルバネのコイル部を収納する筒状穴部を設けて当該筒状穴部の内壁面で前記コイル部を外方から支持し,前記取付体に,前記捩りコイルバネの一端を掛ける掛け部を設けるとともに,前記捩りコイルバネの他端を前記被付勢部材に掛けたことを特徴とする捩りコイルバネを用いた付勢構造。
【請求項2】
前記被付勢部材が画像形成装置におけるローラの軸であり,当該ローラと前記取付体と前記捩りコイルバネとでローラユニットを構成したことを特徴とする請求項1記載の捩りコイルバネを用いた付勢構造。
【請求項3】
前記捩りコイルバネの一端を掛ける掛け部を,前記筒状穴部に連通する溝穴で構成したことを特徴とする請求項1または2記載の捩りコイルバネを用いた付勢構造。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−206230(P2006−206230A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−19069(P2005−19069)
【出願日】平成17年1月27日(2005.1.27)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】