捺印装置及び捺印情報管理システム
【課題】媒体に捺印が行われたことを、印影における情報を含めて管理する。
【解決手段】捺印装置60では、印鑑本体600が、印鑑取付台605に挿入されており、下方に移動して媒体に印面601が接触することにより、印影602が媒体に形成される。そして、LED63a,63bは、媒体の印影602が形成された部分に光を照射し、CMOS64がこれに対する反射光を検知することによって符号画像及び印影画像を読み取る。その後、制御回路61が、符号画像から識別情報及び位置情報を抽出すると共に、印影画像から捺印日時を抽出し、認証センサ69が捺印者のユーザIDを取得し、通信回路66が、識別情報、位置情報、印影画像、捺印日時、ユーザIDを含む捺印情報を識別情報サーバに送信する。
【解決手段】捺印装置60では、印鑑本体600が、印鑑取付台605に挿入されており、下方に移動して媒体に印面601が接触することにより、印影602が媒体に形成される。そして、LED63a,63bは、媒体の印影602が形成された部分に光を照射し、CMOS64がこれに対する反射光を検知することによって符号画像及び印影画像を読み取る。その後、制御回路61が、符号画像から識別情報及び位置情報を抽出すると共に、印影画像から捺印日時を抽出し、認証センサ69が捺印者のユーザIDを取得し、通信回路66が、識別情報、位置情報、印影画像、捺印日時、ユーザIDを含む捺印情報を識別情報サーバに送信する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、捺印装置、捺印情報管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
捺印欄が印刷された用紙に捺印を試行することにより、電子文書に捺印する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1の技術では、捺印が許可された捺印欄を記憶し、捺印を試行すると、捺印が試行された捺印面を読み取って、読み取られた捺印面が記憶された捺印欄であるか否かを判断して、記憶された捺印欄である場合、捺印できるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−127009号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、媒体に捺印が行われたことを、印影における情報を含めて管理することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、特定の情報が刻まれた印面を有する印鑑本体と、前記印面が接することにより印影が形成された媒体を撮像する撮像手段と、前記撮像手段による撮像によって得られた前記印影の画像から、前記印面に刻まれた前記特定の情報を抽出する抽出手段と、自装置により捺印が行われたことを示す情報であって、前記抽出手段により抽出された前記特定の情報を含む捺印情報を、他の装置に送信する送信手段とを備えたことを特徴とする捺印装置である。
請求項2に記載の発明は、前記媒体には、当該媒体を識別する識別情報が印刷されており、前記抽出手段は、前記撮像手段による撮像によって得られた前記識別情報の画像から、当該識別情報を抽出し、前記送信手段は、前記抽出手段により抽出された前記識別情報を更に含む前記捺印情報を前記他の装置に送信することを特徴とする請求項1に記載の捺印装置である。
請求項3に記載の発明は、前記媒体には、当該媒体上の各位置を示す位置情報が印刷されており、前記抽出手段は、前記撮像手段による撮像によって得られた前記位置情報の画像から、前記印影が形成された位置を示す特定の位置情報を抽出し、前記送信手段は、前記抽出手段により抽出された前記特定の位置情報を更に含む前記捺印情報を前記他の装置に送信することを特徴とする請求項1又は2に記載の捺印装置である。
請求項4に記載の発明は、媒体に捺印する捺印装置と、前記捺印装置により捺印が行われたことを示す捺印情報を管理する管理装置とを備え、前記捺印装置は、特定の情報が刻まれた印面を有する印鑑本体と、前記印面が接することにより印影が形成された媒体を撮像する撮像手段と、前記撮像手段による撮像によって得られた前記印影の画像から、前記印面に刻まれた前記特定の情報を抽出する抽出手段と、前記抽出手段により抽出された前記特定の情報を含む前記捺印情報を前記管理装置に送信する送信手段とを備え、前記管理装置は、前記捺印装置から前記捺印情報を受信する受信手段と、前記受信手段により受信された前記捺印情報を記憶する記憶手段とを備えたことを特徴とする捺印情報管理システムである。
請求項5に記載の発明は、前記特定の情報は、前記捺印装置に捺印日付として設定された捺印日付情報を含み、前記管理装置は、前記受信手段により受信された前記捺印情報に含まれる前記捺印日付情報と、自装置が保持する現在日付を表す現在日付情報との整合性を検証する検証手段を更に備えたことを特徴とする請求項4に記載の捺印情報管理システムである。
請求項6に記載の発明は、前記特定の情報は、前記捺印装置による捺印が許可された組織を示す捺印組織情報を含み、前記捺印装置は、自装置による捺印に先立って、当該捺印を行う捺印者を示す捺印者情報を取得する取得手段を更に備え、前記捺印装置の前記送信手段は、前記取得手段により取得された前記捺印者情報を更に含む前記捺印情報を前記管理装置に送信し、前記管理装置は、前記受信手段により受信された前記捺印情報に含まれる前記捺印組織情報と、当該捺印情報に含まれる前記捺印者情報との整合性を検証する検証手段を更に備えたことを特徴とする請求項4に記載の捺印情報管理システムである。
請求項7に記載の発明は、前記媒体には、当該媒体を識別する識別情報が印刷されており、前記捺印装置の前記抽出手段は、前記撮像手段による撮像によって得られた前記識別情報の画像から、当該識別情報を抽出し、前記捺印装置の前記送信手段は、前記抽出手段により抽出された前記識別情報を含む前記捺印情報を前記管理装置に送信し、前記管理装置は、前記受信手段により受信された前記捺印情報に基づいて生成された画面であって、当該捺印情報に含まれる前記識別情報に対応する捺印書類の情報を含む画面の表示を指示する指示手段を更に備えたことを特徴とする請求項4乃至6の何れかに記載の捺印情報管理システムである。
請求項8に記載の発明は、前記媒体には、当該媒体上の各位置を示す位置情報が印刷されており、前記捺印装置の前記抽出手段は、前記撮像手段による撮像によって得られた前記位置情報の画像から、前記印影が形成された位置を示す特定の位置情報を抽出し、前記捺印装置の前記送信手段は、前記抽出手段により抽出された前記特定の位置情報を含む前記捺印情報を前記管理装置に送信し、前記管理装置は、前記受信手段により受信された前記捺印情報に基づいて生成された画面であって、当該捺印情報に含まれる前記特定の位置情報に対応する捺印欄の情報を含む画面の表示を指示する指示手段を更に備えたことを特徴とする請求項4乃至6の何れかに記載の捺印情報管理システムである。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明によれば、媒体に捺印が行われたことを、印影における情報を含めて管理させることができる。
請求項2の発明によれば、媒体に捺印が行われたことを、媒体の識別情報を含めて管理させることができる。
請求項3の発明によれば、媒体に捺印が行われたことを、媒体上の印影が形成された位置の位置情報を含めて管理させることができる。
請求項4の発明によれば、捺印装置により媒体に捺印が行われたことを、印影における情報を含めて管理することができる。
請求項5の発明によれば、捺印装置に設定された捺印日付と現在日時との関係を検査することができる。
請求項6の発明によれば、捺印装置による捺印が許可された組織と捺印者との関係を検査することができる。
請求項7の発明によれば、捺印装置により媒体に捺印が行われたことを、捺印書類の情報を含めて把握することができる。
請求項8の発明によれば、捺印装置により媒体に捺印が行われたことを、捺印欄の情報を含めて把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の実施の形態が適用されるシステム構成を示した図である。
【図2】本発明の実施の形態における文書サーバの機能構成を示したブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態における識別情報サーバの機能構成を示したブロック図である。
【図4】本発明の実施の形態における印刷文書出力時の動作を示したシーケンス図である。
【図5】本発明の実施の形態で生成される符号画像の例を示した図である。
【図6】本発明の実施の形態で記憶される媒体管理情報の例を示した図である。
【図7】本発明の実施の形態における捺印装置の構成を示した図である。
【図8】本発明の実施の形態における捺印装置の制御回路の機能機構を示したブロック図である。
【図9】本発明の実施の形態における印刷文書への捺印時の動作を示したシーケンス図である。
【図10】本発明の実施の形態で記憶される捺印管理情報の例を示した図である。
【図11】本発明の実施の形態における捺印リストの表示時の動作を示したシーケンス図である。
【図12】本発明の実施の形態で表示される捺印リストの例を示した図である。
【図13】本発明の実施の形態を実現可能なコンピュータのハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
まず、本実施の形態におけるコンピュータシステムの全体構成について説明する。
図1は、本実施の形態のコンピュータシステムの構成例を示したものである。
図示するように、このコンピュータシステムは、端末装置10と、文書サーバ20と、識別情報サーバ30と、画像形成装置40と、端末装置50とがネットワーク80に接続されることにより構成されている。また、端末装置50には、捺印装置60が通信装置70を介して接続されている。
【0009】
端末装置10は、文書サーバ20に対して電子文書の印刷を要求するコンピュータ装置である。ここで、端末装置10としては、例えば、パーソナルコンピュータやワークステーション、その他のコンピュータを用いるとよい。
文書サーバ20は、電子文書を記憶し管理するコンピュータ装置である。また、端末装置10から電子文書の印刷要求があると、電子文書の画像と、識別情報及び位置情報を表す符号画像とを生成し、これらを合成した合成画像を媒体に印刷する印刷命令を画像形成装置40に対して出力する。この場合、識別情報とは、媒体を一意に特定するための情報であり、位置情報とは、媒体上の座標位置を特定するための情報である。ここで、文書サーバ20としては、例えば、パーソナルコンピュータやワークステーション、その他のコンピュータを用いるとよい。
【0010】
識別情報サーバ30は、媒体に付与する識別情報を発行するコンピュータ装置である。そして、発行した識別情報を、その識別情報が付与される媒体に印刷される電子文書と関連付けて記憶する。ここで、識別情報サーバ30としては、例えば、パーソナルコンピュータやワークステーション、その他のコンピュータを用いるとよい。本実施の形態では、他の装置や管理装置の一例として、識別情報サーバ30を設けている。
画像形成装置40は、媒体に画像を印刷し、印刷文書として出力する装置である。この画像形成装置40は、単体のプリンタや印刷機であってもよいし、他にスキャナや通信の機能を備えた所謂複合機であってもよい。ここで、画像形成装置40における画像形成方式としては、例えば、電子写真方式を用いるとよいが、その他の方式を用いてもよい。尚、以下では、媒体に付与する識別情報を識別情報サーバ30が発行するものとして説明するが、システム内で重複なく発行できるのであれば識別情報はどの装置で発行してもよく、この画像形成装置40で発行するようにしてもよい。その場合は、例えば、画像形成装置40の機械番号と画像形成装置40におけるプリントカウントの値とを結合したものを識別情報として用いるとよい。
【0011】
端末装置50は、捺印装置60により印刷文書に捺印が行われたことを示す情報(以下、「捺印情報」という)を識別情報サーバ30に送信するコンピュータ装置である。また、識別情報サーバ30で管理される捺印情報をディスプレイに表示するようにしてもよい。ここで、端末装置50としては、例えば、パーソナルコンピュータやワークステーション、その他のコンピュータを用いるとよい。
【0012】
捺印装置60は、印刷文書に捺印するために用いられる装置である。また、この捺印によって印刷文書上に形成された印影の画像データ(以下、「印影画像」という)と、印刷文書に印刷された符号画像とを読み取る撮像素子を備える。そして、撮像素子で読み取った印影画像と、この印影画像から切りだした捺印日時と、符号画像から検出した識別情報及び位置情報と、この捺印装置60を使用しているユーザのユーザIDとを通信装置70を介して端末装置50に送信する。
通信装置70は、捺印装置60から捺印情報を取得して端末装置50に送信する装置である。例えば、捺印装置60を載せる台を設け、この台に捺印装置60が載せられると、捺印装置60に記憶された捺印情報を端末装置50に送信するようにするとよい。ここで、端末装置50との間の通信の方式としては、USB(Universal Serial Bus)、Bluetooth(登録商標)、赤外線通信機能等、種々の方式が考えられる。また、図では、通信装置70を捺印装置60と別体のものとして示しているが、必ずしも別体である必要はなく、一体に構成してもよい。更に、通信装置70を設けずに、捺印装置60が端末装置50等と直接無線通信により情報の送受信を行うようにしてもよい。
【0013】
尚、本明細書では、媒体に記録する画像の元となる電子データを「電子文書」と表記するが、これは、テキストを含む「文書」を電子化したデータのみを意味するものではない。例えば、絵、写真、図形等の画像データ(ラスタデータかベクターデータかによらない)、データベース管理ソフトウェアや表計算ソフトウェアで記録されるデータ、その他の印刷可能な電子データも含めて「電子文書」としている。
また、本明細書において、「媒体」は、画像を印刷可能な媒体であれば、その材質は問わない。代表例は紙であるが、OHPシートや金属板等であっても構わない。
更に、本明細書では、電子文書、媒体、更には捺印装置60について、それぞれを一意に識別するための識別情報を用いて処理を行うが、単に「識別情報」というときは、このうち、媒体の識別情報を意味するものとする。
【0014】
次に、このようなコンピュータシステムを構成する装置のうち、本実施の形態において特に中心となって動作する文書サーバ20及び識別情報サーバ30の構成について説明する。
図2は、文書サーバ20の機能構成例を示したブロック図である。
図示するように、文書サーバ20は、受信部21と、識別情報取得部22とを備える。また、識別符号生成部25aと、位置符号生成部25bと、符号配置部25cと、パターン画像記憶部25dと、符号画像生成部25eとを備える。更に、文書画像生成部26と、画像合成部27と、送信部29とを備える。
【0015】
受信部21は、端末装置10から印刷要求を受信する。ここで、印刷要求には、印刷対象となる電子文書の識別情報(以下、「文書ID」という)と、印刷に関する各種設定(以下、「印刷設定」という)とが含まれる。
識別情報取得部22は、受信部21から文書ID及び印刷設定を取得し、これを送信部29に渡して識別情報の発行要求の送信を指示し、これを文書画像生成部26に渡して文書画像の生成を指示する。また、受信部21から識別情報を取得し、これを識別符号生成部25aに渡して識別符号の生成を指示する。
【0016】
識別符号生成部25aは、媒体を特定する識別情報を符号化して識別符号を生成する。
位置符号生成部25bは、媒体上の座標位置を示す位置情報を符号化して位置符号を生成する。
符号配置部25cは、識別符号生成部25aにて生成された識別符号や、位置符号生成部25bにて生成された位置符号等を予め定めたレイアウトに従って2次元平面に配置し2次元の符号配列を生成する。
パターン画像記憶部25dは、符号配列に格納される各符号の符号値に対応するパターン画像を記憶する。
符号画像生成部25eは、符号配置部25cが生成した2次元の符号配列を参照し、各符号値に対応したパターン画像を選択して符号画像を生成する。
【0017】
文書画像生成部26は、識別情報取得部22から文書ID及び印刷設定を取得し、この文書IDで特定される電子文書を図示しない記憶手段から読み出し、印刷設定に従ってその電子文書の文書画像を生成する。
画像合成部27は、符号画像生成部25eが生成した符号画像と、文書画像生成部26が生成した文書画像とを合成し、合成画像を生成する。
送信部29は、識別情報サーバ30に対して識別情報の発行要求を送信する。また、画像形成装置40に対して媒体に対する画像の印刷命令を送信する。
【0018】
次に、識別情報サーバ30の構成について説明する。
図4は、識別情報サーバ30の機能構成例を示したブロック図である。
図示するように、識別情報サーバ30は、受信部31と、媒体管理部32と、媒体管理情報記憶部33と、表示情報生成部34と、捺印管理部35と、捺印管理情報記憶部36と、送信部39とを備える。
【0019】
受信部31は、文書サーバ20から識別情報の発行要求を受信する。また、受信部31は、印刷文書に対する捺印がなされた際には、識別情報、位置情報、印影画像、捺印日時、ユーザIDを含む捺印情報を端末装置50から受信する。更に、捺印リストの表示が指示された際に、端末装置50からは、表示する情報を特定するためのキー情報(例えば、部署ID)を受信する。本実施の形態では、捺印情報を受信する受信手段の一例として、受信部31を設けている。
【0020】
媒体管理部32は、識別情報の発行要求があると、識別情報を重複することなく発行し、その際に指定された文書ID及び印刷設定を識別情報に関連付けて記憶する。また、識別情報に対して、印刷文書上の領域を特定する情報(以下、「領域情報」という)と、その領域の捺印欄種別とを記憶する。更に、印刷文書に対する捺印がなされた際には、識別情報に対応する文書ID及びページ番号を取得すると共に、位置情報に対応する捺印欄種別を取得する。
【0021】
媒体管理情報記憶部33は、識別情報と、その識別情報が付与された媒体に印刷された電子文書の文書IDと、それが付与された媒体に電子文書が印刷された際の印刷設定と、媒体上の領域情報と、その領域情報で特定される領域の捺印欄種別とを対応付けた媒体管理情報を記憶するデータベースである。
表示情報生成部34は、捺印リストの表示が指示された際に、捺印管理部35から取得した情報に基づいて、捺印リストを表示するための表示情報を生成する。また、その際、捺印日時と現在日時の整合性の検証し、検証結果を表示情報に付加する。本実施の形態では、整合性を検証する検証手段の一例として、表示情報生成部34を設けている。
【0022】
捺印管理部35は、受信部31が受信した識別情報に対応する文書ID及びページ番号と、受信部31が受信した位置情報に対応する捺印欄種別とを媒体管理部32から取得し、捺印管理情報記憶部36に登録する。また、受信部31が受信した捺印日時及びユーザIDと、受信部31が受信した印影画像を一意に識別するための情報(以下、「印影ID」という)とを捺印管理情報記憶部36に登録する。更に、これらの捺印情報の登録日時も捺印管理情報記憶部36に登録する。また、捺印リストの表示が指示された際には、指定されたキー情報に対応する捺印情報を捺印管理情報記憶部36から取り出す。
捺印管理情報記憶部36は、捺印管理部35によって管理される捺印管理情報を記憶する。本実施の形態では、捺印情報を記憶する記憶手段の一例として、捺印管理情報記憶部36を設けている。
【0023】
送信部39は、文書サーバ20からの要求に応じて発行した識別情報を文書サーバ20に送信する。また、捺印リストの表示が指示された際には、端末装置50に対して捺印リストを表示するための表示情報を送信する。本実施の形態では、画面の表示を指示する指示手段の一例として、送信部39を設けている。
【0024】
次いで、本実施の形態の動作について説明する。
本実施の形態における動作は、大きく、印刷文書の出力と、印刷文書への捺印と、捺印リストの表示とに分けられるので、以下ではこれらを分けて説明する。
【0025】
A.印刷文書の出力
図4は、このときの文書サーバ20及び識別情報サーバ30の動作を示したシーケンス図である。
文書サーバ20では、まず、受信部21が、電子文書の印刷要求を端末装置10から受信する(ステップ211)。このうち、電子文書の印刷要求には、文書IDと印刷設定とが含まれる。ここで、文書IDとしては、例えば、URL(Uniform Resource Locator)を用いるとよいが、電子文書を一意に特定することができるものであれば他の情報を用いてもよい。また、印刷設定は、ページ、部数、用紙サイズ、拡大縮小率、複数ページを1枚の媒体にまとめて出力する機能、余白等の設定を含む。
受信部21は、これらの情報を受信すると、識別情報取得部22に受け渡す。すると、識別情報取得部22は、受け渡された情報のうち、文書IDと印刷設定とを送信部29に渡し、送信部29が、これらの情報を識別情報サーバ30に送信することで、識別情報の発行を要求する(ステップ212)。
【0026】
これにより、識別情報サーバ30では、受信部31が、文書IDと印刷設定とを受信する(ステップ311)。そして、文書IDと印刷設定は媒体管理部32に渡され、媒体管理部32が、媒体管理情報記憶部33から未使用の識別情報を取り出す(ステップ312)。ここで、取り出す識別情報の数は、印刷設定に応じて決められる。つまり、基本的には、印刷するページ数に印刷部数を乗じて得られる数の識別情報が取り出される。但し、設定情報中に、複数ページを1枚の媒体にまとめて出力する機能の指定等がある場合は、それも考慮される。例えば、10ページの電子文書を2ページずつ1枚の媒体にまとめて5部印刷する場合は、25(=10÷2×5)個の識別情報が取り出される。
次に、媒体管理部32は、識別情報と文書IDと印刷設定とを関連付けて媒体管理情報記憶部33に記憶する(ステップ313)。そして、ステップ312で発行された識別情報は送信部39に渡され、送信部39が、文書サーバ20に対し、識別情報を送信する(ステップ314)。
【0027】
これにより、文書サーバ20では、受信部21が識別情報を受信する(ステップ213)。そして、受信部21は、受信した識別情報を識別情報取得部22に受け渡す。
すると、文書サーバ20は、識別情報と位置情報とを表す符号画像を生成する(ステップ214)。この符号画像の生成は、具体的には、次のような処理により行われる。
即ち、まず、識別情報取得部22が、ステップ213で取得した識別情報を識別符号生成部25aに渡し、識別符号生成部25aが、識別情報を符号化することで識別符号を生成する。尚、識別情報の符号化の詳細については後述する。
また、位置符号生成部25bは、受信部21から印刷設定を受け取り、印刷設定に応じた範囲の位置情報を符号化することで位置符号を生成する。尚、位置情報の符号化の詳細についても後述する。
その後、符号配置部25cが、識別符号と位置符号とを予め定めたレイアウトに従って配置し、これを符号画像生成部25eが、パターン画像記憶部25dに記憶されたパターン画像を用いて画像化することで符号画像を生成する。
【0028】
また、文書サーバ20では、文書画像生成部26が、電子文書の文書画像を生成する(ステップ215)。その際、文書画像生成部26は、ステップ211で識別情報取得部22が取得した文書IDを受け取り、これに基づいて対象となる電子文書を図示しない記憶手段から読み出す。また、ステップ211で識別情報取得部22が取得した印刷設定を受け取り、これに基づいて文書画像を生成する。
そして、画像合成部27は、ステップ214で生成された符号画像と、ステップ215で生成された文書画像とを合成し、合成画像を生成する(ステップ216)。
その後、合成画像は送信部29に渡され、送信部29が、合成画像の印刷命令を画像形成装置40に送信する(ステップ217)。ここで、合成画像の印刷命令は、例えば、文書画像の印刷命令の列からなるPDL(Page Description Language)ファイルに対し、符号画像として印刷する内容をPDLコマンドとして設定したPDLの形式で送信される。
【0029】
これにより、画像形成装置40は、文書画像を例えばC(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)のトナーを用いて媒体に印刷する。また、符号画像を例えばK(カーボンを含む黒)のトナー又は特殊トナーを用いて媒体に印刷する。
ここで、特殊トナーとしては、可視光領域(400nm〜700nm)における最大吸収率が7%以下であり、近赤外領域(800nm〜1000nm)における吸収率が30%以上の不可視トナーが例示される。ここで、「可視」及び「不可視」は、目視により認識できるかどうかとは関係しない。印刷文書における画像が可視光領域における特定の波長の吸収に起因する発色性の有無により認識できるかどうかで「可視」と「不可視」とを区別している。また、可視光領域における特定の波長の吸収に起因する発色性が若干あるが人間の目で認識し難いものも、「不可視」に含める。
【0030】
尚、ここでは、電子文書の画像に符号画像を合成して印刷することとしたが、白紙(ノートや付箋等)に符号画像を印刷する構成としてもよい。その場合は、ステップ211で受信する印刷要求に文書IDを含めないようにし、ステップ313で識別情報と文書ID及び印刷設定との関連付けを行わないようにし、ステップ215における文書画像の生成は実行しないようにすればよい。
【0031】
次に、本実施の形態で生成される符号画像について説明する。
図5は、符号画像を構成する画像等の一例を示した図である。
まず、符号画像を構成する単位パターンについて説明する。
図5(a)は、単位パターンの一例を示したものである。
単位パターンとは、情報埋め込みの最小単位である。図では、黒塗りの領域と斜線の領域をドット配置可能な領域とし、その間にある白色の領域をドット配置不可能な領域としている。そして、ドット配置可能な領域のうち、黒塗りの領域にドットが配置され、斜線の領域にはドットが配置されていないことを示している。即ち、図は、ドットを配置可能な9箇所の中から選択した2箇所にドットを配置することで単位パターンを構成した例を示したものである。ここで、9箇所の中から2箇所を選択する組み合わせは36(=9C2)通りなので、単位パターンは、36種類存在する。このうち、4種類の単位パターンは、同期パターンとして使用される。同期パターンとは、画像の回転を検出したり、識別符号及び位置符号の相対的な位置を特定したりするためのパターンである。特に、画像の回転を検出する必要があることから、4種類の同期パターンとしては、そのうちの1つの同期パターンを90度回転するとそのうちの別の同期パターンになるようなものが選ばれる。また、この4種類の単位パターンを除く32種類の単位パターンは、識別符号及び位置符号を表現する情報パターンとして使用され、5ビットの情報が表現される。
【0032】
ところで、図5(a)に示したドットは、あくまで情報表現のためのドットであり、画像を構成する最小の点を意味するドットとは必ずしも一致しない。本実施の形態において、情報表現のためのドット(図5(a)の最小の四角)は、600dpiにおける2ドット×2ドットの大きさを有している。600dpiにおける1ドットの大きさは0.0423mmなので、情報表現のためのドット(図5(a)の最小の四角)の一辺は、84.6μm(=0.0423mm×2)である。情報表現のためのドットは、大きくなればなるほど目に付きやすくなるため、できるだけ小さいほうが好ましい。ところが、あまり小さくすると、プリンタで印刷できなくなってしまう。そこで、情報表現のためのドットの大きさとして、50μmより大きく100μmより小さい上記の値を採用している。但し、上記の値84.6μmは、あくまで計算上の数値であり、実際に印刷されたトナー像では100μm程度になる。尚、本明細書で「ドット」というときは、特に明示しない限り、画像を構成する最小の点を意味するドットではなく、情報表現のためのドットを指すものとする。
【0033】
次に、このような単位パターンから構成される符号ブロックについて説明する。
図5(b)に、符号ブロックのレイアウトの一例を示す。尚、ここでは、画像ではなく、パターン画像によって置き換えられる直前の符号配列で示している。即ち、図5(b)の最小の四角(以下、「単位ブロック」という)に、図5(a)のような単位パターン(36通りの単位パターンのいずれか)が配置され、その画像が媒体に形成されることになる。
図5(b)のレイアウトでは、符号ブロックの左上の1つの単位ブロックに、同期符号が配置されている。また、同期符号が配置された単位ブロックの右側の4つの単位ブロックにX位置符号が配置され、同期符号が配置された単位ブロックの下側の4つの単位ブロックにY位置符号が配置されている。更に、これらの位置符号が配置された単位ブロックに囲まれた16(=4×4)個の単位ブロックに識別符号が配置されている。
【0034】
ここで、識別情報の符号化について述べる。
識別情報を符号化する場合、識別情報を構成するビット列は、RS符号化を行うために複数のブロックに分割される。符号化には、いくつかの方法があるが、本実施の形態では、RS符号化が適している。RS符号は多値の符号法であり、この場合、単位ブロックで表現される値がRS符号の多値に対応するからである。例えば、1つの単位ブロックで5ビットの情報を表現する場合、60ビットの識別情報は、ブロック長が5ビットの12個のブロックに分割される。そして、2ブロックの誤りを訂正可能なRS符号を採用したとすると、符号長は16ブロックとなり、図5(b)の符号ブロックにおける識別符号が配置される単位ブロックに収まることになる。尚、符号化方式はRS符号に限定するものでなく、その他の符号化方式、例えば、BCH符号等を使用してもよい。
【0035】
次に、位置情報の符号化について述べる。
位置情報の符号化には、擬似乱数系列の一種であるM系列符号が使用される。ここで、M系列とは、ある長さのシフトレジスタとフィードバックによって生成される符号系列のうち、その周期が最長になる系列をいう。Kをシフトレジスタの段数とすると、M系列の系列長は2K−1となる。このM系列から取り出した任意の連続したKビットは、同じM系列中の他の位置に現れない性質を持つ。そこで、この性質を利用して位置情報を符号化する。
ところで、本実施の形態では、符号化すべき位置情報の長さから、必要なM系列の次数を求め、M系列を生成している。しかしながら、符号化する位置情報の長さが予め分かっている場合は、M系列を毎回生成する必要はない。即ち、固定のM系列を予め生成しておき、それをメモリ等に格納しておけばよい。
例えば、系列長8191のM系列(K=13)を使用したとする。この場合、位置符号も5ビット単位で埋め込むため、系列長8191のM系列から5ビットずつ取り出してブロック化する。
【0036】
尚、本明細書では、説明を簡単にするために、識別情報と位置情報とは明確に区別して用いている。しかしながら、広範な位置情報を用意しておき、媒体ごとに異なる範囲から位置情報を切り出して埋め込み、位置情報の違いによって媒体を識別するという手法もある。そこで、このような手法においては、媒体を識別する機能が位置情報に備わっているものと見て、位置情報を識別情報としても考えるものとする。
【0037】
ここで、媒体管理情報記憶部33に記憶される媒体管理情報の具体的な内容について説明する。
図6は、媒体管理情報の具体例を示した図である。
図示するように、媒体管理情報は、識別情報と、文書IDと、印刷設定と、領域情報と、捺印欄種別とが関連付けて記憶される。
このうち、識別情報は、既に述べた通り、媒体を一意に識別するための情報である。
また、文書IDは、既に述べた通り、電子文書を一意に識別するための情報である。
更に、印刷設定は、既に述べた通り、端末装置10で電子文書の印刷が要求された際に設定されたページ、用紙サイズ、拡大縮小率等の情報である。
更にまた、本実施の形態では、識別情報に対して、領域情報と捺印欄種別とを記憶している。領域情報は、既に述べた通り、媒体上の領域を特定するための情報である。図では、領域を矩形とし、その領域を「(左上点のX座標,左上点のY座標)−(右下点のX座標,右下点のY座標)」で示している。また、捺印欄種別は、既に述べた通り、媒体上の領域の捺印欄としての種別の情報である。
【0038】
図には、例えば、文書ID「DocA」の電子文書の1ページ目を、識別情報「000101」のA4サイズの媒体に100%で印刷し、その媒体上で、「(X11,Y11)−(X12,Y12)」で特定される領域に種別「作成」の捺印欄を設け、「(X13,Y13)−(X14,Y14)」で特定される領域に種別「査閲」の捺印欄を設け、「(X15,Y15)−(X16,Y16)」で特定される領域に種別「承認」の捺印欄を設けたことが示されている。
また、例えば、文書ID「DocB」の電子文書の1ページ目を、識別情報「000102」のA4サイズの媒体に100%で印刷したことが示されている。尚、この印刷文書には、1つの捺印欄しか設けられていないため、領域情報及び捺印欄種別は空欄になっている。
【0039】
更に、この媒体管理情報においては、図4に示した動作により印刷文書として出力された媒体以外も管理している。例えば、図1のシステム以外のシステムで作成された書面には、図4に示した動作による符号画像の印刷は行われていない。従って、このような書面はスキャナで読み取り、符号画像を付加した新たな書面として出力する。そして、書面をスキャンすることで得られた電子文書は、文書サーバ20に格納しておく。図では、このような書面をスキャンすることにより、例えば、識別情報「000103」が付与され、文書ID「DocC」の電子文書が作成され格納されたことが示されている。
【0040】
B.印刷文書への捺印
本実施の形態では、印刷文書に対する捺印情報が捺印装置60から通信装置70を介して端末装置50に伝えられ、文書サーバ20へ登録される。
そこで、まず、捺印装置60の機構について説明する。
図7は、捺印装置60の構成例を示した図である。
図示するように、捺印装置60は、印鑑本体600と、印鑑取付台605とを含む。ここで、印鑑取付台605は、例えば、四角柱の台の形状を有しており、脚部606に囲まれた部分は空洞になっている。また、印鑑取付台605は、中央部分に孔部を有しており、印鑑本体600がこの孔部に挿入され、上方向には引き抜くことができないように構成されている。一方で、印鑑本体600は、下方向には移動可能であり、印面601が媒体に接触することにより、印影602が形成される。尚、印鑑本体600の印字方式としては、回転印の組み合わせによる通常のゴム印方式、浸透印方式、熱転写方式等の何れの方式を採用してもよい。また、印鑑本体600には、カレンダーと時計が内蔵されており、捺印者が設定した日時が印面601にも設定されるようになっている。
【0041】
このような捺印装置60において、印鑑取付台605は、全体の動作を制御する制御回路61を備える。また、制御回路61は、読み取った符号画像を処理する画像処理部61aと、そこでの処理結果から識別情報及び位置情報を抽出するデータ処理部61bとを含む。
また、制御回路61には、印鑑本体600が下方に移動してスプリング(図示せず)の弾性等により元の位置に戻ったことを検出する接触センサ62が接続されている。
【0042】
更に、制御回路61には、媒体上に光を照射するLED63a,63bと、反射光を検知することによって符号画像及び印影画像を読み取る撮像手段の一例としてのCMOS64も接続されている。つまり、LED63aが例えば赤外光を媒体に照射し、CMOS64がこれに対する反射光を検知することによって符号画像を読み取る。また、捺印に用いられるインクによる吸収率が高く赤外光から波長が離れた光をLED63bが媒体に照射し、CMOS64がこれに対する反射光を検知することによって印影画像を読み取る。尚、LED63a,63b及びCMOS64は、印鑑本体600が定位置に戻ったことを接触センサ62が検知すると動作する。
更にまた、制御回路61には、識別情報及び位置情報を記憶するための情報メモリ65と、外部装置と通信するための通信回路66と、捺印装置60を駆動するためのバッテリ67と、捺印装置60の識別情報(装置ID)を記憶する装置IDメモリ68も接続されている。
【0043】
加えて、制御回路61には、指紋認証等の生体認証を行う認証センサ69も設けられている。そして、認証センサ69による認証が成功しない限り捺印できないようになっている。このように捺印できないようにする仕組みとしては、印鑑本体600を下方へ移動できないようにしたり、捺印しようとするユーザに対応する印面が現れないようにしたり、インクを滴下させないようにしたりすることが考えられる。尚、捺印者の認証の方法としては、生体認証だけでなく、暗証番号入力、ICカード認証等を用いてもよい。
【0044】
次に、このうち制御回路61において実現される機能構成について更に詳細に説明する。
図8は、制御回路61の機能構成例を示したブロック図である。尚、図では、制御回路61内の画像処理部61aとデータ処理部61bとに分けて、機能構成例を示している。
図示するように、画像処理部61aは、符号画像取得部611と、ドット配列生成部612と、印影画像取得部616とを備える。また、データ処理部61bは、符号配列生成部613と、識別情報取得部614と、位置情報取得部615とを備える。そして、更に、捺印日時抽出部617と、認証情報取得部618と、通信制御部619とを備える。
【0045】
符号画像取得部611は、CMOS64が印刷文書から読み取った符号画像を取得する。また、必要に応じて、符号画像に含まれるノイズを除去する。
ドット配列生成部612は、符号画像におけるドットの位置を参照して、ドット配列を生成する。即ち、2次元の配列上で、例えば、ドットがある位置に「1」を、ドットがない位置に「0」を記憶することにより、画像として検出したドットをデジタルデータに置き換える。そして、この2次元の配列をドット配列として出力する。
印影画像取得部616は、CMOS64が印刷文書から読み取った印影画像を取得する。
【0046】
符号配列生成部613は、ドット配列上で、符号ブロック内の単位パターンに対応するブロックを検出する。具体的には、単位パターンが配置されるブロックと同じ形状及び大きさの枠をドット配列上で動かし、枠内のドット数が均等になる位置で枠を固定する。例えば、図5(a)の単位パターンを用いる場合であれば、3ドット×3ドットに対応する大きさの枠を動かし、枠内に含まれるドット数が2となる位置で枠を固定する。そして、その枠で区切られた各ブロック内のドット位置から定まる符号値を格納した符号配列を生成する。また、この符号配列が生成されると、予め定められた同期符号の符号値を検索することによって、同期符号の位置が特定される。
【0047】
識別情報取得部614は、符号配列から同期符号の位置を基準にして識別符号を検出する。そして、画像生成時にRS符号化処理で用いたパラメータを用いて識別符号を復号し、識別情報を取得する。本実施の形態では、識別情報を抽出する抽出手段の一例として、識別情報取得部614を設けている。
位置情報取得部615は、符号配列から同期符号の位置を基準にして位置符号を検出する。そして、位置符号からM系列の部分系列を取り出し、画像生成時に使用したM系列におけるこの部分系列の位置を参照し、この位置を同期符号によるオフセットで補正した値を位置情報として取得する。尚、オフセットで補正するのは、位置符号の間に同期符号が配置されているためである。本実施の形態では、特定の位置情報を抽出する抽出手段の一例として、位置情報取得部615を設けている。
【0048】
捺印日時抽出部617は、印影画像取得部616が取得した印影画像から捺印日時に相当する画像の部分を切り出し、この画像に対して文字認識を行い、捺印日時を取得する。この捺印日時の一例として、本実施の形態では、YYYYMMDDHHMMという形式の情報を取得する。例えば、2008年12月29日10時31分に貼り付けがなされたとすると、『200812291031』を捺印日時として取得する。本実施の形態では、印面に刻まれた特定の情報の一例として、捺印日時を用いており、特定の情報を抽出する抽出手段の一例として、捺印日時抽出部617を設けている。
認証情報取得部618は、認証センサ69による認証の結果である認証情報を取得する。本実施の形態では、捺印者情報を取得する取得手段の一例として、認証情報取得部618を設けている。
【0049】
通信制御部619は、識別情報取得部614が取得した識別情報と、位置情報取得部615が取得した位置情報と、印影画像取得部616が取得した印影画像と、捺印日時抽出部617が抽出した捺印日時と、認証情報取得部618が取得した認証情報とを通信回路66に受け渡すことで、通信装置70への情報送信を実現する。本実施の形態では、捺印情報を送信する送信手段の一例として、通信制御部619を設けている。
【0050】
次に、捺印装置60が捺印情報を識別情報サーバ30に登録する際の動作について説明する。
図9は、このときの捺印装置60及び識別情報サーバ30の動作を示したシーケンス図である。
捺印装置60は、まず、符号画像と、印影画像とを取得する(ステップ621)。具体的には、次のような処理を行う。即ち、まず、LED63a,63bが媒体に対して光を照射し、CMOS64がその反射光を受光することにより、符号画像及び印影画像を読み取る。そして、符号画像取得部611がこの読み取った符号画像を取得する。そして、符号画像にノイズが含まれていれば、これを除去する。また、印影画像取得部616がこの読み取った印影画像を取得する。
【0051】
次に、捺印装置60は、識別情報と、位置情報とを取得する(ステップ622)。具体的には、次のような処理を行う。即ち、まず、ドット配列生成部612が、符号画像に含まれるドット位置をデジタルデータ化し、ドット配列を生成する。次に、符号配列生成部613が、ドット配列からブロックを検出し、ブロックごとの符号値を格納した符号配列を生成する。そして、符号配列において、同期符号の位置を特定する。その後、識別情報取得部614が、同期符号の位置に基づいて識別符号を検出し、これを復号して識別情報を取得する。また、位置情報取得部615が、同期符号の位置に基づいて位置符号を検出し、これを復号して位置情報を取得する。
【0052】
また、捺印日時抽出部617は、印影画像取得部616が取得した印影画像から捺印日時を抽出する(ステップ623)。
更に、認証情報取得部618は、認証センサ69からユーザIDを取得する(ステップ624)。
その後、通信制御部619が、ステップ622で取得した識別情報及び位置情報と、ステップ621で取得した印影画像と、ステップ623で抽出した捺印日時と、ステップ624で取得したユーザIDとを含む捺印情報を通信回路66に受け渡し、通信回路66がこの捺印情報を通信装置70及び端末装置50を介して識別情報サーバ30へ送信する(ステップ625)。
【0053】
これにより、識別情報サーバ30では、まず、受信部31が、識別情報、位置情報、印影画像、捺印日時、ユーザIDを含む捺印情報を受信する(ステップ321)。
次に、この捺印情報に含まれる情報のうち、識別情報、位置情報は媒体管理部32に渡され、媒体管理部32は、渡された識別情報、位置情報に対応する文書ID、ページ番号(印刷設定に含まれる)、捺印欄種別を媒体管理情報記憶部33から取り出す(ステップ322)。具体的には、識別情報と文書ID及びページ番号との対応情報が媒体管理情報記憶部33に記憶されているので、この対応情報に基づいて、識別情報に対応する文書ID及びページ番号を取得する。また、領域情報と捺印欄種別との対応情報が媒体管理情報記憶部33に記憶されているので、まず、位置情報を含む領域を示す領域情報を特定し、次に、この対応情報に基づいて、特定された領域情報に対応する捺印欄種別を取得する。そして、これらの情報は、捺印管理部35に渡される。
また、ステップ321で受信した捺印情報に含まれる情報のうち、印影画像、捺印日時、ユーザIDは捺印管理部35に渡され、捺印管理部35は、印影画像を予め定めたフォルダにファイルとして格納すると共に、そのファイルを識別する印影IDを付与する(ステップ323)。
そして、捺印管理部35は、受信部31から渡された捺印日時及びユーザID、媒体管理部32から渡された文書ID及びページ番号並びに捺印欄種別、ステップ323で付与した印影IDからなる捺印情報を捺印管理情報記憶部36に記憶する(ステップ324)。
更に、捺印管理部35は、この捺印情報の登録日時を捺印管理情報記憶部36に記憶する(ステップ325)。
【0054】
その後、捺印管理部35は、捺印情報登録完了報告を送信部39に出力し、送信部39が、捺印情報登録完了報告を端末装置50及び通信装置70を介して捺印装置60に送信する(ステップ326)。
【0055】
これにより、捺印装置60では、通信回路66が捺印情報登録完了報告を受信し、通信制御部619が通信回路66からこれを受け取る(ステップ626)。そして、捺印情報登録完了報告は、捺印装置60のディスプレイ(図示せず)に表示される。
【0056】
ここで、捺印管理情報記憶部36に記憶される捺印管理情報の具体的な内容について説明する。
図10は、捺印管理情報の具体例を示した図である。
図示するように、捺印管理情報は、捺印日時と、ユーザIDと、文書IDと、ページ番号と、捺印欄種別と、印影IDと、登録日時とを対応付けたものとなっている。
このうち、捺印日時は、捺印装置60における印鑑本体600の印面601に設定された日時であり、印影から切り出されたものである。
ユーザIDは、捺印装置60において認証を受けた捺印者のユーザIDである。
文書IDは、既に述べた通り、電子文書を一意に識別するための情報である。
ページ番号は、電子文書におけるページの番号である。
捺印欄種別は、印刷文書に設けられた作成、査閲、承認等の捺印欄の種別である。
印影IDは、既に述べた通り、捺印装置60において取得された印影画像に付与された識別情報である。
また、登録日時は、これらの情報が登録された日時である。
【0057】
図には、例えば、「2008年12月29日10時31分」にユーザID「U0001」のユーザが文書ID「DocA」の電子文書の1ページ目の種別「作成」の捺印欄に捺印を行った際の印影に対して、印影ID「S000101」が付与され、「2008年12月29日10時36分」に登録されたことが示されている。
尚、図の5行目には、「2008年12月30日15時15分」にユーザID「U0004」のユーザが文書ID「DocA」の電子文書の1ページ目の種別「承認」の捺印欄に行った捺印を行った際の印影に対して、印影ID「S000401」が付与されていることが示されている。ところが、「2008年12月31日10時10分」に登録されており、捺印したとされる日時である「2008年12月30日15時15分」から相当の時間が経過している。従って、捺印装置60で捺印した後、識別情報サーバ30へ遅滞なく捺印情報が送信されることを前提とすれば、この捺印は、捺印日時を改ざんした不正な捺印である可能性がある。
【0058】
C.捺印リストの表示
本実施の形態では、上記の捺印管理情報に基づいて、捺印情報の一覧である捺印リストを表示する。
その場合、ユーザは、まず、端末装置50に対して捺印リストの表示を指示する。この場合、全く絞り込みを行わずに捺印リストを表示すると、膨大な量の情報が表示される可能性があるので、何らかのキー情報によって絞り込みを行うとよい。ここでは、一例として、部署の管理者が自部署の社員の捺印状況を確認する場面を想定し、部署IDをキー情報として入力するものとする。
【0059】
図11は、このときの端末装置50及び識別情報サーバ30の動作を示したシーケンス図である。
端末装置50は、まず、部署IDを受け付け(ステップ531)、これを識別情報サーバ30に送信する(ステップ532)。
これにより、識別情報サーバ30では、受信部31が、まず、端末装置50から部署IDを受信する(ステップ331)。次に、部署IDは捺印管理部35に渡され、捺印管理部35が、部署IDとユーザIDとを対応付けた社員データベース(図示せず)を参照して、この部署IDの部署に属するユーザのユーザIDを特定する(ステップ332)。そして、捺印管理部35は、これらのユーザIDをキーとして、登録日時、捺印日時、文書ID、ページ番号、捺印欄種別、印影IDを捺印管理情報記憶部36から取り出して表示情報生成部34に受け渡し、表示情報生成部34が、捺印日時、ユーザID、文書ID、ページ番号、捺印欄種別、印影IDからなる捺印情報を含む捺印リストを表示するための表示情報を生成する(ステップ333)。
【0060】
また、表示情報生成部34は、ステップ333で受け渡された捺印日時と登録日時とが整合しているかどうかを検証する(ステップ334)。ここでは、例えば、捺印してから捺印情報が識別情報サーバ30に届くまでに要する最大限の時間を予め定めておき、登録日時が捺印日時よりも後で、かつ、登録日時と捺印日時との差分がこの時間内であるかどうかを検証する。
その結果、捺印日時と登録日時とが整合していない捺印情報があれば、表示情報におけるその捺印情報に対して、不正な捺印である可能性がある旨のマーク(不正マーク)を付加し(ステップ336)、ステップ337へ進む。
一方、捺印日時と登録日時とが整合していない捺印情報がなければ、そのままステップ337へ進む。
【0061】
そして、表示情報生成部34は、このようにして生成した表示情報を送信部39に渡し、送信部39が、表示情報を端末装置50に送信する(ステップ337)。
これにより、端末装置50は、表示情報を受信し(ステップ533)、受信した表示情報に基づいて、捺印リストを表示する(ステップ534)。
【0062】
図12は、このようにして表示された捺印リストの例を示した図である。
図示するように、捺印リストでは、捺印日時、捺印者、捺印書類、捺印欄、印影、不正マークの一覧が表示されている。
ここで、捺印日時としては、図10の捺印管理情報における捺印日時が表示されている。
捺印者としては、図10の捺印管理情報におけるユーザIDをキーとして社員データベース(図示せず)を検索することにより得られたユーザ名が表示されている。
捺印書類としては、図10の捺印管理情報における文書ID及びページ番号をキーとして文書サーバ20に問い合わせて得られた書類名が表示されている。
捺印欄としては、図10の捺印欄種別が表示されている。
印影としては、図10の印影IDをキーとして特定される印影ファイルに格納された印影のイメージが表示されている。
不正マークとしては、図11のステップ336で不正マークが付加された場合に、その不正マークが表示されている。
【0063】
尚、この捺印リストは、1つの捺印装置60だけでなく、複数の捺印装置60から受け付けた捺印情報を含むものであってよい。
また、捺印者をキーとしてソート/検索機能を用いることにより、その捺印者が捺印した書類を一覧することができるようになっている。また、捺印書類をキーとしてソート/検索機能を用いることにより、その捺印書類の処理フローを一覧することもできるようになっている。
更に、この捺印リストにおいて捺印書類のイメージを表示するようにしてもよいし、捺印書類の書類名のみを表示して書類名をクリックすることでイメージを表示するようにしてもよい。
更にまた、捺印者名をクリックすると、その捺印者へ電話やメール等の方法で連絡できるようにしてもよい。
以上により、本実施の形態の動作の説明を終了する。
【0064】
尚、上記実施の形態では、印影から抽出する情報は捺印日時のみとし、識別情報サーバ30ではこの捺印日時と登録日時との整合性を検証するようにしたが、印影から抽出する情報やその整合性の検証方法は、これには限らない。
例えば、図7の印鑑本体600が、部署員や社印のように特定の組織の構成員に対してのみ捺印が許可されたものである場合がある。このような場合、まず、捺印装置60において、印面601に刻まれた特定の情報として、捺印が許可された組織の情報(捺印組織情報)を抽出し、これを捺印情報に含めて識別情報サーバ30に送信する。そして、識別情報サーバ30では、捺印装置60から送られた捺印情報に含まれる捺印組織情報と、同じく捺印情報に含まれる認証された捺印者の情報(捺印者情報)との整合性を検証する。つまり、例えば、社員データベース(図示せず)において、捺印者情報の一例である捺印者のユーザIDが、捺印組織情報の一例である部署IDに関連付けて登録されているかどうかを検証する。そして、ユーザIDが部署IDに関連付けられて登録されていなければ、その部署の構成員以外による不正な捺印の可能性があると判断し、図12の捺印リストに不正マークを表示する。
【0065】
ところで、本実施の形態では、捺印装置60が印影から特定の情報を抽出し、識別情報サーバ30が特定の情報の整合性を検証し、特定の情報を含む捺印情報を管理してその表示を制御するようにした。しかしながら、これらの処理を如何なる装置で行うかについては種々のバリエーションが考えられる。例えば、印影からの特定の情報の抽出は、端末装置50又は識別情報サーバ30が行ってもよいし、特定の情報の整合性の検証や捺印情報の管理及び表示制御は、端末装置50で行ってもよい。
そこで、これらの処理をコンピュータ90で行うものとして、コンピュータ90のハードウェア構成について説明する。
【0066】
図13は、コンピュータ90のハードウェア構成を示した図である。
図示するように、コンピュータ90は、演算手段であるCPU(Central Processing Unit)91と、記憶手段であるメインメモリ92及び磁気ディスク装置(HDD:Hard Disk Drive)93とを備える。ここで、CPU91は、OS(Operating System)やアプリケーション等の各種ソフトウェアを実行し、上述した各機能を実現する。また、メインメモリ92は、各種ソフトウェアやその実行に用いるデータ等を記憶する記憶領域であり、磁気ディスク装置93は、各種ソフトウェアに対する入力データや各種ソフトウェアからの出力データ等を記憶する記憶領域である。
更に、コンピュータ90は、外部との通信を行うための通信I/F94と、ビデオメモリやディスプレイ等からなる表示機構95と、キーボードやマウス等の入力デバイス96とを備える。
【0067】
尚、本実施の形態を実現するプログラムは、通信手段により提供することはもちろん、CD−ROM等の記録媒体に格納して提供することも可能である。
【符号の説明】
【0068】
10,50…端末装置、20…文書サーバ、30…識別情報サーバ、40…画像形成装置、60…捺印装置、80…ネットワーク
【技術分野】
【0001】
本発明は、捺印装置、捺印情報管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
捺印欄が印刷された用紙に捺印を試行することにより、電子文書に捺印する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1の技術では、捺印が許可された捺印欄を記憶し、捺印を試行すると、捺印が試行された捺印面を読み取って、読み取られた捺印面が記憶された捺印欄であるか否かを判断して、記憶された捺印欄である場合、捺印できるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−127009号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、媒体に捺印が行われたことを、印影における情報を含めて管理することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、特定の情報が刻まれた印面を有する印鑑本体と、前記印面が接することにより印影が形成された媒体を撮像する撮像手段と、前記撮像手段による撮像によって得られた前記印影の画像から、前記印面に刻まれた前記特定の情報を抽出する抽出手段と、自装置により捺印が行われたことを示す情報であって、前記抽出手段により抽出された前記特定の情報を含む捺印情報を、他の装置に送信する送信手段とを備えたことを特徴とする捺印装置である。
請求項2に記載の発明は、前記媒体には、当該媒体を識別する識別情報が印刷されており、前記抽出手段は、前記撮像手段による撮像によって得られた前記識別情報の画像から、当該識別情報を抽出し、前記送信手段は、前記抽出手段により抽出された前記識別情報を更に含む前記捺印情報を前記他の装置に送信することを特徴とする請求項1に記載の捺印装置である。
請求項3に記載の発明は、前記媒体には、当該媒体上の各位置を示す位置情報が印刷されており、前記抽出手段は、前記撮像手段による撮像によって得られた前記位置情報の画像から、前記印影が形成された位置を示す特定の位置情報を抽出し、前記送信手段は、前記抽出手段により抽出された前記特定の位置情報を更に含む前記捺印情報を前記他の装置に送信することを特徴とする請求項1又は2に記載の捺印装置である。
請求項4に記載の発明は、媒体に捺印する捺印装置と、前記捺印装置により捺印が行われたことを示す捺印情報を管理する管理装置とを備え、前記捺印装置は、特定の情報が刻まれた印面を有する印鑑本体と、前記印面が接することにより印影が形成された媒体を撮像する撮像手段と、前記撮像手段による撮像によって得られた前記印影の画像から、前記印面に刻まれた前記特定の情報を抽出する抽出手段と、前記抽出手段により抽出された前記特定の情報を含む前記捺印情報を前記管理装置に送信する送信手段とを備え、前記管理装置は、前記捺印装置から前記捺印情報を受信する受信手段と、前記受信手段により受信された前記捺印情報を記憶する記憶手段とを備えたことを特徴とする捺印情報管理システムである。
請求項5に記載の発明は、前記特定の情報は、前記捺印装置に捺印日付として設定された捺印日付情報を含み、前記管理装置は、前記受信手段により受信された前記捺印情報に含まれる前記捺印日付情報と、自装置が保持する現在日付を表す現在日付情報との整合性を検証する検証手段を更に備えたことを特徴とする請求項4に記載の捺印情報管理システムである。
請求項6に記載の発明は、前記特定の情報は、前記捺印装置による捺印が許可された組織を示す捺印組織情報を含み、前記捺印装置は、自装置による捺印に先立って、当該捺印を行う捺印者を示す捺印者情報を取得する取得手段を更に備え、前記捺印装置の前記送信手段は、前記取得手段により取得された前記捺印者情報を更に含む前記捺印情報を前記管理装置に送信し、前記管理装置は、前記受信手段により受信された前記捺印情報に含まれる前記捺印組織情報と、当該捺印情報に含まれる前記捺印者情報との整合性を検証する検証手段を更に備えたことを特徴とする請求項4に記載の捺印情報管理システムである。
請求項7に記載の発明は、前記媒体には、当該媒体を識別する識別情報が印刷されており、前記捺印装置の前記抽出手段は、前記撮像手段による撮像によって得られた前記識別情報の画像から、当該識別情報を抽出し、前記捺印装置の前記送信手段は、前記抽出手段により抽出された前記識別情報を含む前記捺印情報を前記管理装置に送信し、前記管理装置は、前記受信手段により受信された前記捺印情報に基づいて生成された画面であって、当該捺印情報に含まれる前記識別情報に対応する捺印書類の情報を含む画面の表示を指示する指示手段を更に備えたことを特徴とする請求項4乃至6の何れかに記載の捺印情報管理システムである。
請求項8に記載の発明は、前記媒体には、当該媒体上の各位置を示す位置情報が印刷されており、前記捺印装置の前記抽出手段は、前記撮像手段による撮像によって得られた前記位置情報の画像から、前記印影が形成された位置を示す特定の位置情報を抽出し、前記捺印装置の前記送信手段は、前記抽出手段により抽出された前記特定の位置情報を含む前記捺印情報を前記管理装置に送信し、前記管理装置は、前記受信手段により受信された前記捺印情報に基づいて生成された画面であって、当該捺印情報に含まれる前記特定の位置情報に対応する捺印欄の情報を含む画面の表示を指示する指示手段を更に備えたことを特徴とする請求項4乃至6の何れかに記載の捺印情報管理システムである。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明によれば、媒体に捺印が行われたことを、印影における情報を含めて管理させることができる。
請求項2の発明によれば、媒体に捺印が行われたことを、媒体の識別情報を含めて管理させることができる。
請求項3の発明によれば、媒体に捺印が行われたことを、媒体上の印影が形成された位置の位置情報を含めて管理させることができる。
請求項4の発明によれば、捺印装置により媒体に捺印が行われたことを、印影における情報を含めて管理することができる。
請求項5の発明によれば、捺印装置に設定された捺印日付と現在日時との関係を検査することができる。
請求項6の発明によれば、捺印装置による捺印が許可された組織と捺印者との関係を検査することができる。
請求項7の発明によれば、捺印装置により媒体に捺印が行われたことを、捺印書類の情報を含めて把握することができる。
請求項8の発明によれば、捺印装置により媒体に捺印が行われたことを、捺印欄の情報を含めて把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の実施の形態が適用されるシステム構成を示した図である。
【図2】本発明の実施の形態における文書サーバの機能構成を示したブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態における識別情報サーバの機能構成を示したブロック図である。
【図4】本発明の実施の形態における印刷文書出力時の動作を示したシーケンス図である。
【図5】本発明の実施の形態で生成される符号画像の例を示した図である。
【図6】本発明の実施の形態で記憶される媒体管理情報の例を示した図である。
【図7】本発明の実施の形態における捺印装置の構成を示した図である。
【図8】本発明の実施の形態における捺印装置の制御回路の機能機構を示したブロック図である。
【図9】本発明の実施の形態における印刷文書への捺印時の動作を示したシーケンス図である。
【図10】本発明の実施の形態で記憶される捺印管理情報の例を示した図である。
【図11】本発明の実施の形態における捺印リストの表示時の動作を示したシーケンス図である。
【図12】本発明の実施の形態で表示される捺印リストの例を示した図である。
【図13】本発明の実施の形態を実現可能なコンピュータのハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
まず、本実施の形態におけるコンピュータシステムの全体構成について説明する。
図1は、本実施の形態のコンピュータシステムの構成例を示したものである。
図示するように、このコンピュータシステムは、端末装置10と、文書サーバ20と、識別情報サーバ30と、画像形成装置40と、端末装置50とがネットワーク80に接続されることにより構成されている。また、端末装置50には、捺印装置60が通信装置70を介して接続されている。
【0009】
端末装置10は、文書サーバ20に対して電子文書の印刷を要求するコンピュータ装置である。ここで、端末装置10としては、例えば、パーソナルコンピュータやワークステーション、その他のコンピュータを用いるとよい。
文書サーバ20は、電子文書を記憶し管理するコンピュータ装置である。また、端末装置10から電子文書の印刷要求があると、電子文書の画像と、識別情報及び位置情報を表す符号画像とを生成し、これらを合成した合成画像を媒体に印刷する印刷命令を画像形成装置40に対して出力する。この場合、識別情報とは、媒体を一意に特定するための情報であり、位置情報とは、媒体上の座標位置を特定するための情報である。ここで、文書サーバ20としては、例えば、パーソナルコンピュータやワークステーション、その他のコンピュータを用いるとよい。
【0010】
識別情報サーバ30は、媒体に付与する識別情報を発行するコンピュータ装置である。そして、発行した識別情報を、その識別情報が付与される媒体に印刷される電子文書と関連付けて記憶する。ここで、識別情報サーバ30としては、例えば、パーソナルコンピュータやワークステーション、その他のコンピュータを用いるとよい。本実施の形態では、他の装置や管理装置の一例として、識別情報サーバ30を設けている。
画像形成装置40は、媒体に画像を印刷し、印刷文書として出力する装置である。この画像形成装置40は、単体のプリンタや印刷機であってもよいし、他にスキャナや通信の機能を備えた所謂複合機であってもよい。ここで、画像形成装置40における画像形成方式としては、例えば、電子写真方式を用いるとよいが、その他の方式を用いてもよい。尚、以下では、媒体に付与する識別情報を識別情報サーバ30が発行するものとして説明するが、システム内で重複なく発行できるのであれば識別情報はどの装置で発行してもよく、この画像形成装置40で発行するようにしてもよい。その場合は、例えば、画像形成装置40の機械番号と画像形成装置40におけるプリントカウントの値とを結合したものを識別情報として用いるとよい。
【0011】
端末装置50は、捺印装置60により印刷文書に捺印が行われたことを示す情報(以下、「捺印情報」という)を識別情報サーバ30に送信するコンピュータ装置である。また、識別情報サーバ30で管理される捺印情報をディスプレイに表示するようにしてもよい。ここで、端末装置50としては、例えば、パーソナルコンピュータやワークステーション、その他のコンピュータを用いるとよい。
【0012】
捺印装置60は、印刷文書に捺印するために用いられる装置である。また、この捺印によって印刷文書上に形成された印影の画像データ(以下、「印影画像」という)と、印刷文書に印刷された符号画像とを読み取る撮像素子を備える。そして、撮像素子で読み取った印影画像と、この印影画像から切りだした捺印日時と、符号画像から検出した識別情報及び位置情報と、この捺印装置60を使用しているユーザのユーザIDとを通信装置70を介して端末装置50に送信する。
通信装置70は、捺印装置60から捺印情報を取得して端末装置50に送信する装置である。例えば、捺印装置60を載せる台を設け、この台に捺印装置60が載せられると、捺印装置60に記憶された捺印情報を端末装置50に送信するようにするとよい。ここで、端末装置50との間の通信の方式としては、USB(Universal Serial Bus)、Bluetooth(登録商標)、赤外線通信機能等、種々の方式が考えられる。また、図では、通信装置70を捺印装置60と別体のものとして示しているが、必ずしも別体である必要はなく、一体に構成してもよい。更に、通信装置70を設けずに、捺印装置60が端末装置50等と直接無線通信により情報の送受信を行うようにしてもよい。
【0013】
尚、本明細書では、媒体に記録する画像の元となる電子データを「電子文書」と表記するが、これは、テキストを含む「文書」を電子化したデータのみを意味するものではない。例えば、絵、写真、図形等の画像データ(ラスタデータかベクターデータかによらない)、データベース管理ソフトウェアや表計算ソフトウェアで記録されるデータ、その他の印刷可能な電子データも含めて「電子文書」としている。
また、本明細書において、「媒体」は、画像を印刷可能な媒体であれば、その材質は問わない。代表例は紙であるが、OHPシートや金属板等であっても構わない。
更に、本明細書では、電子文書、媒体、更には捺印装置60について、それぞれを一意に識別するための識別情報を用いて処理を行うが、単に「識別情報」というときは、このうち、媒体の識別情報を意味するものとする。
【0014】
次に、このようなコンピュータシステムを構成する装置のうち、本実施の形態において特に中心となって動作する文書サーバ20及び識別情報サーバ30の構成について説明する。
図2は、文書サーバ20の機能構成例を示したブロック図である。
図示するように、文書サーバ20は、受信部21と、識別情報取得部22とを備える。また、識別符号生成部25aと、位置符号生成部25bと、符号配置部25cと、パターン画像記憶部25dと、符号画像生成部25eとを備える。更に、文書画像生成部26と、画像合成部27と、送信部29とを備える。
【0015】
受信部21は、端末装置10から印刷要求を受信する。ここで、印刷要求には、印刷対象となる電子文書の識別情報(以下、「文書ID」という)と、印刷に関する各種設定(以下、「印刷設定」という)とが含まれる。
識別情報取得部22は、受信部21から文書ID及び印刷設定を取得し、これを送信部29に渡して識別情報の発行要求の送信を指示し、これを文書画像生成部26に渡して文書画像の生成を指示する。また、受信部21から識別情報を取得し、これを識別符号生成部25aに渡して識別符号の生成を指示する。
【0016】
識別符号生成部25aは、媒体を特定する識別情報を符号化して識別符号を生成する。
位置符号生成部25bは、媒体上の座標位置を示す位置情報を符号化して位置符号を生成する。
符号配置部25cは、識別符号生成部25aにて生成された識別符号や、位置符号生成部25bにて生成された位置符号等を予め定めたレイアウトに従って2次元平面に配置し2次元の符号配列を生成する。
パターン画像記憶部25dは、符号配列に格納される各符号の符号値に対応するパターン画像を記憶する。
符号画像生成部25eは、符号配置部25cが生成した2次元の符号配列を参照し、各符号値に対応したパターン画像を選択して符号画像を生成する。
【0017】
文書画像生成部26は、識別情報取得部22から文書ID及び印刷設定を取得し、この文書IDで特定される電子文書を図示しない記憶手段から読み出し、印刷設定に従ってその電子文書の文書画像を生成する。
画像合成部27は、符号画像生成部25eが生成した符号画像と、文書画像生成部26が生成した文書画像とを合成し、合成画像を生成する。
送信部29は、識別情報サーバ30に対して識別情報の発行要求を送信する。また、画像形成装置40に対して媒体に対する画像の印刷命令を送信する。
【0018】
次に、識別情報サーバ30の構成について説明する。
図4は、識別情報サーバ30の機能構成例を示したブロック図である。
図示するように、識別情報サーバ30は、受信部31と、媒体管理部32と、媒体管理情報記憶部33と、表示情報生成部34と、捺印管理部35と、捺印管理情報記憶部36と、送信部39とを備える。
【0019】
受信部31は、文書サーバ20から識別情報の発行要求を受信する。また、受信部31は、印刷文書に対する捺印がなされた際には、識別情報、位置情報、印影画像、捺印日時、ユーザIDを含む捺印情報を端末装置50から受信する。更に、捺印リストの表示が指示された際に、端末装置50からは、表示する情報を特定するためのキー情報(例えば、部署ID)を受信する。本実施の形態では、捺印情報を受信する受信手段の一例として、受信部31を設けている。
【0020】
媒体管理部32は、識別情報の発行要求があると、識別情報を重複することなく発行し、その際に指定された文書ID及び印刷設定を識別情報に関連付けて記憶する。また、識別情報に対して、印刷文書上の領域を特定する情報(以下、「領域情報」という)と、その領域の捺印欄種別とを記憶する。更に、印刷文書に対する捺印がなされた際には、識別情報に対応する文書ID及びページ番号を取得すると共に、位置情報に対応する捺印欄種別を取得する。
【0021】
媒体管理情報記憶部33は、識別情報と、その識別情報が付与された媒体に印刷された電子文書の文書IDと、それが付与された媒体に電子文書が印刷された際の印刷設定と、媒体上の領域情報と、その領域情報で特定される領域の捺印欄種別とを対応付けた媒体管理情報を記憶するデータベースである。
表示情報生成部34は、捺印リストの表示が指示された際に、捺印管理部35から取得した情報に基づいて、捺印リストを表示するための表示情報を生成する。また、その際、捺印日時と現在日時の整合性の検証し、検証結果を表示情報に付加する。本実施の形態では、整合性を検証する検証手段の一例として、表示情報生成部34を設けている。
【0022】
捺印管理部35は、受信部31が受信した識別情報に対応する文書ID及びページ番号と、受信部31が受信した位置情報に対応する捺印欄種別とを媒体管理部32から取得し、捺印管理情報記憶部36に登録する。また、受信部31が受信した捺印日時及びユーザIDと、受信部31が受信した印影画像を一意に識別するための情報(以下、「印影ID」という)とを捺印管理情報記憶部36に登録する。更に、これらの捺印情報の登録日時も捺印管理情報記憶部36に登録する。また、捺印リストの表示が指示された際には、指定されたキー情報に対応する捺印情報を捺印管理情報記憶部36から取り出す。
捺印管理情報記憶部36は、捺印管理部35によって管理される捺印管理情報を記憶する。本実施の形態では、捺印情報を記憶する記憶手段の一例として、捺印管理情報記憶部36を設けている。
【0023】
送信部39は、文書サーバ20からの要求に応じて発行した識別情報を文書サーバ20に送信する。また、捺印リストの表示が指示された際には、端末装置50に対して捺印リストを表示するための表示情報を送信する。本実施の形態では、画面の表示を指示する指示手段の一例として、送信部39を設けている。
【0024】
次いで、本実施の形態の動作について説明する。
本実施の形態における動作は、大きく、印刷文書の出力と、印刷文書への捺印と、捺印リストの表示とに分けられるので、以下ではこれらを分けて説明する。
【0025】
A.印刷文書の出力
図4は、このときの文書サーバ20及び識別情報サーバ30の動作を示したシーケンス図である。
文書サーバ20では、まず、受信部21が、電子文書の印刷要求を端末装置10から受信する(ステップ211)。このうち、電子文書の印刷要求には、文書IDと印刷設定とが含まれる。ここで、文書IDとしては、例えば、URL(Uniform Resource Locator)を用いるとよいが、電子文書を一意に特定することができるものであれば他の情報を用いてもよい。また、印刷設定は、ページ、部数、用紙サイズ、拡大縮小率、複数ページを1枚の媒体にまとめて出力する機能、余白等の設定を含む。
受信部21は、これらの情報を受信すると、識別情報取得部22に受け渡す。すると、識別情報取得部22は、受け渡された情報のうち、文書IDと印刷設定とを送信部29に渡し、送信部29が、これらの情報を識別情報サーバ30に送信することで、識別情報の発行を要求する(ステップ212)。
【0026】
これにより、識別情報サーバ30では、受信部31が、文書IDと印刷設定とを受信する(ステップ311)。そして、文書IDと印刷設定は媒体管理部32に渡され、媒体管理部32が、媒体管理情報記憶部33から未使用の識別情報を取り出す(ステップ312)。ここで、取り出す識別情報の数は、印刷設定に応じて決められる。つまり、基本的には、印刷するページ数に印刷部数を乗じて得られる数の識別情報が取り出される。但し、設定情報中に、複数ページを1枚の媒体にまとめて出力する機能の指定等がある場合は、それも考慮される。例えば、10ページの電子文書を2ページずつ1枚の媒体にまとめて5部印刷する場合は、25(=10÷2×5)個の識別情報が取り出される。
次に、媒体管理部32は、識別情報と文書IDと印刷設定とを関連付けて媒体管理情報記憶部33に記憶する(ステップ313)。そして、ステップ312で発行された識別情報は送信部39に渡され、送信部39が、文書サーバ20に対し、識別情報を送信する(ステップ314)。
【0027】
これにより、文書サーバ20では、受信部21が識別情報を受信する(ステップ213)。そして、受信部21は、受信した識別情報を識別情報取得部22に受け渡す。
すると、文書サーバ20は、識別情報と位置情報とを表す符号画像を生成する(ステップ214)。この符号画像の生成は、具体的には、次のような処理により行われる。
即ち、まず、識別情報取得部22が、ステップ213で取得した識別情報を識別符号生成部25aに渡し、識別符号生成部25aが、識別情報を符号化することで識別符号を生成する。尚、識別情報の符号化の詳細については後述する。
また、位置符号生成部25bは、受信部21から印刷設定を受け取り、印刷設定に応じた範囲の位置情報を符号化することで位置符号を生成する。尚、位置情報の符号化の詳細についても後述する。
その後、符号配置部25cが、識別符号と位置符号とを予め定めたレイアウトに従って配置し、これを符号画像生成部25eが、パターン画像記憶部25dに記憶されたパターン画像を用いて画像化することで符号画像を生成する。
【0028】
また、文書サーバ20では、文書画像生成部26が、電子文書の文書画像を生成する(ステップ215)。その際、文書画像生成部26は、ステップ211で識別情報取得部22が取得した文書IDを受け取り、これに基づいて対象となる電子文書を図示しない記憶手段から読み出す。また、ステップ211で識別情報取得部22が取得した印刷設定を受け取り、これに基づいて文書画像を生成する。
そして、画像合成部27は、ステップ214で生成された符号画像と、ステップ215で生成された文書画像とを合成し、合成画像を生成する(ステップ216)。
その後、合成画像は送信部29に渡され、送信部29が、合成画像の印刷命令を画像形成装置40に送信する(ステップ217)。ここで、合成画像の印刷命令は、例えば、文書画像の印刷命令の列からなるPDL(Page Description Language)ファイルに対し、符号画像として印刷する内容をPDLコマンドとして設定したPDLの形式で送信される。
【0029】
これにより、画像形成装置40は、文書画像を例えばC(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)のトナーを用いて媒体に印刷する。また、符号画像を例えばK(カーボンを含む黒)のトナー又は特殊トナーを用いて媒体に印刷する。
ここで、特殊トナーとしては、可視光領域(400nm〜700nm)における最大吸収率が7%以下であり、近赤外領域(800nm〜1000nm)における吸収率が30%以上の不可視トナーが例示される。ここで、「可視」及び「不可視」は、目視により認識できるかどうかとは関係しない。印刷文書における画像が可視光領域における特定の波長の吸収に起因する発色性の有無により認識できるかどうかで「可視」と「不可視」とを区別している。また、可視光領域における特定の波長の吸収に起因する発色性が若干あるが人間の目で認識し難いものも、「不可視」に含める。
【0030】
尚、ここでは、電子文書の画像に符号画像を合成して印刷することとしたが、白紙(ノートや付箋等)に符号画像を印刷する構成としてもよい。その場合は、ステップ211で受信する印刷要求に文書IDを含めないようにし、ステップ313で識別情報と文書ID及び印刷設定との関連付けを行わないようにし、ステップ215における文書画像の生成は実行しないようにすればよい。
【0031】
次に、本実施の形態で生成される符号画像について説明する。
図5は、符号画像を構成する画像等の一例を示した図である。
まず、符号画像を構成する単位パターンについて説明する。
図5(a)は、単位パターンの一例を示したものである。
単位パターンとは、情報埋め込みの最小単位である。図では、黒塗りの領域と斜線の領域をドット配置可能な領域とし、その間にある白色の領域をドット配置不可能な領域としている。そして、ドット配置可能な領域のうち、黒塗りの領域にドットが配置され、斜線の領域にはドットが配置されていないことを示している。即ち、図は、ドットを配置可能な9箇所の中から選択した2箇所にドットを配置することで単位パターンを構成した例を示したものである。ここで、9箇所の中から2箇所を選択する組み合わせは36(=9C2)通りなので、単位パターンは、36種類存在する。このうち、4種類の単位パターンは、同期パターンとして使用される。同期パターンとは、画像の回転を検出したり、識別符号及び位置符号の相対的な位置を特定したりするためのパターンである。特に、画像の回転を検出する必要があることから、4種類の同期パターンとしては、そのうちの1つの同期パターンを90度回転するとそのうちの別の同期パターンになるようなものが選ばれる。また、この4種類の単位パターンを除く32種類の単位パターンは、識別符号及び位置符号を表現する情報パターンとして使用され、5ビットの情報が表現される。
【0032】
ところで、図5(a)に示したドットは、あくまで情報表現のためのドットであり、画像を構成する最小の点を意味するドットとは必ずしも一致しない。本実施の形態において、情報表現のためのドット(図5(a)の最小の四角)は、600dpiにおける2ドット×2ドットの大きさを有している。600dpiにおける1ドットの大きさは0.0423mmなので、情報表現のためのドット(図5(a)の最小の四角)の一辺は、84.6μm(=0.0423mm×2)である。情報表現のためのドットは、大きくなればなるほど目に付きやすくなるため、できるだけ小さいほうが好ましい。ところが、あまり小さくすると、プリンタで印刷できなくなってしまう。そこで、情報表現のためのドットの大きさとして、50μmより大きく100μmより小さい上記の値を採用している。但し、上記の値84.6μmは、あくまで計算上の数値であり、実際に印刷されたトナー像では100μm程度になる。尚、本明細書で「ドット」というときは、特に明示しない限り、画像を構成する最小の点を意味するドットではなく、情報表現のためのドットを指すものとする。
【0033】
次に、このような単位パターンから構成される符号ブロックについて説明する。
図5(b)に、符号ブロックのレイアウトの一例を示す。尚、ここでは、画像ではなく、パターン画像によって置き換えられる直前の符号配列で示している。即ち、図5(b)の最小の四角(以下、「単位ブロック」という)に、図5(a)のような単位パターン(36通りの単位パターンのいずれか)が配置され、その画像が媒体に形成されることになる。
図5(b)のレイアウトでは、符号ブロックの左上の1つの単位ブロックに、同期符号が配置されている。また、同期符号が配置された単位ブロックの右側の4つの単位ブロックにX位置符号が配置され、同期符号が配置された単位ブロックの下側の4つの単位ブロックにY位置符号が配置されている。更に、これらの位置符号が配置された単位ブロックに囲まれた16(=4×4)個の単位ブロックに識別符号が配置されている。
【0034】
ここで、識別情報の符号化について述べる。
識別情報を符号化する場合、識別情報を構成するビット列は、RS符号化を行うために複数のブロックに分割される。符号化には、いくつかの方法があるが、本実施の形態では、RS符号化が適している。RS符号は多値の符号法であり、この場合、単位ブロックで表現される値がRS符号の多値に対応するからである。例えば、1つの単位ブロックで5ビットの情報を表現する場合、60ビットの識別情報は、ブロック長が5ビットの12個のブロックに分割される。そして、2ブロックの誤りを訂正可能なRS符号を採用したとすると、符号長は16ブロックとなり、図5(b)の符号ブロックにおける識別符号が配置される単位ブロックに収まることになる。尚、符号化方式はRS符号に限定するものでなく、その他の符号化方式、例えば、BCH符号等を使用してもよい。
【0035】
次に、位置情報の符号化について述べる。
位置情報の符号化には、擬似乱数系列の一種であるM系列符号が使用される。ここで、M系列とは、ある長さのシフトレジスタとフィードバックによって生成される符号系列のうち、その周期が最長になる系列をいう。Kをシフトレジスタの段数とすると、M系列の系列長は2K−1となる。このM系列から取り出した任意の連続したKビットは、同じM系列中の他の位置に現れない性質を持つ。そこで、この性質を利用して位置情報を符号化する。
ところで、本実施の形態では、符号化すべき位置情報の長さから、必要なM系列の次数を求め、M系列を生成している。しかしながら、符号化する位置情報の長さが予め分かっている場合は、M系列を毎回生成する必要はない。即ち、固定のM系列を予め生成しておき、それをメモリ等に格納しておけばよい。
例えば、系列長8191のM系列(K=13)を使用したとする。この場合、位置符号も5ビット単位で埋め込むため、系列長8191のM系列から5ビットずつ取り出してブロック化する。
【0036】
尚、本明細書では、説明を簡単にするために、識別情報と位置情報とは明確に区別して用いている。しかしながら、広範な位置情報を用意しておき、媒体ごとに異なる範囲から位置情報を切り出して埋め込み、位置情報の違いによって媒体を識別するという手法もある。そこで、このような手法においては、媒体を識別する機能が位置情報に備わっているものと見て、位置情報を識別情報としても考えるものとする。
【0037】
ここで、媒体管理情報記憶部33に記憶される媒体管理情報の具体的な内容について説明する。
図6は、媒体管理情報の具体例を示した図である。
図示するように、媒体管理情報は、識別情報と、文書IDと、印刷設定と、領域情報と、捺印欄種別とが関連付けて記憶される。
このうち、識別情報は、既に述べた通り、媒体を一意に識別するための情報である。
また、文書IDは、既に述べた通り、電子文書を一意に識別するための情報である。
更に、印刷設定は、既に述べた通り、端末装置10で電子文書の印刷が要求された際に設定されたページ、用紙サイズ、拡大縮小率等の情報である。
更にまた、本実施の形態では、識別情報に対して、領域情報と捺印欄種別とを記憶している。領域情報は、既に述べた通り、媒体上の領域を特定するための情報である。図では、領域を矩形とし、その領域を「(左上点のX座標,左上点のY座標)−(右下点のX座標,右下点のY座標)」で示している。また、捺印欄種別は、既に述べた通り、媒体上の領域の捺印欄としての種別の情報である。
【0038】
図には、例えば、文書ID「DocA」の電子文書の1ページ目を、識別情報「000101」のA4サイズの媒体に100%で印刷し、その媒体上で、「(X11,Y11)−(X12,Y12)」で特定される領域に種別「作成」の捺印欄を設け、「(X13,Y13)−(X14,Y14)」で特定される領域に種別「査閲」の捺印欄を設け、「(X15,Y15)−(X16,Y16)」で特定される領域に種別「承認」の捺印欄を設けたことが示されている。
また、例えば、文書ID「DocB」の電子文書の1ページ目を、識別情報「000102」のA4サイズの媒体に100%で印刷したことが示されている。尚、この印刷文書には、1つの捺印欄しか設けられていないため、領域情報及び捺印欄種別は空欄になっている。
【0039】
更に、この媒体管理情報においては、図4に示した動作により印刷文書として出力された媒体以外も管理している。例えば、図1のシステム以外のシステムで作成された書面には、図4に示した動作による符号画像の印刷は行われていない。従って、このような書面はスキャナで読み取り、符号画像を付加した新たな書面として出力する。そして、書面をスキャンすることで得られた電子文書は、文書サーバ20に格納しておく。図では、このような書面をスキャンすることにより、例えば、識別情報「000103」が付与され、文書ID「DocC」の電子文書が作成され格納されたことが示されている。
【0040】
B.印刷文書への捺印
本実施の形態では、印刷文書に対する捺印情報が捺印装置60から通信装置70を介して端末装置50に伝えられ、文書サーバ20へ登録される。
そこで、まず、捺印装置60の機構について説明する。
図7は、捺印装置60の構成例を示した図である。
図示するように、捺印装置60は、印鑑本体600と、印鑑取付台605とを含む。ここで、印鑑取付台605は、例えば、四角柱の台の形状を有しており、脚部606に囲まれた部分は空洞になっている。また、印鑑取付台605は、中央部分に孔部を有しており、印鑑本体600がこの孔部に挿入され、上方向には引き抜くことができないように構成されている。一方で、印鑑本体600は、下方向には移動可能であり、印面601が媒体に接触することにより、印影602が形成される。尚、印鑑本体600の印字方式としては、回転印の組み合わせによる通常のゴム印方式、浸透印方式、熱転写方式等の何れの方式を採用してもよい。また、印鑑本体600には、カレンダーと時計が内蔵されており、捺印者が設定した日時が印面601にも設定されるようになっている。
【0041】
このような捺印装置60において、印鑑取付台605は、全体の動作を制御する制御回路61を備える。また、制御回路61は、読み取った符号画像を処理する画像処理部61aと、そこでの処理結果から識別情報及び位置情報を抽出するデータ処理部61bとを含む。
また、制御回路61には、印鑑本体600が下方に移動してスプリング(図示せず)の弾性等により元の位置に戻ったことを検出する接触センサ62が接続されている。
【0042】
更に、制御回路61には、媒体上に光を照射するLED63a,63bと、反射光を検知することによって符号画像及び印影画像を読み取る撮像手段の一例としてのCMOS64も接続されている。つまり、LED63aが例えば赤外光を媒体に照射し、CMOS64がこれに対する反射光を検知することによって符号画像を読み取る。また、捺印に用いられるインクによる吸収率が高く赤外光から波長が離れた光をLED63bが媒体に照射し、CMOS64がこれに対する反射光を検知することによって印影画像を読み取る。尚、LED63a,63b及びCMOS64は、印鑑本体600が定位置に戻ったことを接触センサ62が検知すると動作する。
更にまた、制御回路61には、識別情報及び位置情報を記憶するための情報メモリ65と、外部装置と通信するための通信回路66と、捺印装置60を駆動するためのバッテリ67と、捺印装置60の識別情報(装置ID)を記憶する装置IDメモリ68も接続されている。
【0043】
加えて、制御回路61には、指紋認証等の生体認証を行う認証センサ69も設けられている。そして、認証センサ69による認証が成功しない限り捺印できないようになっている。このように捺印できないようにする仕組みとしては、印鑑本体600を下方へ移動できないようにしたり、捺印しようとするユーザに対応する印面が現れないようにしたり、インクを滴下させないようにしたりすることが考えられる。尚、捺印者の認証の方法としては、生体認証だけでなく、暗証番号入力、ICカード認証等を用いてもよい。
【0044】
次に、このうち制御回路61において実現される機能構成について更に詳細に説明する。
図8は、制御回路61の機能構成例を示したブロック図である。尚、図では、制御回路61内の画像処理部61aとデータ処理部61bとに分けて、機能構成例を示している。
図示するように、画像処理部61aは、符号画像取得部611と、ドット配列生成部612と、印影画像取得部616とを備える。また、データ処理部61bは、符号配列生成部613と、識別情報取得部614と、位置情報取得部615とを備える。そして、更に、捺印日時抽出部617と、認証情報取得部618と、通信制御部619とを備える。
【0045】
符号画像取得部611は、CMOS64が印刷文書から読み取った符号画像を取得する。また、必要に応じて、符号画像に含まれるノイズを除去する。
ドット配列生成部612は、符号画像におけるドットの位置を参照して、ドット配列を生成する。即ち、2次元の配列上で、例えば、ドットがある位置に「1」を、ドットがない位置に「0」を記憶することにより、画像として検出したドットをデジタルデータに置き換える。そして、この2次元の配列をドット配列として出力する。
印影画像取得部616は、CMOS64が印刷文書から読み取った印影画像を取得する。
【0046】
符号配列生成部613は、ドット配列上で、符号ブロック内の単位パターンに対応するブロックを検出する。具体的には、単位パターンが配置されるブロックと同じ形状及び大きさの枠をドット配列上で動かし、枠内のドット数が均等になる位置で枠を固定する。例えば、図5(a)の単位パターンを用いる場合であれば、3ドット×3ドットに対応する大きさの枠を動かし、枠内に含まれるドット数が2となる位置で枠を固定する。そして、その枠で区切られた各ブロック内のドット位置から定まる符号値を格納した符号配列を生成する。また、この符号配列が生成されると、予め定められた同期符号の符号値を検索することによって、同期符号の位置が特定される。
【0047】
識別情報取得部614は、符号配列から同期符号の位置を基準にして識別符号を検出する。そして、画像生成時にRS符号化処理で用いたパラメータを用いて識別符号を復号し、識別情報を取得する。本実施の形態では、識別情報を抽出する抽出手段の一例として、識別情報取得部614を設けている。
位置情報取得部615は、符号配列から同期符号の位置を基準にして位置符号を検出する。そして、位置符号からM系列の部分系列を取り出し、画像生成時に使用したM系列におけるこの部分系列の位置を参照し、この位置を同期符号によるオフセットで補正した値を位置情報として取得する。尚、オフセットで補正するのは、位置符号の間に同期符号が配置されているためである。本実施の形態では、特定の位置情報を抽出する抽出手段の一例として、位置情報取得部615を設けている。
【0048】
捺印日時抽出部617は、印影画像取得部616が取得した印影画像から捺印日時に相当する画像の部分を切り出し、この画像に対して文字認識を行い、捺印日時を取得する。この捺印日時の一例として、本実施の形態では、YYYYMMDDHHMMという形式の情報を取得する。例えば、2008年12月29日10時31分に貼り付けがなされたとすると、『200812291031』を捺印日時として取得する。本実施の形態では、印面に刻まれた特定の情報の一例として、捺印日時を用いており、特定の情報を抽出する抽出手段の一例として、捺印日時抽出部617を設けている。
認証情報取得部618は、認証センサ69による認証の結果である認証情報を取得する。本実施の形態では、捺印者情報を取得する取得手段の一例として、認証情報取得部618を設けている。
【0049】
通信制御部619は、識別情報取得部614が取得した識別情報と、位置情報取得部615が取得した位置情報と、印影画像取得部616が取得した印影画像と、捺印日時抽出部617が抽出した捺印日時と、認証情報取得部618が取得した認証情報とを通信回路66に受け渡すことで、通信装置70への情報送信を実現する。本実施の形態では、捺印情報を送信する送信手段の一例として、通信制御部619を設けている。
【0050】
次に、捺印装置60が捺印情報を識別情報サーバ30に登録する際の動作について説明する。
図9は、このときの捺印装置60及び識別情報サーバ30の動作を示したシーケンス図である。
捺印装置60は、まず、符号画像と、印影画像とを取得する(ステップ621)。具体的には、次のような処理を行う。即ち、まず、LED63a,63bが媒体に対して光を照射し、CMOS64がその反射光を受光することにより、符号画像及び印影画像を読み取る。そして、符号画像取得部611がこの読み取った符号画像を取得する。そして、符号画像にノイズが含まれていれば、これを除去する。また、印影画像取得部616がこの読み取った印影画像を取得する。
【0051】
次に、捺印装置60は、識別情報と、位置情報とを取得する(ステップ622)。具体的には、次のような処理を行う。即ち、まず、ドット配列生成部612が、符号画像に含まれるドット位置をデジタルデータ化し、ドット配列を生成する。次に、符号配列生成部613が、ドット配列からブロックを検出し、ブロックごとの符号値を格納した符号配列を生成する。そして、符号配列において、同期符号の位置を特定する。その後、識別情報取得部614が、同期符号の位置に基づいて識別符号を検出し、これを復号して識別情報を取得する。また、位置情報取得部615が、同期符号の位置に基づいて位置符号を検出し、これを復号して位置情報を取得する。
【0052】
また、捺印日時抽出部617は、印影画像取得部616が取得した印影画像から捺印日時を抽出する(ステップ623)。
更に、認証情報取得部618は、認証センサ69からユーザIDを取得する(ステップ624)。
その後、通信制御部619が、ステップ622で取得した識別情報及び位置情報と、ステップ621で取得した印影画像と、ステップ623で抽出した捺印日時と、ステップ624で取得したユーザIDとを含む捺印情報を通信回路66に受け渡し、通信回路66がこの捺印情報を通信装置70及び端末装置50を介して識別情報サーバ30へ送信する(ステップ625)。
【0053】
これにより、識別情報サーバ30では、まず、受信部31が、識別情報、位置情報、印影画像、捺印日時、ユーザIDを含む捺印情報を受信する(ステップ321)。
次に、この捺印情報に含まれる情報のうち、識別情報、位置情報は媒体管理部32に渡され、媒体管理部32は、渡された識別情報、位置情報に対応する文書ID、ページ番号(印刷設定に含まれる)、捺印欄種別を媒体管理情報記憶部33から取り出す(ステップ322)。具体的には、識別情報と文書ID及びページ番号との対応情報が媒体管理情報記憶部33に記憶されているので、この対応情報に基づいて、識別情報に対応する文書ID及びページ番号を取得する。また、領域情報と捺印欄種別との対応情報が媒体管理情報記憶部33に記憶されているので、まず、位置情報を含む領域を示す領域情報を特定し、次に、この対応情報に基づいて、特定された領域情報に対応する捺印欄種別を取得する。そして、これらの情報は、捺印管理部35に渡される。
また、ステップ321で受信した捺印情報に含まれる情報のうち、印影画像、捺印日時、ユーザIDは捺印管理部35に渡され、捺印管理部35は、印影画像を予め定めたフォルダにファイルとして格納すると共に、そのファイルを識別する印影IDを付与する(ステップ323)。
そして、捺印管理部35は、受信部31から渡された捺印日時及びユーザID、媒体管理部32から渡された文書ID及びページ番号並びに捺印欄種別、ステップ323で付与した印影IDからなる捺印情報を捺印管理情報記憶部36に記憶する(ステップ324)。
更に、捺印管理部35は、この捺印情報の登録日時を捺印管理情報記憶部36に記憶する(ステップ325)。
【0054】
その後、捺印管理部35は、捺印情報登録完了報告を送信部39に出力し、送信部39が、捺印情報登録完了報告を端末装置50及び通信装置70を介して捺印装置60に送信する(ステップ326)。
【0055】
これにより、捺印装置60では、通信回路66が捺印情報登録完了報告を受信し、通信制御部619が通信回路66からこれを受け取る(ステップ626)。そして、捺印情報登録完了報告は、捺印装置60のディスプレイ(図示せず)に表示される。
【0056】
ここで、捺印管理情報記憶部36に記憶される捺印管理情報の具体的な内容について説明する。
図10は、捺印管理情報の具体例を示した図である。
図示するように、捺印管理情報は、捺印日時と、ユーザIDと、文書IDと、ページ番号と、捺印欄種別と、印影IDと、登録日時とを対応付けたものとなっている。
このうち、捺印日時は、捺印装置60における印鑑本体600の印面601に設定された日時であり、印影から切り出されたものである。
ユーザIDは、捺印装置60において認証を受けた捺印者のユーザIDである。
文書IDは、既に述べた通り、電子文書を一意に識別するための情報である。
ページ番号は、電子文書におけるページの番号である。
捺印欄種別は、印刷文書に設けられた作成、査閲、承認等の捺印欄の種別である。
印影IDは、既に述べた通り、捺印装置60において取得された印影画像に付与された識別情報である。
また、登録日時は、これらの情報が登録された日時である。
【0057】
図には、例えば、「2008年12月29日10時31分」にユーザID「U0001」のユーザが文書ID「DocA」の電子文書の1ページ目の種別「作成」の捺印欄に捺印を行った際の印影に対して、印影ID「S000101」が付与され、「2008年12月29日10時36分」に登録されたことが示されている。
尚、図の5行目には、「2008年12月30日15時15分」にユーザID「U0004」のユーザが文書ID「DocA」の電子文書の1ページ目の種別「承認」の捺印欄に行った捺印を行った際の印影に対して、印影ID「S000401」が付与されていることが示されている。ところが、「2008年12月31日10時10分」に登録されており、捺印したとされる日時である「2008年12月30日15時15分」から相当の時間が経過している。従って、捺印装置60で捺印した後、識別情報サーバ30へ遅滞なく捺印情報が送信されることを前提とすれば、この捺印は、捺印日時を改ざんした不正な捺印である可能性がある。
【0058】
C.捺印リストの表示
本実施の形態では、上記の捺印管理情報に基づいて、捺印情報の一覧である捺印リストを表示する。
その場合、ユーザは、まず、端末装置50に対して捺印リストの表示を指示する。この場合、全く絞り込みを行わずに捺印リストを表示すると、膨大な量の情報が表示される可能性があるので、何らかのキー情報によって絞り込みを行うとよい。ここでは、一例として、部署の管理者が自部署の社員の捺印状況を確認する場面を想定し、部署IDをキー情報として入力するものとする。
【0059】
図11は、このときの端末装置50及び識別情報サーバ30の動作を示したシーケンス図である。
端末装置50は、まず、部署IDを受け付け(ステップ531)、これを識別情報サーバ30に送信する(ステップ532)。
これにより、識別情報サーバ30では、受信部31が、まず、端末装置50から部署IDを受信する(ステップ331)。次に、部署IDは捺印管理部35に渡され、捺印管理部35が、部署IDとユーザIDとを対応付けた社員データベース(図示せず)を参照して、この部署IDの部署に属するユーザのユーザIDを特定する(ステップ332)。そして、捺印管理部35は、これらのユーザIDをキーとして、登録日時、捺印日時、文書ID、ページ番号、捺印欄種別、印影IDを捺印管理情報記憶部36から取り出して表示情報生成部34に受け渡し、表示情報生成部34が、捺印日時、ユーザID、文書ID、ページ番号、捺印欄種別、印影IDからなる捺印情報を含む捺印リストを表示するための表示情報を生成する(ステップ333)。
【0060】
また、表示情報生成部34は、ステップ333で受け渡された捺印日時と登録日時とが整合しているかどうかを検証する(ステップ334)。ここでは、例えば、捺印してから捺印情報が識別情報サーバ30に届くまでに要する最大限の時間を予め定めておき、登録日時が捺印日時よりも後で、かつ、登録日時と捺印日時との差分がこの時間内であるかどうかを検証する。
その結果、捺印日時と登録日時とが整合していない捺印情報があれば、表示情報におけるその捺印情報に対して、不正な捺印である可能性がある旨のマーク(不正マーク)を付加し(ステップ336)、ステップ337へ進む。
一方、捺印日時と登録日時とが整合していない捺印情報がなければ、そのままステップ337へ進む。
【0061】
そして、表示情報生成部34は、このようにして生成した表示情報を送信部39に渡し、送信部39が、表示情報を端末装置50に送信する(ステップ337)。
これにより、端末装置50は、表示情報を受信し(ステップ533)、受信した表示情報に基づいて、捺印リストを表示する(ステップ534)。
【0062】
図12は、このようにして表示された捺印リストの例を示した図である。
図示するように、捺印リストでは、捺印日時、捺印者、捺印書類、捺印欄、印影、不正マークの一覧が表示されている。
ここで、捺印日時としては、図10の捺印管理情報における捺印日時が表示されている。
捺印者としては、図10の捺印管理情報におけるユーザIDをキーとして社員データベース(図示せず)を検索することにより得られたユーザ名が表示されている。
捺印書類としては、図10の捺印管理情報における文書ID及びページ番号をキーとして文書サーバ20に問い合わせて得られた書類名が表示されている。
捺印欄としては、図10の捺印欄種別が表示されている。
印影としては、図10の印影IDをキーとして特定される印影ファイルに格納された印影のイメージが表示されている。
不正マークとしては、図11のステップ336で不正マークが付加された場合に、その不正マークが表示されている。
【0063】
尚、この捺印リストは、1つの捺印装置60だけでなく、複数の捺印装置60から受け付けた捺印情報を含むものであってよい。
また、捺印者をキーとしてソート/検索機能を用いることにより、その捺印者が捺印した書類を一覧することができるようになっている。また、捺印書類をキーとしてソート/検索機能を用いることにより、その捺印書類の処理フローを一覧することもできるようになっている。
更に、この捺印リストにおいて捺印書類のイメージを表示するようにしてもよいし、捺印書類の書類名のみを表示して書類名をクリックすることでイメージを表示するようにしてもよい。
更にまた、捺印者名をクリックすると、その捺印者へ電話やメール等の方法で連絡できるようにしてもよい。
以上により、本実施の形態の動作の説明を終了する。
【0064】
尚、上記実施の形態では、印影から抽出する情報は捺印日時のみとし、識別情報サーバ30ではこの捺印日時と登録日時との整合性を検証するようにしたが、印影から抽出する情報やその整合性の検証方法は、これには限らない。
例えば、図7の印鑑本体600が、部署員や社印のように特定の組織の構成員に対してのみ捺印が許可されたものである場合がある。このような場合、まず、捺印装置60において、印面601に刻まれた特定の情報として、捺印が許可された組織の情報(捺印組織情報)を抽出し、これを捺印情報に含めて識別情報サーバ30に送信する。そして、識別情報サーバ30では、捺印装置60から送られた捺印情報に含まれる捺印組織情報と、同じく捺印情報に含まれる認証された捺印者の情報(捺印者情報)との整合性を検証する。つまり、例えば、社員データベース(図示せず)において、捺印者情報の一例である捺印者のユーザIDが、捺印組織情報の一例である部署IDに関連付けて登録されているかどうかを検証する。そして、ユーザIDが部署IDに関連付けられて登録されていなければ、その部署の構成員以外による不正な捺印の可能性があると判断し、図12の捺印リストに不正マークを表示する。
【0065】
ところで、本実施の形態では、捺印装置60が印影から特定の情報を抽出し、識別情報サーバ30が特定の情報の整合性を検証し、特定の情報を含む捺印情報を管理してその表示を制御するようにした。しかしながら、これらの処理を如何なる装置で行うかについては種々のバリエーションが考えられる。例えば、印影からの特定の情報の抽出は、端末装置50又は識別情報サーバ30が行ってもよいし、特定の情報の整合性の検証や捺印情報の管理及び表示制御は、端末装置50で行ってもよい。
そこで、これらの処理をコンピュータ90で行うものとして、コンピュータ90のハードウェア構成について説明する。
【0066】
図13は、コンピュータ90のハードウェア構成を示した図である。
図示するように、コンピュータ90は、演算手段であるCPU(Central Processing Unit)91と、記憶手段であるメインメモリ92及び磁気ディスク装置(HDD:Hard Disk Drive)93とを備える。ここで、CPU91は、OS(Operating System)やアプリケーション等の各種ソフトウェアを実行し、上述した各機能を実現する。また、メインメモリ92は、各種ソフトウェアやその実行に用いるデータ等を記憶する記憶領域であり、磁気ディスク装置93は、各種ソフトウェアに対する入力データや各種ソフトウェアからの出力データ等を記憶する記憶領域である。
更に、コンピュータ90は、外部との通信を行うための通信I/F94と、ビデオメモリやディスプレイ等からなる表示機構95と、キーボードやマウス等の入力デバイス96とを備える。
【0067】
尚、本実施の形態を実現するプログラムは、通信手段により提供することはもちろん、CD−ROM等の記録媒体に格納して提供することも可能である。
【符号の説明】
【0068】
10,50…端末装置、20…文書サーバ、30…識別情報サーバ、40…画像形成装置、60…捺印装置、80…ネットワーク
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定の情報が刻まれた印面を有する印鑑本体と、
前記印面が接することにより印影が形成された媒体を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段による撮像によって得られた前記印影の画像から、前記印面に刻まれた前記特定の情報を抽出する抽出手段と、
自装置により捺印が行われたことを示す情報であって、前記抽出手段により抽出された前記特定の情報を含む捺印情報を、他の装置に送信する送信手段と
を備えたことを特徴とする捺印装置。
【請求項2】
前記媒体には、当該媒体を識別する識別情報が印刷されており、
前記抽出手段は、前記撮像手段による撮像によって得られた前記識別情報の画像から、当該識別情報を抽出し、
前記送信手段は、前記抽出手段により抽出された前記識別情報を更に含む前記捺印情報を前記他の装置に送信することを特徴とする請求項1に記載の捺印装置。
【請求項3】
前記媒体には、当該媒体上の各位置を示す位置情報が印刷されており、
前記抽出手段は、前記撮像手段による撮像によって得られた前記位置情報の画像から、前記印影が形成された位置を示す特定の位置情報を抽出し、
前記送信手段は、前記抽出手段により抽出された前記特定の位置情報を更に含む前記捺印情報を前記他の装置に送信することを特徴とする請求項1又は2に記載の捺印装置。
【請求項4】
媒体に捺印する捺印装置と、
前記捺印装置により捺印が行われたことを示す捺印情報を管理する管理装置と
を備え、
前記捺印装置は、
特定の情報が刻まれた印面を有する印鑑本体と、
前記印面が接することにより印影が形成された媒体を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段による撮像によって得られた前記印影の画像から、前記印面に刻まれた前記特定の情報を抽出する抽出手段と、
前記抽出手段により抽出された前記特定の情報を含む前記捺印情報を前記管理装置に送信する送信手段と
を備え、
前記管理装置は、
前記捺印装置から前記捺印情報を受信する受信手段と、
前記受信手段により受信された前記捺印情報を記憶する記憶手段と
を備えたことを特徴とする捺印情報管理システム。
【請求項5】
前記特定の情報は、前記捺印装置に捺印日付として設定された捺印日付情報を含み、
前記管理装置は、
前記受信手段により受信された前記捺印情報に含まれる前記捺印日付情報と、自装置が保持する現在日付を表す現在日付情報との整合性を検証する検証手段を更に備えたことを特徴とする請求項4に記載の捺印情報管理システム。
【請求項6】
前記特定の情報は、前記捺印装置による捺印が許可された組織を示す捺印組織情報を含み、
前記捺印装置は、自装置による捺印に先立って、当該捺印を行う捺印者を示す捺印者情報を取得する取得手段を更に備え、
前記捺印装置の前記送信手段は、前記取得手段により取得された前記捺印者情報を更に含む前記捺印情報を前記管理装置に送信し、
前記管理装置は、前記受信手段により受信された前記捺印情報に含まれる前記捺印組織情報と、当該捺印情報に含まれる前記捺印者情報との整合性を検証する検証手段を更に備えたことを特徴とする請求項4に記載の捺印情報管理システム。
【請求項7】
前記媒体には、当該媒体を識別する識別情報が印刷されており、
前記捺印装置の前記抽出手段は、前記撮像手段による撮像によって得られた前記識別情報の画像から、当該識別情報を抽出し、
前記捺印装置の前記送信手段は、前記抽出手段により抽出された前記識別情報を含む前記捺印情報を前記管理装置に送信し、
前記管理装置は、前記受信手段により受信された前記捺印情報に基づいて生成された画面であって、当該捺印情報に含まれる前記識別情報に対応する捺印書類の情報を含む画面の表示を指示する指示手段を更に備えたことを特徴とする請求項4乃至6の何れかに記載の捺印情報管理システム。
【請求項8】
前記媒体には、当該媒体上の各位置を示す位置情報が印刷されており、
前記捺印装置の前記抽出手段は、前記撮像手段による撮像によって得られた前記位置情報の画像から、前記印影が形成された位置を示す特定の位置情報を抽出し、
前記捺印装置の前記送信手段は、前記抽出手段により抽出された前記特定の位置情報を含む前記捺印情報を前記管理装置に送信し、
前記管理装置は、前記受信手段により受信された前記捺印情報に基づいて生成された画面であって、当該捺印情報に含まれる前記特定の位置情報に対応する捺印欄の情報を含む画面の表示を指示する指示手段を更に備えたことを特徴とする請求項4乃至6の何れかに記載の捺印情報管理システム。
【請求項1】
特定の情報が刻まれた印面を有する印鑑本体と、
前記印面が接することにより印影が形成された媒体を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段による撮像によって得られた前記印影の画像から、前記印面に刻まれた前記特定の情報を抽出する抽出手段と、
自装置により捺印が行われたことを示す情報であって、前記抽出手段により抽出された前記特定の情報を含む捺印情報を、他の装置に送信する送信手段と
を備えたことを特徴とする捺印装置。
【請求項2】
前記媒体には、当該媒体を識別する識別情報が印刷されており、
前記抽出手段は、前記撮像手段による撮像によって得られた前記識別情報の画像から、当該識別情報を抽出し、
前記送信手段は、前記抽出手段により抽出された前記識別情報を更に含む前記捺印情報を前記他の装置に送信することを特徴とする請求項1に記載の捺印装置。
【請求項3】
前記媒体には、当該媒体上の各位置を示す位置情報が印刷されており、
前記抽出手段は、前記撮像手段による撮像によって得られた前記位置情報の画像から、前記印影が形成された位置を示す特定の位置情報を抽出し、
前記送信手段は、前記抽出手段により抽出された前記特定の位置情報を更に含む前記捺印情報を前記他の装置に送信することを特徴とする請求項1又は2に記載の捺印装置。
【請求項4】
媒体に捺印する捺印装置と、
前記捺印装置により捺印が行われたことを示す捺印情報を管理する管理装置と
を備え、
前記捺印装置は、
特定の情報が刻まれた印面を有する印鑑本体と、
前記印面が接することにより印影が形成された媒体を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段による撮像によって得られた前記印影の画像から、前記印面に刻まれた前記特定の情報を抽出する抽出手段と、
前記抽出手段により抽出された前記特定の情報を含む前記捺印情報を前記管理装置に送信する送信手段と
を備え、
前記管理装置は、
前記捺印装置から前記捺印情報を受信する受信手段と、
前記受信手段により受信された前記捺印情報を記憶する記憶手段と
を備えたことを特徴とする捺印情報管理システム。
【請求項5】
前記特定の情報は、前記捺印装置に捺印日付として設定された捺印日付情報を含み、
前記管理装置は、
前記受信手段により受信された前記捺印情報に含まれる前記捺印日付情報と、自装置が保持する現在日付を表す現在日付情報との整合性を検証する検証手段を更に備えたことを特徴とする請求項4に記載の捺印情報管理システム。
【請求項6】
前記特定の情報は、前記捺印装置による捺印が許可された組織を示す捺印組織情報を含み、
前記捺印装置は、自装置による捺印に先立って、当該捺印を行う捺印者を示す捺印者情報を取得する取得手段を更に備え、
前記捺印装置の前記送信手段は、前記取得手段により取得された前記捺印者情報を更に含む前記捺印情報を前記管理装置に送信し、
前記管理装置は、前記受信手段により受信された前記捺印情報に含まれる前記捺印組織情報と、当該捺印情報に含まれる前記捺印者情報との整合性を検証する検証手段を更に備えたことを特徴とする請求項4に記載の捺印情報管理システム。
【請求項7】
前記媒体には、当該媒体を識別する識別情報が印刷されており、
前記捺印装置の前記抽出手段は、前記撮像手段による撮像によって得られた前記識別情報の画像から、当該識別情報を抽出し、
前記捺印装置の前記送信手段は、前記抽出手段により抽出された前記識別情報を含む前記捺印情報を前記管理装置に送信し、
前記管理装置は、前記受信手段により受信された前記捺印情報に基づいて生成された画面であって、当該捺印情報に含まれる前記識別情報に対応する捺印書類の情報を含む画面の表示を指示する指示手段を更に備えたことを特徴とする請求項4乃至6の何れかに記載の捺印情報管理システム。
【請求項8】
前記媒体には、当該媒体上の各位置を示す位置情報が印刷されており、
前記捺印装置の前記抽出手段は、前記撮像手段による撮像によって得られた前記位置情報の画像から、前記印影が形成された位置を示す特定の位置情報を抽出し、
前記捺印装置の前記送信手段は、前記抽出手段により抽出された前記特定の位置情報を含む前記捺印情報を前記管理装置に送信し、
前記管理装置は、前記受信手段により受信された前記捺印情報に基づいて生成された画面であって、当該捺印情報に含まれる前記特定の位置情報に対応する捺印欄の情報を含む画面の表示を指示する指示手段を更に備えたことを特徴とする請求項4乃至6の何れかに記載の捺印情報管理システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−224784(P2010−224784A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−70362(P2009−70362)
【出願日】平成21年3月23日(2009.3.23)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月23日(2009.3.23)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
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