捺染装置
【課題】誤った種類のセットトレイが取り付けられている状態で印捺を実行する虞を低減し、更に印捺のスループットを向上すること。
【解決手段】被捺染材をセットする交換可能なセットトレイと、印捺データに応じて前記被捺染材にインクを吐出して印捺するインク吐出部と、前記印捺データにおいて指定される前記セットトレイの種類を前記印捺の実行時に記憶する記憶部と、前記セットトレイの種類を検出する検出部と、前記検出部が印捺開始前に行う前記セットトレイの種類を検出するトレイ検出動作を制御する制御部とを備え、前記制御部は、新たに取得した印捺データにおいて指定されている前記セットトレイの種類と前記記憶部が記憶しているセットトレイの種類とを比較し、異なる場合は前記トレイ検出動作を実行し、同じである場合は前記トレイ検出動作をパスする。
【解決手段】被捺染材をセットする交換可能なセットトレイと、印捺データに応じて前記被捺染材にインクを吐出して印捺するインク吐出部と、前記印捺データにおいて指定される前記セットトレイの種類を前記印捺の実行時に記憶する記憶部と、前記セットトレイの種類を検出する検出部と、前記検出部が印捺開始前に行う前記セットトレイの種類を検出するトレイ検出動作を制御する制御部とを備え、前記制御部は、新たに取得した印捺データにおいて指定されている前記セットトレイの種類と前記記憶部が記憶しているセットトレイの種類とを比較し、異なる場合は前記トレイ検出動作を実行し、同じである場合は前記トレイ検出動作をパスする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、布帛すなわち被捺染材に対して捺染を行う捺染装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来からTシャツ等の布帛の表面に対して、インク吐出用ヘッドから各色のインクを吐出して所望の色模様すなわち画像を印捺するインクジェット式の捺染装置が開発され、既に使用されている。そして、該インクジェット捺染装置には、Tシャツ等の布帛をセットして前記インク吐出用ヘッドのノズル開口面と当該布帛との間隔を所定のギャップに規定するセットトレイが設けられている。
【0003】
前記セットトレイは、印捺する布帛の形状や大きさの違い、印捺する画像の大きさや印捺する方向の違いあるいは同時に複数枚の布帛に印捺する場合と一枚の布帛に印捺する場合のような印捺の態様の違い等に応じて、形状や大きさ等の違う複数種のセットトレイを交換して使用できるようになっている。このセットトレイの交換は通常ユーザーによって行われる。
【0004】
捺染装置には、外部機器であるパソコン等から印捺データが送られ、該印捺データに基づいてインク吐出部から被捺染材にインクが吐出されて所望の画像が印捺される。その印捺データには該印捺で使用するセットトレイの種類も含まれている。今回の新たな印捺で使用するセットトレイの種類が前回の印捺で使用したセットトレイの種類と別のものに換わる場合は、該印捺データ上での変更操作に加えて、当該捺染装置に実際に取り付けられているセットトレイについて対応する交換作業が行われる。そして、前記印捺データにおいて指定された前記セットトレイの種類は前記印捺の実行時に当該捺染装置の記憶部に記憶される。
【0005】
前記印捺データで指定されたセットトレイの種類と実際に取り付けられているセットトレイの種類が何らかの原因で不一致である場合は、ユーザーが意図した印捺を実行できず、被捺染材を無駄に消費する問題が発生する。
【0006】
上記「不一致」に基づく問題を考慮した従来技術の文献として、下記の特許文献1が挙げられる。この文献に記載されている技術は、前回の印捺時のセットトレイの種類について記憶部に記憶されている情報と今回の新たな印捺に際して指定されたセットトレイの種類の情報とを比較し、前回と今回のセットトレイの種類が異なっている場合に報知してユーザーに知らせるというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−51114号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記特許文献1では、前記セットトレイの種類の違いの判断は、今回の新たな印捺で使用するセットトレイの種類に関する入力情報と前回の印捺で使用されたセットトレイの種類に関する記憶情報だけに基づいている。
しかし、ユーザーが新たな印捺のために新たに印捺データを前記外部機器(パソコン等)等で設定する際に、セットトレイの種類を別の種類のものに変える場合にはセットトレイの種類について新たな再設定の入力操作が行われる。そして、この入力操作が行われた場合は、上記の如く捺染装置に取り付けられているセットトレイを対応する別の種類のものに変える交換作業が必要になる。
【0009】
ところが、この交換作業でユーザーがミスして誤った種類のセットトレイに交換してしまった場合等には、前記引用文献1の技術では全く対応できない問題がある。更に印捺のスループット向上については引用文献1では全く考慮されていない。
【0010】
本発明の目的は、誤った種類のセットトレイが取り付けられている状態で印捺を実行する虞を低減し、更に印捺のスループットを向上することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために本発明に係る捺染装置の第1の態様は、被捺染材をセットする交換可能なセットトレイと、印捺データに応じて前記被捺染材にインクを吐出して印捺するインク吐出部と、前記印捺データにおいて指定される前記セットトレイの種類を前記印捺の実行時に記憶する記憶部と、前記セットトレイの種類を検出する検出部と、前記検出部が印捺開始前に行う前記セットトレイの種類を検出するトレイ検出動作を制御する制御部とを備え、前記制御部は、新たに取得した印捺データにおいて指定されている前記セットトレイの種類と前記記憶部が記憶しているセットトレイの種類とを比較し、異なる場合は前記トレイ検出動作を実行し、同じである場合は前記トレイ検出動作をパスすることを特徴とするものである。
【0012】
新たに取得した印捺データにおいて指定されている前記セットトレイの種類と前記記憶部が記憶しているセットトレイの種類とが異なる場合は、前回の印捺時に対して今回使用するセットトレイが別の種類のものに変ったことに相当する。この場合、上記の如く捺染装置に取り付けられているセットトレイを対応する別の種類のものに変える交換作業が行われる。この交換作業でユーザーがミスして誤った種類のセットトレイに交換してしまった場合等には、その状態で印捺が実行されるとユーザーが意図した印捺を実行できず、被捺染材を無駄に消費する問題が発生する。
【0013】
本態様によれば、制御部は、新たに取得した印捺データにおいて指定されている前記セットトレイの種類と前記記憶部が記憶しているセットトレイの種類とを比較し、両者の種類が異なる場合は前記トレイ検出動作を実行する。従って、当該トレイ検出動作の実行によって実際に取り付けられているセットトレイの種類を把握することができる。これにより、正しい種類のセットトレイが取り付けられているか否かの判定が可能となり、正しい種類のものである場合は、そのまま印捺を実行し、誤っている種類のものである場合は印捺は実行しないことで、誤った種類のセットトレイが取り付けられている状態で印捺を実行する虞を低減することができる。
また、新たに指定されている前記セットトレイの種類と前記記憶部が記憶しているセットトレイの種類とを比較した結果、両者の種類が同じである場合はセットトレイの前記交換作業は行われないので、誤ったセットトレイが取り付けられる虞はないと言える。本態様によれば、この場合は前記トレイ検出動作をパスするので、無用なトレイ検出動作をなくして印捺のスループットを向上することができる。
【0014】
ここで「被捺染材」とは、捺染の対象となる「布地」を意味し、綿、絹、羊毛等の天然繊維やナイロン等の化学繊維あるいはこれらを混ぜた複合繊維の織物、編物、不織布等が含まれ、ロール状に巻かれた長尺のものと、所定の長さにカットされたものの両方が含まれる。更に、縫製後のTシャツ等の衣類や縫製後のハンカチ、スカーフ、タオル、カーテン、シーツ、ベッドカバー等のファニチャーの類の他、縫製前の状態のパーツとして存在する裁断前後の布地等も含まれる。
【0015】
本発明に係る捺染装置の第2の態様は、前記第1の態様において、前記制御部は、新たに取得した印捺データがセットトレイの種類に関わる設定を含む内容である場合は前記トレイ検出動作を実行し、含まない内容である場合は前記トレイ検出動作をパスすることを特徴とするものである。
【0016】
ここで、「印捺データがセットトレイの種類に関わる設定を含む内容である」とは、基本的には、印捺データで指定するセットトレイの種類を別の種類に変える設定のことである。
しかし、最終的にはセットトレイの種類は変更されていなくても、例えば一旦は変更する意思で変更操作したが何らかの事情で元に戻したような場合には、誤ってセットトレイの交換作業をしてしまう可能性が高いので、このような場合を含めて該変更に関わる部分の設定操作が行われている場合は、その設定操作も当該「印捺データがセットトレイの種類に関わる設定を含む内容」に含めるようにすると、誤った種類のセットトレイが取り付けられている状態で印捺を実行する虞を低減することにおいて確実性を高めることができ、好ましい。
【0017】
本態様によれば、制御部は、新たに取得した印捺データがセットトレイの種類に関わる設定を含む内容である場合は前記トレイ検出動作を実行し、含まない内容である場合は前記トレイ検出動作をパスする。従って、当該トレイ検出動作の実行によって誤った種類のセットトレイが取り付けられている状態で印捺を実行する虞を低減することができる。
更に、前記比較の結果、新たに取得した印捺データがセットトレイの種類に関わる設定を含まない内容である場合は、セットトレイの交換作業の必要はないので誤った種類のセットトレイが捺染装置に取り付けられる状態にはならない。本態様においてはこの場合前記トレイ検出動作をパスするので、無用なトレイ検出動作をなくして印捺のスループットを向上することができる。
【0018】
本発明に係る捺染装置の第3の態様は、前記第1の態様又は第2の態様において、前記制御部は、新たに取得した印捺データが同じ種類のセットトレイで複数の被捺染材に対する印捺を行う内容を含む場合は、前記複数の被捺染材のうち二つ目以降の各被捺染材についての前記トレイ検出動作をパスすることを特徴とするものである。
【0019】
新たに取得した印捺データが同じ種類のセットトレイで複数の例えばP枚の被捺染材に対する印捺を行う内容を含む場合は、このP枚の被捺染材に対する印捺を行っているときは、セットトレイの種類は変らない。
本態様によれば、このような場合はP枚の被捺染材のうちの二枚目移行についてはトレイ検出動作をパスするので、無用なトレイ検出動作をなくして印捺のスループットを向上することができる。
【0020】
本発明に係る捺染装置の第4の態様は、前記第1の態様から第3の態様のいずれか一つにおいて、前記制御部は、トレイ検出動作が行われる場合に、新たに取得した印捺データにおいて指定されている前記セットトレイの種類と前記トレイ検出動作によって検出されたセットトレイの種類とが同じである場合は印捺を実行し、異なる場合は印捺を実行しないことを特徴とするものである。
【0021】
本態様によれば、トレイ検出動作が行われる場合において、当該検出動作によって検出されたセットトレイの種類が新たに取得した印捺データにおいて指定されている前記セットトレイの種類と異なる場合は印捺を実行しない。従って、ユーザーのセットトレイ交換作業ミスによる誤った種類のセットトレイで印捺を実行してしまう虞を低減することができる。
【0022】
本発明に係る捺染装置の第5の態様は、前記第4の態様において、前記インク吐出部と前記セットトレイの少なくとも一方を、被捺染材をセットするセット位置と、前記インク吐出部による印捺実行領域を挟んで存する被捺染材の印捺開始位置との間で相対移動させる移動部を備え、前記トレイ検出動作は、前記インク吐出部と前記セットトレイの少なくとも一方を前記セット位置から前記印捺開始位置へ被捺染材がセットされた状態で相対移動させる際に実行されることを特徴とするものである。
ここで、「印捺開始位置」とは、被捺染材への印捺の為に固定されたインク吐出部に対してセットトレイが移動を開始する位置、逆に固定されたセットトレイに対してインク吐出部側が移動を開始する位置を意味する。
【0023】
本態様によれば、前記第1の態様の作用、効果に加えて、前記インク吐出部と前記セットトレイの少なくとも一方を、被捺染材をセットするセット位置と、前記インク吐出部による印捺実行領域を挟んで存する被捺染材の印捺開始位置との間で相対移動させる移動部を設けたことによって、被捺染材の捺染を実行する上で必然的に採ることになるセットトレイのセット位置から印捺開始位置までの相対移動の際に前記検出部による前記トレイ検出動作が同時に実行される。
従って、被捺染材の印捺に必要な時間を増やすことなく、前記セットトレイの必然の相対移動工程を利用して効率良くセットトレイの種類を検出でき、以ってセットトレイの不一致に基づく上記問題の発生を抑えることが可能になる。
【0024】
本発明に係る捺染装置の第6の態様は、前記第5の態様において、前記セット位置から前記印捺開始位置への相対移動の速度は、前記トレイ検出動作がパスされるときは同検出動作が実行されるときよりも速いことを特徴とするものである。
本態様によれば、印捺のスループットを向上することができる。
【0025】
本発明に係る捺染装置の第7の態様は、前記第4の態様から第6の態様のいずれか一つにおいて、前記セットトレイは、被捺染材がセットされた状態における当該被捺染材が占める領域の外側であって前記インク吐出部と前記セットトレイの少なくとも一方を移動させる際の移動方向における一方側と他方側に位置する第1被検出部を備え、前記検出部によるセットトレイの種類の検出は、前記インク吐出部と前記セットトレイの少なくとも一方を前記セット位置から印捺開始位置に相対移動させる際の前記第1被検出部の検出タイミングに基づいて実行されることを特徴とするものである。
ここで、「検出タイミング」とは、第1被検出部の有無を検出するタイミングを意味するが、その検出タイミングは一度の検出でセットトレイの種類を検出する場合に限らず、複数箇所の第1被検出部を二度以上の複数回の検出をしたことでセットトレイの種類を検出する場合も含む意味で使われている。
【0026】
本態様によれば、セットトレイに被捺染材がセットされた状態の当該被捺染材が占める領域の外側であって前記インク吐出部と前記セットトレイの少なくとも一方を移動させる際の移動方向における一方側と他方側に位置する第1被検出部を備え、前記検出部によるセットトレイの種類の検出は、前記インク吐出部と前記セットトレイの少なくとも一方を前記セット位置から印捺開始位置に相対移動させる際の前記第1被検出部の検出タイミングに基づいて実行される。従って、セットトレイの相対的な移動方向の位置検出を、前記第1被検出部の前記検出タイミングによって行うことができる。これにより、被捺染材がセットされた状態でセットトレイを相対的に移動方向に移動させるだけで、当該セットトレイの大きさや形状等の構成の違いを正確に特定することが可能になる。
【0027】
本発明に係る捺染装置の第8の態様は、前記第7の態様において、前記セットトレイに被捺染材がセットされた状態の当該被捺染材が占める領域の外側であって、前記インク吐出部と前記セットトレイの少なくとも一方を移動させる際の移動方向と交差する方向における少なくとも一方側に位置する第2被検出部を備え、前記検出部によるセットトレイの種類の検出は、前記インク吐出部と前記セットトレイの少なくとも一方を前記セット位置から印捺開始位置に相対移動させる際の前記第1被検出部の検出タイミングと、前記検出部を前記第2被検出部を通過する方向に相対移動させることで得られる検出情報とに基づいて実行されることを特徴とするものである。
【0028】
本態様によれば、セットトレイの移動方向を前後方向としたときの左右の幅方向の位置検出を、前記第2被検出部の検出情報によって行うことができる。これにより、セットトレイの移動方向の長さは同じで、幅方向に長さが異なる種類の違いを検出することが可能になる。
従って、前記第1被検出部に対する前記検出タイミング情報と、前記第2被検出部に対する前記検出情報に基づいて、前記第7の態様よりも多い種類のセットトレイを付け替える構造の捺染装置において、セットトレイの大きさや形状等の違いを正確に特定することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施例1に係るインクジェット捺染装置の概略構成を示す斜視図。
【図2】同実施例1に係るインクジェット捺染装置の概略の構成を示す側断面図。
【図3】同実施例1に係るインクジェット捺染装置の概略の構成を示す平面図。
【図4】同実施例1に係るインクジェット捺染装置のインク吐出部と検出部の配設位置を示すキャリッジの底面図。
【図5】同実施例1に係るインクジェット捺染装置で使用するセットトレイの種類を示す斜視図。
【図6】同実施例1に係るインクジェット捺染装置の制御部の制御フローを説明するフローチャート。
【図7】同実施例1に係るインクジェット捺染装置におけるトレイ検出動作を説明するフローチャート。
【図8】本発明の実施例2に係るインクジェット捺染装置の概略の構成を示す平面図。
【図9】同実施例2に係るインクジェット捺染装置で使用するセットトレイの種類を示す斜視図。
【図10】同実施例2に係るインクジェット捺染装置を使用してセットトレイの種類を検出する手順の一例を示す平面図。
【図11】同実施例2に係るインクジェット捺染装置を使用してセットトレイの種類を検出する動作の流れの一例を示すフローチャート。
【図12】同実施例2に係るインクジェット捺染装置を使用してセットトレイの種類を検出する手順の他の一例を示す平面図。
【図13】同実施例2に係るインクジェット捺染装置を使用してセットトレイの種類を検出する動作の流れの他の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施例に係る捺染装置の構成と、該捺染装置を使用することによって実行される捺染方法について説明する。
尚、以下の説明では被捺染材(以下、「布帛」ともいう)Tとして、胴部と袖部が筒状に縫製されたTシャツを例にとり、該Tシャツに印捺画像Gを形成する表側の面を第一の面9、該第一の面9と反対側の裏側の面を第二の面11として説明する。
【0031】
[実施例1](図1から図7参照)
本実施例1の捺染装置1はインクジェット捺染装置1Aである。該インクジェット捺染装置1Aは、被捺染材Tをセットする交換可能なセットトレイ3と、印捺データ35に応じて前記被捺染材Tにインクを吐出して印捺するインク吐出部13と、前記印捺データ35において指定される前記セットトレイ3の種類を前記印捺の実行時に記憶する記憶部4と、前記セットトレイ3の種類を検出する検出部5と、前記検出部5が印捺開始前に行う前記セットトレイ3の種類を検出するトレイ検出動作を制御する制御部19とを備えている。
そして、前記制御部19は、新たに取得した印捺データ35において指定されている前記セットトレイ3の種類Mと前記記憶部4が記憶しているセットトレイ3の種類Nとを比較し、異なる場合(M≠N)は前記トレイ検出動作を実行し、同じである場合(M=N)は前記トレイ検出動作をパスするように構成されている。
【0032】
以下、上記インクジェット捺染装置1Aの各構成部分のついて詳しく説明する。
このインクジェット捺染装置1Aは、複数種類のセットトレイ3が付け替え可能なトレイ取付部32と、トレイ取付部32に取り付けられているセットトレイ3の種類を被捺染材Tがセットされた状態で検出可能な検出部5と、検出部5によって検出されたセットトレイ3の種類と、新たに取得した印捺データ35において指定されている前記セットトレイ3の種類Mとの一致と不一致を判別する判別部7を備え、該判別部7の判別結果に基づいて所定の動作を実行させる制御部19とを備えている。
【0033】
更に当該インクジェット捺染装置1Aは、被捺染材Tにインクを吐出して印捺画像Gを形成するインク吐出用ヘッド(インク吐出部)13と、前記セットトレイ3を、被捺染材Tをセットするセット位置Sと、前記インク吐出用ヘッド13による印捺実行領域15を挟んで存する被捺染材Tの印捺開始位置Kとの間で移動させる移動部17とを備えている。そして、前記検出部5によるセットトレイ3の種類の検出は、セットトレイ3を前記セット位置Sから前記印捺開始位置Kへ被捺染材Tがセットされた状態で移動させる際に実行されるようになっている。
【0034】
更に具体的には、一部繰り返しになるが、前記被捺染材Tの第1の面9にインクを吐出して所望の印捺画像Gを形成するインク吐出用ヘッド13と、前記被捺染材Tをセットし、前記被捺染材Tの第二の面11を支持するセットトレイ3と、該セットトレイ3を、被捺染材Tをセットするセット位置Sと、前記インク吐出用ヘッド13の存する印捺実行領域15を挟んで存する被捺染材Tの印捺開始位置Kとの間で往復移動させる移動部17と、を備えている。
【0035】
そして、前記制御部19は、前記判別部7の判別結果が「不一致」であるときは、捺染は実行せず、前記所定動作の一つとしてセットトレイ3を前記セット位置Sに戻す制御を実行するように構成されている。また、本実施例では、前記判別部7が「不一致」と判別したときは、更にセットトレイ3の種類の不一致をユーザーに報知するようになっている。
【0036】
また、実施例1に係るインクジェット捺染装置1Aにあっては、図1に示すように前記インク吐出用ヘッド13は、セットトレイ3の前記移動方向Aと交差する方向である走査方向Bに移動可能な状態で装置本体2に保持されている。具体的には、該インク吐出用ヘッド13は装置本体2内において前記走査方向Bに往復移動可能なキャリッジ21に搭載されている。そして、当該キャリッジ21に前記検出部5が設けられている。
【0037】
ここで、本実施例1では、セットトレイ3が前記移動方向Aに移動し、前記検出部5は前記移動方向Aに対しては固定されている構造が採用されているが、これに限定されない。セットトレイ3を前記移動方向Aに移動させずに位置を固定し、前記検出部5即ちキャリッジ21を保持する装置本体2側を前記方向Aに移動させて前記セット位置Sに対応する状態と前記印捺開始位置Kに対応する状態を実現するようにしてもよい。
要するに、セットトレイ3と検出部5の前記方向Aに対する関係は相対的に移動する関係であればよい。よって、セットトレイ3と検出部5の双方が移動して前記セット位置Sに対応する状態と前記印捺開始位置Kに対応する状態を実現するようにしてもよい。
【0038】
更に、本実施例1では、前記セットトレイ3は、被捺染材Tがセットされた状態における当該被捺染材Tが占める領域の外側であって該セットトレイ3の移動方向Aにおける前側と後側に位置する第1被検出部25,25を備えている。即ち、第1被検出部25,25は、セットトレイ3に被捺染材Tがセットされた状態における当該被捺染材Tがインク吐出部13側に露呈状態で占める領域の周縁部の外側であって該セットトレイ3の移動方向Aにおける前側と後側に位置している。そして、前記検出部5によるセットトレイ3の種類の検出は、前記セットトレイ3を前記セット位置Sから印捺開始位置Kに移動させる際の前記第1被検出部25,25の検出タイミングに基づいて実行される。
【0039】
更に、実施例1に係るインクジェット捺染装置1Aを構成している前述した諸部材について具体的に説明する。
【0040】
インク吐出部13は、一例として装置本体2の向って左側に位置するインクカートリッジ41からチューブ等を介して供給されるインクを被捺染材Tの第一の面9に向けて吐出して直接、印捺を実行する印捺実行部材である。そして、本実施例ではキャリッジ21の走査方向Bに往復移動しながらインクを吐出する、いわゆるシリアル型のインク吐出用ヘッドが一例として採用されている。
セットトレイ3は、一例として矩形平板状の部材で、その上面に被捺染材Tをセットする平坦なセット面23が形成されている。該セット面23は、被捺染材Tの第二の面11を直接支持する部位であり、被捺染材Tを皺を伸ばしてセットできるように全面が平坦面に形成されている。
【0041】
前記セット面23の外周の前後には左右方向に延びる枠体28の一部を成す構造で前記第1被検出部25,25が一対形成されている。尚、前記セット面23の外周の左右には前後方向に延びる枠体28の一部を成す第2被検出部27,27が同じく一対形成されている。該第2被検出部27,27は、後述する実施例2でセットトレイ3の種類の検出に利用するものである。
すなわち、第1被検出部25,25と第2被検出部27,27は四角形の枠体28で一体に構成されている。この枠体28は、セットトレイ3にセットされた状態で皺伸ばしが行われた被捺染材Tのその皺伸ばし状態を保持するために周囲に嵌めて取り付けられるものである。その枠体28を本発明では検出部5により検出される被検出部として利用している。
第1被検出部25,25と第2被検出部27,27は、光の反射率の高い適宜の材料、例えば金属等によって形成されている。このうち第1被検出部25,25は当該セットトレイ3の移動方向Aに沿う、長さ方向の位置検出に使用され、第2被検出部27,27は当該セットトレイ3の幅方向の位置検出に使用される。
【0042】
尚、前記セットトレイ3の種類としては、本実施例では、図4(A)〜(C)に示す3種類のセットトレイ3が一例として使用でき、このうち図4(A)に示すセットトレイ3Aは、サイズの大きな被捺染材Tや印捺画像Gが広い範囲に及ぶ時に好適な大サイズのセットトレイ3である。
また、図4(B)に示すセットトレイ3Bは、サイズの小さな被捺染材Tや印捺画像Gが狭い範囲で済む時に好適な小サイズのセットトレイ3である。更に、図4(C)に示すセットトレイ3Cは、幅寸法が前記図4(A)に示すセットトレイ3Aと同じで、長さ寸法が前記図4(A)に示すセットトレイ3Aの半分程度の大きさのセットトレイ3を前後方向に2枚、組み合わせて配置したものである。セットトレイ3Cは、サイズの小さな被捺染材Tや印捺画像Gの小さな被捺染材Tを2枚同時にセットして捺染を行う時に好適な形状違いのセットトレイ3である。
【0043】
移動部17は、インクジェット捺染装置1Aの装置本体2の前方から奥部側にかけて移動方向Aに沿って延びる支持ベース29と、該支持ベース29の上方の一例として左右方向の中央部において、移動方向Aに沿って往復移動可能に設けられているスライダーと所定高さの支柱とを有する支持台31と、該支持台31を駆動する一例としてタイミングベルト43を使用した駆動機構と、を備えることによって構成されている。
【0044】
また、前記支持台31の上面には前述したセットトレイ3がセンター基準合わせで着脱可能な状態でトレイ取付部32に取り付けられている。そして、該セットトレイ3はセットされた被捺染材Tと共に前記支持台31と一体になって移動方向Aに沿って移動し、前述したセット位置Sと印捺開始位置Kとの間で往復移動できるように構成されている。
【0045】
検出部5としては、一例として反射式の光センサが適用でき、図3に示すようにインク吐出部13の側傍のキャリッジ21の底面に配設されている。
また、該検出部5から下方に向けて照射された光は、前述した第1被検出部25と第2被検出部27に当たって反射し、再び検出部5に戻ってきた光を検知することによってセットトレイ3の長さ方向と幅方向の位置検出が実行されてセットトレイ3の種類が特定できるように構成されている。
【0046】
判別部7は、前記検出部5から送られてきたセットトレイ3の種類情報33と、ユーザーによって設定された新たに取得した印捺データ35において指定されている前記セットトレイ3の種類Mに基づいて両者を比較し、その種類の一致と不一致を判別する部位である。
そして、該判別部7によってセットトレイ3の一致が確認された場合には、当該セットトレイ3を使用した被捺染材Tに対する印捺が実行される。
【0047】
制御部19は、前記判別部7が不一致を確認したとき以下のように処理を実行する。すなわち、当該セットトレイ3を使用する印捺の実行を停止してセットトレイ3の種類の不一致をユーザーに知らせる音声や表示によるコーション処理(報知処理)を実行する。
また、前記コーション処理と同時に印捺実行領域15や印捺開始位置K等に存するセットトレイ3をセット位置Sに戻してセットトレイ3の交換を促す排出処理を実行する。
【0048】
次に、図6に基づいて、当該実施例1において、トレイ検出動作を実行するかパスするかについて制御する制御部19の制御フローを説明する。
先ずステップS1で、今回の印捺で使用するセットトレイの種類Mの情報を制御部19が得る。これはユーザーが外部機器のパソコンから前記セットトレイの種類Mの情報を含む印捺データ35をドライバーを介して入力することで行われる。
【0049】
次に、ステップS2に進んで、新たに取得した前記印捺データ35において指定されている前記セットトレイ3の種類Mと前記記憶部4が記憶しているセットトレイ3の種類Nとを比較する。そして、比較の結果、異なる場合(M≠N)はステップS3に進んで前記トレイ検出動作を実行する。該トレイ検出動作の詳細は後述する。
前記記憶部4は、前記印捺データ35において指定される前記セットトレイ3の種類Mが前記印捺の実行時に記憶される。即ち記憶部4に記憶されているセットトレイ3の種類Nは、前記セットトレイ3の種類Mであって印捺の実行に使用されたものである。従って、当該種類Nは印捺の実行毎に前記種類Mによって更新される。
【0050】
前記トレイ検出動作の実行よって、当該インクジェット捺染装置1Aに現時点で取り付けられているセットトレイ3の種類Lが確定する(ステップS4)。
【0051】
次にステップS5に進んで、検出されたセットトレイ3の種類Lが印捺データ35において指定されている前記セットトレイ3の種類Mと同じか否かが判断される。同じでない場合(L≠M)、ステップS6に進んでユーザーにその旨を知らせるコーション処理が行われる。
【0052】
一方、ステップS2において、同じである場合(M=N)は、前記トレイ検出動作がパスされてステップS7に進んで印捺が実行される。また、ステップS5において、同じである場合(L=M)もステップS7に進んで印捺が実行される。
【0053】
以上説明したように、本実施例1によれば、制御部19は、新たに取得した印捺データ35において指定されている前記セットトレイ3の種類Mと前記記憶部4が記憶しているセットトレイ3の種類Nとを比較し、両者の種類が異なる場合(M≠N)は前記トレイ検出動作を実行する。従って、当該トレイ検出動作の実行によって実際に取り付けられているセットトレイ3の種類Lを把握することができる。これにより、正しい種類のセットトレイが取り付けられているか否かの判定(L=M又はL≠M)が可能となり、正しい種類のものである場合(L=M)は、そのまま印捺を実行し、誤っている種類のものである場合(L≠M)は印捺は実行しないことで、誤った種類のセットトレイ3が取り付けられている状態で印捺を実行する虞を低減することができる。
【0054】
また、新たに指定されている前記セットトレイ3の種類Mと前記記憶部が記憶しているセットトレイ3の種類Nとを比較した結果、両者の種類が同じである場合(M=N)は既述の通り、セットトレイ3の前記交換作業は行われないので、誤ったセットトレイ3が取り付けられる虞はないと言える。本実施例によれば、この場合は前記トレイ検出動作をパスするので、無用なトレイ検出動作をなくして印捺のスループットを向上することができる。
【0055】
また本実施例1によれば、トレイ検出動作が行われる場合において、当該検出動作によって検出されたセットトレイ3の種類Lが新たに取得した印捺データ35において指定されている前記セットトレイ3の種類Mと異なる場合は印捺を実行しない。従って、ユーザーのセットトレイ交換作業ミスによる誤った種類のセットトレイ3で印捺を実行してしまう虞を低減することができる。
【0056】
<実施例1の変形例1>
実施例1の変形例1として、前記制御部19は、新たに取得した印捺データ35がセットトレイの種類Mに関わる設定を含む内容である場合は前記トレイ検出動作を実行し、含まない内容である場合は前記トレイ検出動作をパスするように構成してもよい。
ここで、「印捺データ35がセットトレイ3の種類に関わる設定を含む内容である」とは、基本的には、印捺データ35で指定するセットトレイ3の種類Mを別の種類に変える設定のことである。しかし、最終的にはセットトレイ3の種類は変更されていなくても、例えば一旦は変更する意思で変更操作したが何らかの事情で元に戻したような場合には、誤ってセットトレイ3の交換作業をしてしまう可能性が高いので、このような場合を含めて該変更に関わる部分の設定操作が行われている場合は、その設定操作も当該「印捺データがセットトレイの種類に関わる設定を含む内容」に含めるようにすると、誤った種類のセットトレイ3が取り付けられている状態で印捺を実行する虞を低減することにおいて確実性を高めることができ、好ましい。
【0057】
本変形例1によれば、制御部19は、新たに取得した印捺データ35がセットトレイ3の種類Mに関わる設定を含む内容である場合は前記トレイ検出動作を実行し、含まない内容である場合は前記トレイ検出動作をパスする。従って、当該トレイ検出動作の実行によって誤った種類のセットトレイが取り付けられている状態で印捺を実行する虞を低減することができる。
更に、前記比較の結果、新たに取得した印捺データ35がセットトレイ3の種類に関わる設定を含まない内容である場合は、セットトレイ3の交換作業の必要はないので誤った種類のセットトレイ3が捺染装置1に取り付けられる状態にはならない。本変形例においてはこの場合前記トレイ検出動作をパスするので、無用なトレイ検出動作をなくして印捺のスループットを向上することができる。
【0058】
<実施例1の変形例2>
実施例1の変形例2として、前記制御部19は、新たに取得した印捺データ35が同じ種類のセットトレイで複数のP枚の被捺染材Tに対する印捺を行う内容を含む場合は、前記P枚の被捺染材のうちの二枚目移行については各被捺染材Tについての前記トレイ検出動作をパスするように構成してもよい。
【0059】
新たに取得した印捺データ35が同じ種類のセットトレイ3で複数のP枚の被捺染材Tに対する印捺を行う内容を含む場合は、このP枚の被捺染材Tに対する印捺を行っているときは、セットトレイの種類は変らない。
本変形例2によれば、このような場合はトレイ検出動作をパスするので、無用なトレイ検出動作をなくして印捺のスループットを向上することができる。
また、前記セット位置Sから前記印捺開始位置Kへの移動の速度は、前記トレイ検出動作がパスされるときは同検出動作が実行されるときよりも速く構成されている。これにより、印捺のスループットを向上することができる。
【0060】
次に、トレイ検出動作の一例を詳しく説明する。
このインクジェット捺染装置1Aは、被捺染材Tがセットされたセットトレイ3を、検出部5による後側(移動方向の奥側)の第1被検出部25の検出可能位置となる第1位置P1(図5(A))に移動させるセットトレイ第1移動工程と、第1位置P1に移動したセットトレイ3を、セットトレイ3Cの前側(移動方向の手前側)の第1被検出部25の検出可能位置となる第2位置P2(図5(B)(i))に移動させるセットトレイ第2移動工程と、前記各移動工程で検出した検出情報に基づいてセットトレイ3の種類を特定する種類特定工程と、前記種類特定工程で特定したセットトレイ3の種類Lと、新たに取得した印捺データ35において指定されている前記セットトレイ3の種類Mとを比較して両者の一致と不一致を判別する判別工程と、実行可能に構成されている。
【0061】
以下、図5及び図7に基づいてセットトレイ3の種類の検出手順の一例と、検出時の動作の流れの一例について詳しく説明する。
セット位置Sに位置しているセットトレイ3のセット面23上に被捺染材Tをセットし、皺を伸ばし、枠体28をセットトレイ3に嵌めた後、ユーザーは使用するセットトレイ3の種類Mを含む印捺データ35を印捺実行指令として外部機器から入力する。
そして、前記印捺実行指令を受けて図7に示す流れでセットトレイ3の検出、判別動作が開始される。先ず、図7中のステップS1でキャリッジ21を走査方向の第1位置Q1に移動させる。
【0062】
次に、ステップS2に移行して、移動部17を駆動してセットトレイ3を移動方向の第1位置P1に移動させる。ここで、セットトレイ3がこの第1位置P1に移動するタイミングでは、大サイズのセットトレイ3Aを使用した時と形状違いのセットトレイ3Cを使用した時には、図5(A)の(i)に示すように検出部5の下方にこれらのセットトレイ3A、3Cの後側の第1被検出部25が位置するように設定されている。
一方、小サイズのセットトレイ3Bを使用した時には、図6(A)の(ii)に示すように、検出部5の下方に該セットトレイ3Bの第1被検出部25が未だ到達していない状態となる。
【0063】
次に、図7に戻り、ステップS3に移行し、走査方向の第1位置Q1に位置している検出部5が前記第1位置P1に移動した時を検出タイミングとして第1被検出部25を検出したか否かの判断が行われる。そして、第1被検出部25の検出が確認された場合には、ステップS4に移行し、再び移動部17を駆動してセットトレイ3を移動方向の第2位置P2まで移動させる。
尚、移動方向の第2位置P2では、形状違いのセットトレイ3Cを使用した時には、図5(B)の(i)に示すように検出部5によって該セットトレイ3Cの第1被検出部25及び前後のセットトレイ3C間の隙間が確認されるように設定されている。一方、大サイズのセットトレイ3Aを使用した時には、図5(B)の(ii)に示すように第1被検出部25や前記隙間は存在しないからこれらは確認されない。
【0064】
次に、図7に戻り、ステップS5で第1被検出部25を検出したか否かの判断が行われ、第1被検出部25が検出された場合には、ステップS6に移行して形状違いのセットトレイ3Cと特定される。
また、前記ステップS5で第1被検出部25が検出されなかったと判断された場合には、ステップS7に移行して大サイズのセットトレイ3Aと特定される。
【0065】
更に、前記ステップS3で第1被検出部25が検出されなかったと判断された場合には、ステップS8に移行して小サイズのセットトレイ3Bと特定される。
次に、ステップS9に移行して、検出されたセットトレイの種類Lが新たに取得した印捺データ35において指定されている前記セットトレイ3の種類Mと一致するか否かの判断が行われる。一致すると判断された場合(L=M)には、ステップS10に移行して移動部17を駆動してセットトレイ3を印捺開始位置Kまで移動させて印捺を実行する。
【0066】
一方、前記ステップS9で、一致していないと判断された場合(L≠M)には、ステップS11に移行して当該セットトレイ3の不一致を報知し、移動部17を逆方向に駆動してセットトレイ3を当初のセット位置Sに戻す。
このように本実施例に係るインクジェット捺染装置1Aを用いれば、セットトレイ3のセット位置Sから印捺開始位置Kまでの移動の過程で、セットトレイ3の種類の検出と判別が行われるから、セットトレイ3の種類の検出と判別のために別途、時間を取らせることなく、効率の良いセットトレイ3の種類の検出と判別が実行される。これにより、セットトレイ3の不一致に起因する品質不良の発生を低減することができる。
【0067】
[実施例2](図8から図11参照)
実施例2に係るインクジェット捺染装置1Bは、前述した実施例1に係るインクジェット捺染装置1Aと同様の構成を有しており、検出することのできるセットトレイ3の種類を一種類多くしたことと、該セットトレイ3の種類の拡大に伴って必要になってくるセットトレイ3の検出方法と判別方法のみが前記実地例1と相違している。
従って、ここでは前記実施例1と相違する検出可能なセットトレイ3の種類と、実施例2に係るインクジェット捺染装置1Bを使用することによって実行されるインクジェット捺染方法をセットトレイ3の種類の検出と判別の過程を中心に説明する。
【0068】
即ち、このインクジェット捺染装置1Bは、検出部5が搭載されたキャリッジ21を検出位置となる走査方向の第1位置Q1に移動させるキャリッジ第1移動工程と、被捺染材Tがセットされたセットトレイ3を検出位置となる移動方向の第1位置P1に移動させるセットトレイ第1移動工程と、移動方向の第1位置P1に移動したセットトレイ3を検出位置となる移動方向の第2位置P2に移動させるセットトレイ第2移動工程と、走査方向の第1位置Q1に移動したキャリッジ21を検出位置となる走査方向の第2位置Q2に移動させるキャリッジ第2移動工程と、前記各移動工程で検出した検出情報に基づいてセットトレイ3の種類を特定する種類特定工程と、前記種類特定工程で特定したセットトレイ3の種類と、予め認識しているセットトレイ3’の種類とを比較して両者の一致と不一致を判別する判別工程と、を実行可能に構成されている。
【0069】
従って、前述した実施例1中で述べたインクジェット捺染装置1Aが実行する各工程に、キャリッジ第2移動工程を付加した点が前記実施例1との主な相違点になっている。
また、セットトレイ3の種類としては、前記実施例1で述べた図4中の(A)〜(C)と同様の構成の図9(A)に示す大サイズのセットトレイ3A、図9(B)に示す小サイズのセットトレイ3B及び図9(C)に示す形状違いのセットトレイ3Cに、図9(D)に示す前記図9(A)に示す大サイズのセットトレイ3Aの幅寸法を半分程度にした幅狭のセットトレイ3Dを追加した構成になっている。
【0070】
以下、図10及び図11に基づいてセットトレイ3の種類の検出手順の一例と、検出時の動作の流れの一例について説明する。
セット位置Sに位置しているセットトレイ3のセット面23上に被捺染材Tをセットし、皺を伸ばし、枠体28をセットトレイ3に嵌めた後、ユーザーは使用するセットトレイ3の種類Mを含む印捺データ35を印捺実行指令として外部機器から入力する。
そして、前記印捺実行指令を受けて図11に示すセットトレイ3の検出、判別動作が開始され、図11中のステップS101でキャリッジ21を走査方向の第1位置Q1に移動させる。
【0071】
次に、ステップS102に移行して移動部17を駆動してセットトレイ3を移動方向の第1位置P1に移動させる。ここで、セットトレイ3がこの第1位置P1に移動するタイミングでは、大サイズのセットトレイ3Aを使用した時と形状違いのセットトレイ3Cを使用した時と幅狭のセットトレイ3Dを使用した時には、図10(A)の(i)に示すように検出部5の下方にこれらのセットトレイ3A、3C、3Dの第1被検出部25が位置するように設定されている。
一方、小サイズのセットトレイ3Bを使用した時には、図10(A)の(ii)に示すように検出部5の下方に該セットトレイ3Bの第1被検出部25が未だ到達していない状態となる。
【0072】
次に、図11に戻り、ステップS103に移行し、走査方向の第1位置Q1に位置している検出部5が第1被検出部25を検出したか否かの判断が行われる。そして、第1被検出部25の検出が確認された場合には、ステップS104に移行し、移動部17を駆動して当該セットトレイ3を前記第1被検出部25の検出が解除される所定ストロークZだけ印捺開始位置K側に移動させる(図10(B))。
【0073】
次に、ステップS105に移行し、キャリッジ21を駆動して走査方向の第2位置Q2にキャリッジ21を移動させる。因みに本実施例では走査方向の第2位置Q2を、大サイズのセットトレイ3Aを使用した場合に検出部5が第2被検出部27にかからないホームポジション側の外方領域に設定しているため、当該走査方向の第2位置Q2への移動の途中で必ず当該セットトレイ3の第2被検出部27を検出できるように構成されている。
従って、図10(B)の(i)に示すように、セットトレイ3の幅寸法が狭い場合には早いタイミングで前記第2被検出部27が検出され、図10(B)の(ii)に示すように、セットトレイ3の幅寸法が広い場合には遅いタイミングで前記第2被検出部27が検出されるようになっている。
【0074】
次に、図11に戻り、ステップS106で前記第2被検出部27の検出位置が所定の位置か否かの判断が行われる。尚、本実施例では大サイズのセットトレイ3Aを使用した時の第2被検出部27の検出位置を所定の位置に設定している。
そして、前記ステップS106で第2被検出部27の検出位置が所定の位置であると判断された場合には、ステップS107に移行してキャリッジ21を駆動し、当該キャリッジ21を走査方向の第1位置Q1に再び移動させる。
【0075】
次に、ステップS108に移行して移動部17を駆動し、セットトレイ3を移動方向の第2位置P2まで移動させる。
尚、移動方向の第2位置P2では、形状違いのセットトレイ3Cを使用した時には、図10(C)の(i)に示すように、検出部5によって該セットトレイ3Cの第1被検出部25及び前後のセットトレイ3C間の隙間が確認される。一方、大サイズのセットトレイ3Aを使用した時には、図10(C)の(ii)に示すように、第1被検出部25や前記隙間は存在しないからこれらは確認されない。
【0076】
次に、図11に戻り、ステップS109で第1被検出部25を検出したか否かの判断が行われ、第1被検出部25が検出された場合には、ステップS110に移行して形状違いのセットトレイ3Cと特定される。
また、前記ステップS109で第1被検出部25が検出されなかったと判断された場合には、ステップS111に移行して大サイズのセットトレイ3Aと特定される。
【0077】
また、前記ステップS106で第2被検出部27の検出位置が所定の位置ではないと判断された場合には、ステップS112に移行して幅狭のセットトレイ3Dと特定される。
更に、前記ステップS103で第1被検出部25が検出されなかったと判断された場合には、ステップS113に移行して小サイズのセットトレイ3Bと特定される。
【0078】
次に、ステップS114に移行して新たに取得した印捺データ35において指定されている前記セットトレイ3の種類Mと一致するか否かの判断が行われる。新たに取得した印捺データ35において指定されている前記セットトレイ3の種類Mと一致すると判断された場合(L=M)には、ステップS115に移行し、移動部17を駆動してセットトレイ3を印捺開始位置Kまで移動させて捺染を実行する。
一方、前記ステップS114で新たに取得した印捺データ35において指定されている前記セットトレイ3の種類Mと一致していないと判断された場合(L≠M)には、ステップS116に移行して当該セットトレイ3の不一致を報知し、移動部17を逆方向に駆動してセットトレイ3を当初のセット位置Sに戻す。
【0079】
このように本実施例に係るインクジェット捺染装置1Bを用いれば、前述した実施例1と同様の作用、効果が発揮され、更に検出できるセットトレイ3の種類の拡大によって、サイズや形状、構成の異なる更に多くのセットトレイ3の検出と判別が可能なインクジェット捺染装置1Bが適用できるようになる。
【0080】
[実施例2の変形例]
また、本実施例に係るインクジェット捺染装置1Bを使用する場合には、図12に示すセットトレイ3の種類の検出手順を異ならせた他の一例と、図13に示す検出時の動作の流れを異ならせた他の一例を採用することも可能である。
即ち、この場合には、ユーザーから印捺実行指令を受けると、図13に示す流れでセットトレイ3の検出、判別動作が開始され、図13中のステップS201でキャリッジ21を走査方向の第1位置Q1に移動させる。
【0081】
次に、ステップS202に移行して移動部17を駆動してセットトレイ3を移動方向の第1位置P1に移動させる。尚、移動方向の第1位置P1では、大サイズのセットトレイ3Aを使用した時と形状違いのセットトレイ3Cを使用した時と幅狭のセットトレイ3Dを使用した時には、図12(A)の(i)に示すように検出部5の下方にこれらのセットトレイ3A、3C、3Dの第1被検出部25が位置するように設定されている。
一方、小サイズのセットトレイ3Bを使用した時には、図12(A)の(ii)に示すように検出部5の下方に該セットトレイ3Bの第1被検出部25が未だ到達していない状態となる。
【0082】
次に、図13に戻り、ステップS203に移行し、走査方向の第1位置Q1に位置している検出部5が第1被検出部25を検出したか否かの判断が行われる。そして、第1被検出部25の検出が確認された場合には、ステップS204に移行し、移動部17を駆動してセットトレイ3を移動方向の第2位置P2に移動させる。次に、ステップS205に移行し、検出部5が第1被検出部25を検出したか否かの判断が行われる。
ステップS205で第1被検出部25を検出しなかったと判断された場合には、ステップS206に移行し、キャリッジ21を駆動して走査方向の第2位置Q2にキャリッジ21を移動させる。
因みに本実施例では走査方向の第2位置Q2を、大サイズのセットトレイ3Aを使用した場合に検出部5が第2被検出部27にかからないホームポジション側の外方領域に設定しているため、当該走査方向の第2位置Q2への移動の途中で必ず当該セットトレイ3の第2被検出部27を検出できるように構成されている。
【0083】
従って、図12(C)の(i)に示すように、セットトレイ3の幅寸法が狭い場合には早いタイミングで前記第2被検出部27が検出され、図12(C)の(ii)に示すようにセットトレイ3の幅寸法が広い場合には遅いタイミングで前記第2被検出部27が検出されるようになっている。
次に、図13に戻り、ステップS207で前記第2被検出部27の検出位置が所定の位置か否かの判断が行われる。尚、本実施例では大サイズのセットトレイ3Aを使用した時の第2被検出部27の検出位置を所定の位置に設定している。
【0084】
そして、前記ステップS207で第2被検出部27の検出位置が所定の位置であると判断された場合には、ステップS208に移行して大サイズのセットトレイ3Aと特定される。
また、前記ステップS207で第2被検出部27の検出位置が所定の位置でないと判断された場合には、ステップS209に移行し、幅狭のセットトレイ3Dと特定される。
【0085】
また、前記ステップS205で第1被検出部25を検出したと判断された場合には、ステップS210に移行して形状違いのセットトレイ3Cと特定される。
更に、前記ステップS203で第1被検出部25を検出していないと判断された場合には、ステップS211に移行して小サイズのセットトレイ3Bと特定される。
【0086】
次に、ステップS212に移行して新たに取得した印捺データ35において指定されている前記セットトレイ3の種類Mと一致するか否かの判断が行われる。新たに取得した印捺データ35において指定されている前記セットトレイ3の種類Mと一致すると判断された場合(L=M)には、ステップS213に移行し、移動部17を駆動してセットトレイ3を印捺開始位置Kまで移動させて捺染を実行する。
一方、前記ステップS212で新たに取得した印捺データ35において指定されている前記セットトレイ3の種類Mと一致していないと判断された場合(L≠M)には、ステップS214に移行して当該セットトレイ3の不一致を告知し、移動部17を逆方向に駆動してセットトレイ3を当初のセット位置Sに戻す。
【0087】
このような図12及び図13に示すセットトレイ3の検出と判別によっても、図10及び図11に示す前述したセットトレイ3の検出と判別と同様の作用、効果が得られ、更に図11中のステップS104とステップS107を省略したコンパクトな動作の流れが実現されるので、セットトレイ3の検出と判別にかかる時間の短縮が図られる。
【0088】
[他の実施例]
本発明に係るインクジェット捺染装置1は、以上述べたような構成を有することを基本とするものであるが、本願発明の要旨を逸脱しない範囲内の部分的構成の変更や省略等を行うことも勿論可能である。
例えば、検出部5は、走査方向Bに往復移動可能なキャリッジ21に搭載されるいわゆるシリアル型のインク吐出用ヘッド13に対して適用する他、被捺染材Tの幅方向の捺染範囲を一挙に捺染する、いわゆるライン型のインク吐出用ヘッド13に対して適用することが可能である。
【0089】
また、検出部5は、インク吐出用ヘッド13に隣接して設ける他、インク吐出用ヘッド13と切り離してインクジェット捺染装置1の装置本体2の適宜の個所に固定状態で設置することも可能である。
そして、これらの場合には、キャリッジ21の移動は不要であるから、図7中のステップS1を省略することが可能になる。
【0090】
また、検出部5をセットトレイ3の長さ方向と幅方向のいずれか一方、または双方に移動させる動力と機構を別途設けることも可能であるし、検出部5を複数設けて、複数の検出部5によってセットトレイ3の前記第1被検出部25と第2被検出部27の位置検出を行う構成にすることも可能である。
この他、セットトレイ3の種類は前述した図5及び図9に示したものに限らず、円板状、四角形以外の多角形平板状、幅方向に2組配設したもの等種々の形状、サイズ、構成のセットトレイ3の種類が採用可能である。
また、前記制御部19では、セットトレイ3の種類の不一致をユーザーに知らせる告知の態様として、アラーム音、音声、LEDの点灯や点滅、ディスプレイでの表示等の種々の態様を単独で、あるいはこれらのいくつかを組み合わせて使用することが可能である。
【0091】
上記各実施例では、トレイ検出動作において、インク吐出部は固定されセットトレイを移動する構造について説明したが、逆にセットトレイは固定されインク吐出部側が移動する構造、又はその両方が移動する構造であってもよい。
また、上記実施例では、前記検出部を前記第2被検出部を通過する方向に移動する構造について説明したが、検出部は固定され第2被検出部側を移動する構造、又はその両方が移動する構造であってもよい。
【符号の説明】
【0092】
1 インクジェット捺染装置、2 装置本体、3 セットトレイ、4 記憶部、
5 検出部、7 判別部、9 第一の面、11 第二の面、13 インク吐出用ヘッド、
15 捺染実行領域、17 移動部、19 制御部、21 キャリッジ、
23 セット面、25 第1被検出部、27 第2被検出部、28 枠体、
29 支持ベース、31 支持台、32 トレイ取付部、33 種類情報、
35 設定情報、37 不一致特定情報、41 インクカートリッジ、
43 タイミングベルト、T 被捺染材(布帛)、Ta 胴部、Tb 袖部、
G 印捺画像、A 移動方向、B 走査方向、S セット位置、K 印捺開始位置、
P1 (移動方向の)第1位置、P2 (移動方向の)第2位置、
Q1 (走査方向の)第1位置、Q2 (走査方向の)第2位置、
Z 所定ストローク
【技術分野】
【0001】
本発明は、布帛すなわち被捺染材に対して捺染を行う捺染装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来からTシャツ等の布帛の表面に対して、インク吐出用ヘッドから各色のインクを吐出して所望の色模様すなわち画像を印捺するインクジェット式の捺染装置が開発され、既に使用されている。そして、該インクジェット捺染装置には、Tシャツ等の布帛をセットして前記インク吐出用ヘッドのノズル開口面と当該布帛との間隔を所定のギャップに規定するセットトレイが設けられている。
【0003】
前記セットトレイは、印捺する布帛の形状や大きさの違い、印捺する画像の大きさや印捺する方向の違いあるいは同時に複数枚の布帛に印捺する場合と一枚の布帛に印捺する場合のような印捺の態様の違い等に応じて、形状や大きさ等の違う複数種のセットトレイを交換して使用できるようになっている。このセットトレイの交換は通常ユーザーによって行われる。
【0004】
捺染装置には、外部機器であるパソコン等から印捺データが送られ、該印捺データに基づいてインク吐出部から被捺染材にインクが吐出されて所望の画像が印捺される。その印捺データには該印捺で使用するセットトレイの種類も含まれている。今回の新たな印捺で使用するセットトレイの種類が前回の印捺で使用したセットトレイの種類と別のものに換わる場合は、該印捺データ上での変更操作に加えて、当該捺染装置に実際に取り付けられているセットトレイについて対応する交換作業が行われる。そして、前記印捺データにおいて指定された前記セットトレイの種類は前記印捺の実行時に当該捺染装置の記憶部に記憶される。
【0005】
前記印捺データで指定されたセットトレイの種類と実際に取り付けられているセットトレイの種類が何らかの原因で不一致である場合は、ユーザーが意図した印捺を実行できず、被捺染材を無駄に消費する問題が発生する。
【0006】
上記「不一致」に基づく問題を考慮した従来技術の文献として、下記の特許文献1が挙げられる。この文献に記載されている技術は、前回の印捺時のセットトレイの種類について記憶部に記憶されている情報と今回の新たな印捺に際して指定されたセットトレイの種類の情報とを比較し、前回と今回のセットトレイの種類が異なっている場合に報知してユーザーに知らせるというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−51114号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記特許文献1では、前記セットトレイの種類の違いの判断は、今回の新たな印捺で使用するセットトレイの種類に関する入力情報と前回の印捺で使用されたセットトレイの種類に関する記憶情報だけに基づいている。
しかし、ユーザーが新たな印捺のために新たに印捺データを前記外部機器(パソコン等)等で設定する際に、セットトレイの種類を別の種類のものに変える場合にはセットトレイの種類について新たな再設定の入力操作が行われる。そして、この入力操作が行われた場合は、上記の如く捺染装置に取り付けられているセットトレイを対応する別の種類のものに変える交換作業が必要になる。
【0009】
ところが、この交換作業でユーザーがミスして誤った種類のセットトレイに交換してしまった場合等には、前記引用文献1の技術では全く対応できない問題がある。更に印捺のスループット向上については引用文献1では全く考慮されていない。
【0010】
本発明の目的は、誤った種類のセットトレイが取り付けられている状態で印捺を実行する虞を低減し、更に印捺のスループットを向上することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために本発明に係る捺染装置の第1の態様は、被捺染材をセットする交換可能なセットトレイと、印捺データに応じて前記被捺染材にインクを吐出して印捺するインク吐出部と、前記印捺データにおいて指定される前記セットトレイの種類を前記印捺の実行時に記憶する記憶部と、前記セットトレイの種類を検出する検出部と、前記検出部が印捺開始前に行う前記セットトレイの種類を検出するトレイ検出動作を制御する制御部とを備え、前記制御部は、新たに取得した印捺データにおいて指定されている前記セットトレイの種類と前記記憶部が記憶しているセットトレイの種類とを比較し、異なる場合は前記トレイ検出動作を実行し、同じである場合は前記トレイ検出動作をパスすることを特徴とするものである。
【0012】
新たに取得した印捺データにおいて指定されている前記セットトレイの種類と前記記憶部が記憶しているセットトレイの種類とが異なる場合は、前回の印捺時に対して今回使用するセットトレイが別の種類のものに変ったことに相当する。この場合、上記の如く捺染装置に取り付けられているセットトレイを対応する別の種類のものに変える交換作業が行われる。この交換作業でユーザーがミスして誤った種類のセットトレイに交換してしまった場合等には、その状態で印捺が実行されるとユーザーが意図した印捺を実行できず、被捺染材を無駄に消費する問題が発生する。
【0013】
本態様によれば、制御部は、新たに取得した印捺データにおいて指定されている前記セットトレイの種類と前記記憶部が記憶しているセットトレイの種類とを比較し、両者の種類が異なる場合は前記トレイ検出動作を実行する。従って、当該トレイ検出動作の実行によって実際に取り付けられているセットトレイの種類を把握することができる。これにより、正しい種類のセットトレイが取り付けられているか否かの判定が可能となり、正しい種類のものである場合は、そのまま印捺を実行し、誤っている種類のものである場合は印捺は実行しないことで、誤った種類のセットトレイが取り付けられている状態で印捺を実行する虞を低減することができる。
また、新たに指定されている前記セットトレイの種類と前記記憶部が記憶しているセットトレイの種類とを比較した結果、両者の種類が同じである場合はセットトレイの前記交換作業は行われないので、誤ったセットトレイが取り付けられる虞はないと言える。本態様によれば、この場合は前記トレイ検出動作をパスするので、無用なトレイ検出動作をなくして印捺のスループットを向上することができる。
【0014】
ここで「被捺染材」とは、捺染の対象となる「布地」を意味し、綿、絹、羊毛等の天然繊維やナイロン等の化学繊維あるいはこれらを混ぜた複合繊維の織物、編物、不織布等が含まれ、ロール状に巻かれた長尺のものと、所定の長さにカットされたものの両方が含まれる。更に、縫製後のTシャツ等の衣類や縫製後のハンカチ、スカーフ、タオル、カーテン、シーツ、ベッドカバー等のファニチャーの類の他、縫製前の状態のパーツとして存在する裁断前後の布地等も含まれる。
【0015】
本発明に係る捺染装置の第2の態様は、前記第1の態様において、前記制御部は、新たに取得した印捺データがセットトレイの種類に関わる設定を含む内容である場合は前記トレイ検出動作を実行し、含まない内容である場合は前記トレイ検出動作をパスすることを特徴とするものである。
【0016】
ここで、「印捺データがセットトレイの種類に関わる設定を含む内容である」とは、基本的には、印捺データで指定するセットトレイの種類を別の種類に変える設定のことである。
しかし、最終的にはセットトレイの種類は変更されていなくても、例えば一旦は変更する意思で変更操作したが何らかの事情で元に戻したような場合には、誤ってセットトレイの交換作業をしてしまう可能性が高いので、このような場合を含めて該変更に関わる部分の設定操作が行われている場合は、その設定操作も当該「印捺データがセットトレイの種類に関わる設定を含む内容」に含めるようにすると、誤った種類のセットトレイが取り付けられている状態で印捺を実行する虞を低減することにおいて確実性を高めることができ、好ましい。
【0017】
本態様によれば、制御部は、新たに取得した印捺データがセットトレイの種類に関わる設定を含む内容である場合は前記トレイ検出動作を実行し、含まない内容である場合は前記トレイ検出動作をパスする。従って、当該トレイ検出動作の実行によって誤った種類のセットトレイが取り付けられている状態で印捺を実行する虞を低減することができる。
更に、前記比較の結果、新たに取得した印捺データがセットトレイの種類に関わる設定を含まない内容である場合は、セットトレイの交換作業の必要はないので誤った種類のセットトレイが捺染装置に取り付けられる状態にはならない。本態様においてはこの場合前記トレイ検出動作をパスするので、無用なトレイ検出動作をなくして印捺のスループットを向上することができる。
【0018】
本発明に係る捺染装置の第3の態様は、前記第1の態様又は第2の態様において、前記制御部は、新たに取得した印捺データが同じ種類のセットトレイで複数の被捺染材に対する印捺を行う内容を含む場合は、前記複数の被捺染材のうち二つ目以降の各被捺染材についての前記トレイ検出動作をパスすることを特徴とするものである。
【0019】
新たに取得した印捺データが同じ種類のセットトレイで複数の例えばP枚の被捺染材に対する印捺を行う内容を含む場合は、このP枚の被捺染材に対する印捺を行っているときは、セットトレイの種類は変らない。
本態様によれば、このような場合はP枚の被捺染材のうちの二枚目移行についてはトレイ検出動作をパスするので、無用なトレイ検出動作をなくして印捺のスループットを向上することができる。
【0020】
本発明に係る捺染装置の第4の態様は、前記第1の態様から第3の態様のいずれか一つにおいて、前記制御部は、トレイ検出動作が行われる場合に、新たに取得した印捺データにおいて指定されている前記セットトレイの種類と前記トレイ検出動作によって検出されたセットトレイの種類とが同じである場合は印捺を実行し、異なる場合は印捺を実行しないことを特徴とするものである。
【0021】
本態様によれば、トレイ検出動作が行われる場合において、当該検出動作によって検出されたセットトレイの種類が新たに取得した印捺データにおいて指定されている前記セットトレイの種類と異なる場合は印捺を実行しない。従って、ユーザーのセットトレイ交換作業ミスによる誤った種類のセットトレイで印捺を実行してしまう虞を低減することができる。
【0022】
本発明に係る捺染装置の第5の態様は、前記第4の態様において、前記インク吐出部と前記セットトレイの少なくとも一方を、被捺染材をセットするセット位置と、前記インク吐出部による印捺実行領域を挟んで存する被捺染材の印捺開始位置との間で相対移動させる移動部を備え、前記トレイ検出動作は、前記インク吐出部と前記セットトレイの少なくとも一方を前記セット位置から前記印捺開始位置へ被捺染材がセットされた状態で相対移動させる際に実行されることを特徴とするものである。
ここで、「印捺開始位置」とは、被捺染材への印捺の為に固定されたインク吐出部に対してセットトレイが移動を開始する位置、逆に固定されたセットトレイに対してインク吐出部側が移動を開始する位置を意味する。
【0023】
本態様によれば、前記第1の態様の作用、効果に加えて、前記インク吐出部と前記セットトレイの少なくとも一方を、被捺染材をセットするセット位置と、前記インク吐出部による印捺実行領域を挟んで存する被捺染材の印捺開始位置との間で相対移動させる移動部を設けたことによって、被捺染材の捺染を実行する上で必然的に採ることになるセットトレイのセット位置から印捺開始位置までの相対移動の際に前記検出部による前記トレイ検出動作が同時に実行される。
従って、被捺染材の印捺に必要な時間を増やすことなく、前記セットトレイの必然の相対移動工程を利用して効率良くセットトレイの種類を検出でき、以ってセットトレイの不一致に基づく上記問題の発生を抑えることが可能になる。
【0024】
本発明に係る捺染装置の第6の態様は、前記第5の態様において、前記セット位置から前記印捺開始位置への相対移動の速度は、前記トレイ検出動作がパスされるときは同検出動作が実行されるときよりも速いことを特徴とするものである。
本態様によれば、印捺のスループットを向上することができる。
【0025】
本発明に係る捺染装置の第7の態様は、前記第4の態様から第6の態様のいずれか一つにおいて、前記セットトレイは、被捺染材がセットされた状態における当該被捺染材が占める領域の外側であって前記インク吐出部と前記セットトレイの少なくとも一方を移動させる際の移動方向における一方側と他方側に位置する第1被検出部を備え、前記検出部によるセットトレイの種類の検出は、前記インク吐出部と前記セットトレイの少なくとも一方を前記セット位置から印捺開始位置に相対移動させる際の前記第1被検出部の検出タイミングに基づいて実行されることを特徴とするものである。
ここで、「検出タイミング」とは、第1被検出部の有無を検出するタイミングを意味するが、その検出タイミングは一度の検出でセットトレイの種類を検出する場合に限らず、複数箇所の第1被検出部を二度以上の複数回の検出をしたことでセットトレイの種類を検出する場合も含む意味で使われている。
【0026】
本態様によれば、セットトレイに被捺染材がセットされた状態の当該被捺染材が占める領域の外側であって前記インク吐出部と前記セットトレイの少なくとも一方を移動させる際の移動方向における一方側と他方側に位置する第1被検出部を備え、前記検出部によるセットトレイの種類の検出は、前記インク吐出部と前記セットトレイの少なくとも一方を前記セット位置から印捺開始位置に相対移動させる際の前記第1被検出部の検出タイミングに基づいて実行される。従って、セットトレイの相対的な移動方向の位置検出を、前記第1被検出部の前記検出タイミングによって行うことができる。これにより、被捺染材がセットされた状態でセットトレイを相対的に移動方向に移動させるだけで、当該セットトレイの大きさや形状等の構成の違いを正確に特定することが可能になる。
【0027】
本発明に係る捺染装置の第8の態様は、前記第7の態様において、前記セットトレイに被捺染材がセットされた状態の当該被捺染材が占める領域の外側であって、前記インク吐出部と前記セットトレイの少なくとも一方を移動させる際の移動方向と交差する方向における少なくとも一方側に位置する第2被検出部を備え、前記検出部によるセットトレイの種類の検出は、前記インク吐出部と前記セットトレイの少なくとも一方を前記セット位置から印捺開始位置に相対移動させる際の前記第1被検出部の検出タイミングと、前記検出部を前記第2被検出部を通過する方向に相対移動させることで得られる検出情報とに基づいて実行されることを特徴とするものである。
【0028】
本態様によれば、セットトレイの移動方向を前後方向としたときの左右の幅方向の位置検出を、前記第2被検出部の検出情報によって行うことができる。これにより、セットトレイの移動方向の長さは同じで、幅方向に長さが異なる種類の違いを検出することが可能になる。
従って、前記第1被検出部に対する前記検出タイミング情報と、前記第2被検出部に対する前記検出情報に基づいて、前記第7の態様よりも多い種類のセットトレイを付け替える構造の捺染装置において、セットトレイの大きさや形状等の違いを正確に特定することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施例1に係るインクジェット捺染装置の概略構成を示す斜視図。
【図2】同実施例1に係るインクジェット捺染装置の概略の構成を示す側断面図。
【図3】同実施例1に係るインクジェット捺染装置の概略の構成を示す平面図。
【図4】同実施例1に係るインクジェット捺染装置のインク吐出部と検出部の配設位置を示すキャリッジの底面図。
【図5】同実施例1に係るインクジェット捺染装置で使用するセットトレイの種類を示す斜視図。
【図6】同実施例1に係るインクジェット捺染装置の制御部の制御フローを説明するフローチャート。
【図7】同実施例1に係るインクジェット捺染装置におけるトレイ検出動作を説明するフローチャート。
【図8】本発明の実施例2に係るインクジェット捺染装置の概略の構成を示す平面図。
【図9】同実施例2に係るインクジェット捺染装置で使用するセットトレイの種類を示す斜視図。
【図10】同実施例2に係るインクジェット捺染装置を使用してセットトレイの種類を検出する手順の一例を示す平面図。
【図11】同実施例2に係るインクジェット捺染装置を使用してセットトレイの種類を検出する動作の流れの一例を示すフローチャート。
【図12】同実施例2に係るインクジェット捺染装置を使用してセットトレイの種類を検出する手順の他の一例を示す平面図。
【図13】同実施例2に係るインクジェット捺染装置を使用してセットトレイの種類を検出する動作の流れの他の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施例に係る捺染装置の構成と、該捺染装置を使用することによって実行される捺染方法について説明する。
尚、以下の説明では被捺染材(以下、「布帛」ともいう)Tとして、胴部と袖部が筒状に縫製されたTシャツを例にとり、該Tシャツに印捺画像Gを形成する表側の面を第一の面9、該第一の面9と反対側の裏側の面を第二の面11として説明する。
【0031】
[実施例1](図1から図7参照)
本実施例1の捺染装置1はインクジェット捺染装置1Aである。該インクジェット捺染装置1Aは、被捺染材Tをセットする交換可能なセットトレイ3と、印捺データ35に応じて前記被捺染材Tにインクを吐出して印捺するインク吐出部13と、前記印捺データ35において指定される前記セットトレイ3の種類を前記印捺の実行時に記憶する記憶部4と、前記セットトレイ3の種類を検出する検出部5と、前記検出部5が印捺開始前に行う前記セットトレイ3の種類を検出するトレイ検出動作を制御する制御部19とを備えている。
そして、前記制御部19は、新たに取得した印捺データ35において指定されている前記セットトレイ3の種類Mと前記記憶部4が記憶しているセットトレイ3の種類Nとを比較し、異なる場合(M≠N)は前記トレイ検出動作を実行し、同じである場合(M=N)は前記トレイ検出動作をパスするように構成されている。
【0032】
以下、上記インクジェット捺染装置1Aの各構成部分のついて詳しく説明する。
このインクジェット捺染装置1Aは、複数種類のセットトレイ3が付け替え可能なトレイ取付部32と、トレイ取付部32に取り付けられているセットトレイ3の種類を被捺染材Tがセットされた状態で検出可能な検出部5と、検出部5によって検出されたセットトレイ3の種類と、新たに取得した印捺データ35において指定されている前記セットトレイ3の種類Mとの一致と不一致を判別する判別部7を備え、該判別部7の判別結果に基づいて所定の動作を実行させる制御部19とを備えている。
【0033】
更に当該インクジェット捺染装置1Aは、被捺染材Tにインクを吐出して印捺画像Gを形成するインク吐出用ヘッド(インク吐出部)13と、前記セットトレイ3を、被捺染材Tをセットするセット位置Sと、前記インク吐出用ヘッド13による印捺実行領域15を挟んで存する被捺染材Tの印捺開始位置Kとの間で移動させる移動部17とを備えている。そして、前記検出部5によるセットトレイ3の種類の検出は、セットトレイ3を前記セット位置Sから前記印捺開始位置Kへ被捺染材Tがセットされた状態で移動させる際に実行されるようになっている。
【0034】
更に具体的には、一部繰り返しになるが、前記被捺染材Tの第1の面9にインクを吐出して所望の印捺画像Gを形成するインク吐出用ヘッド13と、前記被捺染材Tをセットし、前記被捺染材Tの第二の面11を支持するセットトレイ3と、該セットトレイ3を、被捺染材Tをセットするセット位置Sと、前記インク吐出用ヘッド13の存する印捺実行領域15を挟んで存する被捺染材Tの印捺開始位置Kとの間で往復移動させる移動部17と、を備えている。
【0035】
そして、前記制御部19は、前記判別部7の判別結果が「不一致」であるときは、捺染は実行せず、前記所定動作の一つとしてセットトレイ3を前記セット位置Sに戻す制御を実行するように構成されている。また、本実施例では、前記判別部7が「不一致」と判別したときは、更にセットトレイ3の種類の不一致をユーザーに報知するようになっている。
【0036】
また、実施例1に係るインクジェット捺染装置1Aにあっては、図1に示すように前記インク吐出用ヘッド13は、セットトレイ3の前記移動方向Aと交差する方向である走査方向Bに移動可能な状態で装置本体2に保持されている。具体的には、該インク吐出用ヘッド13は装置本体2内において前記走査方向Bに往復移動可能なキャリッジ21に搭載されている。そして、当該キャリッジ21に前記検出部5が設けられている。
【0037】
ここで、本実施例1では、セットトレイ3が前記移動方向Aに移動し、前記検出部5は前記移動方向Aに対しては固定されている構造が採用されているが、これに限定されない。セットトレイ3を前記移動方向Aに移動させずに位置を固定し、前記検出部5即ちキャリッジ21を保持する装置本体2側を前記方向Aに移動させて前記セット位置Sに対応する状態と前記印捺開始位置Kに対応する状態を実現するようにしてもよい。
要するに、セットトレイ3と検出部5の前記方向Aに対する関係は相対的に移動する関係であればよい。よって、セットトレイ3と検出部5の双方が移動して前記セット位置Sに対応する状態と前記印捺開始位置Kに対応する状態を実現するようにしてもよい。
【0038】
更に、本実施例1では、前記セットトレイ3は、被捺染材Tがセットされた状態における当該被捺染材Tが占める領域の外側であって該セットトレイ3の移動方向Aにおける前側と後側に位置する第1被検出部25,25を備えている。即ち、第1被検出部25,25は、セットトレイ3に被捺染材Tがセットされた状態における当該被捺染材Tがインク吐出部13側に露呈状態で占める領域の周縁部の外側であって該セットトレイ3の移動方向Aにおける前側と後側に位置している。そして、前記検出部5によるセットトレイ3の種類の検出は、前記セットトレイ3を前記セット位置Sから印捺開始位置Kに移動させる際の前記第1被検出部25,25の検出タイミングに基づいて実行される。
【0039】
更に、実施例1に係るインクジェット捺染装置1Aを構成している前述した諸部材について具体的に説明する。
【0040】
インク吐出部13は、一例として装置本体2の向って左側に位置するインクカートリッジ41からチューブ等を介して供給されるインクを被捺染材Tの第一の面9に向けて吐出して直接、印捺を実行する印捺実行部材である。そして、本実施例ではキャリッジ21の走査方向Bに往復移動しながらインクを吐出する、いわゆるシリアル型のインク吐出用ヘッドが一例として採用されている。
セットトレイ3は、一例として矩形平板状の部材で、その上面に被捺染材Tをセットする平坦なセット面23が形成されている。該セット面23は、被捺染材Tの第二の面11を直接支持する部位であり、被捺染材Tを皺を伸ばしてセットできるように全面が平坦面に形成されている。
【0041】
前記セット面23の外周の前後には左右方向に延びる枠体28の一部を成す構造で前記第1被検出部25,25が一対形成されている。尚、前記セット面23の外周の左右には前後方向に延びる枠体28の一部を成す第2被検出部27,27が同じく一対形成されている。該第2被検出部27,27は、後述する実施例2でセットトレイ3の種類の検出に利用するものである。
すなわち、第1被検出部25,25と第2被検出部27,27は四角形の枠体28で一体に構成されている。この枠体28は、セットトレイ3にセットされた状態で皺伸ばしが行われた被捺染材Tのその皺伸ばし状態を保持するために周囲に嵌めて取り付けられるものである。その枠体28を本発明では検出部5により検出される被検出部として利用している。
第1被検出部25,25と第2被検出部27,27は、光の反射率の高い適宜の材料、例えば金属等によって形成されている。このうち第1被検出部25,25は当該セットトレイ3の移動方向Aに沿う、長さ方向の位置検出に使用され、第2被検出部27,27は当該セットトレイ3の幅方向の位置検出に使用される。
【0042】
尚、前記セットトレイ3の種類としては、本実施例では、図4(A)〜(C)に示す3種類のセットトレイ3が一例として使用でき、このうち図4(A)に示すセットトレイ3Aは、サイズの大きな被捺染材Tや印捺画像Gが広い範囲に及ぶ時に好適な大サイズのセットトレイ3である。
また、図4(B)に示すセットトレイ3Bは、サイズの小さな被捺染材Tや印捺画像Gが狭い範囲で済む時に好適な小サイズのセットトレイ3である。更に、図4(C)に示すセットトレイ3Cは、幅寸法が前記図4(A)に示すセットトレイ3Aと同じで、長さ寸法が前記図4(A)に示すセットトレイ3Aの半分程度の大きさのセットトレイ3を前後方向に2枚、組み合わせて配置したものである。セットトレイ3Cは、サイズの小さな被捺染材Tや印捺画像Gの小さな被捺染材Tを2枚同時にセットして捺染を行う時に好適な形状違いのセットトレイ3である。
【0043】
移動部17は、インクジェット捺染装置1Aの装置本体2の前方から奥部側にかけて移動方向Aに沿って延びる支持ベース29と、該支持ベース29の上方の一例として左右方向の中央部において、移動方向Aに沿って往復移動可能に設けられているスライダーと所定高さの支柱とを有する支持台31と、該支持台31を駆動する一例としてタイミングベルト43を使用した駆動機構と、を備えることによって構成されている。
【0044】
また、前記支持台31の上面には前述したセットトレイ3がセンター基準合わせで着脱可能な状態でトレイ取付部32に取り付けられている。そして、該セットトレイ3はセットされた被捺染材Tと共に前記支持台31と一体になって移動方向Aに沿って移動し、前述したセット位置Sと印捺開始位置Kとの間で往復移動できるように構成されている。
【0045】
検出部5としては、一例として反射式の光センサが適用でき、図3に示すようにインク吐出部13の側傍のキャリッジ21の底面に配設されている。
また、該検出部5から下方に向けて照射された光は、前述した第1被検出部25と第2被検出部27に当たって反射し、再び検出部5に戻ってきた光を検知することによってセットトレイ3の長さ方向と幅方向の位置検出が実行されてセットトレイ3の種類が特定できるように構成されている。
【0046】
判別部7は、前記検出部5から送られてきたセットトレイ3の種類情報33と、ユーザーによって設定された新たに取得した印捺データ35において指定されている前記セットトレイ3の種類Mに基づいて両者を比較し、その種類の一致と不一致を判別する部位である。
そして、該判別部7によってセットトレイ3の一致が確認された場合には、当該セットトレイ3を使用した被捺染材Tに対する印捺が実行される。
【0047】
制御部19は、前記判別部7が不一致を確認したとき以下のように処理を実行する。すなわち、当該セットトレイ3を使用する印捺の実行を停止してセットトレイ3の種類の不一致をユーザーに知らせる音声や表示によるコーション処理(報知処理)を実行する。
また、前記コーション処理と同時に印捺実行領域15や印捺開始位置K等に存するセットトレイ3をセット位置Sに戻してセットトレイ3の交換を促す排出処理を実行する。
【0048】
次に、図6に基づいて、当該実施例1において、トレイ検出動作を実行するかパスするかについて制御する制御部19の制御フローを説明する。
先ずステップS1で、今回の印捺で使用するセットトレイの種類Mの情報を制御部19が得る。これはユーザーが外部機器のパソコンから前記セットトレイの種類Mの情報を含む印捺データ35をドライバーを介して入力することで行われる。
【0049】
次に、ステップS2に進んで、新たに取得した前記印捺データ35において指定されている前記セットトレイ3の種類Mと前記記憶部4が記憶しているセットトレイ3の種類Nとを比較する。そして、比較の結果、異なる場合(M≠N)はステップS3に進んで前記トレイ検出動作を実行する。該トレイ検出動作の詳細は後述する。
前記記憶部4は、前記印捺データ35において指定される前記セットトレイ3の種類Mが前記印捺の実行時に記憶される。即ち記憶部4に記憶されているセットトレイ3の種類Nは、前記セットトレイ3の種類Mであって印捺の実行に使用されたものである。従って、当該種類Nは印捺の実行毎に前記種類Mによって更新される。
【0050】
前記トレイ検出動作の実行よって、当該インクジェット捺染装置1Aに現時点で取り付けられているセットトレイ3の種類Lが確定する(ステップS4)。
【0051】
次にステップS5に進んで、検出されたセットトレイ3の種類Lが印捺データ35において指定されている前記セットトレイ3の種類Mと同じか否かが判断される。同じでない場合(L≠M)、ステップS6に進んでユーザーにその旨を知らせるコーション処理が行われる。
【0052】
一方、ステップS2において、同じである場合(M=N)は、前記トレイ検出動作がパスされてステップS7に進んで印捺が実行される。また、ステップS5において、同じである場合(L=M)もステップS7に進んで印捺が実行される。
【0053】
以上説明したように、本実施例1によれば、制御部19は、新たに取得した印捺データ35において指定されている前記セットトレイ3の種類Mと前記記憶部4が記憶しているセットトレイ3の種類Nとを比較し、両者の種類が異なる場合(M≠N)は前記トレイ検出動作を実行する。従って、当該トレイ検出動作の実行によって実際に取り付けられているセットトレイ3の種類Lを把握することができる。これにより、正しい種類のセットトレイが取り付けられているか否かの判定(L=M又はL≠M)が可能となり、正しい種類のものである場合(L=M)は、そのまま印捺を実行し、誤っている種類のものである場合(L≠M)は印捺は実行しないことで、誤った種類のセットトレイ3が取り付けられている状態で印捺を実行する虞を低減することができる。
【0054】
また、新たに指定されている前記セットトレイ3の種類Mと前記記憶部が記憶しているセットトレイ3の種類Nとを比較した結果、両者の種類が同じである場合(M=N)は既述の通り、セットトレイ3の前記交換作業は行われないので、誤ったセットトレイ3が取り付けられる虞はないと言える。本実施例によれば、この場合は前記トレイ検出動作をパスするので、無用なトレイ検出動作をなくして印捺のスループットを向上することができる。
【0055】
また本実施例1によれば、トレイ検出動作が行われる場合において、当該検出動作によって検出されたセットトレイ3の種類Lが新たに取得した印捺データ35において指定されている前記セットトレイ3の種類Mと異なる場合は印捺を実行しない。従って、ユーザーのセットトレイ交換作業ミスによる誤った種類のセットトレイ3で印捺を実行してしまう虞を低減することができる。
【0056】
<実施例1の変形例1>
実施例1の変形例1として、前記制御部19は、新たに取得した印捺データ35がセットトレイの種類Mに関わる設定を含む内容である場合は前記トレイ検出動作を実行し、含まない内容である場合は前記トレイ検出動作をパスするように構成してもよい。
ここで、「印捺データ35がセットトレイ3の種類に関わる設定を含む内容である」とは、基本的には、印捺データ35で指定するセットトレイ3の種類Mを別の種類に変える設定のことである。しかし、最終的にはセットトレイ3の種類は変更されていなくても、例えば一旦は変更する意思で変更操作したが何らかの事情で元に戻したような場合には、誤ってセットトレイ3の交換作業をしてしまう可能性が高いので、このような場合を含めて該変更に関わる部分の設定操作が行われている場合は、その設定操作も当該「印捺データがセットトレイの種類に関わる設定を含む内容」に含めるようにすると、誤った種類のセットトレイ3が取り付けられている状態で印捺を実行する虞を低減することにおいて確実性を高めることができ、好ましい。
【0057】
本変形例1によれば、制御部19は、新たに取得した印捺データ35がセットトレイ3の種類Mに関わる設定を含む内容である場合は前記トレイ検出動作を実行し、含まない内容である場合は前記トレイ検出動作をパスする。従って、当該トレイ検出動作の実行によって誤った種類のセットトレイが取り付けられている状態で印捺を実行する虞を低減することができる。
更に、前記比較の結果、新たに取得した印捺データ35がセットトレイ3の種類に関わる設定を含まない内容である場合は、セットトレイ3の交換作業の必要はないので誤った種類のセットトレイ3が捺染装置1に取り付けられる状態にはならない。本変形例においてはこの場合前記トレイ検出動作をパスするので、無用なトレイ検出動作をなくして印捺のスループットを向上することができる。
【0058】
<実施例1の変形例2>
実施例1の変形例2として、前記制御部19は、新たに取得した印捺データ35が同じ種類のセットトレイで複数のP枚の被捺染材Tに対する印捺を行う内容を含む場合は、前記P枚の被捺染材のうちの二枚目移行については各被捺染材Tについての前記トレイ検出動作をパスするように構成してもよい。
【0059】
新たに取得した印捺データ35が同じ種類のセットトレイ3で複数のP枚の被捺染材Tに対する印捺を行う内容を含む場合は、このP枚の被捺染材Tに対する印捺を行っているときは、セットトレイの種類は変らない。
本変形例2によれば、このような場合はトレイ検出動作をパスするので、無用なトレイ検出動作をなくして印捺のスループットを向上することができる。
また、前記セット位置Sから前記印捺開始位置Kへの移動の速度は、前記トレイ検出動作がパスされるときは同検出動作が実行されるときよりも速く構成されている。これにより、印捺のスループットを向上することができる。
【0060】
次に、トレイ検出動作の一例を詳しく説明する。
このインクジェット捺染装置1Aは、被捺染材Tがセットされたセットトレイ3を、検出部5による後側(移動方向の奥側)の第1被検出部25の検出可能位置となる第1位置P1(図5(A))に移動させるセットトレイ第1移動工程と、第1位置P1に移動したセットトレイ3を、セットトレイ3Cの前側(移動方向の手前側)の第1被検出部25の検出可能位置となる第2位置P2(図5(B)(i))に移動させるセットトレイ第2移動工程と、前記各移動工程で検出した検出情報に基づいてセットトレイ3の種類を特定する種類特定工程と、前記種類特定工程で特定したセットトレイ3の種類Lと、新たに取得した印捺データ35において指定されている前記セットトレイ3の種類Mとを比較して両者の一致と不一致を判別する判別工程と、実行可能に構成されている。
【0061】
以下、図5及び図7に基づいてセットトレイ3の種類の検出手順の一例と、検出時の動作の流れの一例について詳しく説明する。
セット位置Sに位置しているセットトレイ3のセット面23上に被捺染材Tをセットし、皺を伸ばし、枠体28をセットトレイ3に嵌めた後、ユーザーは使用するセットトレイ3の種類Mを含む印捺データ35を印捺実行指令として外部機器から入力する。
そして、前記印捺実行指令を受けて図7に示す流れでセットトレイ3の検出、判別動作が開始される。先ず、図7中のステップS1でキャリッジ21を走査方向の第1位置Q1に移動させる。
【0062】
次に、ステップS2に移行して、移動部17を駆動してセットトレイ3を移動方向の第1位置P1に移動させる。ここで、セットトレイ3がこの第1位置P1に移動するタイミングでは、大サイズのセットトレイ3Aを使用した時と形状違いのセットトレイ3Cを使用した時には、図5(A)の(i)に示すように検出部5の下方にこれらのセットトレイ3A、3Cの後側の第1被検出部25が位置するように設定されている。
一方、小サイズのセットトレイ3Bを使用した時には、図6(A)の(ii)に示すように、検出部5の下方に該セットトレイ3Bの第1被検出部25が未だ到達していない状態となる。
【0063】
次に、図7に戻り、ステップS3に移行し、走査方向の第1位置Q1に位置している検出部5が前記第1位置P1に移動した時を検出タイミングとして第1被検出部25を検出したか否かの判断が行われる。そして、第1被検出部25の検出が確認された場合には、ステップS4に移行し、再び移動部17を駆動してセットトレイ3を移動方向の第2位置P2まで移動させる。
尚、移動方向の第2位置P2では、形状違いのセットトレイ3Cを使用した時には、図5(B)の(i)に示すように検出部5によって該セットトレイ3Cの第1被検出部25及び前後のセットトレイ3C間の隙間が確認されるように設定されている。一方、大サイズのセットトレイ3Aを使用した時には、図5(B)の(ii)に示すように第1被検出部25や前記隙間は存在しないからこれらは確認されない。
【0064】
次に、図7に戻り、ステップS5で第1被検出部25を検出したか否かの判断が行われ、第1被検出部25が検出された場合には、ステップS6に移行して形状違いのセットトレイ3Cと特定される。
また、前記ステップS5で第1被検出部25が検出されなかったと判断された場合には、ステップS7に移行して大サイズのセットトレイ3Aと特定される。
【0065】
更に、前記ステップS3で第1被検出部25が検出されなかったと判断された場合には、ステップS8に移行して小サイズのセットトレイ3Bと特定される。
次に、ステップS9に移行して、検出されたセットトレイの種類Lが新たに取得した印捺データ35において指定されている前記セットトレイ3の種類Mと一致するか否かの判断が行われる。一致すると判断された場合(L=M)には、ステップS10に移行して移動部17を駆動してセットトレイ3を印捺開始位置Kまで移動させて印捺を実行する。
【0066】
一方、前記ステップS9で、一致していないと判断された場合(L≠M)には、ステップS11に移行して当該セットトレイ3の不一致を報知し、移動部17を逆方向に駆動してセットトレイ3を当初のセット位置Sに戻す。
このように本実施例に係るインクジェット捺染装置1Aを用いれば、セットトレイ3のセット位置Sから印捺開始位置Kまでの移動の過程で、セットトレイ3の種類の検出と判別が行われるから、セットトレイ3の種類の検出と判別のために別途、時間を取らせることなく、効率の良いセットトレイ3の種類の検出と判別が実行される。これにより、セットトレイ3の不一致に起因する品質不良の発生を低減することができる。
【0067】
[実施例2](図8から図11参照)
実施例2に係るインクジェット捺染装置1Bは、前述した実施例1に係るインクジェット捺染装置1Aと同様の構成を有しており、検出することのできるセットトレイ3の種類を一種類多くしたことと、該セットトレイ3の種類の拡大に伴って必要になってくるセットトレイ3の検出方法と判別方法のみが前記実地例1と相違している。
従って、ここでは前記実施例1と相違する検出可能なセットトレイ3の種類と、実施例2に係るインクジェット捺染装置1Bを使用することによって実行されるインクジェット捺染方法をセットトレイ3の種類の検出と判別の過程を中心に説明する。
【0068】
即ち、このインクジェット捺染装置1Bは、検出部5が搭載されたキャリッジ21を検出位置となる走査方向の第1位置Q1に移動させるキャリッジ第1移動工程と、被捺染材Tがセットされたセットトレイ3を検出位置となる移動方向の第1位置P1に移動させるセットトレイ第1移動工程と、移動方向の第1位置P1に移動したセットトレイ3を検出位置となる移動方向の第2位置P2に移動させるセットトレイ第2移動工程と、走査方向の第1位置Q1に移動したキャリッジ21を検出位置となる走査方向の第2位置Q2に移動させるキャリッジ第2移動工程と、前記各移動工程で検出した検出情報に基づいてセットトレイ3の種類を特定する種類特定工程と、前記種類特定工程で特定したセットトレイ3の種類と、予め認識しているセットトレイ3’の種類とを比較して両者の一致と不一致を判別する判別工程と、を実行可能に構成されている。
【0069】
従って、前述した実施例1中で述べたインクジェット捺染装置1Aが実行する各工程に、キャリッジ第2移動工程を付加した点が前記実施例1との主な相違点になっている。
また、セットトレイ3の種類としては、前記実施例1で述べた図4中の(A)〜(C)と同様の構成の図9(A)に示す大サイズのセットトレイ3A、図9(B)に示す小サイズのセットトレイ3B及び図9(C)に示す形状違いのセットトレイ3Cに、図9(D)に示す前記図9(A)に示す大サイズのセットトレイ3Aの幅寸法を半分程度にした幅狭のセットトレイ3Dを追加した構成になっている。
【0070】
以下、図10及び図11に基づいてセットトレイ3の種類の検出手順の一例と、検出時の動作の流れの一例について説明する。
セット位置Sに位置しているセットトレイ3のセット面23上に被捺染材Tをセットし、皺を伸ばし、枠体28をセットトレイ3に嵌めた後、ユーザーは使用するセットトレイ3の種類Mを含む印捺データ35を印捺実行指令として外部機器から入力する。
そして、前記印捺実行指令を受けて図11に示すセットトレイ3の検出、判別動作が開始され、図11中のステップS101でキャリッジ21を走査方向の第1位置Q1に移動させる。
【0071】
次に、ステップS102に移行して移動部17を駆動してセットトレイ3を移動方向の第1位置P1に移動させる。ここで、セットトレイ3がこの第1位置P1に移動するタイミングでは、大サイズのセットトレイ3Aを使用した時と形状違いのセットトレイ3Cを使用した時と幅狭のセットトレイ3Dを使用した時には、図10(A)の(i)に示すように検出部5の下方にこれらのセットトレイ3A、3C、3Dの第1被検出部25が位置するように設定されている。
一方、小サイズのセットトレイ3Bを使用した時には、図10(A)の(ii)に示すように検出部5の下方に該セットトレイ3Bの第1被検出部25が未だ到達していない状態となる。
【0072】
次に、図11に戻り、ステップS103に移行し、走査方向の第1位置Q1に位置している検出部5が第1被検出部25を検出したか否かの判断が行われる。そして、第1被検出部25の検出が確認された場合には、ステップS104に移行し、移動部17を駆動して当該セットトレイ3を前記第1被検出部25の検出が解除される所定ストロークZだけ印捺開始位置K側に移動させる(図10(B))。
【0073】
次に、ステップS105に移行し、キャリッジ21を駆動して走査方向の第2位置Q2にキャリッジ21を移動させる。因みに本実施例では走査方向の第2位置Q2を、大サイズのセットトレイ3Aを使用した場合に検出部5が第2被検出部27にかからないホームポジション側の外方領域に設定しているため、当該走査方向の第2位置Q2への移動の途中で必ず当該セットトレイ3の第2被検出部27を検出できるように構成されている。
従って、図10(B)の(i)に示すように、セットトレイ3の幅寸法が狭い場合には早いタイミングで前記第2被検出部27が検出され、図10(B)の(ii)に示すように、セットトレイ3の幅寸法が広い場合には遅いタイミングで前記第2被検出部27が検出されるようになっている。
【0074】
次に、図11に戻り、ステップS106で前記第2被検出部27の検出位置が所定の位置か否かの判断が行われる。尚、本実施例では大サイズのセットトレイ3Aを使用した時の第2被検出部27の検出位置を所定の位置に設定している。
そして、前記ステップS106で第2被検出部27の検出位置が所定の位置であると判断された場合には、ステップS107に移行してキャリッジ21を駆動し、当該キャリッジ21を走査方向の第1位置Q1に再び移動させる。
【0075】
次に、ステップS108に移行して移動部17を駆動し、セットトレイ3を移動方向の第2位置P2まで移動させる。
尚、移動方向の第2位置P2では、形状違いのセットトレイ3Cを使用した時には、図10(C)の(i)に示すように、検出部5によって該セットトレイ3Cの第1被検出部25及び前後のセットトレイ3C間の隙間が確認される。一方、大サイズのセットトレイ3Aを使用した時には、図10(C)の(ii)に示すように、第1被検出部25や前記隙間は存在しないからこれらは確認されない。
【0076】
次に、図11に戻り、ステップS109で第1被検出部25を検出したか否かの判断が行われ、第1被検出部25が検出された場合には、ステップS110に移行して形状違いのセットトレイ3Cと特定される。
また、前記ステップS109で第1被検出部25が検出されなかったと判断された場合には、ステップS111に移行して大サイズのセットトレイ3Aと特定される。
【0077】
また、前記ステップS106で第2被検出部27の検出位置が所定の位置ではないと判断された場合には、ステップS112に移行して幅狭のセットトレイ3Dと特定される。
更に、前記ステップS103で第1被検出部25が検出されなかったと判断された場合には、ステップS113に移行して小サイズのセットトレイ3Bと特定される。
【0078】
次に、ステップS114に移行して新たに取得した印捺データ35において指定されている前記セットトレイ3の種類Mと一致するか否かの判断が行われる。新たに取得した印捺データ35において指定されている前記セットトレイ3の種類Mと一致すると判断された場合(L=M)には、ステップS115に移行し、移動部17を駆動してセットトレイ3を印捺開始位置Kまで移動させて捺染を実行する。
一方、前記ステップS114で新たに取得した印捺データ35において指定されている前記セットトレイ3の種類Mと一致していないと判断された場合(L≠M)には、ステップS116に移行して当該セットトレイ3の不一致を報知し、移動部17を逆方向に駆動してセットトレイ3を当初のセット位置Sに戻す。
【0079】
このように本実施例に係るインクジェット捺染装置1Bを用いれば、前述した実施例1と同様の作用、効果が発揮され、更に検出できるセットトレイ3の種類の拡大によって、サイズや形状、構成の異なる更に多くのセットトレイ3の検出と判別が可能なインクジェット捺染装置1Bが適用できるようになる。
【0080】
[実施例2の変形例]
また、本実施例に係るインクジェット捺染装置1Bを使用する場合には、図12に示すセットトレイ3の種類の検出手順を異ならせた他の一例と、図13に示す検出時の動作の流れを異ならせた他の一例を採用することも可能である。
即ち、この場合には、ユーザーから印捺実行指令を受けると、図13に示す流れでセットトレイ3の検出、判別動作が開始され、図13中のステップS201でキャリッジ21を走査方向の第1位置Q1に移動させる。
【0081】
次に、ステップS202に移行して移動部17を駆動してセットトレイ3を移動方向の第1位置P1に移動させる。尚、移動方向の第1位置P1では、大サイズのセットトレイ3Aを使用した時と形状違いのセットトレイ3Cを使用した時と幅狭のセットトレイ3Dを使用した時には、図12(A)の(i)に示すように検出部5の下方にこれらのセットトレイ3A、3C、3Dの第1被検出部25が位置するように設定されている。
一方、小サイズのセットトレイ3Bを使用した時には、図12(A)の(ii)に示すように検出部5の下方に該セットトレイ3Bの第1被検出部25が未だ到達していない状態となる。
【0082】
次に、図13に戻り、ステップS203に移行し、走査方向の第1位置Q1に位置している検出部5が第1被検出部25を検出したか否かの判断が行われる。そして、第1被検出部25の検出が確認された場合には、ステップS204に移行し、移動部17を駆動してセットトレイ3を移動方向の第2位置P2に移動させる。次に、ステップS205に移行し、検出部5が第1被検出部25を検出したか否かの判断が行われる。
ステップS205で第1被検出部25を検出しなかったと判断された場合には、ステップS206に移行し、キャリッジ21を駆動して走査方向の第2位置Q2にキャリッジ21を移動させる。
因みに本実施例では走査方向の第2位置Q2を、大サイズのセットトレイ3Aを使用した場合に検出部5が第2被検出部27にかからないホームポジション側の外方領域に設定しているため、当該走査方向の第2位置Q2への移動の途中で必ず当該セットトレイ3の第2被検出部27を検出できるように構成されている。
【0083】
従って、図12(C)の(i)に示すように、セットトレイ3の幅寸法が狭い場合には早いタイミングで前記第2被検出部27が検出され、図12(C)の(ii)に示すようにセットトレイ3の幅寸法が広い場合には遅いタイミングで前記第2被検出部27が検出されるようになっている。
次に、図13に戻り、ステップS207で前記第2被検出部27の検出位置が所定の位置か否かの判断が行われる。尚、本実施例では大サイズのセットトレイ3Aを使用した時の第2被検出部27の検出位置を所定の位置に設定している。
【0084】
そして、前記ステップS207で第2被検出部27の検出位置が所定の位置であると判断された場合には、ステップS208に移行して大サイズのセットトレイ3Aと特定される。
また、前記ステップS207で第2被検出部27の検出位置が所定の位置でないと判断された場合には、ステップS209に移行し、幅狭のセットトレイ3Dと特定される。
【0085】
また、前記ステップS205で第1被検出部25を検出したと判断された場合には、ステップS210に移行して形状違いのセットトレイ3Cと特定される。
更に、前記ステップS203で第1被検出部25を検出していないと判断された場合には、ステップS211に移行して小サイズのセットトレイ3Bと特定される。
【0086】
次に、ステップS212に移行して新たに取得した印捺データ35において指定されている前記セットトレイ3の種類Mと一致するか否かの判断が行われる。新たに取得した印捺データ35において指定されている前記セットトレイ3の種類Mと一致すると判断された場合(L=M)には、ステップS213に移行し、移動部17を駆動してセットトレイ3を印捺開始位置Kまで移動させて捺染を実行する。
一方、前記ステップS212で新たに取得した印捺データ35において指定されている前記セットトレイ3の種類Mと一致していないと判断された場合(L≠M)には、ステップS214に移行して当該セットトレイ3の不一致を告知し、移動部17を逆方向に駆動してセットトレイ3を当初のセット位置Sに戻す。
【0087】
このような図12及び図13に示すセットトレイ3の検出と判別によっても、図10及び図11に示す前述したセットトレイ3の検出と判別と同様の作用、効果が得られ、更に図11中のステップS104とステップS107を省略したコンパクトな動作の流れが実現されるので、セットトレイ3の検出と判別にかかる時間の短縮が図られる。
【0088】
[他の実施例]
本発明に係るインクジェット捺染装置1は、以上述べたような構成を有することを基本とするものであるが、本願発明の要旨を逸脱しない範囲内の部分的構成の変更や省略等を行うことも勿論可能である。
例えば、検出部5は、走査方向Bに往復移動可能なキャリッジ21に搭載されるいわゆるシリアル型のインク吐出用ヘッド13に対して適用する他、被捺染材Tの幅方向の捺染範囲を一挙に捺染する、いわゆるライン型のインク吐出用ヘッド13に対して適用することが可能である。
【0089】
また、検出部5は、インク吐出用ヘッド13に隣接して設ける他、インク吐出用ヘッド13と切り離してインクジェット捺染装置1の装置本体2の適宜の個所に固定状態で設置することも可能である。
そして、これらの場合には、キャリッジ21の移動は不要であるから、図7中のステップS1を省略することが可能になる。
【0090】
また、検出部5をセットトレイ3の長さ方向と幅方向のいずれか一方、または双方に移動させる動力と機構を別途設けることも可能であるし、検出部5を複数設けて、複数の検出部5によってセットトレイ3の前記第1被検出部25と第2被検出部27の位置検出を行う構成にすることも可能である。
この他、セットトレイ3の種類は前述した図5及び図9に示したものに限らず、円板状、四角形以外の多角形平板状、幅方向に2組配設したもの等種々の形状、サイズ、構成のセットトレイ3の種類が採用可能である。
また、前記制御部19では、セットトレイ3の種類の不一致をユーザーに知らせる告知の態様として、アラーム音、音声、LEDの点灯や点滅、ディスプレイでの表示等の種々の態様を単独で、あるいはこれらのいくつかを組み合わせて使用することが可能である。
【0091】
上記各実施例では、トレイ検出動作において、インク吐出部は固定されセットトレイを移動する構造について説明したが、逆にセットトレイは固定されインク吐出部側が移動する構造、又はその両方が移動する構造であってもよい。
また、上記実施例では、前記検出部を前記第2被検出部を通過する方向に移動する構造について説明したが、検出部は固定され第2被検出部側を移動する構造、又はその両方が移動する構造であってもよい。
【符号の説明】
【0092】
1 インクジェット捺染装置、2 装置本体、3 セットトレイ、4 記憶部、
5 検出部、7 判別部、9 第一の面、11 第二の面、13 インク吐出用ヘッド、
15 捺染実行領域、17 移動部、19 制御部、21 キャリッジ、
23 セット面、25 第1被検出部、27 第2被検出部、28 枠体、
29 支持ベース、31 支持台、32 トレイ取付部、33 種類情報、
35 設定情報、37 不一致特定情報、41 インクカートリッジ、
43 タイミングベルト、T 被捺染材(布帛)、Ta 胴部、Tb 袖部、
G 印捺画像、A 移動方向、B 走査方向、S セット位置、K 印捺開始位置、
P1 (移動方向の)第1位置、P2 (移動方向の)第2位置、
Q1 (走査方向の)第1位置、Q2 (走査方向の)第2位置、
Z 所定ストローク
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被捺染材をセットする交換可能なセットトレイと、
印捺データに応じて前記被捺染材にインクを吐出して印捺するインク吐出部と、
前記印捺データにおいて指定される前記セットトレイの種類を前記印捺の実行時に記憶する記憶部と、
前記セットトレイの種類を検出する検出部と、
前記検出部が印捺開始前に行う前記セットトレイの種類を検出するトレイ検出動作を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、新たに取得した印捺データにおいて指定されている前記セットトレイの種類と前記記憶部が記憶しているセットトレイの種類とを比較し、異なる場合は前記トレイ検出動作を実行し、同じである場合は前記トレイ検出動作をパスすることを特徴とする捺染装置。
【請求項2】
請求項1に記載された捺染装置において、
前記制御部は、新たに取得した印捺データがセットトレイの種類に関わる設定を含む内容である場合は前記トレイ検出動作を実行し、含まない内容である場合は前記トレイ検出動作をパスすることを特徴とする捺染装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された捺染装置において、
前記制御部は、新たに取得した印捺データが同じ種類のセットトレイで複数の被捺染材に対する印捺を行う内容を含む場合は、前記複数の被捺染材のうち二つ目以降の各被捺染材についての前記トレイ検出動作をパスすることを特徴とする捺染装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載された捺染装置において、
前記制御部は、トレイ検出動作が行われる場合に、新たに取得した印捺データにおいて指定されている前記セットトレイの種類と前記トレイ検出動作によって検出されたセットトレイの種類とが同じである場合は印捺を実行し、異なる場合は印捺を実行しないことを特徴とする捺染装置。
【請求項5】
請求項4に記載された捺染装置において、
前記インク吐出部と前記セットトレイの少なくとも一方を、被捺染材をセットするセット位置と、前記インク吐出部による印捺実行領域を挟んで存する被捺染材の印捺開始位置との間で相対移動させる移動部を備え、
前記トレイ検出動作は、前記インク吐出部と前記セットトレイの少なくとも一方を前記セット位置から前記印捺開始位置へ被捺染材がセットされた状態で相対移動させる際に実行されることを特徴とする捺染装置。
【請求項6】
請求項5に記載された捺染装置において、
前記セット位置から前記印捺開始位置への相対移動の速度は、前記トレイ検出動作がパスされるときは同検出動作が実行されるときよりも速いことを特徴とする捺染装置。
【請求項7】
請求項4から6のいずれか一項に記載された捺染装置において、
前記セットトレイは、被捺染材がセットされた状態における当該被捺染材が占める領域の外側であって前記インク吐出部と前記セットトレイの少なくとも一方を移動させる際の移動方向における一方側と他方側に位置する第1被検出部を備え、
前記検出部によるセットトレイの種類の検出は、前記インク吐出部と前記セットトレイの少なくとも一方を前記セット位置から印捺開始位置に相対移動させる際の前記第1被検出部の検出タイミングに基づいて実行されることを特徴とする捺染装置。
【請求項8】
請求項7に記載された捺染装置において、
前記セットトレイに被捺染材がセットされた状態の当該被捺染材が占める領域の外側であって、前記インク吐出部と前記セットトレイの少なくとも一方を移動させる際の移動方向と交差する方向における少なくとも一方側に位置する第2被検出部を備え、
前記検出部によるセットトレイの種類の検出は、
前記インク吐出部と前記セットトレイの少なくとも一方を前記セット位置から印捺開始位置に相対移動させる際の前記第1被検出部の検出タイミングと、
前記検出部を前記第2被検出部を通過する方向に相対移動させることで得られる検出情報とに基づいて実行されることを特徴とする捺染装置。
【請求項1】
被捺染材をセットする交換可能なセットトレイと、
印捺データに応じて前記被捺染材にインクを吐出して印捺するインク吐出部と、
前記印捺データにおいて指定される前記セットトレイの種類を前記印捺の実行時に記憶する記憶部と、
前記セットトレイの種類を検出する検出部と、
前記検出部が印捺開始前に行う前記セットトレイの種類を検出するトレイ検出動作を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、新たに取得した印捺データにおいて指定されている前記セットトレイの種類と前記記憶部が記憶しているセットトレイの種類とを比較し、異なる場合は前記トレイ検出動作を実行し、同じである場合は前記トレイ検出動作をパスすることを特徴とする捺染装置。
【請求項2】
請求項1に記載された捺染装置において、
前記制御部は、新たに取得した印捺データがセットトレイの種類に関わる設定を含む内容である場合は前記トレイ検出動作を実行し、含まない内容である場合は前記トレイ検出動作をパスすることを特徴とする捺染装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された捺染装置において、
前記制御部は、新たに取得した印捺データが同じ種類のセットトレイで複数の被捺染材に対する印捺を行う内容を含む場合は、前記複数の被捺染材のうち二つ目以降の各被捺染材についての前記トレイ検出動作をパスすることを特徴とする捺染装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載された捺染装置において、
前記制御部は、トレイ検出動作が行われる場合に、新たに取得した印捺データにおいて指定されている前記セットトレイの種類と前記トレイ検出動作によって検出されたセットトレイの種類とが同じである場合は印捺を実行し、異なる場合は印捺を実行しないことを特徴とする捺染装置。
【請求項5】
請求項4に記載された捺染装置において、
前記インク吐出部と前記セットトレイの少なくとも一方を、被捺染材をセットするセット位置と、前記インク吐出部による印捺実行領域を挟んで存する被捺染材の印捺開始位置との間で相対移動させる移動部を備え、
前記トレイ検出動作は、前記インク吐出部と前記セットトレイの少なくとも一方を前記セット位置から前記印捺開始位置へ被捺染材がセットされた状態で相対移動させる際に実行されることを特徴とする捺染装置。
【請求項6】
請求項5に記載された捺染装置において、
前記セット位置から前記印捺開始位置への相対移動の速度は、前記トレイ検出動作がパスされるときは同検出動作が実行されるときよりも速いことを特徴とする捺染装置。
【請求項7】
請求項4から6のいずれか一項に記載された捺染装置において、
前記セットトレイは、被捺染材がセットされた状態における当該被捺染材が占める領域の外側であって前記インク吐出部と前記セットトレイの少なくとも一方を移動させる際の移動方向における一方側と他方側に位置する第1被検出部を備え、
前記検出部によるセットトレイの種類の検出は、前記インク吐出部と前記セットトレイの少なくとも一方を前記セット位置から印捺開始位置に相対移動させる際の前記第1被検出部の検出タイミングに基づいて実行されることを特徴とする捺染装置。
【請求項8】
請求項7に記載された捺染装置において、
前記セットトレイに被捺染材がセットされた状態の当該被捺染材が占める領域の外側であって、前記インク吐出部と前記セットトレイの少なくとも一方を移動させる際の移動方向と交差する方向における少なくとも一方側に位置する第2被検出部を備え、
前記検出部によるセットトレイの種類の検出は、
前記インク吐出部と前記セットトレイの少なくとも一方を前記セット位置から印捺開始位置に相対移動させる際の前記第1被検出部の検出タイミングと、
前記検出部を前記第2被検出部を通過する方向に相対移動させることで得られる検出情報とに基づいて実行されることを特徴とする捺染装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−91875(P2013−91875A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−234714(P2011−234714)
【出願日】平成23年10月26日(2011.10.26)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月26日(2011.10.26)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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