説明

捻れ防止可動用ケーブル。

【課題】主としてロボット等の携帯用装置や可搬用装置等に接続され、取り扱い時にケーブルの捻れ負荷の低減をはかり、耐久性に優れた捻れ防止可動用ケーブルに関する。
【解決手段】本発明は、可動用ケーブルにとって問題の捻れ負荷を低減し、実用上問題のない耐久性を付与することである。第1に、鋼線等の線状の硬質介在を外被成形時に外被中に縦添えで挿入することにより、ケーブルに捻れ応力が加わった時に、捻れ防止力が働き、更に、応力が解放した時には元に戻る反力が働き、極めて捻れにくいケーブルの提供が可能となる。第2に、ケーブル外被面にライン状のマークを長手方向に直線状に施すことにより、ケーブルに捻れが加えられた時に目視により捻れの程度が確認でき、ラインを直線状に戻すことにより容易に捻れを解消することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主としてロボット等の携帯用装置や可搬用装置等に接続され、取り扱い時にケーブルの捻れ負荷の低減をはかり、耐久性に優れた捻れ防止可動用ケーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の可動用ケーブルは、装置に接続された状態で、その装置の動きに連動してケーブルが屈曲するだけでなく捻れが加わる。通常、ケーブルを曲げるだけの屈曲だけであれば、導体の構成や材質、ケーブル構造の配慮で寿命のあるケーブルの提供は製造メーカにとって差程、問題にはならないが、この動きに捻れが加わると、その負荷の程度にもよるが極端に耐久性がなくなり実用上大きな問題となる。ケーブルに使用されている導体は、通常、銅線や銅合金線であり、この様な屈曲や捻れの複合的な負荷が繰り返し加えられると、断線が生じてしまい、耐久寿命は著しく短くなってしまうという課題があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
解決しようとする課題は、この可動用ケーブルにとって問題の捻れ負荷を低減し、実用上問題のない耐久性を付与することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、これらの問題を解決するために、鋭意検討した結果、
第1に、鋼線等の線状の硬質介在を外被成形時に外被中に縦添えで挿入することにより、ケーブルに捻れ応力が加わった時に、捻れ防止力が働き、更に、応力が解放したときには元に戻る反力が働き、極めて捻れにくいケーブルの提供が可能となる。
第2に、ケーブル外被面にライン状のマークを長手方向に直線状に施すことにより、ケーブルに捻れが加えられた時に目視により捻れの程度が確認でき、ラインを直線状に戻すことにより容易に捻れを解消することが可能となる。
【発明の効果】
【0005】
本発明の捻れ防止可動用ケーブルを使用することにより、可動用途でケーブルの捻れ負荷の低減をはかることにより、耐久性に優れた捻れ防止可動用ケーブルを提供することが出来るという優れた効果があり、その工業的価値は大なるものがある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明の捻れ防止可動用ケーブル1の実施例を添付図面を参照して詳細に説明する。
【実施例1】
【0007】
始めに、本発明の第1実施例の捻れ防止可動用ケーブル1Aとしては、図1(イ)と表1に示す8対の対型可動用ケーブルの集合心を作成した。図1(イ)は、本発明の捻れ防止可動用ケーブル1Aの断面図で、本発明のケーブル構造の構成表を以下の表1に示す。
【0008】

【表1】

図から明らかなように、本発明の捻れ防止可動用ケーブル1Aは、ケーブルの外被8中に2本の鋼線からなる硬質介在7を縦添えで挿入することにより、捻れを防止する捻れ防止可動用ケーブル1Aである。なお、PVCシースの外被8中に水平方向(角度が180°)になるように2本の鋼線を縦添えで挿入し、押し出し成形により一体成形で作成した。この場合、硬質介在7としては、代表的な鋼線として、0.7mm亜鉛めっき鋼線を使用したが、これに限らず、黄銅や金属合金等の金属やFRP等の硬質プラスチック等でも構わない。また、外被8も代表的なPVCを使用したがこれに限らず、PE等やその他のプラスチックでも構わない。また、鋼線が挿入される部分で外被の肉厚が薄い場合には、その肉厚部分を補強するために外被部分を膨らませて厚く形成し、結果として、ケーブルの長径側に2本の鋼線を施した構造が好ましい結果を示した。このケーブルの外被8の外径寸法を、短径は8.3mmに、長径は10.7mmにした。このように、外被の両端に鋼線2本を設けた場合が、ケーブルの安定性の面からも好ましい結果を示したが、例えば、3本を施しても構わず、本数については、限定されるものではない。図面では、中心介在5に8心の対撚り線4のケーブル構造の場合を例に取り説明したが、このケーブル構造に限らず、適用でき、幅広い応用が可能である。本発明は、このようなケーブル構造であるので、ケーブルに捻れ応力が加わった時に、捻れ防止力が働き、更に、応力が解放した時には元に戻る反力が働き、極めて捻れにくいケーブルの提供が可能となる。
【実施例2】
【0009】
次に、本発明の第2実施例の捻れ防止可動用ケーブル1Bは、図1(ロ)に示すように、第1実施例1Aの外被面にラインマーク9を施し、目視により捻れを識別することができる捻れ防止可動用ケーブルである。この場合、断面上部の最外部に約20度の角度で外被がグレー色に対して良く目立つようにオレンジの色でラインマークを長手方向に押し出し成形した。本発明は、以上のケーブル構造であるので、ラインが捻れてしまった場合には、ラインを直線状に戻すことにより容易に捻れを解消させることが可能となる。
【0010】
このような構造を持った本発明の捻れ防止可動用ケーブルと単に何も挿入していない従来のPVCのチューブ状丸形外被のケーブルと耐久性について比較試験を行った結果、通常の丸形ケーブルは数千回でケーブル心線の断線が発生したが、本発明の可動ケーブルは20万回でまったく異常発生がなかった。更に、実際は人間が扱うためラインマークが施してあり、捻りが加わった場合ラインに曲がりが生じるため、捻れを起こす回数をできるだけ少なくすることが可能になるので、実使用での耐久性向上がより期待される。
【産業上の利用可能性】
【0011】
ケーブル外被上のラインマークは目視で判別出来れば色、ライン幅、マーキング方法、ラインの線種、等はいずれでも良く、更に、今回は0.7mmの鋼線2本を挿入したがこの硬質介在は、ある程度の硬さと反発力があれば、本数、材質、太さは、かかる捻れ強度により調整されるものであり、範囲を限定するものではなく、多少の変形例があっても構わず、幅広い用途に応用することが可能であることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】(イ)は、本発明の第1実施例の捻れ防止可動用ケーブル1Aの断面図である。(ロ)は、本発明の第2実施例の捻れ防止可動用ケーブル1Bの断面図である。
【符号の説明】
【0013】
1A、1B 本発明の捻れ防止可動用ケーブル
2 導体
3 絶縁体
4 対撚線
5 中心介在
6 押え巻きテープ
7 硬質介在
8 外被
9 ラインマーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブルの外被中に硬質介在を縦添えで挿入することにより、捻れを防止することを特徴とする捻れ防止可動用ケーブル。
【請求項2】
請求項1の外被面にラインマークを施し、目視により捻れを識別することを特徴とする捻れ防止可動用ケーブル。

【図1】
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【公開番号】特開2006−161217(P2006−161217A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−354983(P2004−354983)
【出願日】平成16年12月8日(2004.12.8)
【出願人】(390002598)沖電線株式会社 (45)
【Fターム(参考)】