説明

掃除機

【目的】払拭体に絡み付いた毛髪等の細かい塵埃やごみを除去可能な除去機能を簡易且つ安価に具備した掃除機を提供することを目的としている。
【構成】吸引開口部16の内側又はその付近にモップ清掃具により塵埃を寄せ集めて、吸引開口部16の内部に吸引して清掃処理するとき、パイル群61に付着した髪の毛、ペットの毛等のごみも、長柄ハンドル64を握ってモップ60を軸体33、34に押し当てて上下に移動させてたり、擦りつけたりすることによって、軸体33、34によりパイル群61の細い繊維材が梳かされて、モップ60に絡み付いた毛髪等の細かい塵埃やごみが掻き落とされて除去することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、清掃具のモップ等の払拭体に付着した塵埃及び清掃具により掻き集められた塵埃やごみを吸引して集塵する掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、モップを備えたモップ清掃具により掃き掃除したとき、塵埃を塵取りに掃き入れてごみ捨てする必要があるため、寄せ集めたごみの処理作業に手間がかかる。しかも塵取りに掃き入れる際に、綿ごみや頭髪等の微細塵埃が飛散したり、塵取りからこぼれ落ちたりする。そこで、特許文献1及び2に示されるように、主に床面定置で使用されてモップ等の払拭体により集めた塵埃等の集塵に好適な掃除機が開発されている。
【0003】
特許文献1及び2の掃除機においては、清掃床面に沿って横向きに開口する塵埃吸引口が設けられている。モップで寄せ集めた塵埃は塵埃吸引口から吸引されて、内部の集塵パックに集められる。係る掃除機によれば、モップを吸引口に近付けたり、振ったりするだけで、寄せ集めた塵埃やごみとともにモップに付着した塵埃も吸引除去することができるので清掃作業を楽に行え便利である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−153830号公報
【特許文献2】特開2009−225928号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
掃除機の塵埃吸引力は内蔵の吸引ファン(ブロワ)により決まる。このため、モップの繊維材中に絡み付いて付着した髪の毛、ペットの毛、綿くず等の細かい塵埃をモップから完全に吸引除去するには大型のブロワを用いる必要を生じた。しかしながら、大型のブロワを内蔵させると、装置価格が上昇し、しかも電力消費が多くなりユーザーの電力負担が大きくなる問題を生じた。特に、従来の吸引ノズルを用いた掃除機においては、主に清掃床面に散在するごみを該吸引ノズルにより吸引、除去することができるが、モップ清掃具のモップに該吸引ノズルの吸引口を近づけても、モップに絡み付いた細かな塵埃をモップから完全に吸引除去することができなかった。
【0006】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであって、払拭体に絡み付いた毛髪等の細かい塵埃やごみを除去可能な除去機能を簡易且つ安価に具備した掃除機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するために提案されたものであって、本発明の第1の形態は、吸引装置、フィルタを収容した収納ケース、吸込口及び排気口を少なくとも有した掃除機において、前記吸引装置の吸引により前記吸込口から清掃具の払拭体に付着した塵埃を空気とともに吸引して、吸引した塵埃を前記フィルタにより除去し、前記フィルタを通過した清浄空気を前記排気口から排気する払拭体塵埃除去機構を設け、前記払拭体塵埃除去機構は少なくとも前記吸込口の横幅全域又はその一部の領域にわたって取着され、櫛歯状又はブラシ状に配列した複数本の軸体からなる掻き取り部材を有し、前記複数本の軸体は前記吸込口近傍に、又は前記吸込口に連通して装着される吸引管の吸引口近傍に、前記払拭体に付着した塵埃を掻き取り可能に延設される掃除機である。
【0008】
本発明の第2の形態は、第1の形態において、前記吸引管の先端部に脱着自在に装着される装着管を有し、前記装着管に前記掻き取り部材を取着し、前記複数本の軸体を前記装着管の全周又は一部に環状に配列し、且つ前記装着管の管軸方向に沿って外延した掃除機である。
【0009】
本発明の第3の形態は、第1の形態において、前記払拭体塵埃除去機構は、前記吸引管の先端部に脱着自在に装着される吸引具を有し、前記吸引具の吸引口近傍に前記掻き取り部材を取着した掃除機である。
【0010】
本発明の第4の形態は、第1の形態において、前記収納ケースの下部に清掃面に対向して前記吸込口を設け、前記複数本の軸体を前記清掃面に向けて延設した掃除機である。
【0011】
本発明の第5の形態は、第4の形態において、前記複数本の軸体は前記吸込口の上辺より下向きに延設され、前記の下端は前記清掃面に対し前記清掃具により集めた塵埃を前記吸込口に吸込み可能に離間した掃除機である。
【0012】
本発明の第6の形態は、第1〜第5のいずれかの形態において、前記複数本の軸体は複数列に軸体を列設した軸体群からなる掃除機である。
【0013】
本発明の第7の形態は、第1〜第6のいずれかの形態において、前記複数本の軸体は下端位置の異なる複数種の軸体からなる掃除機である。
【0014】
本発明の第8の形態は、第1〜第7のいずれかの形態において、前記複数本の軸体は長軸体と、前記長軸体より短い短軸体とからなり、前記長軸体と前記短軸体を下端位置が異なるように交互に配列した掃除機である。
【0015】
本発明の第9の形態は、第1〜第8のいずれかの形態において、下端部を開口して前記吸引口とし、前記開口から後方の内部排気口に連通する吸引経路を形成した箱体形状のケース前面部材と、前記収納ケースの前方側に設けられ、前記ケース前面部材を収設する収容部と、前記収容部に形成された、前記吸引装置による内部吸引口とを備え、前記掻き取り部材は前記ケース前面部材の外周面に抱着される取付片を有し、前記取付片に前記複数本の軸体を固着し、前記内部排気口に前記フィルタを装着し、前記ケース前面部材を前記収容部に収設して取り付けた取付状態において、前記内部吸引口と前記内部排気口が前記フィルタを介して吸引可能に連通し、且つ前記複数本の軸体が前記吸込口の上辺より下向きに延設配置される掃除機である。
【0016】
本発明の第10の形態は、第1〜第9のいずれかの形態において、前記軸体は丸みを帯びた先端を有し、円形、楕円形の断面形状又は丸みのある断面形状を備えた線材からなる掃除機である。
【0017】
本発明の第11の形態は、第1〜第10のいずれかの形態において、前記吸込口の近傍において前記吸引を妨げない位置に、前記払拭体との当接により弾性変形可能な弾性板を設け、前記掻き取り部材を前記弾性板より前方側に取着し、前記複数本の軸体の下端を前記弾性板の下端と同等又は前記弾性板の下端より短い位置に配設した掃除機である。
【0018】
本発明の第12の形態は、第1〜第11のいずれかの形態において、前記軸体どうしの配列間隔が0.5〜10mmのいずれかであり、前記払拭体を構成する繊維材の太さに応じて前記配列間隔を設定した掃除機である。
【発明の効果】
【0019】
本発明の第1の形態によれば、前記払拭体塵埃除去機構は少なくとも前記吸込口の横幅全域又はその一部の領域にわたって取着され、櫛歯状又はブラシ状に配列した複数本の軸体からなる掻き取り部材を有し、前記複数本の軸体は前記吸込口近傍に、又は前記吸込口に連通して装着される吸引管の吸引口近傍に、前記払拭体に付着した塵埃を掻き取り可能に延設したので、清掃作業者が例えばモップにより塵埃やごみを前記吸引口近傍あるいは前記吸引管の吸引口近傍に集め、吸引させて集塵作業するとき、モップを前記複数本の軸体に押し当てて上下に移動させたり、擦りつけたりすることによって、前記複数本の軸体によりモップの細い繊維材が梳かされて、モップに絡み付いた毛髪等の細かい塵埃やごみが掻き落とされて除去することができる。従って、本形態に係る掃除機を使用することにより、清掃により集めた塵埃やごみだけでなく、モップ等の払拭体に付着した細かな塵埃も回収、除去することができ、しかも係る除去機能を前記掻き取り部材を前記吸込口又は前記吸引口に配設するだけで簡易且つ安価に具備することができる。
本発明に係る掻き取り部材の取着は前記収納ケースと一体化して行うだけでなく、前記収納ケースに対して別体として前記掻き取り部材を前記収納ケースに取り付けることができる。
塵埃やごみを前記吸引口近傍に集めて集塵する掃除機としては、例えば特許文献1及び2に示したように、清掃面に設置して使用する掃除機に対応する。また、塵埃やごみを前記吸引管の吸引口近傍に集めて集塵する掃除機としては、例えば、キャスター付きの掃除機本体に吸引管を装着し、吸引管の先端部に装着した吸引ノズルにより清掃面を清掃する掃除機に対応する。
【0020】
本発明の第2の形態によれば、前記吸引管の先端部に脱着自在に装着される装着管を有し、前記装着管に前記掻き取り部材を取着し、前記複数本の軸体を前記装着管の全周又は一部に環状に配列し、且つ前記装着管の管軸方向に沿って外延したので、例えばモップ清掃具を使用して塵埃やごみを集めて前記吸引管の吸引口により吸引除去した後、前記吸引管の先端部に前記装着管を装着して前記複数本の軸体に、モップをに押し当てて上下に移動させたり、擦りつけたりすることによって、前記複数本の軸体によりモップの細い繊維材が梳かされて、モップに絡み付いた毛髪等の細かい塵埃やごみを掻き落として前記前記吸引管により吸引除去することができる。従って、本形態に係る掃除機を使用することにより、清掃により集めた塵埃やごみだけでなく、モップ等の払拭体に付着した細かな塵埃も回収、除去することができる。しかも係る除去機能を、前記装着管を前記吸引管に装着するだけで簡易且つ安価に具備することができる。
【0021】
本発明の第3の形態によれば、前記払拭体塵埃除去機構は、前記吸引管の先端部に脱着自在に装着される吸引具(例えばT字形吸引ノズル)を有し、前記吸引具の吸引口近傍に前記掻き取り部材を取着したので、例えばモップ清掃具を使用して塵埃やごみを集めて前記吸引管の吸引口により吸引除去した後、前記吸引具に取着した前記掻き取り部材の前記複数本の軸体に、モップをに押し当てて上下に移動させたり、擦りつけたりすることによって、前記複数本の軸体によりモップの細い繊維材が梳かされて、モップに絡み付いた毛髪等の細かい塵埃やごみを掻き落として前記吸引具により吸引除去することができる。従って、本形態に係る掃除機を使用することにより、清掃により集めた塵埃やごみだけでなく、モップ等の払拭体に付着した細かな塵埃も回収、除去することができる。しかも係る除去機能を、前記掻き取り部材を前記吸引具に取着するだけで簡易且つ安価に具備することができる。
【0022】
本発明の第4の形態によれば、前記収納ケースの下部に清掃面に対向して前記吸込口を設け、前記複数本の軸体を前記清掃面に向けて延設したので、清掃作業者が例えばモップにより前記清掃面上に散らばった塵埃やごみを前記吸引口近傍に集め、前記吸込口より吸引させて集塵作業すると共に、前記吸込口付近でモップを前記複数本の軸体に押し当てて上下に移動させたり、擦りつけたりすることによって、前記複数本の軸体によりモップの細い繊維材が梳かされて、モップに絡み付いた毛髪等の細かい塵埃やごみが掻き落とされて除去することができる。従って、本形態に係る掃除機を使用することにより、清掃により集めた塵埃やごみだけでなく、モップ等の払拭体に付着した細かな塵埃も回収、除去することができ、しかも係る除去機能を、前記掻き取り部材を前記吸込口に配設するだけで簡易且つ安価に具備することができる。
【0023】
本発明の第5の形態によれば、前記複数本の軸体は前記吸込口の上辺より下向きに延設され、前記の下端は前記清掃面に対し前記清掃具により集めた塵埃を前記吸込口に吸込み可能に離間したので、塵埃やごみの前記吸込口よる吸引を妨げることなく集塵できると共に、前記吸込口付近でモップを前記複数本の軸体に押し当てて上下に移動させたり、擦りつけたりすることによって、前記複数本の軸体によりモップの細い繊維材が梳かされて、モップに絡み付いた毛髪等の細かい塵埃やごみが掻き落とされて除去することができる。
【0024】
本発明の第6の形態によれば、前記複数本の軸体は複数列に軸体を列設した軸体群からなるので、モップを前記複数本の軸体に押し当てて上下に移動させたり、擦りつけたりしたとき、前記複数列に軸体を列設したことによりモップの細い繊維材がより多く梳かされて、モップに絡み付いた毛髪等の細かい塵埃やごみが確実に掻き落とされて除去可能となる。
【0025】
本発明における複数本の軸体は同じ長さの軸体あるいは異なる長さの軸体により構成することができる。本発明の第7の形態によれば、前記複数本の軸体は下端位置の異なる複数種の軸体からなるので、掻き取り部材を同じ長さの軸体で構成した場合と比べて、モップ等の細い繊維材が軸体先端側に絡まず根元部分まで移動しやすくなり、より効率的な塵埃除去機能を発揮することができる。
【0026】
本発明の第8の形態によれば、前記複数本の軸体は長軸体と、前記長軸体より短い短軸体とからなり、前記長軸体と前記短軸体を下端位置が異なるように交互に配列したので、前記掻き取り部材の下端側では前記短軸体両側の前記長軸体どうしの間隔は前記短軸体の介在により拡がり、モップ等の繊維材を前記複数本の軸体に押し当てて上下に移動させたり擦りつけたりするとき、前記繊維材が前記長軸体と前記短軸体の隙間に入り込みやすく、前記繊維材の梳き作用を円滑に行って、前記繊維材に絡み付いた毛髪等の細かい塵埃やごみを確実に掻き落として除去することができる。
【0027】
本発明の第9の形態によれば、下端部を開口して前記吸引口とし、前記開口から後方の内部排気口に連通する吸引経路を形成した箱体形状のケース前面部材と、前記収納ケースの前方側に設けられ、前記ケース前面部材を収設する収容部と、前記収容部に形成された、前記吸引装置による内部吸引口とを備え、前記掻き取り部材は前記ケース前面部材の外周面に抱着される取付片を有し、前記取付片に前記複数本の軸体を固着し、前記内部排気口に前記フィルタを装着し、前記ケース前面部材を前記収容部に収設して取り付けた取付状態において、前記内部吸引口と前記内部排気口が前記フィルタを介して吸引可能に連通し、且つ前記複数本の軸体が前記吸込口の上辺より下向きに延設配置したので、前記フィルタが装着される前記ケース前面部材の外周面に前記取付片を抱着することにより、前記掻き取り部材による除去機能を簡易且つ安価に具備することができる。
【0028】
本発明の第10の形態によれば、前記軸体は丸みを帯びた先端を有し、円形、楕円形の断面形状又は丸みのある断面形状を備えた線材からなるので、モップ等の繊維材を前記複数本の軸体に押し当てて上下に移動させたり、擦りつけたりするとき、前記軸体を矩形断面の線材で構成した場合と比較して、前記繊維材が前記軸体に絡み付かずに前記軸体間に滑り込みやすく、前記繊維材の梳き作用を円滑に行って、前記繊維材に絡み付いた毛髪等の細かい塵埃やごみを確実に掻き落として除去することができる。
【0029】
本発明の第11の形態によれば、前記吸込口の近傍において前記吸引を妨げない位置に、前記払拭体との当接により弾性変形可能な弾性板を設け、前記掻き取り部材を前記弾性板より前方側に取着し、前記複数本の軸体の下端を前記弾性板の下端と同等又は前記弾性板の下端より短い位置に配設したので、前記払拭体を前記複数本の軸体に押し当てて上下に移動させたり、擦りつけたりすると、前記弾性板が弾性変形して前記払拭体が前記軸体間に食い入ることになり、前記掻き取り部材及び前記弾性板に擦り付けながら前記払拭体に付着した微細な塵埃をより確実に振い落として除去作業を円滑に行うことができる。しかも前記複数本の軸体の下端を前記弾性板の下端と同等又は前記弾性板の下端より短い位置に配設したので、前記吸込口からの塵埃の吸引を妨げることなく前記払拭体に付着した微細な塵埃の振い落し作業を確実に行うことができる。
【0030】
本発明の第12の形態によれば、前記軸体どうしの配列間隔が0.5〜10mmのいずれかであり、前記払拭体を構成する繊維材の太さに応じて前記配列間隔を設定することにより、前記繊維材の太さの異なる種々の前記払拭体に対応した前記掻き取り部材による除去機能を具備した掃除機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の一実施形態である掃除機の分解斜視図である。
【図2】前記掃除機の正面図及び上面図である。
【図3】前記掃除機の部分断面側面図である。
【図4】前記掃除機の吸引開口部16周辺の正面図である。
【図5】前記掃除機のケース前面部材2の概略縦断面図である。
【図6】ケース前面部材2の前面カバー部材35の正面図である。
【図7】前面カバー部材35の裏面図である。
【図8】前記掃除機に設けた櫛歯状部材17の取付部材20の上面図及び背面図である。
【図9】櫛歯状部材17の軸体33(34)の部分外観図、軸体33(34)と比較するための軸体の部分外観図、櫛歯状部材17の下面図、別の実施例である櫛歯状部材の下面図である。
【図10】本発明の別の実施形態である掃除機に用いる弾性板41の上面図、正面図及び側面図である。
【図11】別の実施形態である掃除機の部分断面側面図である。
【図12】前記掃除機に利用可能なモップ清掃具の外観斜視図である。
【図13】本発明の更に別の実施形態に係る掃除機及び櫛歯状部材を示す図である。
【図14】図13の変形実施例である2つの櫛歯状部材を示す図である。
【図15】本発明に係る別の変形実施例である板金加工製櫛歯状部材及びブラシ状部材110を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明に係る掃除機の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1は本実施形態の掃除機の分解斜視図である。図2は同掃除機の正面(2A)及び上面(2B)を示す。図3は同掃除機の内部構成を示す部分断面側面図である。図4は同掃除機の吸引開口部16周辺の正面図である。
【0033】
本実施形態の掃除機は、清掃床面Fに設置され、モップ清掃具による清掃に利用される掃除機である。
この掃除機は、前方下端に横長状吸引開口部16を、背面側に外排気口27を設けた収納ケース1を有する。収納ケース1は上面視、両端を削除した略楕円形状を有する。収納ケース1の上部後方には装置全体を持ち運びするときのハンドル4が取着されている。収納ケース1内には吸引装置23が設置されている。吸引装置23はファン(回転羽根)25を回転駆動するブロワ24からなる。収納ケース1上部の正面側にはブロワ24起動用押釦型スイッチ3が配設されている。
【0034】
収納ケース1の前面側には、吸引した塵埃を回収するフィルタ5を装着するためのケース前面部材2が脱着自在に取り付けられている。ケース前面部材2の両側部には嵌合用の突起部10a、10bが設けられている。収納ケース1の前面側にはケース前面部材2を収設する収容凹部9が形成されている。収容凹部9の前面側の一端部にはケース前面部材2を脱着するときに指の入る程度の凹部12が凹設されている。収容凹部9の凹部12近傍には突起部10aの横穴と嵌合するプッシュピン(図示せず)が配置されている。該プッシュピンはコイルバネにより外側に進退自在に付勢された可動ピンからなる。収容凹部9の凹部12と反対側の側部には突起部10bが嵌入する凹所11が凹設されている。突起部10bを凹所11に嵌入させ、突起部10aの横穴に前記プッシュピンを嵌入させると、ケース前面部材2を収納ケース1の前面側に略面一状に装着することができる。
【0035】
図5はケース前面部材2の概略縦断面を示す。図6はケース前面部材2の前面カバー部材35の正面図である。図7は前面カバー部材35の裏面図である。
ケース前面部材2の前面カバー部材35は収納ケース1の湾曲形状に沿った湾曲面を有し、下端側を切り欠いて吸引開口部16を形成している。
【0036】
前面カバー部材35には仕切部材37を挟んで後方部材36が取着されている。前面カバー部材35の裏側には、嵌着用のリブ状の突起38が一体形成されており、仕切部材37に設けた嵌合穴に突起38を嵌入させて嵌着されている。同様に、後方部材36との嵌着用に複数の突起(図示せず)が前面カバー部材35の裏側に一体形成されており、後方部材36に設けた嵌合穴(図示せず)該突起を嵌入させて嵌着されている。ケース前面部材2は嵌着された前面カバー部材35及び後方部材36によって形成された薄型箱体形状を有する。
【0037】
後方部材36の中間部には開口が形成されており、その開口に開閉弁片39が装着されている。開閉弁片39は合成樹脂ゴム材からなり、ブロワ24の吸引力を受けて図4の破線で示すように、上方に開く可動弁体である。即ち、開閉弁片39は前記開口を内部排気口として開閉する開閉弁の役目をする。ケース前面部材2の内部には仕切部材37により、吸引開口部16から前記開口(内部排気口)に連通する吸引経路40が形成されている。後方部材36にはフィルタ5を取り付けるためのフィルタ取付部材(図示せず)が設けられている。フィルタ5は紙製又は布製の集塵パック6からなり、該フィルタ取付部材に着脱自在に取り付けられている。フィルタ5を後方部材36に取り付けた取付状態において、フィルタ5の開口部7は開閉弁片39に対向配置される。フィルタ5を介してブロワ24の吸引力を受けて開閉弁片39は開放されて、吸引経路40を通じて吸引開口部16より塵埃と共に空気を吸引することができる。吸引された塵埃は集塵パック6に回収される。集塵パック6は該吸引により膨らんでいくが、収容凹部9の奥部21は最大まで膨らんだ集塵パック6を収容できる容積を有する。奥部21の上部は収納ケース1内の枠材22により構成され、枠材22の開口部(内部吸引口)にはファン25に対向してフィルタ板8が装着されている。
【0038】
吸引装置23は枠材22に載置、固定されている。吸引装置23はファン25を回転駆動して、ファン25下方の下方吸引口28から吸引した空気を、横側の排気口29より排気経路26を通じて外排気口27に向けて排気する。排気経路26にはスポンジ製フィルタ14が配設されている。スポンジ製フィルタ14は排気経路26の後方に配置され、後方パネル13がスポンジ製フィルタ14を押さえるように外嵌されてビス15により固定されている。収納ケース1及びケース前面部材2はABS等の合成樹脂による成形物からなる。
本実施形態においては、吸引装置23の吸引により吸込口の吸引開口部16から清掃具のモップ(払拭体)に付着した塵埃を空気とともに吸引して、吸引した塵埃をフィルタ5により除去し、フィルタ5を通過した清浄空気を排気口の外排気口27から排気する払拭体塵埃除去機構が形成されている。
【0039】
前記払拭体塵埃除去機構には、長さの異なる2種の軸体33、34からなる櫛歯状部材17が含まれている。櫛歯状部材17は吸引開口部16に取着されている。櫛歯状部材17はモップに付着した塵埃を掻き落とすために利用される。櫛歯状部材17は前面カバー部材35に抱着される取付部材20と、取付金具18に交互に櫛歯状に配列された、長さの異なる軸体33、34からなる。櫛歯状部材17は軸体33、34を一列に櫛歯状に配設した本発明に係る掻き取り部材に対応する。
【0040】
図8は取付部材20の上面(8A)及び背面(8B)を示す。
取付部材20は前面カバー部材35の湾曲面に沿ったSUS製帯体からなる。取付部材20の一端は略コ字状の折り曲げた折曲部30が形成されている。他端には前面カバー部材35の側端部に食い込み可能に略ク字状に折り曲げた引っ掛け部31が形成されている。図7の破線で示すように、折曲部30を前面カバー部材35の一側部に嵌め込み、前面カバー部材35の反対側の側部に引っ掛け部31を食い込ませることにより、取付部材20の撓んだ弾性力により前面カバー部材35の前面部に取付部材20を抱着することができる。取付部材20の両端付近には、取付金具18をビス止めするためのビス穴32aが2個ずつ螺設されている。各ビス穴32aには皿ビスの頭部を収容する皿部32bが形成されている。取付金具18及び取付部材20の板厚は4mmである。
【0041】
図9の(9A)、(9B)及び(9C)は夫々、櫛歯状部材17の軸体33、34の部分外観図、軸体33、34と比較するための軸体の部分外観図及び櫛歯状部材17の下面図である。
軸体33、34は(9A)に示すように、丸みを帯びた下端頭部を有し、且つ円形断面形状を備えたSUS製線材からなる。各軸体の線径は1.5mmである。軸体33、34は夫々、長軸体、短軸体であり、長軸体の下端と短軸体の下端との間には7mmの違いがある。長軸体と短軸体の間隔Dは1mmである。なお、モップを構成する繊維材の太さに応じて、軸体どうしの配列間隔を調整すれば櫛歯状部材17による塵埃除去効率を向上させることができる。モップ等の払拭材の場合には、払拭材径に応じて、軸体どうしの配列間隔を0.5〜10mmのいずれかに設定するのが好ましい。吸引開口部16からの塵埃吸引を妨げないように長軸体の下端を清掃床面Fから5mmから離間して長軸体が配設されている。
【0042】
(9B)に示すように、櫛歯状部材17の軸体に角が鋭利な矩形断面形状の線材17aを使用した場合には、モップの繊維材が軸体に絡み付きやすく、繊維材を軸体間に円滑に移動させにくいことが判明した。本実施形態では、円形断面形状の線材を使用することによりモップの繊維材が軸体に絡み付くことなく該繊維材を軸体間に円滑に移動させることができる。しかも櫛歯状部材17の軸体の形状が滑らかな円弧形状であるので作業者の指が触れても傷つけず安全である。取付部材20を前面カバー部材35に抱着することにより、取付金具18に固着された軸体33、34は吸引開口部16のほぼ横幅全域にわたって取着される。即ち、軸体33、34は、モップの繊維材に付着した塵埃を掻き取り可能に吸引開口部16の上辺より下向きに延設されている。なお、軸体には断面円形の線材や矩形断面の線材の角に丸みを付けた線材を使用することができる。更に、丸軸材表面にニッケルメッキを施した線材を使用してもよい。
【0043】
取付金具18は全体として略コ字形のSUS製取付板からなり、軸体33、34を取着した湾曲正面部と、該湾曲正面部の両端に形成した取付部からなる。該取付部には取付部材20にビス止めするためのビス穴19がビス穴32aに対応して2個ずつ螺設されている。図3に示すように、各ビス穴19、32aに取付部材20側から皿ビス19aを螺着して、取付金具18は取付部材20に固着されている。各軸体は(9C)に示すように、湾曲正面部に穿設した収納穴に緊密に収設して固着されている。本発明においては各軸体を該湾曲正面部に溶着して固着してもよい。また、本実施形態では、取付金具18と取付部材20とのビス止めにより、収納ケース1に対し別体としての軸体33、34を取着する取着構造を備えるが、取付金具18及び取付部材20を介在させずに、前面カバー部材35の前端部に軸体33、34を一体化して樹脂成型することにより取着するようにしてもよい。
【0044】
各軸体の固着態様としては、取付金具18の湾曲正面部に溝を刻設し、該溝に各軸体の線材を嵌入させて溶着するようにしてもよい。
図9の(9D)は別の実施例である櫛歯状部材の下面を示す。この櫛歯状部材は2列の取付金具18a、18bを併設し、取付金具18a、18bの夫々に長軸体17b、短軸体17cを固着して形成されている。長軸体17b及び短軸体17cは夫々、軸体33、34に対応し、取付金具18a、18bの湾曲正面部に刻設した溝に嵌入されて溶着されている。取付金具18aはケース前面部材2の先前方に配置され、取付金具18bは取付金具18aの後方に配置される。長軸体17b及び短軸体17cを夫々、取付金具18a、18bに固着して別部材とすることにより、取付金具18bの取付位置を前後方向に調整するだけで、長軸体17b及び短軸体17cの相互間隔を設定することができ、モップを構成する繊維材の太さに合わせた軸体間の距離調整を簡易に行うことができる。
本発明に係る櫛歯状部材は、前記実施形態のように、取付金具18に別体の軸体33、34を固着する組立構造の他に、板金加工や樹脂成型により一体的に成形した成形構造にすることができる。例えば、図15の(15C)に示すように、楕円状先端部を備えた細長片からなる軸体121を取付金具120と一体的に打ち抜き加工した板金加工製櫛歯状部材を使用することができる。
【0045】
上記構成の掃除機において、スイッチ3を押下すると、ブロワ24の起動又は停止が交互に行われる。ブロワ24の起動により、ブロワ24の吸引により横長状吸引開口部16から、清掃具により清掃床面F上に集めた塵埃やごみを空気とともに吸引し、吸引した塵埃をフィルタ5により除去して貯留し、フィルタ24を通過した清浄空気を外排気口27から排出する。なお、本実施形態に係る掃除機は清掃床面F上の清掃作業に限らず、例えば作業台上に設置して、ハンディ型モップ清掃具等を用いて作業台上の清掃作業に適用することができる。
【0046】
図12は、本実施形態に係る掃除機を利用するモップ清掃具の一例を示す。このモップ清掃具は長柄ハンドル型清掃具であり、払拭体としてのモップ60と清掃作業時に把持する長柄ハンドル64からなる。長柄ハンドル64は2本の長尺状樹脂製パイプ部材65、66からなる。パイプ部材65はパイプ部材66より太く、パイプ部材66を内部に収納可能であり、パイプ部材66の収納量を調整することにより長柄ハンドル64の長さが伸縮自在になっている。パイプ部材65、66の長さ保持は締付用固定具67の締付により行われる。パイプ部材66の先端側にはグリップ68が取着されている。パイプ部材65の下端部はT字形のモップ挿着部62がジョイント部材63を介して回動自在に連結されている。モップ60がモップ挿着部62に被着されている。モップ60は基布に多数の多数のパイル(払拭材)群61が植設された袋体からなる。パイル材及び基布材には洗浄して再利用可能なナイロン素材が使用されている。
【0047】
上記モップ清掃具を用いて掃き掃除したとき、吸引開口部16の内側又はその付近に塵埃を寄せ集めることにより、吸引開口部16の内部に吸引して、塵取りを用いずとも、軽作業で清掃処理することができる。しかも、パイル群61に付着した髪の毛、ペットの毛等のごみも、長柄ハンドル64を握ってモップ60を軸体33、34に押し当てて上下に移動させてたり、擦りつけたりすることによって、軸体33、34によりパイル群61の細い繊維材が梳かされて、モップ60に絡み付いた毛髪等の細かい塵埃やごみが掻き落とされて除去することができる。従って、本実施形態に係る掃除機を使用することにより、清掃により集めた塵埃やごみだけでなく、モップ60に付着した細かな塵埃も回収、除去することができ、しかも係る除去機能を櫛歯状部材17を吸引開口部16に配設するだけで簡易且つ安価に具備することができる。なお、軸体33、34を吸引開口部16の一部、例えば、両脇に設けるようにしてもよい。
【0048】
図15の(15A)及び(15B)は本発明に係る掻き取り部材の変形実施例であるブラシ状部材110を示す。同図(15A)及び(15B)はブラシ状部材110の上面、ブラシ状部材110をケース前面部材2に取り付けたときの部分断面を示す。 同図(15A)及び(15B)において前記実施形態と同一の部材には前記実施形態と同じ符号を付している。
ブラシ状部材110は取付金具18と同様に湾曲したブロック体111と、ブロック体111の下面に下方に向け延設された多数本の軸体112とからなる。ブロック体111及び軸体112はアルミ合金又はポリカーボネート等の合成樹脂により形成されている。ブロック体111の下面に多数の穴を穿設し、各穴に軸体112が埋設され、溶着等により固着されている。(15B)に示すように、ブロック体111の裏面には、ビス穴113が穿設されており、ブラシ状部材110は皿ビス19aにより取付部材20に取着される。ブラシ状部材110を掃除機に搭載すれば、ブラシ状部材110に軸体112が多数下方に向けて植設されているので、モップ等の払拭体を擦り付けたとき軸体112との当接量が多くなり、塵埃の除去をより効率的に行うことができる。
【0049】
図10は本発明の別の実施形態である掃除機に用いる弾性板41の上面図(10A)、正面図(10B)及び側面図(10C)である。図11は図10の実施形態に係る掃除機の部分断面側面図である。図11において前記実施形態と同一の部材には前記実施形態と同じ符号を付している。
この実施形態の場合には、図11に示すように、櫛歯状部材17より後方で、吸引開口部16の内側にブロワ24による吸引を妨げない位置(清掃床面Fより5〜10mm浮かした位置)にモップ60との当接により弾性変形可能な弾性板41を前面カバー部材35裏面に取着している。櫛歯状部材17の下端位置は弾性板41の下端位置とほぼ同じである。櫛歯状部材17の下端を弾性板41の下端位置より上側に位置させてもよい。
【0050】
弾性板41は合成ゴム又はウレタン等の弾性樹脂材からなり、全体として平板形状を有する。弾性板41の表側下半分部分には複数筋の突部42を並設した凹凸部が形成されている。弾性板41の上半分部分には7個の貫通穴43が穿設されている。前面カバー部材35に設けたリブを貫通穴43に挿着することにより、弾性板41は前面カバー部材35の湾曲裏面に沿って湾曲形状に取着されている。
【0051】
弾性板41を櫛歯状部材17より後方に取付金具18の肉厚程度、離間して配置しているので、モップ60を櫛歯状部材17に強く押し当てて上下に移動させたり、擦りつけたりすると、弾性板41が内側に弾性変形してパイル群61の細い繊維材が軸体33、34間に食い入ることになり、櫛歯状部材17及び弾性板41に擦り付けながらモップ60に付着した微細な塵埃をより確実に振るい落として除去作業を円滑に行うことができる。特に、弾性板41に比較的に大きな力を与えても押し付けても、その押圧力を前記弾性変形により吸収して緩和できるので、装置全体が転倒したり、傾いたりせずに済み、モップ60の絡み付き塵埃の振るい落とし作業を円滑に行うことができる。
【0052】
図13は本発明の更に別の実施形態に係る掃除機及び櫛歯状部材を示す図であり、同図(13A)は同掃除機による通常清掃時の全体構成を示す。
この掃除機は吸引装置71と、集塵バックからなるフィルタ72が内蔵されたキャスター付き掃除機本体70を有する。掃除機本体70の吸込口73にはフレキシブル管74の一端が接続されている。フレキシブル管74の他端には取っ手76の付いたパイプ管(吸引管)75が接続されている。パイプ管75には操作スイッチ77が設けられている。パイプ管75の先端部はT字形の吸込口具(T字形吸引ノズル部材)78上部の連結部79に回転自在に連結した回転管80に嵌着されている。
【0053】
図13の実施形態においては、吸引装置71の吸引により吸込口73から清掃具のモップに付着した塵埃を空気とともに吸引して、吸引した塵埃をフィルタ72により除去し、フィルタ72を通過した清浄空気を掃除機本体70後方の排気口(図示せず)から排気する払拭体塵埃除去機構が形成されている。この払拭体塵埃除去機構には(13B)に示す櫛歯状部材が含まれている。同図(13A)は通常清掃時の櫛歯状部材を装着していない状態を示す。
【0054】
(13B)に示すように、パイプ管75の先端部に脱着自在に装着される装着管81を有し、装着管81に櫛歯状部材を取着している。即ち、櫛歯状部材は装着管81の一端面の全周にわたって埋設された軸体83からなる。装着管81はパイプ管75の先端部に密着して外嵌可能な中空部82を有した短パイプからなる。
【0055】
図13の(13C)はパイプ管75の先端部に装着管81を外嵌したときの断面を示す。
軸体83は軸体33、34と同様の軸材からなり、一端85側に凹凸状の抜止め加工が施されている。装着管81は塩化ビニル管からなり、樹脂成型加工時に軸体83の一端85を埋設して一体成型されている。32本の軸体83は夫々、装着管81の一端面の全周にわたって環状に配列され、且つ装着管81の管軸方向に沿って5cm外延されている。
【0056】
上記の掃除機において、吸込口具78によって清掃面を清掃した後、吸込口具78によって清掃しにくい箇所を例えばモップ清掃具を使用して塵埃やごみを集めて清掃したとき、モップ清掃具のモップに絡み付いた毛髪等の細かな塵埃を取り除くために、吸込口具78をパイプ管75から取り外して、軸体83を一体成型により取着した装着管81を装着する。複数本の軸体83にモップを押し当てて上下に移動させたり、擦りつけたりすることによって、モップの細い繊維材が梳かされて、モップに絡み付いた毛髪等の細かい塵埃やごみを掻き落としてパイプ管75の中空部84より吸引して除去することができる。図13の場合には、係る除去機能を軸体83付きの装着管81をパイプ管75に装着するだけで簡易且つ安価に具備することができる。
【0057】
図14の(14A)及び(14B)は図13の変形実施例である櫛歯状部材を示す。
本変形実施例の櫛歯状部材は円筒形状の装着管90外周の一部(90°範囲)に略放射状に配列した複数本の軸体93からなる。各軸体93は軸体33、34と同様の軸材からなり、先端部分は直角内側に折り曲げられている。複数本の軸体93の根元部分は樹脂材92により集合的に結合され、固定されている。樹脂材92は全体として湾曲形状を有し、装着部材90の外周にエポキシ接着材により接合されている。(14B)に示すように、係る接合状態において、各軸体93の先端側は装着管90の開口端部94より外延されている。装着管90は(14B)に示すように、その中空部91をパイプ管75の先端部に外嵌して取着される。
【0058】
図13の実施例に係る櫛歯状部材と同様に、モップ清掃具により清掃したとき、モップを複数本の軸体93の水平軸部や折曲部分に強く押し当てて擦り付けることにより、モップに付着した微細な塵埃を振るい落として、パイプ部材75の中空部84より吸引して除去することができる。
【0059】
図14の(14C)及び(14D)は本発明に係る櫛歯状部材を吸引口具95に取着した実施例を示す。
吸引口具95はパイプ部材75の先端部に装着される床清掃用T字形吸引ノズルである。吸引口具95は横長状本体の裏側中央に形成された吸引口100を有する。吸引口具95の本体上部には吸引口100に連通した連結部96と、連結部96の開口部に回転自在に装着された回転管97とが設けられている。回転管97の自由端部にはパイプ部材75の先端部が嵌着される。連結部96と回転管97は連通して吸引口100に至る吸引経路98が形成され、パイプ部材75の回転管97への装着により、吸引経路98を通じて吸引口100より清掃床面上の塵埃を吸引することができる。吸引口具95の本体裏側には横長状ブラシ99が固着されている。
【0060】
吸引口具95の本体上部の前端側には平板状櫛歯状部材が取着されている。この平板状櫛歯状部材は直角に折り曲げた長手形状のSUS板からなる。該SUS板の前面部分には矩形状の切欠部103が形成され、細長状の軸体101が複数個、櫛歯状に配列されている。SUS板の根元片102は樹脂材104により集合的に結合され、固定されている。樹脂材104は横長形状を有し、吸引口具95の本体上部にエポキシ接着材により接合、固着されている。根元片102を吸引口具95の本体上部にビス止めして固定してもよい。樹脂材104の固着により、複数個の軸体101は下方に向けて延設され、吸引口具95の本体前面部に沿って並設されている。軸体101及び切欠部103の幅は夫々、3mm、2mmである。なお、樹脂材104を介在させずに根元片102を吸引口具95の本体に一体的に樹脂成型して埋設することにより平板状櫛歯状部材を吸引口具95の本体に取着するようにしてもよい。軸体101のエッジ部分には丸みが付加されており、梳き作用を円滑に行うことができる。
【0061】
モップ清掃具により清掃したとき、モップを複数個の軸体101に強く押し当てて擦り付けることにより、モップに付着した微細な塵埃を振るい落として、吸引経路98を介してパイプ部材75より吸引して除去することができる。
【0062】
本発明は、上記実施形態や変形例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲における種々変形例、設計変更などをその技術的範囲内に包含するものであることは云うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明によれば、モップ等の払拭体に絡み付いた毛髪等の細かい塵埃やごみを除去可能な除去機能を簡易且つ安価に具備した掃除機を提供することができる。
【符号の説明】
【0064】
1 収納ケース
2 ケース前面部材
3 スイッチ
4 ハンドル
5 フィルタ
6 集塵パック
7 開口部
8 フィルタ板
9 収容凹部
10a 突起部
10b 突起部
11 凹所
12 凹部
13 後方パネル
14 スポンジ製フィルタ
15 ビス
16 吸引開口部
17 櫛歯状部材
17a 線材
17b 長軸体
17c 短軸体
18 取付金具
18a 取付金具
18b 取付金具
19 ビス穴
19a 皿ビス
20 取付部材
21 奥部
22 枠材
23 吸引装置
24 ブロワ
25 ファン
26 排気経路
27 外排気口
28 下方吸引口
29 排気口
30 折曲部
31 引っ掛け部
32a ビス穴
32b 皿部
33 軸体
34 軸体
35 前面カバー部材
36 後方部材
37 仕切部材
38 突起
39 開閉弁片
40 吸引経路
41 弾性板
42 突部
43 貫通穴
60 モップ
61 パイル群
62 モップ挿着部
63 ジョイント部材
64 長柄ハンドル
65 パイプ部材
66 パイプ部材
67 固定具
68 グリップ
70 掃除機本体
71 吸引装置
72 フィルタ
73 吸込口
74 フレキシブル管
75 パイプ管
76 取っ手
77 操作スイッチ
78 吸込口具
79 連結部
80 回転管
81 装着管
82 中空部
83 軸体
84 中空部
85 一端
90 装着管
91 中空部
92 樹脂材
93 軸体
94 開口端部
95 吸引口具
96 連結部
97 回転管
98 吸引経路
99 横長状ブラシ
100 吸引口
101 軸体
102 根元片
103 切欠部
104 樹脂材
110 ブラシ状部材
111 ブロック体
112 軸体
113 ビス穴
120 取付金具
121 軸体
F 清掃床面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸引装置、フィルタを収容した収納ケース、吸込口及び排気口を少なくとも有した掃除機において、前記吸引装置の吸引により前記吸込口から清掃具の払拭体に付着した塵埃を空気とともに吸引して、吸引した塵埃を前記フィルタにより除去し、前記フィルタを通過した清浄空気を前記排気口から排気する払拭体塵埃除去機構を設け、前記払拭体塵埃除去機構は少なくとも前記吸込口の横幅全域又はその一部の領域にわたって取着され、櫛歯状又はブラシ状に配列した複数本の軸体からなる掻き取り部材を有し、前記複数本の軸体は前記吸込口近傍に、又は前記吸込口に連通して装着される吸引管の吸引口近傍に、前記払拭体に付着した塵埃を掻き取り可能に延設されることを特徴とする掃除機。
【請求項2】
前記吸引管の先端部に脱着自在に装着される装着管を有し、前記装着管に前記掻き取り部材を取着し、前記複数本の軸体を前記装着管の全周又は一部に環状に配列し、且つ前記装着管の管軸方向に沿って外延した請求項1に記載の掃除機。
【請求項3】
前記払拭体塵埃除去機構は、前記吸引管の先端部に脱着自在に装着される吸引具を有し、前記吸引具の吸引口近傍に前記掻き取り部材を取着した請求項1に記載の掃除機。
【請求項4】
前記収納ケースの下部に清掃面に対向して前記吸込口を設け、前記複数本の軸体を前記清掃面に向けて延設した請求項1に記載の掃除機。
【請求項5】
前記複数本の軸体は前記吸込口の上辺より下向きに延設され、前記の下端は前記清掃面に対し前記清掃具により集めた塵埃を前記吸込口に吸込み可能に離間した請求項4に記載の掃除機。
【請求項6】
前記複数本の軸体は複数列に軸体を列設した軸体群からなる請求項1〜5のいずれかに記載の掃除機。
【請求項7】
前記複数本の軸体は下端位置の異なる複数種の軸体からなる請求項1〜6のいずれかに記載の掃除機。
【請求項8】
前記複数本の軸体は長軸体と、前記長軸体より短い短軸体とからなり、前記長軸体と前記短軸体を下端位置が異なるように交互に配列した請求項1〜7のいずれかに記載の掃除機。
【請求項9】
下端部を開口して前記吸引口とし、前記開口から後方の内部排気口に連通する吸引経路を形成した箱体形状のケース前面部材と、前記収納ケースの前方側に設けられ、前記ケース前面部材を収設する収容部と、前記収容部に形成された、前記吸引装置による内部吸引口とを備え、前記掻き取り部材は前記ケース前面部材の外周面に抱着される取付片を有し、前記取付片に前記複数本の軸体を固着し、前記内部排気口に前記フィルタを装着し、前記ケース前面部材を前記収容部に収設して取り付けた取付状態において、前記内部吸引口と前記内部排気口が前記フィルタを介して吸引可能に連通し、且つ前記複数本の軸体が前記吸込口の上辺より下向きに延設配置される請求項1〜8のいずれかに記載の掃除機。
【請求項10】
前記軸体は丸みを帯びた先端を有し、円形、楕円形の断面形状又は丸みのある断面形状を備えた線材からなる請求項1〜9のいずれかに記載の掃除機。
【請求項11】
前記吸込口の近傍において前記吸引を妨げない位置に、前記払拭体との当接により弾性変形可能な弾性板を設け、前記掻き取り部材を前記弾性板より前方側に取着し、前記複数本の軸体の下端を前記弾性板の下端と同等又は前記弾性板の下端より短い位置に配設した請求項1〜10のいずれかに記載の掃除機。
【請求項12】
前記軸体どうしの配列間隔が0.5〜10mmのいずれかであり、前記払拭体を構成する繊維材の太さに応じて前記配列間隔を設定した請求項1〜11のいずれかに記載の掃除機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2012−245318(P2012−245318A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−121705(P2011−121705)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(000133445)株式会社ダスキン (119)
【Fターム(参考)】