説明

掃除用器具

【課題】ポータブル掃除用器具を改良する。
【解決手段】主本体、ノズル及び把持可能なハンドルを含むポータブル掃除用器具において、ノズルとハンドルが各々主本体との関係において、主本体に隣接する第1の保管位置とノズルとハンドルが主本体から延在している第2の使用時位置との間で移動可能であるポータブル掃除用器具であって、使用時にノズル及びハンドルのうちの一方の第1及び第2の位置の間での動作によって、ノズルとハンドルのうちの他方のものの第1及び第2の位置の間での対応する連成動作が引き起こされるような形で配置されたリンケージ部材によってノズルとハンドルが連結されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポータブル掃除用器具に関する。より詳細には、本発明は、各々引込み位置と使用時位置の間で移動可能であるノズルと把持可能なハンドルとを含む掃除用器具に関する。
【背景技術】
【0002】
公知のタイプのポータブル掃除用器具は、手持ち式電気掃除機である。一般的タイプは、登録商標Dustbuster(商標)としてBlack and Decher社により製造されているものである。このような手持ち式電気掃除機は、遠位端部に吸込口を伴う主本体を有している。空気流から汚れや塵埃を分離するため、吸込ノズルが吸込口から集塵袋まで延在している。主本体内には電源と共にモーターとファン機構も具備されている。一般に、主本体の後部には把持可能なハンドルがある。
【0003】
手持ち式電気掃除機の別の形態は、Dustbuster Pivot(登録商標)としてBlack and Decher社により製造されているものである。このような手持ち式電気掃除機は、固定式で把持可能なハンドルを含む主本体を含んでいる。吸込口はサイクロン分離器などの分離装置まで導く吸込ノズルの遠位端部にある。この配置では、吸込ノズルは、保管位置と表面清掃に使用できる位置の間で移動できるよう主本体との関係において枢動するように操作可能である。
【発明の概要】
【0004】
本発明の一態様によると、主本体、ノズル及び把持可能なハンドルを含むポータブル掃除用器具において、ノズルとハンドルが各々主本体との関係において、主本体に隣接する第1の保管位置とノズルとハンドルが主本体から延在している第2の使用時位置との間で移動可能であるポータブル掃除用器具であって、使用時にノズル及びハンドルのうちの一方の第1及び第2の位置の間での動作によって、ノズルとハンドルのうちの他方のものの第1及び第2の位置の間での対応する連成動作が引き起こされるような形で配置されたリンケージ部材によってノズルとハンドルが連結されている、ポータブル掃除用器具が提供されている。
【0005】
このような配置を提供することによって、ノズルとハンドルの両方を、これら要素の一方の単一の動作に伴って展開し折畳むことができる。その結果、ユーザーにとって都合の良い円滑な操作及び、保管位置と使用時位置の間の円滑かつ迅速な遷移が得られる。
【0006】
一実施形態において、ノズル及びハンドルは、各々、それぞれの回転軸を中心として主本体に対し枢動可能に連結されている。枢動可能な連結は堅牢で機械的効率が高く、それぞれの構成要素の円滑な動作を提供する。
【0007】
一実施形態において、リンケージ部材は、それぞれの回転軸の各々から半径方向に離隔された点においてノズルとハンドルの間で直接連結されている。この配置により、ノズルとハンドルの各々に適切なモーメントを加え、その間の連成運動を支援することが可能となる。
【0008】
一実施形態では、掃除用器具は、第1及び第2の位置のうち少なくとも1つにおいてノズルとハンドルを解除可能な形でロックするように操作可能であるユーザー操作可能なキャッチ機構をさらに含む。キャッチ機構を提供することにより、ノズルとハンドルを、ユーザーからの追加の入力無く清掃のための使用時形態に保持するか、又は堅牢性のために保管形態に保持することができる。
【0009】
一実施形態では、弾性部材がリンケージ部材と主本体の間に連結され、キャッチ機構が解除された時点でノズルとハンドルを第1及び第2の位置のうちの1つに向かって付勢するように配置されている。このような配置を提供することにより、ノズルとハンドルは、一方の形態に向かって促され、その間の遷移においてユーザーを支援する。
【0010】
一実施形態において、リンケージ部材は、保持機構により互いとの関係において保持位置に解除可能な形で保持された第1及び第2の部分を含んでいる。リンケージ部材の部品の間にこのような解除可能な連結を提供することにより、リンケージ部材を横断して加えられた過度の力は、リンケージ部材の部品を破断させるのではなく、むしろこれらの部品を互との関係において移動させることになる。
【0011】
一実施形態において、保持機構には、第1及び第2の部分の一方の上にある第1の保持要素と第1及び第2の部分の他方の上にある補足的第2の保持要素とが含まれている。この配置により、第1及び第2の部分を互いに対し高い信頼性で保持することが可能になる。
【0012】
一実施形態において、前記第1の保持要素はリセスを含み、第2の保持要素はリセスと係合可能な突出部を含む。この形態は、機械的に強靭で、製造が容易でありかつ堅牢である。
【0013】
一実施形態において、保持機構は、第1及び第2の部分の間に加えられる力が既定の閾値を上回った場合に第1及び第2の部分を保持位置から解除して、その間の相対的動作を可能にするように操作可能である。この形態は、それを超える部品が互いとの関係において移動して損傷を防ぐ既定の「誤用力」を提供する。
【0014】
一実施形態において、第1及び第2の部分は、一旦解除された場合に互いとの関係において摺動自在である。これは、要素がその原位置に容易に復帰できるようにする都合の良い配置である。
【0015】
一実施形態において、前記第1及び第2の部分の一方は、前記第1及び第2の部分の他方の内部で摺動自在である。これは、コンパクトで堅牢な配置である。
【0016】
一実施形態において、リンケージ部材はさらに、第1及び第2の部分を保持位置に向かって促すように配置された弾性部材を含む。これは、一旦誤用力が加わった場合に、部品を保持位置まで復帰させるのを援助する。
【0017】
一実施形態において、ノズルとハンドルは、第1の位置にある場合に主本体の中に少なくとも部分的にリセスしている。これにより、コンパクトで、堅牢でかつ美しい外観が得られる。
【0018】
一実施形態において、ノズルとハンドルの少なくとも一部分は、第1の位置にある場合、本主体と実質的に同一平面内にある。こうして、掃除用器具を一定の形状及び形態範囲内で提供することができ、損傷に対する耐性はさらに高くなる。
【0019】
一実施形態において、掃除用器具は、ノズルの遠位端部にある吸込口と、この吸込口を通って吸込まれた空気流から汚れ及び破片を分離するため吸込口の下流側にある分離装置とを含む手持ち式電気掃除機の形をしている。
【0020】
本発明の実施形態についてここで、添付図面を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施形態に係る手持ち式電気掃除機を使用時形態で示す斜視図である。
【図2】保管形態の図1の手持ち式電気掃除機の斜視図である。
【図3】使用時形態の図1の手持ち式電気掃除機の平面図である。
【図4】使用時形態の図1の手持ち式電気掃除機の側面図である。
【図5】図1の手持ち式電気掃除機の一部を成す保持形態のリンケージ機構を示す、図3のラインA−Aに沿って切り取った断面側面図である。
【図6】解除形態のリンケージ機構を示す、図1の手持ち式電気掃除機の、図3のラインA−Aに沿って切り取った断面側面図である。
【図7】保持形態のリンケージ機構を示す、保管形態の図1の手持ち式電気掃除機の別の断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明は、掃除用器具が公知の配置に比べてよりコンパクトかつ堅牢である保管位置と、ユーザーが掃除用器具を快適に扱うことのできる使用時位置と、の間で移動可能な把持可能なハンドル及び吸込ノズルの両方を提供するように操作可能であるポータブル掃除用器具を提供している。さらに、本発明は、保管位置と使用時位置の間で効率良く使用が容易な信頼性の高い遷移を可能にするための分かりやすい操作機序を提供している。
【0023】
図1〜4は、手持ち式電気掃除機100を示す。手持ち式電気掃除機100は、吸込ノズル104及び把持可能なハンドルが取付けられている主本体102を含む。吸込ノズル104はその遠位端部に吸込口108を含んでいる。
【0024】
ハンドル106は、ユーザーの手のサイズに合うように寸法決定され、使用時に手持ち式電気掃除機100を扱うことができるように配置されている。ハンドル106は、ユーザーが手持ち式電気掃除機100をオンオフ切換えできるようにする電源スイッチ110を含む。電源スイッチ110は、ユーザーが、手持ち式電気掃除機100を把持している手の親指でこのスイッチを操作できるように位置づけされている。
【0025】
吸込ノズル104とハンドル106は、保管位置と使用時位置の間で移動可能である。図1、3及び4は、吸込ノズル104及びハンドル106の各々が展開された使用時位置にある使用時形態で、手持ち式電気掃除機100を示している。図2は、吸込ノズル104とハンドル106の各々が折畳まれた保管位置にある保管形態の手持ち式電気掃除機を示している。
【0026】
吸込ノズル104及びハンドル106は、吸込ノズル104とハンドル106が各々保管位置にある(図2に示した通り)場合に主本体102の形状に実質的に沿っていて、こうして保管のための堅牢でコンパクトな形態そしてユーザーにとって快適な外観を提供するような形で、整形されている。この点に関して、主本体102は、吸込ノズル104とハンドル106が少なくとも部分的に主本体102内にリセスするような形でそれぞれの吸込ノズル104とハンドル106を収容するように少なくとも部分的に適応されたリセス112、114を含む。さらに、吸込ノズル104とハンドル106の部品は、主本体102と実質的に同一平面内にある。
【0027】
主本体102は、吸込口108を通して吸込まれた空気流から汚れ及び破片を分離するための分離装置116を含む。分離装置116は、吸込ノズル104の内部を通って吸込口108と流体連通状態にある。分離装置116は、任意の適切な分離機構、例えば慣性集塵器、機械式フィルター、多孔質袋、サイクロン分離器又はそれらの組合せを含んでいてよい。
【0028】
分離装置116は、主本体102の内部に分離された汚れ及び破片を収集するために操作可能である。この点に関して、分離装置116は、分離装置116から収集された汚れ及び破片を容易に排出できるように開放可能な可動式カバー118を含んでいる。
【0029】
主本体102は同様に、分離装置116の下流側のモーター及びファン機構(図示せず)、ならびに主本体102から空気を排出するための排気口120(図3に最も良く示されている)も含んでいる。手持ち式電気掃除機100を通る空気流経路は、吸込口108から吸込ノズル104、分離装置116、モーター及びファン機構を通り、排気口120まで延在し、この排気口において空気流は手持ち式電気掃除機100の主本体102から排出される。
【0030】
モーターとファン機構に動力を供給するための電源(図示せず)も、主本体102の内部にある。この実施形態において、電源は、主本体102の内部にあるバッテリー群の形をとる。手持ち式掃除用器具をバッテリー電源式にして広範囲の表面及び場所を清掃できることが一般に有用である。しかしながら、代替的には、手持ち式電気掃除機100に別の供給源、例えば家庭用コンセント又は自動車バッテリーの車内接続により電力を供給してもよい。
【0031】
吸込ノズル104とハンドル106の動作を可能にするための機序について、ここで図5〜7を参照しながら説明する。吸込ノズル104は、ピボット122を用いて主本体102に枢動可能に連結され、ピボット122を通る軸線X−X(これは図3及び4にも示されている)を中心にして保管位置と使用時位置の間で枢動可能である。
【0032】
付随して、ハンドル106は、ピボット124を用いて本体102に対し枢動可能に連結されており、ピボット124を通る軸線Y−Y(これは図3及び4にも示されている)を中心にして保管位置と使用時位置の間で枢動可能である。この実施形態において、軸線X−X及びY−Yは、互いに平行であるが、そうである必要はない。
【0033】
吸込ノズル104とハンドル106の間にリンケージ機構126が直接的に連結されている。換言すると、リンケージ機構126は、主本体102に直接連結されず、本質的にそれとは独立した形で可動である。
【0034】
リンケージ機構126は、第1の部分130と第2の部分132を有するリンケージ部材128を含む。第1の部分130は第1のリンケージ連結を中心にして吸込ノズル104に連結されている。第1のリンケージ連結134は、リンケージ部材128が吸込ノズル104との関係において軸L1を中心として回転できるようにする枢動可能な連結を含む。第1のリンケージ連結134は、以下で説明する通り、軸線X−Xから(ひいてはピボット122から)半径方向に離隔されている。したがって、軸線X−X及びL1は互いに平行であり、かつ離隔されている。
【0035】
第2の部分132は、第2のリンケージ連結136を中心にしてハンドル106に連結されている。第2のリンケージ連結136は、ハンドル106との関係において軸L2を中心としてリンケージ部材128が回転できるようにする枢動可能な連結を構成する。第2のリンケージ連結134は、以下に説明するように、軸線Y−Yから(ひいてはピボット124から)半径方向に離隔されている。したがって、軸線Y−YとL2は互いに平行でありかつ離隔されている。
【0036】
この実施形態において、軸線X−X、Y−Y、L1及びL2は全て互いに実質的に平行であるが、そうである必要はない。
【0037】
リンケージ機構126は、吸込ノズル124及びハンドル106が一緒に可動であるようにすることができる。換言すると、リンケージ機構126は、吸込ノズル104及びハンドル106の一方の動作が、吸込ノズル104とハンドル106のうちの他方の対応する連成動作を引き起こすような形で構成されている。これにより、ユーザーは、例えばハンドル106を保管位置から使用時位置へと(又はその逆に)移動させ、吸込ノズル104の対応する動作を引き起こすことができる。したがって、手持ち式電気掃除機100は、単一の動作でいつでも使用できる状態となる(また代替的には保管形態に置く)ことができる。これはユーザーにとって便利なことである。
【0038】
この1つの態様は、ピボット軸線X−X、Y−Yから半径方向に隔離された点におけるハンドル106と吸込ノズル104の間のリンケージ部材128の連結によりもたらされる。このことはすなわち、例えばハンドル106の動作の時点で、第2のリンケージ連結136とピボット124の間にモーメントが結果としてもたらされ、リンケージ部材128を主本体102との関係において移動させるということを意味する。その結果、(第2のリンケージ連結134の位置設定の結果として)軸線Y−Yを中心とする吸込ノズル104上に対応するモーメントが発生し、その結果吸込ノズル104は移動させられる。
【0039】
ユーザーにとってさらに便利になるように、リンケージ機構126は、吸込ノズル104とハンドル106を保管位置又は使用時位置の一方へ付勢するように構成されている。この実施形態において吸込ノズル104及びハンドル106は、保管位置へと付勢されている。しかしながら、これらの要素を使用時位置に付勢することも同様に可能である。
【0040】
この点に関して、リンケージ機構126は、リンケージ部材128の一部と主本体102の間に延在するコイルバネの形をした弾性部材138を含む。吸込ノズル104とハンドル106が使用時位置(図5に示されている通り)に移動させられた場合、リンケージ部材128は(図5との関係において)全体に下方へ移動する。したがって、コイルバネ138は張力を受けた状態になる。
【0041】
その結果、この形態では、コイルバネ138はリンケージ部材128を(図5との関係において)全体として上の方向に引くための力をリンケージ部材128に加える。この力は吸込ノズル104とハンドル106を保管位置に戻るように移動させるべく作用する。
【0042】
吸込ノズル104とハンドル106を使用時位置に保持してユーザーが手持ち式電気掃除機100を使用できるようにするために、キャッチ機構140が具備されている。キャッチ機構140は、ハンドル106上にあるシリンダ147の表面内に形成された相補的リセス146と係合するように作動可能な突出部144を有する直線的に移動可能なキャッチアーム142を含む。シリンダ146は軸線Y−Yのまわりにある。
【0043】
キャッチアーム142は、バネ(図示せず)によって(図5との関係において)上方へ付勢されており、こうしてハンドル106(及び吸込ノズル104)が完全に使用時位置へと展開された場合に突出部144がリセス146と係合してハンドル106及び吸込ノズル104を使用時位置に保持(又はロック)するようになっている。
【0044】
キャッチ機構140はさらに、キャッチアーム142の上端部にユーザーが操作できるボタン148を含む。ボタン148は、それを押し下げることで突出部144がリセス146から離れるように移動し吸込ノズル104とハンドル106を使用時位置から解除するような形で、バネの付勢力に対抗してユーザーが押し下げることのできるものである。これが行なわれた場合、リンケージ部材128に作用するコイルバネ138の付勢力は、吸込ノズル104とハンドル106の両方をそのそれぞれの保管位置まで移動させる。この遷移の性質(例えば遷移速度)は、コイルバネ138のバネ力を調整することによって調整可能である。
【0045】
吸込ノズル104又はハンドル106の一方がなおも保持されている間にユーザーがこれらの要素の他方を強制的に下げようと試みる可能性がある。これは例えば、ボタン148を押し下げる必要があることをユーザーが認識しておらず、吸込ノズル104を保管位置に強制的に戻そうと試みるかもしれない場合に発生するかもしれない。このような力の付加は、圧縮力を受けることになるリンケージ部材128に対する損傷を導くかもしれない。
【0046】
リンケージ機構126そして特にリンケージ部材128に対する損傷の危険性を低減させるために、第1及び第2の部分130、132は互いとの関係において可動であり、保持機構150によって互いとの関係において解除可能な形で保持されている。
【0047】
第1の部分130は、第2の部分132の内部に摺動するように配置される。このことは、図5及び図6を比較することでわかる(ここで図6は、第1と第2の部分130、132が互いに内部に摺動させられたところを示している)。
【0048】
保持機構150は、リンケージ部材128を横断して特定の力(「誤用力」)が加えられるのでないかぎり第1及び第2の部分130、132が互いとの関係において摺動するのを防ぐために具備されている。保持機構150は、第2の部分132の中に形成された一対の相補的リセス154と係合する第1の部分130上に形成された一対の突出部152を含む。
【0049】
突出部152とリセス154は摩擦及びそれぞれの部品の形状によって所定の位置に保持される。したがって、保持機構150は、加わる誤用力が第1及び第2の部分130、132の材料(この場合ナイロン又はプラスチック)を変形させるのに必要な力を上回り、したがって突出部152がリセス154から外へと移動して第1及び第2の部分130、132の間の摺動自在動作を可能にすることができる場合にのみ解除されて、第1及び第2の部分130、132が保持機構との関係において移動できるように解除する。第1及び第2の部分130、132の摺動自在な動作は、誤用力が加わった場合のリンケージ部材128の破損を防ぐ。
【0050】
一旦解除された時点で保持位置まで第1及び第2の部分が戻るのを補助するため、保持機構150はさらに、コイル圧縮バネの形をした弾性部材156を含む。このバネ156は、リンケージ部材128の長さに沿って力を加えて、第1及び第2の部分を保持位置(図5に示されている通りの)に向かって付勢する。
【0051】
バネ156は同様に、突出部152/リセス154連結の材料力を援助し、この機序が偶発的に外れるのを防ぐため高い誤用力を提供するためにも使用可能である。バネ力は構造的材料の特性よりも容易に調整可能であることから、これにより、誤用力閾値の正確な微調整のための機序も提供される。
【0052】
使用時、手持ち式電気掃除機100は、当初図2に示されている通りの保管形態にある確率が高い。したがって、ユーザーは、ハンドル106又は吸込ノズル104の一方を上向きに持ち上げて手持ち式電気掃除機100を使用時形態にする。リンケージ機構126に起因して、ハンドル106又は吸込ノズル104の一方の動作は、他方の要素に対応する動作を引き起こし、これは、手持ち式電気掃除機100を1つの動作で使用時形態に置くことができることを理由として、ユーザーにとって便利である。
【0053】
ハンドル106及び吸込ノズル104が使用時位置に完全に展開された場合、キャッチ機構140の突出部144はシリンダ147のリセス146と係合して、ハンドル106及び吸込ノズル104を使用時位置に保持する。換言すると、手持ち式電気掃除機100はこのとき、いつでも使用可能な状態になる。
【0054】
ユーザーはこのとき電源スイッチ110を押してモーター及びファンユニットを作動させて、汚れ及び破片を含む空気流を吸込ノズル104を通って吸込口108内へそして汚れ及び破片が収集される分離装置116内に吸込ませることができる。空気は次にモーター及びファンユニットを通過し、排気口116を通って主本体102から排出される。
【0055】
ユーザーが清掃作業を完了した時点で、手持ち式電気掃除機100は、便利でコンパクトな保管のため、図2に示されている保管形態に戻され得る。これは、ユーザーがボタン148を押しこのボタンがリセス146から突出部144を解除することにより行なわれる。吸込ノズル104とハンドル106は次に、コイルバネ138の復元力の付勢下で保管位置まで戻るよう促される。この復元力は同様に吸込ノズル104及びハンドル106をそれぞれの保管位置に維持する。換言すると、コイルバネ138は、例えばユーザーが保管形態にある手持ち式電気掃除機100を逆転させた場合でも、吸込ノズル104及びハンドル106を主本体102に向かって付勢する。
【0056】
上述の実施形態の変形形態が、当業者には明らかである。構成要素の精確な形態は異なっていてもよく、それでもなお本発明の範囲内に入る。
【0057】
例えば、ハンドル及び吸込ノズルは、枢動可能でなくてよく、例えばカム又は摺動連結の使用を通して、異なる形態で可動であってよい。さらに、ハンドル及び吸込ノズルは、使用時位置に向かって付勢され、保管位置で保持されてよい。
【0058】
さらに、リンケージ部材は2つの区分を含む必要はなく、その代り単一の区分を含んでいてよい。
【0059】
さらに、本発明は手持ち式電気掃除機に限定されない。例えばカーペットクリーナー、湿式及び乾式機械又はブロワバキューム装置などの他タイプのポータブル掃除用器具に使用できると考えられる。
【0060】
図示された実施例を特に参照しながら、本発明の実施形態について記述してきた。具体的な例が図面中で示され本明細書中に詳述されているが、図面及び詳細な説明は、開示された特定の形態に本発明を限定するように意図されたものではないということを理解すべきである。本発明の範囲内で記述されている実施例に対し、変更及び修正を加えてよい、ということが認識される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主本体、ノズル及び把持可能なハンドルを含むポータブル掃除用器具において、ノズルとハンドルが各々主本体との関係において、主本体に隣接する第1の保管位置とノズルとハンドルが主本体から延在している第2の使用時位置との間で移動可能であるポータブル掃除用器具であって、使用時にノズル及びハンドルのうちの一方の第1及び第2の位置の間での動作によって、ノズルとハンドルのうちの他方のものの第1及び第2の位置の間での対応する連成動作が引き起こされるような形で配置されたリンケージ部材によってノズルとハンドルが連結されている、ポータブル掃除用器具。
【請求項2】
ノズル及びハンドルが各々、それぞれの回転軸を中心として主本体に対し枢動可能に連結されている、請求項1に記載のポータブル掃除用器具。
【請求項3】
リンケージ部材が、それぞれの回転軸の各々から半径方向に離隔された点においてノズルとハンドルの間で直接連結されている、請求項2に記載のポータブル掃除用器具。
【請求項4】
第1及び第2の位置のうち少なくとも1つにおいてノズルとハンドルを解除可能な形でロックするように操作可能であるユーザー操作可能なキャッチ機構をさらに含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載のポータブル掃除用器具。
【請求項5】
弾性部材がリンケージ部材と主本体の間に連結され、キャッチ機構が解除された時点でノズルとハンドルを第1及び第2の位置のうちの1つに向かって付勢するように配置されている請求項4に記載のポータブル掃除用器具。
【請求項6】
リンケージ部材が、保持機構により互いとの関係において保持位置に解除可能な形で保持された第1及び第2の部分を含んでいる、請求項1〜5のいずれか一項に記載のポータブル掃除用器具。
【請求項7】
保持機構には、第1及び第2の部分の一方の上にある第1の保持要素と第1及び第2の部分の他方の上にある補足的な第2の保持要素とが含まれている、請求項6に記載のポータブル掃除用器具。
【請求項8】
前記第1の保持要素がリセスを含み、第2の保持要素がリセスと係合可能な突出部を含む、請求項7に記載のポータブル掃除用器具。
【請求項9】
保持機構は、第1及び第2の部分の間に加えられる力が規定の閾値を上回った場合に第1及び第2の部分を保持位置から解除してその間の相対的動作を可能にするように操作可能である、請求項6、7又は8に記載のポータブル掃除用器具。
【請求項10】
第1及び第2の部分が、一旦解除された場合に互いとの関係において摺動自在である、請求項9に記載のポータブル掃除用器具。
【請求項11】
前記第1及び第2の部分の一方が、前記第1及び第2の部分の他方の内部で摺動自在である、請求項10に記載のポータブル掃除用器具。
【請求項12】
リンケージ部材がさらに、第1及び第2の部分を保持位置に向かって促すように配置された弾性部材を含む、請求項6〜11のいずれか一項に記載のポータブル掃除用器具。
【請求項13】
ノズルとハンドルが、第1の位置にある場合に主本体の中に少なくとも部分的にリセスしている、請求項1〜12のいずれか一項に記載のポータブル掃除用器具。
【請求項14】
ノズルの遠位端部にある吸込口と、この吸込口を通って吸込まれた空気流から汚れ及び破片を分離するため吸込口の下流側にある分離装置とを含む手持ち式電気掃除機の形をした、請求項1〜13のいずれか一項に記載のポータブル掃除用器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−250036(P2012−250036A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−121977(P2012−121977)
【出願日】平成24年5月29日(2012.5.29)
【出願人】(391010769)ブラック アンド デッカー インク (87)
【氏名又は名称原語表記】BLACK & DECKER INC.
【Fターム(参考)】