説明

授乳母体用保護ディスク

授乳可能な母親の乳房を保護し当該乳房から自然に流れ出してくる母乳を吸い取るため、授乳母体用保護ディスクを当該乳房に装着する。この授乳母体用保護ディスクは、互いに明らかに区別できる二種類のディスクを組にしたものである。例えば、そのうち第1の種類のディスク(2)は、第2の種類のディスク(2’)に対し、見た目に異なる外形にする。また、これに代え又はこれと共に、触感的に、光学的に若しくはその双方により感知できる高浮き彫り若しくは浅浮き彫りの区別用マーキング(1)を、第1の種類のディスク(2)に少なくとも1個付し、反対側の乳房に装着される第2の種類のディスク(2’)には、それら二種類のディスク(2、2’)を互いに区別できるよう、その種のマーキングを付さないようにするか若しくは別の区別用マーキングを付す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新生児に授乳する母親の乳房を保護しまた母親の乳房から自然に流れ出してくる母乳を吸い取るディスクの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
授乳に関する専門家例えば小児科医や助産婦が強く勧めているように、乳児に対する授乳は、乳児の健全な発育にとって、また良好な栄養摂取のため、本質的に重要なことである。乳児に対する授乳は、母親にとっても子供にとっても、また栄養接種という観点をとりあえず閑却してみても、様々に有益な経験である。
【0003】
とはいえ、授乳の後には母乳が漏れ出すことがあるし、授乳に際し痛みや不快感乃至刺激を感じることもある。
【0004】
母乳の漏れを防ぎまた乳房を打撲や擦過から守るには、ある種の道具乃至器具を乳房に被せればよい。その種の道具乃至器具には様々なものがあるが、中でも特に普及しているのは、左右の乳房に1個ずつ合計2個あてがうディスク、特に吸収性及び抗菌性を有する素材によって乳房にぴったりと被さるよう形成されたものである。
【0005】
授乳に関する専門家はまた、授乳毎に両方の乳房を吸わせるようにすることと、前回授乳したときに最後に吸わせた方の乳房から吸わせるようにすることとを、母子双方のために勧めている。
【0006】
乳児の世話に当たって留意すべきことは、一つには、努めて集中力及び平静さを維持することであり、もう一つには、清潔さを保ち授乳スケジュールを調整・管理し乳房毎の授乳時間長を調整・管理すること等、様々な事柄に対処することである。そのため、授乳者(母親)は、授乳開始時に様々な事柄にうまく対処するための時間や、授乳開始時に授乳をより簡単に行えるよう自分を手助けしてくれる外部手段を、切望している。実のところ、例えば前回どちらの乳房を最後に子供に吸わせたかを覚えておくことは、授乳者にとってやっかいなことである。
【0007】
授乳関連問題の中には補助手段乃至助力手段が既存しているものもあるが、今もなお困難乃至不便な状況が続いているものもある。例えば、現状では、前回の授乳の際にどちらの乳房で終わりにしたかを考えるのはやめにして自分の母乳を与え始める母親が、普通であろう。従って、母子双方にとって最も有益なやり方で母親が授乳を行えるようにすることが、求められていると言えよう。
【発明の開示】
【0008】
本願においては、“前回の授乳の際に最後に吸わせた方の乳房から常に授乳し始めるようにする”という新生児授乳上の推奨事項を守れるよう助力する手段がない、という上述した問題を解決するため、上述した各機能面での技術的諸条件を全て満足させつつ、新生児に授乳できる母乳分泌期の乳房用に新たな保護手段を提供している。
【0009】
本発明に係る授乳母体用保護ディスクは、授乳可能な母親の乳房を保護し当該乳房から自然に流れ出してくる母乳を吸い取るため当該乳房に装着可能な授乳母体用保護ディスクであって、第1の種類のディスクを第2の種類のディスクに対し見た目に異なる外形乃至輪郭にすること、並びに、触感的に、光学的に若しくはその双方により感知できる高浮き彫り若しくは浅浮き彫りの区別用マーキングを第1の種類のディスクに少なくとも1個付し反対側の乳房に装着される第2の種類のディスクにはそれら二種類のディスクを互いに区別できるようその種のマーキングを付さないようにするか若しくは別の区別用マーキングを付すこと、のうち、一方又は双方により、互いに明らかに区別できるようにした二種類のディスクを備えることを特徴とする。
【0010】
本発明は、また、第2の種類のディスクに区別用マーキングを取り付けることによりそのディスクを第2の種類から第1の種類へと種類変更できるよう、触感的に、光学的に若しくはその双方により感知できる区別用マーキングを可動式としたことを特徴とする。
【0011】
本発明に係る保護ディスクは、また、第1の種類のディスク及び第2の種類のディスクが、簡単に収縮させ又は破裂させることができ区別用マーキングとなり得る膨張可能な風船状又は袋状の小型デポジットを、有することを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の一実施形態に係り、授乳可能な母親の乳房を保護し当該乳房から自然に流れ出してくる母乳を吸い取るため当該乳房に装着可能な授乳用保護ディスクを、添付図面により表す。
【0013】
以下、本発明の一実施形態に係る保護ディスクの細部を理解できるよう、図面を参照して説明を行う。
【0014】
図1〜図3に示されている保護ディスクは、マーキング1を備えていないディスクと区別できるよう、光学的にも触感的にも感知できるマーキング1を備えている。
【0015】
図4に、高浮き彫り又は浅浮き彫りのマーキングに対する保護ディスクの厚みの例を示す。この例におけるマーキングの厚みは、上に重ねて着る衣服の上からではマーキングを看取できない程に薄く、それでいて触ればマーキングを感知できる程に厚くなっている。
【0016】
本発明に係る保護ディスクは、現在市場に流通している母乳分泌期乳房装着用吸収ディスクにない改良点を有している。
【0017】
図1〜図5に示す保護ディスクは、互いに明らかに区別できる二種類のディスク2、2’を組にしたものである。これらのディスクは、そのうち第1の種類のディスク2が第2の種類のディスク2’とは異なる外形乃至輪郭を有しているため、互いに区別することができる。自明なことに、ディスク2、2’の外形乃至輪郭的相違それ自体、光学的且つ触感的に感知できる区別用マーキングでもある。また、外形乃至輪郭的相違によらずとも、これらのディスクは互いに区別することができる。それは、触感的に、光学的に若しくはその双方により感知できる高浮き彫り若しくは浅浮き彫りの区別用マーキング1を第1の種類のディスク2に付す一方、これと同様の構成で反対側の乳房上に置かれる第2の種類のディスク2’にはマーキング1を付さないか或いは別の区別用マーキング1’を付しているためである。このように、乳房に装着され乳房を保護し乳房から自然に流れ出してくる母乳を吸い取るディスク上に、区別用マーキングを付すことは、次に子供に授乳する際にどちらの乳房から始めればよいかを母親が識別できるようにする上で、役立つものである。
【0018】
区別用マーキング1、1’は、それぞれ、そのディスクがどちらの種類のディスクであるかを知ることができるよう、二種類のディスク2、2’のうち対応するものの知覚可能エリア内に配置されている。従って、視覚、接触又はその双方によって、また明るい場所でも暗い場所でも、これからどちらの乳房から授乳を始めればよいかを知ることができる。マーキング1、1’は、例えば、ある定まった形状を有する高浮き彫り若しくは浅浮き彫りによって、実現することができる。但し、それは、衣服を通して見えることがないようまた美観を損ねないよう、バラバラに配置しなければならない。マーキング1、1’は1個とすることもできるし複数個にすることもできる。複数個にする場合、一つのディスク上に相異なる複数通りのマーキングを付すこともできるし、同じマーキングを繰り返して付すこともできるし、その組合せとすることもできる。例えば、一方のディスクをある色、形状、感触等とし他方のディスクを別の色、形状、触感等とすることでも、マーキングを実現できる。
【0019】
マーキング1、1’は、製造工程において製品に組み込むことができる。例えば、印刷、彫刻、パターニング等を施せばよい。また、マーキング1、1’は、使用者が使用時に区別のためディスクに固定する可動式アクセサリとして、構成することもできる。固定には、接着剤その他の手法を用いることができる。
【0020】
また、両ディスク2、2’を同じ構成とし、図示しない小型デポジットを用いて両者の間の区別を付けられるようにすることもできる。小型デポジットは、流体により充填されるか塑性変形可能な素材により形成乃至充填された、膨張可能な風船状又は袋状の部分乃至部材である。このデポジットは、使用者が使用時に比較的容易に破裂若しくは収縮させ又は圧搾することができるよう、設計する。一方のディスクに設けられているデポジットをこのようにして永久変形させれば、ディスクひいては乳房を区別することが可能となり、次回の授乳をどちらの乳房から始めればよいかを識別できることとなる。
【0021】
図5に示す保護ディスクは第1の種類のディスク2及び第2の種類のディスク2’から構成されており、第1の種類のディスク2は見た目に丸く、第2の種類のディスク2’は見た目に六角形である。自明なことに、ディスク2、2’の外形乃至輪郭は、これ以外の幾何学的形状とすることもできる。また、図示されている構成においては、第1の種類のディスク2の表面を滑らかなものとし第2の種類のディスク2’の表面をでこぼこなものとすることにより、触感的に、光学的に又はその双方により感知できる区別用マーキング1、1’が形成されている。この区別用マーキング1、1’によっても、二種類のディスク2、2’を区別することができる。
【0022】
本発明に係る保護ディスクは二種類のディスク2、2’から構成されており、この保護ディスクを使用する際には、ディスク2、2’同士の外形乃至輪郭の相違や、触感的に、光学的に若しくはその双方により感知できる区別用マーキング1、1’や、或いはその双方によって、ディスク2、2’を互いに明瞭に区別することができる。使用に当たっては、例えば、最後に子供に吸わせた乳房に第1の種類のディスク2を被せ第2の種類のディスク2’を他方の乳房に被せるようにしてもよいし、その逆にしてもよい。何れにせよ、乳房を識別するための指標が保存され混乱が避けられるようにする。このようにすれば、次回授乳を開始する際に、単に保護ディスクを見るのみで或いは保護ディスクに触れるのみで、どちらの乳房から授乳を開始すればよいかを、使用者が即座に知ることができる。加えて、乳房の識別という点からすれば、使用者本人にとって意味のあるアイコン(乳滴印、唇印、「OK」文字、星印等)をマーキングする方が、よいであろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】保護ディスクの一実施形態を示す平面図である。
【図2】このディスクの輪郭図である。
【図3】このディスクの斜視図である。
【図4】このディスクにおける光学的且つ触感的に感知できるマーキングの一例を拡大して表す断面図である。
【図5】本発明の他の実施形態を示す平面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
授乳可能な母親の乳房を保護し当該乳房から自然に流れ出してくる母乳を吸い取るため当該乳房に装着可能な授乳母体用保護ディスクであって、第1の種類のディスク(2)を第2の種類のディスク(2’)に対し見た目に異なる外形乃至輪郭にすること、並びに、触感的に、光学的に若しくはその双方により感知できる高浮き彫り若しくは浅浮き彫りの区別用マーキング(1)を第1の種類のディスク(2)に少なくとも1個付し反対側の乳房に装着される第2の種類のディスク(2’)にはそれら二種類のディスク(2、2’)を互いに区別できるようその種のマーキングを付さないようにするか若しくは別の区別用マーキングを付すこと、のうち、一方又は双方により、互いに明らかに区別できるようにした二種類のディスク(2、2’)を備えることを特徴とする授乳母体用保護ディスク。
【請求項2】
請求項1記載の授乳母体用保護ディスクであって、第2の種類のディスク(2’)に区別用マーキング(1)を取り付けることによりそのディスクを第2の種類から第1の種類へと種類変更できるよう、触感的に、光学的に若しくはその双方により感知できる区別用マーキング(1)を可動式としたことを特徴とする授乳母体用保護ディスク。
【請求項3】
請求項1記載の授乳母体用保護ディスクであって、第1の種類のディスク(2)及び第2の種類のディスク(2’)が、簡単に収縮させ又は破裂させることができ区別用マーキング(1)となり得る膨張可能な風船状又は袋状の小型デポジットを、有することを特徴とする授乳母体用保護ディスク。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2006−510810(P2006−510810A)
【公表日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−560414(P2004−560414)
【出願日】平成15年12月15日(2003.12.15)
【国際出願番号】PCT/EP2003/014249
【国際公開番号】WO2004/054495
【国際公開日】平成16年7月1日(2004.7.1)
【出願人】(505228006)オビー イノーバ エス エル (1)
【Fターム(参考)】