説明

排ガス中の窒素酸化物除去方法

【課題】工業用プラントや内燃機関等からの産業排ガス中の窒素酸化物の除去方法。
【解決手段】Pt、Pd、RhおよびRuよりなる群から選ばれた少なくとも1種の貴金
属またはその化合物0.1〜30g/リットル−触媒およびLi、K、Na、Rb、Ce
、Be、Mg、Ca、SrおよびBaよりなる群から選ばれた少なくとも1種の金属また
はその化合物1〜80g/リットル−触媒からなる触媒活性成分と、耐火性無機酸化物と
からなる触媒を、排ガスと酸化雰囲気下に接触させて該排ガス中の窒素酸化物を該触媒に
吸着ぎせ、次いで該排ガス中に還元物質を間欠的に導入して該触媒に吸着された窒素酸化
物を還元して浄化することによる排ガス中の窒素酸化物の除去方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、産業排ガス中の窒素酸中物の浄化に関する。
【0002】
詳しくは、ボイラー、発電用のプラント、工業用プラント、またはガソリン、ディーゼ
ルエンジン等の内燃機関等からの産業排ガス中の窒素酸中物の浄化に関するものである。
【背景技術】
【0003】
近年、自動車等の内燃機関、ボイラー、工業用プラント等から排出される排気ガス中に
は、窒素酸化物(以下、窒素酸化物の総称としてNOという場合がある。)等の有害物
質が含まれ、大気汚染の原因となっている。一般に、NOは酸化雰囲気(排ガス中の燃
料の未燃焼成分を完全燃焼するに必要とする以上の酸素が排ガス中に存在している雰囲気
)では還元または分解し難く、これらの排気ガス中のNOの除去は困難である。このた
め排気ガス中のNOの除去が種々の方面から検討されている。
【0004】
従来、自動車の排気ガスにおいては、三元触媒を用いて排気ガスを処理し、NOを炭
化水素(HC)および―酸化炭素(CO)と同時に除去する方法が用いられている。しか
しながら、この方法では、排ガス雰囲気がストイキオメトリ(理論空燃比であり、燃料を
完全燃焼するだけの空気比率をいう)付近での使用であり、この理論空燃比以上に過剰の
空気を導入して運転した場合、排気ガス中の炭化水素、一酸化炭素等の未燃焼成分を完全
燃焼させるのに必要な酸素量以上の酸素が存在するため、このような酸化雰囲気の排気ガ
ス中では、NOを還元、分解し、除去するのは困難である。
【0005】
また、ディーゼルエンジンやボイラーにおいては、アンモニア、水素または一酸化炭素
等の還元剤を用いるのが一般的である。しかしながら、この方法においては未反応の還元
剤の回収、処理のための特別な装置が必要という問題があり、自動車のエンジンやビルの
コージェネレーションシステムのような小型のNO発生源への適用が困難であり、さら
に特に比較的低濃度のNOの除去に対しては著しく効率が低下する。
【0006】
最近、NOの除去方法として銅イオンを含有する結晶性アルミノ珪酸塩からなるNO
分解触媒を用いる方法が提案されているが(特許文献1、特許文献2等)、これは単に
一酸化窒素(NO)が窒素(N)と酸素(O)とに分解可能であると示されているに
すぎず、実際の排ガス条件下で有効にNOを除去することは困難である。また、一般に
アルミノ珪酸塩は耐熱性に乏しく、高温での使用に耐えられないことが知られている。
【0007】
また、特許文献3には、炭化水素の存在下に酸化雰囲気下で銅含有触媒を用いて排ガス
を処理すると炭化水素との反応が優先的に促進され、NOが効率よく除去できることが
記載されている。この方法において使用する炭化水素は排ガス中に含まれている炭化水素
でも、あるいは外部から必要に応じて添加する炭化水素でもよいとされている。以下に、
その具体的態様を示すと、まず排ガスを銅含有触媒に接触させてNOを除去し、次いで
酸化触媒に接触させて炭化水素、一酸化炭素などを除去するものである。この方法では、
排ガス中に炭化水素が少ない場合、継続的に炭化水素を排気中に導入しなければならない
。また、酸化雰囲気において、炭化水素とNOの反応よりHCの燃焼が優先的に起こる
ため、十分なNO浄化を行なうためには大量の炭化水素の導入が必要となる。
【0008】
さらに、特許文献4には、トンネル内などのNOを含む空気を吸収塔に通じてNO
を吸収・濃縮し、次いで離脱させたNOをNO還元触媒が充填された反応塔に導入し
て浄化する方法が記載されている。
【0009】
この方法では、NOの吸収と還元に2つの装置が必要となる。
【0010】
このように排ガス中のNOを効率よく分解除去し、高温耐久性に優れ、かつ搭載性に
優れたNO除去方法は開発されていないのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】JP−A−60−125250
【特許文献2】US−A−4297328
【特許文献3】JP−A−63−100919
【特許文献4】JP−A−04−250822
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、本発明の目的は、上記の弊害を防止し、酸化雰囲気の排ガス中PNO
効率よく除去する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的は、下記(1)〜(11)により達成される。
【0014】
(1) 白金、パラジウム、ロジウムおよびルテニウムよりなる群から選ばれた少なく
とも1種の貴金属または該貴金属の化合物を触媒1リットル当り金属換算で0.1〜30
gおよびリチウム、カリウム、ナトリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネ
シウム、カルシウム、ストロンチウムおよびバリウムよりなる群から選ばれた少なくとも
1種の金属または該金属の化合物を触媒1リットル当り金属換算で1〜80gからなる触
媒活性成分と耐火性無機酸化物を触媒1リットル当り50〜400gとからなり、かつ窒
素酸化物飽和吸着量が触媒1リットル当り6〜30ミリモルである触媒を、酸化雰囲気下
の排ガスと接触させて該排ガス中の窒素酸化物を該触媒に吸着させ、次いで該排ガス中に
該触媒に吸着された窒素酸化物(NOとして換算)1モルに対し、還元物質をモル比で1
〜10倍量含有するガスを10秒〜60分間隔で0.1〜20秒間導入して該触媒に吸着
された窒素酸化物を還元して浄化することを特徴とする排ガス中の窒素酸化物の除去方法

【0015】
(2) さらに、マンガン、銅、コバルト、モリブデン、タングステンおよびバナジウ
ムよりなる群から選ばれた少なくとも1種の重金属または該重金属の化合物を、触媒1リ
ットル当り0.1〜50g含有してなる前記(1)に記載の方法。
【0016】
(3) 該触媒の飽和窒素酸化物の全吸着量の50%に達する前に還元物質を導入して
なる前記(1)または(2)に記載の方法。
【0017】
(4) 該排ガスが内燃機関の排ガスである前記(1)〜(3)のいずれか一つに記載
の方法。
【0018】
(5) 該内燃機関の吸気系において、空燃比を下げることにより排ガス中に還元物質
を導入してなる前記(4)に記載の方法。
【0019】
(6) 該内燃機関の吸気系において、理論空燃比ないしリッチ空燃比にすることによ
り還元物質を該ガス中に導入してなる前記(4)に記載の方法。
【0020】
(7) 系外から還元物質を該排ガス中に導入してなる請求項4に記載の方法。
【0021】
(8) 排ガスの流れに対し、上流側に白金、パラジウム、ロジウムおよびルテニウム
よりなる群から選ばれた少なくとも1種の貴金属または該貴金属の化合物を触媒1リット
ル当り金属換算で0.1〜30gおよびリチウム、カリウム、ナトリウム、ルビジウム、
セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウムおよびバリウムより
なる群から選ばれた少なくとも1種の金属または該金属の化合物を触媒1リットル当り金
属換算で1〜80gからなる触媒活性成分と耐火性無機酸化物を触媒1リットル当り50
〜400gとからなり、かつ窒素酸化物飽和吸着量が触媒1リットル当り6〜30ミリモ
ルである触媒を設置し、かつ該排ガスの流れに対して下流側に酸化触媒または三元触媒を
設置し、酸化雰囲気下の排ガスと接触させて該排ガス中の窒素酸化物を該触媒に吸着させ
、次いで該排ガス中に該触媒に吸着された窒素酸化物(NOとして換算)1モルに対し、
還元物質をモル比で1〜10倍量含有するガスを10秒〜60分間隔で0.1〜20秒間
導入して該触媒に吸着された窒素酸化物を還元して浄化することを特徴とする排ガス中の
窒素酸化物の除去方法。
【0022】
(9) 排ガスの流れに対し、上流側に白金、バラジウム、ロジウムおよびルテニウム
よりなる群から選ばれた少なくとも1種の貴金属または該貴金属の化合物を触媒1リット
ル当り金属換算で0.1〜30g、リチウム、カリウム、ナトリウム、ルビジウム、セシ
ウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウムおよびバリウムよりなる
群から選ばれた少なくとも1種の金属または該金属の化合物を触媒1リットル当り金属換
算で1〜80gおよびマンガン、銅、コバルト、モリブデン、タングステンおよびバナジ
ウムよりなる群から選ばれた少なくとも1種の重金属または該重金属の化含物を、触媒1
リットル当り0.1〜50gからなる触媒活性成分と耐火性無機酸化物を触媒1リットル
当り50〜400gとからなり、かつ窒素酸化物飽和吸着量が触媒1リットル当り6〜3
0ミリモルである触媒を設置し、かつ該排ガスの流れに対して下流側に酸化触媒または三
元触媒を設置し、酸化雰囲気下の排ガスと接触させて該排ガス中の窒素酸化物を該触媒に
吸着させ、次いで該排ガス中に該触媒に吸着された窒素酸化物(NOとして換算)1モル
に対し、還元物質をモル比で1〜10倍量含有するガスを10秒〜60分間隔で0.1〜
20秒間導入して該触媒に吸着された窒素酸化物を還元して浄化することを特徴とする排
ガス中の窒素酸化物の除去方法。
【0023】
(10) 該酸化触媒がさらに希土類元素、ニッケル、コバルトおよび鉄よりなる群か
ら選ばれた少なくとも1種の元素の酸化物を触媒1リットル当り0.1〜150g含有し
てなる前記(8)または(9)に記載の方法。
【0024】
(11) 該三元触媒がさらにジルコニアおよびセリウム以外の希土類元素よりなる群
から選ばれた少なくとも1種のものを触媒1リットル当り酸化物換算で0.1〜50g含
有してなる前記(8)または(9)に記載の方法。
【0025】
(12) 排ガスの上流側に三元触媒または酸化触媒を、つぎに前記(8)に記載の触
媒を、さらに下流側に三元触媒または酸化触媒を設置してなることを特徴とする排ガス中
の窒素酸化物の除去方法。
【0026】
(13) 排ガスの上流側に三元触媒または酸化触媒を、つぎに前記(9)に記載の触
媒を、さらに下流側に三元触媒または酸化触媒を設置してなることを特徴とする排ガス中
の窒素酸化物の除去方法。
【発明の効果】
【0027】
本発明は、白金、パラジウム、ロジウムおよびルテニウムよりなる群から選ばれた少な
くとも1種の貴金属または該貴金属の化合物を触媒1リットル当り金属換算で0.1〜3
0gおよびリチウム、カリウム、ナトリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグ
ネシウム、カルシウム、ストロンチウムおよびバリウムよりなる群から選ばれた少なくと
も1種の金属または該金属の化合物を触媒1リットル当り金属換算で1〜80gからなる
触媒活性成分と耐火性無機酸化物を触媒1リットル当り50〜400gとからなり、かつ
窒素酸化物飽和吸着量が触媒1リットル当り6〜30ミリモルである触媒を、酸化雰囲気
下の排ガスと接触させて該排ガス中の窒素酸化物を該触媒に吸着させ、次いで該排ガス中
に該触媒に吸着された窒素酸化物(NOとして換算)1モルに対し、還元物質をモル比で
1〜10倍量含有するガスを10秒〜60分間隔で0.1〜20秒間導入して該触媒に吸
着された窒素酸化物を還元して浄化することを特徴とする排ガス中の窒素酸化物の除去方
法であるから、酸化雰囲気の被処理排気ガス中のNOを酸化・吸着することにより効率
よく除去することができ、また間欠的な還元剤の導入あるいは排気を還元雰囲気にするこ
とにより、該触媒に吸着されたNOを効率よく除きできる。
【0028】
また、本発明方法は、なんら特殊な装置を必要とせず、還元剤を使用するにしても少量
で、効率よくNOを処理し得るものである。
【0029】
さらに、本願発明において使用される触媒系に酸化触媒および/または三元触媒を組み
合わせて使用すれば、炭化水素類や一酸化炭素の浄化効率がさらに上昇するという利点が
ある。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明に係る窒素酸化物除去方法の実験装置を表わす概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
まず、本発明の原理を説明する。本発明においては、まず酸化雰囲気下で、NOを含
有する排気ガスを酸化活性を示す成分と接触させることにより、NOは、一般に排気中
のNO成分の内高い割合で存在するNO、NOなどをNOに酸化または活性化する
。こうして酸化または活性化されたNOは、ついでNO吸着能を有する成分に吸着さ
れる。この蓄積したNOに対し、瞬間的に還元物質を排気に導入することにより、吸着
されたNOを還元または分解し、NO除去を完了するものである。このNOを還元
または分解する機能を有するものが本発明に係る触媒である。
【0032】
本発明に係る還元物質としては、炭化水素類、アルコール類、尿素等の有機物、アンモ
ニア等の無機物等が挙げられ、このうち好ましいものとしては、例えば、炭化水素類とし
ては、飽和、不飽和、直鎖、枝分れ状のいずれの炭化水素であってもよく、また常温でガ
ス体、液体のいずれであってもよく、常温でガス体のものであれば炭素鎖はC1〜C4の
炭化水素、常温で液状のものであれば炭素鎖はC5〜C20の炭化水素、また場合によっ
てはガソリン、灯油または軽油等の炭化水素の混合物を用いることもできる。
【0033】
アルコール類としては飽和、不飽和、直鎖、枝分れ状のいずれのアルコールであっても
よく、炭素鎖はC1〜C6であり、一価アルコール以外に、二価または三価のアルコール
であってもよい。また無機物としては、アンモニア以外には、水素、一酸化炭素等の使用
ができる。
【0034】
この還元物質の導入量は、触媒に吸着した窒素酸化物(NO換算)1モルに対し、還元
物質をモル比で、1〜10倍量、特に1〜5倍量含有することが好ましい。なお、この量
については、還元物質が無機物である場合は、その分子1モルを基準とし、有機物である
場合は、炭素1原子を基準として換算する。
【0035】
この還元物質は、通常、ガス状で触媒上に導入することが好ましい。しかし、液体であ
ってもノズル等により、霧状で直接触媒上に導入することもできる。
【0036】
還元物質の導入量が1倍未満である場合は、十分な発明の効果が得られず、一方、10
倍を超える場合は、発明の効果自体はあるが、未反応の還元物質の処理が開題となる。
【0037】
なお、この処理については、触媒自体の還元剤の処理活性にも関係するため、使用する
触媒により、還元剤の導入限界には、若干の変動がある。
【0038】
なお、還元物質が無機物である場合は、上記値は還元物質のモル比を基準とし示すに対
し、有機物である場合は、有機物の炭素の数を基準として上記値を示す。また、尿素の場
合は、アンモニアで2モルとして上記値を適用する。
【0039】
この吸着窒素酸化物の吸着量の測定は、例えば、以下のような予備実験を行なうことに
より規定することができる。
【0040】
詳しくは、この吸着量は、本発明に係る方法を実施する条件下、直接内燃機関において
、または内燃機関からの排ガスの温度、組成、流量等を模倣した机上の装置において、測
定することができる。以下に手順を示す。
【0041】
まず、触媒充填層の前方と後方に窒素酸化物の分析計を設置した排気管の触媒充填層に
本発明に係る触媒を所定量充填する。次いで触媒の使用条件下の排ガス温度および流量に
設定した酸素と窒素の混合ガスを流通し、十分安定させた後、触媒の使用条件下での窒素
酸化物濃度を含有するガスに、切り替えて触媒充填層に導入する。触媒充填層の後方に設
置した窒素酸化物の分析計により窒素酸化物濃度の変化が生じなくなるまで連続的に測定
し、触媒充填層の前方、後方の窒素酸化物濃度の差を積算し、この量をもって触媒の窒素
酸化物吸着量と規定する。
【0042】
触媒によっては、窒素酸化物の吸着量の測定時において窒素酸化物を分解するものがあ
り、このような触媒についての吸着量測定は、触媒充填層の前方の窒素酸化物の濃度を基
準とすることはできないため、上記触媒充填層の前方の濃度の値に代えて、上記吸着量の
測定時において触媒充填層の後方の窒素酸化物の濃度が定常値を示す値を用い、前記同様
に吸着量を算出する。
【0043】
間欠的に還元剤を導入する場合、その導入量は、排ガスの流量、流速、窒素酸化物濃度
および触媒の窒素酸化物の吸着量により適宜選択されるものであるが、好ましくは触媒の
窒素酸化物吸着量が飽和状態に達成する前に還元剤を導入することである。この飽和状態
に達成する前に導入する方法としては、上記排ガスの流量、流速および窒素酸化物濃度よ
り単位時間当りの排ガスの窒素酸化物量を予め求め、触媒の窒素酸化物吸着量が飽和に達
成しない程度の時間を予測し還元剤を導入するものである。
【0044】
この飽和状態に達成する前の好ましい条件としては、飽和吸着量の5%〜90%であり
、好ましくは15%〜80%である。さらに、好ましくは15%から48%である。
【0045】
5%未満である場合は、還元剤の導入を頻繁にする必要があり、装置の条件上、好まし
くはなく、また90%を超える場合は、飽和吸着量に近づくため、窒素酸化物が吸着され
難くなり、触媒を通過する窒素酸化物が増加するので、本発明の効果が少なくなるもので
ある。
【0046】
また、還元剤によっては、空気中の酸素により酸化され、導入量に見合う効果が得られ
ないこともあるので、この場合は、予め還元剤の酸化され易さを使用条件下で、不活性担
体等を使用して測定し、その分を過剰に導入することが好ましい。
【0047】
この導入に際し、前記の測定より随時、対応する還元物質を導入することもできるが、
簡便な方法としては、上記の方法を適宜繰り返し、これらの値を平均化し、これに対応す
る還元物質の所定量を導入することもできる。
【0048】
本発明に係る還元剤の好ましい導入間隔としては、7秒〜60分間隔、さらに好ましく
は、10秒〜20分間隔で、導入するものである。すなわち、10秒未満である場合は、
頻繁に導入しすぎることになり、効率、経済性が悪いものであり、一方、60分を超える
場合は、本発明の触媒のNOの吸着能を超える場合があり、NO浄化には好ましくな
いものである。
【0049】
その導入時間は0.1〜20秒間、好ましくは1〜10秒間で導入するものであり、0
.1秒未満である場合は、吸着したNOを充分除去できない場合が生じるおそれがあり
、20秒を超える場合は、還元物質が有効に働かない場合も生じるため好ましくないもの
である。
【0050】
なお、上記、還元物質の導入間隔、導入時間は、使用する触媒により、好ましい条件が
若干変動があるので、上記範囲内で適宜変更使用することができる。
【0051】
本発明の方法では、従来の方法に比べ、酸化または活性化されて吸着したNOは触媒
上で活性化された状態で濃縮されており、連続的に還元剤を導入する場合と異なり、高い
選択率でNOを還元することができるため。導入する還元剤の総量も少量で済む。還元
剤の連続的な導入はNOの酸化または吸着を阻害し、かえってNO浄化効率を低下さ
せる場合がある。また内燃機関の吸気系において、空気吸入量を減らすこと、または燃料
を過剰に供給することを、瞬間的に行なうことにより、排気が瞬間的に還元雰囲気となり
、蓄積したNOを除去できる。以上のサィクルを繰り返すことにより、連続的に排気中
のNOを除去することが可能となる。
【0052】
さらに好ましくは、排ガス中の空気過剰の状態でNOを触媒に吸着させ、吸着NO
の浄化時において、還元剤と蓄積された窒素酸化物との反応が、還元剤の酸化反応よりも
生じやすくなる程度に、還元剤を導入する間の酸素濃度を低下させることができる条件で
還元物質を導入することである。これにより、さらに効率的に蓄積された窒素酸化物の除
去を行なうことができる。
【0053】
本発明の方法が適応される排ガスは、特に限定されるものではないが、効果のある排ガ
スとしては、1〜5000ppmのNOを含有する酸素過剰雰囲気の排気ガスであり、
さらに効果的であるのは、100〜300ppmのNOを含有する酸素過剰雰囲気の排
気ガスである。酸化雰囲気でなければ従来の方法が適用でき、また1ppm未満である場
合は、吸着平衡論的に吸着側に不利であり、5000ppmを超える場合は、頻繁に還元
物質を導入しなければならず、好ましくはないものである。また、本発明は、浄化時にお
いて、全ての時間で、酸化雰囲気である必要はなく、酸化雰囲気、還元雰囲気を繰り返す
場合においても使用できる。
【0054】
本発明においては、原理上被処理ガスのNO濃度に依存せずにNO除去を行なえる
が、被処理ガス中の窒素酸化物濃度が高い場合,還元剤の導入または排気を還元雰囲気に
する間隔を短くする必要が生じる。本発明における被処理ガスの触媒層に対する空間速度
(S.V.)は、1000〜30万/hr、特に、10,000〜20万/hrの範囲で
あることが望ましい。すなわち、30万/hrを超える場合は十分な反応性が得られ難く
、また、1000未満では触媒容積が大きくなる上に、ガス流路における拡散の影響が大
きくなり、間欠的に還元物質を導入する、または排気を還元雰囲気にする効果が得られな
い。
【0055】
本発明で使用される触媒は、(A)(a)白金、パラジウム、ロジウムおよびルテニウ
ムよりなる群から選ばれた少なくとも1種の貴金属または該貴金属の化合物を触媒1リッ
トル当り金属換算で0.1〜30gおよび(b)リチウム、カリウム、ナトリウム、ルビ
ジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウムおよびバリ
ウムよりなる群から選ばれた少なくとも1種のアルカリないしアルカリ土類金属または該
金属の化合物を触媒1リットル当り金属換算で1〜80gよりなる触媒活性成分と、(B
)耐火性無機酸化物とからなるもので、さらに必要に応じて触媒活性成分としてマンガン
、銅、コバルト、モリブデン、タングステンおよびバナジウムよりなる群から選ばれた少
なくとも1種の重金属または該重金属の化合物を触媒1リットル当り0.1〜50g含有
してなるものである。
【0056】
上記成分のうち、酸化雰囲気下でNOを酸化する成分としては、白金、パラジウム、
ロジウム、ルテニウム等の貴金属、特に白金および/またはパラジウムが有効である。
【0057】
これらの貴金属は、酸化雰囲気下ではNOを酸化する作用がある一方、還元物質の存
在または還元雰囲気下においてはNOを還元・分解する作用を示す。このため、これら
の貴金属を使用することにより酸化雰囲気下におけるNOの酸化または活性化と間欠的
な還元物質の導入または還元雰囲気下における吸着したNO、特にNOの浄化が効率
よく行なえる。これらの貴金属の使用量は触媒1リットル当り金属換算で0.1〜30g
、好ましくは0.5〜5gである。すなわち、0.1g未満では、NOの酸化反応が進
行しにくくなり、NOの吸着量が少なくなる。また。吸着したNOを十分に還元除去
できなくなる。―方、30gを超えると、使用量に見合った性能が得られず、コストが高
くなり、経済性の面から好ましいものではない。
【0058】
酸化・活性化されたNO特にNOを吸着する成分としては、リチウム、ナトリウム
、カリウム、ルビジウム、セシウム等のアルカリ金属またはその化合物および/またはマ
グネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等のアルカリ土類金属またはその化
合物、特にアルカリ金属の化合物が有効である。使用量は触媒1リットル当り金属換算で
1〜80g、好ましくは5〜50gである。すなわち、1g未満では十分なNO吸着能
力を得られないため、NOの処理能力が低下する。一方、80gを超えると、かなり塩
基性が強くなり、NOを強固に吸着することと、貴金属によるNO酸化反応およびN
還元反応を抑制することによりNO処理能力を低下させる。しかして、アルカリ金
属としては、カリウム、ナトリウムが特に好ましい。なお、本記載のうち、特にことわら
ない場合は、上記アルカリ金属等の量は金属換算で示す。
【0059】
さらに、上記の成分に加えて添加される触媒括性成分としては、マンガン、銅、コバル
ト、モリブデン、タングステン、バナジウムよりなる群から選ばれた少なくとも1種の金
属またはその化合物を加えることによって、より効率よくNO浄化が行なわれる。これ
らの成分は、酸化雰囲気でのNOの酸化・吸着を促進する働きおよび/または還元剤の
存在または酸化雰囲気下での吸着したNOの還元・分解を促進する働きがあると考えら
れる。
【0060】
これらの成分は、触媒1リットル当り0.1〜50g、好ましくは1〜20gである。
すなわち、0.1g未満では、窒素酸化物の吸着量の促進およびNOの還元反応を十分
に行なうことができない。一方、50gを超えると、使用量に見合うNO吸着能の向上
およびNO還元能の向上が得られない。
【0061】
耐火性無機酸化物としては、通常触媒担体として使用されるもの、例えばαーアルミナ
もしくはγ−、δ−、η−、θ−などの活性アルミナ、チタニア、ジルコニア、セリア、
ランタナもしくはシリカまたはこれらの混合物や複合酸化物を使用できる。これらの耐火
性無機酸化物は、触媒1リットル当り50〜400g、好ましくは100〜300gであ
る。なお、特に、ことわらない場合は、これらの酸化物の重量は、安定な酸化物を基準と
して換算する。該耐火性無機酸化物は、通常粉末状であり、また、そのBrunauer
−Emmett−Te11er(以下、「BET」という)表面積は、10〜400m
/g、好ましくは50〜300m/gである。
【0062】
NOの吸着と酸化を連続して効率よく行なうため、酸化成分、吸着成分および補助成
分は、耐火性無機酸化物上で局在せず均一に混合した状態で担持されるのが望ましい。
【0063】
本発明において、以上の触媒活性成分および耐火性無機酸化物からなる混合物は、実際
の排気処理において、粉体のままあるいはペレット状やハニカム状などに成形して、ある
いは上記触媒活性成分等を三次元構造体に被覆して使用する。このうち、三次元構造体に
被覆する方法が望ましい。三次元構造体としては、ペレット状、ハニカム担体等があるが
、一体成形のハニカム構造体が好ましく、例えばモノリスハニカム担体、メタルハニカム
担体、プラグハニカム担体などを挙げることができる。
【0064】
モノリス担体としては、通常、セラミックハニカム担体と称されるものであればよく、
特にコージェライト、ムライト、α−アルミナ、ジルコニア、チタニア、リン酸チタン、
アルミニウムチタネート、ベタライト、スポジュメン、アルミノシリケート、マグネシウ
ムシリケート等を材料とするハニカム担体が好ましく、なかでもコージェライト質のもの
が特に好ましい。そのほか、ステンレス綱、Fe−Cr−A1合金等のごとき酸化抵抗性
の耐熱金属を用いて一体構造体としたものも使用される。
【0065】
これらモノリス担体は、押出成形法やシート状素子を巻き固める方法等で製造される。
そのガス通過口(セル形状)の形は6角形、4角形、3角形またはコルゲーション形のい
ずれであってもよい。セル密度(セル数/単位断面積)は100〜600セル/平方イン
チあれば十分に使用可能であり、好ましくは200〜500セル/平方インチである。
【0066】
これらのハニカム構造体に対して触媒活性成分と耐火性無機酸化物の混合物の担持量は
触媒1リットルに対して、50〜500g、望ましくは100〜300gである。すなわ
ち、50g未満では、担持量が低くすぎて十分な活性が得られず、500gを超えると、
排気の圧力損失などの不都合を生じる。
【0067】
なお、触媒1リットル当りの触媒活性成分の使用量とは、触媒活性成分自体を成型した
場合は、その成型体自体の体積を基準とし、また、三次元構造体に触媒活性成分を担持し
た場合は、三次元構造体を基準として表示する。
【0068】
触媒の調製法としては、以下に示す方法を使用できるが、本発明の趣旨に反しない限り
、以下に示す以外の方法を使用することもできる。すなわち、(a)耐火性無機酸化物に
触媒活性成分の混合溶液を含浸し、乾燥し、必要により焼成し、得られた粉体に水等を加
え湿式粉砕してスラリー状とし、ハニカム構造体に塗布して乾燥し、必要により焼成して
完成触媒を得る方法、(b)耐火性無機酸化物に水等を加え湿式粉砕してスラリー状とし
、ハニカム構造体に塗布して乾燥し、必要により焼成した後、触媒活性成分の混合溶液に
含浸し、乾燥し、必要により焼成して完成触媒を得る方法、(c)耐火性無機酸化物に一
部の触媒活性成分(例えばNO酸化成分)の混合溶液を含浸し、乾燥し、必要により焼
成し、得られた粉体に水等を加え湿式粉砕してスラリー状とし、ハニカム構造体に塗布し
て乾燥し、必要により焼成した後、残りの触媒活性成分(例えばNO吸着成分)の混合
溶液に含浸し、乾燥し、必要により焼成して完成触媒を得る方法、が挙げられる。触媒活
性成分の原料としては、硝酸塩、塩化物、硫酸塩、炭酸塩、酢酸塩等が挙げられる。
【0069】
排ガス中の炭化水素類、一酸化炭素等の濃度が高い場合には、上記触媒に、酸化用触媒
または三元触媒と併用することができ、併用する場合、排気口に対し、前段に上記の触媒
を設置し、後段に酸化用触媒または三元触媒を設置することもできる。特に、排ガス中の
炭化水素類、一酸化炭素等の濃度が高いときには、酸化触媒をストイキオメトリーでのN
浄化を向上させるには、三元触媒を使用するものである。
【0070】
排ガスが温度が低い場合には、自動車が始動するときのように排ガスの浄化率が低くな
る。特にCOおよびHCの浄化率が著しくなるため好ましくない。この場合予め排ガスの
温度を上昇させることにより、HC等の浄化率を向上させることができる。ウォームアッ
プ用の触媒として、三元触媒または酸化用触媒も設置し、排ガスを浄化することができる

【0071】
この場合、排ガスの上流側より、三元触媒または酸化用触媒を、次に(請求項1の触媒
)を設置し、さらに下流側に三次元触媒または酸化用触媒を設置してなる窒素酸化物の除
去方法を採ることができる。
【0072】
酸化用触媒としては、通常炭化水素、一酸化炭素を酸化しうる触媒であれば、特に限定
されるものではなく、例えば、酸化触媒に用いる触媒成分としては、白金および/または
パラジウムである貴金属とアルミナ、チタニア、シリカ等の耐火性無機酸化物である。さ
らに、酸化ランタン(La)等の稀土類酸化物や鉄、コバルト、ニッケル等の金属
を1種または2種以上添加する場合がある。担持量は、触媒1リットル当り貴金属が0.
1〜5g/リットルが好ましく、耐火性無機酸化物が100〜300g/リットルが好ま
しく、また希土類元素の酸化物を添加する場合は、0を超えて150g/リットル以下が
好ましい。貴金属が0.1g/リットル未満である場合は浄化能力が低く、5g/リット
ルを超えて添加しても添加に見合った効果が少ないものである。耐火性無機酸化物が10
g/リットル未満である場合は貴金属等の分散性が低くなり好ましくなく、300g/リ
ットルを超える場合は、ハニカム等の担体に耐火性無機酸化物を担持した場合のハニカム
の目詰まりを生じるため、好ましくはないものである。希土類元素の酸化物を添加するの
は、耐火性無機酸化物の熱安定性の向上のためであるが、150g/リットルを超えて添
加する場合は触媒成分の担持強度を低下させることになるため好ましくはない。本発明で
は排気ガスの上流側に白金およびパラジウムから選ばれた少なくとも1種の金属とカリウ
ム、ナトリウム、ルビジウムおよびセシウムから選ばれた少なくとも1種の金属と耐火性
無機酸化物を含有する触媒を配置し、次いで酸化触媒を配置したときは酸化触媒を配置し
ない場合に比べてさらにCOやHC等を低減することができる。
【0073】
通常、三元触媒に用いる触媒成分としては、(a)パラジウム、(b)白金およびロジ
ウム、(c)パラジウムおよびロジウム、(d)白金、パラジウムおよびロジウムである
貴金属とアルミナ、チタニア、シリカ等の耐火性無機酸化物と、セリアとが必須である。
さらにジルコニア、セリウム以外の希土類元素の酸化物、例えば、酸化ランタン(La
)等の希土類元素の酸化物を添加することもできる。また該三元触媒は、通常ハニカ
ム等の通常触媒担体として用いられるものに触媒成分を担持し調製される。触媒1リット
ル当りの担持量は、貴金属を0.1〜5g/リットルが好ましく、アルミナ、チタニア、
シリカ等の耐火性無機酸化物を10〜300g/リットルが好ましく、セリア(Ce
)を10〜150g/リットルが好ましく、セリウム以外の希土類元素の酸化物を0を
超え50g/りットル以下であることが好ましい。貴金属を0.1g/リットル未満であ
る場合は、浄化能力が低く、5g/リットルを超えて添加しても添加に見合った効果が少
ないものである。耐火性無機酸化物が10g/リットル未満である場合は貴金属等の分散
性が低くなり好ましくなく、300g/リットルを超える場合は、ハニカム等の担体に耐
火性無機酸化物を担持した場合のハニカムの目詰まりを生じるため、好ましくはないもの
である。セリアが10g/リットル未満である場合はセリアの酸素貯蔵排出効果が触媒全
体に十分に発揮できず、150g/リットルを超える場合は触媒成分の担持強度を低下さ
せるため好ましくはない。また、セリウム以外の希土類元素の酸化物を添加するのは、耐
火性無機酸化物の熱安定性の向上のためであるが、50g/リットルを超えて添加する場
合は、該三元触媒にセリアがある程度担持されているため、触媒成分の担持強度を低下さ
せることになるため好ましくはない。三元触媒はストイキオメトリー条件でNOを除去
するが、リーン条件ではNOを除去することはできない。しかしながら、本発明では排
気ガスの上流側に白金およびパラジウムから選ばれた少なくとも1種の金属とカリウム、
ナトリウム、ルビジウムおよびセシウムから選ばれた少なくとも1種の金属と耐火性無機
酸化物を含有する触媒を配置し、次いで三元触媒を配置したときは三元触媒を配置しない
場合に比べてストイキオ条件においてさらにNOを低減することができる。
【0074】
このような三元触媒としては、例えばつぎのようなものがある。
【0075】
(a) 触媒1リットル当り、パラジウム0.5〜30g、アルカリ土類金属酸化物0
.1〜50g、セリウム酸化物10〜150gおよびジルコニウム酸化物0.11〜50
gよりなる触媒活性成分および活性アルミナ10〜300gよりなる混合物を、モノリス
機造担体に担持してなる三元触媒(特願平4−82311号)。
【0076】
(b) 触媒1リットル当りパラジウム0.5〜30g、アルカリ土類金属酸化物0.
1〜50g、ランタン酸化物0.1〜50g、セリウム酸化物10〜150gおよびジル
コニウム酸化物0.1〜50gよりなる触媒活性成分および活性アルミナ10〜300g
よりなる混合物を、モノリス構造担体に担持してなる三元触媒(特願平4−149400
号)。
【0077】
(c) 触媒1リットル当り、パラジウム0.5〜30g、アルカリ土類金属酸化物0
.1〜50g、セリウム酸化物10〜150g、ジルコニウム酸化物0.1〜50gおよ
びチタン酸化物1〜150gよりなる触媒活性成分および活性アルミナ10〜300gよ
りなる混合物を、モノリス構造担体に担持してなる三元触媒(特願平4ー166383号
)。
【0078】
(d) 触媒1リットル当り、パラジウム0.5〜30g、アルカリ土類金属酸化物0
.1〜50、セリウム酸化物10〜150g、ジルコニウム酸化物0.1〜50gおよび
ケイ素酸化物0.1〜50gよりなる触媒活性成分および活性アルミナ10〜300gよ
りなる混合物を、モノリス構造担体に担持してなる三元触媒(特願平4−166460号
)。
【0079】
(e) 触媒1リットル当り、パラジウム0.5〜30g、アルカリ土類金属酸化物0
.1〜50g、セリウム酸化物10〜150g、ジルコニウム酸化物0.1〜50g、チ
タン酸化物1〜150gおよびケイ素酸化物0.05〜50gよりなる触媒活性成分およ
び活性アルミナ10〜300gよりなる混合物を、モノリス構造担体に担持してなる三元
触媒(特願平4−167136号)。
【0080】
(f) 触媒1リットル当り、鉄、コバルトおよびニッケルよりなる群から選ばれた少
なくとも1種の金属の酸化物0.1〜20g、パラジウム0.5〜30g、アルカリ土類
金属酸化物0.1〜50g、セリウム酸化物10〜150gおよびジルコニウム酸化物0
.1〜50gよりなる触媒活性成分および活性アルミナ10〜300gよりなる混合物を
、モノリス構造担体に担持してなる三元触媒(特願平4−167363号)。
【0081】
(g) 触媒1リットル当り、プラチナとパラジウムの合計で0.1〜5g、ロジウム
0.1〜1g、およびセリウム酸化物10〜150gよりなる触媒活性成分および活性ア
ルミナ20〜200gよりなる混合物をモノリス構造担体に担持してなる三元触媒(特開
昭62−91244号)。
【0082】
(h) 触媒1リットル当り貴金属0.1〜10g、セリウム酸化物1〜150gおよ
び耐火性無機酸化物50〜200gをモノリス構造担体に担持してなる三元触媒(特開平
1−27643号)。
【実施例】
【0083】
以下、実例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の趣旨に反しない限り
本実施例のみに限定されるものではない。
【0084】
参考例1
BET表面積100m/gを有する活性アルミナ200gに白金3gを含むジニトロ
ジアンミン白金水溶液を加え、混合し、120℃で2時間乾燥、500℃で2時間焼成し
た。この得られた粉体をボールミルにより湿式粉砕して、水性スラリーを得、これに市販
のコージェライト質ハニカム担体(日本硝子製、横断面が1インチ平方当たり400個の
ガス流通セルを有し、直径33mm、長さ76mm、体積65ml)を浸漬した後、余剰
のスラリーを圧縮空気により吹き飛ばした。次いで120℃で2時間乾燥し、500℃で
2時間焼成し、白金担持アルミナ粉体を被覆したハニカム担体を得た。さらに、得られた
ハニカム担体を、4.3モル/リットルの濃度の硝酸ナトリウム水溶液に浸漬した後、過
剰の溶液を圧縮空気により吹き払い、これを120℃で乾燥し、500℃で焼成して、完
成触媒(1)を得た。この触媒は担体に対して白金3g/リットル(ハニカム担体1リッ
トル当りの担持量gを示す)、ナトリウム10g/リットル(金属換算重量)および活性
アルミナ200g/リットル担持されていた。
【0085】
参考例2
参考例1において白金3gを含むジニトロジアンミン白金水溶液を用いる代わりにパラ
ジウム3gを含む硝酸パラジウム水溶液を用いる以外は参考例1と同様の操作を行ない、
完成触媒(2)を得た。この触媒は担体に対してパラジウム3g/リットル、ナトリウム
10g/リットルおよび活性アルミナ200g/リットル担持されていた。
【0086】
参考例3
参考例1において白金3gを含むジニトロジアンミン白金水溶液を用いる代わりにロジ
ウム3gを含む硝酸ロジウム水溶液を用いる以外は参考例1と同様の操作を行ない、完成
触媒(3)を得た。この触媒は担体に対してロジウム3g/リットル、ナトリウム10g
/リットルおよび活性アルミナ200g/リットル担持されていた。
【0087】
参考例4
参考例1において白金3gを含むジニトロジアンミン白金水溶液を用いる代わりにルテ
ニウム3gを含む塩化ルテニウム水溶液を用いる以外は参考例1と同様の操作を行ない、
完成触媒(4)を得た。この触媒は担体に対してルテニウム3g/リットル、ナトリウム
10g/リットルおよび活性アルミナ200g/リットル担持されていた。
【0088】
参考例5
参考例1において4.3モル/リットルの濃度の硝酸ナトリウム水溶液を用いる代わり
に14.4モル/リットルの濃度の硝酸リチウム水溶液を用いる以外は参考例1と同様の
操作を行ない、完成触媒(5)を得た。この触媒は担体に対して白金3g/リットル、リ
チウム10g/リットルおよび活性アルミナ200g/リットル担持されていた。
【0089】
参考例6
参考例1において4.3モル/リットルの濃度の硝酸ナトリウム水溶液を用いる代わり
に2.6モル/リットルの濃度の硝酸カリウム水溶液を用いる以外は参考例1と同様の操
作を行ない、完成触媒(6)を得た。この触媒は担体に対して白金3g/リットル、カリ
ウム10g/リットルおよび活性アルミナ200g/リットル担持されていた。
【0090】
参考例7
参考例1において4.3モル/リットルの濃度の硝酸ナトリウム水溶液を用いる代わり
に1.2モル/リットルの濃度の硝酸ルビジウム水溶液を用いる以外は参考例1と同様の
操作を行ない、完成触媒(7)を得た。この触媒は担体に対して白金3g/リットル、ル
ビジウム10g/リットルおよび活性アルミナ200g/リットル担持されていた。
【0091】
参考例8
参考例1において4.3モル/リットルの濃度の硝酸ナトリウム水溶液を用いる代わり
に0.8モル/リットルの濃度の硝酸セシウム水溶液を用いる以外は参考例1と同様の操
作を行ない、完成触媒(8)を得た。この触媒は担体に対して白金3g/リットル、セシ
ウム10g/リットルおよび活性アルミナ200g/リットル担持されていた。
【0092】
参考例9
参考例1において4.3モル/リットルの濃度の硝酸ナトリウム水溶液を用いる代わり
に11.1モル/リットルの濃度の硝酸ベリリウム水溶液を用いる以外は参考例1と同様
の操作を行ない、完成触媒(9)を得た。この触媒は担体に対して白金3g/リットル、
ベリリウム10g/リットルおよび活性アルミナ200g/リットル担持されていた。
【0093】
参考例10
参考例1において4.3モル/リットルの濃度の硝酸ナトリウム水溶液を用いる代わり
に8.2モル/リットルの濃度の硝酸マグネシウム水溶液を用いる以外は参考例1と同様
の操作を行ない、完成触媒(10)を得た。この触媒は担体に対して白金3g/リットル
、マグネシウム20g/リットルおよび活性アルミナ200g/リットル担持されていた

【0094】
参考例11
参考例1において4.3モル/リットルの濃度の硝酸ナトリウム水溶液を用いる代わり
に5.0モル/リットルの濃度の硝酸カルシウム水溶液を用いる以外は参考例1と同様の
操作を行ない、完成触媒(11)を得た。この触媒は担体に対して白金3g/リットル、
カルシウム20g/リットルおよび活性アルミナ200g/リットル担持されていた。
【0095】
参考例12
参考例1において4.3モル/リットルの濃度の硝酸ナトリウム水溶液を用いる代わり
に2.3モル/リットルの濃度の硝酸ストロンチウム水溶液を用いる以外は参考例1と同
様の操作を行ない、完成触媒(12)を得た。この触媒は担体に対して白金3g/リット
ル、ストロンチウム20g/リットルおよび活性アルミナ200g/リットル担持されて
いた。
【0096】
参考例13
参考例1において4.3モル/リットルの濃度の硝酸ナトリウム水溶液を用いる代わり
に1.5モル/リットルの濃度の酢酸バリウム水溶液を用いる以外は参考例1と同様の操
作を行ない、完成触媒(13)を得た。この触媒は担体に対して白金3g/リットル、バ
リウム20g/リットルおよび活性アルミナ200g/リットル担持されていた。
【0097】
参考例14
参考例1において白金3gを含むジニトロジアンミン白金水溶液を用いる代わりに白金
3gを含むジニトロジアンミン白金と銅2gを含む硝酸銅の混合水溶液を用いる以外は参
考例1と同様の操作を行ない、完成触媒(14)を得た。この触媒は担体に対して白金3
g/リットル、銅2g/リットル、ナトリウム10g/リットルおよび活性アルミナ20
0g/リットル担持されていた。
【0098】
参考例15
参考例1において白金3gを含むジニトロジアンミン白金水溶液を用いる代わりに白金
3gを含むジニトロジアンミン白金とコバルト2gを含む硝酸コバルトの混合水溶液を用
いる以外は参考例1と同様の操作を行ない、完成触媒(15)を得た。この触媒は担体に
対して白金3g/リットル、コバルト2g/リットル、ナトリウム10g/リットルおよ
び活性アルミナ200g/リットル担持されていた。
【0099】
参考例16
参考例1において白金3gを含むジニトロジアンミン白金水溶液を用いる代わりに白金
3gを含むジニトロジアンミン白金とマンガン2gを含む硝酸マンガンの混合水溶液を用
いる以外は参考例1と同様の操作を行ない、完成触媒(16)を得た。この触媒は担体に
対して白金3g/リットル、マンガン2g/リットル、ナトリウム10g/リットルおよ
び活性アルミナ200g/リットル担持されていた。
【0100】
参考例17
参考例1と同様の操作を行ない得られた触媒(A)を、0.5モル/リットルの濃度の
モリブデン酸アンモニウム水溶液に浸漬した後、過剰の溶液を圧縮空気により吹き払い、
これを120℃で乾燥し、500℃で焼成して、完成触媒(17)を得た。この触媒は担
体に対して白金3g/リットル、ナトリウム10g/リットル、モリブデン5g/リット
ルおよび活性アルミナ200g/リットル担持されていた。
【0101】
参考例18
参考例1と同様の操作を行ない得られた触媒(A)を、0.3モル/リットルの濃度の
タングステン酸アンモニウム水溶液に浸漬した後、過剰の溶液を圧縮空気により吹き払い
、これを120℃で乾燥し、500℃で焼成して、完成触媒(18)を得た。この触媒は
担体に対して白金3g/リットル、ナトリウム10g/リットル、タングステン5g/リ
ットルおよび活性アルミナ200g/リットル担持されていた。
【0102】
参考例19
参考例1と同様の操作を行ない得られた触媒(A)を、1.0モル/リットルの濃度の
蓚酸バナジル水溶液に浸漬した後、過剰の溶液を圧縮空気により吹き払い、これを120
℃で乾燥し、500℃で焼成して、完成触媒(19)を得た。この触媒は担体に対して白
金3g/リットル、ナトリウム10g/リットル、バナジウム5g/リットルおよび活性
アルミナ200g/リットル担持されていた。
【0103】
参考例20
参考例1で用いた活性アルミナ100gに白金2gを含むジニトロジアンミン白金水溶
液とロジウム0.4gを含む硝酸ロジウム水溶液との混合液を加え、混合し、120℃で
2時間乾燥、500℃で2時間焼成した。この得られた粉体と酸化セリウム50gとをボ
ールミルにより湿式粉砕して、水性スラリーを得、これに参考例1で用いたハニカム担体
を浸漬した後、余剰のスラリーを圧縮空気により吹き飛ばした。次いで120℃で2時間
乾燥し、完成触媒(20)を得た。この触媒は担体に対して白金2g/リットル、ロジウ
ム0.4g/リットル、酸化セリウム50g/リットルおよび活性アルミナ100g/リ
ットル担持されていた。
【0104】
参考例21
ZSM−5型ゼオライトの調製方法は、文献(Rapid Crystallizat
ion Method,Proceedings 8th International
Congress on Catalysis,Berin,1984,Vol1.3
,P569)に基づいて行なった。得られたゼオライトはX線回析により、ZSM−5型
ゼオライトであることを確認した。このZSM−5型ゼオライト1.5kgに純水6リッ
トルを加え、98℃で2時間攪拌した後、80℃で0.2モル/リットルの濃度の銅アン
ミン錯体水溶液をゆっくりと滴下した。滴下終了後、80℃で12時間攪拌を続けた。室
温に冷却した後、このゼオライトを濾過し、十分洗浄した後、120℃で24時間乾燥し
た。この得られた粉体をボールミルにより湿式粉砕して水性スラリーを得た。以下、参考
例1と同様に行ない、完成触媒(21)を得た。この触媒は、担体に対してZSM−5型
ゼオライト120g/リットルおよび銅6.9g/リットルが担持されていた。
【0105】
参考例22
参考例6において白金3gを含むジニトロジアンミン白金水溶液を用いる代わりに白金
0.05gを用いる以外は参考例6と同様の操作を行ない、完成触媒(22)を得た。こ
の触媒は担体に対して白金0.05g/リットル、カリウム10g/リットルおよび活性
アルミナ200g/リットル担持されていた。
【0106】
参考例23
参考例6において白金3gを含むジニトロジアンミン白金水溶液を用いる代わりに白金
0.2gを用いる以外は参考例6と同様の操作を行ない、完成触媒(23)を得た。この
触媒は担体に対して白金0.2g/リットル、カリウム10g/リットルおよび活性アル
ミナ200g/リットル担持されていた。
【0107】
参考例24
参考例6において白金3gを含むジニトロジアンミン白金水溶液を用いる代わりに白金
25gを用いる以外は参考例6と同様の操作を行ない、完成触媒(24)を得た。この触
媒は担体に対して白金25g/リットル、カリウム10g/リットルおよび活性アルミナ
200g/リットル担持されていた。
【0108】
参考例25
参考例6において白金3gを含むジニトロジアンミン白金水溶液を用いる代わりに白金
40gを用いる以外は参考例6と同様の操作を行ない、完成触媒(25)を得た。この触
媒は担体に対して白金40g/リットル、カリウム10g/リットルおよび活性アルミナ
200g/リットル担持されていた。
【0109】
参考例26
参考例6において白金3gを含むジニトロジアンミン白金水溶液を用いる代わりに白金
3gを含むジニトロジアンミン白金水溶液とパラジウム2gを含む硝酸パラジウム水溶液
との混合液を用いる以外は参考例6と同様の操作を行ない、完成触媒(26)を得た。こ
の触媒は担体に対して白金3g/リットル、パラジウム2g/リットル、カリウム10g
/リットルおよび活性アルミナ200g/リットル担持されていた。
【0110】
参考例27
参考例6において白金3gを含むジニトロジアンミン白金水溶液を用いる代わりに白金
3gを含むジニトロジアンミン白金水溶液とロジウム0.3gを含む硝酸ロジウム水溶液
との混合液を用いる以外は参考例6と同様の操作を行ない、完成触媒(27)を得た。こ
の触媒は担体に対して白金3g/リットル、ロジウム0.3g/リットル、カリウム10
g/リットルおよび活性アルミナ200g/リットル担持されていた。
【0111】
参考例28
参考例6において白金3gを含むジニトロジアンミン白金水溶液を用いる代わりに白金
3gを含むジニトロジアンミン白金水溶液とルテニウム0.3gを含む硝酸ルテニウム水
溶液との混合液を用いる以外は参考例6と同様の操作を行ない、完成触媒(28)を得た
。この触媒は担体に対して白金3g/リットル、ルテニウム0.3g/リットル、カリウ
ム10g/リットルおよび活性アルミナ200g/リットル担持されていた。
【0112】
参考例29
参考例6において白金3gを含むジニトロジアンミン白金水溶液を用いる代わりにパラ
ジウム5gを含む硝酸パラジウム水溶液とロジウム0.3gを含む硝酸ロジウム水溶液と
の混合液を用いる以外は参考例6と同様の操作を行ない、完成触媒(29)を得た。この
触媒は担体に対してパラジウム5g/リットル、ロジウム0.3g/リットル、カリウム
10g/リットルおよび活性アルミナ200g/リットル担持されていた。
【0113】
参考例30
参考例6において2.6モル/リットルの濃度の硝酸カリウム水溶液を用いる代わりに
0.13モル/リットルの濃度の硝酸カリウム水溶液を用いる以外は参考例6と同様の操
作を行ない、完成触媒(30)を得た。この触媒は担体に対して白金3g/リットル、カ
リウム0.5g/リットルおよび活性アルミナ200g/リットル担持されていた。
【0114】
参考例31
参考例6において2.6モル/リットルの濃度の硝酸カリウム水溶液を用いる代わりに
0.52モル/リットルの濃度の硝酸カリウム水溶液を用いる以外は参考例6と同様の操
作を行ない、完成触媒(31)を得た。この触媒は担体に対して白金3g/リットル、カ
リウム2g/リットルおよび活性アルミナ200g/リットル担持されていた。
【0115】
参考例32
参考例6において2.6モル/リットルの濃度の酢酸カリウム水溶液を用いる代わりに
18.2モル/リットルの濃度の硝酸カリウム水溶液を用いる以外は参考例6と同様の操
作を行ない、完成触媒(32)を得た。この触媒は担体に対して白金3g/リットル、カ
リウム70g/リットルおよび活性アルミナ200g/リットル担持されていた。
【0116】
参考例33
参考例6において2.6モル/リットルの濃度の酢酸カリウム水溶液を用いる代わりに
23.4モル/リットルの濃度の硝酸カリウム水溶液を用いる以外は参考例6と同様の操
作を行ない、完成触媒(33)を得た。この触媒は担体に対して白金3g/リットル、カ
リウム90g/リットルおよび活性アルミナ200g/リットル担持されていた。
【0117】
参考例34
参考例15においてコバルト2gを含む硝酸コバルト水溶液を用いる代わりにコバルト
0.05gを含む硝酸コバルトの混合水溶液を用いる以外は参考例15と同様の操作を行
ない、完成触媒(34)を得た。この触媒は担体に対して白金3g/リットル、コバルト
0.05g/リットル、ナトリウム10g/リットルおよび活性アルミナ200g/リッ
トル担持されていた。
【0118】
参考例35
参考例15においてコバルト2gを含む硝酸コバルト水溶液を用いる代わりにコバルト
0.2gを含む硝酸コバルトの混合水溶液を用いる以外は参考例15と同様の操作を行な
い、完成触媒(35)を得た。この触媒は担体に対して白金3g/リットル、コバルト0
.2g/リットル、ナトリウム10g/リットルおよび活性アルミナ200g/リットル
担持されていた。
【0119】
参考例36
参考例15においてコバルト2gを含む硝酸コバルト水溶液を用いる代わりにコバルト
25gを含む硝酸コバルトの混合水溶液を用いる以外は参考例15と同様の操作を行ない
、完成触媒(36)を得た。この触媒は担体に対して白金3g/リットル、コバルト25
g/リットル、ナトリウム10g/リットルおよび活性アルミナ200g/リットル担持
されていた。
【0120】
参考例37
参考例15においてコバルト2gを含む硝酸コバルト水溶液を用いる代わりにコバルト
40gを含む硝酸コバルトの混合水溶液を用いる以外は参考例15と同様の操作を行ない
、完成触媒(37)を得た。この触媒は担体に対して白金3g/リットル、コバルト40
g/リットル、ナトリウム10g/リットルおよび活性アルミナ200g/リットル担持
されていた。
【0121】
参考例38
参考例1で用いた活性アルミナ100gに白金1gを含むジニトロジアンミン白金水溶
液を加え、混合し、120℃で2時間乾燥、500℃で2時間焼成した。この得られた粉
体と酸化ランタン2gと、酸化鉄2gとをボールミルにより湿式粉砕して、水性スラリー
を得た。以下、参考例20と同様の操作を行ない、完成触媒(38)を得た。この触媒は
担体に対して白金1g/リットル、酸化ランタン2g/リットル、酸化鉄2g/リットル
および活性アルミナ100g/リットル担持されていた。
【0122】
実施例1
参考例1〜37において得られた触媒について以下に示す、本発明に係る実験(以下、
「本実験」という。)および比較実験を行なった。
【0123】
上記触媒を直径34.5mm、長さ300mmのステンレス管に充填し、下記組成の反
応ガスを空間速度20000/hrの条件で導入した。
【0124】
予備実験
以下の実験を行なう前に、上記参考例で得た触媒について、窒素酸化物の吸着量を測定
する。測定装置としては、図1に示すように触媒充填層4の前後に、導管3,5により化
学発光分析による窒素酸化物分析装置(NOとNOとをNO量として検知する)を設
けた測定装置(図示せず)を使用する。電気炉11により加熱されたこの装置内の触媒充
填層4に、上記参考例で得た触媒を充填し、次いで調節弁1bを介して酸素2.0容量%
、調節弁7aを介して水10容量%および残りが調節弁1dを介して窒素であるガスを、
該装置に400℃で導入し、該ガス流量が安定した後、該ガス中において、一酸化窒素濃
度が500ppmとなるように、一酸化窒素(NO)を導入し、触媒充壊層4の前後のN
O濃度を連続的に測定し、NO濃度を積算し、窒素酸化物の吸着量を求めた。その結果は
表1に示した。
【0125】
次いで、触媒入り口温度400℃に保持し、各実験条件で、1時間当りの平均のNO
浄化率を測定した。
【0126】
本実験1
反応ガスとして、調節弁1a,1b,1c,1dおよび1eを介して一酸化窒素(NO
)500ppm、酸素2.0容量%、一酸化炭素2000ppmおよび残りが窒素である
ガスをガス混合器2に供給した。送液弁7aを介して水10容量%になるように送液ポン
プ8および蒸発器10を作動させ、触媒充填層4に導入した。この反応ガスに、1分に1
回の割合で10秒間、反応ガス中にプロピレン(C)を、その濃度が3000pp
m(メタン換算)になるように調節弁1eを介してガス混合器2に導入し、空間速度20
,000hr−1かつ電気炉11によって触媒入口温度400℃に保持させ、触媒充填層
4に供給して本実験1を行ない、ガス出口6より浄化された排ガスを排出させた。その間
、サンプリング弁9bを介して導管5よりガスを取り出して分析計へ導入して=NO
浄化率を測定した。その結果を表1に示した。
【0127】
本実験2
本実験1において、還元剤を導入する間のみ酸素濃度を0.4容量%にし、それ以外の
間は酸素濃度を2.0容量%に調節する以外は本実験1と同様にして実験を行なった。そ
の結果を表1に示した。
【0128】
比較実験1
本実験1において、間欠的にプロピレンを導入する代わりに定常的に1000ppm(
メタン換算)のプロピレンを加えた以外は本実験1と同様にして実験を行ない、その結果
を表1に示した。
【0129】
比較実験2比較実験1において、プロピレンを使用しない以外は、本実験1と同様にし
て実験を行ない、その結果を表1に示した。
【0130】
【表1−1】

【0131】
【表1−2】



【0132】
本実験3
本実験2の条件において、参考例1で得られた触媒を使用し、プロピレンの導入間隔、
導入時間および還元物質量とNO吸着量とのモル比、還元物質等を種々代えた以外は、
本実験2と同様の条件で実験を行なった。その結果を表2〜5に示した。
【0133】
【表2】

【0134】
【表3】

【0135】
【表4】

【0136】
【表5】

【0137】
実施例2
参考例6,20および38で得られた触媒について表6に示すような順序で排ガスの上
流から下流に向って配置し、実施例1と同様な方法を行なったところ、表6の結果が得ら
れた。
【0138】
【表6】

【符号の説明】
【0139】
1a〜1e・・・調節弁、
2・・・ガス混合器、
4・・・触媒充填層、
5・・・導管、
6・・・ガス出口、
7a〜7c・・・送液弁、
9a,9b・・・サンプリング弁、
11・・・電気炉。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
白金、パラジウム、ロジウムおよびルテニウムよりなる群から選ばれた少なくとも1種
の貴金属または該貴金属の化合物を触媒1リットル当り金属換算で0.1〜30gおよび
リチウム、カリウム、ナトリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、
カルシウム、ストロンチウムおよびバリウムよりなる群から選ばれた少なくとも1種の金
属または該金属の化合物を触媒1リットル当り金属換算で1〜80gからなる触媒活性成
分と耐火性無機酸化物を触媒1リットル当り50〜400gとからなり、かつ窒素酸化物
飽和吸着量が触媒1リットル当り6〜30ミリモルである触媒を、酸化雰囲気下の排ガス
と接触させて該排ガス中の窒素酸化物を該触媒に吸着させ、次いで該排ガス中に該触媒に
吸着された窒素酸化物(NOとして換算)1モルに対し、還元物質をモル比で1〜10倍
量含有するガスを10秒〜60分間隔で0.1〜20秒間導入して該触媒に吸着された窒
素酸化物を還元して浄化することを特徴とする排ガス中の窒素酸化物の除去方法。
【請求項2】
さらに、マンガン、銅、コバルト、モリブデン、タングステンおよびバナジウムよりな
る群から選ばれた少なくとも1種の重金属または該重金属の化合物を、触媒1リットル当
り0.1〜50g含有してなる請求項1に記載の方法。
【請求項3】
該触媒の飽和窒素酸化物の全吸着量の50%に達する前に還元物質を導入してなる請求
項1または2に記載の方法。
【請求項4】
該排ガスが内燃機関の排ガスである請求項1〜3のいずれか一つに記載の方法。
【請求項5】
該内燃機関の吸気系において、空燃比を下げることにより排ガス中に還元物質を導入し
てなる請求項4に記載の方法。
【請求項6】
該内燃機関の吸気系において、理論空燃比ないしリッチ空燃比にすることにより還元物
質を該ガス中に導入してなる請求項4に記載の方法。
【請求項7】
系外から還元物質を該排ガス中に導入してなる請求項4に記載の方法。
【請求項8】
排ガスの流れに対し、上流側に白金、パラジウム、ロジウムおよびルテニウムよりなる
群から選ばれた少なくとも1種の貴金属または該貴金属の化合物を触媒1リットル当り金
属換算で0.1〜30gおよびリチウム、カリウム、ナトリウム、ルビジウム、セシウム
、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウムおよびバリウムよりなる群か
ら選ばれた少なくとも1種の金属または該金属の化合物を触媒1リットル当り金属換算で
1〜80gからなる触媒活性成分と耐火性無機酸化物を触媒1リットル当り50〜400
gとからなり、かつ窒素酸化物飽和吸着量が触媒1リットル当り6〜30ミリモルである
触媒を設置し、かつ該排ガスの流れに対して下流側に酸化触媒または三元触媒を設置し、
酸化雰囲気下の排ガスと接触させて該排ガス中の窒素酸化物を該触媒に吸着させ、次いで
該排ガス中に該触媒に吸着された窒素酸化物(NOとして換算)1モルに対し、還元物質
をモル比で1〜10倍量含有するガスを10秒〜60分間隔で0.1〜20秒間導入して
該触媒に吸着された窒素酸化物を還元して浄化することを特徴とする排ガス中の窒素酸化
物の除去方法。
【請求項9】
排ガスの流れに対し、上流側に白金、バラジウム、ロジウムおよびルテニウムよりなる
群から選ばれた少なくとも1種の貴金属または該貴金属の化合物を触媒1リットル当り金
属換算で0.1〜30g、リチウム、カリウム、ナトリウム、ルビジウム、セシウム、ベ
リリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウムおよびバリウムよりなる群から選
ばれた少なくとも1種の金属または該金属の化合物を触媒1リットル当り金属換算で1〜
80gおよびマンガン、銅、コバルト、モリブデン、タングステンおよびバナジウムより
なる群から選ばれた少なくとも1種の重金属または該重金属の化含物を、触媒1リットル
当り0.1〜50gからなる触媒活性成分と耐火性無機酸化物を触媒1リットル当り50
〜400gとからなり、かつ窒素酸化物飽和吸着量が触媒1リットル当り6〜30ミリモ
ルである触媒を設置し、かつ該排ガスの流れに対して下流側に酸化触媒または三元触媒を
設置し、酸化雰囲気下の排ガスと接触させて該排ガス中の窒素酸化物を該触媒に吸着させ
、次いで該排ガス中に該触媒に吸着された窒素酸化物(NOとして換算)1モルに対し、
還元物質をモル比で1〜10倍量含有するガスを10秒〜60分間隔で0.1〜20秒間
導入して該触媒に吸着された窒素酸化物を還元して浄化することを特徴とする排ガス中の
窒素酸化物の除去方法。
【請求項10】
該酸化触媒がさらに希土類元素、ニッケル、コバルトおよび鉄よりなる群から選ばれた
少なくとも1種の元素の酸化物を触媒1リットル当り0.1〜150g含有してなる請求
項8または9に記載の方法。
【請求項11】
該三元触媒がさらにジルコニアおよびセリウム以外の希土類元素よりなる群から選ばれ
た少なくとも1種のものを触媒1リットル当り酸化物換算で0.1〜50g含有してなる
請求項8または9に記載の方法。
【請求項12】
排ガスの上流側に三元触媒または酸化触媒を、つぎに請求項8に記載の触媒を、さらに
下流側に三元触媒または酸化触媒を設置してなることを特徴とする排ガス中の窒素酸化物
の除去方法。
【請求項13】
排ガスの上流側に三元触媒または酸化触媒を、つぎに請求項9に記載の触媒を、さらに
下流側に三元触媒または酸化触媒を設置してなることを特徴とする排ガス中の窒素酸化物
の除去方法。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2012−236193(P2012−236193A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−174390(P2012−174390)
【出願日】平成24年8月6日(2012.8.6)
【分割の表示】特願2010−82343(P2010−82343)の分割
【原出願日】平成6年4月28日(1994.4.28)
【出願人】(000004628)株式会社日本触媒 (2,292)
【Fターム(参考)】