説明

排ガス再循環式ガスタービン発電設備の動作方法及び排ガス再循環式ガスタービン発電設備

【課題】 本発明は、排ガス再循環式ガスタービン発電設備の動作方法及び本方法を実施する排ガス再循環式ガスタービン発電設備に関する。
【解決手段】 本方法では、ガスタービン(6)を始動及び停止している間、排ガス再循環が停止され、排ガス再循環の作動又は停止は、ガスタービン(6)の動作状態に応じて行われる。本装置は、制御部品(29,36)を有し、その閉鎖速度は、排ガスがタービン(7,35)からHRSG(9)を貫流するのに必要な時間よりも短い時間で制御部品(36)を閉じることができる程速い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排ガス再循環式ガスタービンの始動を制御する方法とシステム及びこの方法を実施するガスタービン発電設備に関する。
【背景技術】
【0002】
排ガスの再循環は、基本的に、異なる目的のためにガスタービンに採用できる技術である。即ち、排ガス再循環は、例えば、NOx発生量の低減又は排出する排ガスの削減のために提案されている。ガスタービンでの排ガスの再循環時に、排ガスの大部分は、排ガスフロー全体から分岐されて、典型的には、冷却及び浄化後に、ガスタービンの入力マスフロー又はコンプレッサーに供給されており、戻された排ガスフローは、新鮮な空気と混合された後、その混合気は、コンプレッサーに供給されている。
【0003】
有利には、排ガスの再循環によって、排ガス中の二酸化炭素の分圧を高めて、二酸化炭素分離式発電機の電力損失及び効率損失を低減することができる。更に、ガスタービンの吸気内の酸素濃度を低減し、それによって、NOx発生量を削減することを目的とする排ガスの再循環が提案されている。
【0004】
排ガスの再循環のために、例えば、特許文献1は、排ガス再循環システムを通してターボ機械の入口に戻される、ターボ機械の排ガス再循環フローの制御方法を記載している。その方法では、目標とする排ガス再循環割合を決定しており、その排ガス再循環割合は、ターボ機械の入力フローにおける排ガスフローの割合として定義され、目標値に向けて実際値を制御している。
【0005】
特許文献2により、排ガスの組成を決定する排ガス再循環式ガスタービンの動作方法と、測定した排ガスの組成に応じた排ガス再循環の制御を可能とする制御機関とが周知である。そのような制御は、特に、低い負荷領域で速く遷移する始動又は動作時において、排ガスの組成が再循環させる排ガスの割合に大きく依存するので、制御を不安定にする可能性が有る。更に、ガスタービンの排ガスの組成又は入力ガスの許容される組成は、ガスタービンの動作点に大きく依存し、その結果、所定の動作状態に対する排ガス再循環式ガスタービンの確実な動作が困難となっている。
【0006】
燃焼可能な、或いは爆発性の燃料と空気の混合気が再循環パイプ内に残っていないことを保証するために、典型的には、ガスタービンの始動前に、再循環パイプを洗浄することが提案されており、そのために、追加のフラップとパイプを必要としている。例えば、特許文献3により、排ガス再循環システムのための洗浄用浄化システムが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第7536252号明細書
【特許文献2】米国特許公開第2009/0145126号明細書
【特許文献3】欧州特許第2060772号明細書
【特許文献4】欧州特許第0718470号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、低負荷時及びガスタービンと排ガス再循環の始動と停止時に排ガス再循環式ガスタービン発電設備を確実に動作させる方法を提示することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本課題は、本発明による独立請求項に記載された事項によって解決される。本発明の中核は、ガスタービンを始動及び停止している間、排ガス再循環を停止し、排ガス再循環の作動又は停止をガスタービンの動作状態に応じて実施する排ガス再循環式ガスタービンの動作方法である。
【0010】
特に、ガスタービンと、廃熱蒸気発生器と、ガスタービン発電設備の排ガスをガスタービンの吸気フローに再循環する第一の排ガスフローと周辺環境に排出する第二の排ガスフローに分割する排ガス分割器と、第一の排ガスフローを制御する制御部品とを備えた排ガス再循環式ガスタービン発電設備での方法において、この制御部品が、作動負荷を上回るまで閉じた位置に保持され、その結果、排ガスが再循環パイプに到達せず、ガスタービン発電設備の排ガスフロー全体が第二の排ガスフローとして周辺環境に排出される。本方法では、開放条件に到達した後、例えば、作動負荷を上回った後、漸く制御部品を開いて、排ガスの一部を第一の排ガスフローとして吸気フローに再循環させる。別の実施形態では、特に、燃焼室の圧力限界値、圧縮機の最終圧力、高温ガスのガス温度の限界値、燃料マスフローの限界値又は燃料制御弁の位置が開放条件として規定される。
【0011】
ガスタービンの始動手順に応じて、公称回転数にまで立ち上げている間の燃焼は不安定であり、境界条件を更に変更することは望ましことではない。従って、本方法の一つの実施形態では、公称回転数の到達後に、漸く排ガス再循環が作動される。
【0012】
別の実施形態では、燃料の残り滓による排ガス再循環パイプの汚染を防止するために、ガスタービンの停止前又は停止時に排ガス再循環を停止する。
【0013】
一つの実施形態では、負荷停止時の排ガス再循環は、停止条件を下回った後に停止される。その停止条件は、一つの実施形態では、停止負荷である。別の実施形態では、停止条件として、特に、燃焼室の圧力限界値、圧縮機の最終圧力、高温ガスのガス温度の限界値、燃料マスフローの限界値又は燃料制御弁の位置が規定される。
【0014】
特に、排ガスパイプからの排ガス再循環パイプの分岐部に、燃料の残り滓が排ガス再循環パイプに到達する前に閉じる制御部品が配備される。
【0015】
排ガス再循環は、送風機と冷却機によって補助エネルギーを消費するので、一つの実施形態では、発電機の同期後又は所定の負荷点後に漸く排ガス再循環を行うものと規定する。それに対応して、所定の負荷点以下、即ち、停止負荷以下では、排ガス再循環を停止する。負荷停止時には、そのような停止負荷以下において、ガスタービン発電設備の排ガスフロー全体を第二の排ガスフローとして周辺環境に排出する。一つの実施形態では、発電機スイッチを開いた場合に、漸く排ガス再循環を停止する。
【0016】
本方法の一つの実施形態では、停止条件は、作動条件よりも低い。例えば、低い部分負荷時の排ガス再循環の頻繁な始動と停止を防止するために、停止負荷は、作動負荷よりも小さい。
【0017】
本方法の別の実施形態では、作動負荷は、ガスタービンの最小負荷よりも小さいか、或いは等しい。この方法では、ガスタービンの発電機が送電網と同期して、発電機スイッチが閉じられた場合、直ちに排ガス再循環の制御部品を開いて、排ガスの一部を第一の排ガスフローとして吸気フローに再循環させる。
【0018】
別の実施形態では、排ガス再循環の制御部品は、発電機スイッチが開かれた場合に閉じられる。その場合、発電機スイッチが開かれると直ちに、ガスタービン発電設備の排ガスフロー全体が第二の排ガスフローとして周辺環境に排出される。
【0019】
ガスタービン発電設備の負荷が低い場合、低い高温ガス温度は、不完全な燃焼を引き起こすとともに、CO発生量(一酸化炭素発生量)を増大させる。一つの実施形態では、排ガス再循環によって、CO発生量が更に上昇して、酸素の乏しい燃焼ガスが発生することを防止するために、発電設備が長時間定常的に動作する負荷以下において、漸く排ガス再循環を作動する。それは、典型的には、約20〜30%の相対負荷である。そのような負荷では、発電設備は、十分な効率で動作できるとともに、高温ガス温度は、排ガス再循環での綺麗な燃焼を可能とするのに十分に高い。ガスタービンの形式に応じて、排ガス再循環を作動させる限界値を50% 又は60%までの相対負荷に設定することができ、そのような相対負荷は、各周辺環境条件で実現可能な全負荷電力に対する出力電力の比率として定義される。
【0020】
ガスタービンの停止時に、燃料の残りが排ガスに到達する可能性が有る。排ガス再循環が開かれている場合、そのような燃料の残りは、再循環パイプにも到達する可能性が有り、その場合、負担がかかるが、ガスタービンを新たに始動する前に、空気又はそれ以外のガスで再循環パイプを洗浄しなければならない。本方法の一つの実施形態では、そのような汚染及び洗浄プロセスを回避するために、制御部品は、排ガスがタービンからHRSGを貫流して、排ガス分割器に到達するのに必要な時間よりも速く閉じられる。そのように速く閉じることによって、燃料の残りが排ガス再循環システムに到達することを防止している。そのため、新たな始動のためのシステムの洗浄が不要となる。
【0021】
ガスタービンは、典型的には、圧縮機と、燃焼室と、圧縮機を駆動して、有効な電力を出力するタービンとを有する。順次燃焼式ガスタービン、即ち、圧縮機、第一の燃焼室、高圧タービン、第二の燃焼室(順次燃焼室)及び低圧タービンを備えたガスタービンで使用するために規定された本方法の別の実施形態では、第二の燃焼室の停止前又は停止時に、再循環フローを制御する制御部品が閉じられる。第二の燃焼室は、典型的には、部分負荷時に停止される一方、第一の燃焼室は、安定した綺麗な燃焼を保証するために、更に動作状態に留まる。小さい部分負荷時に、第二の燃焼室への入口温度が低い場合、第二の燃焼室の停止によって、燃焼しなかった燃料が、その燃焼室、そのため低圧タービンから流出する。それは、例えば、石油を用いた動作からの負荷遮断時において、燃焼室の停止後、燃焼器内の燃料パイプを更に洗浄する場合に実施することができる。燃料の残り滓が再循環パイプを通ってガスタービンの圧縮機入口に到達することを防止するために、再循環の制御部品は、第二の燃焼室の停止前に閉じられる。それに代わって、制御部品は、第二の燃焼室の停止時又は停止直後に、場合によっては、燃料の残り滓が、そのような閉鎖時までに燃焼室から制御部品までの経路から流出しないように速く閉じられる。
【0022】
別の実施構成では、再循環を制御する制御部品は、第二の燃焼室の燃料分配システムのオイルパイプを洗浄する前に閉じられて、洗浄プロセスの間、ガスタービン発電設備の排ガスフロー全体を第二の排ガスフローとして周辺環境に排出するようにする。洗浄プロセスの終了後、制御部品を再び開いて、排ガスの一部をガスタービンの入口に再循環させることができる。
【0023】
本方法の外に、本方法を実施る排ガス再循環式ガスタービン発電設備が本発明の対象である。そのような発電設備は、コントローラを備えたガスタービンと、廃熱蒸気発生器と、排ガスをガスタービンの吸気フローに再循環する第一の排ガスフローと周辺環境に排出する第二の排ガスフローに分割する排ガス分割器と、第一の排ガスフローを制御する制御部品とを有する。この発電設備は、第一の排ガスフローを制御する制御部品が、排ガスがタービン出口からHRSGを通って制御部品にまで流れるのに必要な時間よりも短い時間で閉鎖可能であることを特徴とする。典型的には、そのための制御部品は、30秒以内に閉鎖可能でなければならない。そのような所要の閉鎖時間は、排ガスマスフローと、ガスタービンと排ガス分割器の間のボイラー及び排ガスパイプの体積とから得られる。それどころか、この閉鎖時間は、例えば、10秒以内とすることができる。
【0024】
一つの実施例では、再循環パイプの速い閉鎖を保証するために、第一の排ガスフローを制御する制御部品に追加して、急動弁又は急動フラップが再循環パイプの入口領域に配備される。それは、再循環パイプの横断面が大きい場合、入手可能な制御部品が、典型的には、ゆっくりとしか動作できず、所要の閉鎖速度を有する制御部品を準備するよりも別個の急動弁の方が安価に調達することができるので、有利である。典型的には、急動フラップ又は急動弁は、30秒以内に閉鎖することができる。それどころか、それらは、例えば、10秒以内に閉鎖することができる。再循環パイプの入口領域とは、フロー分割器の直後に連なる領域であると解釈する。有利には、この急動弁は、フロー分割器から離して配置され、その間隔は、再循環パイプの直径の二倍〜三倍よりも短い。
【0025】
別個の急動弁が配備されない場合、制御部品は、有利には、再循環パイプの入口領域に配置される。
【0026】
ここで説明した全ての利点は、それぞれ提示した組み合わせだけでなく、それら以外の組み合わせ又は単独でも、本発明の範囲を逸脱すること無く得ることができる。例えば、制御可能なフラップ又は弁などの、再循環パイプを閉鎖可能な制御部品を使用する代わりに、急動弁と組み合わせた制御部品として、制御可能な排ガス送風機又はブースターを配備することもできる。一般的に、制御部品の制御は単純化して規定される。それは、制御又は調節に代わるものであると理解される。当業者には、二点制御、比例制コントローラによる制御、積分又はIPコントローラなどの様々な制御方式が知られている。更に、当業者には、例えば、ガス洗浄などの、再循環した排ガスのための様々な浄化及び処理方法が知られている。
【0027】
以下において、説明のためだけに使用され、本発明を制限するものと解釈してはならない本発明の有利な実施構成を図面に基づき説明する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】排ガスを再循環させるガスタービン発電設備の模式図
【図2】順次燃焼させ、排ガスを再循環させるガスタービンを備えたガスタービン発電設備の模式図
【図3】順次燃焼させ、排ガスを再循環させるガスタービンと二酸化炭素分離システムとを備えたガスタービン発電設備の模式図
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1は、本発明によるガスタービン発電設備の主要な構成要素を模式図で図示している。ガスタービン6は、圧縮機(コンプレッサ)1を有し、その中で圧縮された燃焼空気は、燃焼室4に供給され、そこで、燃料5と共に燃焼される。それに続いて、高温の燃焼ガスがタービン7内で減圧される。そして、タービン7内に発生する有効エネルギーは、例えば、同じシャフト上に配置された第一の発電機25を用いて電気エネルギーに変換される。
【0030】
タービン7から流出する高温の排ガス8は、その中に未だ含まれるエネルギーの最適な活用のために、廃熱蒸気発生器(Heat Recovery Steam Generator 、HRSG)9内で蒸気タービン13又はそれ以外の設備のための新鮮な蒸気30を発生させるために使用される。蒸気タービン13内で発生する有効エネルギーは、例えば、同じシャフト上に配置された第二の発電機26を用いて電気エネルギーに変換される。水蒸気ループ39は、例えば、凝縮器14及び給水パイプ16によって、単純化されて、単に模式的に図示されている。異なる圧力段階、給水ポンプなどは、本発明の対象ではないので、図示されていない。
【0031】
廃熱蒸気発生器からの排ガス19は、廃熱蒸気発生器9の下流のフロー分割器29において、第一の部分排ガスフロー21と第二の部分排ガスフロー24に分割される。第一の部分排ガスフロー21は、ガスタービン6の吸気パイプに戻されて、そこで、外気2と混合される。戻されない第二の部分排ガスフロー24は、煙突32を通して周辺環境に排出される。排ガスパイプの圧力損失を克服するため、並びに排ガスフローの分割の制御手段として、任意選択で、排ガス送風機11又は制御可能な排ガス送風機11を配備することができる。
【0032】
図示されている例では、フロー分割器29は、燃料の残り滓が再循環パイプに進入することを防止するために、再循環パイプへの進入を阻止することが可能な制御部品として実現されている。
【0033】
再循環動作では、戻される排ガスフロー21は、凝縮器を備えることができる排ガス熱交換機27において、外気温度を若干上回る程度に冷却される。そのような排ガス熱交換機27の下流に、再循環フロー21のためのブースター又は排ガス送風機11を配置することができる。この戻される排ガスフロー21は、外気2と混合された後、その混合気は、ガスタービン6の圧縮機入口3を通して吸気フローとして供給される。
【0034】
図1の例は、簡単な燃焼室4を備えたガスタービン6を図示している。本発明は、制限されること無く、例えば、特許文献4から周知の順次燃焼式ガスタービンに適用することもできる。図2には、順次燃焼及び排ガス再循環式ガスタービン発電設備の例が模式的に図示されている。このガスタービンでは、燃焼室4の後に高圧タービン33が続いている。仕事量を出力して部分的に減圧された高圧タービン33の出力ガスは、第二の燃焼室34内において、再度燃料5を供給されて燃焼される。この第二の燃焼室34の高温の燃焼ガスは、低圧タービン35内で仕事量を出力して更に減圧される。廃熱の活用及び再循環は、図1の実施例と同様に行われる。再循環フローの制御及び遮断のために、調節できない形で実現できる排ガス分割器29に追加して、更に制御部品36が配備されている。
【0035】
図3には、図1をベースとして、更に二酸化炭素分離システム18も図示されている。戻されない第二の部分排ガスフロー20は、典型的には、排ガス熱交換機23で更に冷却されて、二酸化炭素分離システム18に供給される。そこから、二酸化炭素を除去された排ガス22が煙突32を通して周辺環境に排出される。二酸化炭素分離システム18と排ガスパイプの圧力損失を克服するために、排ガス送風機10を配備することができる。二酸化炭素分離システム18内で分離された二酸化炭素31は、典型的には、(図示されていない)圧縮機内で圧縮されて、保管又は更なる処理のために搬出される。二酸化炭素分離システム18は、蒸気抽出部15を通して、蒸気タービン13から分岐された蒸気、典型的には、中間圧又は低圧蒸気を供給される。その蒸気は、二酸化炭素分離システム18内でエネルギーを放出した後、水蒸気ループに再び戻される。図示されている例では、蒸気は、凝縮されて、凝縮物リターンパイプ17を通して給水に供給されている。
【0036】
第二の部分排ガスフローは、バイパスフラップ又は弁を備えた排ガスバイパス24を通して、煙突32に直接供給することもできる。
【0037】
図3に図示された例の排ガス再循環システムは、図1に図示されている実施例に追加して、再循環フローを制御する別個の制御部品36と、急動弁又は急動フラップ37とを更に備えている。
【符号の説明】
【0038】
1 圧縮機
2 外気
3 圧縮機入口
4 燃焼室(第一の燃焼室)
5 燃料
6 ガスタービン
7 タービン
8 ガスタービンの高温の排ガス
9 廃熱蒸気発生器(Heat Recovery Steam Generator 、HRSG)
10 (二酸化炭素分離システム又は煙突への)第二の部分排ガスフローのための排ガス送風機
11 第一の部分排ガスフロー(排ガス再循環)のための排ガス送風機
12 バイパスフラップ又は弁
13 蒸気タービン
14 凝縮器
15 二酸化炭素分離システムのための蒸気抽出部
16 給水パイプ
17 凝縮物リターンパイプ
18 二酸化炭素分離システム
19 廃熱蒸気発生器からの排ガス
20 第二の部分排ガスフロー(二酸化炭素分離システムへの排ガスパイプ)
21 第一の部分排ガスフロー(排ガス再循環)
22 二酸化炭素を除去された排ガス
23 (第二の部分排ガスフローのための)排ガス熱交換機
24 煙突への排ガスバイパス
25 第一の発電機
26 第二の発電機
27 (第一の部分排ガスフローのための)排ガス熱交換機
28 発電機スイッチ
29 排ガス分割器
30 新鮮な蒸気
31 分離された二酸化炭素
32 煙突
33 高圧タービン
34 第二の燃焼室
35 低圧タービン
36 制御部品
37 急動弁又は急動フラップ
on 作動負荷
off 停止負荷

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスタービン(6)と、廃熱蒸気発生器(9)と、ガスタービン発電設備の排ガス(19)をガスタービン(6)の吸気フローに再循環する第一の排ガスフロー(21)と周辺環境に排出する第二の排ガスフロー(24)に分割する排ガス分割器(29)と、第一の排ガスフロー(21)を制御する制御部品(11,29)とを有する排ガス再循環式ガスタービン発電設備の動作方法において、
この制御部品(11,29)が、開放条件に到達するまで閉じた位置に留まって、ガスタービン発電設備の排ガスフロー全体(19)を第二の排ガスフロー(24)として周辺環境に排出し、開放条件に到達した後、漸く排ガス(19)の一部を第一の排ガスフロー(21)として吸気フローに再循環させることを特徴とする方法。
【請求項2】
当該の開放条件が、作動負荷(Pon)を上回ることであり、この作動負荷(Pon)を上回った後、漸く第一の排ガスフロー(21)を制御する制御部品(11,29)が開かれて、排ガス(19)の一部を第一の排ガスフロー(21)として吸気フローに再循環させることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
当該の制御部品(11,29)が、停止条件を下回った時に閉じられて、ガスタービン発電設備の排ガスフロー(19)全体を第二の排ガスフロー(24)として周辺環境に排出することを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
当該の停止条件が、停止負荷(Poff )を下回ることであることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
当該の停止負荷(Poff )が作動負荷(Pon)よりも小さいことを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
当該の作動負荷(Pon)が、ガスタービン(6)の最小負荷よりも小さいか、或いは等しく、ガスタービン(6)の発電機(25)が送電網と同期して、発電機スイッチ(28)が閉じられた場合、直ちに制御部品(11,29)が開かれて、排ガス(19)の一部を第一の排ガスフロー(21)として吸気フローに再循環させることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項7】
当該の制御部品(11,29)は、発電機スイッチ(28)が開かれた時に閉じられて、ガスタービン発電設備の排ガスフロー(19)全体を第二の排ガスフロー(24)として周辺環境に排出することを特徴とする請求項1から6までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項8】
当該の制御部品(11,29)は、タービン(7)から流出した排ガスがHRSG(9)を貫流するために必要な時間よりも速く閉じられることを特徴とする請求項1から7までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項9】
当該のガスタービンが、第一と第二の燃焼室を有することと、
当該の制御部品(11,29)が、第二の燃焼室の停止前又は停止時に閉じられ、それため、ガスタービン発電設備の排ガスフロー(19)全体が第二の排ガスフロー(24)として周辺環境に排出されることと、
を特徴とする請求項1から8までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項10】
当該のガスタービンの石油を用いた動作時において、当該の制御部品(11,29)が、燃焼室(4)の燃料分配システムのオイルパイプの洗浄前に閉じられ、それため、洗浄プロセスの間、ガスタービン発電設備の排ガスフロー(19)全体が第二の排ガスフロー(24)として周辺環境に排出されることを特徴とする請求項1から8までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項11】
当該のガスタービンが、第一と第二の燃焼室を有することと、
当該のガスタービンの石油を用いた動作時において、当該の制御部品(11,29)が、第二の燃焼室(34)の燃料分配システムのオイルパイプの洗浄前に閉じられ、それため、洗浄プロセスの間、ガスタービン発電設備の排ガスフロー(19)全体が第二の排ガスフロー(24)として周辺環境に排出されることと、
を特徴とする請求項1から8までのいずれか一つに記載の方法。
【請求項12】
コントローラを備えたガスタービン(6)と、廃熱蒸気発生器(9)と、排ガス(19)をガスタービン(6)の吸気フローに再循環する第一の排ガスフロー(21)と周辺環境に排出する第二の排ガスフロー(24)に分割する排ガス分割器(29)と、第一の排ガスフロー(21)を制御する制御部品(29,36)とを有する排ガス再循環式ガスタービン発電設備において、
この制御部品(29,36)の閉鎖速度は、排ガスがタービン(7,35)からHRSG(9)を貫流して、排ガス分割器(29)に到達するのに必要な時間よりも短い時間で制御部品(36)を閉じることができる程速いことを特徴とする排ガス再循環式ガスタービン発電設備。
【請求項13】
コントローラを備えたガスタービン(6)と、廃熱蒸気発生器(9)と、排ガス(19)をガスタービン(6)の吸気フローに再循環する第一の排ガスフロー(21)と周辺環境に排出する第二の排ガスフロー(24)に分割する排ガス分割器(29)と、第一の排ガスフロー(21)を制御する制御部品(29,36)とを有する排ガス再循環式ガスタービン発電設備において、
この再循環パイプの接続領域に、急動弁又は急動フラップ(37)が配備されていることを特徴とする排ガス再循環式ガスタービン発電設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−233472(P2012−233472A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−96411(P2012−96411)
【出願日】平成24年4月20日(2012.4.20)
【出願人】(503416353)アルストム テクノロジー リミテッド (394)
【氏名又は名称原語表記】ALSTOM Technology Ltd
【住所又は居所原語表記】Brown Boveri Strasse 7, CH−5400 Baden, Switzerland
【Fターム(参考)】