説明

排ガス冷却塔とダストかき寄せ機

【課題】 少ない動力で、確実にダストを排出することのできるダストかき寄せ機とそのダストかき寄せ機を備えた排ガス冷却塔を提供しようとする。
【解決手段】
従来のダストを含んだ排ガスを冷却する排ガス冷却塔にかわって、ダストを排出する排出口を設けられた円形の底面と該底面から上方に立ち上がった内壁面とを有する冷却塔本体と、前記底面の中央部に取り付けられ垂直軸回りに回転するスクレーパ取付フレームと該スクレーパ取付フレームに取り付けられた部材であるスクレーパと前記スクレーパ取付フレームを回転させる駆動機構とを有するダストかき寄せ機と、を備え、前記スクレーパが前記スクレーパ取付フレームに取り付けられ長手方向を前記底面の半径方向に沿った長手部材であるスクレーパフレームと該スクレーパフレームに支持され前記底面に溜まったダストを下に向いた縁で掃く板である複数の羽根板とを持つ、ものとした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筒状構造物の底面に降り積もったダストをかき寄せて排出するダストかき寄せ機に係る。特にスクレーパの構造に特徴があり、ダストを含んだ排ガスを冷却する排ガス冷却塔に好適なダストかき寄せ機とそのダストかき寄せ機を備えた排ガス冷却塔に関する。
【背景技術】
【0002】
各種のプラントでは、ダストを含んだ高温の排ガスを冷却するために排ガス冷却塔を用いることがある。
排ガス冷却塔は、高温の排ガスを導入する入口付近に水噴射をおこない、噴霧冷却水と高温の排ガスを気液接触させる。減温した排ガスは排ガス冷却塔の中を下降し、下部側より排出され、例えば、後流の集塵機へ送られる。排ガス中のダストの一部は、排ガス冷却塔の床面に降り積もる。
【0003】
ダストかき寄せ機が、灰ガス冷却塔の底に設けられ、底に積もったダストを床に設けられたダスト排出口より外へ排出する。
ダストかき寄せ機は、スクレーパ取付フレームとスクレーパと駆動機構とで構成される。
スクレーパ取付フレームは、床面の中心部で回転する構造体である。スクレーパが長手方向を水平にしてスクレーパ取付フレームに取り付けられる。スクレーパ取付フレームが回転すると、スクレーパが底部に溜まったダストを掃く。ダストは、スクレーパにより掃き寄せられ、ダスト排出口から外部へ排出される。二重ダンパがダスト排出口に設けられ、排出されたダストを切り出す。
【0004】
ダストの性状と噴霧する水の量によって、ダストの付着性が高まって、ダストが底面や内壁面に付着しやすくなる。
ダストの付着性が高まると、スクレーパがダストから大きな抵抗を受けて、スクレーパを回転するのに大きな力が必要になる。
底面や内壁面に付着したダストが固くなると、スクレーパを回転するのに必要な力がさらに大きくなり、スクレーパを駆動する駆動機構が停止してしまうこともある。
【0005】
【非特許文献1】石川禎昭著、「流動床式ごみ焼却炉設計の実務」、増補改訂版、日本国、工業出版社、平成6年8月20日、134頁、図3.7ー1
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、排ガス冷却塔等の排ガス処理塔の内部に積もったダストの粘着性が高くなっても、少ない動力で、確実にダストを排出することのできるダストかき寄せ機とそのダストかき寄せ機を備えた排ガス冷却塔が要請されていた。
【0007】
本発明は以上に述べた問題点に鑑み案出されたもので、従来のダストを含んだ排ガスを冷却する排ガス冷却塔にかわって、少ない動力で、確実にダストを排出することのできるダストかき寄せ機とそのダストかき寄せ機を備えた排ガス冷却塔を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係るダストを含んだ排ガスを冷却する排ガス冷却塔を、ダストを排出する排出口を設けられた底面と該底面から上方に立ち上がった内壁面とを有する冷却塔本体と、前記底面に取り付けられ垂直軸回りに回転するスクレーパ取付フレームと該スクレーパ取付フレームに取り付けられた部材であるスクレーパと前記スクレーパ取付フレームを回転させる駆動機構とを有するダストかき寄せ機と、を備え、前記スクレーパが前記スクレーパ取付フレームに取り付けられ長手方向を水平方向に沿った長手部材であるスクレーパフレームと該スクレーパフレームに支持され前記底面に溜まったダストを下に向いた縁で掃く板である複数の羽根板とを持つ、ものとした。
【0009】
上記本発明の構成により、冷却塔本体がダストを排出する排出口を設けられた底面と該底面から上方に立ち上がった内壁面とを有し、スクレーパ取付フレームが前記底面に取り付けられ垂直軸回りに回転し、スクレーパが該スクレーパ取付フレームに取り付けられ、駆動機構が前記スクレーパ取付フレームを回転させ、スクレーパフレームが前記スクレーパ取付フレームに取り付けられ長手方向を水平方向に沿った長手部材であり、複数の羽根板が該スクレーパフレームに支持され底面に溜まったダストを下に向いた縁で掃くので、スクレーパ取付フレームが回転して、スクレーパフレームが前記底面の上部を移動し、スクレーパフレームに支持された複数の羽根板が底面に積もったダストを掃いて、前記底面に積もった排ガスのダストが排出口にはき寄せられる。
【0010】
さらに、本発明に係る排ガス冷却塔は、複数の前記羽根板が、面を前記スクレーパフレームの移動する向きに所定の角度で交差させ、前記スクレーパフレームの長手方向に所定の間隔を空けて配されるのが好ましい。
上記本発明の構成により、長手方向に所定の間隔を空けて配される複数の羽根板が、面を前記スクレーパフレームの移動する向きに所定の角度で交差させるので、個々の羽根板がダストを掃く抵抗力が小さく、スクレーパフレームに作用する抵抗トルクが小さく、スクレーパ取付フレームは少ないトルクで回転できる。
【0011】
さらに、本発明に係る排ガス冷却塔は、各々の前記羽根板が前記スクレーパ取付フレームの回転に伴って前記床面の帯状の領域である床領域を掃き、各々の前記床領域が重なり合って前記床面をほぼ覆っているのが好ましい。
上記本発明の構成により、各々の該床領域が重なり合って前記床面をほぼ覆っているので、複数の前記羽根板が移動することにより前記底面に積もったダストを掃くことが出来る。
【0012】
さらに、本発明に係る排ガス冷却塔は、前記垂直軸を中心とし円弧が前記排出口を跨ぐピッチ円を仮想した場合、前記スクレーパ取付フレームが回転する毎に、前記羽根板がダストを前記ピッチ円の円弧の方へ掃き寄せるのが好ましい。
上記本発明の構成により、前記スクレーパ取付フレームが回転する毎に、前記羽根板がダストを前記ピッチ円の円弧の方へ掃き寄せるので、ダストがピッチ円の円弧上に集まり前記排出口から順次排出される。
【0013】
さらに、本発明に係る排ガス冷却塔は、前記羽根板の下に向いた縁が凹部と凸部の連なりでできているのが好ましい。
上記本発明の構成により、前記羽根板の下に向いた縁が凹部と凸部の連なりでできているので、凹部でのダストを掃き寄せる抵抗が凸部でのダストを掃き寄せる抵抗よりも小さく、個々の羽根板がダストを掃く抵抗力がより小さく、スクレーパフレームに作用する抵抗トルクがより小さく、スクレーパ取付フレームはより少ないトルクで回転できる。
【0014】
さらに、本発明に係る排ガス冷却塔は、前記スクレーパが前記スクレーパフレームに支持され前記内壁面に付着したダストを前記内壁面に向いた縁で引っ掻く板であるかき爪を持つのが好ましい。
上記本発明の構成により、かき爪が、該スクレーパフレームに支持され前記内壁面に付着したダストを前記内壁面に向いた縁で引っ掻くので、内壁面に付着したダストが崩壊して底面に落ち、順次排出口から排出される。
【0015】
さらに、本発明に係る排ガス冷却塔は、前記スクレーパが、該スクレーパフレームに支持され前記内壁面に付着したダストを前記内壁面に向いた縁で引っ掻く板である複数のかき爪を持ち、複数の前記かき爪が上下に所定の間隔をあけて配されるのが好ましい。
上記本発明の構成により、前記複数のかき爪が上下に所定の間隔をあけて配されるので、個々のかき爪がダストを引っ掻く抵抗力が小さく、スクレーパフレームに作用する抵抗トルクが小さく、スクレーパ取付フレームは少ないトルクで回転できる。
【0016】
さらに、本発明に係る排ガス冷却塔は、前記かき爪が面を上下に向けているのが好ましい。
上記本発明の構成により、前記かき爪の面が上下に向けているので、かき爪の面に作用するダストの抵抗力が小さく、スクレーパフレームに作用する抵抗トルクが小さく、スクレーパ取付フレームは少ないトルクで回転できる。
【0017】
さらに、本発明に係る排ガス冷却塔は、各々のかき爪が前記スクレーパ取付フレームの回転に伴って前記内壁面の帯状の領域である内壁領域を引っ掻き、各々の該内壁領域が重複しないのが好ましい。
上記本発明の構成により、各々の前記内壁領域が重複しないので、前記かき爪が前記スクレーパ取付フレームの回転に伴って前記内壁領域に付着したダストを掻き落とし、残ったダストが自重で落下するので、すくない動力で前記内壁面に付着したダストを掻き落とすことができる。
【0018】
また、上記目的を達成するため、本発明に係るダストを排出する排出口を設けられた底面と該底面から上方に立ち上がった内壁面とを有する排ガス処理塔に溜まったダストを排出口へかき寄せるダストかき寄せ機を、前記底面に取り付けられ垂直軸回りに回転するスクレーパ取付フレームと、該スクレーパ取付フレームに取り付けられた部材であるスクレーパと、前記スクレーパ取付フレームを回転させる駆動機構と、を備え、前記スクレーパが前記スクレーパ取付フレームに取り付けられ長手方向を水平方向に沿った長手部材であるスクレーパフレームと該スクレーパフレームに支持され底面に溜まったダストを下に向いた縁で掃く板である複数の羽根板とを持つ、ものとした。
【0019】
上記本発明の構成により、スクレーパ取付フレームが前記底面に取り付けられ垂直軸回りに回転し、スクレーパが該スクレーパ取付フレームに取り付けられ、駆動機構が前記スクレーパ取付フレームを回転させ、スクレーパフレームが前記スクレーパ取付フレームに取り付けられ長手方向を水平方向に沿った長手部材であり、複数の羽根板が該スクレーパフレームに支持され底面に溜まったダストを下に向いた縁で掃くので、スクレーパ取付フレームが回転して、スクレーパフレームが底面の上部を移動し、スクレーパフレームに支持された複数の羽根板が底面に積もったダストを掃いて、底面に積もった排ガスのダストが排出口にはき寄せられる。
【0020】
さらに、本発明に係るダストかき寄せ機は、複数の前記羽根板が、面を前記スクレーパフレームの移動する向きに所定の角度で交差させ、前記スクレーパフレームの長手方向に所定の間隔を空けて配されのが好ましい。
上記本発明の構成により、長手方向に所定の間隔を空けて配される複数の羽根板が、面を前記スクレーパフレームの移動する向きに所定の角度で交差させるので、個々の羽根板がダストを掃く力が小さく、スクレーパフレームに作用する抵抗トルクが小さく、スクレーパ取付フレームは少ないトルクで回転できる。
【0021】
さらに、本発明に係るダストかき寄せ機は、各々の前記羽根板が前記スクレーパ取付フレームの回転に伴って前記床面の帯状の領域である床領域を掃き、各々の該床領域が重なり合って前記床面をほぼ覆っているのが好ましい。
上記本発明の構成により、各々の該床領域が重なり合って前記床面をほぼ覆っているので、複数の羽根板が移動することにより前記底面に積もったダストを掃くことが出来る。
【0022】
さらに、本発明に係るダストかき寄せ機は、前記垂直軸を中心とし円弧が前記排出口を跨ぐピッチ円を仮想した場合、前記スクレーパ取付フレームが回転する毎に、前記羽根板がダストを前記ピッチ円の円弧の方へ掃き寄せるのが好ましい。
上記本発明の構成により、前記スクレーパ取付フレームが回転する毎に、前記羽根板がダストを前記ピッチ円の円弧の方へ掃き寄せるので、ダストがピッチ円の円弧上に集まり前記排出口から順次排出される。
【0023】
さらに、本発明に係るダストかき寄せ機は、前記羽根板の下に向いた縁が凹部と凸部の連なりでできているのが好ましい。
上記本発明の構成により、前記羽根板の下に向いた縁が凹部と凸部の連なりでできているので、凹部でのダストを掃き寄せる抵抗が凸部でのダストを掃き寄せる抵抗よりも小さく、個々の羽根板がダストを掃く力がより小さく、スクレーパフレームに作用する抵抗トルクがより小さく、スクレーパ取付フレームはより少ないトルクで回転できる。
【0024】
さらに、本発明に係るダストかき寄せ機は、前記スクレーパが該スクレーパフレームに支持され内壁面に付着したダストを内壁面に向いた縁で引っ掻く板であるかき爪を持つのが好ましい。
上記本発明の構成により、かき爪が、該スクレーパフレームに支持され内壁面に付着したダストを前記内壁面に向いた縁で引っ掻くので、内壁面に付着したダストが崩壊して底面に落ち、順次排出口から排出される。
【0025】
さらに、本発明に係るダストかき寄せ機は、前記スクレーパが該スクレーパフレームに支持され前記内壁面に付着したダストを前記内壁面に向いた縁で引っ掻く板である複数のかき爪を持ち、複数の前記かき爪が上下に所定の間隔をあけて配されるのが好ましい。
上記本発明の構成により、前記複数のかき爪が上下に所定の間隔をあけて配されるので、個々のかき爪がダストを引っ掻く抵抗力が小さく、スクレーパフレームに作用する抵抗トルクが小さく、スクレーパ取付フレームは少ないトルクで回転できる。
【0026】
さらに、本発明に係るダストかき寄せ機は、前記かき爪が面を上下に向けているのが好ましい。
上記本発明の構成により、前記かき爪の面が上下に向けているので、かき爪の面に作用するダストの抵抗力が小さく、スクレーパフレームに作用する抵抗トルクが小さく、スクレーパ取付フレームは少ないトルクで回転できる。
【0027】
さらに、本発明に係るダストかき寄せ機は、各々のかき爪が前記スクレーパ取付フレームの回転に伴って内壁面の帯状の領域である内壁領域を引っ掻き、各々の該内壁領域が重複しないのが好ましい。
上記本発明の構成により、各々の該内壁領域が重複しないので、かき爪が前記スクレーパ取付フレームの回転に伴って内壁面の内壁領域に付着したダストを掻き落とし、残ったダストが自重で落下するので、すくない動力で前記内壁面に付着したダストを掻き落とすことができる。
【発明の効果】
【0028】
以上説明したように本発明の排ガス冷却塔とダストかき寄せ機は、その構成により、以下の効果を有する。
ダストを掃く複数の羽根板をスクレーパフレームに設けたので、スクレーパ取付フレームに取り付けられたスクレーパフレームが底面の上部を回転移動し、スクレーパフレームに支持された複数の羽根板が底面に積もったダストを掃いて、底面に積もった排ガスのダストが排出口にはき寄せられる。
また、複数の羽根板が、面を前記スクレーパフレームの移動する向きに所定の角度で交差させ、長手方向に所定の間隔を空けて配されるので、個々の羽根板がダストを掃く抵抗力が小さく、スクレーパフレームに作用する抵抗トルクが小さく、スクレーパ取付フレームは少ないトルクで回転できる。
また、各々の該床領域が重なり合ってほぼ床面を覆っているので、底面に積もったダストを掃くことが出来る。
また、前記スクレーパ取付フレームが回転する毎に、前記羽根板がダストを前記ピッチ円の円弧の方へ掃き寄せるので、ダストがピッチ円の円弧上に集まり前記排出口から順次排出される。
また、前記羽根板の下に向いた縁が凹部と凸部の連なりでできているので、個々の羽根板がダストを掃く抵抗力がより小さく、スクレーパフレームに作用する抵抗トルクがより小さく、スクレーパ取付フレームはより少ないトルクで回転できる。
また、かき爪が、該スクレーパフレームに支持され内壁面に付着したダストを内壁面に向いた縁で引っ掻くので、内壁面に付着したダストが崩壊して底面に落ち、順次排出口から排出される。
また、前記かき爪が上下に所定の間隔をあけて配されるので、個々のかき爪がダストを引っ掻く抵抗力が小さく、スクレーパフレームに作用する抵抗トルクが小さく、スクレーパ取付フレームは少ないトルクで回転できる。
また、前記かき爪の面が上下に向けているので、引っ掻き板の面に作用するダストの抵抗力が小さく、スクレーパフレームに作用する抵抗トルクが小さく、スクレーパ取付フレームは少ないトルクで回転できる。
また、各々の該内壁領域が重複しないので、かき爪が前記スクレーパ取付フレームの回転に伴って内壁面の内壁領域に付着したダストを掻き落とし、残ったダストが自重で落下するので、すくない動力で内壁面に付着したダストを掻き落とすことができる。
従って、少ない動力で、確実にダストを排出することのできるダストかき寄せ機とそのダストかき寄せ機を備えた排ガス冷却塔を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明の好ましい実施形態を、図面を参照して説明する。なお、各図において、共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【0030】
本発明の実施形態に係る排ガス冷却塔を説明する。図1は、本発明の実施形態に係る排ガス冷却塔の全体正面図である。図2は、本発明の実施形態に係る排ガス冷却塔の部分正面図である。図3は、本発明の実施形態に係る排ガス冷却塔の平面断面図である。図4は、本発明の実施形態に係る排ガス冷却塔の部分詳細図その1である。図5は、本発明の実施形態に係る排ガス冷却塔の部分詳細図その2である。図6は、本発明の実施形態に係る排ガス冷却塔の部分詳細図その3である。
【0031】
排ガス冷却塔1は、ダストを含んだ排ガスGを冷却する装置であって、冷却塔本体2と水噴霧装置3とダストかき寄せ機4とダスト排出機構5とで構成される。
冷却塔本体2は、ダストを排出する排出口Mを設けられた円形の底面Fと該底面から上方に立ち上がった内壁面Hとを有する装置であり、溶接鋼板構造の外部ケーシングとその内面にはられた耐火構造とで構成される。
通常の冷却塔本体2は、垂直に立った円筒状構造物であり、上部に排ガス導入口を設けられ、下部側面に排ガス排気口を設けられる。
【0032】
水噴霧装置3は、冷却塔本体2の内部に水を噴霧する装置である。
水噴霧装置3は、冷却塔本体2の側壁の上部に側壁を貫通して内部に噴射口を向けた複数のノズルを備える。
排ガスは、排ガス導入口から入り、水噴霧装置3により噴霧される水に直接接触して冷却され、冷却塔本体2の内部を降下し、排ガス排気口から出る。その際に、排ガス中のダストが、冷却塔本体2の底面に降り積もる。
【0033】
ダストかき寄せ機4は、冷却塔本体2の底面Fに積もったダストをかき寄せて、排出口Mに集める装置である。
ダストかき寄せ機4は、垂直軸回りに回転し底面Fの上を掃いて、ダストを排出口Mに集める。
ダストは、ダストかき寄せ機4によりかき寄せられて、排出口Mから下に落ちる。
【0034】
ダスト排出機構5は、排出口Mに落ちたダストを切り出す装置である。ダスト排出装置5は、例えば、2重ダンパであり、ダストを定期的に排出する。
【0035】
次に、ダストかき寄せ機4の構造を詳述する。
ダストかき寄せ機4は、スクレーパ取付フレーム10とスクレーパ20と駆動機構30とで構成される。
スクレーパ取付フレーム10は、底面Fの中央部に取り付けられ垂直軸回りに回転する構造である。後述する駆動機構30の回転駆動軸が底面Fの中央部に回転軸を垂直にして取り付けられ、スクレーパ取付フレーム10はその回転駆動軸に固定され、回転する。
円錐状の傘状構造物がスクレーパ取付フレーム10の上部に設けられる。円錐の母線はダストの安息角を越えて傾いている。
後述するスクレーパ20を固定するフランジが、スクレーパ取付フレーム10の側面に設けられる。
図3では、スクレーパ取付フレーム10に取り付けられた4つのスクレーパ20を示している。
【0036】
スクレーパ20は、スクレーパ取付フレーム10に支持されて回転し床面Fのダストを掃く機構であり、スクレーパフレーム21と複数の羽根板22と複数のかき爪23と羽根板支持体24とで構成される。
スクレーパフレーム21は、スクレーパ取付フレーム10に一端を取り付けられ長手方向を水平方向に沿った長手部材である。
図2と図3は、スクレーパ取付フレーム10のフランジにそれぞれ取り付けられた4つのスクレーパフレーム21を示している。スクレーパフレーム21は、鋼板を溶接して製造され、面を垂直に立てた板が上から見て矩形に折り曲げられた形状をしている。
【0037】
羽根板22は、スクレーパフレーム21に支持され底面Fに溜まったダストを下に向いた縁で掃く板である。
前記羽根板の下に向いた縁が凹部aと凸部bの連なりでできている。
図5には、下の縁が矩形の凹部aと矩形の凸部bの連なりでできており、上部をスクレーパフレーム21に支持された羽根板22が示されている。
複数の羽根板22が、面をスクレーパフレームの移動する向きに所定の角度で交差させ、半径方向に所定の間隔を空けて配される。すなわち、スクレーパフレームの長手方向の基準線がスクレーパ取付フレームの回転する垂直軸に交差する場合、複数の羽根板22の面がスクレーパフレームのその基準線の直交方向に所定の角度(例えば、5度から30度のうちの度)で交差する。
さらに、最外周に配される羽根板22の側縁の下部は、凹部aと凸部bの連なりでできている。
図4には、下の縁が矩形の凹部aと矩形の凸部bの連なりでできており、側の縁が三角形の凹部aと三角形の凸部bの連なりでできており、上部をスクレーパフレーム21に支持された羽根板22が示されている。
【0038】
垂直軸を中心とし円弧が前記排出口Mを跨ぐピッチ円Lを仮想した場合、スクレーパ取付フレーム10が回転する毎に、羽根板24がダストを前記ピッチ円Lの円弧の方へ掃き寄せる。
図7には、羽根板22がダストをピッチ円Lの円弧の方向へ掃く様子が白抜きの矢印で示されている。
各々の前記羽根板22がスクレーパ取付フレーム10の回転に伴って床面Fを帯状に掃く。この床面Fの帯状の領域を床領域Dと仮に呼ぶ。スクレーパ20毎の羽根板22の各々の該床領域Fが重なり合って床面Fのほぼ全体を覆っている。ほぼ全体とは、床面のうち中央部を除く意味である。
図3には、4つのスクレーパ20がスクレーパ取付フレーム10の円周に均等に配され、複数の羽根板22が各々のスクレーパフレーム21の半径方向にスクレーパ20毎に異なる間隔で配されているのが示されている。従って、それぞれの羽根板22が帯状に底面Fを掃き、その帯状の領域が重複部を持ちながら重なり合って、全体として底面Fを覆っている。
【0039】
かき爪23は、スクレーパフレーム21に支持され内壁面Hに付着したダストを内壁面に向いた縁で引っ掻く板である。
かき爪23が、面を上下に向けてスクレーパフレーム21に固定される。
図6には、スクレーパフレーム21にボルトで固定されている3枚のかき爪23が示されている。
各々のスクレーパフレーム21に支持されたかき爪23がスクレーパ取付フレーム10の回転に伴って内壁面Hを帯状に引っ掻く。この帯状の領域を内壁領域Eと仮に呼ぶ。スクレーパ毎のかき爪23の各々の内壁領域Eが重複しないのが好ましい。
例えば、図6に示した3つのかき爪23を一組として、4組のかき爪23が、4つのスクレーパフレームに異なる高さ位置で固定される。
【0040】
羽根板支持体24は、羽根板22の中間部を固定し、羽根板22を固定する部材である。
【0041】
駆動機構30は、スクレーパ取付フレーム10を回転駆動する装置である。
駆動機構30は、軸心を垂直にした回転軸とその回転軸を回転する動力を持つ。
回転軸が、底面Fの中央部に突き出て、スクレーパ取付フレーム10を支持する。
【0042】
次に、排ガス冷却塔とそのダストかき寄せ機の作用を説明する。
図7は、本発明の実施形態に係るダストかき寄せ機の作用説明図である。
高温の排ガスGが、排ガス導入口から排ガス冷却塔本体2へ入る。排ガスGは、排ガス冷却塔本体2の内部を下りながら水噴射装置3の噴霧する水に直接接触し、温度を下げ、排ガス排気口から外部へでる。
排ガスG中のダストは、内側面Hに付着し、底面Fに降り積もる。スクレーパ取付フレーム10に落ちたダストは、傘状構造物の上を滑って、床面Fに落ちる。
駆動機構30が、スクレーパ取付フレーム10を垂直軸回りに回転させる。
スクレーパ20が、床面Fの上を回転軸を中心に回転移動する。
羽根板22の下の縁が底面Fに積もったダストを掃く。ダストが、羽根板22に掃かれて、回転軸を中心に回転する方向へ移動しながら、ピッチ線Lの円弧の方向へ移動する。ダストは、複数の羽根板22に掃かれながら、順次排出口Mへ入る。
ダストが、内壁面Hに付着する。
かき爪23が内壁面Hの内壁領域Eに付着したダストをかき落とす。
複数のかき爪23が内壁領域Eのダストを書き落とすと、内壁面Hに付着して帯状に残ったダストが自重で崩落する。
落下したダストは羽根板22の下の縁に掃かれて、排出口Mへはき寄せられる。
ダストは、排出口Mに一定量溜まったあとで、ダスト排出機構5により外部へ切り出される。
【0043】
上述の実施形態のダストかき寄せ機とこのダストかき寄せ機を備えた排ガス冷却塔とを用いれば、少ない動力で底面に積もったダストをかき寄せることができる。
また、複数の羽根板がスクレーパフレームの移動する向きに所定の角度で交差させて配されるので、羽根板に作用するダストの抵抗が小さく、少ない動力で多くのダストをかき寄せることができる。
また、各々の羽根板のかき寄せる床領域が重なり合って床面をほぼ覆うので、すくない動力で、床面のダストをかき寄せることができる。
また、各羽根板が移動しつつダストをピッチ円の円弧の方向へかき寄せるので、効率良くダストを排出口へ誘導できる。
また、羽根板の下の縁が凹部と凸部の連なりでできているので、羽根板にかかる抵抗力が少なく、スクレーパを回転させる動力が少なくて済む。
また、側壁を引っ掻くかき爪を設けたので、側壁に付着したダストをかき落とすことができる。
また、かき爪が面を上に向けており、かき爪が引っ掻く内壁領域が重複しないので、全体のかき爪に作用する抵抗力が小さく、スクレーパを回転させる動力が少なくて済む。
【0044】
本発明は以上に述べた実施形態に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で各種の変更が可能である。
ダストかき寄せ機を水直接接触式の排ガス冷却塔を例に説明したがこれに限定されず、その他の排ガス処理塔にも適用できる。
排ガス冷却塔の底面を円形であるとして説明したがこれに限定されず、例えば、底面が2の円が一部重複した眼鏡型でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の実施形態に係る排ガス冷却塔の全体正面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る排ガス冷却塔の部分正面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る排ガス冷却塔の平面断面図である。
【図4】本発明の実施形態に係る排ガス冷却塔の部分詳細図その1である。
【図5】本発明の実施形態に係る排ガス冷却塔の部分詳細図その2である。
【図6】本発明の実施形態に係る排ガス冷却塔の部分詳細図その3である。
【図7】本発明の実施形態に係るダストかき寄せ機の作用説明図である。
【符号の説明】
【0046】
a 凹部
b 凸部
D 床領域
E 内壁領域
F 床面
G 排ガス
H 内壁面
W 水
1 排ガス冷却塔
2 排ガス冷却塔本体
3 水噴射装置
4 ダストかき寄せ機
5 ダスト排出機構
10 スクレーパ取付フレーム
20 スクレーパ
21 スクレーパフレーム
22 羽根板
23 かき爪
24 羽根板支持体
30 駆動機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダストを含んだ排ガスを冷却する排ガス冷却塔であって、
ダストを排出する排出口を設けられた底面と該底面から上方に立ち上がった内壁面とを有する冷却塔本体と、
前記底面に取り付けられ垂直軸回りに回転するスクレーパ取付フレームと該スクレーパ取付フレームに取り付けられた部材であるスクレーパと前記スクレーパ取付フレームを回転させる駆動機構とを有するダストかき寄せ機と、
を備え、
前記スクレーパが前記スクレーパ取付フレームに取り付けられ長手方向を水平方向に沿った長手部材であるスクレーパフレームと該スクレーパフレームに支持され前記底面に溜まったダストを下に向いた縁で掃く板である複数の羽根板とを持つ、
ことを特徴とする排ガス冷却塔。
【請求項2】
複数の前記羽根板が、面を前記スクレーパフレームの移動する向きに所定の角度で交差させ、前記スクレーパフレームの長手方向に所定の間隔を空けて配される、
ことを特徴とする請求項1に記載の排ガス冷却塔。
【請求項3】
各々の前記羽根板が前記スクレーパ取付フレームの回転に伴って前記床面の帯状の領域である床領域を掃き、
各々の前記床領域が重なり合って前記床面をほぼ覆っていることを特徴とする請求項1または請求項2のうちのひとつに記載の排ガス冷却塔。
【請求項4】
前記垂直軸を中心とし円弧が前記排出口を跨ぐピッチ円を仮想した場合、前記スクレーパ取付フレームが回転する毎に、前記羽根板がダストを前記ピッチ円の円弧の方へ掃き寄せることを特徴とする請求項1乃至請求項3に記載の排ガス冷却塔。
【請求項5】
前記羽根板の下に向いた縁が凹部と凸部の連なりでできていることを特徴とする請求項1乃至請求項4に記載の排ガス冷却塔。
【請求項6】
前記スクレーパが
前記スクレーパフレームに支持され前記内壁面に付着したダストを前記内壁面に向いた縁で引っ掻く板であるかき爪を持つ、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項5に記載の排ガス冷却塔。
【請求項7】
前記スクレーパが
前記スクレーパフレームに支持され前記内壁面に付着したダストを前記内壁面に向いた縁で引っ掻く板である複数のかき爪を持ち、
複数の前記かき爪が上下に所定の間隔をあけて配される、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項5に記載の排ガス冷却塔。
【請求項8】
前記かき爪が面を上下に向けている、
ことを特徴とする請求項6または請求項7のうちのひとつに記載の排ガス冷却塔。
【請求項9】
各々の前記かき爪が前記スクレーパ取付フレームの回転に伴って前記内壁面の帯状の領域である内壁領域を引っ掻き、
各々の前記内壁領域が重複しないことを特徴とする請求項6乃至請求項8に記載の排ガス冷却塔。
【請求項10】
ダストを排出する排出口を設けられた底面と該底面から上方に立ち上がった内壁面とを有する排ガス処理塔に溜まったダストを排出口へかき寄せるダストかき寄せ機であって、
前記底面に取り付けられ垂直軸回りに回転するスクレーパ取付フレームと、
前記スクレーパ取付フレームに取り付けられた部材であるスクレーパと、
前記スクレーパ取付フレームを回転させる駆動機構と、
を備え、
前記スクレーパが前記スクレーパ取付フレームに取り付けられ長手方向を水平方向に沿った長手部材であるスクレーパフレームと該スクレーパフレームに支持され前記底面に溜まったダストを下に向いた縁で掃く板である複数の羽根板とを持つ、
ことを特徴とするダストかき寄せ機。
【請求項11】
複数の前記羽根板が、面を前記スクレーパフレームの移動する向きに所定の角度で交差させ、前記スクレーパフレームの長手方向に所定の間隔を空けて配される、
ことを特徴とする請求項10に記載のダストかき寄せ機。
【請求項12】
各々の前記羽根板が前記スクレーパ取付フレームの回転に伴って前記床面の帯状の領域である床領域を掃き、
各々の前記床領域が重なり合って前記床面をほぼ覆っていることを特徴とする請求項10または請求項11のうちのひとつに記載のダストかき寄せ機。
【請求項13】
前記垂直軸を中心とし円弧が前記排出口を跨ぐピッチ円を仮想した場合、前記スクレーパ取付フレームが回転する毎に、前記羽根板がダストを前記ピッチ円の円弧の方へ掃き寄せることを特徴とする請求項10乃至請求項12に記載のダストかき寄せ機。
【請求項14】
前記羽根板の下に向いた縁が凹部と凸部の連なりでできていることを特徴とする請求項10乃至請求項13に記載のダストかき寄せ機。
【請求項15】
前記スクレーパが
前記スクレーパフレームに支持され前記内壁面に付着したダストを前記内壁面に向いた縁で引っ掻く板であるかき爪を有する、
ことを特徴とする請求項10乃至請求項14に記載のダストかき寄せ機。
【請求項16】
前記スクレーパが
前記スクレーパフレームに支持され前記内壁面に付着したダストを前記内壁面に向いた縁で引っ掻く板である複数のかき爪を持ち、
複数の前記かき爪が上下に所定の間隔をあけて配される、
ことを特徴とする請求項10乃至請求項14に記載のダストかき寄せ機。
【請求項17】
前記かき爪が面を上下に向けている、
ことを特徴とする請求項15または請求項16のうちのひとつに記載のダストかき寄せ機。
【請求項18】
各々の前記かき爪が前記スクレーパ取付フレームの回転に伴って前記内壁面の帯状の領域である内壁領域を引っ掻き、
各々の前記内壁領域が重複しないことを特徴とする請求項15乃至請求項17に記載のダストかき寄せ機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−157613(P2008−157613A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−327966(P2007−327966)
【出願日】平成19年12月19日(2007.12.19)
【分割の表示】特願2002−328954(P2002−328954)の分割
【原出願日】平成14年11月13日(2002.11.13)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【Fターム(参考)】