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排ガス処理用触媒および排ガスの処理方法
説明

排ガス処理用触媒および排ガスの処理方法

【目的】排ガス中に含まれる窒素酸化物やダイオキシン類などの有害物質を除去するに好適な排ガス処理用触媒、およびこの触媒を用いて排ガスを効率よく処理する方法を提供すること。
【解決手段】チタン系酸化物およびその他の触媒活性成分を含有する排ガス中の有害物質を分解除去するための排ガス処理用触媒であって、ブレンステッド酸(B)とルイス酸(L)との比率(B/L)が0/1〜10/1の範囲にあることを特徴とする排ガス処理用触媒および該触媒を用いた排ガスの処理方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は排ガス処理用触媒および排ガスの処理方法に関し、詳しくは排ガス中に含まれる窒素酸化物、ダイオキシン類などの有害物質を分解除去するに好適な排ガス処理用触媒およびこの触媒を用いた排ガスの処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
排ガス中に含まれる窒素酸化物やダイオキシン類などの有害物質を分解除去するために、既に多くの触媒や処理方法が提案されている。
【0003】
例えば、排ガス中の窒素酸化物をアンモニアとともに接触的に反応させて選択的に還元する触媒として、(a)硫黄とチタンおよびケイ素、またはチタン、ジルコニウムおよびケイ素とを含む硫黄含有複合酸化物、(b)バナジウム酸化物、(c)タングステン、モリブデン、スズおよびセリウムから選ばれる少なくとも1種の元素の酸化物を含有する窒素酸化物除去用触媒が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、触媒の比表面積および固体酸量に着目し、これら物性と触媒組成とを特定した排ガス処理用触媒、具体的にはチタン−ケイ素複合酸化物などの担体にバナジウム、タングステン、モリブデンなどの酸化物を担持し、さらに比表面積が10m/g以上、固体酸量が0.36mmol/g以上の触媒が排ガス中に含まれる窒素酸化物やダイオキシン類などの有害物質の除去に有効であるとして提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
しかしながら、従来の排ガス処理用触媒は、その性能に関し、なお十分満足できるものではなく、排ガス中に含まれる窒素酸化物やダイオキシン類などの有害物質をより効率よく除去するための触媒、例えば、窒素酸化物の場合でいえば、より高い脱硝効率を有する排ガス処理用触媒の開発が望まれている。
【特許文献1】特公昭62−14339号公報
【特許文献2】特許第3457917号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、排ガス中に含まれる窒素酸化物やダイオキシン類などの有害物質を除去するに好適な排ガス処理用触媒、およびこの触媒を用いて排ガスを効率よく処理する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記目的を達成すべくに鋭意研究を重ね、次の知見を得るに至った。すなわち、固体触媒表面には一般にプロトンを供与するブレンステッド酸点と電子対を受容するルイス酸点とがあるが、例えば脱硝処理の場合、ブレンステッド酸点およびルイス酸点の両者が脱硝触媒活性に寄与し、特にブレンステッド酸点とルイス酸点との存在量比が特定範囲にあるとき最も高い脱硝効率が得られることがわかった。
【0008】
また、チタン系酸化物を含有する排ガス処理触媒において、このチタン系酸化物として、pKa≦+3.3の酸強度を有する固体酸量が0.3mmol/g以上であり、さらに固体酸点をプロトンを供与するブレンステッド酸点と電子対を受容するルイス酸点とに区別して、ブレンステッド酸量(B)とルイス酸量(L)との比率(B/L)が0/1〜1/1であるものを使用することにより、有害物質の分解性能に優れた触媒が得られることを見出した。
【0009】
本発明は上記知見に基づいて完成されたものであり次のとおりのものである。
【0010】
(1) チタン系酸化物およびその他の触媒活性成分を含有する排ガス中の有害物質を分解除去するための排ガス処理用触媒であって、ブレンステッド酸(B)とルイス酸(L)との比率(B/L)が0/1〜10/1の範囲にあることを特徴とする排ガス処理用触媒。
【0011】
(2) 該比率が0/1〜9/1である前記(1)に記載の触媒。
【0012】
(3) チタン系酸化物は、酸化チタンである前記(1)に記載の触媒。
【0013】
(4) チタン系酸化物は、チタンと、アルミニウム、ケイ素、クロム、ジルコニウム、モリブデンおよびタングステンよりなる郡から選ばれた少なくとも1種の元素との複合酸化物である前記(1)に記載の触媒。
【0014】
(5) チタン系酸化物は、チタンと、アルミニウム、ケイ素、クロムおよびジルコニウムよりなる郡から選ばれた少なくとも1種の元素との複合酸化物である前記(1)に記載の触媒。
【0015】
(6) チタン系酸化物は、チタンと、アルミニウム、ケイ素およびジルコニウムよりなる郡から選ばれた少なくとも1種の元素との複合酸化物である前記(1)に記載の触媒。
【0016】
(7) 該他の触媒活性成分が、バナジウム、タングステンおよびモリブデンよりなる郡から選ばれた少なくとも1種の元素またはその化合物である前記(1)に記載の触媒。
【0017】
(8) 該チタン系複合酸化物の中のチタン含有量は40〜95質量%であり、かつ該他の触媒活性成分が60〜5質量%(ただし、これらの合計は100質量%である)である前記(1)に記載の触媒。
【0018】
(9) 該チタン系酸化物の含有量は、触媒の全量基準で75〜99.9質量%である前記(1)に記載の方法。
【0019】
(10) さらに硫黄を含有してなる前記(1)に記載の方法。
【0020】
(11) 該チタン系酸化物の該比率(B/L)が0/1〜1/1であり、pKa≦+3.3である固体酸量が0.3mmol/g以上である前記(1)に記載の触媒。
【0021】
(12) pKa≦+3.3である固体酸量が0.3〜0.8mmol/gである前記(11)に記載の触媒。
【0022】
(13) 該硫黄の含有量が、触媒の全質量に対し、0.01〜3質量%である前記(10)に記載の方法。
【0023】
(14) チタン化合物を含む酸性溶液に、アルミニウム、ケイ素、クロム、ジルコニウム、モリブデンおよびタングステンよりなる郡から選ばれる少なくとも1種の元素を含むアンモニア水溶液を添加して沈殿物を生成させるに当たり、添加を開始してからその全量を添加し終えるまでの時間が40分以上となる工程を経て、得られたチタン系複合酸化物を用いることを特徴とする請求項1に記載の触媒の製造方法。
【0024】
(15) アルミニウム、ケイ素、クロム、ジルコニウム、モリブデンおよびタングステンよりなる郡から選ばれる少なくとも1種の元素を含むアンモニア水溶液に、チタン化合物を含む酸性溶液を添加して沈殿物を生成させるに当たり、添加を開始してからその全量を添加し終えるまでの時間が40分以上となる工程を経て、得られたチタン系複合酸化物を用いることを特徴とする前記(1)に記載の触媒の製造方法。
【0025】
(16) アルミニウム、ケイ素、クロム、ジルコニウム、モリブデンおよびタングステンよりなる郡から選ばれる少なくとも1種の元素ならびにチタン化合物を含む酸性溶液に、アンモニア水溶液を添加して沈殿物を生成させるに当たり、添加を開始してからその全量を添加し終えるまでの時間が40分以上となる工程を経て、得られたチタン系複合酸化物を用いることを特徴とする前記(1)に記載の触媒の製造方法。
【0026】
(17) アンモニア水溶液に、アルミニウム、ケイ素、クロム、ジルコニウム、モリブデンおよびタングステンよりなる郡から選ばれる少なくとも1種の元素ならびにチタン化合物を含む酸性溶液を添加して沈殿物を生成させるに当たり、添加を開始してからその全量を添加し終えるまでの時間が40分以上となる工程を経て、得られたチタン系複合酸化物を用いることを特徴とする前記(1)に記載の触媒の製造方法。
【0027】
(18) 有害物質を含む排ガスを前記(1)〜(13)のいずれか一つに記載の排ガス処理用触媒に接触させて該有害物質を分解除去することを特徴とする排ガスの処理方法。
【発明の効果】
【0028】
本発明の触媒を用いることにより、窒素酸化物やダイオキシン類などの有害物質を効率よく分解除去することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
本発明における「有害物質」とは、窒素酸化物および塩素化ダイオキシン類、臭素化ダイオキシン類、ポリ塩化ビフェニル類、クロロベンゼン類、クロロフェノール、クロロトルエンなどの有機ハロゲン化合物を意味する。有害物質が窒素酸化物であるときの排ガス処理は、いわゆる脱硝処理であり、アンモニア、尿素などの還元剤を用いて窒素酸化物を還元分解するものである。本発明の排ガス処理用触媒は、窒素酸化物の還元分解(脱硝処理)に特に好適に用いられる。
【0030】
本発明による排ガス処理用触媒は、チタン系酸化物およびその他の触媒活性成分を含有する排ガス中の有害物質を分解除去するための排ガス処理用触媒であって、ブレンステッド酸(B)とルイス酸(L)との比率(B/L)が0/1〜10/1の範囲にあることを特徴とする排ガス処理用触媒である。
【0031】
該比率B/Lは、0/1〜10/1ではあるが、好ましくは0/1〜9/1、より好ましくは0.1/1〜8/1、最も好ましくは0.1/1〜7/1の範囲にある。上記比率(B/L)が0/1を下回ったり、あるいは10/1を超えると、触媒の処理性能が低下する。
【0032】
本発明における「チタン系酸化物」とは、チタン酸化物、およびチタンと他の金属元素との複合酸化物を意味する。チタン酸化物としては、アナターゼ型チタン、ルチル型チタンあるいはこれらの混合物が用いられる。複合酸化物の代表例としては、チタン(Ti)と、アルミニウム(Al)、ケイ素(Si)、クロム(Cr)、ジルコニウム(Zr)、モリブデン(Mo)およびタングステン(W)よりなる郡から選ばれる少なくとも1種の元素との複合酸化物を挙げることができる。チタン酸化物とチタン系複合酸化物とを混合して使用してもよい。
【0033】
上記チタン系複合酸化物のなかでも、チタン(Ti)と、アルミニウム(Al)、ケイ素(Si)、クロム(Cr)およびジルコニウム(Zr)、特にアルミニウム(Al)、ケイ素(Si)およびジルコニウム(Zr)から選ばれる少なくとも1種の元素との複合酸化物が好適に用いられる。この複合酸化物は、Ti−Si複合酸化物などの二元系複合酸化物でも、Ti−Si−Zr複合酸化物などの三元系複合酸化物であってもよい。なお、「複合酸化物」とは、X線回折パターンにおいて、酸化チタン以外の物質に帰属される明らかな固有のピークを示さず、酸化チタンについてはアナターゼ型酸化チタンに帰属される固有のピークを示さないか、もしくは示してもアナターゼ型酸化チタンの回折ピークよりもブロードな回折ピークを示すものをいう。
【0034】
なお、モリブデンおよびタングステンについては、各々、その全量がチタンとともにチタン系複合酸化物を構成していても、またその全量がチタン系複合酸化物以外の形態で触媒中に存在していても、もしくはその一部がチタン系複合酸化物を構成し、残余がそれ以外の形態で触媒に含まれていてもよい。
【0035】
本発明の排ガス処理用触媒の組成について、その代表例を示すと次のとおりである。
【0036】
(1) Ti−Si複合酸化物+(V、Wおよび/またはMo)、
(2) Ti−Al複合酸化物+(V、Wおよび/またはMo)、
(3) Ti−Zr複合酸化物+(V、Wおよび/またはMo)、
(4) Ti−W複合酸化物+(V、Wおよび/またはMo)、
(5) Ti−Si−Zr複合酸化物+(V、Wおよび/またはMo)、
(6) Ti−Si−Mo複合酸化物+(Vおよび/またはW)、
(7) Ti−Si−Mo複合酸化物+(V、Wおよび/またはMo)、
(8) Ti−Si−W複合酸化物+(Vおよび/またはMo)、
(9) Ti−Si−W複合酸化物+(V、Wおよび/またはMo)、
(10) Ti酸化物+(V、Wおよび/またはMo)。
【0037】
ブレンステッド酸量(B)およびルイス酸量(L)は、プローブとしてピリジンを用いた赤外分光法(FT−IR)により的確に測定することができる。ピリジンは1700〜1400cm−1の領域にピリジン環の面内振動に由来する赤外吸収バンドを持ち、ピリジンが水素結合(PyH)しているか、配位結合(PyL)しているか、プロトン和(PyB)しているかによって吸収バンドが著しく異なっている。なかでも、PyL(1450cm−1付近)およびPyB(1540cm−1付近)の吸収バンドはそれぞれルイス酸点およびブレンステッド酸点に吸着したピリジンの19b振動モードによるものであり、PyBのピーク面積をPyLのピーク面積で割ったピーク面積比(B/L)を求めることにより、ルイス酸量に対するブレンステッド酸量の比率を決定することができる。
【0038】
本発明における、「ブレンステッド酸量(B)」および「ルイス酸量(L)」は、それぞれ、プローブとしてピリジンを用いた下記FT−IR分析法により測定した、ブレンステッド酸点に由来するピーク面積およびルイス酸点に由来するピーク面積を意味する。
【0039】
<FT−IR分析法>
FT−IR装置として、ニコレー社製のPROTEGE460を用い、これに拡散反射型in situセルを取り付けて測定する。100メッシュ以下に粉砕した試料0.02gを拡散反射型セルの試料台にKBrなどで希釈せずに粉末のまま載せ、酸素(O2)を5容量%含むヘリウムガスを流速40ml/minで流しながら400℃まで加熱し、400℃で60分間保持する。その後、ヘリウムガスを流しつつ150℃まで冷却し、150℃でピリジン10μL(microliter)を注入して試料にピリジンを吸収させる。その後、150℃でヘリウムガスを120分間流して試料に物理吸着したピリジンを除去した後、室温まで放冷し、分解能4cm−1でFT−IRスペクトルを測定する。ブレンステッド酸量(B)は、得られたFT−IRスペクトルの1515〜1565cm−1の範囲を、またルイス酸量(L)は、1425〜1465cm−1の範囲をそれぞれ積分することにより求められる。
【0040】
そして、ブレンステッド酸量(B)とルイス酸量(L)との比率(B/L)は、上記FT−IR分析法により求めたブレンステッド酸量(B)とルイス酸量(L)とから容易に求められる。
【0041】
本発明の排ガス処理用触媒の組成には特に制限はなく、上記比率(B/L)が0/1〜10/1の範囲にあればいずれでもよい。なかでも、チタン系酸化物とバナジウム(V)、タングステン(W)およびモリブデン(Mo)から選ばれる少なくとも1種の元素を含有するものが好ましい。
【0042】
前記比率(B/L)が0/1〜1/1である場合には、本発明で用いる「チタン系酸化物」は、pKa≦+3.3である固体酸量が0.3mmol/g以上、好ましくは0.3〜0.8mmol/g、より好ましくは0.35〜0.7mmol/g、更に好ましくは0.4〜0.6mmol/gの範囲にあるものである。pKa≦+3.3である固体酸量が0.3mmol/gより少ないと、触媒表面への有害物質の吸着が低下し、結果として、触媒の有害物質分解性能が低下する。なお、上記固体酸量はチタン系酸化物表面上のブレンステッド酸およびルイス酸の合計酸量と考えられている。
【0043】
本発明における「pKa≦+3.3である固体酸量」は、下記方法により測定したものである。
【0044】
<固体酸量の測定方法>
pKa=+3.3の指示薬としてp−ジメチルアミノアゾベンゼンを用い、n−ブチルアミン滴定法に従って求める。120℃で3時間以上乾燥した粉体試料0.2gを精密天秤で秤量し、試験管に入れ、これに約20mlのベンゼンを加える。そこに、上記指示薬をベンゼンに溶かした溶液を数滴加え、栓をしてよく振り混ぜると、指示薬の酸性色である赤色となる。これに、0.13mmol/mlのn−ブチルアミンのベンゼン溶液をミクロビュレットで加え、試料が指示薬の塩基性色である黄色に変色した点を滴定の終点とし、滴定量と試料の質量とから、次式に従って固体酸量(mmol/g)を算出する。
【0045】
【数1】

【0046】
上記固体酸量の場合、本発明で用いる「チタン系酸化物」は、ブレンステッド酸量(B)とルイス酸量(L)との比率(B/L)が0/1〜1/1、好ましくは0.1/1〜1/1、より好ましくは0.1/1〜 0.8/1の範囲にあるものである。上記比率(B/L)が1/1を超えると、このチタン系酸化物を用いて得られる排ガス処理用触媒は、その有害物質分解性能が低いものとなり、好ましくない。
【0047】
本発明のpKa≦+3.3である固体酸量が0.3mmol/g以上であり、またブレンステッド酸量とルイス酸量との比率(B/L)が0/1〜1/1の範囲にあるチタン系酸化物は各種方法によって調製することができるが、チタン系酸化物として、チタンとアルミニウム、ケイ素およびジルコニウムから選ばれる少なくとも1種の元素とのチタン系複合酸化物を例に挙げて、その調製方法を以下に説明する。
【0048】
出発原料については特に制限はなく、チタンを含む複合酸化物の調製に一般に用いられている化合物を用いることができる。
【0049】
チタン源としては、例えば、四塩化チタン、硫酸チタンなどの無機チタン化合物、およびシュウ酸チタン、テトライソプロピルチタネートなどの有機チタン化合物から適宜選択して用いることができる。
【0050】
アルミニウム源としては、例えば、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウムなどの無機アルミニウム化合物、および酢酸アルミニウムなどの有機アルミニウム化合物から適宜選択して用いることができる。
【0051】
ケイ素源としては、例えば、コロイド状シリカ、水ガラス、微粒子ケイ素、四塩化ケイ素、シリカゲルなどの無機ケイ素化合物、およびテトラエチルシリケートなどの有機ケイ素化合物から適宜選択して用いることができる。
【0052】
ジルコニウム源としては、例えば、塩化ジルコニウム、硫酸ジルコニウムなどの無機ジルコニウム化合物、およびシュウ酸ジルコニウムなどの有機ジルコニウム化合物から適宜選択して用いることができる。
【0053】
本発明のチタン系複合酸化物は、例えば、チタン−ケイ素複合酸化物の場合、コロイド状シリカなどのケイ素化合物をアンモニア水溶液に分散させて溶液(A)を調製し、この溶液(A)に攪拌下で硫酸チタニルなどのチタン化合物の溶液を、滴下を開始してから混合液のpHが8となるまでの時間が40分以上、好ましくは40〜1440分、より好ましくは60〜1080分、さらに好ましくは90〜720分となるように滴下し、得られたスラリーをろ過し、さらに乾燥した後、300〜600℃の温度で焼成することにより得られる。また、チタン−ケイ素−アルミニウム複合酸化物の場合には、上記溶液(A)にチタン化合物のほかに、アルミニウム化合物の溶液を滴下するが、この際、滴下を開始してから混合液のpHが8となるまでの時間が40分以上、好ましくは40〜1440分、より好ましくは60〜1080分、さらに好ましくは90〜720分となるように滴下し、得られたスラリーをろ過し、さらに乾燥した後、300〜600℃の温度で焼成すればよい。
【0054】
チタン化合物とケイ素化合物などの混合溶液にアンモニア水溶液を滴下したり、あるいはチタン化合物の溶液を滴下する場合であっても、滴下を開始してから混合液のpHが8となるまでの時間が40分未満となるような条件で滴下したのでは、目的とする酸性質を有するチタン系酸化物が得られず、充分な排ガス処理性能が得られない恐れがある。
【0055】
チタン系複合酸化物中のチタンの含有量は、チタンと他の元素、例えば、アルミニウム、ケイ素、クロム、ジルコニウム、モリブデンおよびタングステンから選ばれる少なくとも1種の元素との合計質量に対し、40〜95質量%、好ましくは50〜95質量%、特に好ましくは60〜95質量%である。他の元素の含有量については、二元系複合酸化物か三元系複合酸化物かにより相違し、前者の場合、他の元素の含有量は、チタンと他の元素との合計質量に対し、5〜60質量%、好ましくは5〜50質量%、より好ましくは5〜40質量%であり、後者の場合、他の元素の含有量は、チタンと他の元素との合計質量に対し、1〜60質量%、好ましくは5〜50質量%、より好ましくは5〜40質量%である。(ただし、チタン系複合酸化物とその他の触媒活性成分の合計は100質量である。)
本発明の排ガス処理用触媒中のチタン系酸化物の含有量は、触媒の全質量基準で、75〜99.9質量%、好ましくは80〜99.5質量%、より好ましくは85〜99質量%である。チタン系酸化物の含有量が99.9質量%を超えると、バナジウム、タングステンおよびモリブデンから選ばれる少なくとも1種の元素の含有量が少なくなりすぎて触媒性能が低下し、また75質量%より少なくすると、バナジウムなどの元素の含有量が大きくなり、それに見合う触媒性能の向上は認められず、かえって触媒コストが上昇して好ましくない。
【0056】
チタン系酸化物の形状については特に制限はなく、前記のような調製方法によって得られたチタン系酸化物をそのまま用いても、あるいは板状、波板状、網状、ハニカム状、円柱状、球状、円筒状、ペレット状などの形状に適宜成型して使用してもよい。チタン系酸化物の形状は、完成触媒の形状を考慮して決定するのが一般的である。
【0057】
本発明のブレンステッド酸量(B)とルイス酸量(L)との比率(B/L)が1/1〜10/1の範囲にある排ガス処理用触媒は、前記のようにして調製したチタン系複合酸化物を用い、これにバナジウム、タングステンおよびモリブデンから選ばれる少なくとも1種の元素を加えることにより得られる。この方法については、例えば、沈澱法(共沈法)、加水分解法、ゾルゲル法、沈着法、混練法などを用いることができる。具体的には、チタン系酸化物の粉末にバナジウム、タングステンおよび/またはモリブデンの出発原料を含む水溶液に、一般にこの種の成形を行う際に用いられる有機または無機の成形助剤とともに加え、混合、混練しつつ加熱して水分を蒸発させ、押出し可能なペースト状とし、これを押出成形機でハニカム状などに成形した後、乾燥し空気中で高温(好ましくは200〜600℃)で焼成する方法などが挙げられる。また、別の方法として、チタン酸化物の粉末を予め球状、円柱状のペレット、格子状のハニカムなどの形に成形し、焼成した後、バナジウム、タングステンおよび/またはモリブデンの出発原料を含む水溶液を含浸させる方法も採用することができる。また、チタン系酸化物の粉末をバナジウム、タングステンおよび/またはモリブデンの酸化物の粉末と直接混練する方法を採用することができる。また、チタン系酸化物を調製する工程でチタンなどを含む溶液またはスラリーにバナジウム、タングステンおよび/またはモリブデンを含む化合物の水溶液を添加する方法や、チタン系酸化物を調製する工程で、ろ過などによりスラリーから水分を除去して得られるケーキに、バナジウム、タングステンおよび/またはモリブデンを含む化合物の水溶液を添加して混合し、乾燥、焼成する方法も採用することができる。
【0058】
バナジウム源としては、例えば、バナジウム酸化物のほかに、水酸化物、アンモニウム塩、シュウ酸塩、ハロゲン化物、硫酸塩などのバナジウム化合物を適宜選択して用いることができる。
【0059】
タングステン源としては、例えば、酸化タングステン、パラタングステン酸アンモニウム、メタタングステン酸アンモニウム、タングステン酸などから適宜選択して用いることができる。
【0060】
モリブデン源としては、焼成によりモリブデン酸化物を生成するものであればいずれでもよく、例えば、モリブデンの酸化物、水酸化物、アンモニウム塩、ハロゲン化物など、具体的にはパラモリブデン酸アンモニウム、モリブデン酸などから適宜選択して用いることができる。
【0061】
本発明の排ガス処理用触媒中のバナジウム、タングステンおよび/またはモリブデンの含有量は、触媒の全質量基準で、0.1〜25質量%、好ましくは0.5〜20質量%、より好ましくは1〜15質量%である。
【0062】
本発明の排ガス処理用触媒は、硫黄(S)を含有しているのが好ましい。硫黄を添加する方法としては、例えば、硫酸の水溶液や硫酸塩などの水溶液に触媒を浸漬する方法、触媒に二酸化硫黄(SO)などを含むガスを接触させる方法などから適宜選択して用いることができる。
【0063】
硫黄源としては、例えば、硫酸、硫酸アンモニウム、硫酸水素アンモニウム、二酸化硫黄ガスなどを適宜選択して用いることができる。
【0064】
本発明の排ガス処理用触媒が硫黄を含む場合、その含有量は、触媒の全質量に対し、0.01〜3質量%、好ましくは0.1〜3質量%、より好ましくは0.5〜3質量%である。
【0065】
本発明にかかる排ガス処理用触媒としては、前記チタン系酸化物、およびバナジウム、タングステンおよび/またはモリブデン(以下、これらをまとめて触媒成分ということもある。)のみを触媒の構成材料として用い、この触媒成分を一定の形状で成形してなる成形型触媒が好ましい形態ではあるが、所望の形状を有する任意の不活性担体に触媒成分を担持させてなる担持型触媒であっても、あるいは上記成形型触媒と担持型触媒とを適宜組み合わせて得られた触媒であってもよい。
【0066】
本発明の排ガス処理用触媒の形状については特に制限はなく、この種の触媒に一般に用いられている形状、例えば、ハニカム状、球状、板状、網状、円柱状、円筒状、波状(コルゲート)状、パイプ状、ドーナッツ状などから適宜選択して決定することができる。
【0067】
本発明の排ガス処理用触媒の細孔容積は、通常、0.2〜0.8cm3/gであり、好ましくは0.25〜0.7m3/g、より好ましくは0.25〜0.6cm3/gである。
【0068】
また、本発明の排ガス処理用触媒のBET比表面積は、特に制限されないが、30〜250m2/gであることが好ましく、より好ましくは40〜250m2/g、さらに好ましくは45〜250m2/gである。
【0069】
上述のような、本発明の排ガス処理用触媒に窒素酸化物やダイオキシン類などの有害物質を含む排ガスを接触させて、有害物質を分解して、排ガスを処理することができる。接触条件については特に制限はなく、この種の処理に一般に用いられている条件下に実施することができる。排ガスの空間速度は、通常、100〜100,000hr−1(STP)であり、好ましくは200〜50,000hr−1(STP)、より好ましくは200〜29,000hr−1(STP)である。処理温度については、処理すべき排ガスの温度は、通常、100〜500℃であり、好ましくは200〜500℃、より好ましくは250〜500℃である。
【実施例】
【0070】
本発明の有利な実施態様を示している以下の実施例を挙げて、本発明を更に具体的に説明する。
【0071】
実施例1
<Ti−Si複合酸化物(a)>
25質量%アンモニア水137リットルにスノーテックス−20(日産化学株式会社製、約20質量%のSiO含有)10kgを加え、攪拌、混合した後、硫酸チタニルの硫酸溶液(TiOとして70g/リットル、硫酸濃度287g/リットル)257リットルを攪拌しながら120分以上かけて滴下した(pH8)。得られたゲルを20時間放置した後、ろ過、水洗、続いて120℃で20時間乾燥した。これを500℃で5時間焼成し、さらにハンマーミルを用いて粉砕し、分級機で分級して平均粒子径12μmの粉体を得た。
【0072】
得られた粉体のX線回折図を図1に示す。SiOの明らかな固有ピークは認められず、2θ=25.3°にブロードな回折ピークが得られていることから、上記粉体はチタンとケイ素との複合酸化物(Ti−Si複合酸化物)(a)であることが確認された。
【0073】
<ハニカム触媒>
8リットルの水に、メタバナジン酸アンモニウム1.3kg、パラタングステン酸アンモニウム1.9kg、シュウ酸2.0kgおよびモノエタノールアミン1.2kgを混合し、溶解させ均一溶液を調製した。先に調製したTi−Si複合酸化物(a)粉体18.0kgをニーダーに投入後、有機バインダー(デンプン1.5kg)などの成形助剤とともに上記均一溶液を加え、よく攪拌した。さらに、適量の水を加えつつブレンダーでよく混合した後、連続ニーダーで十分混練りし、外形80mm角、目開き4.0mm、肉厚1.0mm、長さ500mmのハニカム状に押出成形した。得られた成形物を60℃で乾燥した後、450℃で5時間焼成して触媒(1)を得た。この触媒の組成は、Ti:Si:V:W(TiO:SiO:V:WOとして換算比率)=78.3:8.7:5:8であった。
【0074】
触媒(1)について、FT−IR分析法により求めたチャートを図2に示し、このチャートに基づいて求めた比率(B/L)を表1に示した。
【0075】
実施例2
実施例1において、パラタングステン酸アンモニウム1.9kgの代わりに、パラモリブデン酸アンモニウム2.0kgを用いた以外は同様にして、触媒(2)を得た。この触媒(2)の組成は、Ti:Si:V:Mo(TiO:SiO:V:MoOとして換算比率)=78.3:8.7:5:8であった。触媒(2)の、FT−IR分析法により求めた比率(B/L)を表1に示す。
【0076】
実施例3
<Ti−Si−Mo複合酸化物(b)>
シリカゾル(スノーテックス−30、日産化学株式会社製、SiO換算30質量%含有)3.3kgと工業用アンモニア水(25質量%アンモニア含有)103kgと水58リットルとの混合溶液に、モリブデン酸3.4kgを加え、よく攪拌し、モリブデン酸を完全に溶解させ、均一溶液を得た。この溶液に硫酸チタニルの硫酸溶液(TiOとして70g/リットル、硫酸濃度287g/リットル)228リットルを攪拌しながら120分かけて滴下し、沈澱を生成させた(pH8)。この共沈スラリーを約40時間静置した後、ろ過し、水で十分洗浄した後、100℃で1時間乾燥させた。さらに、空気雰囲気下、500℃で5時間焼成した。ハンマーミルを用いて粉砕し、分級機で分級して平均粒子径12μmの粉体を得た。
【0077】
得られた粉体のX線回折チャートではSiOおよびMoOの明らかな固有ピークは認められず、2θ=25.3°にブロードな回折ピークが得られ、チタンとケイ素とモリブデンとの複合酸化物(Ti−Si−Mo複合酸化物)(b)であることが確認された。
【0078】
<ハニカム触媒>
8リットルの水に、メタバナジン酸アンモニウム1.8kg、シュウ酸1.67kg、さらにモノエタノールアミン0.4kgを混合し、溶解させ、均一溶液を調製した。先に調製したTi−Si−Mo複合酸化物粉体18.6kgをニーダーに投入後、有機バインダー(デンプン1.5kg)などの成形助剤とともに上記バナジウム含有溶液を加え、よく攪拌した。さらに、適量の水を加えつつブレンダーでよく混合した後、連続ニーダーで十分混練りし、外形80mm角、目開き44.0mm、肉厚1.0mm、長さ500mmのハニカム状に押出成形した。得られた成形物を60℃で乾燥した後、450℃で5時間焼成して触媒(3)を得た。この触媒の組成は、Ti:Si:Mo:V(TiO:SiO:MoO:Vとして換算比率)=74.3:4.7:14:7であった。触媒(3)の、FT−IR分析法により求めた比率(B/L)を表1に示す。
【0079】
実施例4
8リットルの水に、メタバナジン酸アンモニウム1.8kg、硫酸アンモニウム1.7kg、シュウ酸1.67kg、さらにモノエタノールアミン0.4kgを混合し、溶解させ、均一溶液を調製した。市販のTiO粉体(DT−51(商品名)、ミレニアム社製)6.2kgをニーダーに投入後、有機バインダー(デンプン1.5kg)などの成形助剤とともに上記バナジウム含有溶液を加え、よく攪拌した。さらに、適量の水を加えつつブレンダーでよく混合した後、連続ニーダーで十分混練りし、外形80mm角、目開き4.0mm、肉厚1.0mm、長さ500mmのハニカム状に押出成形した。得られた成形物を60℃で乾燥した後、450℃で5時間焼成して触媒(4)を得た。この触媒の組成は、Ti:V:S(TiO:V:Sとして換算比率)=92.5:7:0.5であった。触媒(4)の、FT−IR分析法により求めた比率(B/L)を表1に示す。
【0080】
比較例1
<Ti−Si複合酸化物(d)>
硫酸チタニルの硫酸溶液(TiOとして70g/リットル、硫酸濃度287g/リットル)257リットルにスノーテックス−20を10kg加え、攪拌、混合し、この混合水溶液を70℃に加熱した。加熱した混合水溶液に、25質量%アンモニア水137リットルを攪拌しながら30分かけて滴下した後、pH=7となるよう調整した。得られたゲルを70℃にて2時間攪拌した後、ろ過、水洗し、続いて100℃で20時間乾燥した。これを500℃で5時間焼成し、さらにハンマーミルを用いて粉砕し、分級機で分級して平均粒子径12μmの粉体を得た。
【0081】
得られた粉体のX線回折図を図3に示す。これによれば、SiOの明らかな固有ピークは認められず、2θ=25.3°にブロードな回折ピークが得られ、粉体はチタンとケイ素との複合酸化物(Ti−Si複合酸化物)(d)であることが確認された。
【0082】
<ハニカム触媒>
8リットルに水にメタバナジン酸アンモニウム1.3kg、パラタングステン酸アンモニウム1.9kg、シュウ酸2.0kgおよびモノエタノールアミン1.2kgを混合し、溶解させ、均一溶液を調製した。先に調製したTi−Si複合酸化物(d)18kgをニーダーに投入後、有機バインダー(デンプン1.5kg)の成形助剤とともに上記のバナジウムおよびタングステン含有溶液を加え、よく攪拌した。さらに適量の水を加えつつブレンダーでよく混合した後、連続ニーダーで十分混練りし、外形80mm角、目開き4.0mm、肉厚1.0mm、長さ500mmのハニカム状に押出成形した。得られた成形物を60℃で乾燥した後、450℃で5時間焼成して触媒(5)を得た。この触媒(5)の組成は、Ti:Si:V:W(TiO:SiO:V:WOとして換算比率)=78.3:8.7:5:8であった。触媒(5)について、FT−IR分析法により求めたチャートを図4に示し、このチャートに基づいて求めた比率(B/L)を表1に示した。
【0083】
比較例2
市販のV粉体1.4kgを、市販のアナターゼ型酸化チタニア粉体(DT−51(商品名)、ミレニアム社製)18.6kgと混合し、ニーダーに投入後、有機バインダー(デンプン1.5kg)などの成形助剤とともに適量の水を加えつつブレンダーでよく混合した後、連続ニーダーで純分混練りし、外形80mm角、目開き4.0mm、肉厚1.0mm、長さ500mmのハニカム状に押出成形した。得られた成形品を60℃で乾燥後、500℃で5時間焼成して触媒(6)を得た。この触媒の組成は、Ti:V=95:5(TiO:Vとした換算比率)であった。
【0084】
なお、上記アナターゼ型酸化チタニア粉体のX線回折図を図5に示した。触媒(6)のFT−IR分析法により求めた比率(B/L)を表1に示す。
【0085】
実施例5
実施例1〜4および比較例1〜2で得られた触媒(1)〜(6)を用いて下記の条件で活性評価試験(脱硝反応試験およびクロロトルエン分解試験)を行った。
【0086】
(活性評価試験)
触媒(1)〜(6)のそれぞれ36.3mlを長さ1200mm、口径50mmのステンレス鋼製反応管に充填し、下記の反応ガスを下記の反応ガス温度および空間速度で流し、それぞれ反応管出口でのNOx濃度およびクロロトルエン濃度を測定してNOx除去率(脱硝率)およびクロロトルエン分解率を求めた。
【0087】
(脱硝反応試験条件)
反応ガス=NOx:200ppm、NH:200ppm、SO:50ppm、O:10%、HO:12%、N:バランス
反応ガス温度:200℃、300℃および400℃
空間速度:17,000hr−1(STP)
脱硝率は下記式に従って求めた。
【0088】
【数2】

【0089】
(クロロトルエン分解試験条件)
反応ガス=クロロトルエン:20ppm、SO:50ppm、O:10%、HO:12%、N:バランス
反応ガス温度=200℃
空間速度=3800hr−1
クロロトルエン分解率は下記式に従って求めた。
【0090】
【数3】

【0091】
結果を表1に示す。
【0092】
【表1】

【0093】
実施例6
実施例1において、25質量%アンモニア水の量を69リットルに変更し、硫酸チタニルの硫酸溶液257リットルの代わりに四塩化チタン水溶液(TiOとして36質量%含有)88リットルを用いたこと以外は同様にして、Ti−Si複合酸化物(e)を得た。得られたTi−Si複合酸化物(e)について、pKa≦+3.3である固体酸量を表1に、またFT−IR分析法により得られたチャートを図6に示し、このチャートに基づいて求めた比率(B/L)を表2に示した。
【0094】
<ハニカム触媒>
8リットルの水に、メタバナジン酸アンモニウム1.3kg、パラタングステン酸アンモニウム1.9kg、シュウ酸2.0kgおよびモノエタノールアミン1.2kgを混合し、溶解させ均一溶液を調製した。先に調製したTi−Si複合酸化物(e)粉体18kgをニーダーに投入後、有機バインダー(デンプン1.5kg)などの成形助剤とともに上記均一溶液を加え、よく攪拌した。さらに、適量の水を加えつつブレンダーでよく混合した後、連続ニーダーで十分混練りし、外形80mm角、目開き4.0mm、肉厚1.0mm、長さ500mmのハニカム状に押出成形した。得られた成形物を60℃で乾燥した後、450℃で5時間焼成して触媒(1)を得た。この触媒の組成は、Ti:Si:V:W(TiO:SiO:V:WOとして換算比率)=78.3:8.7:5:8であった。
【0095】
実施例7
実施例6において、ハニカム触媒の調製の際に、パラタングステン酸アンモニウム1.9kgの代わりに、パラモリブデン酸アンモニウム2.0kgを用いた以外は同様にして、触媒(8)を得た。この触媒(8)の組成は、Ti:Si:V:Mo(TiO:SiO:V:MoOとして換算比率)=78.3:8.7:5:8であった。
【0096】
実施例8
実施例3において、アンモニア水の量を52kgに変更し、硫酸チタニルの硫酸溶液228リットルの代わりに四塩化チタン水溶液(TiOとして36質量%含有)78リットルを用いたこと以外は同様にして、Ti−Si−Mo複合酸化物(f)を得た。得られたTi−Si−Mo複合酸化物(f)について、pKa≦+3.3である固体酸量を表2に、またFT−IR分析法により求めた比率(B/L)を表2に示した。
【0097】
<ハニカム触媒>
8リットルの水に、メタバナジン酸アンモニウム1.29kg、シュウ酸1.67kg、さらにモノエタノールアミン0.4kgを混合し、溶解させ、均一溶液を調製した。先に調製したTi−Si−Mo複合酸化物(f)粉体19kgをニーダーに投入後、有機バインダー(デンプン1.5kg)などの成形助剤とともに上記バナジウム含有溶液を加え、よく攪拌した。さらに、適量の水を加えつつブレンダーでよく混合した後、連続ニーダーで十分混練りし、外形80mm角、目開き4.0mm、肉厚1.0mm、長さ500mmのハニカム状に押出成形した。得られた成形物を60℃で乾燥した後、450℃で5時間焼成して触媒(3)を得た。この触媒の組成は、Ti:Si:Mo:V(TiO:SiO:MoO:Vとして換算比率)=76.4:4.8:14.2:5であった。
【0098】
実施例9
<TiO粉体(g)>
25質量%アンモニア水160リットルに硫酸チタニルの硫酸溶液(TiOとして70g/リットル、硫酸濃度287g/リットル)300リットルを攪拌しながら120分かけて滴下した(pH8)。得られたゲルを20時間放置した後、ろ過、水洗、続いて120℃で20時間乾燥した。これを520℃で3時間焼成し、さらにハンマーミルを用いて粉砕し、分級機で分級して平均粒子径12μmのTiO粉体(g)を得た。
【0099】
このTiO粉体(g)について、pKa≦+3.3である固体酸量を表2に、またFT−IR分析法により求めた比率(B/L)を表2に示した。
【0100】
<ハニカム触媒>
実施例8において、Ti−Si−Mo複合酸化物(f)の代わりに上記粉体TiO(g)を用いた以外は実施例8と同様にして触媒(10)を得た。この触媒(10)の組成は、Ti:V(TiO:Vとして換算比率)=95:5であった。
【0101】
比較例3
比較例1において、アンモニア水の量を69kgに変更し、硫酸チタニルの硫酸溶液257リットルの代わりに四塩化チタン水溶液(TiOとして36質量%含有)88リットルを用いたこと以外は同様にして、Ti−Si複合酸化物(h)を得た。得られたTi−Si複合酸化物(h)について、pKa≦+3.3である固体酸量を表2に、またFT−IR分析法により得られたチャートを図7に示し、このチャートに基づいて求めた比率(B/L)を表2に示した。
【0102】
<ハニカム触媒>
8リットルに水にメタバナジン酸アンモニウム1.3kg、パラタングステン酸アンモニウム1.9kg、シュウ酸2.0kgおよびモノエタノールアミン1.2kgを混合し、溶解させ、均一溶液を調製した。先に調製したTi−Si複合酸化物(h)18kgをニーダーに投入後、有機バインダー(デンプン1.5kg)の成形助剤とともに上記のバナジウムおよびタングステン含有溶液を加え、よく攪拌した。さらに適量の水を加えつつブレンダーでよく混合した後、連続ニーダーで十分混練りし、外形80mm角、目開き4.0mm、肉厚1.0mm、長さ500mmのハニカム状に押出成形した。得られた成形物を60℃で乾燥した後、450℃で5時間焼成して触媒(11)を得た。この触媒の組成は、Ti:Si:V:W(TiO:SiO:V:WOとして換算比率)=78.3:8.7:5:8であった。
【0103】
比較例4
<TiO粉体(i)>
実施例9において、TiO粉体(g)の調製の際に、ゲルをろ過した後に水洗せず、そのまま120℃で20時間乾燥した。これを520℃で3時間焼成し、さらにハンマーミルを用いて粉砕し、分級機で分級して平均粒子径12μmのTiO粉体(i)を得た。
【0104】
上記粉体TiO(i)について、pKa≦+3.3である固体酸量を表2に、またFT−IR分析法により求めた比率(B/L)を表2に示した。
【0105】
以下、実施例9において、TiO粉体(g)の代わりにTiO粉体(i)を用いた以外は同様にしてハニカム触媒を調製して触媒(12)を得た。この触媒の組成は、Ti:V:S=85:5:10(TiO:V:Sとした換算比率)であった。
【0106】
実施例10
実施例6〜9および比較例3〜4で得られた触媒(7)〜(12)を用いて下記の条件で活性評価試験(脱硝反応試験およびクロロトルエン分解試験)を行った。
【0107】
(活性評価試験)
触媒(7)〜(12)を用いて、実施例5と同様の方法でそれぞれNOx除去率(脱硝率)およびクロロトルエン分解率を求めた。
【0108】
(脱硝反応条件)
反応ガス=NOx:200ppm、NH:200ppm、SO:50ppm、O:9%、H2O:15%、N2:バランス
反応ガス温度:200℃、300℃および400℃
空間速度:15,000hr−1(STP)
脱硝率は下記式に従って求めた。
【0109】
【数4】

【0110】
(クロロトルエン分解試験条件)
反応ガス=クロロトルエン:40ppm、SO:50ppm、O:9%、HO:15%、N:バランス
反応ガス温度=200℃
空間速度=3100hr−1
クロロトルエン分解率は下記式に従って求めた。
【0111】
【数5】

【0112】
結果を表2に示す。
【0113】
【表2】

【0114】
実施例11
実施例1において、硫酸チタニルの硫酸溶液を90分かけて滴下したこと以外は実施例1と同様にして、Ti−Si複合酸化物(j)および触媒(13)を得た。触媒(13)の、FT−IR法により求めた比率(B/L)を表3に、またTi−Si複合酸化物(j)について、pKa≦+3.3である固体酸量を表4に、FT−IR法により求めた比率(B/L)を表4に、それぞれ示した。
【0115】
実施例12
実施例1において、硫酸チタニルの硫酸溶液を60分かけて滴下したこと以外は実施例1と同様にして、Ti−Si複合酸化物(k)および触媒(14)を得た。触媒(14)の、FT−IR法により求めた比率(B/L)を表3に、またTi−Si複合酸化物(k)について、pKa≦+3.3である固体酸量を表4に、FT−IR法により求めた比率(B/L)を表4に、それぞれ示した。
【0116】
実施例13
実施例1において、硫酸チタニルの硫酸溶液257リットルに、25質料%アンモニア水137リットルとスノーテックス−20 10kgの混合溶液を、攪拌しながら120分かけて滴下したこと以外は実施例1と同様にして、Ti−Si複合酸化物(l)および触媒(15)を得た。触媒(15)の、FT−IR法により求めた比率(B/L)を表3に、またTi−Si複合酸化物(l)について、pKa≦+3.3である固体酸量を表4に、FT−IR法により求めた比率(B/L)を表4に、それぞれ示した。
【0117】
実施例14
実施例1、11、12、13および比較例1で得られた触媒(1)、(13)、(14)、(15)および(5)を用いて、実施例5と同様の条件で活性評価試験をそれぞれ行った。結果を表3に示す。
【0118】
実施例15
実施例6、11、12、13および比較例3で得られた触媒(7)、(13)、(14)、(15)および(11)を用いて、実施例10と同様の条件で活性評価試験をそれぞれ行った。結果を表3に示す。
【0119】
【表3】

【0120】
【表4】

【図面の簡単な説明】
【0121】
【図1】実施例1で得られたTi−Si複合酸化物のX線回折図である。
【図2】実施例1で得られた触媒(1)の吸着ピリジンのFT−IRスペクトルである。
【図3】比較例1で得られたTi−Si複合酸化物のX線回折図である。
【図4】比較例1で得られた触媒(5)の吸着ピリジンのFT−IRスペクトルである。
【図5】比較例2で用いたアナターゼ型酸化チタニア粉体のX線回折図である。
【図6】実施例6で得られたTi−Si複合酸化物(e)の吸着ピリジンのFT−IRスペクトルである。
【図7】比較例3で得られたTi−Si複合酸化物(h)の吸着ピリジンのFT−IRスペクトルである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チタン系酸化物およびその他の触媒活性成分を含有する排ガス中の有害物質を分解除去するための排ガス処理用触媒であって、ブレンステッド酸(B)とルイス酸(L)との比率(B/L)が0/1〜10/1の範囲にあることを特徴とする排ガス処理用触媒。
【請求項2】
該比率が0/1〜9/1である請求項1に記載の触媒。
【請求項3】
チタン系酸化物は、酸化チタンである請求項1に記載の触媒。
【請求項4】
チタン系酸化物は、チタンと、アルミニウム、ケイ素、クロム、ジルコニウム、モリブデンおよびタングステンよりなる郡から選ばれた少なくとも1種の元素との複合酸化物である請求項1に記載の触媒。
【請求項5】
チタン系酸化物は、チタンと、アルミニウム、ケイ素、クロムおよびジルコニウムよりなる郡から選ばれた少なくとも1種の元素との複合酸化物である請求項1に記載の触媒。
【請求項6】
チタン系酸化物は、チタンと、アルミニウム、ケイ素およびジルコニウムよりなる郡から選ばれた少なくとも1種の元素との複合酸化物である請求項1に記載の触媒。
【請求項7】
該他の触媒活性成分が、バナジウム、タングステンおよびモリブデンよりなる郡から選ばれた少なくとも1種の元素またはその化合物である請求項1に記載の触媒。
【請求項8】
該チタン系複合酸化物中のチタン含有量は40〜95質量%であり、かつ該他の触媒活性成分が60〜5質量%(ただし、これらの合計は100質量%である)である請求項1に記載の触媒。
【請求項9】
該チタン系酸化物の含有量は、触媒の全量基準で75〜99.9質量%である請求項1に記載の方法。
【請求項10】
さらに硫黄を含有してなる請求項1に記載の触媒。
【請求項11】
該チタン系酸化物の該比率(B/L)が0/1〜1/1であり、pKa≦+3.3である固体酸量が0.3mmol/g以上である請求項1に記載の触媒。
【請求項12】
pKa≦+3.3である固体酸量が0.3〜0.8mmol/gである請求項11に記載の触媒。
【請求項13】
該硫黄の含有量が、触媒の全質量に対し、0.01〜3質量%である請求項10に記載の方法。
【請求項14】
チタン化合物を含む酸性溶液に、アルミニウム、ケイ素、クロム、ジルコニウム、モリブデンおよびタングステンよりなる郡から選ばれる少なくとも1種の元素を含むアンモニア水溶液を添加して沈殿物を生成させるに当たり、添加を開始してからその全量を添加し終えるまでの時間が40分以上となる工程を経て、得られたチタン系複合酸化物を用いることを特徴とする請求項1に記載の触媒の製造方法。
【請求項15】
アルミニウム、ケイ素、クロム、ジルコニウム、モリブデンおよびタングステンよりなる郡から選ばれる少なくとも1種の元素を含むアンモニア水溶液に、チタン化合物を含む酸性溶液を添加して沈殿物を生成させるに当たり、添加を開始してからその全量を添加し終えるまでの時間が40分以上となる工程を経て、得られたチタン系複合酸化物を用いることを特徴とする請求項1に記載の触媒の製造方法。
【請求項16】
アルミニウム、ケイ素、クロム、ジルコニウム、モリブデンおよびタングステンよりなる郡から選ばれる少なくとも1種の元素ならびにチタン化合物を含む酸性溶液に、アンモニア水溶液を添加して沈殿物を生成させるに当たり、添加を開始してからその全量を添加し終えるまでの時間が40分以上となる工程を経て、得られたチタン系複合酸化物を用いることを特徴とする請求項1に記載の触媒の製造方法。
【請求項17】
アンモニア水溶液に、アルミニウム、ケイ素、クロム、ジルコニウム、モリブデンおよびタングステンよりなる郡から選ばれる少なくとも1種の元素並びにチタン化合物を含む酸性溶液を添加して沈殿物を生成させるに当たり、添加を開始してからその全量を添加し終えるまでの時間が40分以上となる工程を経て、得られたチタン系複合酸化物を用いることを特徴とする請求項1に記載の触媒の製造方法。
【請求項18】
有害物質を含む排ガスを請求項1〜13のいずれか一つに記載の排ガス処理用触媒に接触させて該有害物質を分解除去することを特徴とする排ガスの処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−150352(P2006−150352A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−323971(P2005−323971)
【出願日】平成17年11月8日(2005.11.8)
【出願人】(000004628)株式会社日本触媒 (2,292)
【Fターム(参考)】