説明

排ガス処理装置と排ガス処理方法

【課題】船舶などに搭載可能で、高温の排ガス中のPMなどの有害物を効率よく除去可能かつ安価な排ガス処理装置と排ガス処理方法を提供する。
【解決手段】少なくとも1つ又は複数の排ガス発生源から発生する排ガスを選択的に取り入れる排ガス取入口2aと、取り入れた排ガス中の有害物を除去する集塵装置2と、有害物を除去された排ガスを排出する排出手段2bとを有する。集塵装置2が、孔径の異なる複数種の金属製フィルター10A,10Bの組み合わせから構成されている排ガス処理装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は排ガス処理装置と排ガス処理方法に関し、詳しくは、船舶などに搭載可能で、主としてディーゼル機関から排出される高温の排ガス中のPM(粒子状物質)などの有害物を効率よく除去可能な排ガス処理装置と排ガス処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
船舶用のディーゼル機関は、安価な重油を燃料とするものであるため、ガソリンおよび軽油を燃料とする場合に比べて黒煙の排出量が多く、しかも、この黒煙中には有害なPMが含まれており、大気中に排出されたPMは健康を害するおそれがあるため、その低減が大きな課題となっている。
【0003】
例えば、船舶用のディーゼル機関などから排出される排ガス中の微粒子を除去するため、触媒供給手段から触媒を供給する機構を備えたフィルター部を並列すると共に、冷却部を有する排ガス中の微粒子・タール除去装置の提案がなされている(例えば、特許文献1)。
【0004】
【特許文献1】特開2002−161729号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、この技術は、触媒を供給するなど複雑で大掛かりな装置を必要としており、製造コストが高いという問題があるのみならず、船舶などから排出される有害物質の除去には、できるだけコンパクトで、かつ効率良く除去する装置の開発が望まれていることからすると、改善の余地がある。
【0006】
通常、船舶機関の燃料としては、一般的に不純物が多く、安価なC重油を用いることが多い。また、その機関からの排ガスが400℃程度の高温になる場合がある他、多くの有害物を含み、そのまま空気中に放出されているのが現状である。しかし、環境的な観点からは、このような排ガスに含まれる有害物を除去することが必要である。
【0007】
かかる高温の排ガスを除去するには、集塵内に耐熱性の優れるセラミックフィルターを配置した有害物除去装置を考えたが、排気ガス中の煤塵などの存在により目詰まりを起こし易く、保守作業を頻繁に行う必要があった。しかも、船舶内に設置される以上、大掛かりな装置にすることはできず、できるだけ除去装置自体をコンパクトなものにしながら、効率的に排ガス中の有害物を除去する装置の開発が強く望まれている。しかも、セラミックフィルターは、強度的に脆いという問題があり、使い勝手のよいものではなく、ランニングコストも高くならざるを得なかった。
【0008】
そこで、上記従来技術の有する問題点に鑑みて、本発明の課題は、船舶などに搭載可能で、高温の排ガス中のPMなどの有害物を効率よく除去可能とし、しかも的確かつ円滑な運転を可能にするのみならず、安価な排ガス処理装置と排ガス処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題は請求項記載の発明により達成される。すなわち、本発明に係る排ガス処理装置の特徴構成は、少なくとも1つあるいは複数の排ガス発生源から発生する排ガスを選択的に取り入れる排ガス取入口と、取り入れた排ガス中の有害物を除去する集塵装置と、有害物を除去された排ガスを排出する排出手段とを有する装置において、前記集塵装置が、孔径の異なる複数種の金属製フィルターの組み合わせから構成されていることにある。
【0010】
この構成によれば、単位時間あたりの排ガス送給量を多くして集塵装置による処理量を多くしても、安価な装置構成により、機関排気出口側にかかる圧力(以下、背圧)もしくはフィルター前後間の圧力差(以下、差圧)を低くできると共に、排ガス中の有害物であるPMを効率よく確実に除去できる。従って、全体の装置構成をコンパクトにできると共に、保守回数を低減できる。
【0011】
その結果、船舶などのようにコンパクト化を要する場合にも、これに搭載して、高温の排ガス中のPMなどの有害物を効率よく除去可能かつ安価な排ガス処理装置と排ガス処理方法を提供することができた。
【0012】
前記金属製フィルターの組み合わせは、孔径の異なるフィルターが交互に配列されて、孔径の異なるフィルターどうしが互いに隣接して配置されているものであることが好ましい。
【0013】
この構成によれば、同種フィルターを配列する場合に比べて、粒子径の異なるPMを確実に捕捉できると共に、逆洗時に煤塵を効率よく除去でき、特に集塵装置の集塵処理時間を長くさせることができる。
【0014】
前記孔径の異なるフィルターが、孔径0.3〜0.6mmの多数の貫通孔が稠密に形成されている荒目フィルターと、孔径3.0〜6.0mmの多数の貫通孔が稠密に形成された筒体に支持された100〜500メッシュの金網からなる細目フィルターの組み合わせからなることが好ましい。
【0015】
この構成によれば、粒子径の異なるPMを確実に捕捉できると共に、煤塵を一層効率よく除去でき、集塵装置の集塵処理時間を長くさせることができる。
【0016】
前記集塵装置に、自動逆洗機構が設けられていることが好ましい。
【0017】
この構成によれば、集塵装置内に配置されている金属製フィルターが所定の差圧に達した際には、自動的に洗浄するので、短時間に能力を回復でき、処理効率を高くできる。
【0018】
装置全体の運転を制御する制御盤と、前記排ガス発生源に接続する配管内を通流する排ガスに異常が生じたことを検知する検知手段と、前記配管内での排ガスの通流を制御可能な排ガス通流制御手段とが設けられていて、前記検知手段の検知結果が前記制御盤に送信されるようになっていると共に、前記検知結果が異常結果を示した場合には、前記制御盤は異常結果を生じた個別の排ガス発生源または全ての排ガス発生源に接続する前記排ガス通流制御手段を制御するようになっていることが好ましい。
【0019】
この構成によれば、排ガス処理を効率よく行うに当たり、装置全体の確実かつ円滑な運転を一層可能にし、不測の事態が生じたとしても、その程度に応じて個別の排ガス発生源または全ての排ガス発生源からの排ガスを排出して、迅速かつ的確な対処を可能にする排ガス処理装置を提供することができる。
【0020】
更に、排ガスを下流側に強制的に排出する排出手段が設けられており、前記検知結果が異常結果を示した場合には、前記制御盤は異常結果を生じた個別の排ガス発生源または全ての排ガス発生源に接続する前記排ガス通流制御手段および/又は排出手段を制御するようになっていることが好ましい。
【0021】
この構成によれば、装置全体の確実かつ円滑な運転をより一層可能にし、不測の事態が生じたとしても、一層迅速かつ的確な対処を可能にする排ガス処理装置を提供することができる。
【0022】
前記排ガス発生源から前記排ガス取入口への配管途中に防災手段が設けられていると共に、この防災手段に温度センサーが設けられていることが好ましい。
【0023】
この構成によれば、前記排ガス発生源と接続する配管内の排ガスの異常に対して対処できると共に、迅速な対応を採用することができるので、排ガス処理を効率よく行うに当たり、装置全体の確実かつ円滑な運転を一層可能にし、不測の事態が生じたとしても、迅速かつ的確な対処を可能にする排ガス処理装置を提供することができる。
【0024】
また、本発明に係る排ガス処理方法の特徴構成は、請求項1〜6のいずれか1項記載の排ガス処理装置を用いて、排ガス中の煤塵を除去処理することにある。
【0025】
この構成によれば、船舶などに搭載可能で、高温の排ガス中のPMなどの有害物を効率よく除去可能かつ安価な排ガス処理方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。図1は、本実施形態に係る排ガス処理装置であり、主として排ガス中のPM除去処理を行う概略全体構造を示す。この排ガス処理装置は、船舶に搭載したものを例として挙げてある。
【0027】
図1において、Dは排ガス発生源である重油焚きのディーゼル機関であり、複数のディーゼル機関Dから発生する排ガスは、排ガス通流制御手段である開閉制御可能な遮断ダンパー1aと吸気ダンパー1bとにより、ヘッダー3を経由して集塵装置2に送られる。
【0028】
集塵装置2は、図2に示すように、排ガス取入口2aから排ガスを取り入れ、内部に多数配置されている金属製フィルター10によって浄化される。金属製フィルター10の詳細については、後述する。集塵装置2で集塵されたPMなどの有害物は、装置下部に貯留され、ダスト排出ダンパー装置4の開閉により、ダスト回収缶5に排出されるようになっている。
【0029】
更に、この集塵装置2には、自動逆洗機構が設けられている。すなわち、集塵装置2内に配置されている金属製フィルター10の洗浄のための圧縮空気導入機構が取り付けられており、圧縮空気がバルブ8を介して、適宜な回数だけ金属製フィルター10に排ガスの流れと逆向きに送給されて、金属製フィルター10内を洗浄するようになっている。なお、圧縮空気内に油分が含まれていることがあり、この油分を除去するため、集塵装置2の入口側にオイルセパレーター12を設けることが好ましい。図番9は、圧縮空気の送給を制御する、差圧計を備えたパルスコントローラーを内蔵し、装置の起動・停止指示その他、装置全体の円滑な運転を制御する制御盤である。例えば、集塵装置2内での差圧が一定以上になった時に、自動的にバルブ8を開いて圧縮空気を導入する。もっとも、かかる操作を手動で行うようにしてもよい。
【0030】
一方、集塵装置2によりPMが除去された排ガスは、排ガス排出手段である排ガス排出路2bを通り、ヘッダー13を経由して、強制的に排ガスを排出する排出手段を構成するブロワー6により、煙突などから放出されてもよいし、他の処理装置に排出して、さらに清浄化処理をしてもよい。尚、図番7は、排気ガス中のダスト濃度を測定する測定口を表す。
【0031】
次に、集塵装置2内に多数配置されている、孔径の異なる複数種の金属製フィルター(以下、単にフィルターということがある)を、図2、3を参照して説明する。
【0032】
各フィルター10は、その一端部に開口部10aを有すると共に、他端が閉鎖された略円筒状をしており、開口部10aには集塵装置2内に装着するための鍔10bが形成されている。このフィルター10が、集塵装置2内に稠密に多数配置され、集塵装置2の排ガス取入口2aから導入された排ガスは、フィルター10内を通過して、排ガス排出路2bを経由して集塵装置2の外部に排出されるようになっている。ここに、排ガス排出路2b、ブロワー6等は、強制的に排ガスを排出する排出手段を構成する。
【0033】
このフィルター10は、比較的大きい粒子を捕捉する荒目フィルター10Aと、これよりも細かい粒子を捕捉する細目フィルター10Bとの2種類の金属製フィルターが交互にかつ多段に配列され配置されて構成されている。つまり、図2,3に一部を示すように、上段側の端部に荒目フィルター10Aが配置され、その奥側に細目フィルター10Bが配置されて、これらが交互に1列配列されていると共に、その下段は、端部に細目フィルター10Bが配置され、その奥側に荒目フィルター10Aが配置されて、これらが交互に1列配列されており、これらが上方から下方に向けて配列され、結局、互いに異なるフィルターが隣接するように配列されている。
【0034】
図3を参照して、更に各フィルターを個別に説明する。荒目フィルター10Aは、その筒状部に孔径0.3〜0.6mmの多数の貫通孔が稠密に形成されていて、筒状をした外表面から内側に排ガスを導入し、開口部10aから排ガス排出路2bに排出するようになっている。荒目フィルター10Aの筒状部に形成された孔の開口率は、10〜40%程度が好ましく、20〜30%であることがより好ましい。この範囲の開口率であると、比較的粒径の大きい煤塵を効果的に捕捉できる。筒状部への貫通孔の形成は、パンチング加工によって形成されていてもよいし、ドリルその他の穿孔工具によって形成されていてもよく、その方法は特に限定されない。また、使用中にPMを含む煤塵11が筒状部の外周面に集積するようになると、これらがフィルター効果を発揮するようになり、より微細な粒子を捕捉するようになる。荒目フィルター10Aの孔径が0.3mmより小さいと、逆洗時に圧縮空気による洗浄効率が悪くなり、逆に孔径が0.6mmを越えると、フィルター効果が低下する可能性がある。
【0035】
細目フィルター10Bは、孔径3.0〜6.0mmの多数の貫通孔が稠密に形成された筒体10B1に支持された、100〜500メッシュの金網、より好ましくは100〜200メッシュの金網10B2が被覆されて構成されていて、荒目フィルター10Aよりも微細なPMを確実に捕捉するようになっている。細目フィルター10Bに形成された孔の開口率は、10〜25%程度が好ましく、15〜20%がより好ましい。筒体10B1の孔径が3.0mm未満であると、金網との組み合わせにより目詰まりを起こし易くなって差圧が高まり、孔径が6.0mmを越えると、金網を充分に支持して金網によるフィルター効果を長く維持し難くなり、保守回数の頻度が増える可能性がある。この細目フィルター10Bを構成する筒体10B1の製造方法は、荒目フィルター10Aと同様に、特に限定されるものではない。また、荒目フィルター10A、細目フィルター10B共、排ガスの通過風速は5〜6m/sが最適であり、5m/s未満であると、処理量が少なくなって処理効率が低くなり、逆に6m/sを越えると、圧力損失が大きくなって処理効率が低下するおそれがある。
【0036】
このように、異なる機能を有する金属製フィルターを配置すると、粒子径の異なるPMを確実に捕捉できると共に、集塵装置内の差圧が所定の圧力に達してフィルターを洗浄するまでの期間が長くなると共に、圧縮空気を集塵装置に導入して逆洗を行う場合に、まず荒目フィルター10Aの外表面に付着しているPMなどの煤塵が取り除かれ、その後荒目フィルター10Aに隣接する細目フィルター10B群に対して、細目フィルター10Bの外表面に付着した煤塵を吹き飛ばすように作用するので、付着した煤塵を除去し難い細目フィルター10Bに対しても、細目フィルター10Bの内外から洗浄がなされ、煤塵が効率よく取り除かれる。従って、集塵装置の集塵処理時間を長くさせることができ、排気ガスの処理量を高めることができる。
【実施例】
【0037】
(実施例1)
図1に示す集塵装置内に、内径約60mm、長さ約500mmの金属製フィルターを計27本、略円筒状をした100メッシュの金網の内周に円筒状のパンチングメタル板を内挿させた多孔体27本とを交互に配置した。この集塵装置に、最大出力800kWのディーゼル発電機関1基から排出される約320℃の排ガス(C重油焚き。負荷470kW時)を、約4000m3 N/h通流させた。差圧を測定したところ、0.95kPaであり、差圧の増加は大きくなく、洗浄に要する頻度は多くない。また、集塵装置に投入される排ガス中の煤塵量は、約0.16g/m3 Nであったところ、出口側では、煤塵量は0.033g/m3 Nに減少しており、この程度にまで低減できれば、実質的に排出に支障はなく、次工程の処理にも問題を生じない。
【0038】
(実施例2)
実施例1と同様な金属製フィルターの配置において、約260℃の排ガス(A重油焚き。負荷310kW時)を、約3000m3 N/h通流させた。差圧を測定したところ、1.05kPaであり、集塵装置に投入される排ガス中の煤塵量は、約0.075g/m3 Nであったところ、出口側では、煤塵量は0.036g/m3 Nに減少しており、A重油使用時においても、実質的に排出に支障がないことが確認できた。
【0039】
以上の結果を、表1にまとめる。
【0040】
【表1】

【0041】
〔別実施の形態〕
(1)本発明の別実施形態として、図4に示す構成の排ガス処理装置としてもよい。図4では、図1と同様の機能を有する部材については、同一番号を付してあり、以下、図1の排ガス処理装置との相違点を中心に説明する。
【0042】
この排ガス処理装置は、各ディーゼル機関Dを起動する際、まず電圧確立信号を制御盤19に送信し、制御盤19はこの送信を受けて、排ガス処理装置に対して起動を指示する。この実施形態の排ガス処理装置は、図1に示す排ガス処理装置と異なり、複数のディーゼル機関Dから発生する排ガスが、ヘッダー3に送給される各排ガス配管途中に防災手段であるフレームアレスター14が設けられていると共に、フレームアレスター14での温度を検知する温度センサー15が設けられていて、排ガス処理装置に異常事態が生じた場合などに、迅速な対応ができる構成になっている。温度センサー15による測定結果は、常時、制御盤19に送信されており、モニターリングされている。温度センサー15により、フレームアレスター14での温度異常を早期に探知して迅速な対応を可能にすると共に、1つ又は複数のディーゼル機関Dの排ガス配管各々にフレームアレスター14を設けることにより、各ディーゼル機関D相互の排ガス干渉や火炎の発生・拡大を抑制して、火災事故など不測の事態に対処することができる。なお、図番28は、オイルミストフィルターである。
【0043】
また、制御盤19は、排ガス処理装置全体の起動、停止指示の他、温度センサー等、各種センサーの異常結果を受けた場合には、その程度に応じて遮断ダンパー1a、吸気ダンパー1bを開閉することにより、各ディーゼル機関Dに接続する排ガスラインを個別に又は全体を排ガス処理装置から閉鎖・分離する指示機能を備える。さらに、制御盤19は、複数のブロワー6の起動停止の優先順位を決めることができると共に、各ディーゼル機関Dのいずれかを選択することにより、接続する排ガスラインの遮断ダンパー1a、吸気ダンパー1bの開閉と、ブロワー6の起動または停止との組み合わせを決定することができる。排ガス処理装置の起動時には、その決められた組み合わせにしたがって、吸気ダンパー1bを“開”、ブロワー6側の排ガス配管途中に配置されている開閉ダンパー21を“開”、ブロワー6を起動、遮断ダンパー1aを“閉”の順番に起動する。排ガス処理装置の停止時には、起動時に決められたディーゼル機関Dとブロワー6の組み合わせに従い、遮断ダンパー1aを“開”、ブロワー6を停止、吸気ダンパー1bを“閉”、開閉ダンパー21を“閉”の順番に停止する。
【0044】
以下、異常が発生した際の、排ガス処理装置全体について説明する。
1.温度センサー15により、いずれかの排ガス配管に異常高温を検知した場合には、直ちに異常を検知した排ガス配管の遮断ダンパー1aを“開”とし、起動時に決められたブロワー6を停止する。さらに、吸気ダンパー1bを“閉”とすると共に、ブロワー6の出口の開閉ダンパー21を“閉”とする。
2.温度センサー15により、全ての排ガス配管に異常高温を検知した場合には、直ちに全ての遮断ダンパー1aを“開”とし、全てのブロワー6を停止する。さらに、全ての吸気ダンパー1bを“閉”とすると共に、ブロワー6出口の開閉ダンパー21を“閉”とする。
3.集塵装置2に設けた差圧計26に異常が生じた場合も、直ちに全ての遮断ダンパー1aを“開”とし、全てのブロワー6を停止する。さらに、全ての吸気ダンパー1bを“閉”とすると共に、ブロワー6出口の開閉ダンパー21を“閉”とする。
4.集塵装置2の出口に設けた温度センサー25により、異常が検知した場合にも、直ちに全ての遮断ダンパー1aを“開”とし、全てのブロワー6を停止する。さらに、全ての吸気ダンパー1bを“閉”とすると共に、ブロワー6出口の開閉ダンパー21を“閉”とする。
5.各ディーゼル機関Dの近傍に設けられている圧力センサー27により、いずれかの排ガス配管に圧力異常を検知した場合には、直ちに異常を検知した配管の遮断ダンパー1aを“開”とし、起動時に決められたブロワー6を停止する。更に、吸気ダンパー1bを“閉”とすると共に、ブロワー6出口の開閉ダンパー21を“閉”とする。
6.圧力センサー27により、全ての排ガス配管に圧力異常を検知した場合には、直ちに全ての遮断ダンパー1aを“開”とし、全てのブロワー6を停止する。さらに、全ての吸気ダンパー1bを“閉”とすると共に、ブロワー6出口の開閉ダンパー21を“閉”とする。
【0045】
このように、制御盤19は排ガス処理装置全体に設けられている各種センサーからの信号を受けて遮断ダンパー1a、吸気ダンパー1b、開閉ダンパー21の開閉指示、ブロワー6の起動・停止指示などを行うことにより、的確かつ迅速な排ガス処理を行う。
【0046】
なお、図番20はPMが除去された排ガスを集めて排出するためのヘッダーであり、図番21は排ガス配管途中に配置された開閉ダンパーであり、複数のブロワー6の内1台使用されているとき、他のブロワー6側への排ガスの逆流を防止する。またブロワー6には、ヘッダー3の排ガス圧力を常に負圧に保つことができる能力を持たせ、各ディーゼル機関D相互の排ガス干渉を防止することができる。ここでいう、排ガス干渉とは、いずれかのディーゼル機関Dの排ガスの流れが、他のディーゼル機関Dの排ガスの流れを阻害したり、排ガス配管内に逆流するなどの不具合を言う。あるいは、いずれかのディーゼル機関Dの排ガス配管で火災が発生したような場合に、火災が他のディーゼル機関Dの排ガス配管内に逆流するような不測の事態をいう。
【0047】
(2)集塵装置2には、消火ライン22が接続されていることが好ましい。集塵装置2内部で発火などが生じた場合に、ホース弁23を開いて迅速に消火することができる。この場合も、集塵装置2の入口側に温度センサー24及び出口側にも温度センサー25を設けておき、その測定結果を常時、制御盤9,19に送信し、制御盤9,19の指示に従って消火動作が行われるようにすることが好ましい。
【0048】
(3)集塵装置内に配置される金属製フィルターの数は、上記した例に限定されるものではなく、装着される船舶などの規模に応じて適宜変更可能である。また、金属製フィルターのサイズ、仕様なども適宜選択できる。
【0049】
(4)上記実施形態において、細目フィルターに用いた金網として、100〜500メッシュ(好ましくは100〜200メッシュ)である例を示したが、これに限定されるものではなく、この程度のメッシュを有するのであれば、金属繊維で構成されてもよいし、他の耐熱性を有する多孔体を用いてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0050】
上記実施形態では、船舶の搭載する例を示したが、これに限定されるものではなく、各種車両や、陸上での常用・非常用発電装置などにも搭載して利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明に係る排ガス処理装置の概略全体構成図
【図2】図1に示す集塵装置の要部を表す部分拡大構成図
【図3】図2に示す集塵装置内のフィルターの配置を示す部分図
【図4】別実施形態に係る排ガス処理装置の概略全体構成図
【符号の説明】
【0052】
2 集塵装置
2a 排ガス取入口
2b,6 排出手段
9,19 制御盤
10A 金属製フィルター(荒目フィルター)
10B 金属製フィルター(細目フィルター)
10B1 筒体
10B2 金網
14 防災手段
15,25 温度センサー
D 排ガス発生源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つ又は複数の排ガス発生源から発生する排ガスを選択的に取り入れる排ガス取入口と、取り入れた排ガス中の有害物を除去する集塵装置と、有害物を除去された排ガスを排出する排出手段とを有する排ガス処理装置において、前記集塵装置が、孔径の異なる複数種の金属製フィルターの組み合わせから構成されていることを特徴とする排ガス処理装置。
【請求項2】
前記金属製フィルターの組み合わせは、孔径の異なるフィルターが交互に配列されて、孔径の異なるフィルターどうしが互いに隣接して配置されているものである請求項1記載の排ガス処理装置。
【請求項3】
前記孔径の異なるフィルターが、孔径0.3〜0.6mmの多数の貫通孔が稠密に形成されている荒目フィルターと、孔径3.0〜6.0mmの多数の貫通孔が稠密に形成された筒体に支持された100〜500メッシュの金網からなる細目フィルターの組み合わせからなる請求項1又は2記載の排ガス処理装置。
【請求項4】
装置全体の運転を制御する制御盤と、前記排ガス発生源に接続する配管内を通流する排ガスに異常が生じたことを検知する検知手段と、前記配管内での排ガスの通流を制御可能な排ガス通流制御手段とが設けられていて、前記検知手段の検知結果が前記制御盤に送信されるようになっていると共に、前記検知結果が異常結果を示した場合には、前記制御盤は異常結果を生じた個別の排ガス発生源または全ての排ガス発生源に接続する前記排ガス通流制御手段を制御するようになっている請求項1〜3のいずれか1項記載の排ガス処理装置。
【請求項5】
更に、排ガスを下流側に強制的に排出する排出手段が設けられており、前記検知結果が異常結果を示した場合には、前記制御盤は異常結果を生じた個別の排ガス発生源または全ての排ガス発生源に接続する前記排ガス通流制御手段および/又は排出手段を制御するようになっている請求項4記載の排ガス処理装置。
【請求項6】
前記排ガス発生源から前記排ガス取入口への配管途中に防災手段が設けられていると共に、この防災手段に温度センサーが設けられている請求項1〜5のいずれか1項記載の排ガス処理装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項記載の排ガス処理装置を用いて、排ガス中の煤塵を除去処理する排ガス処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−56864(P2007−56864A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−202278(P2006−202278)
【出願日】平成18年7月25日(2006.7.25)
【出願人】(391025338)第和工業株式会社 (1)
【出願人】(000232818)日本郵船株式会社 (61)
【出願人】(304035975)株式会社MTI (46)
【Fターム(参考)】