説明

排ガス分析装置、排ガス分析装置用管理装置及び排ガス分析装置用管理プログラム

【課題】排ガス分析装置のメンテナンスにおいて、外部記録媒体を用いて初期設定データを用意する必要を無くすとともに、排ガス分析装置の設定を、製品出荷時の初期設定だけでなく、当該メンテナンス前に行われた最新のメンテナンス設定に戻すことができるようにする。
【解決手段】製品出荷状態における排ガス分析装置を構成する各部の初期設定情報を示す初期設定データと、最新のメンテナンスにおける前記排ガス分析装置を構成する各部の最新メンテナンス設定情報を示す最新メンテナンス設定データとを格納する設定データ格納部55を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばエンジン等から排出される排ガスに含まれる成分分析を行う排ガス分析装置及び当該排ガス分析装置に用いられる管理装置及び管理プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の排ガス分析システムとしては、例えば自動車のエンジンから排出されるエンジン排ガス中に含まれる一酸化炭素(CO)、全炭化水素(THC)、窒素酸化物(NO)、二酸化炭素(CO)等の測定を行うものがある。
【0003】
具体的に上記の排ガス分析システムは、エンジン排ガスを流通させる排ガスフローラインと、この排ガスフローラインに設けられて当該排ガスフローラインを流れる排ガス中に含まれる前記各種成分を測定する排ガス分析装置とを有している。
【0004】
そして、上記の排ガス分析システムにおいては、排ガス分析装置の製品出荷時において、当該排ガス分析装置に含まれるガス分析計の種類や当該各ガス分析計の検量線係数、校正係数等の演算係数情報等の初期設定値を示す初期設定データをCD−R等の外部記録媒体に記録して排ガス分析装置に添付している。そして、この排ガス分析装置は定期的にメンテナンスを行う必要があり、当該メンテナンスを行うことによって初期設定値(例えば検量線係数や校正係数等)が変更されることになる。
【0005】
しかしながら、メンテナンスにおいて設定値の変更を誤った等の理由により、当該メンテナンス開始前の設定値に戻して再度設定をやり直したい場合において、従来の排ガス分析装置では製品出荷時の初期設定データが用意されているに過ぎず、このような操作を行うことができない。
【0006】
また、排ガス分析装置に添付された外部記録媒体に格納された初期設定データを読み取らせることによって、製品出荷時の初期設定データに戻すことができるものの、その作業が煩雑であり、メンテナンス開始前の状態が、初期状態とは異なる場合には、やはり所望の状態に戻すことができない。特に製品出荷後に他の分析計を追加した場合には、初期状態に戻すだけでは、追加された他の分析計に関連して設定された設定値が消えてしまい、初期設定値に戻すことは得策ではない場合もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−149099号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで本発明は、排ガス分析装置のメンテナンスにおいて、外部記録媒体を用いて初期設定データを用意する必要を無くすとともに、排ガス分析装置の設定を、製品出荷時の初期設定だけでなく、当該メンテナンス前に行われた最新のメンテナンス設定に戻すことができるようにすることをその主たる所期課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち本発明に係る排ガス分析装置は、製品出荷状態における排ガス分析装置を構成する各部の初期設定情報を示す初期設定データと、最新のメンテナンスにおける前記排ガス分析装置を構成する各部の最新メンテナンス設定情報を示す最新メンテナンス設定データとを格納する設定データ格納部を有することを特徴とする。
【0010】
このようなものであれば、排ガス分析装置が設定データ格納部を有し、当該設定データ格納部に初期設定データ及び最新メンテナンス設定データを格納しているので、設定データ格納部に格納された初期設定データ又は最新メンテナンスデータを読み込むだけで、排ガス分析装置の設定を、初期設定又は最新メンテナンス設定に戻すことができる。これにより、メンテナンス時における排ガス分析装置の設定作業を行い易くすることができる。また、外部記録媒体を用いて初期設定データを用意する必要もない。
【0011】
また、排ガス分析装置に含まれる各種ガス分析計は、時間経過とともに感度が変化したり劣化したりすることから、メンテナンス毎にその検量線係数や校正係数等が変化していく。このことから最新メンテナンス設定データを格納しておくことで、最新メンテナンス設定情報に戻すことができるので、設定作業を行い易くすることができる。また、製品出荷後において排ガス分析装置に他のガス分析計が追加された場合においても最新メンテナンス設定データを格納しておくメリットがある。例えば排ガス分析装置に、新たにNO計が追加された場合には、当該NO計を制御するための設定値、NO濃度を算出するための検量線係数や校正係数は初期設定情報には含まれておらず、これらの情報を含んだ最新メンテナンス設定データを格納しておく必要がある。なお、現在のメンテナンス処理において最新メンテナンス設定情報よりも古いメンテナンス設定情報に戻すことは無く、その古いメンテナンス設定情報を示す古いメンテナンス設定データを格納するメリットは薄い。
【0012】
メンテナンスが行われる毎に最新メンテナンス設定情報を自動的に設定データ格納部に格納させるためには、前記排ガス分析装置がメンテナンスが施される毎に、前記設定データ格納部に格納された最新メンテナンス設定データを更新するメンテナンス設定データ更新部を有することが望ましい。これならば、オペレータが一々メンテナンス設定情報を入力する必要が無く入力漏れや入力ミスの発生を防止することができる。
【0013】
前記排ガス分析装置を構成する各部の設定を、前記初期設定データが示す初期設定情報又は前記最新メンテナンス設定データが示す最新メンテナンス設定情報にリセットする設定リセット部を有することが望ましい。これならば、排ガス分析装置を構成する各部の設定を、自動的に初期設定情報又は最新メンテナンス設定情報に戻すことができる。
【0014】
前記初期設定情報又は前記最新メンテナンス設定情報を選択するための設定選択画面をディスプレイ上に表示する表示制御部を有しており、前記設定リセット部が、前記設定選択画面により選択された前記初期設定情報又は前記最新メンテナンス設定情報を示す設定データを前記設定データ格納部から取得するものであることが望ましい。これならば、ディスプレイ上に設定選択画面を表示することで、オペレータが初期設定情報又は最新メンテナンス情報を設定選択画面上で選択すればよく、オペレータの操作性を向上させることができる。
【0015】
また本発明に係る排ガス分析装置は、製品出荷状態における排ガス分析装置を構成する各部の初期設定情報を示す初期設定データと、最新のメンテナンスにおける前記排ガス分析装置を構成する各部の最新メンテナンス設定情報を示す最新メンテナンス設定データとを格納する設定データ格納部を有することを特徴とする。
【0016】
さらに本発明に係る排ガス分析装置用管理プログラムは、製品出荷状態における排ガス分析装置を構成する各部の初期設定情報を示す初期設定データと、最新のメンテナンスにおける前記排ガス分析装置を構成する各部の最新メンテナンス設定情報を示す最新メンテナンス設定データとを格納する設定データ格納部としての機能をコンピュータに発揮させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
このように構成した本発明によれば、排ガス分析装置のメンテナンスにおいて、外部記録媒体を用いて初期設定データを用意する必要を無くすとともに、排ガス分析装置の設定を、製品出荷時の初期設定だけでなく、当該メンテナンス前に行われた最新のメンテナンス設定に戻すことができるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本実施形態の排ガス分析システムの構成を示す模式図である。
【図2】同実施形態の管理装置の機器構成図である。
【図3】同実施形態の管理装置の機能構成図である。
【図4】同実施形態の処理選択画面を示す図である。
【図5】同実施形態の設定情報保存画面を示す図である。
【図6】同実施形態の設定情報保存の概念図である。
【図7】同実施形態の設定選択画面(リセット選択画面)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に本発明に係る排ガス分析システム100について図面を参照して説明する。
【0020】
本実施形態の排ガス分析システム100は、テストセルと称される室内で自動車Vの排ガス測定を行うためもので、図1にその全体構成を示すように、供試体である自動車Vが載置されるシャシダイナモ装置1と、前記自動車Vのエンジンから出る排ガスに含まれる各種成分を分析する第1の排ガス分析装置2及び第2の分析装置3と、前記エンジンから出る排ガスを第1の排ガス分析装置2及び第2の分析装置3に導く排ガスフローラインLと、前記シャシダイナモ装置1を制御するダイナモ制御装置(不図示)及び各排ガス分析装置2、3との間でデータの授受を行う中央情報処理装置4とを有する。また、この排ガス分析システム100は、自動車Vの運転席に設置されて、アクセル、ブレーキ、シフトレバー、ハンドル等を機械的に駆動する駆動アームを備えた自動運転機構及びこれを制御する自動運転機構制御装置(いずれも不図示)を有し、外部からの制御信号に基づいて前記駆動アームを動作させることにより、当該自動車Vをシャシダイナモ装置1上で自動走行させるものである。
【0021】
排ガスフローラインLは、エンジンから出たエンジン排ガスを希釈することなく第1の排ガス分析装置2に導くための第1の排ガスフローラインL1と、エンジンから出たエンジン排ガスであって触媒(CAT)を通過して排気管(テールパイプ)から排出されるエンジン排ガスを希釈トンネルL21により希釈して第2の排ガス分析装置3に導くための第2の排ガスフローラインL2とを備える。
【0022】
第1の排ガスフローラインL1は、一端が排気筒に設けられてエンジンから出たエンジン排ガスを導入するための導入ポートP1を有し、他端が第1の排ガス分析装置2の接続ポート(不図示)に接続されるものであり、エンジン排ガスを直接サンプリングする直接サンプリングラインである。
【0023】
また、第2の排ガスフローラインL2は、自動車Vの排気管に接続されてエンジン排ガスを大気により希釈する希釈トンネルL21と、当該希釈トンネルL21に一端が設けられて希釈排ガスを導入するための導入ポートP2を有し、他端が第2の排ガス分析装置3の接続ポート(不図示)に接続される希釈サンプリングラインL22とを有する。
【0024】
第1の排ガス分析装置2は、測定原理の異なる複数のガス分析計を搭載しており、エンジン排ガス中に含まれるCO、CO、O、HC、THC、CH、NO、NO等の各成分を各別に連続測定することが可能な測定機器である。例えば、この第1の排ガス分析装置2は、CO、CO、HC、NOの濃度を測定する非分散型赤外線吸収方式(NDIR)を用いた赤外線ガス分析計と、NOの濃度を測定する化学発光方式(CLD)を用いたNO計と、Oの濃度を測定する磁気圧力式(PMD)を用いたO計と、THCの濃度を測定する加熱型水素炎イオン化検出法(HFID)を用いたTHC計と、CHの濃度を測定するガスクロマトグラフ/水素イオン化検出器(GC−FID)を用いたCH計とを有する。
【0025】
なお、この第1の排ガス分析装置2は、CPU、メモリ等を利用して構成したコンピュータシステムを備え、外部との間で制御信号やデータ等を相互に通信できる機能を有する。
【0026】
第2の排ガス分析装置3は、測定原理の異なる複数のガス分析計を搭載しており、希釈排ガス中に含まれるTHC、CH、NO等の各成分を各別に連続測定することが可能な測定機器である。例えば、この第2の排ガス分析装置3は、NOの濃度を測定する非分散型赤外線吸収方式(NDIR)を用いた赤外線ガス分析計と、THCの濃度を測定する加熱型水素炎イオン化検出法(HFID)を用いたTHC計と、CHの濃度を測定するガスクロマトグラフ/水素イオン化検出器(GC−FID)を用いたCH計とを有する。
【0027】
なお、この第2の排ガス分析装置3は、CPU、メモリ等を利用して構成したコンピュータシステムを備え、外部との間で制御信号やデータ等を相互に通信できる機能を有する。
【0028】
中央情報処理装置4は、例えばCPU、メモリ、通信インターフェイス、ディスプレイ、入力手段等を備えたコンピュータシステムであり、サーバ機能を有する。そして、前記各制御装置及び第1及び第2の排ガス分析装置2、3との間で、LAN等のネットワークNTを介してデータの授受を行い、それら各制御装置や第1及び第2の排ガス分析装置2、3の統括的な制御やデータ管理を行うことができるようにしてある。
【0029】
そして、例えばこの中央情報処理装置4に、車両情報、走行モード等の必要なパラメータを与えることによって、シャシダイナモ装置1、自動運転機構がそれらの制御装置を介して統括的に制御され、自動車V(車両)が所望の態様で走行するとともに、第1及び第2の排ガス分析装置2、3が作動して排ガスデータの自動測定が行われ、さらに、その排ガスデータや走行データが、この中央情報処理装置4において一元的に管理されるようにしている。
【0030】
なお、これら中央情報処理装置4、各制御装置及び第1、第2排ガス分析装置2、3を、図1のように物理的に独立分散させる必要は必ずしもなく、これらの一部又は全部が一体化するといった態様でも構わないのはもちろんである。
【0031】
しかしてこのような構成の下、本実施形態にかかる自動車測定システム100においては、第1の排ガス分析装置2が、当該排ガス分析装置2の設定情報を管理するための排ガス分析装置用管理装置5を有している。
【0032】
この管理装置5は、図2に示すように、CPU501、メモリ502、入出力インターフェイス503、AD変換器504、入力手段505等を備えた汎用乃至専用のコンピュータであり、前記メモリ502の所定領域に記憶させた所定プログラムにしたがってCPU501、周辺機器等を協働させることにより、図3に示すように、表示制御部51、画面データ格納部52、入力受付部53、初期設定データ取得部54、設定データ格納部55、メンテナンス設定データ更新部56、設定リセット部57等としての機能を発揮する。なお、この管理装置5は、第1の排ガス分析装置2のディスプレイ21を画面表示するものであるが、当該ディスプレイ21とは別に専用のディスプレイを有するものとしても良い。
【0033】
以下、管理装置5の動作について当該管理装置5の各部51〜57の機能と併せて、図3〜図7を参照して説明する。
【0034】
オペレータが入力手段505によりメンテナンス設定モードを選択すると、入力受付部53が当該モード選択信号を取得して表示制御部51に送信する。このモード選択信号を取得した表示制御部51は、画面データ格納部52から、図4に示す処理選択画面W1を示す処理選択画面データを取得して、ディスプレイ21上に処理選択画面W1を表示する。
【0035】
この処理選択画面W1は、排ガス分析装置2を構成する各部の初期設定情報を示す初期設定データ又は最新メンテナンス設定情報を示す最新メンテナンス設定データを保存するための設定情報保存画面W2を表示させる設定情報保存画面ボタン(「Save as」)B1と、排ガス分析装置2を構成する各部の設定を、初期設定情報又は最新メンテナンス設定情報にリセットするためのリセット選択画面W3を表示させるリセット選択画面ボタン(「Set Previous」)B2を有する。なお、処理選択画面W1を閉じるための閉ボタン(「EXIT」)B3も含まれる。
【0036】
この処理選択画面W1を表示した状態で、オペレータがマウス等の入力手段505により、いずれかのボタンB1〜B3がクリックすると、当該入力データであるボタン選択データが入力受付部53により受け付けられる。そして、このボタン選択データが表示制御部51に送られる。
【0037】
このボタン選択データを取得した表示制御部51は、ボタン選択データにより選択された画面W2、W3を示す画面データを画面データ格納部52から取得して、ディスプレイ21上に表示する。以下、それぞれの画面W2、W3が選択された場合について説明する。
【0038】
オペレータにより設定情報保存画面ボタンB1が選択された場合、表示制御部51は、画面データ格納部52から設定情報保存画面W2を示す設定情報保存画面データを取得して、ディスプレイ21上に、図5に示す設定情報保存画面W2を表示する。
【0039】
この設定情報保存画面W2は、第1の排ガス分析装置2を構成する各部の設定情報を保存するための画面であり、製品出荷状態にある排ガス分析装置2の初期設定情報(「Manufacture」)を保存するか又はメンテナンスが施された排ガス分析装置2の設定情報(「Service」)を保存するかを選択するための設定情報選択ボタン(「Select Level」)B4と、当該設定情報選択ボタンB4により選択された設定情報を示す選択情報表示欄S1と、その設定情報を保存した保存年月日を表示する保存年月日表示欄S2と、それら設定情報を保存するための保存ボタン(「Save as」)B5を有する。なお、設定情報保存画面W2を閉じるための閉ボタン(「EXIT」)B6も有する。
【0040】
次に、排ガス分析装置2の製品出荷前に初期設定情報を保存すべく、オペレータが設定情報選択ボタンB4において初期設定情報(「Manufacture」)を選択した場合について説明する。オペレータがマウス等の入力手段505により、初期設定情報を選択し、保存ボタンB5をクリックした場合、その選択入力信号が入力受付部53により受け付けられる。そして、この選択入力信号が初期設定データ取得部54に送られる。
【0041】
この選択入力信号を取得した初期設定データ取得部54は、排ガス分析装置2の各部(例えば排ガス分析装置2に含まれるガス分析計等)からそれらの初期設定情報を示す初期設定データを取得する。ここで初期設定情報としては、排ガス分析装置2を構成する各部に設定されるあらゆるパラメータ(設定値)であり、例えば、排ガス分析装置2を構成するガス分析計の情報、それらガス分析計において測定成分の濃度を演算するための検量線係数や校正係数等の演算係数、排ガス分析ライン(例えば排ガス分析装置2の内部に設けられた排ガス流路)上に設けられた各電磁弁のON/OFF動作情報、アラーム上下限設定情報、空撚比(AFR)演算設定情報、排気再循環率(EGR)演算設定情報等である。そして、初期設定データ取得部54は、取得した初期設定データを設定データ格納部55に格納する。なお、この初期設定データが設定データ格納部55に格納された時間は、設定情報保存画面W2の保存年月日表示欄S2に表示される。このように保存された初期設定データが以後変更されないように、一度初期設定データを保存した後は、例えば設定情報選択ボタンB4により初期設定情報を選択できない、或いは、設定情報選択ボタンB4により初期設定情報を選択しても保存ボタンB5がクリックできない等の構成とすることが望ましい。
【0042】
次に、排ガス分析装置2の定期的なメンテナンス(オーバホール)終了後にメンテナンス設定データを更新すべく、オペレータが設定情報選択ボタンB4においてメンテナンス設定情報(「Service」)を選択した場合について説明する。オペレータがマウス等の入力手段505により、メンテナンス設定情報を選択し、保存ボタンB5をクリックした場合、その選択入力信号が入力受付部53により受け付けられる。そして、この選択入力信号がメンテナンス設定データ更新部56に送られる。
【0043】
この選択入力信号を取得したメンテナンス設定データ更新部56は、排ガス分析装置2の各部(例えば排ガス分析装置2に含まれるガス分析計等)からメンテナンスにより設定又は変更されたメンテナンス設定情報を示すメンテナンス設定データを取得する。ここで、メンテナンス設定情報としては、前記初期設定情報と同様に、排ガス分析装置を2構成する各部に設定されるあらゆるパラメータ(設定値)であり、前記初期設定情報に含まれる項目の他に、製品出荷時には含まれていない設定項目、例えば新たにガス分析計が追加された場合には当該ガス分析計を制御するための設定値、当該ガス分析計のガス成分を算出するための検量線係数や校正係数等を含む。そして、メンテナンス設定データ更新部56は、取得したメンテナンス設定データを設定データ格納部55に格納する。なお、このメンテナンス設定データが設定データ格納部55に格納された時間は、設定情報保存画面W2の保存年月日表示欄S1に表示される。
【0044】
ここで、メンテナンス設定データ更新部56は、初回のメンテナンスにおけるメンテナンス設定データを設定データ格納部55に格納する場合には、設定データ格納部44において初期設定データ格納領域とは別の格納領域に格納する。また、メンテナンス設定データ更新部56は、2回目以降のメンテナンスにおけるメンテナンス設定データを設定データ格納部55に格納する場合には、既に格納されたメンテナンス設定データに新しいメンテナンス設定データを上書きすることによって更新する(図6参照)。これにより、設定データ格納部55には、初期設定データとともに、最新のメンテナンス設定データが格納されることになる。
【0045】
次に、オペレータによりリセット選択画面ボタンB2が選択された場合、表示制御部51は、画面データ格納部52からリセット選択画面W3を示すリセット選択画面データを取得して、ディスプレイ21上に、図7に示すリセット選択画面W3を表示する。
【0046】
このリセット選択画面W3は、メンテナンス中に、排ガス分析装置2の設定を、初期設定情報又は最新メンテナンス設定情報にリセットするための画面であり、排ガス分析装置2の初期設定情報(「Manufacture」)にリセットするか又は最新メンテナンス設定情報(「Service」)にリセットするかを選択するためのリセット設定情報選択ボタン(「Select Level」)B7と、当該リセット設定情報選択ボタンB7により選択された設定情報を示す選択情報表示欄S3と、その設定情報を保存した保存年月日を表示する保存年月日表示欄S4と、排ガス分析装置の設定をリセットするためのリセットボタン(「Set Previous」)B8を有する。なお、設定選択画面を閉じるための閉ボタン(「EXIT」)B9も有する。
【0047】
このリセット選択画面W3が表示された状態において、オペレータは、リセット設定情報ボタンB7により、初期設定情報又はメンテナンス設定情報の何れにリセットするかを選択する。このとき、リセット選択ボタンB7により、初期設定情報又はメンテナンス設定情報の何れかが選択されると、保存年月日表示欄S3に当該設定情報の保存年月日が表示される。そして、オペレータが、オペレータがマウス等の入力手段505により、リセットボタン(「Set Previous」)B8をクリックすると、当該入力データである設定情報選択データが入力受付部53により受け付けられる。そして、この設定情報選択データが設定リセット部57に送られる。
【0048】
この設定情報選択データを取得した設定リセット部57は、設定情報選択データが示す設定情報を設定データ格納部55から取得して、現在のメンテナンスにより変更された排ガス分析装置2の設定情報を取り消して、取得した設定データが示す設定情報にリセットする。ここで、設定リセット部57によるリセットに用いられる設定情報は、図6に示すように、製品出荷時の初期設定情報又は最新メンテナンス設定情報の何れかである。
【0049】
このようにオペレータは、現在のメンテナンス操作において、各部の設定変更をリセットして設定変更を最初からやり直す場合に、初期設定に戻すか又は最新のメンテナンス設定に戻すかの2つから選択することができる。なお、現在のメンテナンス操作において、最新のメンテナンス設定にリセットし、当該メンテナンス設定を変更することなく、現在のメンテナンス操作における設定とした場合には、同じメンテナンス設定情報を示すメンテナンス設定データにより設定データ格納部55中に既存のメンテナンス設定データが上書きされる。
【0050】
このように構成した本実施形態に係る排ガス分析システム100によれば、排ガス分析装置が設定データ格納部55を有し、当該設定データ格納部55に初期設定データ及び最新メンテナンス設定データを格納しているので、設定データ格納部55に格納された初期設定データ又は最新メンテナンスデータを読み込むだけで、排ガス分析装置2の設定を、初期設定又は最新のメンテナンス設定に戻すことができる。これにより、メンテナンス時における排ガス分析装置の設定作業を行い易くすることができる。また、外部記録媒体を用いて初期設定データを用意する必要もない。
【0051】
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。例えば前記実施形態では、第1の排ガス分析装置が管理装置を有するものであったが、第2の排ガス分析装置が有するものであっても良いし、各分析装置及び中央情報処理装置がネットワーク接続されていることから、中央情報処理装置が管理装置としての機能を発揮するものであっても良い。
【0052】
その他、本発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0053】
100・・・排ガス分析システム
2・・・排ガス分析装置
21・・・ディスプレイ
5・・・管理装置
51・・・表示制御部
52・・・画面データ格納部
53・・・入力受付部
54・・・初期設定データ取得部
55・・・設定データ格納部
56・・・メンテナンス設定データ更新部
57・・・設定リセット部
W1・・・処理選択画面
W2・・・設定情報保存画面
W3・・・設定選択画面


【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品出荷状態における排ガス分析装置を構成する各部の初期設定情報を示す初期設定データと、最新のメンテナンスにおける前記排ガス分析装置を構成する各部の最新メンテナンス設定情報を示す最新メンテナンス設定データとを格納する設定データ格納部を有する排ガス分析装置。
【請求項2】
前記排ガス分析装置がメンテナンスが施される毎に、前記設定データ格納部に格納された最新メンテナンス設定データを更新するメンテナンス設定データ更新部を有する請求項1記載の排ガス分析装置。
【請求項3】
前記排ガス分析装置を構成する各部の設定を、前記初期設定データが示す初期設定情報又は前記最新メンテナンス設定データが示す最新メンテナンス設定情報にリセットする設定リセット部を有する請求項1又は2記載の排ガス分析装置。
【請求項4】
前記初期設定情報又は前記最新メンテナンス設定情報を選択するための設定選択画面をディスプレイ上に表示する表示制御部を有しており、
前記設定リセット部が、前記設定選択画面により選択された前記初期設定情報又は前記最新メンテナンス設定情報を示す設定データを前記設定データ格納部から取得するものである請求項3記載の排ガス分析装置。
【請求項5】
製品出荷状態における排ガス分析装置を構成する各部の初期設定情報を示す初期設定データと、最新のメンテナンスにおける前記排ガス分析装置を構成する各部の最新メンテナンス設定情報を示す最新メンテナンス設定データとを格納する設定データ格納部を有する排ガス分析装置用管理装置。
【請求項6】
製品出荷状態における排ガス分析装置を構成する各部の初期設定情報を示す初期設定データと、最新のメンテナンスにおける前記排ガス分析装置を構成する各部の最新メンテナンス設定情報を示す最新メンテナンス設定データとを格納する設定データ格納部としての機能をコンピュータに発揮させる排ガス分析装置用管理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−104669(P2013−104669A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−246281(P2011−246281)
【出願日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【出願人】(000155023)株式会社堀場製作所 (638)
【Fターム(参考)】