説明

排ガス成分の測定方法及び排ガス成分測定装置

【課題】内燃機関の排出ガス中の成分の反応を促進させて生成した所定の化合物濃度に基づくことにより、簡易な装置構成でありながら、排出ガス中の目的成分を特定できる排ガス成分の測定方法及び排ガス成分測定装置を提供する。
【解決手段】排出ガス流通方向におけるSCR触媒13の上流に、尿素水を排出ガスに供給する尿素水噴射装置15と、排出ガスをサンプリングするサンプリング孔17が設けられたサンプリングプローブ16とが排出ガス流通方向に沿って順次配置されており、サンプリングプローブ16にはサンプリング管18が連通し、サンプリングされた排出ガスの温度をサンプリング管18で調節し、所望の温度に調節された排出ガス中のアンモニア濃度を測定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関から排出された排出ガス中の成分を測定する排ガス成分の測定方法及び排ガス成分測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、エンジンから排出されたガスを分析するための排ガス分析装置は知られており、一般にNOやアンモニアなどの窒素化合物の計測が可能である。また、この装置では、一般に尿素濃度の測定も行なえる。
【0003】
尿素濃度の測定方法としては、液体中に含まれる尿素の濃度を測定する方法が種々知られている(例えば、特許文献1〜2参照)。
【0004】
また、ディーゼルエンジンの排気処理(NO浄化)において、例えば、尿素SCR(Selective Catalytic Reduction:選択触媒還元)システムが有効とされており、近年ではトラック等に搭載されて市販されている。このシステムは、NOの還元剤となるアンモニア(NH)を、尿素水を噴射して噴射された尿素の熱分解や加水分解反応を経ることにより生成し、これをSCR触媒に供給してNO浄化を行なっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−247965号公報
【特許文献2】特開2008−233005号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、NOの浄化性能の点では未だ充分ではなく、触媒をより高効率に機能させるため、触媒への均質な還元剤の供給が望まれている。
【0007】
エンジン等の内燃機関と繋がる排気管内において、尿素水の噴射からアンモニアの生成に至る反応の中で、例えばある領域の雰囲気をサンプリングし、尿素濃度を測定する場合、アンモニア濃度計測装置とは別に、尿素計測装置が必要になる。また、尿素分析には、液体クロマトグラフィ等の計測方法が一般的であり、このような方法ではリアルタイムな計測は困難であるのが実状である。
【0008】
本発明は、上記に鑑みなされたものであり、内燃機関の排出ガス中の成分の反応を促進させて生成した所定の化合物濃度に基づくことにより、簡易な装置構成でありながら(例えばリアルタイムに)排出ガス中の目的成分を定量できる排ガス成分の測定方法及び排ガス成分測定装置を提供することを目的とし、該目的を達成することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、排出ガス中の成分から反応生成した所定の生成物から排出ガス中の成分を特定する方法によると、連続的に排出されるガス中の特定成分を(例えばリアルタイムに)把握でき、装置も所定の生成物が検出できる簡易な構成にできるとの知見を得、かかる知見に基づいて達成されたものである。
【0010】
上記目的を達成するために、第1の発明である排ガス成分の測定方法は、内燃機関から排出された排出ガスを採取する排出ガス採取工程と、採取された排出ガス中の成分の反応を反応促進手段により促進させる反応促進工程と、前記反応により生成された生成物の濃度を計測する濃度計測工程と、計測された前記濃度に基づいて、排出ガス中の少なくとも前記成分の濃度を取得する濃度取得工程とを設けて構成したものである。
【0011】
第1の発明においては、排出ガス中の所望成分の濃度を求める際に、その所望成分の反応を促進させて目的とする生成物を生成し、その濃度を基準にすることで、従来から不可欠とされた複数種の化合物の測定が不要で、生成物の定量時点での複数種の測定のために次サンプルの測定待ちが不要になるので、排出ガス中の所望成分を(例えばリアルタイムに)把握できると共に、目的とする生成物の他は測定に適さない簡易な装置を用いて構成することが可能である。また、例えば配管内に堆積する等で測定バラツキが生じやすい系内でも、測定精度を高く保つことができる。
【0012】
第1の発明の反応促進手段には、排出ガスを所定温度に調節する温度調節手段、又は触媒を用いることができる。
【0013】
例えば、反応促進手段として、排出ガスを所定温度に調節する温度調節手段を用いて構成した場合には、濃度計測工程において、ある1つの所定温度あるいは2つ以上の所定温度に調節されたときの排出ガス中の生成物濃度を計測することが可能である。例えば、排出ガス中の所望成分が温度によって反応進行が変化する場合、温度ごとに所望成分の濃度を測定し、得られた複数の測定データから排出ガス中の所望成分の濃度を取得することができる。
【0014】
具体的には、内燃機関からの排出ガスに尿素を供給して測定する場合は、以下の通りである。この場合、第1の発明である排ガス成分の測定方法は、
内燃機関から排出された排出ガスに少なくとも尿素を供給する尿素供給工程と、少なくとも尿素が供給された前記排出ガスを所定の採取点で採取する排出ガス採取工程と、採取された前記排出ガスを所定温度に調節し、供給された尿素の反応を促進させる温度調節工程と、アンモニアの生成反応が進行する温度以下の温度Tに調節された前記排出ガス中のアンモニア濃度C、アンモニア及びイソシアン酸の生成反応が進行する温度Tに調節された前記排出ガス中のアンモニア濃度C、並びに前記イソシアン酸からのアンモニア生成反応が進行する温度Tに調節された前記排出ガス中のアンモニア濃度Cを計測するアンモニア濃度計測工程と、計測された前記アンモニア濃度から下記式1〜式2により尿素、イソシアン酸、及びアンモニアの濃度を取得する濃度取得工程と、を設けた構成とすることができる。
尿素濃度=C−C ・・・式1
イソシアン酸濃度=C−C−(C−C) ・・・式2
【0015】
この場合、所望成分として尿素を用い、下記反応式のように、尿素の熱分解反応、加水分解反応を促進させ、目的とする生成物としてアンモニアを生成する。
(NHCO → NH + HNCO ・・・(a)
HNCO+HO → NH + CO ・・・(b)
【0016】
なお、「アンモニアの生成反応が進行する温度以下の温度T」とは、基本的には反応(a)が進行する前の温度領域である。すなわち、前記アンモニア濃度Cは、サンプリング点で、流通している排出ガス中に含有されるアンモニア濃度を指す。
【0017】
尿素を供給して行なう第1の発明では、まず反応(a)の進行が活発に進行し始める温度以下の温度Tにおけるガス雰囲気中のアンモニア濃度Cを計測した後、排出ガスの昇温を開始し、温度Tのガス雰囲気下で反応(a)を完全に進行させることにより、尿素からアンモニアとイソシアン酸を生成してアンモニア濃度Cを計測する。さらに、高温の温度Tとしたガス雰囲気下でガス中の水分を利用して反応(b)を進行させ、排出ガス中のアンモニア濃度Cを計測する。これらのアンモニアの濃度を基準に、前記式1〜式2により排出ガス中の尿素、イソシアン酸、及びアンモニアの濃度を取得する。このようにして各成分の濃度を定量することができ、触媒への均質な還元剤の供給を容易に(好ましくはリアルタイムに)行なうことができる。結果として、触媒をより高効率に機能させることが可能になる。
【0018】
上記のように排出ガス中の所望成分に尿素を用い、アンモニアを目的とする生成物として計測する場合、前記温度Tを100℃以上150℃以下とし、前記温度Tを150℃超160℃以下(150℃<T≦160℃)とし、前記温度Tを160℃を超える温度とすることにより好適に行なえる。尿素は、150℃を超える温度にすることで分解反応が促進され、およそ160℃では全てアンモニアとイソシアン酸に分解され、さらに160℃を超える温度にすることでイソシアン酸の加水分解が促進され、例えば300℃でイソシアン酸の全てからアンモニアが得られる。
【0019】
第2の発明である排ガス成分測定装置は、内燃機関から排出された排出ガスを採取する排出ガス採取手段と、採取された排出ガス中の成分の反応を促進させる反応促進手段と、前記反応により生成された生成物の濃度を計測する濃度計測手段と、計測された前記濃度に基づいて、排出ガス中の前記成分の濃度を取得する濃度取得手段とを設けて構成したものである。
【0020】
第2の発明においては、排出ガス中の所望成分の濃度を求める際に、その所望成分の反応を促進させて目的とする生成物を生成し、その濃度を基準にすることで、従来から不可欠とされた複数種の化合物を測定するための装置が不要で、生成物の定量時点での複数種の測定のために次サンプルの測定待ちも不要になる。これにより、排出ガス中の所望成分を(例えばリアルタイムに)把握できると共に、目的とする生成物の他は測定に適さない簡易な装置を用いて構成することが可能である。また、例えば配管内に堆積する等で測定バラツキが生じやすい系内でも、測定精度を高く保つことができる。
なお、第2の発明における反応促進手段には、第1の発明と同様に、排出ガスを所定温度に調節する温度調節手段、又は触媒を用いることができる。
【0021】
例えば、反応促進手段として、排出ガスを所定温度に調節する温度調節手段を用いて構成した場合には、濃度計測手段では、ある1つの所定温度あるいは2つ以上の所定温度に調節されたときの排出ガス中の生成物濃度を計測することが可能である。例えば、排出ガス中の所望成分が温度によって反応進行が変化する場合、採取された排出ガスを温度調節手段で調節し、温度ごとに濃度計測手段により所望とする成分濃度を測定し、得られた複数の測定データから排出ガス中の所望成分の濃度を濃度取得手段を用いて取得する。
【0022】
例えば内燃機関からの排出ガスに尿素を供給して測定する場合、以下のように構成することができる。この場合、第2の発明である排ガス成分測定装置は、
内燃機関から排出された排出ガスに少なくとも尿素を供給する尿素供給手段と、少なくとも尿素が供給された前記排出ガスを所定の採取点で採取する排出ガス採取手段と、採取された前記排出ガスが供給され、供給された排出ガスの温度を所定温度に調節して尿素の反応を促進させる温度調節手段と、アンモニアの生成反応が進行する温度以下の温度Tに調節された前記排出ガス中のアンモニア濃度C、アンモニア及びイソシアン酸の生成反応が進行する温度Tに調節された前記排出ガス中のアンモニア濃度C、並びに前記イソシアン酸からのアンモニア生成反応が進行する温度Tに調節された前記排出ガス中のアンモニア濃度Cを計測するアンモニア濃度計測手段と、計測された前記アンモニア濃度から下記式1〜式2により尿素、イソシアン酸、及びアンモニアの濃度を取得する濃度取得手段と、を設けた構成とすることができる。
尿素濃度=C−C ・・・式1
イソシアン酸濃度=C−C−(C−C) ・・・式2
【0023】
この場合、所望成分として尿素を用い、前記反応式(a)〜(b)のように、尿素の熱分解反応、加水分解反応を促進させ、目的とする生成物としてアンモニアを生成する。そして、上記同様にアンモニアの濃度に基づき、各成分の濃度を計測でき、尿素水噴射方法の改良等によって触媒への均質な還元剤の供給法を検討でき、触媒をより高効率に機能させることが可能になる。
【0024】
第2の発明の排出ガス採取手段は、採取点における排出ガスを採取する採取孔を有し、所望の排出ガスをサンプリングできる態様が好ましい。
【0025】
また、第2の発明を構成する排出ガス採取手段と前記濃度計測手段との間には、反応促進手段を設けて構成されたガス流通管を配設し、このガス流通管により排出ガス採取手段と濃度計測手段とを連通した態様に構成することができる。排出ガス採取手段で採取された排出ガスは、濃度計測手段に送られる経路内で温度調節され、所望の温度に調節された排出ガスを被検ガスとして濃度計測手段に導入することが可能である。
【0026】
本発明は、排出ガス中の所望成分とその反応生成物を計測・解析できることにより、排出ガスの浄化等に最適なシステムの開発、構築に有用である。例えばディーゼルエンジンの排気処理(NO浄化)する尿素SCRシステムにおいて、尿素、イソシアン酸及びアンモニアを分離して計測、解析できることは有用であり、これにより尿素やイソシアン酸などに起因するデポジットの配管中への堆積等の影響を解消しながら、排出ガスの浄化等に適したシステムを構築することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、内燃機関の排出ガス中の成分の反応を促進させて生成した所定の化合物濃度に基づくことにより、簡易な装置構成でありながら、(例えばリアルタイムに)排出ガス中の目的成分を定量できる排ガス成分の測定方法及び排ガス成分測定装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の第1実施形態に係る排ガス成分測定装置の概略構成を示す断面図である。
【図2】尿素水からアンモニアが生成する生成経路を説明するための概念図である。
【図3】尿素及びイソシアン酸の濃度を算出する方法を説明するための概念図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係る排ガス成分測定装置の概略構成を示す断面図である。
【図5】本発明の第3実施形態に係る排ガス成分測定装置の概略構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照して、本発明の排ガス成分の測定方法の実施形態について詳細に説明すると共に、該説明を通じて、排ガス成分測定装置についても詳細に述べることとする。
【0030】
(第1実施形態)
本発明の排ガス成分の測定方法の第1実施形態を図1〜図3を参照して説明する。本実施形態の排ガス成分の測定方法は、ディーゼル後処理に用いられる尿素SCRシステムにおいて、ガス浄化用のSCR触媒の排出ガス流通方向上流側に設けたサンプリングプローブに繋がる単管のサンプリング管を温度可変にし、所定温度に調節後のガス中のアンモニア濃度を計測する構成としたものである。
【0031】
本実施形態では、図1に示すように、ディーゼルエンジンの排気口に接続された排気管11に浄化装置12が取り付けられており、排気管11を流通してきた排出ガスは、浄化装置12に供給されて浄化されるようになっている。浄化装置12は、内径が排気管11の管径より大きい断面を有する浄化室内にSCR触媒13を備えている。
【0032】
SCR触媒13には、例えば、ゼオライト系触媒、あるいはアルミナ、ジルコニア、バナジア/チタニア等の金属酸化物系触媒を用いることができる。
【0033】
排出ガスが流通する排出ガス流通方向(図1中の矢印方向)におけるSCR触媒13の上流側には、尿素水を排出ガスに供給するための尿素水噴射装置15と、排出ガスを採取(サンプリング)するためのサンプリングプローブ16とが、排出ガス流通方向に沿って順次配置されており、尿素供給前の排出ガス、あるいは尿素水が供給されたときには尿素含有の排出ガスをサンプリングできるようになっている。
【0034】
尿素水噴射装置15には、液体を噴霧、シャワー噴射等することが可能な例えばインジェクタなどの公知の噴射装置を使用することができる。
【0035】
サンプリングプローブ16は、気体の流通が可能な管状の配管であり、このサンプリングプローブ16の浄化装置内に位置する一端にはサンプリング孔(採取孔)17が設けられている。このサンプリング孔から所望とするサンプリング点の排出ガスをサンプリングすることができる。サンプリングプローブ16の配管形状は、断面形状が例えば円形や楕円、矩形などの任意の形状を選択することが可能であり、サンプリング孔の形状、サイズも配管スケールやガス流量などに応じて選択することができる。
【0036】
サンプリングプローブ16の他端には、温度可変のサンプリング管18の一端が接続されており、サンプリングされた排出ガス(以下、被検ガスともいう。)の温度を所望温度に調節することができるようになっている。サンプリング管18の長さは、反応(a)及び(b)が充分に進行する時間が得られる範囲で任意に選択すればよいが、サンプリング管の内径を調節して滞留時間を変化させ、反応が充分に進行し得るようにしてもよい。サンプリング管18の外側には、管の一部又は全体を覆うように加熱ヒータ20が配置されており、この加熱ヒータによりサンプリング管18が熱せられることによって、被検ガスの温度を調節することができる。また、加熱されたサンプリング管を冷却するための冷却ファンが取り付けられてもよい。
【0037】
また、加熱ヒータのほか、サンプリング管18の外壁面に、熱媒を循環して熱媒との間で熱交換が行なえる熱媒循環用配管を配設することにより、サンプリング管(被検ガス)の温度調節を行なうようにすることもできる。この場合、熱媒の温度を図示しない温度調節装置で制御することにより被検ガスの加熱・冷却を迅速に行なうことが可能である。
【0038】
サンプリング管18の他端は、排ガス中のアンモニアガスの濃度を計測するためのアンモニア計測装置30と接続されている。サンプリングプローブ16とアンモニア計測装置30とは、このサンプリング管18を介して連通されており、サンプリングプローブ16で採取された排出ガスは、サンプリング管18で所定の温度に温調されてアンモニア計測装置30に供給される構成になっている。アンモニア計測装置は、アンモニア分析機能しかもたない簡易な装置である。
なお、アンモニア計測装置には、特に制限はなく、従来から公知のアンモニアの計測が可能ないずれの装置も使用することができる。
【0039】
アンモニア計測装置30は、コンピュータ端末40と電気的に接続されており、アンモニア計測装置30で計測された濃度値は、所望のタイミングでコンピュータ端末に取り込まれ、排出ガス中の尿素、イソシアン酸、及びアンモニアの分離計測が可能に構成されている。
【0040】
本実施形態では、被検ガスのサンプリングと温度調節は、以下のように行なわれる。
まず初めに、尿素水が供給された排出ガス(温度T)を、所望のサンプリング点(採取点)に配置されたサンプリング孔17からサンプリングする。このとき、アンモニア生成反応を生じさせないため、サンプリングプローブ16の温度はT以下に保持される。また、既に前記反応(a)が進行してイソシアン酸及びアンモニアが含まれている。図2に示すように、尿素水噴射装置15により噴射された尿素水は、高温の排出ガス中で蒸発し、尿素、イソシアン酸、アンモニアがともにガス中に存在する。このガスがサンプリングプローブ16(温度T以下)のサンプリング孔17からサンプリング(温度T)される。次に、サンプリング管18で160℃(温度T)に加熱されると、前記反応(a)のように、尿素は分解し、アンモニア及びイソシアン酸が生成する。引き続き、サンプリング孔17からサンプリング(温度T)してサンプリング管18の温度を300℃(温度T)に上げて加熱すると、前記反応(b)のように、イソシアン酸が分解してアンモニアが生成する。このように、反応(a)及び(b)の反応進行温度が異なるため、サンプリング時に被検ガスの温度を調節することにより、前記反応(a)又は(b)を選択することができる。
【0041】
上記のようにして所望の温度を選択して被検ガスの温度の調節を行なった後、被検ガスは、サンプリング管18の他端で繋がるアンモニア計測装置30に導入される。アンモニア計測装置18では、前記温度ごとに被検ガス中のアンモニア濃度(C,C,C)を計測する。計測値は、アンモニア計測装置30に接続されたコンピュータ端末40に送られ、例えば、以下のように排出ガス中の成分量を取得する。
【0042】
アンモニア濃度C,C,Cの計測について、図3を参照して具体的に説明する。
図3に示すように、まず所定の初期濃度の尿素を含む尿素水が噴射された排出ガスをサンプリング孔17からサンプリングし(この時、アンモニア生成反応を生じさせないため、サンプリングプローブ16の温度はT以下に維持)、これを被検ガスとしてサンプリング管18(この時のサンプリング管18の温度はT以下に維持)を通じてアンモニア計測装置30に導入する。このとき、例えばT以下の温度を130℃としてアンモニアの濃度(アンモニア濃度C)を計測する。続いて、サンプリング孔17からサンプリングした排出ガス(温度T)をサンプリング管18で160℃(温度T)に加熱し、尿素を完全にアンモニアとイソシアン酸に分解した後〔尿素濃度=0(ゼロ)〕、被検ガス中のアンモニアの濃度(アンモニア濃度C)を計測する。この時、サンプリングプローブ16の温度は、T以下であってもTであってもよい。さらに引き続き、サンプリング孔17からサンプリングした排出ガス(温度T)をサンプリング管18で300℃(温度T)に加熱し、イソシアン酸を完全にアンモニア及び二酸化炭素に加水分解した後、被検ガス中のアンモニアの濃度(アンモニア濃度C)を計測する。この時、サンプリングプローブ16の温度は、T以下であってもTであってもよい。
そして、得られたアンモニア濃度を利用し、図3に示すように、アンモニア濃度C及びアンモニア濃度Cから下記式1のように減算することにより、サンプリング点での尿素濃度を求めることができる。つまり、160℃に昇温することで尿素濃度は0(ゼロ)になっており、130℃と160℃でのアンモニア濃度の差が、サンプリングした排出ガス中の尿素濃度となる。また、アンモニア濃度C及びアンモニア濃度Cから下記式2のように減算することにより、サンプリング点でのイソシアン酸濃度を求めることができる。
尿素濃度=アンモニア濃度C−アンモニア濃度C ・・式1
イソシアン酸濃度=アンモニア濃度C−アンモニア濃度C−尿素濃度 ・・式2
【0043】
このように、分析部としてアンモニア分析しか行なえない簡易な装置を用いて、サンプリング管の温度を調節してアンモニア濃度をその温度領域ごとに計測することにより、排出ガス中の尿素及びイソシアン酸の計測が可能である。
なお、上記の実施形態では、サンプリング管18において温度調節するようにしたが、必要に応じて、サンプリングプローブ16自体をT,Tと変える等、サンプリングプローブ16を温度調節するようにしてもよい。また、サンプリングプローブ16はT以下一定でもよい。
【0044】
また、アンモニア濃度Cを計測する温度Tを130℃としたが、温度Tは、前記反応(a)により尿素の熱分解でアンモニアが分解生成しにくい温度領域であればよく、その点で100℃以上150℃以下であるのが好ましい。温度が100℃未満では、アンモニアが容易に水に溶解するため、100℃以上が好ましい。アンモニア濃度Cを計測する温度Tを160℃としたが、温度Tは、前記反応(a)により尿素が熱分解で完全にアンモニア及びイソシアン酸に分解できる温度領域であればよく、150℃を超えて160℃以下であるのが好ましい。また、アンモニア濃度Cを計測する温度Tを300℃としたが、温度Tは、前記反応(b)によりイソシアン酸が完全に加水分解される温度領域であればよく、160℃を超え500℃以下であるのが好ましい。
【0045】
上記の第1実施形態では、排出ガス中に尿素を供給し、アンモニア濃度を計測して行なう場合を中心に説明したが、本発明の排ガス成分の測定方法は、尿素を用いた場合に限られるものではなく、下記式に示すように、化学種をA,B,C,・・・とし、そのモル数をそれぞれa,b,c,・・・として表した場合に適用が可能である。
すなわち、複数の化合物aA,bB,cC,・・・を含む雰囲気の温度Tの系において、化学種Aのみが濃度計測装置等での計測が可能であるが、化学種B,C等に対する濃度計測手法がない、あるいは極めて困難であって、これらの濃度が未知であるときには、系の雰囲気温度を、化学種BがAへと全て変換(分解等)する温度Tに変化させ、そのときの化学種Aのモル数a+Δa(T−T)を濃度計測装置等で計測することにより、温度T時の化学種Bのモル数がΔa(T−T)となることを利用して、化学種Bの濃度を計測することができる。また、さらに系の雰囲気温度を化学種Cが化学種Aへと全て変換(分解等)する温度Tに変化させ、そのときの化学種Aのモル数a+Δa(T−T)+Δa(T−T)を濃度計測装置等で計測することにより、温度T時の化学種Cのモル数がΔa(T−T)となることを利用して、化学種Cの濃度を計測することができる。これに加え、dD,eE,fF・・・の複数種を含む雰囲気においても同様である。
なお、上記の実施形態では、化学種Aがアンモニア、化学種Bが尿素、化学種Cがイソシアン酸にそれぞれ対応している。
【0046】
【化1】

【0047】
また、上記した実施形態では、反応促進手段として、排出ガスを所定の温度に調節する温度調節手段を採用した例を説明したが、温度調節手段のほか、触媒を利用した方法など他の反応促進手段を採用して上記同様に排ガス成分の測定を行なうことが可能である。
例えば、上記のようにアンモニア生成反応を促進する手段としては、上記の温度調節による手段のほか、例えば、1)特開2007−321680号公報に記載の、パルス放電又は交流放電を発生させて尿素をアンモニアに転化し、尿素から転化したアンモニアを抽出するプラズマアシスト型の尿素改質装置を用いた方法、あるいは2)特開2006−122792号公報に記載の、酸化チタン担体に酸化タングステンを添加した構造の尿素加水分解触媒、3)尿素水をアンモニアに変換する酸化チタン系の加水分解触媒、4)特開2006−223937号公報に記載の、バナジウムの酸化物またはバナジウムのオキソ酸塩を主成分とした尿素分解触媒などの触媒を利用した方法、等を用いることができる。
【0048】
(第2実施形態)
本発明の排ガス成分の測定方法の第2実施形態を図4を参照して説明する。本実施形態は、第1実施形態の単管のサンプリング管を3本に分岐し、各温度でのアンモニア濃度を同時計測できるように構成したものである。
【0049】
なお、SCR触媒は第1実施形態で使用した材料にて第1実施形態と同様に形成することが可能であり、第1実施形態と同様の構成要素には同一の参照符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0050】
本実施形態の排ガス成分の測定方法は、図4に示すように、サンプリングプローブ16に接続されたサンプリング共通管28が3本に分岐し、それぞれ独立に温度調節が可能なサンプリング管51、52、53が設けられた構成になっている。サンプリング孔17からサンプリングされた排出ガスは、3本のサンプリング管51、52、53の各々に供給され、排出ガスを同時に異なる温度に調節することができる。このとき、サンプリング孔から分岐までの間は、水へのアンモニアの吸着を回避しつつ、前記反応(a)が進行しないように、100〜150℃に保たれるように構成されている。
【0051】
なお、サンプリング管51、52、53の長さは、前記反応(a)及び(b)が充分に進行する時間が得られる範囲で任意に選択すればよく、また、サンプリング管の内径を調節して滞留時間を変化させ、反応が充分に進行し得るようにしてもよい。各サンプリング管の外側には、加熱ヒータ20が配置されており、この加熱ヒータにより第1実施形態と同様に被検ガスの温度を調節することができる。また、加熱されたサンプリング管を冷却するための冷却ファンが取り付けられてもよい。加熱ヒータのほか、第1実施形態と同様に熱交換が行なえる熱媒循環用配管を配設することもできる。また、サンプリングプローブ16及びサンプリング共通管28にも同様に加熱ヒータや熱媒循環用配管を設け、サンプリング孔から分岐までの間を100〜150℃に保つことが必要である。
【0052】
各サンプリング管51、52、53の他端は、それぞれ排出ガス中のアンモニアガスの濃度を計測するためのアンモニア計測装置30a、30b、30cと接続されている。サンプリングプローブ16とアンモニア計測装置30a、30b又は30cとは、それぞれ異なるサンプリング管51、52、53を介して連通されており、サンプリングプローブ16で採取された排出ガスは3本のサンプリング管でそれぞれ異なる所定温度に温調され、アンモニア計測装置に供給される。このような構成により、例えば、採取された排出ガス(被検ガス)は、サンプリング管51で130℃(温度T以下)に温調されると同時に、サンプリング管52で160℃(温度T)に加熱され、さらに同時にサンプリング管53では300℃(温度T)に加熱されることになり、各サンプリング管に繋がるアンモニア計測装置にてアンモニア濃度(C,C,C)を同時計測することができる。
本実施形態では、被検ガスを複数の温度に同時に調節することにより、前記反応(a)又は(b)を選択することができる。このように、簡易な装置構成でありながらも、リアルタイムに排出ガス中の目的成分を定量することができる。
【0053】
アンモニア計測装置30a、30b、30cは、1台のコンピュータ端末40と電気的に接続されており、各アンモニア計測装置で計測された濃度値はそれぞれ所望のタイミングでコンピュータ端末40に集められ、排出ガス中の尿素、イソシアン酸、及びアンモニアの分離計測が迅速に行なえる構成になっている。
【0054】
得られたアンモニア濃度を利用することにより、第1実施形態と同様に図3のように、アンモニア濃度C及びアンモニア濃度Cから前記式1のように減算することでサンプリング点での尿素濃度が求められ、また、アンモニア濃度C及びアンモニア濃度Cから下記式2のように減算することで、サンプリング点でのイソシアン酸濃度が求められる。
【0055】
このように本実施形態においても、分析部としてアンモニア分析しか行なえない簡易な装置を用いて、3本のサンプリング管の温度を別個に調節し、アンモニア濃度を各温度領域ごとに計測することにより、排出ガス中の尿素及びイソシアン酸の計測が可能である。
なお、上記の実施形態では、3本のサンプリング管51、52、53において温度調節するようにしているが、サンプリングプローブ16、サンプリング共通管28はT以下に保持することが必要である。
【0056】
なお、アンモニア濃度を計測する温度T、T、Tについては、第1実施形態と同様であり、また本実施形態も、排出ガス中に尿素を供給してアンモニア濃度を計測して行なう場合に限られるものではない。また、温度調節手段のほか、触媒を利用した方法など他の反応促進手段を採用して上記同様に排ガス成分の計測を行なうことが可能である。
【0057】
(第3実施形態)
本発明の排ガス成分の測定方法の第3実施形態を図5を参照して説明する。本実施形態は、第1実施形態の単管のサンプリング管を3本に分岐し、被検ガスを所望の温度に合わせてサンプリンング管を選択して温度調節した後、再び単管のサンプリング管を介してアンモニア濃度を計測する構成としたものである。
【0058】
なお、SCR触媒は第1実施形態で使用した材料にて第1実施形態と同様に形成することが可能であり、第1実施形態及び第2実施形態と同様の構成要素には同一の参照符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0059】
本実施形態の排ガス成分の測定方法は、図5に示すように、サンプリングプローブ16に接続されたサンプリング共通管28が3本に分岐され、それぞれ独立に温度調節が可能なサンプリング管51、52、53が設けられた構成になっている。サンプリング管51、52及び53には、バルブV1、V2、V3が取り付けられており、調節温度に合わせて開閉させることにより、サンプリング孔17からサンプリングされた排出ガスは、被検ガスとして3本のサンプリング管51、52、53のいずれかに供給され、温度調節が行なえるようになっている。
【0060】
サンプリング管51、52、53は、サンプリング共通管28と繋がる一端と反対の他端において単管のサンプリング共通管38の一端と接続されている。サンプリング共通管38の他端は、排出ガス中のアンモニアガスの濃度を計測するためのアンモニア計測装置30と接続されている。サンプリングプローブ16とアンモニア計測装置30とは、サンプリング共通管28、サンプリング管51、52、53、及びサンプリング管38を介して連通されており、サンプリングプローブ16で採取された排出ガスは、3本のサンプリング管でそれぞれ異なる所定温度に温調された後、サンプリング共通管38を通じてアンモニア計測装置30に供給される。このような構成により、例えば、バルブV1を開きバルブV2及びV3を閉じることにより、サンプリング管51で被検ガスを130℃(温度T以下)に温調してアンモニア濃度Cを計測し、バルブV2を開きバルブV1及びV3を閉じることにより、サンプリング管52で被検ガスを160℃(温度T)に加熱し、尿素を完全にアンモニアとイソシアン酸に分解した後〔尿素濃度=0(ゼロ)〕、被検ガス中のアンモニア濃度Cを計測する。さらに、バルブV3を開きバルブV1及びV2を閉じることにより、サンプリング管53で被検ガスを300℃(温度T)に加熱し、イソシアン酸を完全にアンモニア及び二酸化炭素に加水分解した後、被検ガス中のアンモニア濃度Cを計測することができる。
【0061】
このとき、サンプリング孔から分岐までの間及び単管のサンプリング共通管38は、水へのアンモニアの吸着を回避しつつ、前記反応(a)が進行しないように、100〜150℃に保たれるように構成されている。サンプリングプローブ16及びサンプリング共通管28、38は、第1実施形態と同様に加熱ヒータや熱媒循環用配管を設けることにより100〜150℃に保つことが必要である。
【0062】
アンモニア計測装置30は、コンピュータ端末40と電気的に接続されており、アンモニア計測装置30で計測された濃度値は、所望のタイミングでコンピュータ端末に取り込まれ、排出ガス中の尿素、イソシアン酸、及びアンモニアの分離計測が可能である。本実施形態でも、被検ガスを複数の温度に調節することにより、前記反応(a)又は(b)を選択することができる。
【0063】
得られたアンモニア濃度を利用することにより、第1実施形態と同様に図3のように、アンモニア濃度C及びアンモニア濃度Cから前記式1のように減算することでサンプリング点での尿素濃度が求められ、また、アンモニア濃度C及びアンモニア濃度Cから下記式2のように減算することで、サンプリング点でのイソシアン酸濃度が求められる。このように、本実施形態においても、分析部としてアンモニア分析しか行なえない簡易な装置を用いて、3本のサンプリング管の温度を別個に調節し、アンモニア濃度を各温度領域ごとに計測することにより、排出ガス中の尿素及びイソシアン酸の計測が可能である。
【0064】
本実施形態では、3本のサンプリング管51、52、53において温度調節するようにしたが、必要に応じて、サンプリングプローブ16、サンプリング共通管28、28を温度調節するようにしてもよい。
なお、アンモニア濃度を計測する温度T、T、Tについては、第1実施形態と同様であり、また本実施形態も、排出ガス中に尿素を供給してアンモニア濃度を計測して行なう場合に限られるものではない。また、温度調節手段のほか、触媒を利用した方法など他の反応促進手段を採用して上記同様に排ガス成分の測定を行なうことが可能である。
【符号の説明】
【0065】
15・・・尿素水噴射装置
16・・・サンプリングプローブ
17・・・サンプリング孔
18,51,52,53・・・サンプリング管
28,38・・・サンプリング共通管
30,30a,30b,30c・・・アンモニア計測装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関から排出された排出ガスを採取する排出ガス採取工程と、
採取された前記排出ガス中の成分の反応を反応促進手段により促進させる反応促進工程と、
前記反応により生成された生成物の濃度を計測する濃度計測工程と、
計測された前記濃度に基づいて、排出ガス中の少なくとも前記成分の濃度を取得する濃度取得工程と、
を有する排ガス成分の測定方法。
【請求項2】
前記反応促進手段は、前記排出ガスを所定温度に調節する温度調節手段、又は触媒であることを特徴とする請求項1に記載の排ガス成分の測定方法。
【請求項3】
前記反応促進手段が、前記排出ガスを所定温度に調節する温度調節手段であって、
前記濃度計測工程は、少なくとも1つの所定温度に調節された排出ガス中における前記生成物の濃度を計測することを特徴とする請求項1に記載の排ガス成分の測定方法。
【請求項4】
更に、内燃機関から排出された排出ガスに少なくとも尿素を供給する尿素供給工程を有し、
前記排出ガス採取工程は、少なくとも尿素が供給された前記排出ガスを所定の採取点で採取し、
前記反応促進工程は、採取された前記排出ガスを所定温度に調節することにより、供給された尿素の反応を促進し、
前記濃度計測工程は、アンモニアの生成反応が進行する温度以下の温度Tに調節された前記排出ガス中のアンモニア濃度Cと、アンモニア及びイソシアン酸の生成反応が進行する温度Tに調節された前記排出ガス中のアンモニア濃度Cと、前記イソシアン酸からのアンモニア生成反応が進行する温度Tに調節された前記排出ガス中のアンモニア濃度Cとを計測し、
前記濃度取得工程は、計測された前記アンモニア濃度から下記式1〜式2により尿素、イソシアン酸、及びアンモニアの濃度を取得する、ことを特徴とする請求項1に記載の排ガス成分の測定方法。
尿素濃度=C−C ・・・(式1)
イソシアン酸濃度=C−C−(C−C) ・・・(式2)
【請求項5】
前記温度Tが100℃以上150℃以下であり、前記温度Tが150℃を超え160℃以下であり、かつ前記温度Tが160℃を超えることを特徴とする請求項4に記載の排ガス成分の測定方法。
【請求項6】
内燃機関から排出された排出ガスを採取する排出ガス採取手段と、
採取された前記排出ガス中の成分の反応を促進させる反応促進手段と、
前記反応により生成された生成物の濃度を計測する濃度計測手段と、
計測された前記濃度に基づいて、排出ガス中の前記成分の濃度を取得する濃度取得手段と、
を備えた排ガス成分測定装置。
【請求項7】
前記反応促進手段は、前記排出ガスを所定温度に調節する温度調節手段、又は触媒であることを特徴とする請求項6に記載の排ガス成分測定装置。
【請求項8】
更に、排出ガス流通方向における前記排出ガス採取手段の上流に設けられ、内燃機関から排出された排出ガスに少なくとも尿素を供給する尿素供給手段を備え、
前記排出ガス採取手段は、少なくとも尿素が供給された前記排出ガスを所定の採取点で採取し、
前記反応促進手段は、採取された前記排出ガスを所定温度に調節することにより、供給された尿素の反応を促進させる温度調節手段であり、
前記濃度計測手段は、アンモニアの生成反応が進行する温度以下の温度Tに調節された前記排出ガス中のアンモニア濃度Cと、アンモニア及びイソシアン酸の生成反応が進行する温度Tに調節された前記排出ガス中のアンモニア濃度Cと、前記イソシアン酸からのアンモニア生成反応が進行する温度Tに調節された前記排出ガス中のアンモニア濃度Cとを計測するアンモニア濃度計測手段であり、
前記濃度取得手段は、計測された前記アンモニア濃度から下記式1〜式2により尿素、イソシアン酸、及びアンモニアの濃度を取得するアンモニア濃度取得手段である、ことを特徴とする請求項6に記載の排ガス成分測定装置。
尿素濃度=C−C ・・・(式1)
イソシアン酸濃度=C−C−(C−C) ・・・(式2)
【請求項9】
前記排出ガス採取手段は、採取点における排出ガスを採取する採取孔を有することを特徴とする請求項6〜請求項8のいずれか1項に記載の排ガス成分測定装置。
【請求項10】
前記排出ガス採取手段と前記濃度計測手段との間に、前記反応促進手段が設けられたガス流通管を備えており、前記ガス流通管により前記排出ガス採取手段と前記濃度計測手段とが連通されていることを特徴とする請求項6〜請求項9のいずれか1項に記載の排ガス成分測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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