説明

排ガス複合伝熱管

【課題】 ごみ焼却炉などに設置する給湯、または、蒸気用の鋼管において、ごみ焼却の際発生する侵食性ガスによる、鋼管の腐食進行を防ぐための排ガス複合伝熱管を提供する。
【解決の手段】 鋼管22の外周に、その鋼管22の外形より内径を太くしたセラミック管23を被せて保護し、鋼管22が侵食性ガスに侵されることなく、燃焼熱のみを鋼管22に伝熱するようにする。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】

【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、ごみ焼却炉などに設ける給湯用、または、蒸気発電用鋼管に対する侵食性ガスを排除するための排ガス複合伝熱管に関する。
【背景技術】
【0002】
ごみ焼却炉に設ける鋼管に於いて、その鋼管に直接炎や侵食性ガスなどが燃え当たり、鋼管の腐食進行が早く鋼管の寿命は永くて10年位と言われている。
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ごみ焼却は欧米は勿論、我が国でも各治自体に於いて行われている、そして、プラスチック類でもペットボトルのような物は分類回収されているが、他の容器、トレーなど殆んどのプラスチック類は燃えるごみとして回収されている。
近年プラスチックごみはリサイクルするより燃料として発電に利用するほうが効率的という意見もある。
つまり、ごみ焼却の中でもプラスチックは特に熱量が高く蒸気発電には優れた燃料であると言うことである。
然しながら、このごみ焼却の際発生する侵食性ガスが問題で、現在これに耐えられて長持ちする鋼管の開発が課題となっている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するため、焼却炉に設置する給湯、または、蒸気用の鋼管(金属管類)が直接に炎や侵食性ガスが燃え当たらないように、保護として鋼管の外周にセラミック管を被せる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
本発明の排ガス複合伝熱管の形態は、従来型鋼管の外周にその鋼管よりも太くして、隙間を設けたセラミック管(粘土を高温で焼いた管)を被せる、そのセラミック管と鋼管によって出来た空間部に、鋼管より融点の低い、鉛など非鉄金属片(砂利状)などを投入して管と管状による三重構造にしたものである。
【0006】
または、従来型鋼管の外周に、その鋼管よりも少し太目のセラミック管を被せて、材質の異なる管を二重構造にしたものである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の実施の形態を図1〜図2について説明する。
図1、鋼管2の外周にセラミック管3を被せる、また、このセラミック管3の一方の端部には鉛投入口4と、他方の端部には鉛取出口5を設けておく。
【0008】
そして、鋼管2とセラミック管3との空間部に、砂利状にした鉛7を投入する、但し、鉛とは限らず鋼管の融点より低い非鉄金属から選択する。
【0009】
この、排ガス複合伝熱管1は直管とは限らずU字管などを用いて蛇行状に連結しても良い、何れの場合も熱で溶けた鉛が流し出せるように勾配をつけて設ける。そして、焼却炉6の内部に設ける部分は必ず鋼管2とセラミック管3及び鉛7からなる複合管とする。さらに、鉛投入口4と鉛取出口5の部分は必ず焼却炉6の外側に出した状態で設ける。
【0010】
図2、鋼管22の外周にセラミック管23を、隙間24を設けて被せる、この場合もU字管を用いて蛇行状に連結しても良い。隙間24の設け方は任意。
そして、この排ガス複合伝熱管21の場合も、焼却炉に取付ける場合、セラミック管23の左右の端の部分は必ず焼却炉の外側に出した状態で設ける。
【0011】
図1、図2で、U字形セラミック管を被せる場合は、割型による成形品を組み合わせて管状を形成し、合わせ目を同系のパテ材で目詰め、接合などをする。
但し、直管だけ複数用いて設備を行う時は、U字部は焼却炉の外側に設ける。
【作用】
【0012】
図1の、排ガス複合伝熱管1を焼却炉6部に設ける、そして、焼却炉6の外側に出してある鋼管2の左側の方には給水用の配管を接続し、右側には蒸気用の配管を接続する。
【0013】
そして、焼却炉6のごみを燃焼させると、先ずセラミック管3が加熱され、その熱が鉛7を加熱して熔体となる、その熔体となった鉛7の熱は鋼管2を加熱する、そして、鋼管2の中を流れる水を沸騰させて蒸気を発生させる。
このとき、ごみ焼却炉で発生する侵食性ガスの極一部が、万一セラミック管3に浸透して鉛6の熔体に潜り込んだとしても、そのガスは気泡となって熔体中にとどまること無く、鉛投入口4より排出する、従って、侵食性ガスは鋼管2に触れる間もないため鋼管2は腐食することがない。
【0014】
尚、鉛7は加熱されることにより酸化する、その酸化物はカスとなって、鉛投入口4に浮き上がって来る、そのカスを取り除き新しい鉛材を補充する。
【0015】
図2の、排ガス複合伝熱管21を焼却炉に設けた場合、侵食性ガスの極一部が万一セラミック管に浸透して隙間24に入っても左右の端の開口部より排出される、従って、鋼管22がガスに侵されるとしても、その率は非常に微小である。
【発明の効果】
【0016】
図1の、排ガス複合伝熱管1を、焼却炉6に用いた場合、ごみ燃焼による侵食性ガスは、先ずセラミック管3に当たる、そのガスの極微量が万一セラミック管3に浸透しても、そのガスは鉛7の熔体に当たり気泡となって鉛投入口4より輩出されて、鋼管2は侵食性ガスに侵されない優れた効果がある。
しかも、焼却熱はセラミック管3と鉛7及び鋼管2との密着度が高く伝熱効果が非常に大きい効果がある。
【0017】
図2の、排ガス複合伝熱管21は、鋼管22とセラミック管23との隙間24を出来るだけ小さく(熱膨張考慮)し設けたもので伝熱効果も高く、また、製造も容易で、しかも、鋼管に対する排ガス効果も充分に得られるものである。
【0018】
使用セラミック管は、粘土を約1,100℃の温度で焼いて製造するもので、強度、気密性、耐熱、耐ガス、耐薬品性に優れ、耐用年数は半永久的と言われている。
従って、本発明の目的である鋼管に対する「伝熱と排ガス」の効果が非常に大きく、鋼管の寿命が従来工法に比べ長持ちさせる効果も大きいものである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】 本発明の、排ガス複合伝熱管1を焼却炉6に設置したところの概略断面図である。
【図2】 排ガス複合伝熱管21の断面図である。
【符号の説明】
【0020】
1 排ガス複合伝熱管 6 焼却炉 21 排ガス複合伝熱管
2 鋼管 7 鉛 22 鋼管
3 セラミック管 8 給水口 23 セラミック管
4 鉛投入口 9 蒸気口 24 隙間
5 鉛取出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋼管の外周に、その鋼管の外周より内径を太くし、さらに、一方の端辺に金属片投入口と、他の一方の端辺には、その金属片の取出口を設けたセラミック管を被せ、その鋼管とセラミック管によって出来た空間部に、鋼管よりも融点の低い亜鉛または鉛などの非鉄金属片または非鉄金属粒を投入して、材質の異なる管及び管状の三重構造にしたことを特徴とする排ガス複合伝熱管。
【請求項2】
鋼管の外周に、その鋼管の外周より内径を太くしたセラミック管を被せて、材質の異なる管の二重構造にしたことを特徴とする排ガス複合伝熱管。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−63125(P2012−63125A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−226053(P2010−226053)
【出願日】平成22年9月15日(2010.9.15)
【出願人】(591069710)
【Fターム(参考)】