排出ガス希釈装置

【課題】エンジン又は車両等に用いられている内燃機関からの排出ガス、その中でも特に排気微小粒子の排出量を測定する際に、排出ガスを希釈・冷却するために用いられる希釈装置のバックグラウンドを低減する。
【解決手段】回転ディスク11とその台座12からなる回転ディスク式の排出ガス希釈装置10において、台座12と回転ディスク11間で、かつ排出ガス取込部14と排出ガス希釈部15の外周側に、シール用の清浄空気流路17を形成したものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンまたは車両等の内燃機関の排出ガスを、その排出量測定のために希釈する排出ガス希釈装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両等に用いられる内燃機関は、年々強化される排出ガス規制に適合するために、エンジン本体及び排出ガス後処理装置の改良により、その排出ガスは非常に低濃度となり、排出量の測定の感度、精度は高いものが要求されるようになってきている。
【0003】
排出ガス中の微小粒子の測定(粒子質量、粒径、粒子数、表面積等)は、フィルターへの捕集や微小粒子の測定装置により行われるが、エンジンの排出ガスの温度は300〜400℃ともなり、微小粒子の安定化、試料温度の低下のため、通常、清浄な空気により排出ガスを希釈・冷却して行われる。その際に用いる希釈用の清浄空気は、高性能フィルターにより微小粒子を除去し、必要な場合には活性炭あるいは触媒等によりガス状不純物も除去する必要がある。
【0004】
そのような測定に用いられる希釈装置には各種あるが(例えば、特許文献1)、回転式ディスクを用いた希釈装置には(例えば、特許文献2)、流路途中に希釈比を制御するためのバルブ、オリフィス等を設置する必要がないため、微小粒子の損失が少なく、排出ガスの汚染による故障が少ないという利点がある。また、構造も簡略かつ希釈比の制御範囲の大きさから装置の小型化に適している。
【0005】
排出ガスの微小粒子の測定を行う際には、エンジンの排出ガスを希釈装置に導入し、希釈装置において清浄空気と混合することにより、排出ガスを清浄空気と共に希釈排出ガスとして測定系(フィルターや測定装置など)に供給する。
【0006】
回転ディスク式の希釈装置には、回転ディスクを支持する台座の台座面に排出ガス導入部と排出ガス希釈部が形成されており、これら排出ガス導入部と排出ガス希釈部にエンジンの排出ガスと希釈用の清浄空気がそれぞれ導入されている。排出ガス導入部に導入した排出ガスの一部を回転ディスクの台座面側に形成した凹みに採取し、回転ディスクの回転により、清浄空気が導入されている排出ガス希釈部に移送し清浄空気と混合することにより、希釈排出ガスを調製する。
【0007】
その際の希釈比は、回転ディスクの回転速度に比例し、清浄空気の流量に反比例する。希釈比の制御は、回転ディスクを回転させるモーターの回転速度を制御することにより行い、サーボモーター、ステッピングモーター等を用いることにより高精度の制御が可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特表2010−518411号公報
【特許文献2】特表2008−505836号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来の希釈装置は、微小粒子が極低濃度でないエンジンからの排出ガスでは十分な精度で作動するが、最新の排出ガス規制(例えば、0.01g/kWh)に適合するエンジンからの極低濃度排出ガスに対しては、希釈装置自体のバックグラウンド微小粒子が多く、測定精度が確保できない。この要因は、他の方式(トンネル式など)の希釈装置と比べて、希釈操作を行う回転ディスク部に対向する摺動面(回転ディスクと台座の接触面)によるシール部が存在することにある。そのシール部から希釈排出ガスの流路に装置周囲の大気がわずかではあるが侵入し、希釈装置の無視できないバックグラウンド微小粒子に寄与している。
【0010】
また、最新のエンジンからの排出ガスを後処理装置であるDPF装置に通すと、排出ガス中の微小粒子の濃度が数十個/cm3にまで低減され、さらに希釈装置にて100倍程度に希釈されると、0.1個/cm3程度の濃度で測定系に供給される。一方、大気中には数千個/cm3の微小粒子が含まれ、シール性が不十分な従来の希釈装置では、微小粒子のバックグラウンドが測定値と同程度か10倍以上の値にもなり、希釈排出ガス中の濃度を正確に測定することができなかった。
【0011】
摺動面のシール性を向上するために、面の仕上げ精度の向上、ダイアモンド等のコーティングをしているが、大気中の微小粒子濃度が比較的高いため、わずかなシール部の漏れによってもバックグラウンド微小粒子は測定される。特に、近年のエンジン本体及び排出ガス後処理装置では、排出ガスが極低濃度となっているため、摺動面からわずかな大気が侵入しただけでも、大気中に含まれるバックグラウンド成分が測定結果に大きく影響してしまうという課題があった。
【0012】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、エンジン又は車両等に用いられている内燃機関からの排出ガス、その中でも特に排気微小粒子の排出量を測定する際に、排出ガスを希釈・冷却するために用いられる希釈装置のバックグラウンドを低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために創案された本発明は、回転ディスクとその回転ディスクを回転自在に支持する台座からなり、回転ディスク側の台座面の円周上に、エンジンの排出ガスを導入する排出ガス取込部が形成されると共に排出ガス取込部と対向した円周上に希釈用の清浄空気を導入する排出ガス希釈部が形成され、回転ディスクの台座面側に、排出ガス取込部と排出ガス希釈部に臨んだ凹みが形成され、回転ディスクの回転で、前記排出ガス取込部に導入された排出ガスの一部を凹み内に採取し、これを前記排出ガス希釈部に移送し、その排出ガス希釈部から排出ガスを清浄空気と共に希釈排出ガスとして測定系に供給する排出ガス希釈装置において、前記台座と回転ディスク間で、かつ排出ガス取込部と排出ガス希釈部の外周側に、シール用の清浄空気流路を形成した排出ガス希釈装置である。
【0014】
また本発明は、回転ディスクとその回転ディスクを回転自在に支持する台座からなり、回転ディスク側の台座面の円周上に、エンジンの排出ガスを導入する排出ガス取込部が形成されると共に排出ガス取込部と対向した円周上に希釈用の清浄空気を導入する排出ガス希釈部が形成され、回転ディスクの台座面側に、排出ガス取込部と排出ガス希釈部に臨んだ凹みが形成され、回転ディスクの回転で、前記排出ガス取込部に導入された排出ガスの一部を凹み内に採取し、これを前記排出ガス希釈部に移送し、その排出ガス希釈部から排出ガスを清浄空気と共に希釈排出ガスとして測定系に供給する排出ガス希釈装置において、前記台座に、回転ディスクの外周を覆う清浄空気チャンバーを設けた排出ガス希釈装置である。
【0015】
また本発明は、回転ディスクと、その回転ディスクの上下を挟み込むと共に回転ディスクを回転自在に支持する一対の台座とからなり、回転ディスクと接する上下の台座面の円周上に、回転ディスクを隔てて排出ガス導入部と排出ガス放出部が向かい合うように形成されると共に、排出ガス導入部と排出ガス放出部の各円周上で対向する清浄空気導入部と希釈排出ガス放出部が形成され、回転ディスクに、排出ガス導入部と排出ガス放出部及び清浄空気導入部と希釈排出ガス放出部を連通する貫通孔が形成され、回転ディスクの回転で、排出ガス導入部と排出ガス放出部を連通した貫通孔内に排出ガスを採取すると共に、これを清浄空気導入部と希釈排出ガス放出部に移送し、貫通孔内の排出ガスを清浄空気導入部から清浄空気と共に希釈排出ガスとして希釈排出ガス放出部を介して測定系に供給する排出ガス希釈装置において、前記上下の台座と回転ディスク間に、排出ガス導入・放出部又は清浄空気導入・放出部が形成された円周より外周側に位置してシール用の清浄空気流路を形成した排出ガス希釈装置である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、エンジン又は車両等に用いられている内燃機関からの排出ガス、その中でも特に排気微小粒子の排出量を測定する際に、排出ガスを希釈・冷却するために用いられる希釈装置のバックグラウンドを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の排出ガス希釈装置を用いた排出ガス測定システムの構成の一例を示す模式図である。
【図2】第一の実施の形態に係る排出ガス希釈装置を示す図であり、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【図3】第二の実施の形態に係る排出ガス希釈装置を示す側面図である。
【図4】第三の実施の形態に係る排出ガス希釈装置を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の好適な実施の形態に係る排出ガス希釈装置(以下、単に希釈装置という)について、エンジンからの排出ガスを測定する場合を例にして、添付図面を用いて説明する。
【0019】
図1は、本実施の形態に係る希釈装置を用いた排出ガス測定システムの構成の一例を示す模式図である。また図2は、本実施の形態に係る希釈装置の構造を示す図である。
【0020】
図1に示す排出ガス測定システム100において、エンジンE内で発生した排出ガスは、排気管1を通って大気中へ放出される。排出ガスの排出量等を測定するには、その一部を排気管1の途中でサンプリングプローブ2により分岐し、排出ガス導入配管3を通じて希釈装置10へ導入する。希釈装置10に導入する排出ガスの流量は、例えば1L/min程度とされる。
【0021】
希釈装置10では、外部から清浄空気導入配管5を通じて清浄空気の供給を受け、導入された排出ガスの一部と清浄空気を混合して希釈排出ガスとする。その希釈排出ガスを、希釈排出ガス放出配管6を通じて下流の測定系101(微小粒子捕集用フィルター101a、あるいは微小粒子の性状(質量、粒子数、表面積等)を測定するための測定装置101b)へ、適切な希釈比、ガス温度にて供給し、微小粒子の測定を実施する。希釈装置10に導入された排出ガスのうち測定に用いない余剰分の排出ガス(余剰ガス)は、排出ガス放出配管4を通じて希釈装置10から外部へ放出される。測定系101の下流側は図示しない吸引ポンプに接続され、負圧で清浄空気や希釈排出ガスが導入される。
【0022】
この希釈装置10の詳細を図2(a),(b)により説明する。
【0023】
希釈装置10は、回転ディスク11と、その回転ディスク11を回転自在に支持する台座12とからなる。回転ディスク11は台座12の台座面12F上に摺動可能に載置されると共に、台座12の回転ディスク11と反対側には回転ディスク11を回転させるためのモーター11aが配置され、モーター11aの回転軸11bが台座12の中央に挿通されて回転ディスク11に連結されることで、回転ディスク11は台座12に回転可能に支持される。回転ディスク11および台座12は、ステンレス鋼を用いて形成される。
【0024】
台座12には、回転ディスク11側の台座面12Fの円周上に、円弧状の排出ガス取込部14が形成される。この排出ガス取込部14は、円弧の一端から排出ガスを取り込み、他端から放出するためのものである。また排出ガス取込部14に対向する円周上には、円弧状の排出ガス希釈部15が形成される。この排出ガス希釈部15は、円弧の一端から希釈用の清浄空気を取り込み、他端から放出するためのものである。
【0025】
排出ガス取込部14には、その円弧の一端に排出ガス導入配管3と接続するための入口14aが形成され、円弧の他端に排出ガス放出配管4と接続するための出口14bが形成される。同様に、排出ガス希釈部15には、その円弧の一端に清浄空気導入配管5と接続するための入口15aが形成され、円弧の他端に希釈排出ガス放出配管6と接続するための出口15bが形成される。これら入・出口14a,14b,15a,15bは、台座12の側面に開口するように形成される。
【0026】
清浄空気導入配管5は、導入する清浄空気の流量を計測するための流量計13を備える。
【0027】
回転ディスク11には、その台座面12F側に、排出ガス取込部14と排出ガス希釈部15に臨んだ凹み16が形成される。具体的には、凹み16を、排出ガス取込部14および排出ガス希釈部15と同一の円周上に形成することで、凹み16が排出ガス取込部14と排出ガス希釈部15に臨むこととなる。
【0028】
この凹み16は、回転ディスク11の回転により、排出ガス取込部14に導入された排出ガスの一部を内部に採取し、これを排出ガス希釈部15に移送して、排出ガス希釈部15に導入されている清浄空気に混合するためのものである。凹み16の数や形状は特に限定されず、一例では直径0.8cm〜1.0cm程度の半球状の凹み16を4〜10個程度(図2では4個)で設けることができる。
【0029】
この希釈装置10において、排出ガス導入配管3より流入した排出ガスは、排出ガス取込部14を通過して排出ガス放出配管4より放出され、その際に排出ガス取込部14において回転ディスク11の凹み16内の空気が排出ガスにより置換される。凹み16に採取された排出ガスは回転ディスク11の回転に伴い移動し、排出ガス希釈部15において清浄空気導入配管5より流入した清浄空気と混合され、希釈排出ガスが調製される。
【0030】
なお、希釈装置10の希釈比DRは、回転ディスク11の回転速度R(rpm)、凹み16の容積v(L)、凹み16の個数n、清浄空気の流量V(L/min)とすると、以下の式で表される。
DR=V/(nvR)
【0031】
希釈排出ガスの流量は供給する清浄空気の流量Vと同一となるため、希釈排出ガスの必要流量(例えば、5L/min程度)から清浄空気の流量Vを設定し、目標とする希釈比DRを(例えば20〜1000程度に)設定して回転ディスク11の回転速度Rの制御値を決定する。
【0032】
さて、回転ディスク式の希釈装置10では、台座12と回転ディスク11が摺動する摺動面のシール性を確保するため、回転ディスク11とその台座12の面圧を一定値以上確保する必要があり、スプリング等の機械力、あるいは空気圧等により外部から両者を加圧しておく必要がある。しかし、摺動面のシール性と回転ディスク11の駆動力とはトレードオフの関係にあるため、摺動面を完全にシールすることはできない。
【0033】
そのため、本実施の形態では、排出ガス取込部14と排出ガス希釈部15の摺動面を外部大気から遮断するように、その周囲にシール用の清浄空気流路17を設置することにより、外部大気の希釈部への流入を抑止するようにした。すなわち本発明は、回転式ディスクを用いた希釈装置10の排出ガスと清浄空気との混合希釈部の周囲に、清浄な空気の流路等を設けることにより、希釈装置10の外部より侵入する大気を遮断して、希釈装置10のバックグラウンドを低減することを特徴とする。
【0034】
この清浄空気流路17について詳細に説明する。
【0035】
清浄空気流路17は、台座12と回転ディスク11の間(摺動面)で、排出ガス取込部14と排出ガス希釈部15を取り囲むようにして、台座12に、または台座12と回転ディスク11の摺動面を跨いで設けられる。本実施の形態では清浄空気流路17を断面視(図2(b)参照)で丸底の溝状に形成したが、平底に形成することもできる。清浄空気流路17には、その外周へ延出する導入口17aおよび放出口17bが設けられる。これら導入口17aおよび放出口17bは、台座12に設けられる。導入口17aから導入された清浄空気は、清浄空気流路17を通って放出口17bから希釈装置10外へ放出される。
【0036】
清浄空気流路17に導入するシール用の清浄空気には、排出ガス希釈部15に導入する希釈用の清浄空気の一部を用いることができる。具体的には、清浄空気導入配管5の流量計13よりも上流側に、シール用清浄空気導入配管17pを接続し、コンプレッサで加圧して、清浄空気流路17に加圧清浄空気を導入すると良い。また、シール用の清浄空気を供給するシール用配管を別途設け、希釈用とは別系統とすることもできる。これにより、希釈装置10外部の大気の侵入を加圧清浄空気でさらに抑止することができる。
【0037】
この希釈装置10を用いることにより、例えば、粒子数濃度の計測において、従来装置のバックグラウンドが0.1個/cm3レベルに対し、本発明ではその1/10以下のバックグラウンドを得ることが可能となり、最新の低排出ガスエンジンの排出量評価の精度を向上させることが可能である。
【0038】
次に、第二の実施の形態について図3により説明する。
【0039】
図3に示す希釈装置10aは、上述の希釈装置10に設けた清浄空気流路17に代えて、台座12に、回転ディスク11の外周を覆う清浄空気チャンバー18を設けたことを特徴とする。より具体的には、希釈装置10aは、回転ディスク11より幅広に形成された台座12上に、その台座12と略同程度の外径を有する円筒状の清浄空気チャンバー18を設けたことを特徴とする。言い換えると、希釈装置10aは、台座12と清浄空気チャンバー18とで区画された清浄空気流路を回転ディスク11の外周に有する。清浄空気チャンバー18の側面には、シール用の清浄空気を清浄空気チャンバー18内に導入するためのチャンバー用清浄空気導入配管18aと、導入された清浄空気を清浄空気チャンバー18から放出するためのチャンバー用清浄空気放出配管18bが接続される。
【0040】
なお、本実施の形態は台座12や清浄空気チャンバー18の形状などを限定するものではなく、例えば台座12を回転ディスク11と同程度の外径に形成すると共に、清浄空気チャンバー18の下端にその外径を縮径する縮径部を設け、その縮径部の端部を台座12の側面に固定することで、回転ディスク11の外周を覆うようにすることもできる。
【0041】
この希釈装置10aは、回転ディスク11の摺動面全体を清浄空気が流通する清浄空気チャンバー18で覆う構造であり、既存の希釈装置への小改造に適した構成である。
【0042】
次に、第三の実施の形態について図4により説明する。
【0043】
図4に示す希釈装置10bは、主として回転ディスク11と、その回転ディスク11の上下を挟み込むと共に回転ディスク11を回転自在に支持する一対の台座12a,12bとからなる。図4では、モーター11aは、下部台座11bの下方に配置されているが、本発明はモーターの位置を特に限定するものではない。
【0044】
回転ディスク11と接する上下の台座面12F,12Fのうち、一方の台座面12Fの円周上には、排出ガスを導入する排出ガス導入部19が形成され、他方の台座面12Fには、導入した排出ガスを放出する排出ガス放出部20が回転ディスク11を隔てて排出ガス導入部19に向かい合うように形成される。また、上下の台座面12F,12Fのうち、一方の台座面12Fであって、排出ガス導入部19または排出ガス放出部20に対向した円周上には、清浄空気を導入する清浄空気導入部21が形成され、他方の台座面12Fには、導入した清浄空気を放出する(測定系101へ供給する)希釈排出ガス放出部22が回転ディスク11を隔てて清浄空気導入部21に向かい合うように形成される。
【0045】
すなわち、回転ディスク11と接する上下の台座面12F,12Fの円周上には、回転ディスク11を隔てて排出ガス導入部19と排出ガス放出部20が向かい合うように形成され、排出ガス導入部19と排出ガス放出部20の各円周上で対向する清浄空気導入部21と希釈排出ガス放出部22が形成される。ここでは、回転ディスク11の上面に接する上部台座12aに排出ガス導入部19および清浄空気導入部21を形成し、回転ディスク11の下面に接する下部台座12bに排出ガス放出部20および希釈排出ガス放出部22を形成した。
【0046】
排出ガス導入部19には、排出ガス導入配管3と接続するための入口19aが形成され、排出ガス放出部20には、排出ガス放出配管4と接続するための出口20aが形成される。同様に、清浄空気導入部21には、清浄空気導入配管5と接続するための入口21aが形成され、希釈排出ガス放出部22には、希釈排出ガス放出配管6と接続するための出口22aが形成される。これら入・出口19a〜22aは、各台座12a,12bの側面に開口するように形成される。
【0047】
各台座12a,12bには、排出ガス導入・放出部19,20と清浄空気導入・放出部21,22のそれぞれに対応するように、排出ガス導入配管3、排出ガス放出配管4、清浄空気導入配管5、希釈排出ガス放出配管6がそれぞれ接続される。ここでは、上下の台座12a,12bのうち、排出ガス導入部19と清浄空気導入部21を形成した上部台座12aに排出ガス導入配管3と清浄空気導入配管5が接続され、排出ガス放出部20と希釈排出ガス放出部22を形成した下部台座12bに排出ガス放出配管4と希釈排出ガス放出配管6が接続される。
【0048】
一方、回転ディスク11には、排出ガス導入部19と排出ガス放出部20及び清浄空気導入部21と希釈排出ガス放出部22を連通する貫通孔23が形成される。この貫通孔23が排出ガス導入部19と排出ガス放出部20の間にあるとき、排出ガス導入部19から貫通孔23を通り排出ガス放出部20に至る排出ガスの流路が形成される。また、貫通孔23が清浄空気導入部21と希釈排出ガス放出部22の間にあるとき、清浄空気導入部21から貫通孔23を通り希釈排出ガス放出部22に至る清浄空気の流路が形成される。
【0049】
さらに、希釈装置10bには、上述した実施の形態と同様に、シール用の清浄空気流路17が台座に形成される。より具体的には、上下の台座12a,12bと回転ディスク11の間に、2つのシール用の清浄空気流路17,17が形成される。また、これらの清浄空気流路17,17は、排出ガス導入・放出部19,20又は清浄空気導入・放出部21,22が形成された円周より外周側に位置して形成される。
【0050】
この希釈装置10bは、回転ディスク11の回転で、まず、排出ガス導入部19と排出ガス放出部20を連通した貫通孔23内に排出ガスを採取する。これを清浄空気導入部21と希釈排出ガス放出部22に移送し、貫通孔23内の排出ガスを清浄空気導入部21からの清浄空気で押出して、清浄空気と共に希釈排出ガスとして希釈排出ガス放出部22を介して測定系101へ供給する。なお、貫通孔23が連通していないときには、排出ガス、清浄空気は希釈装置10bのバイパス配管24,25をそれぞれ通流する。
【0051】
このとき、希釈装置10bは回転ディスク11と接する上下の台座12a,12bにそれぞれ清浄空気流路17,17を形成されるため、摺動面のシールは2ヶ所となり、本発明の効果はより大きなものとなる。また希釈装置10bは上下の台座12a,12bで回転ディスク11を挟み込む構造であるので、台座12a,12bを使用して回転ディスク11を押さえ込みやすく、面圧をかけて摺動面のリークを抑えやすい。
【0052】
以上説明したように、本発明では、回転ディスク式の希釈装置に、台座と回転ディスクとの間(摺動面)へ外部より侵入する大気を遮断するための清浄空気流路を形成するようにした。
【0053】
これにより、例えば排出ガス中の粒子数濃度の計測において、従来装置のバックグラウンドが0.1個/cm3レベルに対し、本発明ではその1/10以下のバックグラウンドを得ることが可能となる。内燃機関の排出ガスの低減技術の進展に伴い、排出量の測定の精度・感度に対する要求が厳しくなるが、その測定の際に排出ガスの希釈装置が必要となる場合には、本発明の装置を用いることにより、低濃度の排出ガスを装置のバックグラウンドに妨害されることなく測定することができる。
【0054】
なお、本発明は上記実施の形態に限られず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えうることは言うまでもない。
【0055】
例えば、上記実施の形態では、希釈装置への排出ガス供給はエンジン排気管から直接行っていたが、規制排出ガス測定に用いられる希釈装置(希釈トンネル等)を経由してサンプリングすることも可能であり、他の排出ガス成分と同様な条件での測定も可能である。
【符号の説明】
【0056】
3 排出ガス導入配管
4 排出ガス放出配管
5 清浄空気導入配管
6 希釈排出ガス放出配管
10 排出ガス希釈装置(希釈装置)
11 回転ディスク
11a モーター
11b 回転軸
12 台座
12F 台座面
13 流量計
14 排出ガス取込部
15 排出ガス希釈部
16 凹み
17 清浄空気流路
17a 導入口
17b 放出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転ディスクと、その回転ディスクを回転自在に支持する台座とからなり、回転ディスク側の台座面の円周上に、エンジンの排出ガスを導入する排出ガス取込部が形成されると共に排出ガス取込部と対向した円周上に希釈用の清浄空気を導入する排出ガス希釈部が形成され、回転ディスクの台座面側に、排出ガス取込部と排出ガス希釈部に臨んだ凹みが形成され、回転ディスクの回転で、前記排出ガス取込部に導入された排出ガスの一部を凹み内に採取し、これを前記排出ガス希釈部に移送し、その排出ガス希釈部から排出ガスを清浄空気と共に希釈排出ガスとして測定系に供給する排出ガス希釈装置において、
前記台座と回転ディスク間で、かつ排出ガス取込部と排出ガス希釈部の外周側に、シール用の清浄空気流路を形成したことを特徴とする排出ガス希釈装置。
【請求項2】
回転ディスクと、その回転ディスクを回転自在に支持する台座とからなり、回転ディスク側の台座面の円周上に、エンジンの排出ガスを導入する排出ガス取込部が形成されると共に排出ガス取込部と対向した円周上に希釈用の清浄空気を導入する排出ガス希釈部が形成され、回転ディスクの台座面側に、排出ガス取込部と排出ガス希釈部に臨んだ凹みが形成され、回転ディスクの回転で、前記排出ガス取込部に導入された排出ガスの一部を凹み内に採取し、これを前記排出ガス希釈部に移送し、その排出ガス希釈部から排出ガスを清浄空気と共に希釈排出ガスとして測定系に供給する排出ガス希釈装置において、
前記台座に、回転ディスクの外周を覆う清浄空気チャンバーを設けたことを特徴とする排出ガス希釈装置。
【請求項3】
回転ディスクと、その回転ディスクの上下を挟み込むと共に回転ディスクを回転自在に支持する一対の台座とからなり、回転ディスクと接する上下の台座面の円周上に、回転ディスクを隔てて排出ガス導入部と排出ガス放出部が向かい合うように形成されると共に、排出ガス導入部と排出ガス放出部の各円周上で対向する清浄空気導入部と希釈排出ガス放出部が形成され、回転ディスクに、排出ガス導入部と排出ガス放出部及び清浄空気導入部と希釈排出ガス放出部を連通する貫通孔が形成され、回転ディスクの回転で、排出ガス導入部と排出ガス放出部を連通した貫通孔内に排出ガスを採取すると共に、これを清浄空気導入部と希釈排出ガス放出部に移送し、貫通孔内の排出ガスを清浄空気導入部から清浄空気と共に希釈排出ガスとして希釈排出ガス放出部を介して測定系に供給する排出ガス希釈装置において、
前記上下の台座と回転ディスク間に、排出ガス導入・放出部又は清浄空気導入・放出部が形成された円周より外周側に位置してシール用の清浄空気流路を形成したことを特徴とする排出ガス希釈装置。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図3】
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