説明

排出システム

【課題】廃液として処理される残留液体の量を抑制しながら配管内の残留液体を排出する排出システムを提供することを課題とする。
【解決手段】配管9内の残留液体を配管9内から排出する排出システム1であって、氷と水との混合物である氷水スラリが循環する循環経路10と、循環経路10内の氷水スラリを循環させる循環ポンプ12と、循環経路10に設けられる氷水スラリ濃縮器11であって、循環経路10内を循環する氷水スラリに含まれる水をフィルタで抽出し、抽出した水を循環経路10の系外へ出すことで循環経路10内の氷水スラリを濃縮する氷水スラリ濃縮器11と、氷水スラリ濃縮器11が濃縮した循環経路10内の氷水スラリを配管9内へ送る送り経路14と、液体を配管9内へ送ることで、氷水スラリ濃縮器11によって濃縮された氷水スラリを圧送して残留液体を排出する排出手段16と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配管内の残留液体を排出する排出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
飲料製品等の液体を流す配管は、定期的に洗浄が実施される。例えば、特許文献1には、計量した氷片を圧縮空気で配管内へ噴射し、管内を洗浄する技術が開示されている。また、特許文献2には、シャーベット状物またはゲル状物の塊をライン配管内に入れ、これを水圧や空気圧等で圧送することにより、配管内の残液を押し出す技術が開示されている。また、特許文献3には、飲料供給装置の管路をスポンジ玉で洗浄するものであって、スポンジ球が通過できない器具を管路から遮断して別回路を構成し、スポンジ玉を終端まで流通させるようにする技術が開示されている。また、特許文献4には、飲料容器の洗浄水を浄化する技術が開示されている。また、特許文献5には、ビール等を供給する飲料供給装置の飲料供給管を水道水で自動的に洗浄する技術が開示されている。また、特許文献6には、ビールサーバを洗浄するものであって、薬液による洗浄と水道水による洗浄とを自動的に繰り返す技術が開示されている。
【特許文献1】特許第2833835号公報
【特許文献2】特開2002−307032号公報
【特許文献3】特開2005−329981号公報
【特許文献4】特開2005−319404号公報
【特許文献5】特開2005−212838号公報
【特許文献6】特開平8−183598号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
飲料製品等の残留液体が配管に残った状態で配管を洗浄する場合、残留液体が洗浄液と混合してしまう。よって、例えば、鳥居状の配管のようにドレン抜きを行っても液体が多量に残留してしまうような配管を洗浄する場合、多量の残留液体が廃液として処理されてしまう。ここで、シャーベット状物を蓄氷槽等に貯蔵する場合、蓄氷槽に貯蔵された流動が停止しているシャーベット状物の氷の結晶が凝結して氷層を形成し、水と分離して上部に浮遊する。そのため、これを生産配管ラインに送る際には氷層を粉砕する必要があり、蓄氷槽のシャーベット状物をポンプで汲み上げても均一なシャーベット状物を送ることが難しい。これは、ポンプによる送りのみならず、ホッパ等からの送りに際しても同様である。また、生産配管ラインが長大である場合や流路に弁類等が多数設置されている場合、ラインの流動抵抗が大きいため、シャーベット状物の自重に頼ったホッパによる送りは困難である。また、飲料製品等を凍らせたシャーベット状物を使う場合は飲料製品の生産開始等に際してラインの加熱による凍結した飲料製品の事前解凍が必要であるため実用的でなく、特に、飲料製品の解凍は品質の低下を招く虞がある。
【0004】
本発明は、係る問題に鑑みなされたものであり、廃液として処理される残留液体の量を抑制しながら配管内の残留液体を排出する排出システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題を解決するため、流動性を保ちながら濃縮した氷水スラリを配管内へ送り、残留液体を排出する。
【0006】
詳細には、配管内の残留液体を該配管内から排出する排出システムであって、氷と水との混合物である氷水スラリが循環する循環経路と、前記循環経路内の前記氷水スラリを循
環させる循環ポンプと、前記循環経路に設けられる氷水スラリ濃縮器であって、該循環経路内を循環する前記氷水スラリに含まれる水をフィルタで抽出し、抽出した水を該循環経路の系外へ出すことで該循環経路内の該氷水スラリを濃縮する氷水スラリ濃縮器と、前記氷水スラリ濃縮器が濃縮した前記循環経路内の前記氷水スラリを前記配管内へ送る送り経路と、液体を前記配管内へ送ることで、前記氷水スラリ濃縮器によって濃縮された氷水スラリを圧送して前記残留液体を排出する排出手段と、を備える。
【0007】
上記排出システムは、如何なる残留液体に対しても適用可能であり、残留液体の性状等は問わない。この排出システムは、配管内に新たに送る液体と残留液体とが多量に混合してしまうのを防止するため、新たな液体を配管内に送る前に氷水スラリを配管内に送る。氷水スラリを残留液体と新たに送る液体との間に挟むようにすることにより、プラグ効果で両液体の混合が制限される。この氷水スラリは、氷と水との混合物であり、例えば、過冷却方式の製氷機等により製造される。
【0008】
ところで、氷水スラリは、氷と水との混合物であるため、製氷機等の性能如何で氷と水との混合割合が多種多様なものが存在し得る。残留液体と新たに送る液体との間に挟んでプラグ効果を作用させるためには、少なくとも、残留液体および新たに送る液体よりも流動性の低い氷水スラリが必要である。流動性が高いと氷水スラリが残留液体や新たに送る液体と混合してしまい、プラグとしての氷水スラリが消失してしまうからである。ここで、氷水スラリの流動性は氷水スラリに含まれる含水量に大きく依存するため、配管内に送る氷水スラリは氷と水との混合割合が調整されたものが望ましく、プラグ効果を発揮させる観点から、水が少なくて氷が多い濃縮された氷水スラリが特に好ましい。そこで、上記排出システムは、氷水スラリを濃縮するための氷水スラリ濃縮器を備えている。氷水スラリ濃縮器は、氷水スラリを構成する氷が固体であり、水が液体であることに着目し、適切なろ過径を有するフィルタで氷水スラリ中に含まれる水を分離し、氷水スラリを濃縮する。
【0009】
ここで、濃縮した氷水スラリの濃度分布を均質化し、且つ、流動性の低い氷水スラリをプラグとして配管内に送ることが可能なようにするため、上記排出システムは、氷水スラリを循環させる循環経路と循環ポンプとを備えている。氷水スラリを蓄氷槽等に貯めて流動を停止すると氷同士が氷結し、氷水スラリの濃度の均質性が損なわれるためである。氷水スラリを循環経路で循環させることにより濃度が均質化され、流動性の低い氷水スラリの配管内への送ることが容易になる。
【0010】
このように構成される排出システムで配管内に濃縮した氷水スラリを送り、送った氷水スラリを液体で圧送することにより、残留液体が新たに送った液体とほとんど混合することなく排出される。よって、廃液として処理される残留液体の量を抑制しながら配管内の残留液体を排出することが可能となる。
【0011】
また、前記送り経路を流れる氷水スラリの流れを制御する制御弁を更に備え、該制御弁の開閉により前記配管内を区画する所定量の氷水スラリを該配管内へ送るようにしてもよい。これによれば、制御弁の開閉操作により配管内へ送る氷水スラリの量を制御することが可能である。ここで、所定量の氷水スラリとは、送り経路を介して循環経路内から配管内へ送られる氷水スラリの量であり、配管内の内径断面を満たす程度の量である。配管内を区画するとは、配管内の流路が氷水スラリで遮断されている状態であり、配管内の長手方向全て渡って氷水スラリが詰まっている必要はない。すなわち、氷水スラリによって配管の内径断面が満たされることで管内が区画化されており、残留液体と新たな液体とが混合しないようになっている状態である。
【0012】
また、前記排出システムは、前記配管内の残留液体を該配管の下流側へ排出するシステ
ムであり、前記送り経路は、氷水スラリを、前記配管内であって前記残留液体の上流側へ送り、前記排出手段は、液体を、前記配管内であって該配管内に送られた氷水スラリの上流側へ送ることで、該氷水スラリを圧送して該配管内の前記残留液体を排出するようにしてもよい。これによれば、配管に既定されている流路方向等に沿って残留液体や氷水スラリ等が流れるため、配管の途中に設けられた弁やセンサ類の損傷を防ぐことが出来る。
【0013】
また、前記配管は、排出対象である前記残留液体の下流側に設けられる切替弁であって、該配管の下流側の流路を該残留液体の排出経路側と回収経路側とに切り替える切替弁を有し、前記切替弁は、前記排出手段によって排出される前記残留液体が回収対象の液体の場合は、該排出手段が該残留液体を前記配管から排出している間、該配管の下流側の流路を前記回収経路側にし、前記排出手段によって排出される前記残留液体が排出対象の液体の場合は、該排出手段が該残留液体を前記配管から排出している間、該配管の下流側の流路を前記排出経路側にするようにしてもよい。これによれば、配管内の残留液体を、その目的に応じて回収したり排出処理したりすることが可能である。
【0014】
また、前記切替弁は、前記排出手段による前記残留液体の前記配管からの排出が完了すると、前記配管の下流側の流路を反対側に切り替えるようにしてもよい。これによれば、配管内の残留液体と、排出手段が送る液体とを分け、排出経路側あるいは回収経路側に仕分けすることが可能である。ここで、前記配管は、前記切替弁の上流側における該配管内の液体の種類の変化を検知する検知手段を有し、前記切替弁は、前記検知手段によって液体の種類の変化を検知すると、前記配管の下流側の流路を反対側に切り替えるようにしてもよい。これによれば、液体の性状に応じて流路が自動的に切り替わるため、残留液体あるいは排出手段が送った液体を誤って異なる経路に流す虞が無い。
【0015】
ここで、上記排出システムは、過冷却方式で氷水スラリを製造する製氷機と、前記製氷機が製造した氷水スラリを前記循環経路内へ供給する供給経路と、を更に備え、前記氷水スラリ濃縮器は、前記製氷機が製造した氷水スラリの氷結晶よりも小さいろ過径のフィルタで、前記循環経路内の該氷水スラリを濃縮するようにしてもよい。特に、前記氷水スラリ濃縮器は、略100μmのろ過径のフィルタで前記循環経路内の氷水スラリを濃縮するようにしてもよい。過冷却方式で製造される氷水スラリは、過冷却解除器によって過冷却状態を解除することで製造されるものであるため、氷の結晶は細かいがその大きさ等の性状は略均一であり、略100μmよりもやや大きい。そこで、このような氷水スラリの氷結晶よりも小さいろ過径のフィルタで氷と水とを分離することにより、循環経路内の氷水スラリを濃縮することが可能となる。
【発明の効果】
【0016】
廃液として処理される残留液体の量を抑制しながら配管内の残留液体を排出する排出システムを提供することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態を例示的に説明する。以下に示す実施形態は例示であり、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0018】
<システムの概要>
ビール、ミルク、コーヒー、ジュースなどの飲料製品の一般的な生産配管ラインは、1日に1回程度の洗浄が実施される。図1は、係る洗浄作業の概要を示した図である。洗浄開始工程では、生産配管ラインの飲料製品を清水で押し流し、飲料製品を回収する(工程1)。すなわち、図1(A)に示すように、まず、生産配管ラインの飲料製品を清水で押し流して回収し、管内を清水に置換する。この回収作業では、清水との界面部分にある、清水と混合した飲料製品の一部が大量に排出される。清水に置換後は、生産配管ラインを
洗浄する(工程2)。すなわち、生産配管ラインの取り扱う製品の品質に応じて、温水殺菌やアルカリ剤洗浄など、いくつかの方法で行う。洗浄終了後は管内を清水に置換する。洗浄終了後は、生産配管ラインの清水を飲料製品に置換する(工程3)。すなわち、生産配管ラインの清水を飲料製品で押し流し、飲料製品に置換完了後、生産配管ラインの使用を再開する(図1(B))。ここで、この置換作業の完了判断は、飲料製品で生産配管内の清水を押し流し、生産配管の下流末端に設置された濃度計が飲料製品の濃度に達するまで飲料製品を流すことで行っているため、飲料製品が大量に排出されてしまう。
【0019】
なお、配管内の流体を置換するにあたり、配管内に残留した飲料等を抜き取った後、清水を送りこんだりする場合、配管に鳥居状になっている部分等が存在すると排水弁を開いても管内に液が残留したり、或いは管内に大気が入ってエア溜まりが形成されたりしてしまう。
【0020】
本実施形態に係る排出システム1は、このような配管内の流体の置換に際して用いられるものであり、後述のシャーベットPIGを用いて配管内の流体を置換する。図2は、本排出システム1の処理の概要を説明する図である。図2に示すように、本排出システム1は、配管内にある飲料製品や清水の置換にあたり、飲料製品と清水との境界部分にシャーベットPIGを挿入することで、飲料製品と清水とが混合してしまうのを防ぐ。
【0021】
<システム構成>
図3は、本実施形態に係る排出システム1の全体構成図である。図3に示すように、排出システム1は、製氷機2、及び氷水スラリ循環濃縮ループ3で構成される。
【0022】
製氷機2は、過冷却水方式の製氷機であり、清水を貯める貯水槽4、清水を過冷却状態にする過冷却器5、貯水槽4に貯められた清水を汲み上げて過冷却器5へ送る送水ポンプ6、過冷却器5から送られた清水の過冷却状態を解除する過冷却解除器7、及び過冷却器5に冷熱を供給する冷凍装置8で構成される。冷凍装置8が、貯水槽4から送水ポンプ6を介して過冷却器5へ送られた清水を冷やし、マイナス2℃程度の過冷却水にする。なお、貯水槽4と過冷却器5との間には図示しない氷核除去器が設けられており、清水が氷点以下に冷却されても氷結しないようになっている。過冷却器5で過冷却状態にされた清水は送水ポンプ6の圧力で過冷却解除器7まで送られ、過冷却状態が解除される。過冷却状態が解除された清水は、低IPF濃度(2.5%程度:IPFは氷水スラリ全体に対する氷の重量割合であり、Ice Packing Factorの略)の氷水スラリとなり、氷水スラリ循環濃縮ループ3へ供給される。過冷却解除器7により、100μm程度の針状結晶の氷水スラリが製造される。なお、過冷却解除器7は、例えば、特開2003−106716号公報に開示されているような、過冷却水が流れる配管に0℃以上の液膜を形成することにより氷結が上流側に伝播するのを防止する伝播防止器を備えることで、過冷却の解除による氷結が上流に伝播しないように構成されており、上流側の配管が凍結するのを防いでいる。
【0023】
氷水スラリ循環濃縮ループ3は、製氷機2から供給される低IPF濃度の氷水スラリを所要のIPF濃度まで高め、洗浄対象の飲料製品生産配管ラインに入れるものであり、ループ状配管10、氷水スラリ濃縮器11、及びシャーベットPIG流動用ポンプ12で構成される。氷水スラリ循環濃縮ループ3は、製氷機2から供給された低IPF濃度の氷水スラリを、シャーベットPIG流動用ポンプ12によりループ状配管10内で循環させる。ループ状配管10には氷水スラリ濃縮器11が設けられているため、ループ状配管10内を循環する低IPF濃度の氷水スラリが氷水スラリ濃縮器11を通過することで氷水スラリが濃縮される。なお、所定IPF濃度への濃縮が完了し、生産配管ライン9に供給可能となった氷水スラリを、本願では、以下、シャーベットPIGという。氷水スラリ循環濃縮ループ3により、製氷機2で製造された氷水スラリの流動を停止させることなく、氷水スラリ濃縮器11で徐々に濃度を増加させているので、流動性および均質性が極めて高
く、高IPF濃度のシャーベットPIGを製造することが可能である。なお、氷水スラリの循環濃縮は、流速0.5〜1.5m/sになるようにポンプの流速が設定されている。また、ループ状配管10のシャーベットPIG流動用ポンプ12の出口付近の下流側にはループ状配管10内を閉鎖可能な切替弁13が設けられており、また、シャーベットPIG流動用ポンプ12と切替弁13との間にはループ状配管10と洗浄対象の生産配管ライン9とを繋ぐ分岐配管14が設けられている。分岐配管14にも管内を閉鎖可能な挿入弁15が設けられており、切替弁13と挿入弁15とを操作することでループ状配管10内を循環する氷水スラリの流れを切り替えることが可能なように構成されている。なお、氷水スラリ循環濃縮ループ3は、氷水スラリ濃縮器11が氷水スラリから抜き取った水を排水する排水系統や、氷水スラリのIPF濃度に応じてループ状配管10内に清水を適宜供給するための給水系統が設けられている。また、切替弁13や挿入弁15は高速で開閉動作が可能なエア駆動弁で構成されている。
【0024】
洗浄対象となる生産配管ライン9について補足説明する。生産配管ライン9は、各種の飲料製品を製造するための配管であり、上述した挿入弁15を介してループ状配管10と接続されている。また、この接続部分には生産配管ライン9に清水を流すための給水系統が洗浄弁16を介して接続されている。なお、挿入弁15と洗浄弁16と生産配管ライン9の上流側にある図示しない弁は、1つの三方弁で代用可能である。生産配管ライン9の下流側は、図示しない飲料製品のパッケージング装置等と接続されており、これらの装置へ飲料製品を供給するための回収弁17が設けられている。なお、この回収弁17の入口部分には洗浄水を排出等するための排水系統が排出弁18を介して接続されている。また、この排水系統が接続されている生産配管ライン9の部分には濃度計19が設けられており、管内を流れる飲料製品の濃度を測定できるように構成されている。濃度計19は、例えば管内を流れる液の導電率を測定するものであり、導電率を測定することで濃度を検知する。なお、濃度計19は、対象となる飲料製品の種類等によって適宜選択されるものであり、導電率計の他、糖度計や成分濃度計等を適用してもよい。このような生産配管ライン9は、多数設けられているものとし、それぞれに設けられた挿入弁15によって各生産配管ライン9を洗浄可能なように構成されているものとする。このような生産配管ライン9の洗浄に際して必要となるシャーベットPIGの量は、洗浄対象の生産配管ライン9の管径や長さ、生産配管ライン9にある弁類などの形状や数量等によって変わる。よって、氷水スラリ循環濃縮ループ3の管径や長さは、必要なシャーベットPIGの量に合わせて設計する。
【0025】
なお、上記排出システム1の詳細な仕様については以下の表に示す。
【表1】

【0026】
<処理フロー>
次に、排出システム1の処理フローについて説明する。本排出システム1の処理フローは、大まかに、シャーベットPIGを製造する工程と、製造したシャーベットPIGを生産配管ライン9に入れる工程とに大別される。図4は、本排出システム1の処理フロー図である。以下、図4のフロー図に基づいて本排出システム1の処理フローを説明する。なお、説明の便宜上、以下の処理フローでは、生産配管ライン9に残留した清水を飲料製品に置換する場合を例に説明する。
【0027】
(ステップS101)まず、製氷機2で氷水スラリを製造する。すなわち、冷凍装置8を起動して過冷却器5に冷熱を供給し、送水ポンプ6を起動して貯水槽4に蓄えられた清水を過冷却器5に通水する。なお、このとき、シャーベットPIG流動用ポンプ12は起動しておく。送水ポンプ6によって汲み上げられ、過冷却器5を通って過冷却状態になった清水は過冷却解除器7によって低IPF濃度の氷水スラリとなり、氷水スラリ循環濃縮ループ3内へ供給される。
【0028】
(ステップS102)次に、氷水スラリ循環濃縮ループ3で氷水スラリを濃縮する。すなわち、製氷機2によって十分な量の氷水スラリを氷水スラリ循環濃縮ループ3内へ供給しながら、ループ状配管10で氷水スラリを循環させる。これにより、氷水スラリ濃縮器11で氷水スラリ中の水が抜き取られ、IPF濃度が10〜50%程度のシャーベットPIGが製造される。氷水スラリの濃縮は、水(IPF=0%)を抜きながら、同量の氷水スラリ(IPF=2.5%)を供給し、ループ状配管10内の氷水の総量が変化しないようにしながら行う。なお、シャーベットPIGのIPF濃度の調整は、氷水スラリの循環時間によって適宜調整する。すなわち、IPF濃度は氷水スラリの循環時間に比例するため、高IPF濃度のシャーベットPIGを製造したい場合は氷水スラリを長時間循環させる。
【0029】
(ステップS103)次に、シャーベットPIGを挿入する。このとき、生産配管ライン9は、管内の洗浄が完了して清水が充填された状態であり、流動が停止している。シャーベットPIGを挿入するには、挿入弁15と排出弁18を開き、切替弁13を閉じる。シャーベットPIGはIPF濃度が高いのでこの流動性を維持するため、弁操作中、シャーベットPIG流動用ポンプ12は運転状態のままにしておき、これらの弁の切り替え操作を速やかに行う。これにより、ループ状配管10内のシャーベットPIGが分岐配管14を介して生産配管ライン9内に挿入される。このとき挿入されるシャーベットPIGの量は、生産配管ライン9の内径断面を満たす程度の量であり、飲料製品と清水とが混合しない量である。すなわち、生産配管ライン9がシャーベットPIGによって区画される程度の量である。なお、シャーベットPIGをループ状配管10から生産配管ライン9に挿入すると、ループ状配管10内は空になるため、挿入と同時に給水系統の弁を開けて清水を供給する。このときループ状配管10内に供給される清水は、10℃以下の低温に温度調整されていることが望ましく、本発明の適用に好適な食品工場ではこのような冷水が他工程等のために予め用意されていることが多く、本実施形態では5℃の清水を適用している。なお、生産配管ライン9の上流側(挿入弁15や洗浄弁16の接続部分の上流側)には、図示しない飲料製品の通液を停止する弁が設けられており、この弁が閉じられていることでシャーベットPIGの背後の液体の混合が防止されている。
【0030】
(ステップS104)次に、生産配管ライン9内の液を押し出す。すなわち、生産配管ライン9とループ状配管10とを繋ぐ分岐配管14に設けられた挿入弁15を閉じた後、飲料製品を生産配管ライン9に流し始める。これにより、生産配管ライン9内に残留する清水が排出弁18を介して系外へ排出される。なお、挿入弁15を閉じてから飲料製品を流し始めるまでの一連の操作も速やかに行う。飲料製品の流動は、生産配管ライン9に挿入されたシャーベットPIGによる飲料製品と清水との混合を防ぐため、流速0.5〜1
.5m/sの範囲で行う。なお、上述した図2(B)の工程が本ステップに相当する。
【0031】
(ステップS105)次に、濃度をチェックする。すなわち、ステップS104の処理によって飲料製品の生産配管ライン9への供給を開始したら、濃度計19を監視して排出弁18付近の飲料製品の濃度を監視する。濃度計19が示す値が飲料製品の濃度に達したら、生産配管ライン9内の清水の排出が完了して管内が飲料製品に置き換わったと判断し、飲料製品の流動を停止して排出弁18を閉める。これにより、生産配管ライン9の清水から飲料製品への置換が完了する。
【0032】
なお、上記ステップS101からステップS105の処理を飲料製品から清水への置換に適用する際は次のようにする。飲料製品から清水への置換は、1日のサイクルのうち、飲料製品の生産開始や容器等への充填工程の開始の時点、或いは別種の飲料製品を生産配管ライン9に流す切替時(別種への飲料製品の切替の場合は一日のサイクルとは異なるときがある)等に行う。まず、上記ステップS103において、排出弁18を開くのではなく、回収弁17を開く。詳細には、上記ステップS103において、挿入弁15、回収弁17、及びループ状配管10の給水弁を開き、切替弁13を閉じる。これにより、シャーベットPIGが生産配管ライン9に挿入され、ループ状配管10は給水系統から供給される清水に置換される。また、ステップS104の処理においては、挿入弁15を閉じた後に洗浄弁16を開いて清水で生産配管ライン9内のシャーベットPIGと飲料製品を押し流し、回収弁17の下流側で飲料製品を回収する。これにより、生産配管ライン9内に残留していた飲料製品が可能な限り回収される。また、ステップS105において濃度計19の値が飲料製品の規定値からシャーベットPIGの値になったら排出弁18を閉めるのではなく、回収弁17を閉めて排出弁18を開く。そして、濃度計19の値が清水の値になったら排出弁18を閉じて一連の工程を完了する。複数ある各生産配管ライン9の洗浄は、ステップS103からステップS105の処理をタイマー等によりスケジューリングし、挿入弁15を自動的に切り替える等することにより順次洗浄するようにしても良い。また、上記一連の処理フローは、制御装置が出力する電気的な信号に基づいて弁等がシーケンシャルに動作し、実行されるようにしてもよい。複数ある生産配管ライン9の洗浄を逐次行う場合は、上記ステップS101及びステップS102の処理を実行した後、ステップS103からステップS105までの処理を繰り返し実行するようにしてもよいが、洗浄する生産配管ライン配管ライン9の切替に際してその都度ステップS101からステップS105までの処理を実行するようにしてもよい。これは、本実施形態が空調用の蓄熱等と異なり、少量の氷水スラリを製造するだけなので氷水スラリの製造が例えば5〜30分といった短時間で済むためである。
【0033】
<効果>
上記排出システム1の適用により、生産配管ライン9内の液を切り替える際の飲料製品の無用な排出が削減される。図5は、上述したステップS105における清水から飲料製品への置換時の、飲料製品とシャーベットPIGの混合量と濃度計計測値の変化割合との関係を、IPF濃度の異なるシャーベットPIG毎に示したグラフであり、図6は、グラフの補足説明図である。図5のグラフの横軸が図6の横方向の長さに相当する。すなわち、図6の符号Aで示す部分が図5のグラフの横軸の0mに相当し、図6の符号Bで示す部分が、濃度計計測値が略100%となる横軸の位置(すなわち、IPF50.9%のシャーベットPIGの場合であれば略3.2m)に相当する。シャーベットPIGによるプラグ効果(すなわち、清水と飲料製品とを分離する効果)が高ければ高いほど、飲料製品とシャーベットPIGとの混合物の量が少なくなるため、図5のグラフにおいて変化が急激になればなるほど、プラグ効果が高いと言える。図5のグラフが示すように、氷水スラリ循環濃縮ループ3でIPF濃度を高めたシャーベットPIGを使って生産配管ライン9内の液を清水から飲料製品へ置換すると、水で押し流す従来方法に比べ、飲料製品とシャーベットPIGとの混合物の生成量が極めて少なくなることが判る。このような混合物の生
成量が少なくなることは無用な廃液の発生を抑えて飲料製品を有効に活用可能であることを意味する。図7は、排出量の削減効果とシャーベットPIGのIPF濃度との関係を示したグラフである。排出量の削減効果は、水で押し流したときの排出量との関係で示している。図7に示すように、約50%のIPF濃度のシャーベットPIGを用いた場合、水で押し流した場合に比べて約44%の排出量削減効果がある。なお、図8は、生産配管ライン9内を飲料製品から水へ置換した時の、排出量削減効果とシャーベットPIGのIPF濃度との関係を示したグラフである。生産配管ライン9内の飲料製品を清水へ置換する際は、その逆の場合に比べて排出弁18から排出される飲料製品の量が多いため、削減効果が若干劣る。しかしながら、図8に示すように、略50%のシャーベットPIGを用いれば、水で押し流して洗浄する場合に比べて約20%の削減効果がある。なお、本排出システム1の適用による付帯的な効果として、飲料製品を取り扱う配管の規定温度が0℃近傍の低温の場合、清水から飲料製品に置換する前に予め冷却しておく必要があるが、約0℃のシャーベットPIGを配管内に通過させて置換を行うことにより、配管の冷却を合わせて行うことが可能である。
【0034】
<氷水スラリ濃縮器の補足説明>
上記排出システム1に適用している氷水スラリ濃縮器11について補足説明する。氷水スラリのIPF濃度は、氷水スラリを冷熱の高密度輸送媒体等に利用する際の氷水スラリの輸送冷熱量に大きく影響を与える。よって、氷水スラリの輸送冷熱量を調整するためには氷水スラリのIPF濃度を調整する必要がある。また、上述の実施形態のように、ミルク、コーヒー、ジュースといった高粘性の液状食品の処理ラインにおいて配管内の残液を押し流すために氷水スラリをPIGとして利用する場合に、残液を押し流す効果を確実にするためにそのIPF濃度を調整する必要がある。
【0035】
ここで、IPF濃度を調整するものとして従来から用いられている技術について説明する。IPF濃度を調整する従来式のIPF調整器には、パンチングメタル製の円筒状フィルタが多く採用されており、このフィルタが氷で目詰まりすることを防止するために構造、材料、運転条件等に関する技術が鋭意研究されている。ここで、構造や材料に起因するフィルタの目詰まりを防止するため、円筒状フィルタの外面へ螺旋状のフィンを取り付け、フィルタの表面にチタン層を形成し、更にエゼクタを取り付けるものや、フィルタの加熱、或いは氷水スラリ流入口から流出口へ向かって徐々に径が減少するようにフィルタをテーパ状に形成することが考案された。また、運転条件に起因するフィルタの目詰まりを防止するため、フィルタ内径側の流速や氷水スラリ流出口の流速を所定の条件にすることが考案された。なお、このようなパンチングメタルのフィルタについては、孔径が0.5mm以下あるいは1.0mm以下であり、ピッチが約1mm程度のものが採用されている。
【0036】
パンチングメタルのフィルタを使ってIPF濃度を調整する場合、フィルタの目詰まりを防止するために考案された上述の様々な対策を施しても、フィルタが目詰まりを起こして最終的に濃縮不能になる事態を避けることが困難である。図9は、パンチング板製フィルタの氷水スラリ濃縮器111の構成図である。また、以下に示す表は、氷水スラリ濃縮器111の仕様を示すものである。
【表2】

図9に示すように、氷水スラリ濃縮器111は、円筒状フィルタ112、外管113、及び水抜管114を備えている。図9及び表2に示すように、外管113の内径は円筒状フィルタ112の外径よりも大きく、外管113の内部に円筒状フィルタ112を収容可能なようになっている。外管113は、円筒状フィルタ112を収容した状態で管の両端部が閉鎖されている。円筒状フィルタ112は、パンチングメタルのフィルタであり、直径1mmの水抜孔が2〜2.5mmの間隔で多数設けられている。また、円筒状フィルタ112は、筒内に氷水スラリを流すため、筒の両端に氷水スラリ流入口115、及び氷水スラリ流出口116が設けられている。外管113の周面には、互いの管軸が直交するように水抜管114が接続されており、外管113と円筒状フィルタ112との間に溜まった水が水抜管114を経て水抜口117から排出可能なように構成されている。
【0037】
このような氷水スラリ濃縮器111を使って行った氷水スラリの濃縮処理の実験結果について説明する。上記氷水スラリ濃縮器111を使って氷水スラリの濃縮処理を行い、パンチングメタルの円筒状フィルタ112が目詰まりしていく様子を観察した結果、次のような事が確認された。図10A〜Cは、パンチングメタルフィルタである円筒状フィルタ112が目詰まりしていく様子を示す模式図である。氷水スラリの濃縮処理を開始すると、図10Aにおいて示すように、殆どの微細な氷は氷水スラリ流入口115から氷水スラリ流出口116へ向かう主流と共に流れるが、一部の微細な氷が穴に流入し、穴を通過する途中で引っ掛かる。穴の途中で引っ掛かった氷の後方から微細な氷が引き続き流入することで多くの微細な氷によって圧密された円柱状の氷塊が形成される。このような現象は、氷水スラリ流入口115に比較的近い、多くの穴で観察された。
【0038】
その後、円筒状フィルタ112の内圧が高まることにより、氷塊が崩壊して穴が開口する場合と、図10Bに示すように、円柱状の氷塊が更に圧密される場合の2種類の現象が観察された。図10Bに示すように、十分に圧密された円柱状の氷塊は、円筒状フィルタ112の内圧が高まることにより外側に移動・変形する。そして、フィルタ外側の水流の影響や浮遊する氷、更には隣接する穴で形成された円柱状の氷塊等の影響により、フィルタ外面に、図10Cに示すような微細な氷の堆積層を形成する。この堆積層も、穴の中の氷塊と同様に崩壊する場合もあるが、そのまま成長を続ける場合も観察された。このような氷層の成長の結果、抜取り水の流量が低下し、最終的には抜取り水の流量がゼロになって濃縮不能となった。
【0039】
このような観察結果から、本願発明の発明者は鋭意検討を重ねた結果、氷水スラリの濃縮の際にフィルタを目詰まりさせないため、以下のような設計思想を見出すに至った。すなわち、氷水スラリ濃縮器の設計に際しては、第一の要件として「微細な氷が穴に流入し
ないような穴径(ろ過径)を定める」ことにした。ここでは、過冷却水方式で製造された氷水スラリを対象とすることを前提としていることから、ろ過径を100μmとすることにした。過冷却方式で氷水スラリを製造する場合、マイナス2℃程度の過冷却水の過冷却状態を解除することで生成される針状結晶の大きさは100μmよりも大きいためである。なお、この針状結晶は、表面張力などにより形状を変えて粒径も変化するため、ろ過径が100μmの穴に必ず流入しないとは言いがたい。そこで、万が一、極微細な氷が流入しても穴で引っ掛かり、圧密された氷塊が穴の中に形成されないようにするため、第二の要件として図11に示すように「ろ過径を規定する部分の厚さは極薄」にすることにした。なお、当該要件を満たすためには、別途、フィルタの耐圧性能を維持できるような構造が必要となる。
【0040】
以上のような設計思想を満足するものとして、図12に示すような多層から成る焼結金属製フィルタを氷水スラリの濃縮に適用することにした。上記実施形態に係る氷水スラリ濃縮器11は、図12に示す焼結金属製フィルタを適用したものであり、具体的には上述した氷水スラリ濃縮器111の円筒状フィルタ112を、図12に示す焼結金属製フィルタに置き換えたものである。よって、氷水スラリ流入口115、及び氷水スラリ流出口116がループ状配管10に接続される。図13は、当該焼結金属製フィルタの断面を拡大した図である。図13に示すように、氷水スラリ濃縮器11に用いている焼結金属製フィルタは、5層構造になっており、ろ過層、ろ過層を挟持するように配置される保護層と分配層、及び分配層に隣接して保護層やろ過層、分配層を支持する支持層で構成される。支持層は、目の粗さが異なる2つの層で構成されている。ろ過層は、図11に示すフィルタであり、上述した第一の要件および第二の要件を満たすものである。すなわち、ろ過層は、厚さが0.16mmと極薄であり、100μmのろ過径からなるフィルタである。保護層や分配層、支持層はろ過層よりも目の粗いフィルタであり、基本的にろ過層を支持するために設けられている。焼結金属性フィルタは、これら5層構造のフィルタを焼結したものであり、十分な耐圧性能を有し且つ開口率35%と圧力損失も十分に抑制されている。
【0041】
上記氷水スラリ濃縮器11によれば、抜取り水の中に氷が混入しにくいため、流出してしまう氷を極少にして効率良く濃縮すると同時に、容器内に氷が詰まって抜き取り水の流量が変動することなく、安定した濃縮濃度でIPF濃度を調整できる。
【0042】
<氷水スラリ濃縮器の適用対象の変形例>
なお、上記氷水スラリ濃縮器11の適用対象の変形例について説明する。上述した実施形態においては、氷水スラリ濃縮器11で製造したシャーベットPIGを配管のプラグに用いていたが、この氷水スラリ濃縮器11は以下のような輸送システムに適用してもよい。図14は、本適用例に係る輸送システム201の構成図である。上述した実施形態では、氷水スラリ循環濃縮ループ3で製造された高IPF濃度の氷水スラリ(シャーベットPIG)を生産配管ライン9に挿入していたが、本適用例では、係る氷水スラリをタンク等に収納して蓄氷し、遠方地等へ搬送して冷熱を利用する。すなわち、本適用例は、氷水スラリ循環濃縮ループ3の分岐配管14を生産配管ライン9の代わりに輸送用のタンクに繋いでいる。その他の構成、すなわち、製氷機2や氷水スラリ循環濃縮ループ3については上述した実施形態と同様であるため、その説明を省略する。本適用例によれば、IPF濃度を調整した氷水スラリの生成が可能であるため、氷水スラリによる輸送冷熱量の調整が可能である。なお、本実施形態の氷水スラリ循環濃縮ループ3で製造される氷水スラリは、冷熱源として遠隔の地の需要家等に販売することも可能であり、その場合は製氷設備の稼働率を高めることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】洗浄作業の概要を示した図。
【図2】排出システムの処理概要の説明図。
【図3】排出システムの全体構成図。
【図4】排出システムの処理フロー図。
【図5】清水から飲料製品へ置換する際の混合量および濃度計計測値の変化割合を示したグラフ。
【図6】グラフの補足説明図。
【図7】排出量の削減効果とシャーベットPIGのIPF濃度との関係を示したグラフ。
【図8】飲料製品から水へ置換する際の排出量削減効果とシャーベットPIGのIPF濃度との関係を示したグラフ。
【図9】氷水スラリ濃縮器の構成図。
【図10A】円筒状フィルタが目詰まりしていく様子を示す模式図。
【図10B】円筒状フィルタが目詰まりしていく様子を示す模式図。
【図10C】円筒状フィルタが目詰まりしていく様子を示す模式図。
【図11】ろ過径を規定する部分の厚さを極薄にしたフィルタの断面図。
【図12】焼結金属製フィルタの断面の斜視図。
【図13】焼結金属製フィルタの断面図。
【図14】適用対象の変形例に係る輸送システムの構成図。
【符号の説明】
【0044】
1・・・システム
2・・・製氷機
3・・・氷水スラリ循環濃縮ループ
9・・・生産配管ライン
11,111・・・氷水スラリ濃縮器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配管内の残留液体を該配管内から排出する排出システムであって、
氷と水との混合物である氷水スラリが循環する循環経路と、
前記循環経路内の前記氷水スラリを循環させる循環ポンプと、
前記循環経路に設けられる氷水スラリ濃縮器であって、該循環経路内を循環する前記氷水スラリに含まれる水をフィルタで抽出し、抽出した水を該循環経路の系外へ出すことで該循環経路内の該氷水スラリを濃縮する氷水スラリ濃縮器と、
前記氷水スラリ濃縮器が濃縮した前記循環経路内の前記氷水スラリを前記配管内へ送る送り経路と、
液体を前記配管内へ送ることで、前記氷水スラリ濃縮器によって濃縮された氷水スラリを圧送して前記残留液体を排出する排出手段と、を備える、
排出システム。
【請求項2】
前記送り経路を流れる氷水スラリの流れを制御する制御弁を更に備え、該制御弁の開閉により前記配管内を区画する所定量の氷水スラリを該配管内へ送る、
請求項1に記載の排出システム。
【請求項3】
前記排出システムは、前記配管内の残留液体を該配管の下流側へ排出するシステムであり、
前記送り経路は、氷水スラリを、前記配管内であって前記残留液体の上流側へ送り、
前記排出手段は、液体を、前記配管内であって該配管内に送られた氷水スラリの上流側へ送ることで、該氷水スラリを圧送して該配管内の前記残留液体を排出する、
請求項1または2に記載の排出システム。
【請求項4】
前記配管は、排出対象である前記残留液体の下流側に設けられる切替弁であって、該配管の下流側の流路を該残留液体の排出経路側と回収経路側とに切り替える切替弁を有し、
前記切替弁は、
前記排出手段によって排出される前記残留液体が回収対象の液体の場合は、該排出手段が該残留液体を前記配管から排出している間、該配管の下流側の流路を前記回収経路側にし、
前記排出手段によって排出される前記残留液体が排出対象の液体の場合は、該排出手段が該残留液体を前記配管から排出している間、該配管の下流側の流路を前記排出経路側にする、
請求項1から3の何れか一項に記載の排出システム。
【請求項5】
前記切替弁は、前記排出手段による前記残留液体の前記配管からの排出が完了すると、前記配管の下流側の流路を反対側に切り替える、
請求項4に記載の排出システム。
【請求項6】
前記配管は、前記切替弁の上流側における該配管内の液体の種類の変化を検知する検知手段を有し、
前記切替弁は、前記検知手段によって液体の種類の変化を検知すると、前記配管の下流側の流路を反対側に切り替える、
請求項5に記載の排出システム。
【請求項7】
過冷却方式で氷水スラリを製造する製氷機と、
前記製氷機が製造した氷水スラリを前記循環経路内へ供給する供給経路と、を更に備え、
前記氷水スラリ濃縮器は、前記製氷機が製造した氷水スラリの氷結晶よりも小さいろ過
径のフィルタで、前記循環経路内の該氷水スラリを濃縮する、
請求項1から6の何れか一項に記載の排出システム。
【請求項8】
前記氷水スラリ濃縮器は、略100μmのろ過径のフィルタで前記循環経路内の氷水スラリを濃縮する、
請求項1から7の何れか一項に記載の排出システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−285566(P2009−285566A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−140738(P2008−140738)
【出願日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【出願人】(000169499)高砂熱学工業株式会社 (287)
【Fターム(参考)】