説明

排出装置

【課題】低出力の吸引手段でも排出対象物が詰まり難いようにする。
【解決手段】吸引によって排出自在な多数の排出対象物1が載置される載置部5と、載置部5の上にある排出対象物1を載置部5に形成した吸引口6から下方へ吸引して載置部5より高い位置の排出口8に排出する吸引手段4とを設け、吸引口6から排出口8にわたる吸引流路3の内、高さの最も低い範囲に水平流路3Bを配置してある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸引によって排出自在な多数の排出対象物が載置される載置部と、前記載置部の上にある前記排出対象物を前記載置部に形成した吸引口から下方へ吸引して前記載置部より高い位置の排出口に排出する吸引手段とを設けてある排出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の排出装置としては、例えば、図3に示すような、切削屑(排出対象物の一例)1を飛ばすのに使用できるプロペラ2のデモンストレーション装置Dに組み込んだものがある。
デモンストレーション装置Dは、上下の中間部に、透視可能なプロペラ室D2を設け、そのプロペラ室D2内に、デモンストレーション用の切削屑1を散乱させておき、前記プロペラ2の回転駆動に伴って切削屑1がプロペラ室D2内で飛散する状況を外部から見せ、プロペラ2の吹き飛ばし作用をアピールするデモンストレーション運転を行えるように形成されている。
前記プロペラ室D2の下方の第一機械室D1には、プロペラ2の駆動に伴って飛散する切削屑1を吸引する吸引流路3と吸引手段4とを設けてある。
一方、前記吸引流路3は、第一機械室D1からデモンストレーション装置Dの背面側を迂回して上方に向かい、プロペラ室D2の上方の第二機械室D3の側方を経由して、前記プロペラ室D2に開口する状態に設けられている。
従って、吸引流路3は、前記プロペラ室D2と第一機械室D1との隔壁(載置部の一例)5に形成した吸引口6から、装置本体の背面を経由して、プロペラ室D2と第二機械室D3との隔壁7に形成した排出口8にわたって設けられている。
また、吸引流路3の中間部には、吸引口6から吸引した切削屑1を一時的に堰き止める堰き止め手段9が形成してある。上述のデモンストレーション運転時に、この堰き止め手段9を作動させることで、切削屑1が前記排出口8から再入場するのを一時的に停止し、プロペラ2による吹き飛ばし効果で切削屑1がプロペラ室D2から消えたという状況を再現できる。更には、デモンストレーション運転後に、堰き止め手段9を停止して、堰き止められた切削屑1を吸引流路3に流すことで、次のデモンストレーション運転時に使用する切削屑1を、前記排出口8からプロペラ室D2に排出して、運転準備を簡単に速やかに行える。
因みに、このデモンストレーション装置の例においては、排出装置hは、前記隔壁5と、吸引流路3と吸引手段4とを備えて構成されている。
また、吸引流路3は、図3に示すように、前記隔壁5の表面に突出しない状態に形成された吸引口6から、下方に垂下し、「U」字形状に屈曲させて上方に向かう形状に形成してあった。また、吸引手段4は、前記隔壁5から垂下した吸引流路3の垂下部分に設けてあった。
尚、この様な従来技術に関しては、当業者の間で広く知られているものであるが、該当する排出装置に関して詳しく言及した特許文献などは見あたらないので、先行技術文献は示していない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述した従来の排出装置によれば、例えば、デモンストレーションの終了等によって吸引手段の運転を停止すると、その時、吸引流路内に位置している切削屑は、流路の最も低い個所である「U」字屈曲部に落下して沈積する。
沈積した切削屑は、そのものの重量で締まり易く、運転再会時に流路内の流動抵抗になる危険性がある。
また、切削屑の沈積部分の流路形状が、180度折り返す「U」字屈曲形状であるから、損失抵抗が大きい。
即ち、切削屑が流路内に詰まり易い。
その結果、吸引手段への負荷が大きくなり易く、この悪条件を克服するためには、大出力の吸引手段を使用しなければならなくなり、装置の大型化や、コストアップにつながる問題点がある。
【0004】
従って、本発明の目的は、上記問題点を解消し、低出力の吸引手段でも排出対象物が詰まり難い排出装置を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の特徴構成は、吸引によって排出自在な多数の排出対象物が載置される載置部と、前記載置部の上にある前記排出対象物を前記載置部に形成した吸引口から下方へ吸引して前記載置部より高い位置の排出口に排出する吸引手段とを設け、前記吸引口から前記排出口にわたる吸引流路の内、高さの最も低い範囲に水平流路を配置してあるところにある。
【0006】
本発明の第1の特徴構成によれば、前記吸引口から前記排出口にわたる吸引流路の内、高さの最も低い範囲に水平流路を配置してあるから、吸引手段の運転を停止した時でも、吸引流路内に位置している排出対象物が、従来のようには、「U」字屈曲部の局部に集中して集まることがなくなり、排出対象物を、前記水平流路の長手方向に分散させることが可能となる。
よって、従来のように、排出対象物が締まることで排出対象物と流路内周壁とが強く接当する現象を緩和でき、吸引運転の再会時に、排出対象物と流路周壁との摩擦抵抗を最小限に留めて、排出させ易くなる。
また、流路そのものに、急曲部が無くなれば、流路内を流れる排出対象物の損失抵抗が小さくなり、より排出させ易くなる。
以上の結果、排出対象物が吸引流路に詰まり難くなり、低出力の吸引手段でも、効率よく排出対象物を吸引搬送することが可能となる。それに伴って、装置全体とした小型化を図ったり、コストダウンを図ることができる。
【0007】
本発明の第2の特徴構成は、前記吸引手段は、エジェクタであり、前記水平流路の前記吸引口側に接続されている下り勾配の傾斜流路に、前記エジェクタが介在させてあるところにある。
【0008】
本発明の第2の特徴構成によれば、前記吸引手段が、エジェクタであるから、簡単な構造で且つ小型・軽量化を図ることができるから、吸引装置全体とした小型・軽量化をも図ることができる。
また、前記水平流路の前記吸引口側に接続されている下り勾配の傾斜流路に、前記エジェクタが介在させてあるから、傾斜流路の下り勾配で排出対象物に作用する自然落下力に加えて、吸引手段による搬送力を、最もロスの少ない状態で排出対象物に作用させることができる。
従って、効率よく、排出対象物を搬送できることに加えて、吸引手段の停止時においても、傾斜流路から水平流路にかけて強力に排出対象物を送り込むことで、水平流路での排出対象物の分散を、より広い範囲にわたって分布させることができる。排出対象物が広範囲に分散すれば、運転再会時に、吸引手段に対する負荷を低くでき、吸引手段や装置全体とした小型化や軽量化を更に図ることができる。
【0009】
本発明の第3の特徴構成は、前記吸引口の縁部は、前記載置部の上面より上方に突出させてあるところにある。
【0010】
本発明の第3の特徴構成によれば、載置部上に位置する排出対象物のすべてを吸引口から吸引流路内に吸い込むのではなく、分別することが可能となる。
例えば、多数の排出対象物の内、比較的重いものは、載置部上に沿って位置するから、前記突出部によって堰き止められて、吸引口に吸い込まれ難くなる。その結果、比較的重いものは、載置部上に残しながら、比較的軽いものだけを吸引排出することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。尚、図面において従来例と同一の符号で表示した部分は、同一又は相当の部分を示している。
【0012】
図1、図2は、本発明の排出装置Hの一実施形態品を組み込んだデモンストレーション装置Dを示すものである。
前記デモンストレーション装置Dは、切削屑(排出対象物の一例)1を吹き飛ばすのに使用できるプロペラ2のデモンストレーションを行うもので、プロペラ2による切削屑1の除去効果を見せることができるように構成されている。
【0013】
前記デモンストレーション装置Dは、上下に連設された三つの部屋を備えて構成されており、各部屋は、下から上への順で第一機械室D1、プロペラ室D2、第二機械室D3と言う。
【0014】
前記プロペラ室D2は、外部から内部を透視可能に形成してあり、例えば、透明の合成樹脂板によって外周部が覆われている。
また、内部空間には、前記プロペラ2が設置してあり、装置の外部から、前記プロペラ2が切削屑1を吹き飛ばしている状況を確認できるように構成されている。
因みに、プロペラ2の駆動装置は、前記第二機械室D3に設けられている。
【0015】
前記第一機械室D1には、プロペラ2の駆動に伴ってプロペラ室D2内を飛散する前記切削屑1を吸引する吸引流路3と吸引手段4とが設けてある。
また、前記吸引流路3は、第一機械室D1からデモンストレーション装置Dの背面側を迂回して上方に向かい、前記第二機械室D3の側方を経由して、前記プロペラ室D2に開口する状態に設けられている。
従って、吸引流路3は、前記プロペラ室D2と第一機械室D1との間の隔壁(載置部の一例)5に形成した吸引口6から、第一機械室D1、装置本体の背面、第二機械室D3側方を経由して、プロペラ室D2と第二機械室D3との間の隔壁7に形成した排出口8にわたって設けられている。
また、吸引流路3の中間部には、吸引口6から吸引した切削屑1を一時的に堰き止める堰き止め手段9が形成してある。上述のデモンストレーション運転時に、この堰き止め手段9を作動させることで、吸引口6から吸引流路3に吸い込まれた切削屑1が、前記排出口8からプロペラ室D2に再入場するのを一時的に停止し、プロペラ2による吹き飛ばし効果で切削屑1があたかもプロペラ室D2から消えたという状況を再現できる(図2参照)。
一方、堰き止め手段9の堰き止め作動を解除して、堰き止められた切削屑1を吸引流路3に流すことで、次のデモンストレーション運転時に使用する切削屑1を、前記排出口8からプロペラ室D2に戻すことができ、次のデモンストレーション運転の運転準備を簡単に速やかに行える。
【0016】
次に、吸引流路3について、更に詳しく説明する。
前記吸引口6から第一機械室D1に入った吸引流路3は、図2に示すように、第一機械室D1の底部分に向けてなだらかに下り、第一機械室D1の底面に沿って上面視での円形に配設されている。上述のなだらかに下っている流路部分を、傾斜流路3Aといい、第一機械室D1の底面に沿っている流路部分を水平流路3Bという。
前記傾斜流路3Aの中間部には、前記吸引手段4に相当するエジェクタEが取り付けてあり、外部からのエヤー供給による負圧を利用して吸引流路3の空気の流れを作りだしている。
因みに、前記水平流路3Bは、吸引流路3の全域を通じて最も低い位置にある。
従って、前記エジャクタEの運転を停止した時、吸引流路3内にある切削屑1は、流路内を落下して、前記水平流路3Bに溜まる。その際、傾斜流路3A内の切削屑1は、それまで前記エジェクタEから受けていた搬送力と、流路の勾配との影響で、下流側の水平流路3Bの全域にわたって広く分散する状態に落下し易い。よって、流路詰まりを未然に防止し易い。
また、流路そのものに急曲部が無いので、吸引搬送に伴う流路の損失抵抗が小さくなり、プロペラ室D2からスムースに切削屑1の排出を行うことができる。
【0017】
前記吸引口6の構造について説明する。
図に示すように、前記吸引口6の縁部は、前記隔壁5の上面より上方に突出させてある。
この吸引口6の突出部6aによって、隔壁5上に位置する切削屑1のすべてを吸引口6から吸引流路内に吸い込むのではなく、分別することが可能となる。
即ち、多数の切削屑1の内、比較的重いものは、隔壁5上に沿って位置するから、前記突出部6aによって堰き止められて、吸引口6に吸い込まれ難くなる。その結果、比較的重いものは、隔壁5上に残しながら、比較的軽いものだけを吸引排出することが可能となる。
【0018】
当該実施形態の排出装置Hによれば、切削屑1が吸引流路3に詰まり難くなり、低出力の吸引手段4でも、効率よく切削屑1を吸引搬送することが可能となる。それに伴って、装置全体とした小型化を図ったり、コストダウンを図ることができる。
【0019】
〔別実施形態〕
以下に他の実施の形態を説明する。
【0020】
〈1〉 当該排出装置Hは、先の実施形態で説明したデモンストレーション装置に組み込んで使用するものに限るものではなく、例えば、他の装置に組み込んで使用するものであったり、排出装置として単独で使用するものであってもよい。
〈2〉 前記排出対象物1は、先の実施形態で説明した切削屑に限るものではなく、吸引流路を通して排出可能なものであればよく、それらを含めて排出対象物と総称する。
〈3〉 前記吸引手段4は、先の実施形態で説明したエジェクタEに限るものではなく、例えば、吸引ポンプや吸引ファン等、他の吸引手段であってもよく、それらを総称して吸引手段という。
〈4〉 前記吸引流路3は、先の実施形態で説明した線形や配置に限るものではなく、適宜変更が可能である。また、吸引口6に突出部6aを必ず設けることに限らず、吸引口6の縁部を、前記隔壁5の表面と面一に形成してあってもよい。
また、突出部6aを設ける場合でも、その突出量を、例えば、ネジ機構等の突出量変更手段によって変更できるように構成してもよい。突出量変更手段を設ければ、分別する排出対象物の種類を変更することが可能となる。
【0021】
尚、上述のように、図面との対照を便利にするために符号を記したが、該記入により本発明は添付図面の構成に限定されるものではない。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】デモンストレーション装置を示す斜視図
【図2】デモンストレーション装置を示す斜視図
【図3】従来のデモンストレーション装置を示す斜視図
【符号の説明】
【0023】
1 切削屑(排出対象物の一例)
3 吸引流路
3A 傾斜流路
3B 水平流路
4 吸引手段
5 隔壁(載置部の一例)
6 吸引口
8 排出口
E エジェクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸引によって排出自在な多数の排出対象物が載置される載置部と、
前記載置部の上にある前記排出対象物を前記載置部に形成した吸引口から下方へ吸引して前記載置部より高い位置の排出口に排出する吸引手段とを設け、
前記吸引口から前記排出口にわたる吸引流路の内、高さの最も低い範囲に水平流路を配置してある排出装置。
【請求項2】
前記吸引手段は、エジェクタであり、前記水平流路の前記吸引口側に接続されている下り勾配の傾斜流路に、前記エジェクタが介在させてある請求項1に記載の排出装置。
【請求項3】
前記吸引口の縁部は、前記載置部の上面より上方に突出させてある請求項1又は2に記載の排出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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