説明

排尿情報測定装置

【課題】 トイレに設置され、排尿情報測定手段を有する複合化された装置の使用において、本来トイレとして果たすべき機能・性能が低下しないようにする。
【解決手段】 本発明では、排尿情報測定動作を行なう排尿情報測定手段と、衛生洗浄動作を行なう衛生洗浄手段と、便器洗浄動作を行なう便器給水手段とを備えた排尿情報測定装置において、それらの各動作の連携を制御する連携動作制御手段とを有し、
現在動作中の動作に対して、新たな動作の開始が操作された時には、連携動作制御手段が最適な動作切替を行うことにより、使用者が操作したい動作を優先して動作させながら、本来の排尿情報測定結果に誤差が発生する恐れを取り除き、かつ、動作の切替を使用者に報知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トイレに組み付けられた複数の機能の連関動作を適切に制御することに係り、特に使用者が使い勝手面で面倒さを感じないようにすることと、本来機能である排尿情報測定機能に誤差が生じないようにすること、および、本来トイレとして果たすべき機能・性能が低下しないようにすることに好適な排尿情報測定装置に関する発明である。ここで述べている排尿情報とは、尿中に含まれる各種特定成分の濃度、尿量や尿流率などの物理的な特性、および、尿検体採取による各種精密検査など、尿を検査媒体として行なわれる医療行為・健康管理行為全般に使用される情報のことをいう。
【背景技術】
【0002】
医療機関では排泄後の処理を患者自身で実施できるようにすること、また排泄部位を清潔に保つという主旨から、排尿情報測定手段に人体局部を衛生洗浄水によって洗浄する衛生洗浄動作を行なう衛生洗浄手段を組み合わせた排尿情報測定装置を用いるのが一般的である。このような場合、排尿情報測定中に衛生洗浄手段が使用されると尿検体が衛生洗浄水によって薄まる恐れがあり、その結果として正確な測定ができなくなる恐れがある。従って、例えば患者に対して測定動作完了後に衛生洗浄手段を使用するなどの、排尿情報測定装置の使用方法について医療関係者が説明しなければならなかった。また、そのような配慮を行っても使用者が誤った使用を行う恐れがあることは避けられないという問題があった。
【0003】
従って、衛生洗浄手段を組み付けた排尿情報測定装置では、衛生洗浄手段が排尿情報測定手段に与える影響、および、排尿情報測定手段が衛生洗浄手段に与える影響を防止するために、一方の手段の動作中は他方の手段の動作の操作受付を禁止する機能が採用されている(例えば、特許文献1参照。)。
このような場合、使用者が使用したい動作を操作した時に、その動作が作動しなかったり、動作禁止中である旨や動作をやり直すことを促す情報が報知されることから、使用者は操作上の面倒さを感じたり、本来使用者の快適な操作性を想定すべき装置に対して不満を感じてしまう恐れがあるという問題があった。
【0004】
また複数機能を持つ装置の各動作の連携を制御する例として、同時動作では電力容量を越える恐れがあるときに、先行して動作していた機能を停止させるものがある(例えば、特許文献2参照。)。
このような場合、使用者はなぜ機能の一部が停止したのかを理解することができず、故障したのではないかという戸惑いを感じてしまう恐れがあった。
【特許文献1】特開平3−84129号公報
【特許文献2】特開平6−257201号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記問題を解決するためになされたもので、本発明の課題は、使用者が使用したい機能の動作を優先して動作させながら、本来の排尿情報測定機能に誤差等の不具合が発生する恐れを取り除き、また、機能の切替によって停止せざるを得ない機能がある場合に、その理由を使用者に開示することで、装置の故障かあるいは誤った使用を行ったのではないかという戸惑いを払拭し、また、複合化された排尿情報測定装置の使用において、装置として本来果たすべき機能・性能が低下しないようにする方法を示すものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために請求項1記載の発明によれば、使用者の排泄物を受けるボールを有した便器と、使用者の局部を洗浄する衛生洗浄動作を行なう衛生洗浄手段と、使用者の排泄する尿の量や特定成分濃度などの排尿情報を測定する排尿情報測定動作を行なう排尿情報測定手段と、
前記便器のボール内の内容物を排出して洗浄する便器洗浄動作を行う便器洗浄手段と、を備えた排尿情報測定装置において、
前記排尿情報測定動作の開始を指示する排尿情報測定指示手段と、
前記衛生洗浄動作と前記排尿情報測定動作との連携動作を制御する連携動作制御手段とを有し、
前記連携動作制御手段は、前記衛生洗浄動作が実行されている時に前記排尿情報測定指示手段の操作があった場合は、
直ちに前記衛生洗浄手段の衛生洗浄動作を停止させるとともに、排尿情報測定手段を起動して排尿情報の測定を開始させる制御を行なうことを特徴とすることにより、
前記衛生洗浄装置が使用者の局部を洗浄する時に使用した洗浄水が、排尿情報測定手段に影響を与えることを排除し排尿情報測定の正確性を期すことが出来るだけでなく、使用者は自分自身の実施した測定操作で器具が測定動作に切り替わるため、使用者が実施したい操作を器具に拒否されるようなことが無いため、使用者が快適に使用できる生体情報測定装置の提供を可能とした。
【0007】
また、請求項2記載の発明によれば、前記衛生洗浄動作が実行されている時に前記排尿情報測定指示手段の指示があった場合、
使用者に対して前記衛生洗浄動作を停止する旨の報知を行う報知手段を有する、
ことを特徴とすることにより、
使用者は排尿情報測定手段と衛生洗浄手段の各動作が両立できず、切り替えられる仕様に設定されていることを容易に理解することができるため、仮に衛生洗浄手段の使用を止めるつもりが無かったような場合にも衛生洗浄手段のこのような動作に対する的確な理解がなされるため、次回使用時に間違った操作を使用者が行ってしまうことの発生を低減することを可能とした。
【0008】
また、請求項3記載の発明によれば、使用者の排泄物を受けるボールを有した便器と、使用者の局部を洗浄する衛生洗浄動作を行なう衛生洗浄手段と、使用者の排泄する尿の量や特定成分濃度などの排尿情報を測定する排尿情報測定動作を行なう排尿情報測定手段と、
前記便器のボール内の内容物を排出して洗浄する便器洗浄動作を行う便器洗浄手段と、を備えた排尿情報測定装置において、
前記衛生洗浄動作の開始を指示する衛生洗浄指示手段と、
前記衛生洗浄動作と前記排尿情報測定動作との連携動作を制御する連携動作制御手段とを有し、
前記連携動作制御手段は、前記排尿情報測定動作が実行されている時に前記衛生動作指示手段の操作があった場合は、
直ちに前記排尿情報測定動作を停止させるとともに、前記衛生洗浄手段を起動して前記衛生洗浄動作を開始させる制御を行なうことを特徴とすることにより、
前記衛生洗浄装置が使用者の局部を洗浄する時に使用する洗浄水が、排尿情報測定手段に影響を与えることを排除し排尿情報測定の正確性を期すことが出来るだけでなく、使用者は自分自身の実施した測定操作で器具が測定動作に切り替わるため、使用者が実施したい操作を器具に拒否されるようなことが無いため、使用者が快適に使用できる生体情報測定装置の提供を可能とした。
【0009】
また、請求項4記載の発明によれば、前記排尿情報測定動作が実行されている時に前記洗浄指示手段による洗浄指示があった場合は、
使用者に対し前記排尿情報測定動作を停止する旨の報知を行う報知手段を有する、
ことを特徴とすることにより、
使用者は排尿情報測定手段と衛生洗浄手段の各動作が両立できないことを容易に理解することができるため、仮に排尿情報測定手段の使用を止めるつもりが無かったような場合にも排尿情報測定手段のこのような動作に対する的確な理解がなされるため、次回使用時に間違った操作を使用者が行ってしまうことの発生を低減することを可能とした。
【0010】
また、請求項5記載の発明によれば、使用者の排泄物を受けるボールを有した便器と、使用者の局部を洗浄する衛生洗浄動作を行なう衛生洗浄手段と、使用者の排泄する尿の量や特定成分濃度などの排尿情報を測定する排尿情報測定動作を行なう排尿情報測定手段と、
前記便器のボール内の内容物を排出して洗浄する便器洗浄動作を行う便器洗浄手段と、を備えた排尿情報測定装置において、
前記衛生洗浄動作の開始を指示する衛生洗浄指示手段と、
前記衛生洗浄動作と前記排尿情報測定動作との連携動作を制御する連携動作制御手段とを有し、
前記連携動作制御手段は、前記排尿情報測定動作が実行されている時に前記衛生動作指示手段の操作があった場合は、
直ちに前記排尿情報測定動作を停止させるとともに、前記衛生洗浄手段を起動して前記衛生洗浄動作を開始させる制御を行なうことを特徴とすることにより、
前記便器洗浄装置が排泄物を排出するために使用した洗浄水が、排尿情報測定手段に影響を与えることを排除し排尿情報測定の正確性を期すことが出来るだけでなく、使用者は自分自身の実施した測定操作で器具が測定動作に切り替わるため、使用者が実施したい操作を器具に拒否されるようなことが無いため、使用者が快適に使用できる生体情報測定装置の提供を可能とした。
【0011】
また、請求項6記載の発明によれば、前記便器洗浄動作が実行されている時に前記排尿情報測定指示手段の指示があった場合、
使用者に対して、前記便器洗浄動作中は排尿情報測定動作が開始できない旨、および/または、前記便器洗浄動作が完了した後に、前記排尿情報測定動作を開始する旨の報知を行う報知手段を有する、
ことを特徴とすることにより、
使用者は排尿情報測定手段と便器洗浄手段の各動作が両立できないことを容易に理解することができるため、仮に便器洗浄手段の使用を止めるつもりが無かったような場合にも便器洗浄手段のこのような動作に対する的確な理解がなされるため、次回使用時に間違った操作を使用者が行ってしまうことの発生を低減することを可能とした。
【0012】
また、請求項7記載の発明によれば、使用者の排泄物を受けるボールを有した便器と、使用者の局部を洗浄する衛生洗浄動作を行なう衛生洗浄手段と、使用者の排泄する尿の量や特定成分濃度などの排尿情報を測定する排尿情報測定動作を行なう排尿情報測定手段と、
前記便器のボール内の内容物を排出して洗浄する便器洗浄動作を行う便器洗浄手段と、を備えた排尿情報測定装置において、
前記便器洗浄動作の開始を指示する便器洗浄指示手段と、
前記衛生洗浄動作と前記排尿情報測定動作との連携動作を制御する連携動作制御手段とを有し、
前記連携動作制御手段は、前記排尿情報測定動作が実行されている時に前記便器洗浄指示手段の操作があった場合は、直ちに排尿情報測定動作を停止させるとともに、前記便器洗浄手段を起動して前記便器洗浄動作を開始させることを特徴とすることにより、
前記便器洗浄装置が排泄物を排出する時に使用した洗浄水が、排尿情報測定手段に影響を与えることを排除し排尿情報測定の正確性を期すことが出来るだけでなく、使用者は自分自身の実施した測定操作で器具が測定動作に切り替わるため、使用者が実施したい操作を器具に拒否されるようなことが無いため、使用者が快適に使用できる生体情報測定便器の提供を可能とした。
【0013】
また、請求項8記載の発明によれば、前記排尿情報測定動作が実行されている時に前記便器洗浄指示手段による便器洗浄指示があった場合は、
使用者に対し前記排尿情報測定動作を終了する旨の報知、および/または、前記便器洗浄動作中は前記排尿情報測定動作が開始できない旨の報知を行う報知手段を有する、
ことを特徴とすることにより、
使用者は排尿情報測定手段と便器洗浄装置の動作が両立できないことを容易に理解することができるため、仮に排尿情報測定手段の使用を止めるつもりが無かったような場合にも排尿情報測定手段のこのような動作に対する的確な理解がなされるため、次回使用時に間違った操作を使用者が行ってしまうことの発生を低減することを可能とした。
【0014】
また、請求項9記載の発明によれば、使用者の排泄物を受けるボールを有した便器と、
使用者の排泄する尿の量や特定成分濃度などの排尿情報を測定する排尿情報測定動作を行なう排尿情報測定手段と、
前記便器のボール内の内容物を排出して洗浄する便器洗浄動作を行うmailto:便器洗浄手段と、を備えた排尿情報測定装置において、
前記排尿情報測定手段は、
前記ボール部に水を供給して前記排尿情報の測定を開始する所定水位である測定開始水位を形成する測定開始水位形成動作を行なう測定開始水位形成手段と、
前記溜水のボール側の溜水であるボール部溜水の水位を測定する水位測定動作を行なう溜水水位測定手段と、
使用者が前記ボールに排尿した時に前記溜水水位測定手段によって測定される前記ボール部水位の測定値と前記測定開始水位の測定値とに基づいて使用者が排泄した尿量又は尿流率を含む排尿情報を算出する排尿情報算出手段と、
前記排尿情報測定手段の排尿情報測定動作の開始を指示する排尿情報測定指示手段と
を有し、
前記尿情報測定動作の一部を構成する前記測定開始水位形成動作が実行されている途中に、前記排尿情報測定指示手段の操作があった場合は、
前記測定開始水位形成動作を直ちに停止するとともに、
前記溜水水位測定手段を起動して前記排尿情報測定動作を継続することを特徴とすることにより、
使用者の測定開始操作時点の溜水水位から直ちに排尿情報測定動作が開始されるため、使用者は測定開始水位に溜水水位を形成する測定開始水位形成動作終了まで排泄行為という生理現象を我慢する必要が無く、使い勝手がよい。
【0015】
また、請求項10記載の発明によれば、
前記ボール部に不足している水を供給する溜水補水手段を有し、
測定開始水位形成動作の前記停止が行なわれた場合において、
前記排尿情報測定動作の終了後から便器洗浄動作開始するまでの間に、
所定量の水を前記溜水補水手段によって前記ボール部に供給する溜水補水動作を実行することを特徴とすることにより、
測定開始水位形成動作が中断されたことによって排尿情報測定動作終了時点で溜水水位が想定よりも低い水位となっている場合でも、便器洗浄動作開始時迄に前記ボール部に給水を行なって溜水を補給することによって、溜水水位を十分に上昇させた状態で便器洗浄動作を開始する。従って、通常通りの便器洗浄動作でトラップ部を満水にした安定したサイホン現象を発生させることが可能となるため、通常通りの排泄物排出性能を期待することができる。
【0016】
また、請求項11記載の発明によれば、前記排尿情報測定手段は、一端に前記ボール部溜水に連通する開口部と他端に大気開放された開放端部とを有する管路で構成された測定管路と、前記測定管路に連通して測定管路内の圧力を計測する圧力測定手段と、前記開口部と前記圧力測定手段との間に配設され前記測定管路を開閉する開閉手段とを有し、
前記圧力測定手段が所定値以上の単位時間当たりの圧力変化を検出した時には、
前記開閉手段を直ちに動作させて前記測定管路を閉止する
ことを特徴とすることにより、
排尿情報測定動作中に誤ってボール内に大量の水が流入してボール部溜水の水圧が上昇を始めても、単位時間当たりの圧力変化がその所定値以上になると測定管路が直ちに閉止されるため、測定管路に設けられた圧力測定手段に過大な圧力が印加されることが無くなり、圧力測定手段が破損することが無く、測定部の動作信頼性が確保されることになる。
【0017】
また、請求項12記載の発明によれば、使用者の排泄物を受けるボールを有した便器と、使用者の局部を洗浄する衛生洗浄動作を行なう衛生洗浄手段と、使用者の排泄する尿の量や特定成分濃度などの排尿情報を測定する排尿情報測定動作を行なう排尿情報測定手段と、
便器のボール内の内容物を排出して洗浄する便器洗浄動作を行うmailto:便器洗浄手段と、を備えた排尿情報測定装置において、
前記衛生洗浄手段と、前記排尿情報測定手段と、前記便器洗浄手段とに夫々接続され、各動作の動作タイミングを制御する連係動作制御手段を有し、
前記連係動作制御手段は前記各手段の夫々の動作状態をハイ/ローの2値形式で記憶することを特徴とするので、
外乱ノイズを受けた時にも誤検知を生じにくく、動作干渉の発生する可能性のある前記衛生洗浄手段と前記排尿情報測定手段と便器洗浄手段の各動作に対して、確実な干渉動作防止が期待できる。
【0018】
また、請求項13記載の発明によれば、前記連係動作制御手段は、前記衛生洗浄手段と前記排尿情報測定手段と前記便器洗浄手段の各動作間において、先の動作に後の動作が悪影響を及ぼす干渉動作が予想される場合は、前記後の動作の駆動情報伝送を所定時間だけ遅滞させることによって前記干渉動作の発生を防止することを特徴とするので、
前記連係動作制御手段の制御シーケンスで前記排尿情報測定手段と前記便器洗浄手段間の干渉動作発生を防止できることから、前記排尿情報測定手段と前記便器洗浄手段との制御を別々に検討可能であり、特に事前に施工された便器部に前記排尿情報測定手段を容易に後付することが可能である。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、測定装置としてはその測定結果に対する正確性を維持し、また便器装置としてはその便器性能・機能を低下させることがないと共に、使用者の操作指示に対して排尿情報測定装置がその操作指示の内容に沿って動作するために、使用者に操作上の戸惑いを与えないという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図1は本発明を実施した第1の実施例における排尿情報測定装置全体を示す斜視図である。図1を使用して、被験者の使い方について述べる。
【0021】
本実施例における排尿情報測定装置101は、通常の便器機能を備えた洋風大便器1と、被験者が洋風大便器1のボール2内に排泄する尿(排尿)の量等の排尿情報を溜水の水位変化を計測することによって測定する計測部30と、洋風大便器1に組み込まれた衛生洗浄手段20aを備える衛生洗浄装置20と、それらを操作したり測定結果等を表示するための操作・表示部22とで構成されている。
さらに本形態では、尿中の特定成分濃度等を測定するために排尿の一部を直接採取する採尿装置114を併せ持っている。 また、排尿情報測定を行なうための排尿情報測定動作としての洋風大便器1の動作及び計測部30の動作を制御する計測制御部15aと、計測部30と、採尿装置114の特定成分濃度等を測定する尿成分測定部114dとは洋風大便器1の後部に設置されたキャビィネット104内に収納されている。
洋風大便器1は陶器製でありその上部には樹脂製の便座110及び便ふた112が回動自在に取り付けられている。
【0022】
壁には、排尿情報測定装置の各機能の操作や結果を表示するための操作・表示部22として、排尿情報測定用のリモコン34と、衛生洗浄装置用のリモコン32と、測定結果等を出力するプリンター36とが設置されている。
【0023】
リモコン34は被験者がトレイに入室し、排尿情報を測定する時に操作するもので、測定開始を指示する測定開始スイッチと、排尿が終了したことを指示する排尿終了スイッチとが設置されている。このリモコン34には被験者の個人的なデータを取得するために、個人別スイッチ、IDカード等の読み込み手段等の個人認証手段、および、電子データの入出力装置等が設けられている。
【0024】
測定結果はプリンター36を使用して被験者に開示されるようになっているが、リモコン34の表示部で被験者に開示しても良い。さらにまた、本排尿情報測定装置を医療機関に設置した場合は、複数の被験者データを看護師が所定の時刻にリモコン34を操作して、プリンター36からデータを取り出すことも考えられる。
【0025】
施工時やメンテナンス実施時の操作スイッチは、操作・表示部22に所定手順の操作を実施することで切替設定されるようになっている。切替方法としては、所定のスイッチを長時間押したりするものであり、施工時やメンテナンス実施時のみに実施される行為としては、溜水水位と溜水量の検量関係を記憶させたり、導圧配管に水を充填させるような行為である。
【0026】
図2は本実施例の構成を示すブロック図である。
排尿情報測定装置101は構造体としては大きくは便器部100と排尿情報測定部200とに分かれ、両者の製造方法が異なることと、施工業者が異なることに配慮されている。即ち、一般的には、給排水を担当する設備業者が、便器部100の設置及び上下水道との接続を行ない、医療機器の施工工事を担当する業者が、排尿情報測定部200を設置して、便器部100と排尿情報測定部200とを結ぶ給排水配管と信号経路の接続を行なった後に、システムとしての排尿情報測定装置101の動作確認を実施するようになっている。
【0027】
便器部100は、被験者が排泄を行うボール2が形成された洋風大便器1と、洋風大便器1に組み込まれ専用に設けられた吐水ノズルから噴出される衛生洗浄水によって用便後の被験者の局部を洗浄する衛生洗浄動作を行なうための衛生洗浄手段20aや衛生洗浄動作により濡れた局部を温風により乾燥させる乾燥手段等を備えた衛生洗浄装置20と、ボール2内面の洗浄とサイホン現象を発生させることによる排泄物の下水配管への送出と溜水の形成を行なう便器洗浄動作時や排尿情報測定動作時に洋風大便器1に給水を行なう便器給水手段6と、洋風大便器1の動作と衛生洗浄装置20の動作を制御する便器制御部15bと、衛生洗浄装置20及び洋風大便器1の動作を被験者が指示するためのリモコン32とで構成されている。
便器制御部15bには、状態表示手段19bと、状態受信手段19cが設けられているが、その動作の詳細は後述する。
【0028】
排尿情報測定部200は、排尿情報測定を行なう計測部30と、その動作を制御する計測制御部15aと、計測部30の動作を被験者が指示するためのリモコン34と、排尿情報測定結果を出力するプリンタ36とで構成されている。
【0029】
計測制御部15aには、下水圧変動影響量計測手段16の測定結果を用いて、溜水4の待機時水位の設定値を選定する溜水水位選定手段17と、溜水水位測定手段14によって計測される溜水水位変化から排尿量等の排尿情報を演算によって求める排尿情報算出手段18とが内蔵されている。
【0030】
計測制御部15aにはまた状態監視手段19aが設けられている。この状態監視手段19aは排尿情報測定装置101が持つ排尿情報測定機能と便器洗浄機能、および、局部洗浄機能に関する各動作間の整合・調整を実施しているが、その内容については後述する。
【0031】
市水からの給水路は分岐金具21によって、計測部30と、衛生洗浄装置20の衛生洗浄手段20aと、便器給水手段6とに分岐されている。
便器給水手段6は洋風大便器1のリム吐水ノズル7とゼット吐水ノズル8へそれぞれ水を供給するリム吐水手段71とゼット吐水手段81とを備えている。ゼット吐水手段81からゼット吐水ノズル8への供給流路は分岐部82を持ち、溜水水位測定手段14への導圧水路83が分岐接続されている。導圧水路83は、溜水水位を測定するために溜水水位測定手段14に溜水4の水位ヘッドを伝達するためのものである。
【0032】
計測部30には、排水ソケット10を介して下水配管内の圧力変動による影響量を計測する下水圧変動影響量計測手段16と、被験者の排泄による排尿量等を測定するために溜水4の水位変化を計測する溜水水位測定手段14と、測定開始水位形成時に形成される溜水水位を正確な測定開始水位にするための溜水補水手段91とが設けられている。溜水補水手段91は、測定開始水位形成時の便器給水手段6による給水でボール内容物の排出とそれに続く溜水の形成が行なわれた後、形成された水位を目標とする測定開始水位にするために必要な量の給水をゼット吐水ノズル8を介してボール2に行なう。即ち、本実施例では測定開始水位形成は便器給水手段6の給水による測定開始水位より低い水位の形成動作と、それに続く溜水補水手段91の給水による測定開始水位の形成動作の2段階の給水動作を行なうことによって、正確な測定開始水位を形成するようになっている。
尚、本実施例では、溜水水位測定手段14には、溜水の波立ちの影響を取り除く除振手段14aや、水位測定値の校正動作を実施する校正手段14bも合わせて内蔵されている。
【0033】
本発明を実施した排尿情報測定装置101は前述したように、便器部100は衛生洗浄装置用のリモコン32の操作によって、また排尿情報測定部200は排尿情報測定装置用のリモコン34の操作によって、それぞれ動作指示されるように構成されているため、使用者が一つの装置の機能を実行中に他の装置のリモコンを操作する可能性がある。ところが、これらの装置の各動作間には、動作が影響を受けて測定誤差を生じたり、器具が破損したりするものもある。従って、使用者によって行なわれる動作指示に対して、便器部100と排尿情報測定部200との間で、その時の動作状況に応じて各々をどのように動作させるかを規定しておく必要がある。そのために本実施例では、排尿情報測定部200には状態監視手段19aを設け、また便器部100には状態監視手段19aに対応する状態表示手段19bと状態受信手段19cとを設けている。
【0034】
以下に、この排尿情報測定装置101が備える各機能の動作の連携制御について詳説する。
状態表示手段19bは便器部100の刻々の動作状態を記憶し、また、状態受信手段19cはリモコン34で指示された結果としての排尿情報測定部200の動作状態を受信して記憶する。
一方、計測制御部15aの状態監視手段19aは状態表示手段19bの情報を常時監視しており、その結果、便器部100の刻々の動作状態を把握することが可能となっている。
また、状態送信手段19dを備えて排尿情報測定部200の動作状態を状態受信手段19cに送信する。
【0035】
以上のような構成としているため、例えば排尿情報測定部200側で排尿情報測定中に、便器部100側のリモコン32で衛生洗浄装置20の衛生洗浄手段20aによる衛生洗浄動作や便器給水手段6の便器給水動作が指示されたときは、状態表示手段19bの記憶内容はその指示内容に書き換えられ、常時監視している状態監視手段19aが直ちに知ることとなる。すると状態監視手段19aは予め決められたとおりに排尿情報測定部200の動作を制御する。本実施例の場合は、測定動作の終了を計測制御部15aに指示するようになっている。また反対に、便器部100側の衛生洗浄手段20aや便器給水手段6の動作中に、排尿情報測定部200側のリモコン34で排尿情報測定操作が指示された場合は、状態送信手段19dによって便器部100側の状態受信手段19cに送られ、便器制御部15bはその情報によって便器部100の衛生洗浄手段20aや便器給水手段6の動作を予め定められた手順で終了させとともに、状態表示手段19bは記憶内容をその状態に合わせて変更する。状態監視手段19aは状態表示手段19bの記憶内容が予め決められた内容になったのを確認してから、予め定められた手順で測定動作に動作切替するようになっている。
【0036】
このように、複数の機能と動作を行なう構成となっている排尿情報測定装置101に状態監視手段19a、状態表示手段19b、状態受信手段19c、状態送信手段19dを有する連携動作制御手段25を設けることで、それらの動作が干渉して測定誤差になったり、器具が破損したりすることを防止できる。
【0037】
また、本実施例の場合の便器部100と排尿情報測定部200のように、排尿情報測定装置101の全ての制御を一体となった一つの制御部で制御するのではなく、複数の構成単位に分けて夫々単独で動作可能な複数の制御部を設け、且つ、それら複数の構成単位の各動作間の整合・調整を行なう連携動作制御手段25を別途設ける構成とすることによって、複数の構成単位の制御仕様を大幅に変更しないで排尿情報測定装置101を構成できる。
【0038】
言い換えれば、本実施例の排尿情報測定装置101のように複数の制御部の連係動作の制御を受け持つ連携動作制御手段25の仕様を変更することで、便器部100と計測部200の組み合わせを所定のものに限定せず容易に別な組み合わせに変更できることとなる。従って、このような組み合わせの自由度を持たせない場合は、便器部100と排尿情報測定部200とを一体化させた構成として、前述した動作間の干渉防止のための連携制御も含めた全ての動作制御を単一の制御部で行なうことも可能である。
【0039】
なお、本実施例ではリモコン34からの動作指示の情報は状態送信手段19dを経由して状態受信手段19cに送られるようにしているが、リモコン32を経由して状態受信手段19cに送られるようにしても良い。
【0040】
本発明における排尿情報測定手段を構成する部排尿情報測定部200が溜水4の水位測定動作中に、衛生洗浄装置20の衛生洗浄手段20aがが局部洗浄動作を行なうと、排尿と衛生洗浄水の区分けは不可能であり、両動作は動作干渉が発生する。これは一例であるが、他にも本発明による連携動作制御を実施しないと、便器洗浄手段と衛生洗浄手段と排尿情報測定手段は夫々動作干渉が発生する。
【0041】
図2で示したブロック図において、ゼットノズル8に連通する分岐部82に便器給水手段6を構成するゼット吐水手段81へ連通した水路と排尿情報を測定する計測部30を構成する溜水水位測定手段14に連通した導圧水路83との2つの管路が接続されている。
【0042】
ゼットノズル8は、便器洗浄動作実施時にはトラップ5にてサイホン現象を誘発するための便器給水手段6からの便器洗浄水の吐水口として働き、また溜水水位測定手段14の水位測定動作時は、溜水4の静水圧を導圧水路83を介して溜水水位測定手段14に伝達するための導圧口となる。このように本実施例ではゼットノズル8を、本発明における排尿情報測定手段と便器洗浄手段とが共用している。従って、両者は、一方の流路が作動しているときは他方の流路を閉止・切替しなければ互いの動作が干渉して正常な機能が発揮されないだけでなく、同一タイミングで作動すると装置を構成している部品の破損や機能劣化の恐れがあり、動作信頼性確保のためにも不可欠である。
【0043】
例えば、導圧水路83を連通状態で便器洗浄動作を行なうと、便器洗浄水のゼットノズル8への給水によって生じる圧力によって、溜水水位測定手段14として導圧水路83に接続されている圧力センサーなどの圧力測定手段が破損する恐れがある。
【0044】
さらにまた、このような干渉動作の発生を防止するために、各動作の切替を使用者のスイッチ操作に合わせたタイミングで直ちに実施すると、切り替えられる動作が例えば管路閉止・管路切替等のように時間がかかる動作を含む場合は、その動作が完了しないまま、次の動作が開始されることとなり、前述した器具の破損の恐れが生じることになる。
【0045】
産業的に考えて、排尿情報測定装置101を構成する便器洗浄手段と衛生洗浄手段と排尿情報測定手段は個別に生産されることを考えると、これら各手段の動作を制御する制御手段は各々が持つことがリーズナブルな考え方である。その場合、これら各手段の動作を排尿情報測定装置101が持つ複数の機能として円滑に動作させるために、これら各手段の動作制御情報を整理・統合する連係動作制御手段が必要となる。
【0046】
そのため本実施例では、連係動作制御手段25が各部への情報伝送の交通整理をすることで、各手段の動作の円滑な実行と装置を構成している部品の破損や機能劣化等の不具合の発生防止が図られている。例えば排尿情報測定部200の動作中に、リモコン32が操作されて便器洗浄信号が便器制御部15bに送信された場合、連係動作制御手段25は計測制御部15aを介して計測部30の導圧路閉止を閉止する時間を待った後、便器制御部15bを介して便器洗浄手段6を駆動するようになっている。
【0047】
こうすることで、共用している管路は各機能毎の管路として使用することができるし、全てを統合した制御部とする必要が無いことから、便器洗浄手段と衛生洗浄手段と排尿情報測定手段が個別に生産されて、組み合わせ使用されても本発明による連係動作制御手段を設けることによって動作信頼性が低下する恐れを無くすことができる。
【0048】
本実施例のように便器部100と排尿情報測定部200が各々で制御部を構成した場合、便器部と排尿情報測定部を組み合わせて選定することが容易になる。つまり、便器の入替を実施したり、排尿情報測定項目を変更したいときなど、トイレ全体を交換することなく、連係動作を果たせるという特徴がある。前述のように便器部と排尿情報測定部とでは施工業者が違い、商流・物流が違うという点に対しても対応が容易である。
【0049】
図3は本発明の排尿情報測定装置の計測部30の詳細構成と排尿情報測定に関係する各水位を示した図であり、洋風大便器1は排水ソケット10を介して下水配管9に接続されている。トラップ部5によって形成される溜水4に下水配管9との連通を遮断する封水の役割を持たせることによって、下水配管内で発生した臭気や衛生害虫がトイレ内に侵入しないよう衛生面に配慮されている。
図3に示すように、待機時においては、排尿情報測定装置101のボール2内の溜水水位は、Yで示す測定開始水位になっている。測定開始水位Yは下水配管内の圧力変動による破封防止を配慮した水位であり、破封水位X2に対して封水深50mm以上の位置である。トラップ部5の頂部108aの位置である溢流水位Hと、測定開始水位Yの溜水量差が尿量測定範囲ということになる。
【0050】
なお、測定開始水位Yの形成に際しては、便器洗浄動作においてリム吐水ノズル107からの吐水によって形成される水位の目標値を測定開始水位Yより低い所定水位に設定し、リム吐水ノズル107からの吐水完了後に実際に形成された水位を溜水水位測定手段14によって測定して、測定開始水位Yとの偏差から不足分の給水量を求めて、補助タンク119k中の水を圧力導管118aとゼット吐水ノズル109経由で、ポンプ119lで追加供給して測定開始水位Yに修正する構成にしても良い。この場合、前記図2のブロック図で示した水位形成手段6は、給水を行う流路切替手段116と補助タンク119kということになる。
【0051】
図4は本発明を適用した排尿情報測定装置101と衛生洗浄装置20の衛生洗浄手段20aとの動作を示すフローチャートである。本フローチャートを利用して、排尿情報測定装置101が持つ排尿情報測定機能と便器洗浄機能、および、局部洗浄機能に関する各々の動作について、前述した連携動作制御手段25が行なう整合・調整動作について詳説する。
【0052】
S101で排尿情報測定装置101の測定動作が開始される。S201は衛生洗浄装置20の衛生洗浄手段20aが衛生洗浄動作中かどうかを確認するステップで、衛生洗浄手段20aが衛生洗浄動作中と確認された場合は、S202で排尿情報測定装置101の排尿情報測定の動作開始操作があるかを確認し、動作開始操作が確認された場合、S203で衛生洗浄手段20aの衛生洗浄動作を停止する旨を報知する。報知の方法としては、操作・表示部の表示パネルに文字情報を表示したり、音声で被験者に対して報知する方法が考えられる。次いでS204で実際に衛生洗浄手段20aの衛生洗浄動作を停止させた後、S205で排尿情報測定装置を起動させる。
【0053】
一方、S202で排尿情報測定装置の測定動作の開始操作が無かった場合は、S206で便器洗浄動作開始操作の有無を確認する。S206で便器洗浄手段の便器洗浄動作の開始操作が確認された場合、S207で衛生洗浄手段の衛生洗浄動作を停止する旨を報知した後、S208で衛生洗浄動作を停止させ、その後S209で便器洗浄動作を開始する。
また、S206で便器給水手段の便器給水動作の開始操作が確認されなかった場合は衛生洗浄手段の衛生洗浄動作が継続されることになる。
【0054】
S201で衛生洗浄装置20の衛生洗浄手段20aが使用されていないことが確認された場合には、S301で排尿情報測定装置が測定動作中かどうかを確認する。排尿情報測定装置が測定動作中と確認された場合は、S302で衛生洗浄手段20aの衛生洗浄動作の開始操作があるかを確認し、動作開始操作があった場合は、S303で排尿情報測定装置の測定動作を停止する旨を報知する。次いでS304で排尿情報測定手段の測定動作を停止した後、S305で衛生洗浄手段20aの衛生洗浄動作を開始する。
S302で排尿情報測定手段の測定動作の開始操作が無かったことが確認された場合は、S306で便器給水手段の便器給水動作の開始操作の有無を確認する。S306で便器洗浄手段の動作開始操作があったと確認された場合は、S307で排尿情報測定装置の測定動作を停止する旨を報知する。次いでS308で排尿情報測定装置の測定動作を停止した後、S309で便器洗浄手段の便器給水動作を開始する。
S306で便器洗浄手段の便器給水動作の開始操作が無い場合は、排尿情報測定装置の測定動作が継続されることになる。
【0055】
S401は便器洗浄手段の便器洗浄動作、つまりボール内への給水によってトラップ内にサイホン現象を発生させて溜水を下水に向けて排出した後、さらに給水を行なって再び封水を確保する一連の動作を実施中かどうかを確認するステップである。便器洗浄動作の実行中でない場合は、後述のS501に移行する。便器洗浄動作の実行中である場合は、S402で衛生洗浄手段の衛生洗浄動作の開始操作の有無を確認する。衛生洗浄手段の動作開始操作があった場合は、S403で使用者に「衛生洗浄動作を開始する」旨を報知し、前述した一連の便器洗浄動作が完了するのを待って、S404で衛生洗浄動作を開始し、後述のS501に移行する。衛生洗浄動作開始操作が無い場合、S406で排尿情報測定装置の測定動作の開始操作の有無を確認する。排尿情報測定動作の開始操作が無い場合は、後述のS501に移行する。排尿情報測定動作の開始操作があった場合は、S407で使用者に「排尿情報測定動作を開始する」旨を報知し、便器洗浄動作が完了するのを待って、S408で排尿情報測定動作を開始し、後述のS501に移行する。
【0056】
なお、以上で述べた便器洗浄動作はボール内への給水によって排泄物を含む溜水を下水配管に向けて排出した後、下水配管との連通を遮断してトイレの衛生性を確保するために、前述のトラップに下水配管との連通を水封する溜水を形成する給水を行うものである。。一方、本発明では測定開始前の水位を給水によってトラップの溢流水位以下の所定の水位に正確にセットするため、この給水動作にバルブ給水による粗調整とタンク給水による微調整とを実施することを前述している。このバルブ給水による粗調整動作によって少なくともトラップ口が水封される状態まで給水を行なうような設定にすると、この動作が終了した時点では便器は下水配管との連通が断たれて衛生性が保たれる。従って、このような設定にしてS402やS406ステップで示すような連続操作があった場合は、タンク給水による微調整動作を省略して動作切替実施するようにすると、使用者の待ち時間発生につながる動作切替のタイムラグを減少させることができ使い勝手が良い。
【0057】
なお、このようにした場合の測定開始水位は所定水位より低い水位のため、排尿情報測定終了後の便器洗浄に当たってはゼット吐水によってサイホンを起動する時点までに、この水位と所定の測定開始水位との水位差に相当する溜水量と同じ量以上の給水を行っておく必要がある。便器洗浄操作を実施された時に先ず実施されるリム給水量を増やす方法の他、測定終了後にゼット吐水ノズルから補水タンクの水を補給して実現する方法も考えられる。
【0058】
S501は衛生洗浄手段の衛生洗浄動作の停止操作の有無を確認するステップである。衛生洗浄手段の衛生洗浄動作停止の操作があった場合に、S502で衛生洗浄手段が衛生洗浄動作中であったときは、S503で衛生洗浄手段の衛生洗浄動作を停止する。また、衛生洗浄手段が衛生洗浄動作中で無かった場合は監視状態に移行する。S501で衛生洗浄手段の動作停止の操作が無かった場合は、S601に移行する。
【0059】
S601は排尿情報測定手段の排尿情報測定動作の停止操作の有無を確認するステップである。排尿情報測定手段の動作停止操作があった場合に、S602で排尿情報測定装置が測定動作中であったときは、S603で排尿情報測定装置の測定動作を停止する。また、排尿情報測定装置が測定動作中でなかったときは、再び監視状態に移行する。S601で排尿情報測定手段の動作停止操作が無かった場合は、再び監視状態に移行する。
【0060】
図5は本発明において使用者が排尿情報測定装置101に対して本出願人が設定している通常操作を行った時のタイミングチャートである。本タイミングチャートを使用して、本出願人が想定している排尿情報測定フローを説明する。
【0061】
排尿情報測定を行う被験者はトイレに入出した後、時刻aにて立位のままリモコン34の測定開始操作を行うと、時刻bにて排尿情報測定装置101は起動される。時刻cにて使用者が脱衣して便座に着座すると、衛生洗浄装置20に組み込まれた着座検出手段が被験者の便座への着座を検知する。立位の場合、着座検出は行われないが、便器外に尿をこぼすことなく安定的に排尿するため、男性であっても便座に着座して排尿することが推奨される。時刻dから時刻eにかけて排尿が行われた後、時刻fで排尿終了したことを被験者がリモコン34で操作すると、時刻gで排尿情報測定装置101の動作が停止する。排泄終了後の時刻hから時刻kにかけて衛生洗浄装置20をリモコン34で操作した後、時刻lにて被験者が離座すると、衛生洗浄装置20に組み込まれた着座検出手段が被験者の便座からの離座を検知する。時刻mで被験者が排泄物を排出するために便器洗浄操作を実施すると、時刻nから時刻oにかけて便器給水手段の便器給水動作が実施されることになる。
【0062】
図6は本発明において使用者が排尿情報測定装置に対して本出願人が設定している通常操作とは異なる操作を行った時のタイミングチャートである。本タイミングチャートを使用して、本出願人が設定している排尿情報測定フローを逸脱した場合に、どのような動作制御を行うかについて説明する。
【0063】
排尿情報測定を行う被験者はトイレに入出した後、時刻aにて、立位のままリモコン34の測定開始操作を行う。時刻bにて、排尿情報測定装置101は起動される。時刻cにて使用者が脱衣して便座に着座すると、衛生洗浄装置20に組み込まれた着座検出手段が被験者の便座への着座を検知する。時刻dからeにかけて排尿が行われた後、通常使用では時刻eにて排尿終了したことをリモコン34で操作するのであるが、この場合は、衛生洗浄手段の動作開始を指示する操作を行なっている。その場合、排尿が終了したので衛生洗浄手段を操作したと見做し、時刻fにおいて排尿情報測定装置101の排尿情報測定動作を停止して、その時点での排尿情報を算出・開示することとしている。
【0064】
時刻gで被験者は衛生洗浄手段の動作停止の操作を行ない、時刻hで排尿情報測定開始操作を行なうと、時刻iで排尿情報測定装置101が起動する。時刻jから排尿が行われた後、時刻kにて排尿終了したことをリモコン34で操作することなく、便器洗浄手段の便器洗浄動作の開始を指示する操作をしている。その場合、排尿が終了したので便器洗浄手段を操作したと判断し、時刻lにおいて排尿情報測定装置101の排尿情報測定動作を停止して、その時点での排尿情報を算出・開示することとしている。具体的な制御シーケンスとしては、リモコン34で排尿終了の操作をする時刻kに対して、連係動作制御手段25は排尿情報測定装置101が実際に排尿情報測定動作を停止するまでの時間差である「時刻l−時刻k」だけ情報伝送を遅滞させ、便器洗浄手段を動作させることで便器部100と排尿情報測定部200の干渉動作を防止している。
【0065】
便器洗浄動作が行われる時刻lからoの途中である時刻mで排尿情報測定開始操作が行われた場合は、時刻oにて便器洗浄工程が終了するのを待って排尿情報測定装置101は起動され、被験者の排尿開始時刻pを待つことになる。ここで記載した制御シーケンスは、連係動作制御手段25が情報伝送を遅滞させ、排尿情報測定装置を動作させることで便器部100と排尿情報測定部200の干渉動作を防止するものである。
【0066】
なお情報伝送を遅滞させるときには、使用者に対して動作が切り替わるのに時間的な遅れがあることを音声や表示で報知すると、直ぐに動作が切り替わらないことに対して使用者が疑念を感じることの防止も可能である。例えば、排尿情報測定中に便器洗浄操作された場合、導圧路は便器洗浄流路に切り替えてからしか便器洗浄は実施できない。その場合、「便器洗浄操作を受け付けました、便器洗浄開始には5秒お待ちください」とアナウンスすると、便器洗浄が直ぐに作動しなくても使用者は戸惑いを感じることがない。また、衛生洗浄装置測定中に排尿情報測定操作された場合、吐水停止、ノズル収納、セルフクリーニング実施が必要であるから、「排尿情報測定操作を受け付けました、排尿情報測定開始には10秒お待ちください」とアナウンスすると、便器洗浄が直ぐに作動しなくても使用者は戸惑いを感じることがない。前述のように動作が遅れるときには、どの程度の遅延があるかをアナウンスすると、使用者は器具の故障と感じることなく、安心して使用を継続することができるようになる。
【0067】
排尿情報測定装置101は溜水の水位をセンシングすることで排尿情報を測定しているため、溜水水位に変化をもたらすような衛生洗浄装置の動作や便器洗浄装置の動作と排尿情報測定動作を両立させることは物理的に不可能である。この場合、被験者に対してお互いに干渉動作となる操作を禁止する制御仕様としてそれを報知するようにした場合、報知された被験者はたとえそれが自分の意思であったとしても誤った操作をしてしまったと慌ててしまうことになり、被験者が高齢者等の場合はパニックを引き起こす原因となることも憂慮される。従って、本発明は被験者が新たに実施した操作を優先して、各装置の動作を制御することとしているため、被験者に動作禁止を開示することなく被験者の操作意思を尊重する構成となっている。
【0068】
ここで、排尿情報測定装置101は洋風大便器1のボール2内の溜水の水位変化によって排尿情報を測定することから、測定時には計測部30の所定の配管内には水が充満している必要があるが、その物流過程において内部の配管等に水は入れていない。従って、取付け現場での施工時に洋風大便器1を排水ソケット10経由で下水配管9に組み付け、溜水水位変化をセンシングするための計測部30を接続した後、圧力導管83等の配管には圧力を溜水圧力センサー118に伝達するための水を充填しなければならない。ところが、配管内に水を通水するだけでは配管内の各所に空気が残存することとなる。その場合は、ほとんど非圧縮性流体と考えてよい水の中に圧縮性流体である空気が混在していることになり、伝達される溜水水位圧力は脈動するため、安定した測定を行なうためには、圧力導管83の中から空気を追い出して空気の介在が無い状態で圧力が伝達されるようにしなければならない。そこで本実施例では、図3で示されているように圧力導管83の途中にフィルター119aを設けて配管中の空気抜きを行なうように構成している。以下にその詳細について説明する。
【0069】
図7はフィルター119aの1実施例を示す断面図である。本実施例を使用して、導圧配管に内在する空気を手動で排除する方法を説明する。
フィルター119aの中にはメッシュ119rが組み込まれており、通過する水の中に含まれる異物が測定系に流れ込むのを防止している。フィルター119aの外郭には、上方に向けた開口を閉じている開閉ネジ119Sが設けられている。開閉ネジ119Sを取り外した場合、フィルター119aが管路の最下層にあることから、重力によって水が充填され、配管内に内在していた空気は、前記開口から水と共に流出することになる。内在した空気がすべて流出すると、前記開口からは途切れなく一定高さの噴水流が吐出することになり、空気が流出してしまったことを目視で確認できるようになる。
【0070】
メッシュ119rは異物が測定系に流入するのを防止するためのものであり、測定系から逆洗浄水が供給される場合などにおいては、必須の存在ではない。なお、噴水流の前記開口からの吐出に対して、施工時は水受けなどの配慮を実施することが、本方式で空気抜きを行う時の必須事項ということになる。また空気が抜け出たことは一定高さとなる噴水流の目視によって確認できるが、流れには飛び散りがつきものであるため、本当に空気が抜け出た状態かを判断するには、作業者の経験と実績が不可欠である。
【0071】
図8は導圧配管に水を充填する場合の、各機能ユニットの一連の動作を示す表である。本実施例を使用して、導圧配管に内在する空気を自動で排除する方法を説明する。
【0072】
ステップ1で空気抜きモードへの切替操作を実施する。施工が完了し、通水可能となった状態で電源を投入し、所定の操作を行うことになる。ステップ2〜4は、便器給水手段6が有する水路切替手段116によって吐水口を切り替えてリム洗浄→ゼット洗浄→リム洗浄を行なうことによって、溜水を溢流水位に上昇・保持する工程である。次に、ステップ5において、開閉弁119b,119d,119m,119nを開放して20秒間放置する。この工程によって、ボール106の溜水4と補助タンク119kに溜まった水が重力によって配管に充填されていく。ステップ6からステップ7において、ポンプ119lを10秒駆動し、30秒放置する工程を6回繰り返す。ステップ8は導圧管路を閉止する工程であり、開閉弁119bと開閉弁119nを閉止する。ステップ9からステップ10において、ポンプ119lを15秒駆動し、5秒放置する工程を7回繰り返す。その後、ステップ11において、開閉弁119d,119mが閉止して空気抜き工程を終了する。
【0073】
水の位置エネルギーと放置時間によって前記ボール部水位測定手段の配管経路に水を導き、かつ、前記ボール部水位測定手段の配管経路に水を導くのに際して、送水手段としてのポンプを組み合わせている。自動工程であるため、施工者バラツキが発生せず、水を外部に流出させることも無い。重力ポンプによる充填と、ポンプの送水エネルギーが加わるため、空気抜きをより効率的に短時間で実施することができる。なお、各ステップの動作時間と繰り返し数は、出願人が製作したシステムで適切に調節されたものであり、配管径や長さが変わった時には、適宜、変更を行えばよい。
【0074】
自動で配管内の空気抜きが行われることから、作業者によるバラツキがない。また水を装置外に溢れさせることによる床を濡らす恐れが無いことに加え、前記開閉ネジ119S閉め忘れや緩みによる漏水の恐れも防止することができる。
【0075】
図9は、本発明における第1の実施例における連係動作制御手段25と異なる連係動作制御手段の第2の実施例のブロック図である。
第2の実施例での連係動作制御手段45は、便器部100と排尿情報測定部200の間にその回路基板を別にして配置されている。
そして、使用者が便器部100の動作を指示するリモコン32からの信号と排尿情報測定部200の動作を指示するリモコン34からの信号を中継するとともに、便器部100の動作を制御する便器制御部15b及び排尿情報測定部200の動作を制御する便器制御部15aとの間でこれらの連係動作を制御するための情報をやり取りするように構成されている。以下に詳細を説明する。
【0076】
連係動作制御手段45は、便器部100及び排尿情報測定部200の動作状態を、夫々便器制御部15bおよび計測制御部15aから受信して、その動作状態をハイ/ローの2値形式の状態信号に変換して記憶する機能と、リモコン32及びリモコン34からの使用者による操作信号を受けて夫々便器制御部15bおよび計測制御部15aに送信する機能を持っている。
【0077】
次に、排尿情報測定装置101を使用時の連係動作制御手段45の動作の一例を以下に説明する。
使用者がリモコン34の測定開始SWを操作すると測定開始信号が連係動作制御手段45に送られ、連係動作制御手段45では記憶されている便器部100の動作状態情報を確認して排尿情報測定動作と干渉状態ではないと確認されると、直ちに計測制御部15aへ送信する。この信号を受信した計測制御部15aは直ちに排尿情報測定部200他を動作させて排尿情報測定動作を開始する。
この時、計測制御部15aは排尿情報測定動作の動作状態に関する情報である動作状態信号を連係動作制御手段45に送り、連係動作制御手段45は送信されてきたこの動作状態信号を予め定められた制御規則に基づいて前述したようなハイ/ローの2値形式の状態信号に変換して記憶する。
【0078】
次に、このように排尿情報測定動作が実行されているときにリモコン32を操作した場合の排尿情報測定装置101の動作を説明する。
リモコン32のSWが操作されるとそのSWに割り付けられた動作信号が連係動作制御手段45に送信される。この信号を受けた連係動作制御手段45は記憶しているハイ/ローの2値形式の状態信号に応じて予め決められた制御規則に基づいて便器部100の便器制御部15bへの送信動作を決定する。
【0079】
ここに述べている例では、実行中の排尿情報測定動作とこれから実行しようとする便器部100の動作とが影響を受ける干渉動作が発生する種類のSWが操作されたとする。
すると連係動作制御手段45はこの制御規則に定められたとおり、便器制御部15bへの動作信号の送信を保留し、干渉する排尿情報測定動作が定められた動作完了もしくは動作状態になって互いの干渉動作が発生しなくなるのを待って送信する。
【0080】
このように、前述した制御規則は、各種の動作間の干渉を防止するために、便器部100と排尿情報測定部200の動作状態毎に連係動作制御手段45から計測制御部15aまたは便器制御部15bへの動作信号の送信動作内容を決めたものである。
【0081】
このように排尿情報測定装置101に連係動作制御手段45を用意する構成にすることによって、排尿情報測定装置101を構成する便器洗浄手段や衛生洗浄手段が個別に制御を行なう構成であっても、便器洗浄手段や衛生洗浄手段の制御プログラムを大幅に変更しないで干渉動作を発生することが防止できる。
従って特に、既に商品として完成された便器部100に対して、後から排尿情報測定部200を組み付けて排尿情報測定装置101としたい場合にも、便器制御部15bの制御プログラムや制御基盤を大幅変更することが不要であるため、容易に排尿情報測定装置としての商品構成ができる方法ということになる。
【0082】
図10は、連係動作制御手段45におけるノイズ配慮を実施した回路構成の一実施例である。連携制御手段45は計測制御部15aおよび便器制御部15bと接続されることになるが、その情報伝送に対してフォトカプラ15cを使用することで、ノイズが他方に伝送させることを防止しており、結果として計測制御部15aおよび便器制御部15b間の干渉動作発生を防止することになる。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明を適用した排尿情報測定装置の実施例の全体を示す斜視図である。
【図2】本発明の排尿情報測定装置の実施例の測定系の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の排尿情報測定装置の実施例の測定系の詳細構成と、溜水の各水位を示す図である。
【図4】本発明の構成部品の関連を示す連関図である。
【図5】本発明の動作を示すフローチャートである。
【図6】本発明において使用者が正確な操作を行った時のタイミングチャートである。
【図7】本発明において使用者が不正確な操作を行った時のタイミングチャートである。
【図8】導圧路フィルターを示す断面図である。
【図9】連係動作制御手段に絞ったブロック図の変形例である。
【図10】連係動作手段部分におけるノイズ配慮を実施した回路構成の一実施例である。
【符号の説明】
【0084】
1・・・・・洋風大便器
2・・・・・ボール
3・・・・・リム面
4・・・・・溜水
5・・・・・トラップ部
6・・・・・便器給水手段
7・・・・・リム吐水ノズル
8・・・・・ゼット吐水ノズル
9・・・・・下水配管
10・・・・排水ソケット
14・・・・溜水水位測定手段
14a・・・除振手段
14b・・・校正手段
15a・・・計測制御部
15b・・・便器制御部
15c・・・フォトカプラ
16・・・・下水圧変動影響量計測手段
17・・・・溜水水位選定手段
18・・・・排尿情報算出手段
19a・・・状態監視手段
19b・・・状態受信手段
19c・・・状態表示手段
19d・・・状態送信手段
20・・・・衛生洗浄装置
20a・・・衛生洗浄手段
21・・・・分岐金具
22・・・・操作・表示部
25・・・・連携動作制御手段
30・・・・計測部
31・・・・接続部材
32・・・・リモコン(衛生洗浄装置用)
34・・・・リモコン(排尿情報測定装置用)
36・・・・プリンター
45・・・・連係動作制御手段
71・・・・リム吐水手段
81・・・・ゼット吐水手段
82・・・・分岐部
83・・・・導圧水路
91・・・・溜水補水手段
100・・・便器部
101・・・排尿情報測定装置
104・・・キャビネット
108a・・トラップ頂部
110・・・便座
112・・・便ふた
114・・・採尿装置
114a・・採尿器
114b・・採尿アーム
114c・・採尿ユニット
114d・・尿成分測定部
118・・・溜水圧力センサー
119a・・フィルター
119b・・開閉弁
119d・・開閉弁
119f・・校正管
119h・・ポンプ
119i・・トラップ
119k・・補助タンク
119l・・ポンプ
119m・・開閉弁
119n・・開閉弁
119q・・分岐部
119r・・メッシュ
119s・・開閉ネジ
120・・・制御手段
121・・・下水圧力センサー
200・・・排尿情報測定部
H・・・・・溢流水位
W・・・・・満水水位
X・・・・・空水位
X2・・・・封水水位
Y・・・・・測定開始水位
Z・・・・・排尿後水位

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の排泄物を受けるボールを有した便器と、使用者の局部を洗浄する衛生洗浄動作を行なう衛生洗浄手段と、使用者の排泄する尿の量や特定成分濃度などの排尿情報を測定する排尿情報測定動作を行なう排尿情報測定手段と、
前記便器のボール内の内容物を排出して洗浄する便器洗浄動作を行う便器洗浄手段と、を備えた排尿情報測定装置において、
前記排尿情報測定動作の開始を指示する排尿情報測定指示手段と、
前記衛生洗浄動作と前記排尿情報測定動作との連携動作を制御する連携動作制御手段とを有し、
前記連携動作制御手段は、前記衛生洗浄動作が実行されている時に前記排尿情報測定指示手段の操作があった場合は、
直ちに前記衛生洗浄手段の衛生洗浄動作を停止させるとともに、排尿情報測定手段を起動して排尿情報の測定を開始させる制御を行なうことを特徴とする排尿情報測定装置。
【請求項2】
前記衛生洗浄動作が実行されている時に前記排尿情報測定指示手段の指示があった場合、
使用者に対して前記衛生洗浄動作を停止する旨の報知を行う報知手段を有する、
ことを特徴とする請求項1記載のトイレ装置。
【請求項3】
使用者の排泄物を受けるボールを有した便器と、使用者の局部を洗浄する衛生洗浄動作を行なう衛生洗浄手段と、使用者の排泄する尿の量や特定成分濃度などの排尿情報を測定する排尿情報測定動作を行なう排尿情報測定手段と、
前記便器のボール内の内容物を排出して洗浄する便器洗浄動作を行う便器洗浄手段と、を備えた排尿情報測定装置において、
前記衛生洗浄動作の開始を指示する衛生洗浄指示手段と、
前記衛生洗浄動作と前記排尿情報測定動作との連携動作を制御する連携動作制御手段とを有し、
前記連携動作制御手段は、前記排尿情報測定動作が実行されている時に前記衛生動作指示手段の操作があった場合は、
直ちに前記排尿情報測定動作を停止させるとともに、前記衛生洗浄手段を起動して前記衛生洗浄動作を開始させる制御を行なうことを特徴とする排尿情報測定装置。
【請求項4】
前記排尿情報測定動作が実行されている時に前記洗浄指示手段による洗浄指示があった場合は、
使用者に対し前記排尿情報測定動作を停止する旨の報知を行う報知手段を有する、
ことを特徴とする請求項3記載の排尿情報測定装置。
【請求項5】
使用者の排泄物を受けるボールを有した便器と、使用者の局部を洗浄する衛生洗浄動作を行なう衛生洗浄手段と、使用者の排泄する尿の量や特定成分濃度などの排尿情報を測定する排尿情報測定動作を行なう排尿情報測定手段と、
前記便器のボール内の内容物を排出して洗浄する便器洗浄動作を行う便器洗浄手段と、を備えた排尿情報測定装置において、
前記測定動作の開始を指示する排尿情報測定指示手段と、
前記衛生洗浄動作と前記排尿情報測定動作との連携動作を制御する連携動作制御手段とを有し、
前記連携動作制御手段は、前記便器洗浄動作が実行されている時に前記排尿情報測定指示手段の操作があった場合は、前記便器洗浄動作を完了させた後に、前記排尿情報測定手段を起動して前記排尿情報測定動作を開始させる制御を行なうことを特徴とする排尿情報測定装置。
【請求項6】
前記便器洗浄動作が実行されている時に前記排尿情報測定指示手段の指示があった場合、
使用者に対して、前記便器洗浄動作中は排尿情報測定動作が開始できない旨、および/または、前記便器洗浄動作が完了した後に、前記排尿情報測定動作を開始する旨の報知を行う報知手段を有する、
ことを特徴とする請求項5記載の排尿情報測定装置。
【請求項7】
使用者の排泄物を受けるボールを有した便器と、使用者の局部を洗浄する衛生洗浄動作を行なう衛生洗浄手段と、使用者の排泄する尿の量や特定成分濃度などの排尿情報を測定する排尿情報測定動作を行なう排尿情報測定手段と、
前記便器のボール内の内容物を排出して洗浄する便器洗浄動作を行う便器洗浄手段と、を備えた排尿情報測定装置において、
前記便器洗浄動作の開始を指示する便器洗浄指示手段と、
前記衛生洗浄動作と前記排尿情報測定動作との連携動作を制御する連携動作制御手段とを有し、
前記連携動作制御手段は、前記排尿情報測定動作が実行されている時に前記便器洗浄指示手段の操作があった場合は、直ちに排尿情報測定動作を停止させるとともに、前記便器洗浄手段を起動して前記便器洗浄動作を開始させることを特徴とする排尿情報測定装置。
【請求項8】
前記排尿情報測定動作が実行されている時に前記便器洗浄指示手段による便器洗浄指示があった場合は、
使用者に対し前記排尿情報測定動作を終了する旨の報知、および/または、前記便器洗浄動作中は前記排尿情報測定動作が開始できない旨の報知を行う報知手段を有する、
ことを特徴とする請求項7記載の排尿情報測定装置。
【請求項9】
使用者の排泄物を受けるボールを有した便器と、
使用者の排泄する尿の量や特定成分濃度などの排尿情報を測定する排尿情報測定動作を行なう排尿情報測定手段と、
前記便器のボール内の内容物を排出して洗浄する便器洗浄動作を行うmailto:便器洗浄手段と、を備えた排尿情報測定装置において、
前記排尿情報測定手段は、
前記ボール部に水を供給して前記排尿情報の測定を開始する所定水位である測定開始水位を形成する測定開始水位形成動作を行なう測定開始水位形成手段と、
前記溜水のボール側の溜水であるボール部溜水の水位を測定する水位測定動作を行なう溜水水位測定手段と、
使用者が前記ボールに排尿した時に前記溜水水位測定手段によって測定される前記ボール部水位の測定値と前記測定開始水位の測定値とに基づいて使用者が排泄した尿量又は尿流率を含む排尿情報を算出する排尿情報算出手段と、
前記排尿情報測定手段の排尿情報測定動作の開始を指示する排尿情報測定指示手段と
を有し、
前記尿情報測定動作の一部を構成する前記測定開始水位形成動作が実行されている途中に、前記排尿情報測定指示手段の操作があった場合は、
前記測定開始水位形成動作を直ちに停止するとともに、
前記溜水水位測定手段を起動して前記排尿情報測定動作を継続することを特徴とする排尿情報測定装置。
【請求項10】
前記ボール部に不足している水を供給する溜水補水手段を有し、
測定開始水位形成動作の前記停止が行なわれた場合において、
前記排尿情報測定動作の終了後から便器洗浄動作開始するまでの間に、
所定量の水を前記溜水補水手段によって前記ボール部に供給する溜水補水動作を実行することを特徴とする請求項9に記載の排尿情報測定装置。
【請求項11】
前記排尿情報測定手段は、一端に前記ボール部溜水に連通する開口部と他端に大気開放された開放端部とを有する管路で構成された測定管路と、前記測定管路に連通して測定管路内の圧力を計測する圧力測定手段と、前記開口部と前記圧力測定手段との間に配設され前記測定管路を開閉する開閉手段とを有し、
前記圧力測定手段が所定値以上の単位時間当たりの圧力変化を検出した時には、
前記開閉手段を直ちに動作させて前記測定管路を閉止する
ことを特徴とする請求項1乃至10の何れか1項に記載の排尿情報測定装置。
【請求項12】
使用者の排泄物を受けるボールを有した便器と、使用者の局部を洗浄する衛生洗浄動作を行なう衛生洗浄手段と、使用者の排泄する尿の量や特定成分濃度などの排尿情報を測定する排尿情報測定動作を行なう排尿情報測定手段と、
便器のボール内の内容物を排出して洗浄する便器洗浄動作を行うmailto:便器洗浄手段と、を備えた排尿情報測定装置において、
前記衛生洗浄手段と、前記排尿情報測定手段と、前記便器洗浄手段とに夫々接続され、各動作の動作タイミングを制御する連係動作制御手段を有し、
前記連係動作制御手段は前記各手段の夫々の動作状態をハイ/ローの2値形式で記憶することを特徴とする排尿情報測定装置。
【請求項13】
前記連係動作制御手段は、前記衛生洗浄手段と前記排尿情報測定手段と前記便器洗浄手段の各動作間において、先の動作に後の動作が悪影響を及ぼす干渉動作が予想される場合は、前記後の動作の駆動情報伝送を所定時間だけ遅滞させることによって前記干渉動作の発生を防止することを特徴とする請求項12に記載の排尿情報測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図10】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−8133(P2008−8133A)
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−321063(P2006−321063)
【出願日】平成18年11月29日(2006.11.29)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】