説明

排気ガス再循環を備えるガスタービン発電機を作動するために方法

【課題】排気ガス再循環を備えるガスタービン発電機を作動する方法を提供する。
【解決手段】ガスタービン発電機が、ガスタービン6と、廃熱回収ボイラー9と、ガスタービン発電機の排気ガス19を、ガスタービン6の圧縮機吸気流3内へ再循環する第1の排気ガス部分流21と、周囲環境へ放出する第2の排気ガス部分流20とに分割する、流動分割装置29と、第1の排気ガス部分流21を制御する制御要素11、29と、圧縮機吸気流3へ周囲空気2と第1の排気ガス部分流の混合の前に、第1の排気ガス部分流21を冷却する排気ガス再冷却装置27を備える方法において、再冷却された排気ガス内に含まれる蒸気状の水の凝縮を、周囲空気2と混合する際に回避するため、第1の排気ガス部分流21が、排気ガス再冷却装置27内で再冷却の後、周囲空気2との混合の前に再加熱される。更に上記方法を実施するためのガスタービン発電機に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排気ガス再循環(Abgasrezirkulation)を備えるガスタービンを作動するために方法、およびこの方法を実施するためのガスタービン発電機に関する。
【背景技術】
【0002】
排気ガスの再循環は、基本的に、極めて異なる目的のために、ガスタービンにおいて使用され得る技術である。従って、排気ガス再循環は、例えば、NOx放出の低減のために、または、導出されるべき排気ガス流の低減のために提案される。
ガスタービンの排気ガスの再循環の際に、排気ガスの主要な割合は、全排気ガス流量から分岐され、且つ、典型的に、冷却および浄化の後に、ガスタービンの入口質量流に、または圧縮機に供給され、その際、再循環された排気ガス流が、新鮮な周囲空気と混合され、且つ、この混合物が、引き続いて、圧縮機に供給される。
【0003】
発電機の電力損失、および効率損失を、二酸化炭素分離でもって低減するために、有利には、排気ガス再循環によって、排気ガス内における二酸化炭素分圧が増大され得る。更に、排気ガス再循環は、ガスタービンの吸気ガス内における酸素濃度を低減し、その結果としてNOx放出が低減するという目的を有して提案された。
【0004】
排気ガス再循環に関して、例えば、特許文献1は、ターボ機械の、排気ガス再循環流の制御のための方法が記載されており、この排気ガス再循環流が、排気ガス再循環システムを介して、このターボ機械の入口へと再循環(戻し案内(zurueckgefuehrt))される。
この方法において、目標排気ガス再循環割合が規定され、その際、この排気ガス再循環割合が、ターボ機械の入口流の排気ガスの割合として定義され、実際値が、目標値へと制御される。
【0005】
特許文献2から、排気ガス再循環を備えるガスタービンを作動するための方法が公知であり、この方法の場合、排気ガス組成が規定され、且つ、制御機器でもって、排気ガス再循環の制御が、測定された排気ガス組成に依存して実施される。
【0006】
事実、従来技術内において、再冷却(Rueckkuehlung)の後の凝縮物の分離は記載されてはいるが、再冷却され再循環された排気ガスの、新鮮な周囲空気との混合は、更新された凝縮、および、水滴形成(Tropfenbildung)という事態になり得る。
それぞれの周囲条件、即ち吸気される周囲空気の温度および相対的な空気湿度、および、ガスタービン作動状態に応じて、この混合の場合に、著しい水滴形成という事態になり得る。
これら水滴は、吸気流と共に、圧縮機内へと到達し、且つ腐食被害を誘起する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第7,536,252号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2009/0145126号明細書
【特許文献3】ヨーロッパ特許出願公開第0718470号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、本発明の課題は、周囲空気の温度および相対的な空気湿度に依存せずに、排気ガス再循環を備えるガスタービン発電機を、高い信頼性で作動するために方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題は本発明に従い、請求項1、および請求項13の対象によって解決される。
本発明の核心は、排気ガス再循環を備えるガスタービンを作動するための方法であり、この方法の場合、再循環された排気ガスが、再冷却の後、圧縮機吸気流への周囲空気との混合の前に、再加熱(wiedererwaermt)される。
このガスタービンプロセスは、自身で、
その方法の場合、圧縮機が入口側で吸入空気を吸気し、且つ、出口側で使用に供せられる圧縮機終端空気(Verdichterendluft)へと圧縮する該方法と、
その燃焼室内において圧縮機終端空気の使用のもとで、燃料が高温ガスの形成のもとで燃焼される該燃焼室と、並びに、
そのタービン内においてこの高温ガスが作業出力のもとで解放される該タービンとを備えている。
【発明の効果】
【0010】
本発明に従う方法は、
排気ガス再循環を備えるガスタービン発電機の作動のために提案され、
このガスタービン発電機が、
ガスタービンと、
廃熱回収ボイラーと、
および、
ガスタービン発電機の排気ガスを、ガスタービンの圧縮機吸気流内への再循環のための第1の排気ガス部分流と、周囲環境への放出のための第2の排気ガス部分流とに分割する、流動分割装置と、
第1の排気ガス部分流を制御するための制御要素と、
並びに、
圧縮機吸気流への、周囲空気とのこの第1の排気ガス部分流の混合の前に、第1の排気ガス部分流を冷却するための排気ガス再冷却装置(Rueckkuehler)とを備えている。
本発明は、第1の排気ガス部分流が、排気ガス再冷却装置27内における再冷却の後、および、周囲空気との混合の前に再加熱されることによって特徴付けられている。
この再加熱によって、
再冷却された、排気ガス内において含まれる蒸気状の水の凝縮は、周囲空気との混合の結果としての冷却の際に回避される。
第2の排気ガス部分流は、直接的に、周囲環境に放出され(angegeben)、または、後処理へと引渡される。例えば、残余流が周囲環境に放出される前に、この第2の排気ガス部分流から、COが分離されることは可能である。
【0011】
再循環された排気ガスの再加熱の際の温度上昇は、その際、再循環された排気ガスと周囲空気の混合の際に形成する吸気流の相対的な空気湿度が、100%以下に留まるように選択されるべきである。
再循環された排気ガスと周囲空気の均質な混合が、実際的には困難な状態で実現され得るので、温度上昇は、有利にはより大きく選択されるべきであり、
従って、再循環された排気ガスと周囲空気の混合の際に、その吸気流が、平均的に、95%よりも小さい相対的な空気湿度を有している該吸気流が作り出される。
不完全な混合を有する設備のために、温度上昇は、
再循環された排気ガスと周囲空気の均質な混合の際に、その吸気流が、平均的に、90%よりも小さい相対的な空気湿度を有しているか、またはそれどころか、80%よりも小さい相対的な空気湿度を有している該吸気流が作り出されるように、選択されるべきである。
【0012】
再加熱のために、例えば、水蒸気循環回路の廃熱、または、
冷却器、例えば発電機冷却器(Generatorkuehler)、冷却空気冷却器(Kuehlluftkuehler)、またはオイル冷却器(Oelkuehler)の廃熱が使用される。
【0013】
本発明の方法の実施形態に従い、再加熱による温度上昇は、吸気される周囲空気の温度に依存して制御される。
【0014】
吸気された周囲空気の温度が低くなればなる程に、より強度に、再循環された排気ガスは混合の際に冷却され、且つ、より早く(desto eher)湿気を凝縮可能である。このことを回避するために、再循環された排気ガスは、吸気された周囲空気が低温になれば成る程、それだけいっそう強度に再加熱される。
【0015】
更に、混合の際の凝縮の危険は、吸気された周囲空気の相対的な空気湿度に依存する。
吸気された周囲空気の相対的な空気湿度が高くなればなる程に、より容易に、混合の際の湿気は凝縮される。
本発明の方法の実施形態により、従って、吸気される周囲空気(2)の相対的な空気湿度(R2)に依存して制御される
【0016】
本発明の方法の更に別の実施形態において、再加熱は、吸気される周囲空気の温度、および相対的な空気湿度に依存して制御される。
【0017】
混合、および、特に、混合の結果としての可能な過飽和は、強度に、排気ガス再循環割合に、即ち、全排気ガス流量、または全圧縮機吸気流量に対する再循環された排気ガス流量の比率に依存する。
更に別の実施形態において、再加熱は、排気ガス再循環割合に依存して制御される。
1つの実施形態において、再加熱は、排気ガス再循環割合、および、周囲空気の温度、及び/または周囲空気の相対的な空気湿度に依存して制御される。
【0018】
典型的に、第1の排気ガス部分流は、再冷却の後に、湿気でもって飽和される。絶対的な湿気含有量、および従って同様に、凝縮の危険は、従って、同様に、再冷却の後の、第1の排気ガス部分流の温度にも依存する。
本発明の方法の実施形態に従い、再加熱による温度上昇は、再冷却の後の、第1の排気ガス部分流の温度に依存して制御される。
【0019】
作動条件、および再冷却に応じて、再循環された排気ガス内における相対的な空気湿度は、しかしながら、100%以下の値である。これら条件のもとで、再加熱を最小限に制限可能とするために、本発明の方法の更に別の実施形態に従い、再加熱による温度上昇は、再冷却の後の、第1の排気ガス部分流の相対的な空気湿度に依存して制御される。
【0020】
選択的に、または、温度と、吸気された周囲空気および再循環された排気ガスの相対的な湿度との組み合わせにおいて、再加熱による温度上昇は、同様に、新鮮な周囲空気との、再冷却され再循環された排気ガスの混合の後の、圧縮機吸気流の温度に依存して制御されることは可能である。
【0021】
更に、本発明の方法の実施形態において、再加熱による温度上昇は、圧縮機吸気流の相対的な空気湿度に依存して制御される。
【0022】
1つの実施形態において、再加熱による温度上昇は、圧縮機吸気流の相対的な空気湿度が、100%よりも小さい。
【0023】
凝縮に対する比較的に高い信頼性を、特に、不均質な混合の際に与える、更に別の実施形態において、
再加熱による温度上昇は、圧縮機吸気流の相対的な空気湿度が、95%よりも小さい。
【0024】
相対的な湿度の測定のためのセンサーにおける凝縮の危険に基づいて、実際上は、困難に、100%に近い、相対的な空気湿度は、いわば飽和された流動内において、測定されねばならない。
従って、本発明の方法の1つの実施形態において、新鮮な周囲空気との、再冷却され再循環された排気ガスの混合の後の混合の後の、吸気流内における空気湿度は、他の測定、及び/または作動パラメータから算出される。これらは、例えば、再冷却され再循環された排気ガス、および新鮮な周囲空気の温度、質量流量である。
【0025】
更に、圧縮機入口状態は、同様に、圧縮機内において測定されるプロセス量に基づいて算出される。この目的で、例えば、相対的な湿度、温度、および圧力が、圧縮機入口において、または、この圧縮機から分岐される冷却空気流内において測定され、且つ、従って、入口条件が近似(angenaehrt)される。
【0026】
典型的に、混合の際の絶対的な湿度は、変化しない。
相対的、および絶対的な湿度は、圧縮機内において、または、この圧縮機の分岐部内において、問題無く測定され得る。何故ならば、相対的な空気湿度は、混合の際に、加熱、および圧縮に基づいて、迅速に低下するからである。飽和されたガスの場合に生じる、測定技術的な問題は、従って発生しない。
圧縮機内において、水が、例えば、出力上昇のために供給された場合、吸気容積流量に関する、供給された水流量は、絶対的な入口湿度の算出の際に差し引かれるべきである。
【0027】
圧縮機入口温度、および絶対的な湿度の測定でもって、相対的な湿度が算出され得る。
この圧縮機入口温度は、自体、圧力比、および公知の圧縮機の特性マップを介して、この圧縮機内における状態量を出発点として、近似され得る。このことは、入口温度測定の高信頼性が、温度測定における凝縮によって阻害されている場合に有利である。
更に、空気が、圧縮機端部に至るまで混ぜ合わされ、従って、混合物温度は、単に1つまたは少数の測定位置でもって、高い信頼性で測定され得る。
周囲環境の空気と典型的な比較的に熱い再循環された排気ガスとの均質の混合が、圧縮機入口において、実際的に可能ではないので、混合物温度の測定は、この圧縮機入口において、ただ多数の測定位置でもって、および大きな手間暇に相応してだけで可能である。
【0028】
圧縮機入口において、吸入空気は、強度に加速され、従って、第1の段階において凝縮し始める可能性がある。この加速は、少なくとも1つの位置調節可能な圧縮機案内ベーンを有する、最新式のガスタービンにおいて、少なくとも1つの位置調節可能な圧縮機案内ベーンにおける方向転換に依存する。
本発明の方法の1つの実施形態に従い、再加熱による温度上昇は、位置調節可能な圧縮機案内ベーン列の位置に依存して制御される。
【0029】
本発明の方法は、例えば、一つまたは多数の圧縮機、1つの燃焼室、および1つのタービンを備える、ガスタービンに使用可能であり、その際、
上記圧縮機が、吸気ガスを圧縮し、
燃料がこの燃焼室内において圧縮されたガスと共に、高温ガスへと燃焼され、
この高温ガスが、タービン内において、作業放出のもとで解放され、且つ、
このタービンが、上記圧縮機を駆動し、且つ使用可能な出力を発する。
【0030】
更に、上記のことは、一連の燃焼室を備えるガスタービンに、
即ち、一つまたは多数の圧縮機、第1の燃焼室、高圧タービン、第2の燃焼室(一連の燃焼室)、および低圧タービンを備えるガスタービンに使用可能である。
【0031】
この方法と並んで、排気ガス再循環を備える、この方法を実施するためのガスタービン発電機は、本発明の対象である。
この様式の発電機は、
圧縮機、燃焼室およびタービン、並びに制御器を有するガスタービンと、
廃熱回収ボイラーと、および、
排気ガスを、ガスタービンの圧縮機吸気流内への再循環のための第1の排気ガス部分流と、周囲環境への放出のための第2の排気ガス部分流とに分割する、流動分割装置と、並びに、
排気ガス質量流量の分配を制御するための制御要素とを備えている。
本発明に従い、この様式の発電機は、再循環された排気ガスの再冷却のための熱交換器と並んで、
排気ガス再冷却装置と、圧縮機吸気流内への第1の排気ガス部分流の混合部との間の、再循環導管内において、再循環された排気ガスの再加熱のための熱交換器を、再冷却の後に備えている、
ことによって特徴付けられている。
【0032】
排気ガス再冷却装置として、例えば、冷却水でもって作動する熱交換器、流下式冷却器(Rieselkuehler)、噴霧式冷却器(Spruehkuehler)が使用され得る。
流下式冷却器または噴霧式冷却器の使用は、
必要な温度差が極めて小さく、且つ、再循環されたガスが同時に洗浄され、且つ従って、
潜在的に有害な汚染物が、ガスタービン内への再循環されるガスの再導入の前に、除去されることの利点を有している。
【0033】
本発明の1つの実施形態に従い、
ガスタービン発電機は、
温度、及び/または、排気ガス再冷却装置と吸気流内への第1の排気ガス部分流の混合部との間の相対的な空気湿度の測定のための、少なくとも1つの測定器具を備えている。
この測定器具は、熱交換器の前または後ろに、第1の排気ガス部分流(21)の再加熱のために設けられている。
【0034】
更に別の実施形態に従い、
本発明に従うガスタービン発電機は、
温度、及び/または、吸気流内への第1の排気ガス部分流の混合部と、圧縮機入口との間の相対的な空気湿度の測定のための測定器具を備えている。
【0035】
更に、ガスタービン発電機は、
温度、及び/または、周囲環境から吸気された周囲空気の相対的な空気湿度の測定のための測定器具を備えている。
【0036】
廃熱を、第1の排気ガス部分流の再加熱のために使用可能とするために、
第1の排気ガス部分流の再加熱のための熱交換器は、
導管を介して、水蒸気循環回路と、および、発電機、ガスタービン設備の冷却空気冷却器、またはオイル冷却器の冷却循環回路とに結合されている。
【0037】
全ての、説明された利点は、本発明の領域を離れること無しに、
それぞれに与えられた組み合わせだけでなく、他の組み合わせまたは単独の状態でも使用可能である。
例えば、再加熱の後での相対的な湿度の測定の代わりに、
排気ガス再冷却装置の前の相対的な湿度、および温度、
再循環された排気ガスの質量流量、
排気ガス再冷却装置内において分離された凝縮量、並びに、
再加熱の後の温度が測定され得、且つ、従ってこの相対的な湿度が算出され得る。
【0038】
次に、本発明の有利な実施形態を、単に説明のために使用され且つ限定的に解釈されるべきでない図に基づいて、詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】排気ガスの再循環装置を備えるガスタービン発電機の概略図である。
【図2】一連の燃焼室を有するガスタービンと、排気ガスの再循環装置とを備えるガスタービン発電機の概略図である。
【図3】一連の燃焼室を有するガスタービンと、排気ガスの再循環装置と、および、二酸化炭素分離システムを備えるガスタービン発電機の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
図1は、本発明に従うガスタービン発電機の主要な要素を概略図において示している。
ガスタービン6は、圧縮機(コンプレッサー)1を備えており、その内において圧縮された燃焼用空気が、燃焼室4に供給され、且つ、そこで、燃料5と共に燃焼される。引き続いて、高温の燃焼ガスは、タービン7内において解放される。
このタービン7内において形成された有用エネルギーは、次いで、例えば、同じ軸の上に設けられた、第1の発電機25でもって、電気的なエネルギーに変換される。圧縮機1の圧縮機吸気流3は、位置調節可能な案内ベーン38を介して制御される。
【0041】
タービン7から流出した高温の排気ガス8は、その内において未だに含まれているエネルギーの最適な利用のために、廃熱回収ボイラー(Heat recovery steam generator, HRSG)9内において、生蒸気30を蒸気タービン13または他の設備のために形成することの目的で使用される。この蒸気タービン13内において形成された有用エネルギーは、例えば、同じ軸の上に設けられた、第2の発電機26でもって、電気的なエネルギーに変換される。
水蒸気循環回路39は、この実施例内において、簡略化されており、且つ、単に概略的に、凝縮器14および供給水導管16でもって図示されている。異なる圧縮段階、供給水ポンプ、等は、図示されていない。何故ならば、本発明の対象ではないからである。
【0042】
廃熱回収ボイラー9からの排気ガス19は、この廃熱回収ボイラー9の下流側で、流動分割装置29内において、第1の排気ガス部分流21および第2の排気ガス部分流20に分割される。
この第1の排気ガス部分流21は、ガスタービン6の吸気導管内へと再循環され、且つ、そこで、周囲空気2と混合される。再循環されない第2の排気ガス部分流20は、煙突32を介して、周囲環境に放出される。
排気ガス導管の圧力損失を克服するために、および、排気ガス流の分配の更に別の制御可能性として、選択的に、排気ガスブロワー11、または制御可能な排気ガスブロワー11が設けられている。
【0043】
図示された実施例において、流動分割装置29は、制御要素として構成されており、この制御要素は、この再循環流を制御することを許容する。
【0044】
再循環でもっての作動状態において、再循環された排気ガス部分流21は、排気ガス再冷却装置27内において、典型的に、ほぼ周囲温度を超えて冷却される。この排気ガス再冷却装置27の下流側に、ブースターまたは排気ガスブロワー11が、再循環された排気ガス部分流21のために設けられている。
この再循環された排気ガス部分流が、周囲空気2と混合され、且つ、ガスタービン6に、圧縮機吸気流3として供給される前に、この再循環された排気ガス部分流21は、熱交換器37内において、この再循環された排気ガス部分流の相対的な湿度を低減するために再加熱される。
【0045】
図1内における実施例は、単個の燃焼室4を有するガスタービン6を示している。
本発明は、制限無しに、同様に、例えば特許文献3から公知のような、一連の燃焼室、および排気ガス再循環を有するガスタービンのためにも使用可能である。
図2内において、概略的に、一連の燃焼室を有するガスタービン発電機のための1つの実施例が示されている。
このガスタービン燃焼室4に、高圧タービン33が後に続いている。この高圧タービン33の、作業放出(Arbeitsabgabe)のもとで部分解放された流出ガスを、第2の燃焼室34内において、再度、燃料5が供給され、且つ燃焼される。この第2の燃焼室34の高温の燃焼ガスは、低圧タービン35内において、作業放出のもとで再び解放される。
廃熱の利用、並びに再循環、および、再加熱は、図1の実施例と類似して行われる。単に、付加的な制御要素36が、再循環流の制御のために、再循環導管内において設けられている。この配設の場合、流動分割装置29は、制御機能無しに構成され得る。
【0046】
図3内において、図1を基礎として、付加的に、更に、二酸化炭素分離システム18が図示されている。
再循環されない排気ガス部分流20は、典型的に、排気ガス再冷却装置23内において更に冷却され、且つ、この二酸化炭素分離システム18に供給される。この二酸化炭素分離システムから、二酸化炭素の少ない排気ガス22が、煙突32を介して、周囲環境に放出される。
この二酸化炭素分離システム18、および排気ガス導管の圧力損失を克服するために、
排気ガスブロワー10が設けられている。この二酸化炭素分離システム18内において分離された二酸化炭素31は、典型的に、圧縮機(図示されていない)内において圧縮され、且つ、収納または更に別の処理のために導出される。
この二酸化炭素分離システム18は、蒸気抽出装置(Dampfextraktion)15を介して、
蒸気、典型的には、蒸気タービン13から分岐された中圧蒸気または低圧蒸気を供給される。この蒸気は、水蒸気循環回路に、エネルギー放出の後、二酸化炭素分離システム18内において、液状の水の様式において、または蒸気として、もしくは水と蒸気の混合物として、再び供給される。
図示された実施例において、この蒸気は凝縮され、且つ、凝縮物・戻し案内導管(Kondensat-Rueckfuehrleitung)17を介して、供給水に供給される。
【0047】
第2の排気ガス部分流20は、同様に、直接的に、バイパス調節蓋または弁12排気ガスバイパス24を介して、煙突32へと案内され得る。
【符号の説明】
【0048】
1 圧縮機
2 周囲空気
3 圧縮機吸気流
4 燃焼室、第1の燃焼室
5 燃料
6 ガスタービン
7 タービン
8 ガスタービンの高温の排気ガス
9 廃熱回収ボイラー(heat recovery steam generator, HRSG)
10 (二酸化炭素分離システムまたは煙突への)第2の部分的な排気ガス部分流のための排気ガスブロワー
11 第1の排気ガス部分流(排気ガス再循環)のための排気ガスブロワー
12 バイパス調節蓋または弁
13 蒸気タービン
14 凝縮器
15 二酸化炭素分離システムのための蒸気抽出装置
16 供給水導管
17 凝縮物・戻し案内導管
18 二酸化炭素分離システム
19 熱回収ボイラーからの排気ガス
20 第2の排気ガス部分流
21 第1の排気ガス部分流(排気ガス再循環)
22 二酸化炭素の少ない排気ガス
23 (第2の排気ガス部分流のための)排気ガス再冷却装置
24 煙突への排気ガスバイパス
25 第1の発電機
26 第2の発電機
27 (第1の排気ガス部分流のための)排気ガス再冷却装置
29 流動分割装置
30 生蒸気
31 分離された二酸化炭素
32 煙突
33 高圧タービン
34 第2の燃焼室
35 低圧タービン
36 制御要素
37 熱交換器
38 位置調節可能な案内ベーン(圧縮機案内ベーン列)
39 水蒸気循環回路
T1 再加熱の後の温度
T2 吸気された周囲空気の温度
T3 圧縮機吸気流の温度
R1 再加熱の後の相対的な湿度
R2 吸気された周囲空気の相対的な湿度
R3 圧縮機吸気流の相対的な湿度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気ガス再循環を備えるガスタービン発電機を作動するために方法であって、このガスタービン発電機が、
ガスタービン(6)と、
廃熱回収ボイラー(9)と、
および、
ガスタービン発電機の排気ガス(19)を、ガスタービン(6)の圧縮機吸気流(3)内への再循環のための第1の排気ガス部分流(21)と、周囲環境への放出のための第2の排気ガス部分流(20、24)とに分割する、流動分割装置(29)と、
第1の排気ガス部分流(21)を制御するための制御要素(11、29、36)と、
並びに、
圧縮機吸気流(3)への、周囲空気(2)とのこの第1の排気ガス部分流の混合の前に、第1の排気ガス部分流(21)を冷却するための排気ガス再冷却装置(27)とを備えている様式の上記方法において、
再冷却された、排気ガス内において含まれる蒸気状の水の凝縮を、周囲空気(2)との混合の結果としての冷却の際に回避するために、
第1の排気ガス部分流(21)が、排気ガス再冷却装置27内における再冷却の後、および、周囲空気(2)との混合の前に再加熱されることを特徴とする方法。
【請求項2】
再加熱による温度上昇は、
吸気される周囲空気(2)の温度(T2)に依存して制御されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
再加熱による温度上昇は、
吸気される周囲空気(2)の相対的な空気湿度(R2)に依存して制御されることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
再加熱による温度上昇は、
全排気ガス質量流量に対する再循環された排気ガス質量流量の比率に依存して制御される
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の方法。
【請求項5】
再加熱による温度上昇は、
再冷却の後の、第1の排気ガス部分流(21)の温度に依存して制御されることを特徴とする請求項1から4のいずれか一つに記載の方法。
【請求項6】
再加熱による温度上昇は、
再冷却の後の、第1の排気ガス部分流(21)の相対的な空気湿度に依存して制御されることを特徴とする請求項1から5のいずれか一つに記載の方法。
【請求項7】
再加熱による温度上昇は、
圧縮機吸気流(3)の温度(T3)に依存して制御されることを特徴とする請求項1から6のいずれか一つに記載の方法。
【請求項8】
再加熱による温度上昇は、
圧縮機吸気流(3)の相対的な空気湿度(R3)に依存して制御されることを特徴とする請求項1から7のいずれか一つに記載の方法。
【請求項9】
再加熱による温度上昇は、
圧縮機吸気流(3)の相対的な空気湿度(R3)が、100%よりも小さい、ように制御されることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
再加熱による温度上昇は、
圧縮機吸気流(3)の相対的な空気湿度(R3)が、95%よりも小さい、ように制御されることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項11】
圧縮機入口における、圧縮機入口温度、及び/または相対的な湿度は、
圧縮機入口、またはこの圧縮機の中間段階における、圧力測定、温度測定、および湿度測定から算出されることを特徴とする請求項7から10のいずれか一つに記載の方法。
【請求項12】
再加熱による温度上昇は、
位置調節可能な圧縮機案内ベーン列(38)の位置に依存して制御されることを特徴とする請求項1から11のいずれか一つに記載の方法。
【請求項13】
排気ガス再循環を備えるガスタービン発電機であって、
このガスタービン発電機が、
制御器を有するガスタービン(6)と、
廃熱回収ボイラー(9)と、
および、
排気ガス(19)を、ガスタービン(6)の圧縮機吸気流(3)内への再循環のための第1の排気ガス部分流(21)と、周囲環境への放出のための第2の排気ガス部分流(20、24)とに分割する、流動分割装置(29)と、
第1の排気ガス部分流(21)を制御するための制御要素(29、36)と、
並びに、
圧縮機吸気流(3)への、周囲空気(2)とのこの第1の排気ガス部分流の混合の前に、第1の排気ガス部分流(21)を冷却するための排気ガス再冷却装置(27)とを備える様式の上記ガスタービン発電機において、
排気ガス再冷却装置(27)と、ガスタービンの圧縮機吸気流(3)内への第1の排気ガス部分流(21)の混合部との間の、再循環導管内において、
第1の排気ガス部分流(21)の再加熱のための熱交換器(37)が設けられていることを特徴とするガスタービン発電機。
【請求項14】
ガスタービン発電機は、
温度(T1)、及び/または、相対的な空気湿度(R1)の測定のための測定器具を、第1の排気ガス部分流(21)の再加熱のための熱交換器(37)の後ろで備えていることを特徴とする請求項13に記載のガスタービン発電機。
【請求項15】
第1の排気ガス部分流の再加熱のための熱交換器(37)は、
水蒸気循環回路と、および、発電機、冷却空気冷却器、またはオイル冷却器の冷却循環回路とに結合されていることを特徴とする請求項13に記載のガスタービン発電機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−29305(P2013−29305A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−164543(P2012−164543)
【出願日】平成24年7月25日(2012.7.25)
【出願人】(503416353)アルストム テクノロジー リミテッド (394)
【氏名又は名称原語表記】ALSTOM Technology Ltd
【住所又は居所原語表記】Brown Boveri Strasse 7, CH−5400 Baden, Switzerland