説明

排気ガス再循環システム

【課題】還流排気ガスが混合された吸気ガスを所望の吸気温度でエンジンに供給でき、エンジンの燃費を向上させることができる排気ガス再循環システムを提供する。
【解決手段】ターボチャージャ2と、ターボチャージャ2のコンプレッサ2aとエンジン5の吸気口との間を接続する高圧吸気通路10と、高圧吸気通路10に介在され、吸気ガスをサブ冷却循環回路20を用いて冷却するチャージエアクーラ3と、エンジン5の排気口とターボチャージャ2のタービン2bとの間を接続する高圧排気通路11と、高圧排気通路11から分岐され、高圧吸気通路10に接続する排気ガス還流通路12と、排気ガス還流通路12に介在され、排気ガスをエンジン5の冷却循環回路30を用いて冷却する排気ガスクーラ4とを備えた排気ガス再循環システム1Aであって、排気ガス還流通路12は、チャージエアクーラ3の上流位置で高圧吸気通路10に接続された。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排気ガスを内燃機関の吸気側に戻す排気ガス再循環システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ターボチャージ付きの内燃機関にあって、排気ガスのガス圧を利用してターボチャージャを駆動すると共に排気ガスの一部を吸気系に戻すことにより、内燃機関での燃焼温度を下げてNOxの発生を低下させる排気ガス再循環システム(Exhaust Gas Ricircurationシステム)が提案されている。
【0003】
この排気ガス再循環システムには、排気ガスをターボチャージャの上流位置で吸気系に戻すLPL(ロープレッシャループ)タイプ(特許文献1参照)と、排気ガスをターボチャージャの下流位置で吸気系に戻すHPL(ハイプレッシャループ)タイプ(特許文献2参照)とがある。LPLタイプでは、排気ガスの戻し位置から内燃機関までの経路が長くなるため、吸気系に戻す排気ガスのオン・オフ制御のレスポンスが悪く繊細な制御ができない。これに対し、HPLタイプでは上記した不具合がなく、HPLタイプの方が燃費効果が高い。HPLタイプの一従来例が図5に示されている。
【0004】
図5において、排気ガス再循環システム100は、吸気ガスを圧縮するコンプレッサ101aとコンプレッサ101aを駆動するタービン101bを有するターボチャージャ101と、ターボチャージャ101のコンプレッサ101aとエンジン103の吸気口との間を接続する高圧吸気通路110と、高圧吸気通路110に介在され、吸気ガスを冷却するチャージエアクーラ102と、エンジン103の排気口とターボチャージャ101のタービン101bとの間を接続する高圧排気通路111と、高圧排気通路111から分岐され、高圧吸気通路110に接続する排気ガス還流通路112と、排気ガス還流通路112に介在され、排気ガスを冷却する排気ガスクーラ104とを備えている。
【0005】
チャージエアクーラ102は、吸気ガスとサブ冷却循環回路120のサブ冷却水との間で熱交換し、吸気ガスを冷却する。サブ冷却循環回路120は、サブラジエータ121で冷却されたサブ冷却水が空調装置の水冷コンデンサ142、チャージエアクーラ102を循環するよう構成されている。
【0006】
排気ガス還流通路112は、チャージエアクーラ102の下流位置で高圧吸気通路110に接続されている。
【0007】
排気ガスクーラ104は、排気ガスとエンジン103の冷却循環回路130の冷媒との間で熱交換し、排気ガスを冷却する。エンジン103の冷却循環回路130は、ラジエータ131で冷却されたエンジン冷却水がエンジン103、空調装置のヒータコア132、排気ガスクーラ104、再度エンジン103、ラジエータ131の順で循環するよう構成されている。
【0008】
上記構成において、吸気ガスはターボチャージャ101のコンプレッサ101aによって加圧され、高温(例えば150℃)で高圧の吸気ガスとされる。この高温で高圧の吸気ガスは、チャージエアクーラ102によって冷却される。一方、エンジン103からの高温(例えば300℃)で高圧の排気ガスは、高圧排気通路111よりターボチャージャ101のタービン101bに供給されると共に、その一部が排気ガス還流通路112に導かれる。排気ガス還流通路112に導かれた排気ガスは、排気ガスクーラ104で冷却されて、チャージエアクーラ102の下流位置で高圧吸気通路110に戻される。エンジン103には、排気ガスが混合された吸気ガスが供給されるため、エンジン103内での燃料の燃焼が抑制され、燃焼温度が下がる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2008−64399号公報
【特許文献1】特開2008−38891号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、前記従来の排気ガス再循環システム100では、次のような問題がある。つまり、エンジン103の燃費は、その吸気ガスの温度に依存する。そのため、吸気ガスの温度は、燃費的に見て所望の温度範囲(例えば50℃前後)が望ましい。チャージエアクーラ102は、吸気ガスを上記の所望温度の範囲(例えば55℃)に冷却する。しかし、排気ガスクーラ104は、エンジン103の冷却循環回路130のエンジン冷却水で、且つ、ヒータコア132を通過したもの(例えば100℃)を使用し、300℃程度の排気ガスを冷却する。そのため、排気ガスの温度は、通常100℃を超える。そして、100℃を越える排気ガスがエンジン103への吸気直前で吸気ガスに混合されるため、エンジン103への吸気温度は、80℃〜100℃の高温になり、燃費の向上を図ることができない。
【0011】
ここで、排気ガスクーラ104をサブ冷却循環回路120のサブ冷却水で冷却する構成とすることが考えられるが、300℃程度の排気ガスを50℃前後まで冷却できるものにしようとすると、サブラジエータ121が非常に大型化し、実用的ではない。
【0012】
そこで、本発明は、前記した課題を解決すべくなされたものであり、排気ガスが混合された吸気ガスを所望の吸気温度で内燃機関に供給でき、内燃機関の燃費を向上させることができる排気ガス再循環システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、吸気ガスを圧縮するコンプレッサと前記コンプレッサを駆動するタービンを有するターボチャージャと、前記ターボチャージャの前記コンプレッサと内燃機関の吸気口との間を接続する高圧吸気通路と、前記高圧吸気通路に介在され、吸気ガスを冷却するチャージエアクーラと、前記内燃機関の排気口と前記ターボチャージャの前記タービンとの間を接続する高圧排気通路と、前記高圧排気通路から分岐され、前記高圧吸気通路に接続する排気ガス還流通路と、前記排気ガス還流通路に介在され、排気ガスを前記内燃機関の冷却循環回路を用いて冷却する排気ガスクーラとを備えた排気ガス再循環システムであって、前記排気ガス還流通路は、前記チャージエアクーラの上流位置で前記高圧吸気通路に接続されたことを特徴とする。
【0014】
前記チャージエアクーラは、前記内燃機関の冷却循環回路とは別の冷却循環回路のサブ冷却水を用いて吸気ガスを冷却することが好ましい。
【0015】
前記高圧吸気通路には、前記チャージエアクーラより上流位置にプレチャージエアクーラが介在されることが好ましい。
【0016】
前記プレチャージエアクーラは、吸気ガスを前記内燃機関の冷却循環回路を用いて冷却することが好ましい。
【0017】
前記排気ガス還流通路は、前記プレチャージエアクーラよりも下流位置で前記高圧吸気通路に接続されることが好ましい。
【0018】
前記内燃機関の冷却循環回路は、ラジエータで冷却された冷媒が内燃機関、前記排気ガスクーラ、再び前記内燃機関の順で循環すると共に、前記ラジエータで冷却された冷媒が前記プレチャージエアクーラ、前記内燃機関の順で循環するよう構成されたことが好ましい。
【0019】
前記内燃機関の冷却循環回路は、前記ラジエータで冷却された冷媒が、前記内燃機関、前記排気ガスクーラ、前記プレチャージエアクーラ、再び前記内燃機関の順で循環するよう構成されたことが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、内気ガスより排出された高温の排気ガスは、排気ガスクーラで内燃機関の冷却循環回路を用いて冷却され、この冷却された排気ガスと吸気ガスが混合され、排気ガスの混合された吸気ガスがチャージエアクーラで冷却される。ここで、排気ガスクーラは、内燃機関の冷却循環回路を利用して排気ガスを冷却するため、高温の排気ガスを内燃機関の所望の吸気温度まで冷却する冷却性能を有しないが、チャージエアクーラとしては、吸気ガスを内燃機関の所望の吸気温度まで冷却できる冷却性能を有するものが設置されるため、排気ガスが混合された吸気ガスを内燃機関の所望の吸気温度まで冷却できる。従って、排気ガスが混合された吸気ガスを所望の吸気温度で内燃機関に供給でき、内燃機関の燃費を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1実施形態を示し、排気ガス再循環システムの概略構成図である。
【図2】本発明の第2実施形態を示し、排気ガス再循環システムの概略構成図である。
【図3】本発明の第3実施形態を示し、排気ガス再循環システムの概略構成図である。
【図4】本発明の第4実施形態を示し、排気ガス再循環システムの概略構成図である。
【図5】従来例を示し、排気ガス再循環システムの概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0023】
(第1実施形態)
図1は本発明の第1実施形態を示す。図1に示すように、排気ガス再循環システム1Aは、吸気ガスを圧縮するコンプレッサ2aとコンプレッサ2aを駆動するタービン2bを有するターボチャージャ2と、ターボチャージャ2のコンプレッサ2aとエンジン(内燃機関)5の吸気口との間を接続する高圧吸気通路10と、高圧吸気通路10に介在され、吸気ガスを冷却するチャージエアクーラ3と、エンジン5の排気口とターボチャージャ2のタービン2bとの間を接続する高圧排気通路11と、高圧排気通路11から分岐され、高圧吸気通路10に接続する排気ガス還流通路12と、排気ガス還流通路12に介在され、排気ガスを冷却する排気ガスクーラ4とを備えている。
【0024】
チャージエアクーラ3は、吸気ガスとサブ冷却循環回路20の冷媒であるサブ冷却水との間で熱交換し、吸気ガスを冷却する。チャージエアクーラ3は、吸気ガスをエンジンの所望の吸気温度(例えば50℃前後)まで冷却する冷却性能を有する。サブ冷却循環回路20は、サブラジエータ21で冷却されたサブ冷却水を、空調装置の水冷コンデンサ42、チャージエアクーラ3の順に電動ポンプ22によって循環する。サブラジエータ21は、空気との熱交換でサブ冷却水を冷却する。
【0025】
空調装置の水冷コンデンサ42は、空調用冷凍回路40に介在されている。空調用冷凍回路40は、空冷コンデンサ41と水冷コンデンサ42を有する。空冷コンデンサ41は、空気との熱交換で冷媒を冷却する。水冷コンデンサ42は、サブ冷却循環回路20のサブ冷却水との熱交換で冷媒を冷却する。
【0026】
排気ガス還流通路12は、チャージエアクーラ3の上流位置で高圧吸気通路10に接続されている。
【0027】
排気ガスクーラ4は、排気ガスとエンジン5の冷却循環回路30の冷媒であるエンジン冷却水との間で熱交換し、排気ガスを冷却する。エンジン5の冷却循環回路30は、ラジエータ31で冷却されたエンジン冷却水が、エンジン5、空調装置のヒータコア32、排気ガスクーラ4、再度エンジン5、ラジエータ31の順で循環するよう構成されている。又、エンジン5の冷却循環回路30は、ラジエータ31をショートカットして、エンジン冷却水がエンジン5、空調装置のヒータコア32、排気ガスクーラ4を循環できるよう構成されている。エンジン冷却水の温度調整のために、ラジエータ31にエンジン冷却水を流さない時でも、エンジン冷却水をヒータコア32、排気ガスクーラ4に流すためである。
【0028】
尚、エンジン5の冷却循環回路30は、図面上で明確化するため、下記の実施形態も含めてハッチング表示してある。
【0029】
ラジエータ31は、空気との熱交換でエンジン冷却水を冷却する。ラジエータ31は、サブラジエータ21と空冷コンデンサ41と共にエンジンルーム内で、且つ、例えば積層状態で配置される。
【0030】
上記構成において、吸気ガスは、ターボチャージャ2のコンプレッサ2aによって加圧され、高温(例えば150℃)で高圧の吸気ガスとされる。この高温で高圧の吸気ガスは、チャージエアクーラ3に供給される。一方、エンジン5からの高温(例えば300℃)で高圧の排気ガスは、高圧排気通路11よりターボチャージャ2のタービン2bに供給されると共に、その一部が排気ガス還流通路12に導かれる。排気ガス還流通路12に導かれた排気ガスは、排気ガスクーラ4で冷却される。この冷却された排気ガスは、高圧吸気通路10に戻され、吸気ガスに混合される。排気ガスが混合された吸気ガスは、チャージエアクーラ3でサブ冷却循環回路20のサブ冷却水によって冷却される。
【0031】
ここで、排気ガスクーラ4は、エンジン5の冷却循環回路30を利用して排気ガスを冷却するため、高温の排気ガスをエンジン5の所望の吸気温度まで冷却する冷却性能を有しないが、ある程度の温度(例えば100℃)まで冷却する。チャージエアクーラ3は、この第1実施形態のように、吸気ガスをエンジン5の所望の吸気温度(例えば50℃前後)まで冷却できる冷却性能を有するものが設置されるため、排気ガスが混合された吸気ガスをエンジン5の所望の吸気温度(例えば50℃前後)まで冷却する。従って、排気ガスが混合された吸気ガスを所望の吸気温度でエンジン5に供給でき、エンジン5の燃費を向上させることができる。
【0032】
以上説明したように、排気ガス還流通路12は、チャージエアクーラ3の上流位置で高圧吸気通路10に接続されているので、排気ガスが混合された吸気ガスを所望の吸気温度(例えば50℃前後)でエンジン5に供給でき、エンジン5の燃費を向上させることができる。
【0033】
(第2実施形態)
図2は本発明の第2実施形態を示す。図2に示すように、この第2実施形態の排気ガス再循環システム1Bは、前記第1実施形態のものと比較するに、チャージエアクーラ3の他にプレチャージエアクーラ3Aを備えている。プレチャージエアクーラ3Aは、チャージエアクーラ3の上流位置で高圧吸気通路10に介在されている。プレチャージエアクーラ3Aは、吸気ガスをエンジン5の冷却循環回路30のエンジン冷却水を用いて冷却する。 また、第2実施形態の排気ガス再循環システム1Bは、前記第1実施形態のものと比較するに、エンジン5の冷却循環回路30の構成が相違する。エンジン5の冷却循環回路30は、ラジエータ31で冷却されたエンジン冷却水がエンジン5、空調装置のヒータコア32、排気ガスクーラ4、再度エンジン5、ラジエータ31の順で循環すると共に、ラジエータ31で冷却されたエンジン冷却水がプレチャージエアクーラ3A、エンジン5、ラジエータ31の順で循環するよう構成されている。又、エンジン5の冷却循環回路30は、前記第1実施形態と同様の理由によって、ラジエータ31をショートカットして、エンジン冷却水がエンジン5、空調装置のヒータコア32、排気ガスクーラ4を循環できると共に、エンジン冷却水がエンジン5、プレチャージエアクーラ3Aを循環できるよう構成されている。
【0034】
プレチャージエアクーラ3Aは、ラジエータ31で冷却された直後のエンジン冷却水によって冷却される。
【0035】
排気ガス還流通路12は、プレチャージエアクーラ3Aとチャージエアクーラ3の間の位置で高圧吸気通路10に接続されている。
【0036】
他の構成は、前記第1実施形態と同様であるため、重複説明を省略する。図2において、第1実施形態の同一構成箇所には、同一符号を付して明確化を図る。
【0037】
この第2実施形態でも、第1実施形態とほぼ同様の作用によって、排気ガスが混合された吸気ガスを所望の吸気温度(例えば50℃前後)でエンジン5に供給でき、エンジン5の燃費を向上させることができる。
【0038】
プレチャージエアクーラ3Aは、吸気ガスをエンジン5の冷却循環回路30のエンジン冷却水を用いて冷却する。従って、エンジン5の冷却循環回路30を有効利用できる。
【0039】
吸気系の冷却手段として、チャージエアクーラ3の他にプレチャージエアクーラ3Aを設けたので、第1実施形態の場合に較べて、チャージエアクーラ3の必要な冷却性能を低減できる。そして、チャージエアクーラ3とプレチャージエアクーラ3Aとの間に排気ガスを戻すので、第1実施形態の場合に較べて、還流される排気ガスの流通抵抗が低くなるため、排気ガスの吸入量が増加する。又、第1実施形態の場合に較べて、還流される排気ガスの吸気系の通路(排気ガスの戻し位置からエンジン5の吸気口までの経路)が短くなるため、吸気系に戻す排気ガスのオン・オフ制御のレスポンスが向上する。
【0040】
その上、プレチャージエアクーラ3Aは、ラジエータ31で冷却された直後のエンジン冷却水によって冷却される。従って、第1実施形態に較べて、吸気ガスを低い温度に冷却できるため、チャージエアクーラ3の必要な冷却性能を更に低減できる。
【0041】
(第3実施形態)
図3は本発明の第3実施形態を示す。図3に示すように、この第3実施形態の排気ガス再循環システム1Cは、前記第2実施形態のものと比較するに、エンジン冷却水の循環経路が異なる。エンジン5の冷却循環回路30は、ラジエータ31で冷却されたエンジン冷却水がエンジン5、空調装置のヒータコア32、排気ガスクーラ4、プレチャージエアクーラ3A、再度エンジン5、ラジエータ31の順で循環するよう構成されている。又、エンジン5の冷却循環回路30は、前記第1実施形態と同様の理由によって、ラジエータ31をショートカットして、エンジン冷却水がエンジン5、空調装置のヒータコア32、排気ガスクーラ4、プレチャージエアクーラ3Aを循環できるよう構成されている。
【0042】
他の構成は、前記第2実施形態と同様であるため、重複説明を省略する。図3において、第2実施形態の同一構成箇所には、同一符号を付して明確化を図る。
【0043】
この第3実施形態でも、第2実施形態と同様に、排気ガスが混合された吸気ガスを所望の吸気温度(例えば50℃前後)でエンジン5に供給でき、エンジン5の燃費を向上させることができる。又、チャージエアクーラ3とプレチャージエアクーラ3Aとの間に排気ガスを戻すので、第1実施形態の場合に較べて、還流される排気ガスの流通抵抗が低くなるため、排気ガスの吸入量が増加する。吸気系に戻す排気ガスのオン・オフ制御のレスポンスが向上する。
【0044】
エンジン5の冷却循環回路30のエンジン冷却水は、プレチャージエアクーラ3A、排気ガスクーラ4の順に流れる。従って、プレチャージエアクーラ3Aには、排気ガスクーラ32よりも低温のエンジン冷却水が流れる。プレチャージエアクーラ3Aの入口側の吸気ガス温度は、最高でも200℃以下であり、排気ガスクーラ4の入口側の排気ガス温度は、300℃以上の場合もあるため、プレチャージエアクーラ3Aと排気ガスクーラ4ではそれぞれの熱交換媒体間の温度差が共に大きくなるため、共に有効な熱交換性能が得られる。
【0045】
(第4実施形態)
図4は本発明の第4実施形態を示す。図4に示すように、この第4実施形態の排気ガス再循環システム1Dは、前記第3実施形態のものと比較するに、排気ガス還流通路12の高圧吸気通路10への接続箇所が相違する。つまり、排気ガス還流通路12は、プレチャージエアクーラ3Aの上流位置で高圧吸気通路10に接続されている。
【0046】
他の構成は、前記第3実施形態と同様であるため、重複説明を省略する。図4において、第3実施形態の同一構成箇所には、同一符号を付して明確化を図る。
【0047】
この第4実施形態でも、第3実施形態と同様に、排気ガスが混合された吸気ガスを所望の吸気温度(例えば50℃前後)でエンジン5に供給でき、エンジン5の燃費を向上させることができる。又、吸気系に戻す排気ガスのオン・オフ制御のレスポンスがLPLタイプに比べて向上する。更に、プレチャージエアクーラ3Aと排気ガスクーラ4では、それぞれの熱交換媒体間の温度差が共に大きくなるため、共に有効な熱交換性能が得られる。
【0048】
(他の実施形態)
前記各実施形態では、内燃機関5は、レシプロエンジン、ジィーゼルエンジン等を含む。
【0049】
前記各実施形態では、チャージエアクーラ3は、吸気ガスをサブ冷却循環回路20のサブ冷却水を用いて冷却(水冷式)するが、吸気ガスを空気によって冷却(空冷式)するよう構成しても良い。又、プレチャージエアクーラ3Aも同様に、吸気ガスを空気によって冷却(空冷式)するよう構成しても良い。
【0050】
第2実施形態〜第4実施形態では、プレチャージエアクーラ3Aは、1台であるが、複数台設けても良い。
【符号の説明】
【0051】
1A〜1D 排気ガス再循環システム
2 ターボチャージャ
2a コンプレッサ
2b タービン
3 チャージエアクーラ
3A プレチャージエアクーラ
4 排気ガスクーラ
5 エンジン(内燃機関)
10 高圧吸気通路
11 高圧排気通路
12 排気ガス還流通路
20 サブ冷却循環回路
30 エンジンの冷却循環回路(内燃機関の冷却循環回路)
31 ラジエータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸気ガスを圧縮するコンプレッサ(2a)と前記コンプレッサ(2a)を駆動するタービン(2b)を有するターボチャージャ(2)と、
前記ターボチャージャ(2)の前記コンプレッサ(2a)と内燃機関(5)の吸気口との間を接続する高圧吸気通路(10)と、
前記高圧吸気通路(10)に介在され、吸気ガスを冷却するチャージエアクーラ(3)と、
前記内燃機関(5)の排気口と前記ターボチャージャ(2)の前記タービン(2b)との間を接続する高圧排気通路(11)と、
前記高圧排気通路(11)から分岐され、前記高圧吸気通路(10)に接続する排気ガス還流通路(12)と、
前記排気ガス還流通路(12)に介在され、排気ガスを前記内燃機関(5)の冷却循環回路(30)を用いて冷却する排気ガスクーラ(4)とを備えた排気ガス再循環システム(1A)〜(1D)であって、
前記排気ガス還流通路(12)は、前記チャージエアクーラ(3)の上流位置で前記高圧吸気通路(10)に接続されたことを特徴とする排気ガス再循環システム(1A)〜(1D)。
【請求項2】
請求項1記載の排気ガス再循環システム(1A)〜(1D)であって、
前記チャージエアクーラ(3)は、前記内燃機関(5)の冷却循環回路(30)とは別の冷却循環回路(20)のサブ冷却水を用いて吸気ガスを冷却することを特徴とする排気ガス再循環システム(1A)〜(1D)。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の排気ガス再循環システム(1B)〜(1D)であって、
前記高圧吸気通路(10)には、前記チャージエアクーラ(3)より上流位置にプレチャージエアクーラ(3A)が介在されたことを特徴とする排気ガス再循環システム(1B)〜(1D)。
【請求項4】
請求項3の排気ガス再循環システム(1B)〜(1D)であって、
前記プレチャージエアクーラ(3A)は、吸気ガスを前記内燃機関(5)の冷却循環回路(30)を用いて冷却することを特徴とする排気ガス再循環システム(1B)〜(1D)。
【請求項5】
請求項3又は請求項4記載の排気ガス再循環システム(1B)〜(1D)であって、
前記排気ガス還流通路(12)は、前記プレチャージエアクーラ(3A)よりも下流位置で前記高圧吸気通路(10)に接続されたことを特徴とする排気ガス再循環システム(1B)〜(1D)。
【請求項6】
請求項4又は請求項5記載の排気ガス再循環システム(1B)〜(1D)であって、
前記内燃機関(5)の冷却循環回路(30)は、ラジエータ(31)で冷却された冷媒が内燃機関(5)、前記排気ガスクーラ(4)、再び前記内燃機関(5)の順で循環すると共に、前記ラジエータ(31)で冷却された冷媒が前記プレチャージエアクーラ(3A)、前記内燃機関(5)の順で循環するよう構成されたことを特徴とする排気ガス再循環システム(1B)〜(1D)。
【請求項7】
請求項4又は請求項5記載の排気ガス再循環システム(1B)〜(1D)であって、
前記内燃機関(5)の冷却循環回路(30)は、前記ラジエータ(31)で冷却された前記冷媒が、前記内燃機関(5)、前記排気ガスクーラ(4)、前記プレチャージエアクーラ(3A)、再び前記内燃機関(5)の順で循環するよう構成されたことを特徴とする排気ガス再循環システム(1B)〜(1D)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−108379(P2013−108379A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−252394(P2011−252394)
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【出願人】(000004765)カルソニックカンセイ株式会社 (3,404)
【Fターム(参考)】