説明

排気ガス制御弁、およびその組付方法

【課題】 バルブボディ1の流路孔側から軸受装置側への異物の侵入に伴うシャフト4の動作不良やバルブロックを防止することを課題とする。
【解決手段】 バルブボディ1の収容孔21や軸受ホルダー10の軸受孔24内においてシャフトバルブ(バルブ5を一体成形したシャフト4)を回転可能に支持する軸受装置として、シャフト4の回転軸方向に連続して配置される2連ボールベアリング11、12、およびこの2連ボールベアリング11、12よりも流路孔側に配置されるオイルシール13を備えたことにより、バルブボディ1の流路孔側から挿通孔26を通って軸受装置側(2連ボールベアリング側)への、EGRガス中に含まれる微粒子や溶接スパッタ等の異物の侵入をオイルシール13のガスケット機能によって防止することができる。これにより、シャフトバルブの動作不良やバルブロックを防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハウジングに形成された流路孔を流れる排気ガスを制御する排気ガス制御弁、およびその組付方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
[従来の技術]
従来より、例えばディーゼルエンジン等の内燃機関(エンジン)の燃焼室より排出される排気ガス中に含まれる有害物質(例えば窒素酸化物:NOx)の低減を図るという目的で、排気ガスの一部であるEGRガスを排気通路から吸気通路へ再循環(還流)させるためのEGRガスパイプを備えた排気ガス循環装置(EGRシステム)が公知である。
このEGRシステムには、EGRガスパイプの内部を流れるEGRガスの流量を制御するEGRガス流量制御弁(EGRV)が組み込まれている。
【0003】
EGRVは、図8に示したように、EGRガスパイプの途中に結合されるハウジング101と、このハウジング101に形成された圧入孔102に圧入固定される円筒状のノズル103と、このノズル103に形成された流路孔104内に回転自在に収容されたバルブ105と、このバルブ105に形成された嵌合孔106に固定されたシャフト107と、このシャフト107を介して、バルブ105を開閉動作させるアクチュエータと、バルブ105を閉弁作動方向に付勢するリターンスプリング108とを備えている(例えば、特許文献1〜5参照)。
【0004】
EGRVは、バルブ105の外周端全周に円環状のシールリング溝を形成し、このシールリング溝にC字状のシールリング109を装着している。
EGRVは、ハウジング101に対して、シャフト107を回転自在に支持する支持機構(シャフト107の軸受機構)を備えている。この軸受機構は、ハウジング101に一体的に形成された軸受スリーブ111、メタルベアリング112、オイルシール113およびボールベアリング114によって構成されている。
ハウジング101の軸受スリーブ111は、シャフト107の回転軸方向に真っ直ぐに延びる軸受孔115を備えている。
軸受孔115の軸線方向の一端側には、開口部121が形成されている。この開口部121は、流路孔104の孔壁面で開口している。
軸受孔115の軸線方向の他端側には、開口部122が形成されている。この開口部122は、バルブギヤ123を含むギヤ減速機構を収納するギヤ収納室124の孔壁面で開口している。
【0005】
ここで、EGRVは、ハウジング101の軸受スリーブ111に軸受スリーブ111およびメタルベアリング112を圧入固定した後に、シャフト107の外周にボールベアリング114を圧入固定する。そして、ボールベアリング114と一体化されたシャフト107は、ギヤ収納室側の開口部122から軸受孔115内に差し込まれて、オイルシール113、メタルベアリング112および流路孔側の開口部121を貫通する。
そして、開口部121を貫通したシャフト107の回転軸方向の一端部は、流路孔104内に突出する。そして、シャフト107の回転軸方向の一端部をバルブ105に形成された嵌合孔106に圧入した後に、バルブ105とシャフト107とを溶接固定する。
【0006】
メタルベアリング112は、軸受スリーブ111に形成された圧入孔に圧入固定されている。このメタルベアリング112の内部には、シャフト107の摺動部を回転方向に摺動自在に軸支する摺動孔が形成されている。そして、シャフト107の摺動部とメタルベアリング112の摺動孔の孔壁面との間には、シャフト107をメタルベアリング112の内部で円滑に回転させるための摺動クリアランスが形成されている。
メタルベアリング112とボールベアリング114では、メタルベアリング112の方が、シャフト107に対するラジアル隙間が大きいため、従来設計では、ボールベアリング114からメタルベアリング112を回転軸方向に所定の距離隔てて配置することにより、シャフト107の軸振れを抑えていた。
【0007】
[従来の技術の不具合]
ところが、従来のEGRVでは、軸受孔115内において、オイルシール113よりも流路孔側にメタルベアリング112を配置していると共に、軸受孔115が開口部121を介して流路孔104と連通しているため、シャフト107とメタルベアリング112との摺動クリアランスに流路孔104を流れるEGRガス中に含まれる異物が侵入し、シャフト107の摺動部とメタルベアリング112の摺動孔の孔壁面との間に噛み込み、メタルベアリング112に対するシャフト107の摺動抵抗が大きくなる。これにより、シャフト107の回転運動が妨げられてバルブロックやシャフト107の動作不良が発生する可能性がある。
なお、摺動クリアランスに侵入する異物としては、EGRガス中に含まれる燃焼残滓やカーボン等の微粒子状物質(煤、煤に付着している炭化水素、黒煙や不完全燃焼物等の粉末状固定微粒子:パティキュレート)のデポジットがある。
また、摺動クリアランスに侵入する異物としては、ハウジング101の流路孔104内でバルブ105とシャフト107とを溶接固定しているため、バルブ105とシャフト107とを溶接時に発生する溶接スパッタがある。
【0008】
ところで、バルブ105とシャフト107との溶接作業よりも、ハウジング101に形成された圧入孔102にノズル103を先に圧入固定しておく場合、つまりハウジング101の圧入孔102にノズル103を先付けする場合には、ノズル103の内周面(摺動面)に溶接スパッタが付着している可能性があり、この場合、ノズル103とシールリング109との摺動不良が発生する可能性がある。
また、バルブ105とシャフト107との溶接作業よりも、ハウジング101に形成された圧入孔102にノズル103を後に圧入固定する場合、つまりハウジング101の圧入孔102にノズル103を後付けする場合には、ハウジング101の圧入孔102の孔壁面に溶接スパッタが付着している可能性があり、この場合、ノズル103をハウジング101の圧入孔102に圧入固定できなくなる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2005−233023号公報
【特許文献2】特開2007−285311号公報
【特許文献3】特開2008−196437号公報
【特許文献4】特開2009−002325号公報
【特許文献5】特許第4285267号公報
【特許文献6】特許第4600319号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、ハウジングの流路側から軸受装置側への異物の侵入に伴うシャフトの動作不良やロックを防止することのできる排気ガス制御弁、およびその組付方法を提供することにある。
また、ノズルとシールリングとの摺動不良を防止することのできる排気ガス制御弁、およびその組付方法を提供することにある。
また、ハウジング(バルブボディ)の圧入孔にノズルを容易に組み付けることのできる排気ガス制御弁、およびその組付方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に記載の発明(排気ガス制御弁)は、(例えば内燃機関の)排気ガスが通り抜ける流路、およびこの流路の壁面で開口した収容孔を有するハウジングと、このハウジングの流路内に収容されて、流路を開閉するバルブと、ハウジングの収容孔内に収容されて、バルブが設けられるシャフトと、ハウジングの収容孔内に収容されて、シャフトを回転可能に支持する軸受装置とを備えている。
軸受装置は、シャフトの回転軸方向に連続して配置される複数の転がり軸受、およびこれらの転がり軸受よりも流路側に配置されるガスケットを備えている。
なお、複数の転がり軸受は、ハウジングの収容孔(軸受孔)に対して、バルブを設けたシャフトを回転可能に支持している。
また、ガスケットは、ハウジングの収容孔(軸受孔)の孔壁面とシャフトの外周面(摺動部)との間に形成される環状隙間をシールしている。
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、ハウジングの収容孔(軸受孔)内においてバルブを設けたシャフトを回転可能に支持する軸受装置として、シャフトの回転軸方向に連続して配置される複数の転がり軸受、およびこれらの転がり軸受よりも流路側に配置されるガスケットを備えたことにより、ハウジングの流路側から軸受装置側(複数の転がり軸受側)への異物の侵入をガスケットによって防止することができる。
これにより、ハウジングの流路側から軸受装置側への異物の侵入に伴うバルブを設けたシャフトの動作不良やロックを防止することができる。
また、軸受装置としてメタルベアリングを使用することなく、複数の転がり軸受を採用しているので、仮にハウジングの流路側から軸受装置側へ異物が侵入したとしても、バルブを設けたシャフトの動作不良やロックを防止することができる。
また、シャフトの回転軸方向に複数の転がり軸受を連続して配置しているので、シャフトの軸振れが従来設計と同等となる。また、複数の転がり軸受を所定の軸方向距離を隔てて配置しなくても、シャフトの軸振れが従来設計と同等となるので、排気ガス制御弁の回転軸方向の体格を小型化(コンパクト化)できる。これにより、複数の転がり軸受よりも流路側にガスケットを配置することが可能となる。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、収容孔(ハウジングまたは軸受孔)は、収容孔と同一軸芯上に形成された2つの第1、第2圧入孔を備えている。これらの第1、第2圧入孔は、シャフトの回転軸方向に所定距離隔てて配置されている。
請求項3に記載の発明によれば、複数の転がり軸受は、ハウジング(またはホルダー)の第1圧入孔に圧入固定される第1外環部(例えばハウジングまたはホルダーに対する圧入固定部)を備えている。また、ガスケットは、ハウジング(またはホルダー)の第2圧入孔に圧入固定される第2外環部(例えばハウジングまたはホルダーに対する圧入固定部)を備えている。
なお、第1圧入孔は、第2圧入孔よりも内径が大きくなっている。また、第2圧入孔は、第1圧入孔よりもハウジングの流路側に配置されている。
【0014】
請求項4に記載の発明によれば、ハウジングの収容孔(またはホルダーの軸受孔または挿通孔)をその中心線方向に貫通するようにシャフトが設置(配置)されている。
請求項5に記載の発明によれば、シャフトの回転軸方向の一端側に、ハウジングの流路内に突出する突出部を備えている。つまりシャフトの一部(突出部)は、ハウジングの収容孔側から流路側へ突き出している。
請求項6に記載の発明によれば、ハウジングの流路内に回転自在(開閉自在)に収容されるバルブは、シャフトと一体部品で構成されている。また、シャフトの突出部には、バルブが一体的に形成されている。これにより、シャフトとバルブとが一体成形化、つまりシャフトバルブサブアッセンブリ化されている。
これによって、シャフトに対するバルブの形成位置、形成角度を精度良く、組み付けることができる。また、溶接スパッタがハウジング内に残らなくなるので、ハウジングの流路側から軸受装置側への溶接スパッタ等の異物の侵入に伴うバルブを設けたシャフトの動作不良やロックを防止することができる。
【0015】
請求項7に記載の発明によれば、ハウジングの流路内に回転自在(開閉自在)に収容されるバルブは、シャフトに対して別体部品で構成されている。また、シャフトの突出部には、バルブが組み付けられている。例えばシャフトをハウジングの収容孔内に組み付ける前に、シャフトとバルブとを溶接固定または締結固定等により組み付ける。すなわち、シャフトとバルブとを後組み付けによって一体化(シャフトバルブサブアッセンブリ化)されている。
これによって、シャフトに対するバルブの形成位置、形成角度を精度良く、組み付けることができる。また、例えばシャフトとバルブを溶接固定する際の溶接スパッタがハウジング内に残らなくなるので、ハウジングの流路側から軸受装置側への溶接スパッタ等の異物の侵入に伴うバルブを設けたシャフトの動作不良やロックを防止することができる。
【0016】
請求項8に記載の発明によれば、軸受装置は、複数の転がり軸受およびガスケットを保持する筒状のホルダーを備えている。このホルダーは、ハウジングに対して別体部品で構成されている。
なお、バルブおよびシャフトをハウジングの収容孔、流路内に組み付ける前に、軸受装置のホルダーにバルブおよびシャフトを組み付けることにより、バルブとシャフトと軸受装置とを一体化(シャフトバルブサブアッセンブリ化)することができる。
【0017】
請求項9に記載の発明によれば、ホルダー(または軸受装置)は、シャフトの回転軸方向に延びる軸受孔を備えている。また、ハウジングは、ホルダー(または軸受装置)の軸受孔とハウジングの流路とを連通し、且つバルブを設けたシャフトが挿通可能な挿通孔を備えている。
この挿通孔は、バルブの外径よりも大きく、ホルダー(または軸受装置)の外径よりも小さい孔径の楕円形状穴または円形状穴である(例えばホルダー(または軸受装置)の外径>挿通孔の孔径>バルブの外径)。
なお、バルブの外径が、ホルダー(または軸受装置)の外径よりも大きい場合には、ハウジングの収容孔(2つの第1、第2圧入孔)をバルブの外周部分で削り取られてしまうので、ハウジングの収容孔とホルダー(または軸受装置)の外面との間に隙間が形成されてしまう。これにより、ハウジングの流路を流れる排気ガスが、その隙間を通ってハウジングの外部へ洩れ出してしまう不具合を解消することができる。
【0018】
請求項10に記載の発明(排気ガス制御弁)は、ハウジング、バルブ、シャフト、軸受装置(複数の転がり軸受、ガスケット、ホルダー等)の他に、シャフトに対して、バルブを閉弁作動方向または開弁作動方向に荷重(バネ荷重、スプリング荷重)を与えるスプリングを備えている。
なお、スプリングは、ハウジングの流路内に収容されるバルブを閉弁作動方向(または開弁作動方向)へ付勢するリターンスプリング(またはオープナスプリング、オーバーターンスプリング)である。
【0019】
請求項11に記載の発明によれば、軸受装置(またはホルダー)は、シャフトの周囲を周方向に取り囲むように配置された筒状の軸受スリーブを備えている。
また、スプリングは、軸受装置(またはホルダー)の軸受スリーブの周囲を渦巻き状に取り囲むコイルを備えている。
また、軸受装置(またはホルダー)の軸受スリーブは、ハウジングの収容孔に圧入固定される圧入部(圧入固定部)、およびスプリングのコイル内径面を保持するスプリングガイドを備えている。
なお、従来のEGRガス流量制御弁(EGRV)のようにハウジングに一体成形される円筒ボス部側にスプリング内径保持部を設けた場合には、ハウジングの収容孔に軸受スリーブが圧入固定されるように構成すると、ハウジングの体格、特にシャフトの回転軸方向に垂直な半径方向の体格が大きくなってしまうが、請求項11に記載の発明のように、ハウジングの収容孔に圧入固定される軸受スリーブ側にスプリングガイドを設けて、軸受装置(またはホルダー)の軸受スリーブにてスプリングのコイル内径面を保持するように構成すれば、従来のEGRガス流量制御弁(EGRV)のようにハウジングに一体成形される円筒ボス部側にスプリング内径保持部を設けた場合とスプリングの外径は同等となる。 したがって、排気ガス制御弁の体格を小型化でき、排気ガス制御弁の搭載性を向上することができる。
【0020】
請求項12に記載の発明によれば、複数の転がり軸受として、ハウジングの収容孔内において、ハウジング(またはホルダー)に対してシャフトを回転可能に軸支する複数のボールベアリングを採用しても良い。なお、ボールベアリングの代わりに、コロ軸受を用いても良い。
請求項13に記載の発明によれば、ガスケットとして、シャフトの外周側(とハウジングの収容孔壁面またはホルダーの軸受孔壁面との間)に形成される環状隙間をシールするオイルシールのことである。このオイルシールは、ハウジングの収容孔内において、ハウジング(またはホルダー)に対してシャフトを回転可能(回転方向に摺動可能)に軸支することが可能である。なお、オイルシールの代わりに、環状隙間を気密シールするパッキンを用いても良い。
【0021】
請求項14に記載の発明によれば、ハウジングは、流路と同一軸芯上に形成された圧入孔を有するバルブボディと、内部に流路が形成された筒状のノズルとを備えている。
ノズルは、バルブボディに対して別体部品で構成されている。
ノズルは、バルブボディの圧入孔に圧入固定される圧入固定部を備えている。
請求項15に記載の発明によれば、バルブの全閉時に、ノズルの周方向壁面とバルブの周方向端面との間に形成される環状隙間をシールするシールリングを備えている。
排気ガス制御弁は、バルブの周方向端面全周に、シールリングを装着する環状溝を備えている。
なお、シールリングは、バルブおよびシャフトと一体回転可能となるように、バルブの環状溝に嵌め込まれている。
【0022】
請求項16に記載の発明(排気ガス制御弁の組付方法)は、シャフトにバルブを一体成形したシャフトバルブに、軸受装置を組み付けて、シャフトバルブサブアッセンブリを形成する工程と、次に、ハウジング(またはバルブボディ)の収容孔内にシャフトバルブサブアッセンブリを組み付ける工程と、次に、ハウジング(またはバルブボディ)の圧入孔にノズル(の圧入固定部)を圧入固定してハウジングサブアッセンブリを形成する工程とを備えている。
請求項17に記載の発明(排気ガス制御弁の組付方法)は、シャフトに軸受装置を組み付けてシャフトサブアッセンブリを形成する工程と、次に、シャフトサブアッセンブリに前記バルブを組み付けてシャフトバルブサブアッセンブリを形成する工程と、次に、ハウジング(またはバルブボディ)の収容孔内にシャフトバルブサブアッセンブリを組み付ける工程と、次に、ハウジング(またはバルブボディ)の圧入孔にノズル(の圧入固定部)を圧入固定してハウジングサブアッセンブリを形成する工程とを備えている。
【0023】
請求項16及び17に記載の発明によれば、バルブとシャフトとの組付作業よりも、ハウジング(またはバルブボディ)に形成された圧入孔にノズルを先に圧入固定しておく場合、つまりハウジング(またはバルブボディ)の圧入孔にノズルを先付けする場合であっても、ハウジング(またはバルブボディ)内に溶接スパッタが残ることはない。
したがって、溶接スパッタ等の異物が、ノズルとシールリングとの間に噛み込むのを回避できるので、ノズルとシールリングとの摺動不良を防止することができる。
また、バルブとシャフトとの組付作業よりも、ハウジング(またはバルブボディ)に形成された圧入孔にノズルを後に圧入固定する場合、つまりハウジング(またはバルブボディ)の圧入孔にノズルを後付けする場合であっても、ハウジング(またはバルブボディ)の圧入孔の孔壁面に溶接スパッタ等の異物が付着するのを回避できるので、ハウジング(またはバルブボディ)の圧入孔にノズルを圧入固定できなくなる不具合を解消することができる。
したがって、ハウジング(バルブボディ)の圧入孔にノズルを容易に組み付けることができるので、排気ガス制御弁の生産性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】EGRガス流量制御弁(EGRV)を示した正面図である(実施例1)。
【図2】図1のA−A断面図である(実施例1)。
【図3】(a)はシャフトサブアッセンブリを圧入固定するハウジング(バルブボディ)を示した平面図で、(b)は(a)のB−B断面図である(実施例1)。
【図4】(a)〜(d)はEGRVの組付順序を示した工程図(断面図)である(実施例1)。
【図5】(e)〜(g)はEGRVの組付順序を示した工程図(断面図)である(実施例1)。
【図6】(a)〜(f)はEGRVの組付順序を示した工程図(断面図)である(実施例2)。
【図7】(g)〜(k)はEGRVの組付順序を示した工程図(断面図)である(実施例2)。
【図8】EGRガス流量制御弁(EGRV)を示した断面図である(従来の技術)。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。
本発明は、ハウジングの流路孔側から軸受装置側への異物の侵入に伴うシャフトの動作不良やロックを防止するという目的を、ハウジングの収容孔(軸受孔)内においてバルブを設けたシャフトを回転可能に支持する軸受装置として、シャフトの回転軸方向に連続して配置される複数の転がり軸受、およびこれらの転がり軸受よりも流路孔側に配置されるガスケットを備えたことにより、ハウジングの流路孔側から軸受装置側(複数の転がり軸受側)への異物の侵入をガスケットによって防止することで実現した。
本発明は、ノズルとシールリングとの摺動不良を防止するという目的、また、ハウジング(バルブボディ)の圧入孔にノズルを容易に組み付けるという目的を、ハウジング(またはバルブボディ)の圧入孔にノズル(の圧入固定部)を圧入固定する前に、バルブとシャフトとを一体化することで実現した。
【実施例1】
【0026】
[実施例1の構成]
図1ないし図5は本発明の実施例1を示したもので、図1および図2はEGRガス流量制御弁(EGRV)を示した図で、図3はシャフトサブアッセンブリを圧入固定するハウジング(バルブボディ)を示した図である。
【0027】
本実施例の内燃機関の排気装置は、複数の気筒を有する内燃機関(エンジン)の各気筒毎の燃焼室より排出された排気ガスの一部であるEGRガスを、排気管から吸気管へ再循環(還流)させる排気ガス循環装置(EGRシステム)を備えている。
ここで、エンジンとして、燃料が直接燃焼室内に噴射供給される直接噴射式のディーゼルエンジンが採用されている。
エンジンの各気筒毎の燃焼室には、吸気ポートおよび排気ポートがそれぞれ連通している。また、エンジンの各気筒には、インテークマニホールドおよびエキゾーストマニホールドが接続されている。また、エンジンの各気筒には、燃焼室内に燃料を噴射供給するインジェクタが搭載されている。
【0028】
インテークマニホールドに接続される吸気管には、エアクリーナ、ターボチャージャのコンプレッサ、インタークーラ、スロットルバルブが設置されている。また、インテークマニホールドおよび吸気管の内部には、エンジンの各気筒毎の燃焼室および吸気ポートに連通する吸気通路が形成されている。インテークマニホールドおよび吸気管には、EGRシステムから導入されるEGRガスを、エアクリーナで濾過された清浄な外気(新気)に合流させるEGRガス合流部(合流部)が設けられている。
エキゾーストマニホールドに接続される排気管には、ターボチャージャのタービン、排気浄化装置(触媒またはディーゼルパティキュレートフィルタ:DPF)、マフラが設置されている。また、エキゾーストマニホールドおよび排気管の内部には、エンジンの各気筒毎の燃焼室および排気ポートに連通する排気通路が形成されている。エキゾーストマニホールドおよび排気管には、エンジンの排気ガスの一部であるEGRガスをEGRシステムへ分岐させるEGRガス分岐部(分岐部)が設けられている。
【0029】
EGRシステムは、エンジンの吸気通路へ排気ガスの一部をEGRガスとして再循環(還流)させるEGRガスパイプと、このEGRガスパイプの内部を流れるEGRガスの流量を制御するEGRガス流量制御弁(EGR制御弁、排気ガス制御弁:以下EGRVと呼ぶ)と、エンジンの運転状況に基づいてEGRVの開度を可変制御するエンジン制御ユニット(電子制御装置、EGRバルブ制御装置:以下ECUと言う)とを備えている。
EGRガスパイプの一端は、EGRガス分岐部に接続され、また、EGRガスパイプの他端は、EGRガス合流部に接続されている。
EGRVは、EGRガスパイプの途中に結合されるハウジング(バルブボディ1、ノズル2、ノズルホルダー3)と、このハウジングの内部に回転自在に収容される耐熱金属製のシャフトバルブ(シャフト4、バルブ5、シールリング6)と、このシャフトバルブを駆動する動力(トルク)を発生するモータと、このモータのトルクを受けて回転する出力ギヤ(バルブギヤ)7を有する減速機構と、バルブボディ1とバルブギヤ7との間に配置されるリターンスプリング8と、EGR開度センサを保持するセンサカバー9と、シャフトバルブのシャフト4を回転可能に支持する軸受装置(軸受ホルダー10、2連ボールベアリング11、12、オイルシール13)とを備えている。
なお、シャフト4は、バルブ5とシールリング6を一体化することでEGRVのシャフトバルブを構成している。また、モータは、減速機構を伴ってEGRVのアクチュエータを構成している。
【0030】
EGRVのハウジングは、内部にシャフトバルブ、リターンスプリング8および軸受装置を収容する耐熱金属製のバルブボディ1と、このバルブボディ1をEGRガスの熱から保護するための耐熱金属製のノズル(スリーブ状ライナー)2と、このノズル2を保持するノズルホルダー3とを備えている。
バルブボディ1には、エンジンの排気管から導入されたEGRガスが通り抜ける流路孔14〜18が形成されている。このバルブボディ1には、ノズル2やノズルホルダー3の周囲を円周方向に取り囲む円筒状のノズルホルダーが一体的に形成されている。このノズルホルダーの内周には、流路孔14〜17の軸芯と同一軸芯上に形成された圧入孔19が形成されている。
【0031】
バルブボディ1には、センサカバー9との間に減速機構を収納する収容室20、およびリターンスプリング8と軸受装置を収容する収容孔21が形成されている。
また、バルブボディ1には、軸受装置の周囲を円周方向に取り囲むように配置された円筒状の軸受スリーブ22が一体的に形成されている。この軸受スリーブ22の内周面には、収容孔21の軸芯と同一軸芯上に形成された圧入孔23が形成されている。
また、バルブボディ1には、収容孔21や軸受孔24と流路孔16〜18とを区画すると共に、軸受装置の軸受ホルダー10の圧入固定位置を規制する軸受規制部としての機能を有する隔壁25が一体的に形成されている。この隔壁25には、収容孔21や軸受孔24と流路孔16〜18とを連通する挿通孔26が形成されている。
【0032】
ノズル2には、流路孔14、15と流路孔17、18とを連通する連通路(流路孔)16が形成されている。
ノズルホルダー3には、流路孔14と流路孔16〜18とを連通する連通路(流路孔)15が形成されている。また、ノズルホルダー3の内周には、流路孔15の軸芯と同一軸芯上に形成された圧入孔27が形成されている。
なお、ハウジング、特にバルブボディ1、ノズル2およびノズルホルダー3の詳細は、後述する。
【0033】
シャフトバルブは、バルブボディ1の収容孔21内や軸受装置の軸受孔24内に回転可能に収容されるシャフト4と、ハウジング内に形成される流路孔14〜18を開閉するバルブ5と、このバルブ5の外周に装着されたシールリング6とを備えている。なお、シャフトバルブは、バルブ5とシャフト4とを一体成形した一体部品である。
シャフト4は、バルブボディ1の収容孔21や軸受装置の軸受孔24をその中心線方向に貫通するように設置されている。このシャフト4の回転軸方向の一端側は、バルブボディ1の隔壁25の流路壁面からハウジングの流路孔14〜17内に向かって突出している。また、シャフト4の回転軸方向の他端側は、軸受装置の壁面からバルブボディ1の収容室20内に向かって突出している。
バルブ5は、シャフト4の回転軸方向の一端側に一体成形されている。また、バルブ5の外周の周方向溝(環状凹溝:以下シールリング溝と言う)28には、ノズル2の内周面であるバルブシート面29に密着することが可能なシールリング6が嵌め込まれている。 なお、シャフトバルブ、特にシャフト4、バルブ5およびシールリング6の詳細は、後述する。
【0034】
軸受装置は、シャフトバルブを回転自在に支持するシャフトバルブ支持装置であって、円筒状の軸受ホルダー10と、シャフトバルブのシャフト4の回転軸方向に連続して配置される2連ボールベアリング(転がり玉軸受)11、12と、この2連ボールベアリング11、12よりも流路孔側に配置されるオイルシール(ガスケット)13とを備えている。
軸受ホルダー10は、ハウジング(バルブボディ1、ノズル2、ノズルホルダー3)に対して別体部品で構成されている。この軸受ホルダー10には、シャフト4の回転軸方向に延びる軸受孔24が形成されている。この軸受ホルダー10には、シャフトバルブのシャフト4の周囲を円周方向に取り囲むように配置された2つの第1、第2軸受スリーブ(円筒状の外環部)31、32、2連ボールベアリング11、12の圧入固定位置を規制する第1規制部としての機能を有する第1環壁33、およびオイルシール13の圧入固定位置を規制する第2規制部としての機能を有する第2環壁34が一体的に形成されている。
【0035】
軸受ホルダー10の第1軸受スリーブ31の内周には、軸受孔24の軸芯と同一軸芯上に形成された第1圧入孔35が形成されている。また、第2軸受スリーブ32の内周には、軸受孔24や第1圧入孔35の軸芯と同一軸芯上に形成された第2圧入孔36が形成されている。つまり、軸受ホルダー10の内周には、2つの第1、第2圧入孔35、36が形成されている。これらの第1、第2圧入孔35、36は、シャフト4の回転軸方向に所定距離隔てて配置されている。
2連ボールベアリング11、12は、シャフト4の軸方向部(摺動部)の外周に圧入固定される内輪41、第1軸受スリーブ31の第1圧入孔35に圧入固定される第1外環部としての機能を有する外輪42、および内輪41と外輪42との2つの軌道輪の間に滑動自在に収容される複数の鋼球43を備えている。
オイルシール13は、シャフトバルブのシャフト4の摺動面と摺動接触するシールリップ44、および第2軸受スリーブ32の第2圧入孔36に圧入固定される第2外環部としての機能を有する円筒部45を備えている。
なお、軸受装置、特に軸受ホルダー10、2連ボールベアリング11、12、オイルシール13の詳細は、後述する。
【0036】
EGRシステムは、EGRガスパイプ、EGRVを備えている。このEGRシステムは、EGRVが開弁している時、エンジンより排出された排気ガスの一部が、EGRガスパイプを経由し、EGRガスとして吸気通路へ戻される。
EGRシステムは、アクチュエータの動力源であるモータを通電制御するECUを備えている。
EGRガスパイプは、タービンよりも上流側の排気通路とインタークーラまたはスロットルバルブよりも下流側の吸気通路とを接続する排気ガス還流管(EGRパイプ)である。あるいはタービンまたは排気浄化装置よりも下流側の排気通路とコンプレッサよりも上流側の吸気通路とを接続する排気ガス還流管(EGRパイプ)である。このEGRガスパイプの内部には、EGRガスを排気通路から吸気通路へ再循環(還流)させるための排気ガス流路(EGRガス流路)が形成されている。
【0037】
EGRVは、EGRガス流路(流路孔14〜18)の開口面積を連続的または段階的に変更することで、EGRガス流路を経由して、排気通路から吸気通路へ再循環(還流)されるEGRガスの流量(EGRガス量)を可変制御する排気ガス流量制御弁である。これにより、エンジンの各気筒毎の燃焼室に供給する吸入空気の全流量に対するEGRガス量の比率であるEGR率が制御される。
バルブボディ1は、例えば耐熱アルミニウム合金のダイカストまたはアルミニウム合金系の鋳物、あるいは耐熱性に優れる耐熱性材料(例えば鉄系の鋳物、鋳鉄)によって所定の形状に形成されている。
バルブボディ1は、この前後(上流側および下流側)に配置されるEGRガスパイプ(あるいは排気管のEGRガス分岐部または吸気管のEGRガス合流部)に締結ボルトを用いて締め付け固定されている。このバルブボディ1は、シャフトバルブのバルブ5およびシャフト4を全閉位置から全開位置に至るまで回転方向に開閉自在(回転自在)に保持するハウジングである。
【0038】
次に、本実施例のハウジングの詳細を図1ないし図5に基づいて簡単に説明する。
バルブボディ1は、耐熱性の金属により所定の形状に形成されている。このバルブボディ1の内部には、ノズル2、ノズルホルダー3、シャフトバルブ、リターンスプリング8および軸受装置が配設されている。
バルブボディ1およびノズル2の内部には、EGRガスが通り抜ける断面円形状の流路孔14〜18が形成されている。流路孔14〜18は、排気管のEGRガス分岐部から吸気管のEGRガス合流部へEGRガスを還流させる排気ガス流路(流体流路、バルブボディ1の内部流路)である。
なお、流路孔14は、流路孔15、16よりもEGRガス流方向の上流側(または下流側)に形成されている。また、流路孔15は、ノズルホルダー3の内部に形成される。また、流路孔16は、ノズル2の内部に形成される。
【0039】
バルブボディ1には、ノズル2の周囲を円周方向に取り囲むように円筒状のノズルホルダー(ノズル嵌合部)が一体的に形成されている。このノズルホルダーの内周面には、ノズル2が圧入される断面円形状の圧入孔19が形成されている。なお、圧入孔19の内径は、ノズルホルダー3の外径よりも小さい。
バルブボディ1のノズルホルダーには、別体で構成されるノズルホルダー3の圧入固定位置を規制する規制部としての機能を有する環壁(段差)46が一体的に形成されている。
バルブボディ1には、軸受装置の周囲を円周方向に取り囲むように配置された円筒状の軸受スリーブ22、およびリターンスプリング8の周囲を円周方向に取り囲むように配置された円筒状のスプリングホルダー47が一体的に形成されている。軸受ホルダー10の第1軸受スリーブ31の外周とスプリングホルダー47の内周との間には、リターンスプリング8を収容する円筒状の収容凹部が形成されている。この収容凹部の底面は、リターンスプリング8の軸線方向の一端を係止するスプリング座部48となっている。
【0040】
スプリングホルダー47の内部には、リターンスプリング8および軸受装置を収容する収容孔21が形成されている。
軸受スリーブ22の内周面には、軸受ホルダー10が圧入される断面円形状の圧入孔23が形成されている。なお、圧入孔23の内径は、軸受ホルダー10の外径よりも小さい。
軸受スリーブ22の流路側には、バルブボディ1の内部空間を流路孔16〜18と収容孔21や軸受孔24とに区画する隔壁(仕切り壁)25が設けられている。
隔壁25には、収容孔21や軸受孔24と流路孔16〜18とを連通し、且つシャフトバルブのシャフト4が挿通可能な挿通孔26が形成されている。この挿通孔26は、流路孔16〜18の壁面で開口している。また、挿通孔26は、シャフトバルブのバルブ5の外径よりも大きく、軸受ホルダー10の外径よりも小さい孔径の楕円形状穴である。
すなわち、軸受ホルダー10の外径>挿通孔26の孔径>シャフトバルブのバルブ5の外径となっている。
【0041】
ノズル2は、耐熱性の金属により円筒形状に形成されている。このノズル2の外径は、流路孔14、15の孔径よりも小さく、且つ圧入孔19の内径よりも大きくなっている。また、ノズル2は、バルブ5のシールリング溝28に嵌め込まれたシールリング6の外周面(摺動部)に摺接する部分(内周面)に摺動面(バルブシート面)29を有している。このバルブシート面29は、バルブ5の回転軸線上に形成される中心点を中心とした曲率半径を有する球面の一部(凹曲面)で構成されている。
ノズル2は、ノズルホルダー3の内周面(圧入孔27の孔壁面)に圧入される圧入固定部を有している。この圧入固定部の角部(エッジ)には、テーパ形状の面取りが施されている。これにより、ノズル2は、テーパ形状の面取りにより圧入孔27内に容易に圧入される。
【0042】
ノズルホルダー3は、耐熱性の金属または合成樹脂により円筒形状に形成されている。このノズルホルダー3は、バルブボディ1のノズルホルダーの内周面(圧入孔19の孔壁面)に圧入される圧入固定部(径大部)、バルブボディ1のノズルホルダーの内周面(圧入孔19の孔壁面)との間に環状隙間が形成される肉厚部(径小部)、および径大部と径小部とを繋ぐテーパ形状またはR形状の段差を有している。これにより、ノズルホルダー3は、段差の傾斜により圧入孔19内に容易に圧入される。
ノズルホルダー3には、ノズル2の圧入固定位置を規制する規制部としての機能を有する環壁49が一体的に形成されている。
そして、ノズルホルダー3は、バルブボディ1の環壁46に係止されることで、ノズルホルダーの所定の圧入固定位置で固定される。また、ノズル2は、ノズルホルダー3の環壁49に係止されることで、ノズルホルダー3の所定の圧入固定位置で固定される。
【0043】
次に、本実施例のシャフトバルブの詳細を図1ないし図5に基づいて簡単に説明する。 シャフトバルブは、耐熱性の金属により所定の形状に形成されている。このシャフトバルブは、シャフト4とバルブ5とを一体化した一体部品である。
シャフト4は、バルブボディ1の収容孔21および軸受装置の軸受ホルダー10の軸受孔24の内部に回転自在または摺動自在に収容されている。このシャフト4は、その回転軸方向の両側に第1、第2突出部51、52をそれぞれ備えている。
第1、第2突出部51、52間には、軸受ホルダー10の軸受孔24内に配置される軸方向部(摺動部)が設けられている。
第1突出部51は、シャフト4の回転軸方向の一端側に設けられて、摺動部から挿通孔26を通って流路孔14〜17内に向かって突出している。この第1突出部51は、第2突出部52および軸方向部よりも小さい外径を有している。
第2突出部52は、シャフト4の回転軸方向の他端側に設けられて、摺動部から収容室20内に向かって突出している。なお、第2突出部52には、減速機構のバルブギヤ7と結合するためのバルブギヤプレート53が固定されている。
なお、第1突出部51と軸方向部との間には、円錐台形状(テーパ形状)の傾斜面が形成されている。また、第2突出部52の角部(エッジ)には、テーパ形状の面取りが施されている。これにより、軸受装置(2連ボールベアリング11、12、オイルシール13)を、シャフト4の軸方向部の外周に容易に圧入固定できる。
【0044】
バルブ5は、全閉位置から全開位置に至るまでの動作可能範囲で回転動作されることで、流路孔14〜18の開口面積を変更してEGR率を調整する。
バルブ5は、バルブボディ1の内部において、バルブ5の中央部を通り、シャフトバルブのシャフト4の軸線方向に真っ直ぐに延びる軸線(シャフトバルブのシャフト4の回転軸)に対して所定の傾斜角度分だけ傾斜して、シャフト4の第1突出部51の先端側に一体成形された円板状の斜板であって、バルブ5の中央部の軸心を中心にして放射状に延びるプレートバルブにより構成されている。
バルブ5の外周端面には、円環状のシールリング溝28が円周方向に連続して形成されている。すなわち、シールリング溝28は、バルブ5の外周端面の外周全体(全周)に周設されている。このシールリング溝28の内部には、シールリング6が嵌め込まれている。
【0045】
シールリング6は、耐熱性の金属によりC字形状に形成されている。このシールリング6は、その外周側端部が、バルブ5の外周端面より半径方向の外側に突出した状態で、内周側端部が、シールリング溝28内を半径方向、軸線方向および円周方向に移動できるようにシールリング溝28の内部に嵌め込まれて保持されている。
また、シールリング6の半径方向の外側の端面には、バルブボディ1のノズルホルダーに嵌合保持されたノズル2のバルブシート面29に密着することが可能な外周面(摺動部)が設けられている。このシールリング6の摺動部の軸線方向の両側のエッジに、バルブ5の開閉動作がし易いようにテーパ形状またはR形状の面取りを施しても良い。
したがって、本実施例のEGRVは、エンジン停止時またはEGRカット時に、バルブ5のシールリング溝28に嵌め込まれたシールリング6の軸線方向に対して直交する径方向(拡径方向)の張力を利用して、ノズル2の内径面(バルブシート面29)とバルブ5の外周端面との間に形成される隙間を密閉(シール)するように構成されている。
【0046】
アクチュエータは、電力の供給を受けるとシャフト4を回転駆動する駆動力(トルク)を発生するモータと、このモータの回転を2段減速してシャフトバルブのシャフト4に伝達する減速機構(動力伝達機構)とを備えている。
モータは、バルブボディ1に一体形成されたモータハウジングのモータ収容凹部内に収容保持されている。
減速機構は、モータのモータシャフト(モータ出力軸)に連動して回転する3つの第1〜第3減速ギヤを備えている。これらの第1〜第3減速ギヤは、モータのモータシャフトに固定されたピニオンギヤ(モータギヤ)、このピニオンギヤと噛み合って回転する中間ギヤ、およびこの中間ギヤと噛み合って回転するバルブギヤ7等によって構成されている。
【0047】
バルブギヤ7は、合成樹脂または金属によって一体的に形成されている。このバルブギヤ7の最大外径部には、中間ギヤの凸状歯と噛み合う複数の凸状歯(扇状の出力ギヤ歯)が所定の角度分だけ扇状に形成されている。
バルブギヤ7の内周部には、金属製のバルブギヤプレート53がインサート成形されている。これにより、バルブギヤ7は、バルブギヤプレート53を介して、シャフト4の第2突出部52に回り止めされた状態で固定されている。
バルブギヤ7は、軸受装置の軸受ホルダー10に形成された第1軸受スリーブ31と同一軸線上に設置された円筒状のボス部54を備えている。バルブギヤ7のボス部54の外周側には、リターンスプリング8の軸線方向の他端を係止するスプリング座部55が設けられている。
ボス部54の外周部は、リターンスプリング8のコイル内径面をガイド(保持)するスプリングガイドとしての機能を有している。
但し、バルブギヤ7のボス部54の外径寸法は、バルブギヤ7が最大回転角度分だけ回転し、リターンスプリング8が回転方向に捩じられて半径方向に縮径した際の、リターンスプリング8のコイル内径収縮寸法を考慮して設計する。
【0048】
ここで、バルブギヤ7の内周部には、シャフトバルブのバルブ5およびシャフト4の回転角度(EGRVのバルブ開度)を検出する回転角度センサ(EGRバルブ開度センサ)が搭載されている。
回転角度センサは、バルブギヤ7の内周部に取り付けられる一対のマグネット(永久磁石)56と、センサカバー9のセンサ搭載部に取り付けられるホールIC57とを備え、マグネット56の回転角度に対するホールIC57の出力変化特性を利用してバルブ5の回転角度を検出する回転角度検出装置である。
また、センサカバー9は、バルブデボィ1のフランジ58にボルト59により締結固定されている。
なお、ホールIC57の代わりに、ホール素子単体、磁気抵抗素子等の非接触式の磁気検出素子を使用しても良い。
【0049】
ここで、アクチュエータの動力源であるモータは、ECUによって電子制御されるモータ駆動回路を介して、自動車等の車両に搭載されたバッテリに電気的に接続されている。 ECUには、制御処理、演算処理を行うCPU、各種プログラムおよび各種データを保存する記憶装置(ROMやRAM等のメモリ)等の機能を含んで構成される周知の構造のマイクロコンピュータが設けられている。
ECUは、エアフロメータ、クランク角度センサ、アクセル開度センサ、スロットル開度センサ、EGR(バルブ)開度センサ、吸気温度センサ、冷却水温度センサおよび排気ガスセンサ(空燃比センサ、酸素濃度センサ)等の各種センサからのセンサ出力信号が、A/D変換回路によってA/D変換された後に、マイクロコンピュータに入力されるように構成されている。
マイクロコンピュータは、EGR開度センサより出力されるセンサ出力信号(EGRV開度信号)に基づいて、エンジンの排気管から吸気管へ還流するEGRガスの流量を計測(演算)し、この演算したEGRガスの流量を各種エンジン制御に使用する。
【0050】
次に、本実施例のリターンスプリング8の詳細を図1ないし図5に基づいて簡単に説明する。
リターンスプリング8は、バルブギヤ7のボス部54の周囲、および軸受ホルダー10の第1軸受スリーブ31の周囲を渦巻き状(螺旋状)に取り囲むように設置されている。 リターンスプリング8は、バルブボディ1のスプリング座部48とバルブギヤ7のスプリング座部55との間に渦巻き状に巻装されたコイル部を有している。
リターンスプリング8は、シャフトバルブのシャフト4およびバルブギヤ7に対して、バルブ5を閉弁作動方向に付勢する付勢力(バネ荷重、スプリング力)を発生するコイルスプリング(付勢手段)である。このリターンスプリング8は、バルブ5を、全閉位置へ戻す方向(閉弁作動方向)に付勢する。
リターンスプリング8の軸線方向の一端側には、バルブボディ1のスプリング座部48に接触する円環状の第1コイル端部が設けられている。
リターンスプリング8の軸線方向の他端側には、バルブギヤ7のスプリング座部55に接触する円環状の第2コイル端部が設けられている。
【0051】
次に、本実施例の軸受装置の詳細を図1ないし図5に基づいて簡単に説明する。
軸受装置は、シャフトバルブを回転自在に支持するシャフトバルブ支持装置であって、軸受ホルダー10、2連ボールベアリング11、12、オイルシール13を備えている。 軸受ホルダー10は、耐熱性の金属を鋳造成形またはメタルインジェクションモールデンィングすることによって一体的に形成されている。
軸受ホルダー10は、その軸線方向の一端面および他端面(両端面)が開口した円筒形状に形成されている。この軸受ホルダー10は、シャフト4が挿通する開口部61および開口部62を有している。
開口部61は、軸受ホルダー10の軸線方向の一端面(第2環壁34の流路側端面)で開口し、バルブボディ1の隔壁25で開口した挿通孔26を介して、バルブボディ1の流路孔14〜18と軸受ホルダー10の軸受孔24とを連通する円形状の挿通孔である。
開口部62は、軸受ホルダー10の軸線方向の他端面(第1軸受スリーブ31の収容室側端面)で開口し、バルブボディ1の収容室20と軸受ホルダー10の軸受孔24とを連通する円形状の挿通孔である。
【0052】
軸受ホルダー10は、円筒形状に形成された2つの第1、第2軸受スリーブ31、32および円筒形状に形成された第1、第2環壁33、34とを備えている。
軸受ホルダー10の先端側(流路孔側)の角部(エッジ)には、テーパ形状またはR形状の面取りが施されている。これにより、軸受ホルダー10は、先端側の傾斜により圧入孔23内に容易に圧入される。そして、軸受ホルダー10は、バルブボディ1の軸受スリーブ22の圧入孔23の所定の圧入固定位置に圧入固定される。
2つの第1、第2軸受スリーブ31、32の内部には、シャフト4の回転軸方向に真っ直ぐに延びる軸受孔24が形成されている。
【0053】
第1軸受スリーブ31の外周部は、リターンスプリング8のコイル内径面をガイド(保持)するスプリングガイドとしての機能を有している。
第1軸受スリーブ31は、減速機構のバルブギヤ7のボス部54と同一軸線上に設置されて、バルブギヤ7のボス部54との間に所定の距離を隔てて対向して配置されている。 但し、第1軸受スリーブ31の外径寸法は、バルブギヤ7が最大回転角度分だけ回転し、リターンスプリング8が回転方向に捩じられて半径方向に縮径した際の、リターンスプリング8のコイル内径収縮寸法を考慮して設計する。
第1軸受スリーブ31の内周には、2連ボールベアリング11、12の各内輪41が圧入される第1圧入孔35が形成されている。この第1軸受スリーブ31の外径は、バルブボディ1の収容孔21の孔径および2連ボールベアリング11、12の各外輪42の外径よりも小さく、且つバルブボディ1の軸受スリーブ22の圧入孔23の内径よりも大きくなっている。
【0054】
第2軸受スリーブ32の外周部は、バルブボディ1の軸受スリーブ22の圧入孔23に圧入固定される圧入固定部としての機能を有している。
第2軸受スリーブ32の内周面には、オイルシール13の円筒部45が圧入される第2圧入孔36が形成されている。この第2軸受スリーブ32の外径は、オイルシール13の円筒部45の外径よりも小さくなっている。
第1環壁33は、第1軸受スリーブ31と第2軸受スリーブ32とをL字状に連結する連結部に設けられており、第1軸受スリーブ31の中間部より半径方向の内側へ向けて突出し、且つ2連ボールベアリング11、12の外輪42を係止することが可能な円環状の内周凸部である。なお、第1環壁33は、シャフト4の周囲を円周方向に取り囲む環状の第1壁体である。
第2環壁34は、第2軸受スリーブ32の流路孔側の端部より半径方向の内側へ向けて突出し、且つオイルシール13の第1円筒部45を係止することが可能な円環状の内周凸部である。なお、第2環壁34は、シャフト4の周囲を円周方向に取り囲む環状の第2壁体である。
【0055】
2連ボールベアリング11、12は、内輪41の軌道面と外輪42の軌道面との間を転動する複数の鋼球(スチールボール、転動体)43と、内輪41と外輪42との2つの軌道輪の間で、且つ鋼球43よりも軸方向の両端側にそれぞれ装着された2つのリップシール(シール材)と、複数の鋼球43の脱落を防止するための2つのリテーナとを備えている。
2連ボールベアリング11、12は、内輪41の軌道面と外輪42の軌道面との間に配された鋼球43のころがり摩擦によりシャフトバルブのシャフト4を回転自在に支持(軸支)する複数のころがり玉軸受である。この2連ボールベアリング11、12は、バルブボディ1の収容孔21および軸受ホルダー10の軸受孔24内において、バルブボディ1および軸受ホルダー10に対して、シャフト4を回転方向に摺動可能に軸支する軸受部品である。
なお、2つのリテーナには、半円筒または半球状の凹部が円周方向に所定の間隔を持って設けられている。また、鋼球43の代わりに、コロ等の転動体を用いても良い。また、2つのリップシールの代わりに、金属製の補強材(取付リング)を用いても良い。
【0056】
2連ボールベアリング11、12の各内輪41は、金属材料によって円環形状に形成されており、外輪42に対向する軌道面(外周面)に、球面状の環状凹溝を有している。この内輪41は、シャフトバルブのシャフト4の外周に気密的に圧入固定される圧入固定部(第1外環部)を構成している。また、内輪41は、シャフト4と一体回転可能に連結されたインナーレースである。
2連ボールベアリング11、12の各外輪42は、内輪41と同一の金属材料によって円環形状に形成されており、内輪41に対向する軌道面(内周面)に、球面状の環状凹溝を有している。この外輪42は、軸受ホルダー10の第1圧入孔35に気密的に圧入固定される圧入固定部を構成している。また、外輪42は、軸受ホルダー10に回転不能に固定されたアウターレースである。
【0057】
オイルシール13は、例えば金属補強環によって補強された合成ゴム製の環状弾性体である。このオイルシール13は、シャフトバルブのシャフト4の外周と軸受ホルダー10の第2軸受スリーブ32の内周との間に形成される環状隙間を液密的にシールするオイルシール機能を有するシール部材である。また、オイルシール13は、シャフトバルブのシャフト4の外周と軸受ホルダー10の第2軸受スリーブ32の内周との間に形成される環状隙間を気密的にシールするガスケット機能を有するシール部材である。
オイルシール13は、シャフトバルブのシャフト4の周囲を円周方向に取り囲むように、軸受ホルダー10の軸受孔24内に設置されている。このオイルシール13は、シールリップ44および円筒部(第2外環部)45を備えている。
シールリップ44は、シャフト4の摺動面に液密的および気密的に密着している。
円筒部45の外周部は、軸受ホルダー10の第2軸受スリーブ32の第2圧入孔36に液密的および気密的に圧入固定される圧入固定部としても機能を有している。
【0058】
[実施例1の組付方法]
次に、本実施例のEGRガス流量制御弁(EGRV)の組付方法を図1ないし図5に基づいて簡単に説明する。ここで、図4はEGRVの軸受装置の組付工程の作業順序(前半)を示した流れ作業図(プロセスチャート)で、図5はEGRVの軸受装置の組付工程の作業順序(後半)を示した流れ作業図(プロセスチャート)である。
【0059】
ここで、図4(a)は、軸受ホルダー10とオイルシール13を組み付ける組付工程1を示した断面図である。
先ず、軸受ホルダー10の第2軸受スリーブ32の内周に設けられる第2圧入孔36に、オイルシール13を圧入固定する。
具体的には、軸受ホルダー10の第1軸受スリーブ31の外部側(収容室側)の開口部(反流路側の開口部)62から軸受ホルダー10の第2軸受スリーブ32の流路孔側の開口部61へ向けて、軸受ホルダー10の軸受孔24内にオイルシール13を挿入し、オイルシール13の円筒部45が第2環壁34の環状端面(第1規制面)と接触するまで、軸受ホルダー10の第2軸受スリーブ32の内周に設けられる第2圧入孔36にオイルシール13の円筒部45を圧入する。これにより、軸受ホルダー10に対する、オイルシール13の圧入固定位置が規制される。
【0060】
ここで、図4(b)は、軸受ホルダー10と2連ボールベアリング11、12を組み付ける組付工程2を示した断面図である。
次に、軸受ホルダー10の第1軸受スリーブ31の内周に設けられる第1圧入孔35に、2連ボールベアリング11、12を圧入固定する。
具体的には、軸受ホルダー10の第1軸受スリーブ31の外部側(収容室側)の開口部(反流路側の開口部)62から軸受ホルダー10の第2軸受スリーブ32の流路孔側の開口部61へ向けて、軸受ホルダー10の軸受孔24内に2連ボールベアリング11、12を順に挿入し、ボールベアリング12の外輪42が第1環壁33の環状端面(第2規制面)と接触するまで、更に、ボールベアリング11の外輪42がボールベアリング12の外輪42と接触するまで、軸受ホルダー10の第1軸受スリーブ31の内周に設けられる第1圧入孔35に2連ボールベアリング11、12の外輪42をそれぞれ圧入する。これにより、軸受ホルダー10に対する、2連ボールベアリング11、12の圧入固定位置が規制される。
以上の組付工程1、2によって軸受装置の組付けが終了する。
【0061】
ここで、図4(c)、(d)は、軸受装置とシャフトバルブを組み付ける組付工程3、4を示した断面図である。
次に、シャフトバルブのシャフト4の軸方向部(摺動部)の外周に、軸受装置(軸受ホルダー10、2連ボールベアリング11、12、オイルシール13)を圧入固定する。
具体的には、シャフト4の第2突出部側から摺動部へ向けて、軸受装置を嵌合し、シャフト4の軸方向部の外周に、2連ボールベアリング11、12の各内輪41、オイルシール13のシールリップ44をそれぞれ圧入する。これにより、軸受装置の軸受ホルダー10に対してシャフトバルブが位置決め固定される。
以上の組付工程3、4によってシャフトサブアッセンブリの組付けが終了する。
【0062】
ここで、図5(e)は、シャフトサブアッセンブリとバルブボディ1を組み付ける組付工程5を示した断面図である。
次に、バルブボディ1の軸受スリーブ22の内周に設けられる圧入孔23に、シャフトサブアッセンブリを圧入固定する。
具体的には、バルブボディ1の外部側の開口部(反流路側の開口部)からバルブボディ1の挿通孔26を経て、バルブボディ1の流路孔14〜17へ向けて、バルブボディ1の収容孔21内にシャフトサブアッセンブリを挿入し、軸受ホルダー10の第1、第2軸受スリーブ31、32および第2環壁34が、バルブボディ1の隔壁25の環状端面(第3規制面)と接触するまで、バルブボディ1の軸受スリーブ22の内周に設けられる圧入孔23に軸受ホルダー10の第2軸受スリーブ32を圧入する。
これにより、ハウジング(バルブボディ1)に対する、シャフトサブアッセンブリの圧入固定位置が規制される。
【0063】
ここで、図5(f)は、ノズル2とノズルホルダー3を組み付ける組付工程6を示した断面図である。
先ず、ノズルホルダー3の内周に設けられる圧入孔27に、ノズル2を圧入固定する。次に、バルブボディ1のノズルホルダーの内周に設けられる圧入孔19に、ノズルサブアッセンブリを圧入固定する。
具体的には、ノズルホルダー3の下流側の開口部からノズルホルダー3の上流側の開口部へ向けて、ノズルホルダー3の圧入孔27内にノズル2を挿入し、ノズル2がノズルホルダー3の環壁49の環状端面(第4規制面)と接触するまで、ノズルホルダー3の内周に設けられる圧入孔27にノズル2を圧入する。
これにより、ノズルホルダー3に対する、ノズル2の圧入固定位置が規制される。
以上の組付工程6によってノズルサブアッセンブリの組付けが終了する。
【0064】
ここで、図5(g)は、バルブボディ1とノズル2とノズルホルダー3を組み付ける組付工程7を示した断面図である。
次に、バルブボディ1の上流側の開口部(EGRガス導入ポート)からバルブボディ1の下流側の開口部(EGRガス導出ポート)へ向けて、バルブボディ1のノズルホルダーの圧入孔19内にノズルサブアッセンブリを挿入し、ノズルホルダー3の環壁49が、バルブボディ1の環壁46の環状端面(第5規制面)と接触するまで、バルブボディ1のノズルホルダーの内周に設けられる圧入孔19にノズルホルダー3を圧入する。
これにより、ハウジング(バルブボディ1)に対する、ノズルサブアッセンブリの圧入固定位置が規制される。
以上の組付工程7によってハウジングサブアッセンブリの組付けが終了する。
【0065】
[実施例1の作用]
次に、本実施例のEGRガス流量制御弁(EGRV)の作動を図1ないし図3に基づいて簡単に説明する。
【0066】
本実施例のシャフトバルブを回転駆動するモータは、ECUによって通電制御されるように構成されている。
ここで、モータへの電力供給が成されない場合には、リターンスプリング8の付勢力(スプリング荷重)によってシャフト4に一体成形されたバルブ5が全閉位置に設定される。
このとき、バルブ5のシールリング溝28に嵌め込まれたシールリング6の摺動部が、シールリング自体の拡径方向の張力(弾性変形力)によってバルブボディ1のノズルホルダーに嵌合保持されるノズル2のバルブシート面29に張り付くため、シールリング6の摺動部がノズル2のバルブシート面29に密着する。
したがって、ノズル2の内周面とバルブ5の外周端面との間の環状隙間が完全にシールされる。つまりバルブボディ1内に形成される流路孔14〜18が閉鎖される。これにより、EGRガスが、エアクリーナを通過した清浄な吸気(新気)に混入しない(EGRカット)。
【0067】
次に、EGRVを開弁させるような運転状況(エンジンの運転状況)になると、バルブ5が運転状況に対応した所定の開度に開弁するように開弁作動させる。
そして、モータに電力を供給し、モータのモータシャフトを開弁作動方向に回転させる。これにより、モータの回転動力(トルク)が、ピニオンギヤ、中間ギヤおよびバルブギヤ7に伝達される。そして、バルブギヤ7からトルクが伝達されたシャフトバルブのシャフト4が、バルブギヤ7の回転に伴って所定の回転角度(バルブ開度)だけ開弁作動方向に回転する。
以上のように、エンジンの運転状況に対応して、モータへの供給電力(駆動電流値または印加電圧値)を可変制御することで、EGRVのバルブ開度を変化させることにより、エアクリーナを通過した清浄な吸気に対する、EGRガスの導入量(混入量)が調節される。
すなわち、バルブ5は、制御目標値に相当するバルブ開度に開弁制御される。つまり流路孔14〜18が開放される。
【0068】
したがって、エンジンの各気筒毎の燃焼室より流出した排気ガスの一部であるEGRガスが、排気管内に形成される排気通路(EGRガス分岐部)から、排気管側のEGRガスパイプの内部(EGRガス流路)→EGRVのバルブボディ1の内部流路(EGRガス導入ポート→流路孔14〜18→EGRガス導出ポート)→吸気管側のEGRガスパイプの内部(EGRガス流路)を経由して、吸気管内に形成される吸気通路(EGRガス合流部)に再循環される。したがって、EGRガスがエンジンの各気筒毎の吸気ポートおよび燃焼室に供給される吸気に混入される。
これによって、排気ガス中に含まれる有害物質(例えばNOx等)が低減される。
【0069】
[実施例1の効果]
以上のように、本実施例のEGRVにおいては、バルブボディ1の収容孔21や軸受ホルダー10の軸受孔24内においてシャフトバルブ(バルブ5を一体成形したシャフト4)を回転可能に支持する軸受装置として、シャフト4の回転軸方向に連続して配置される2連ボールベアリング11、12、およびこの2連ボールベアリング11、12よりも流路孔側に配置されるオイルシール13を備えたことにより、バルブボディ1の流路孔側から挿通孔26を通って軸受装置側(2連ボールベアリング側)への、EGRガス中に含まれる微粒子や溶接スパッタ等の異物の侵入をオイルシール13のガスケット機能によって防止することができる。
これにより、バルブボディ1の流路孔側から軸受装置側への異物の侵入に伴うシャフトバルブの動作不良やバルブロックを防止することができる。
【0070】
また、軸受装置としてメタルベアリングを使用することなく、2連ボールベアリング11、12を採用しているので、仮にバルブボディ1の流路孔側から挿通孔26を通って軸受装置側(2連ボールベアリング側)へ異物が侵入したとしても、シャフトバルブの動作不良やバルブロックを防止することができる。
また、2連ボールベアリング11、12を連続してシャフト4の回転軸方向に配置しているので、シャフト4の軸振れが従来設計と同等となる。また、2連ボールベアリング11、12を所定の軸方向距離を隔てて配置しなくても、シャフト4の軸振れが従来設計と同等となるので、EGRVの回転軸方向の体格を小型化(コンパクト化)できる。これにより、2連ボールベアリング11、12よりも流路孔側にオイルシール13を配置することが可能となる。
【0071】
また、ハウジング(バルブボディ1やノズル2)の流路孔14〜18内に回転自在(開閉自在)に収容されるバルブ5は、シャフト4と一体部品で構成されている。また、シャフト4の第1突出部51には、バルブ5が一体的に形成されている。これにより、シャフト4とバルブ5とが一体成形化、つまりシャフトバルブサブアッセンブリ化されている。 これによって、シャフト4に対するバルブ5の形成位置、形成角度を精度良く、組み付けることができる。また、シャフト4とバルブ5とを一体成形しており、シャフト4とバルブ5との溶接工程を廃止しているので、溶接スパッタがバルブボディ1内に残らなくなるので、バルブボディ1の流路孔側から軸受装置側への溶接スパッタ等の異物の侵入に伴うシャフトバルブの動作不良やバルブロックを防止することができる。
【0072】
また、バルブボディ1の隔壁25には、バルブ5を一体成形したシャフト4が挿通可能な挿通孔26が形成されている。この挿通孔26は、下記の数1の式のように、バルブ5の外径よりも大きく、軸受ホルダー10の外径よりも小さい孔径の楕円形状穴または円形状穴である。また、挿通孔26の孔径は、下記の数2の式のように、バルブボディ1の収容孔21の孔径および圧入孔23の孔径よりも小さい。また、挿通孔26の孔径は、下記の数3の式のように、軸受ホルダー10の第1圧入孔35の孔径および第2圧入孔36の孔径よりも小さい。
[数1]
軸受ホルダー10の外径>挿通孔26の孔径>バルブ5の外径
[数2]
収容孔21の孔径>圧入孔23の孔径>挿通孔26の孔径
[数3]
第1圧入孔35の孔径>第2圧入孔36の孔径>挿通孔26の孔径
なお、バルブ5の外径が、軸受ホルダー10の外径よりも大きい場合には、バルブボディ1の軸受スリーブ22の圧入孔23が、バルブ5の外周部分で削り取られてしまうので、バルブボディ1の収容孔21と軸受ホルダー10の第1軸受スリーブ31の外周面との間に隙間が形成されてしまう。これにより、ハウジング(バルブボディ1やノズル2)の流路孔14〜18を流れるEGRガスが、その隙間を通ってバルブボディ1の外部へ洩れ出してしまう不具合を解消することができる。
【0073】
ところで、従来のEGRガス流量制御弁(EGRV)のようにハウジングに一体成形される円筒ボス部側にスプリング内径保持部を設けた場合には、バルブボディ1の収容孔21に軸受装置の軸受スリーブが圧入固定されるように構成すると、ハウジングの体格、特にシャフトの回転軸方向に垂直な半径方向の体格が大きくなってしまう。
しかし、本実施例のように、バルブボディ1の収容孔21に圧入固定される軸受ホルダー10の第1軸受スリーブ側にスプリングガイドとしての機能を設けて、軸受ホルダー10の第1軸受スリーブ31にてリターンスプリング8のコイル内径面を保持するように構成すれば、従来のEGRガス流量制御弁(EGRV)のようにハウジングに一体成形される円筒ボス部側にスプリング内径保持部を設けた場合とリターンスプリング8の外径は同等となる。
したがって、EGRVの体格を小型化でき、自動車等の車両のエンジンルーム内へのEGRVの搭載性を向上することができる。
【実施例2】
【0074】
図6および図7は本発明の実施例2を示したもので、図6はEGRVの軸受装置の組付工程の作業順序(前半)を示した流れ作業図(プロセスチャート)で、図7はEGRVの軸受装置の組付工程の作業順序(後半)を示した流れ作業図(プロセスチャート)である。
【0075】
本実施例のEGRVでは、シャフト4とバルブ5とを別体部品で構成している。
シャフト4は、軸受ホルダー10の軸受孔24内に配置される軸方向部(摺動部)、およびこの軸方向部の両側にそれぞれ配置された第1、第2突出部51、52を備えている。
なお、第1突出部51は、第2突出部52および軸方向部よりも小さい外径を有している。また、第1突出部51と軸方向部との間には、円錐台形状(テーパ形状)の傾斜面が形成されている。これにより、軸受装置(オイルシール13)を、シャフト4の軸方向部の外周に容易に圧入固定できる。
また、第2突出部52の角部(エッジ)には、テーパ形状の面取りが施されている。これにより、軸受装置(2連ボールベアリング11、12)を、シャフト4の軸方向部の外周に容易に圧入固定できる。
【0076】
バルブ5は、シャフト4の回転軸方向の一端部(第1突出部51)に、アーク溶接(TIG溶接、抵抗溶接)やレーザー溶接等の溶接手段を用いて溶接固定されている。
バルブ5の板厚方向の片側面(片端面)、例えばバルブ5の全閉時(流路孔14〜18を全閉する全閉姿勢となるようにバルブ5の開度が設定されている際)にEGRガス流方向の下流側に位置する下流側端面には、シャフト4との結合部(溶接固定部)である嵌合溝71が形成されている。この嵌合溝71は、バルブ5の片端面で開口し、この開口側から奥側に至るまでバルブ5の片端面の面方向に対して所定の傾斜角度分だけ傾斜して延びる嵌合凹部(シャフトバルブのシャフト4を取り付けるシャフト取付部)である。また、嵌合溝71は、シャフトバルブのシャフト4の第1突出部51に圧入固定される。
【0077】
ここで、図6(a)、(b)は、軸受ホルダー10とオイルシール13を組み付ける組付工程1、2を示した断面図である。
先ず、軸受ホルダー10の第2軸受スリーブ32の内周に設けられる第2圧入孔36に、実施例1と同様に、オイルシール13を圧入固定する。これにより、軸受ホルダー10に対する、オイルシール13の圧入固定位置が規制される。
【0078】
ここで、図6(c)、(d)は、シャフト4と2連ボールベアリング11、12を組み付ける組付工程3、4を示した断面図である。
次に、シャフト4の軸方向部(摺動部)の外周に、2連ボールベアリング11、12を圧入固定する。
具体的には、シャフト4の第2突出部側から摺動部へ向けて、2連ボールベアリング11、12を順に嵌合し、シャフト4の軸方向部の外周に、2連ボールベアリング11、12の各内輪41をそれぞれ圧入する。これにより、シャフト4に対して2連ボールベアリング11、12が位置決め固定される。
【0079】
ここで、図6(e)、(f)は、シャフト4と軸受装置を組み付ける組付工程5、6を示した断面図である。
次に、軸受ホルダー10の第1軸受スリーブ31の内周に設けられる第1圧入孔35に、シャフト4に組み付けられた2連ボールベアリング11、12を圧入固定する。
具体的には、軸受ホルダー10の第1軸受スリーブ31の外部側(収容室側)の開口部(反流路側の開口部)62から軸受ホルダー10の第2軸受スリーブ32の流路孔側の開口部61へ向けて、軸受ホルダー10の軸受孔24内にシャフト4と一体化された2連ボールベアリング11、12を順に挿入し、ボールベアリング12の外輪42が第1環壁33の環状端面(第2規制面)と接触するまで、更に、ボールベアリング11の外輪42がボールベアリング12の外輪42と接触するまで、軸受ホルダー10の第1軸受スリーブ31の内周に設けられる第1圧入孔35にシャフト4と一体化された2連ボールベアリング11、12の外輪42をそれぞれ圧入する。これにより、軸受ホルダー10に対する、シャフト4および2連ボールベアリング11、12の圧入固定位置が規制される。
以上の組付工程5、6によってシャフトサブアッセンブリの組付けが終了する。
【0080】
ここで、図7(g)、(h)は、シャフトサブアッセンブリとバルブ5を組み付ける組付工程7、8を示した断面図である。
次に、シャフト4の第1突出部51にバルブ5の嵌合溝71を圧入する。
次に、シャフト4の第1突出部51にバルブ5をアーク溶接(TIG溶接、抵抗溶接)を用いて当接することで、シャフト4にバルブ5を固定する。
次に、図7(i)は、シャフトサブアッセンブリとバルブボディ1を組み付ける組付工程9を示した組付工程図である。
これにより、ハウジング(バルブボディ1)に対する、シャフトサブアッセンブリの圧入固定位置が規制される。
次に、図7(j)は、ノズル2とノズルホルダー3を組み付ける組付工程10を示した組付工程図である。
以上の組付工程10によってノズルサブアッセンブリの組付けが終了する。
次に、図7(k)は、バルブボディ1とノズル2とノズルホルダー3を組み付ける組付工程11を示した組付工程図である。
以上の組付工程11によってハウジングサブアッセンブリの組付けが終了する。
【0081】
以上のように、本実施例のEGRVにおいては、実施例1と同様な効果を達成することができる。
また、ハウジング(バルブボディ1やノズル2)の流路孔14〜18内に回転自在(開閉自在)に収容されるバルブ5は、シャフト4に対して別体部品で構成されている。
また、シャフト4の第1突出部51には、バルブ5が組み付けられている。具体的には、シャフト4をバルブボディ1の収容孔21から流路孔14〜18内に突出するように組み付ける前に、シャフト4とバルブ5とを溶接固定により組み付けている。すなわち、本実施例のEGRVにおいては、シャフト4とバルブ5とを後組み付けによって一体化(シャフトバルブサブアッセンブリ化)されている。
これによって、シャフト4に対するバルブ5の形成位置、形成角度を精度良く、組み付けることができる。また、シャフト4とバルブ5を溶接固定する際の溶接スパッタがバルブボディ1内に残らなくなるので、バルブボディ1の流路孔側から挿通孔26を介して軸受装置側(2連ボールベアリング側)への溶接スパッタ等の異物の侵入に伴うバルブ5を設けたシャフト4の動作不良やバルブロックを防止することができる。
【0082】
また、シャフト4をバルブボディ1の収容孔21から流路孔14〜18内に突出するように組み付ける前に、シャフト4とバルブ5とを溶接固定により組み付けているので、シャフト4とバルブ5との組付作業よりも、バルブボディ1のノズルホルダーの内周に形成された圧入孔19にノズルサブアッセンブリ(ノズル2、ノズルホルダー3)を先に圧入固定しておく場合、つまりバルブボディ1の圧入孔19にノズルサブアッセンブリを先付けする場合であっても、ハウジング(またはバルブボディ)内に溶接スパッタが残ることはない。
したがって、ノズル2のバルブシート面29とシールリング6の摺動部との間に、溶接スパッタ等の異物が噛み込むのを回避できるので、ノズル2とシールリング6との摺動不良を防止することができる。
【0083】
また、シャフト4をバルブボディ1の収容孔21から流路孔14〜18内に突出するように組み付ける前に、シャフト4とバルブ5とを溶接固定により組み付けているので、シャフト4とバルブ5との組付作業よりも、バルブボディ1のノズルホルダーの内周に形成された圧入孔19にノズルサブアッセンブリ(ノズル2、ノズルホルダー3)を後に圧入固定する場合、つまりバルブボディ1の圧入孔19にノズルサブアッセンブリを後付けする場合であっても、バルブボディ1の圧入孔19の孔壁面(バルブシート面29)に溶接スパッタ等の異物が付着するのを回避できるので、バルブボディ1の圧入孔19にノズルサブアッセンブリを圧入固定できなくなる不具合を解消することができる。
したがって、バルブボディ1の圧入孔19にノズルサブアッセンブリを容易に組み付けることができるので、EGRVの生産性を向上することができる。
【0084】
[変形例]
本実施例では、バルブボディ1のノズルホルダーの内周に設けられる圧入孔19にノズルサブアッセンブリを圧入固定しているが、バルブボディ1のノズルホルダーの内周に設けられる圧入孔19にノズル2を直接圧入固定しても良い。この場合には、バルブボディ1のノズルホルダーとは別体のノズルホルダー3は不要となり、部品点数や組付工数を削減できる。
また、スプリング(バルブ付勢手段)として、シャフトバルブまたはシャフト4、バルブ5を閉弁作動方向に付勢するリターンスプリングと、シャフトバルブまたはシャフト4、バルブ5を開弁作動方向に付勢するオーバーターンスプリングと、リターンスプリングとオーバーターンスプリングとの結合部を逆U字状に折り曲げることで形成されるU字フック部とを備えたコイルスプリングを採用しても良い。
【0085】
本実施例では、シャフト4を回転駆動してバルブ5を開閉動作させるアクチュエータとして、電力の供給を受けてトルクを発生するモータ、このモータの回転を減速する減速機構(動力伝達機構)を備えた電動アクチュエータを採用しているが、シャフト4を回転駆動してバルブ5を開閉動作させるアクチュエータとして、負圧制御弁を介して電動バキュームポンプからの負圧により駆動される負圧作動式アクチュエータや、コイルを含む電磁石を備えたリニアソレノイド(電磁アクチュエータ)を採用しても良い。
【0086】
本実施例では、EGRガス流量制御弁(EGRV)に本発明を適用したが、EGRクーラの出口側に連通する低温排気ガス流路とEGRガスをEGRクーラより迂回させるバイパス流路(高温排気ガス流路)とを切り替える排気ガス流路切替弁や、エンジンの排気管(ターボチャージャのタービンハウジング)に設置される排気ガス流量(圧力)制御弁等の他の排気ガス制御弁に本発明を適用しても良い。
なお、排気ガス制御弁としては、ウェイストゲート弁、スクロール切替弁、排気流量制御弁、排気圧力制御弁、排気切替弁等が考えられる。
また、排気ガス制御弁の弁体を構成するバルブとして、バタフライバルブを採用しているが、フラップバルブ、プレートバルブ、ロータリバルブ等の回転型バルブを採用しても良い。
また、内燃機関(エンジン)として、多気筒ディーゼルエンジンの代わりに、多気筒ガソリンエンジンを用いても良い。また、単気筒エンジンに適用しても良い。
【符号の説明】
【0087】
1 バルブボディ(ハウジング)
2 ノズル(ハウジング)
3 ノズルホルダー(ハウジング)
4 シャフト
5 バルブ
6 シールリング
7 バルブギヤ
8 リターンスプリング
10 軸受ホルダー(軸受装置)
11 ボールベアリング(軸受装置)
12 ボールベアリング(軸受装置)
13 オイルシール(軸受装置)
14 流路孔
15 流路孔
16 流路孔
17 流路孔
18 流路孔
20 収容室
21 収容孔
22 軸受スリーブ
23 圧入孔
24 軸受孔
25 隔壁
26 挿通孔
27 圧入孔
31 第1軸受スリーブ(外環部)
32 第2軸受スリーブ(外環部)
33 第1環壁(第1規制部)
34 第2環壁(第2規制部)
35 第1圧入孔
36 第2圧入孔
41 内輪
42 外輪(第1外環部)
43 鋼球
44 シールリップ
45 円筒部(第2外環部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)排気ガスが通り抜ける流路、およびこの流路の壁面で開口した収容孔を有するハウジングと、
(b)前記流路内に収容されて、前記流路を開閉するバルブと、
(c)前記収容孔内に収容されて、前記バルブが設けられるシャフトと、
(d)前記収容孔内に収容されて、前記シャフトを回転可能に支持する軸受装置と
を備えた排気ガス制御弁において、
前記軸受装置は、前記シャフトの回転軸方向に連続して配置される複数の転がり軸受、およびこれらの転がり軸受よりも流路側に配置されるガスケットを有していることを特徴とする排気ガス制御弁。
【請求項2】
請求項1に記載の排気ガス制御弁において、
前記収容孔は、前記シャフトの回転軸方向に所定距離隔てて配置されて、前記収容孔と同一軸芯上に形成された2つの第1、第2圧入孔を有していることを特徴とする排気ガス制御弁。
【請求項3】
請求項2に記載の排気ガス制御弁において、
前記複数の転がり軸受は、前記第1圧入孔に圧入固定される第1外環部を有し、
前記ガスケットは、前記第2圧入孔に圧入固定される第2外環部を有していることを特徴とする排気ガス制御弁。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のうちのいずれか1つに記載の排気ガス制御弁において、
前記シャフトは、前記収容孔をその中心線方向に貫通するように設置されていることを特徴とする排気ガス制御弁。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のうちのいずれか1つに記載の排気ガス制御弁において、
前記シャフトは、その回転軸方向の一端側に、前記流路内に突出する突出部を有していることを特徴とする排気ガス制御弁。
【請求項6】
請求項5に記載の排気ガス制御弁において、
前記バルブは、前記シャフトと一体部品で構成されており、
前記突出部には、前記バルブが一体的に形成されていることを特徴とする排気ガス制御弁。
【請求項7】
請求項5に記載の排気ガス制御弁において、
前記バルブは、前記シャフトに対して別体部品で構成されており、
前記突出部には、前記バルブが組み付けられていることを特徴とする排気ガス制御弁。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7のうちのいずれか1つに記載の排気ガス制御弁において、
前記軸受装置は、前記ハウジングに対して別体部品で構成されて、前記複数の転がり軸受および前記ガスケットを保持する筒状のホルダーを有していることを特徴とする排気ガス制御弁。
【請求項9】
請求項8に記載の排気ガス制御弁において、
前記ホルダーは、前記シャフトの回転軸方向に延びる軸受孔を有し、
前記ハウジングは、前記軸受孔と前記流路とを連通し、且つ前記シャフトが挿通可能な挿通孔を有し、
前記挿通孔は、前記バルブの外径よりも大きく、前記ホルダーの外径よりも小さいことを特徴とする排気ガス制御弁。
【請求項10】
請求項1ないし請求項9のうちのいずれか1つに記載の排気ガス制御弁において、
前記シャフトに対して、前記バルブを閉弁作動方向または開弁作動方向に荷重を与えるスプリングを備えたことを特徴とする排気ガス制御弁。
【請求項11】
請求項10に記載の排気ガス制御弁において、
前記軸受装置は、前記シャフトの周囲を周方向に取り囲むように配置された筒状の軸受スリーブを有し、
前記スプリングは、前記軸受スリーブの周囲を渦巻き状に取り囲むコイルを有し、
前記軸受スリーブは、前記収容孔に圧入固定される圧入部、および前記スプリングのコイル内径面を保持するスプリングガイドを有していることを特徴とする排気ガス制御弁。
【請求項12】
請求項1ないし請求項11のうちのいずれか1つに記載の排気ガス制御弁において、
前記複数の転がり軸受とは、前記収容孔内において、前記ハウジングに対して前記シャフトを回転可能に軸支する複数のボールベアリングのことであることを特徴とする排気ガス制御弁。
【請求項13】
請求項1ないし請求項12のうちのいずれか1つに記載の排気ガス制御弁において、
前記ガスケットとは、前記シャフトの外周側に形成される環状隙間をシールするオイルシールのことであることを特徴とする排気ガス制御弁。
【請求項14】
請求項1ないし請求項13のうちのいずれか1つに記載の排気ガス制御弁において、
前記ハウジングは、前記流路と同一軸芯上に形成された圧入孔を有するバルブボディと、このバルブボディに対して別体部品で構成されて、内部に前記流路が形成された筒状のノズルとを備え、
前記ノズルは、前記圧入孔に圧入固定されていることを特徴とする排気ガス制御弁。
【請求項15】
請求項14に記載の排気ガス制御弁において、
前記バルブの全閉時に、前記ノズルの周方向壁面と前記バルブの周方向端面との間に形成される環状隙間をシールするシールリングを備え、
前記バルブは、この周方向端面全周に、前記シールリングを装着する環状溝を有していることを特徴とする排気ガス制御弁。
【請求項16】
請求項14または請求項15に記載の排気ガス制御弁の組付方法において、
前記シャフトに前記バルブを一体成形したシャフトバルブに、前記軸受装置を組み付けて、シャフトバルブサブアッセンブリを形成する工程と、
次に、前記収容孔内に前記シャフトバルブサブアッセンブリを組み付ける工程と、
次に、前記圧入孔に前記ノズルを圧入固定してハウジングサブアッセンブリを形成する工程と
を備えたことを特徴とする排気ガス制御弁の組付方法。
【請求項17】
請求項14または請求項15に記載の排気ガス制御弁の組付方法において、
前記シャフトに前記軸受装置を組み付けてシャフトサブアッセンブリを形成する工程と、
次に、前記シャフトサブアッセンブリに前記バルブを組み付けてシャフトバルブサブアッセンブリを形成する工程と、
次に、前記収容孔内に前記シャフトバルブサブアッセンブリを組み付ける工程と、
次に、前記圧入孔に前記ノズルを圧入固定してハウジングサブアッセンブリを形成する工程と
を備えたことを特徴とする排気ガス制御弁の組付方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−96305(P2013−96305A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−239900(P2011−239900)
【出願日】平成23年11月1日(2011.11.1)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】