説明

排気ガス浄化用触媒

【目的】 900℃以上でも触媒活性を有し、かつNOxに対する高い浄化能力を有する三元触媒を得る。
【構成】 一般式Ln1-xAxMO3(LnはCeを除く希土類金属、AはCe又はアルカリ土類金属、Mは遷移金属で、いずれも1種又は2種以上、0<x<1)で示されるペロブスカイト型構造の複合酸化物と、Ce及びZr、又はさらにCe以外の希土類金属を含む、少なくとも一部が複合酸化物又は固溶体となっている耐熱性酸化物と、貴金属とを共存させる。耐熱性酸化物の共存により耐熱性が高まり、貴金属の共存によりNOxに対する浄化能力が高まる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は900℃以上でも用いられる一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)及び酸化窒素(NOx)の浄化能力に優れた排気ガス浄化用三元触媒に関するものである。
【0002】
【従来の技術】希土類金属、アルカリ土類金属及び遷移金属から構成されるペロブスカイト型構造を有する複合酸化物は、CO、HC及びNOxを浄化する安価な排気ガス浄化用三元触媒として実用化が期待されている(特開昭59−87046号公報、特開昭60−82138号公報参照)。しかし、これらの触媒はいずれも800℃以下で使用するのを目的としており、自動車排ガス用触媒のように900℃以上の高温域において高い触媒活性を必要とし、かつ高温での耐久性も満足する必要がある場合には、十分な触媒とはいえない。すなわち、ペロブスカイト型構造を有する複合酸化物は、900℃以上の高温で使用すると焼結して有効表面積が減少し、触媒活性が著しく低下する。また、このペロブスカイト型複合酸化物はCO、HCの浄化能力は優れているが、NOxの浄化能力がやや劣っており、自動車排ガス用の三元触媒として実用に供するには十分でない。
【0003】そこで、ペロブスカイト型構造を有する複合酸化物を触媒成分として900℃以上の高温度で長時間用いた場合の問題点である焼結による活性低下を防ぎ、触媒成分のNOx浄化能力の改善を図るために、ペロブスカイト型構造の複合酸化物と、耐熱性を有する複合酸化物と、貴金属とを共存させた排気ガス浄化用触媒が提案されている(特開平1−168343号公報参照)。そこで使用されている耐熱性複合酸化物は、触媒成分のペロブスカイト型複合酸化物と化学的性質の類似した構造を有し、希土類金属とアルカリ土類金属を有している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記引用の特開平1−168343号公報の発明と同様に、ペロブスカイト型構造の複合酸化物触媒の900℃以上での触媒活性の低下を防ぐとともに、NOx浄化能力を改善することにあり、その引用発明とは耐熱性酸化物の構造の異なるものを提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、一般式Ln1-xAxMO3(LnはCeを除く希土類金属、AはCe又はアルカリ土類金属、Mは遷移金属、0<x<1)で示されるペロブスカイト型構造の複合酸化物と、Ce及びZr、又はさらにCe以外の希土類金属を含む、少なくとも一部が複合酸化物又は固溶体となっている耐熱性酸化物と、貴金属とを共存させた排気ガス浄化用触媒である。ここで、Ln、A及びMは1種ずつの場合に限らず、2種以上を含んでいる場合も含む。
【0006】本発明の第1の特徴は、ペロブスカイト型構造の複合酸化物からなる触媒成分に耐熱性酸化物を共存させた点にある。耐熱性酸化物はセリウム酸化物とジルコニウム酸化物、又はさらにセリウム以外の希土類金属の酸化物を含み、それらの酸化物の少なくとも一部は複合酸化物又は固溶体として存在し、900℃以上の高温においても焼結を抑制することができる。この耐熱性酸化物による効果は、触媒成分を耐熱性酸化物上に担持して用いる場合、及び触媒成分粉末と耐熱性酸化物粉末とを混合して使用する場合のいずれの場合にも有効に発揮され、900℃以上の高温で長時間使用した後でも触媒成分は担体上に高分散状態に維持されているか、又は耐熱性酸化物粉末間に高分散の状態で存在している。この耐熱性酸化物が900℃以上の高温においても熱的に安定で、触媒成分と反応しにくいので、触媒成分のペロブスカイト構造の破壊による触媒活性の低下が防がれる。
【0007】本発明の第2の特徴は、触媒成分としてのペロブスカイト型複合酸化物以外にパラジウムなどの貴金属を添加した点にある。ペロブスカイト型構造の複合酸化物それ自体は三元触媒として使用できるが、NOxに対する浄化能力がHC、COに比べてやや劣っている。そこで、NOxに対する活性を高めるために少量の貴金属を添加した。貴金属はプロブスカイト型構造の複合酸化物及び耐熱性酸化物上に担持されている。担持された貴金属は反応するペロブスカイト型複合酸化物上では固溶及び析出現象が起こり、一方、反応しない高比表面積の耐熱性酸化物上では析出状態で高分散に担持されることにより、排気ガス変動雰囲気下における900℃以上の高温でも貴金属の焼結が起きにくく、浄化活性が高度に維持される。このように、本発明にかかる触媒は、900℃以上の高温でも耐久性のある安価な排気ガス浄化用三元触媒である。
【0008】本発明のかかる触媒に用いる触媒成分の1つであるペロブスカイト型構造の複合酸化物は、一般式Ln1-xAxMO3である。この複合酸化物の量は触媒全量の1〜80重量%が望ましい。1重量%より少ない場合は触媒活性が低く、逆に80重量%より多くなると耐熱性酸化物の効果が現われにくくなり好ましくない。この触媒成分の複合酸化物の形状、粒度、純度、比表面積などは触媒成分として通常用いられる状態であればよい。
【0009】耐熱性酸化物は触媒成分の担体として広く用いられているAl23などと同様の状態(形状、粒度、純度、比表面積)で用いればよい。例えば、比表面積は触媒成分を高分散状態に保持するため、20m2/g以上が望ましい。耐熱性酸化物中のCe、Zr、希土類金属の比率は特に制限されないが、Ceの100原子に対してZrは5〜100原子、好ましくは5〜50原子、Ce以外の希土類金属は0〜100原子、好ましくは5〜30原子の原子比となるように構成する。
【0010】他の触媒成分である貴金属は白金族のRu、Rh、Pd、Os、Ir及びPtのうちから選ばれた1種又は2種以上を用いる。これらの貴金属のうちPdを用いた場合にNOx浄化特性が最も向上する。貴金属の量は触媒全量に対し0.01〜5重量%、望ましくは0.1〜2重量%がよい。貴金属が0.01重量%より少ない場合はNOx浄化能力の向上が不十分であり、逆に5重量%を越えてもNOx浄化能力が飽和する。これら貴金属は従来の三元触媒において通常用いられている状態(形状、粒度、純度、比表面積)で用いる。
【0011】本発明にかかる触媒は通常、触媒を製造するために行なわれている方法によって製造することができる。次に、製造方法の一例を示す。触媒成分を担体に担持した状態に製造する場合には、まず担体となる耐熱性酸化物の複合酸化物又は固溶体を、セリウム塩とジルコニウム塩又はさらに希土類金属塩を含む水溶液を600℃以上の温度で熱分解し、焼成することによって得るか、又は市販のセリア粉末(100m2/g以上)にジルコニウム塩又はさらに希土類金属塩を所定の化学量論比で混合した水溶液を加え、約100℃で5〜12時間大気中で乾燥し、その後600℃で3時間大気中で焼成して得る。その耐熱性酸化物からなる担体粉末に、触媒成分であるペロブスカイト型構造を有する複合酸化物を構成する金属の硝酸塩を所定の化学量論比で混合した水溶液を加え、約100℃で5〜12時間大気中で乾燥し、その後さらに700〜800℃で3〜10時間大気中で焼成する。この熱処理により硝酸塩が熱分解し、担体粉末上にペロブスカイト型構造の複合酸化物が担持される。
【0012】次に、上記の如く耐熱性複合酸化物担体に担持したペロブスカイト型構造の複合酸化物上に、Pt、Pd、Rhなどの貴金属を担持する。例えば硝酸パラジウムの水溶液を上記粉末に含浸させ、約100℃で5〜12時間大気中で乾燥し、その後600℃で3時間大気中で焼成し、Pdを担持する。また、ペロブスカイト型構造を有する複合酸化物の微粉末と耐熱性複合酸化物の微粉末を混合した後、貴金属を担持してもよい。ペロブスカイト型構造の複合酸化物の微粉末の製造は、まずそれを構成する各金属の硝酸塩、シュウ酸塩などを混合した水溶液に、所定量の炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウムなどの中和剤を加えて共沈させる。次にこの混合物を水洗し、濾過し、乾燥し、500〜600℃で3〜5時間大気中で焼成した後、粉砕し、さらに700〜800℃で3〜5時間大気中で焼成し、微粉末とする。この粉末の比表面積は少なくとも数m2/g以上であることが望ましい。このように製造したペロブスカイト型構造の複合酸化物微粉末に耐熱性酸化物粉末を混合し、さらにこの混合粉末に貴金属を上述したと同様の方法で担持し、目的とする触媒とする。
【0013】この触媒はこれにバインダーを添加し、所定の形状に成形して用いたり、又は水を加えスラリ状として基材に塗布して用いることもできる。また、基材に耐熱性酸化物を被覆した後、触媒成分であるペロブスカイト型構造の複合酸化物及び貴金属を担持して用いることもできる。
【0014】
【実施例】
(実施例1)担体として用いる耐熱性複合酸化物は市販の高比表面積の酸化セリウム粉末(CeO2比表面積130m2/g、純度99.9%/TREO(全希土類酸化物))111.9gを用意し、これにオキシ硝酸ジルコニウム(ZrO(NO3)2)水溶液(液比重1.51、液中にZrO2換算で25.0重量%含まれる)147.9g、及び硝酸イットリウム(Y(NO3)3)水溶液(液比重1.62、液中にY23換算で21.7重量%含まれる)26.0gを加え、よく撹拌して混合しながら110℃で10時間大気中で乾燥した。その後、大気中で600℃で3時間焼成を行ない、(Ce0.65Zr0.300.05)O2複合酸化物を約150g得た。
【0015】次に、この粉末を50g用意し、これに硝酸ランタン(La(NO3)3・6H2O)70.4g、硝酸セリウム(Ce(NO3)3・6H2O)17.7g及び硝酸コバルト(Co(NO3)2・6H2O)59.2gを溶解した水溶液100mlを加えた後、110℃で10時間大気中で乾燥した。その後、大気中で800℃、3時間焼成を行ない、上記硝酸塩を熱分解し、(Ce0.65Zr0.300.05)O2上にCoを含有するペロブスカイト型構造を有する複合酸化物(La0.8Ce0.2)CoO3を担持した粉末を得た。
【0016】その後、この粉末に硝酸パラジウム水溶液を含浸させ、110℃で10時間大気中で乾燥し、さらに大気中で600℃で3時間の焼成を行なって、Pdを0.5g担持した触媒を(試料No.1)を調製した。この触媒の成分は重量比で(La0.8Ce0.2)CoO3:(Ce0.65Zr0.300.05)O2:Pd=50:50:0.5であった。
【0017】(実施例2)実施例1で調製した(Ce0.65Zr0.300.05)O2粉末50gを用意し、これに担持されるペロブスカイト型構造の複合酸化物を得るための金属塩の添加量を、硝酸ランタン70.4g、硝酸セリウム17.7g、硝酸コバルト23.7g及び硝酸鉄(Fe(NO3)3・9H2O)49.6gとする他は、実施例1と同様の操作により、この実施例2にかかる触媒(試料No.2)を調製した。この触媒の成分は重量比で(La0.8Ce0.2)(Co0.4Fe0.6)O3:(Ce0.65Zr0.300.05)O2:Pd=50:50:0.5であった。
【0018】(実施例3)実施例1で用いた酸化セリウム粉末132.6gにオキシ硝酸ジルコニウム水溶液98.6g及び硝酸イットリウム水溶液15.7gを加え、実施例1と同様の操作により(Ce0.77Zr0.200.03)O2耐熱性複合酸化物を得た。次に、この粉末を50g用意し、これに実施例2と同様の配合比と操作により、この実施例3にかかる触媒(試料No.3)を調製した。この触媒の成分は重量比で(La0.8Ce0.2)(Co0.4Fe0.6)O3:(Ce0.77Zr0.200.03)O2:Pd=50:50:0.5であった。
【0019】(実施例4)実施例3で調製した(Ce0.77Zr0.200.03)O2耐熱性複合酸化物粉末50gを用意し、これに硝酸ランタン79.2g、硝酸セリウム8.9g、硝酸コバルト23.7g、硝酸鉄49.6gを溶解した水溶液を加え、実施例1と同様の乾燥と焼成を行ない、(CeZrY)O2上に(La0.9Ce0.1)(Co0.4Fe0.6)O3を担持した粉体を得た。その後、その粉末にジニトロジアミン白金((NH3)2(NO2)2Pt)硝酸水溶液を含浸させ、実施例1と同様の操作により、この実施例4にかかる触媒(試料No.4)を調製した。この触媒の成分は重量比で(La0.9Ce0.1)(Co0.4Fe0.6)O3:(Ce0.77Zr0.200.03)O2:Pt=50:50:0.5であった。
【0020】(実施例5)実施例1で用いた硝酸セリウム粉末111.9gにオキシ硝酸ジルコニウム水溶液147.9g及び硝酸ランタン(La(NO3)3・6H2O)22.1gを溶解した水溶液50mlを加え、実施例1と同様の操作にて(Ce0.65Zr0.30La0.05)O2耐熱性複合酸化物を得た。次に、この粉末を50g用意し、これに担持されるペロブスカイト型構造の複合酸化物を得るための金属塩の添加量を、硝酸ランタン74.1g、硝酸ストロンチウム(Sr(NO3)2)9.1g、硝酸コバルト31.1g、硝酸鉄43.2gとする他は実施例1と同様の操作により、この実施例5にかかる触媒(試料No.5)を調製した。この触媒の成分は重量比で(La0.8Sr0.2)(Co0.5Fe0.5)O3:(Ce0.65Zr0.30La0.05)O2:Pd=50:50:0.5であった。
【0021】(実施例6)ペロブスカイト型構造の複合酸化物(La0.8Ce0.2)(Co0.4Fe0.6)O3粉末の調製法を説明する。硝酸ランタン103.9g、硝酸セリウム26.1g、硝酸コバルト34.9g、硝酸鉄72.7gを純水に溶解した水溶液0.3リットルを用意した。次に、中和共沈剤として炭酸ナトリウム50gを溶解した水溶液0.5リットルを用意した。中和共沈剤を先の水溶液に滴下し、共沈物を得た。その共沈物を十分水洗し、濾過した後、真空乾燥した。これを600℃で3時間大気中で焼成後、粉砕し、その後、800℃で3時間大気中で焼成を行ない、さらに粉砕し、(La0.8Ce0.2)(Co0.4Fe0.6)O3の粉末を作成した。実施例1で調製した(Ce0.65Zr0.300.05)O2粉末80gと上記により作成した(La0.8Ce0.2)(Co0.4Fe0.6)O3粉末20gを十分混合した。次に、この混合粉末に硝酸パラジウム水溶液を用いてパラジウムを含浸した後、110℃で10時間乾燥し、次いで600℃で3時間大気中で焼成してPdを0.5g担持した触媒(試料No.6)を調製した。
【0022】(実施例7)実施例6のペロブスカイト型複合酸化物の調製法に代えて、硝酸ランタン76.7g、硝酸ネオジウム(Nd(NO3)3・6H2O)38.2g、硝酸コバルト43.7g、硝酸鉄60.6gを用いて同様の操作にて(La0.59Nd0.29Ce0.12)(Co0.5Fe0.5)O3の粉末を作成した。この粉末80gと実施例1で調製した(Ce0.65Zr0.300.05)O2粉末20gを十分混合した後、実施例6と同様にしてPdを0.5g担持した触媒(試料No.7)を調製した。
【0023】(実施例8)実施例1で用いた酸化セリウム粉末137.70gにオキシ硝酸ジルコニウム98.6gを加え、実施例1と同様の操作により(Ce0.8Zr0.2)O2耐熱複合酸化物粉末を得た。この耐熱複合酸化物粉末50gを実施例6による(La0.8Ce0.2)(Co0.4Fe0.6)O3ペロブスカイト型粉末50gを十分混合した後、Pdを0.5g担持して触媒(試料No.8)を調製した。
【0024】(実施例9)実施例6による(La0.8Ce0.2)(Co0.4Fe0.6)O3粉末80gと実施例8による(Ce0.8Zr0.2)O2耐熱複合酸化物粉末20gを十分混合した後、Pdを0.5g担持して触媒(試料No.9)を調製した。
【0025】(実施例10)実施例6の硝酸セリウムに代えて硝酸ストロンチウム12.7gを用いて同様の操作により(La0.8Sr0.2)(Co0.4Fe0.6)O3ペロブスカイト型粉末を作成した。この粉末80gと実施例8による(Ce0.8Zr0.2)O2耐熱複合酸化物粉末20gを十分混合した後、Pdを0.5g担持して触媒(試料No.10)を調製した。
【0027】(比較例1)実施例6で作成したペロブスカイト型構造の複合酸化物(La0.8Ce0.2)(Co0.4Fe0.6)O3粉末100gを用い、これに硝酸パラジウム水溶液を用いて実施例1と同様の方法でPdを0.5g担持して比較用の触媒(試料No.C1)を調製した。
【0028】(比較例2)実施例1で調製した耐熱性複合酸化物に代えて、市販の高比表面積の酸化セリウム粉末を50g用意し、これに実施例1と同様の操作でCeO2上に(La0.8Ce0.2)CoO3を担持し、さらにPdを0.5g担持して比較用の触媒(試料No.C2)を調製した。この触媒の成分は重量比で(La0.8Ce0.2)CoO3:CeO2:Pd=50:50:0.5であった。
【0029】(比較例3)実施例1の(Ce0.65Zr0.300.05)O2を市販のγ−Al23(比表面積110m2/g)に代える他、同様の操作によりこの比較例3による触媒(試料No.C3)を調製した。
【0030】(比較例4)実施例6で作成したペロブスカイト型構造の複合酸化物(La0.8Ce0.2)(Co0.4Fe0.6)O3粉末50gと市販のSrZrO3粉末50gとを十分に混合した後、Pdを0.5g担持した触媒(試料No.C4)を調製した。
【0031】(試験例)実施例、比較例で調製した触媒について、入口ガス温度930℃の排気ガス中で5時間の浄化活性の耐久試験を行なった。ガス組成は一酸化炭素(CO)1.0%、プロピレン(C36)0.1%、二酸化炭素(CO2)10%、水(H2O)4%で、酸素(O2)を変動条件とし、残部が窒素(N2)である。
【0032】(評価)上記の耐熱・耐久試験を行なった触媒について、450℃における一酸化炭素、プロピレン及び酸化窒素の浄化率を測定した。測定に際し粉末状触媒を加圧成形し、直径が約2mmのペレット状とし、反応管に充填した。測定時の空間速度は30000/時間であり、ガス組成はCOが0.7%、C36が0.15%、CO2が10%、H2Oが10%、H2が0.23%、NOが0.15%、O2を変動条件とし、残部がN2である。第1表に結果を触媒の成分とともに記載した。本実施例の触媒は比較例の触媒に比べ耐久性に優れている。
【0033】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】 一般式Ln1-xAxMO3(LnはCeを除く希土類金属、AはCe又はアルカリ土類金属、Mは遷移金属で、いずれも1種又は2種以上、0<x<1)で示されるペロブスカイト型構造の複合酸化物と、Ce及びZr、又はさらにCe以外の希土類金属を含む、少なくとも一部が複合酸化物又は固溶体となっている耐熱性酸化物と、貴金属とを共存させた排気ガス浄化用触媒。
【請求項2】 前記耐熱性酸化物はCeの100原子に対してZrが5〜100原子、Ce以外の希土類金属が0〜100原子の原子比となるように構成されている請求項1に記載の排気ガス浄化用触媒。
【請求項3】 貴金属は白金族である請求項1に記載の排気ガス浄化用触媒。

【公開番号】特開平5−31367
【公開日】平成5年(1993)2月9日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平3−212943
【出願日】平成3年(1991)7月29日
【出願人】(000002967)ダイハツ工業株式会社 (2,560)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(000003609)株式会社豊田中央研究所 (4,200)