説明

排気ガス浄化装置用センサ

【課題】本発明は、排気ガス浄化装置用センサに係り、PM量又はPM濃度の測定を適切に行いつつ応力作用を抑えた検査用フィルタの把持を実現させることにある。
【解決手段】排気ガス浄化装置用センサは、内燃機関の主排気ラインから分岐された副排気ラインに設けられる検査用フィルタと、副排気ライン上で検査用フィルタを把持する把持部材と、を備え、把持部材は、検査用フィルタの外周部の10%〜50%の面積部分を外周側から覆うように把持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排気ガス浄化装置用センサに係り、特に内燃機関の主排気ラインから分岐された副排気ラインに設けられる検査用フィルタを備える排気ガス浄化装置用センサの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ディーゼルエンジンから排出されるC(炭素)を主とする微粒子(PM:Particulate Matter)を捕捉するのに、多孔質セラミックより構成される微粒子捕捉フィルタ(DPF:diesel particulate filter)を用いた排気ガス浄化装置が知られている。この排気ガス浄化装置において、DPFには、ディーゼルエンジンの継続的な使用に伴って徐々にPMが堆積する。このため、ディーゼルエンジン側から大気へPMが放出されるのを防止することができ、排気ガスを浄化することが可能である。
【0003】
ここで、DPFの再生処理時にDPF中にクラックが生ずると、DPF下流側の排気ラインへPMが漏れ出すおそれがある。DPFのクラックを防止するうえでは、適切なタイミングでDPF内のPMを燃焼させて酸化除去することが有効である。そこで、DPF中のPM堆積量を測定するために、DPF上流側の排気ラインに接続し、内燃機関から排出された排気ガスの一部をサンプルガスとして取り入れる副排気ラインを設け、その副排気ライン上に検査用フィルタを設けることが考えられる(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
このような特許文献1記載の従来のPMセンサは、副排気ライン内の検査用フィルタ前後の圧力差等を測定し、副排気ラインのPM量を求めてDPF中のPM堆積量を推定することができる。更には、検査用フィルタをDPF下流側の排気ラインに設けることで、PM漏れを診断し或いはDPF中のPM堆積量を求めることが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】欧州特許第1916394号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1記載の従来のPMセンサにおいて、副排気ライン内に設けられる検査用フィルタは、その副排気ライン内において筒状に延びる形状を有しているが、その検査用フィルタの把持が適切に行われていないと、長期間の使用が行われた場合などに、振動などに起因して検査用フィルタに過大な応力が作用して、検査用フィルタの破損が発生するおそれがある。一方、検査用フィルタが把持される部位の領域が大きいほど、検査用フィルタが安定して把持されるので、検査用フィルタの破損が生ずる可能性は小さくなるが、この場合は、検査用フィルタの排気ガスに晒される領域が小さくなるので、副排気ラインのPM量又は排気ガス中のPM濃度を精度よく測定することができないおそれがある。
【0007】
本発明は、上述の点に鑑みてなされたものであり、PM量又はPM濃度の測定を適切に行いつつ応力作用を抑えた排気ガス浄化装置用センサにおける検査用フィルタの把持を実現させた排気ガス浄化装置用センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的は、内燃機関の主排気ラインから分岐された副排気ラインに設けられる検査用フィルタと、前記副排気ライン上で前記検査用フィルタを把持する把持部材と、を備える排気ガス浄化装置用センサであって、前記把持部材は、前記検査用フィルタの外周部の10%〜50%の面積部分を外周側から覆うように把持する排気ガス浄化装置用センサにより達成される。
【0009】
この態様の発明において、把持部材は、検査用フィルタの外周部の10%〜50%の面積部分を外周側から覆うように把持する。かかる検査用フィルタの構造によれば、フィルタとしてのろ過面積をある程度大きく確保しつつ、その把持を適切に行うことができる。従って、本発明によれば、PM量又はPM濃度の測定を適切に行いつつ、検査用フィルタへの応力作用を抑えることができる。
【0010】
尚、上記した排気ガス浄化装置用センサにおいて、前記検査用フィルタの外周部はろ過壁として用いられることとしてもよい。
【0011】
また、上記した排気ガス浄化装置用センサにおいて、前記検査用フィルタは、前記把持部材により該検査用フィルタの外周側が覆われ、前記副排気ライン上に把持されることとしてもよい。
【0012】
また、上記した排気ガス浄化装置用センサにおいて、前記検査用フィルタは、前記副排気ラインの流入側に面する封止部を有し、前記副排気ラインの流出側で前記把持部材により把持されることとしてもよい。
【0013】
また、上記した排気ガス浄化装置用センサにおいて、前記検査用フィルタは、前記副排気ラインの流出側に面する封止部を有し、前記副排気ラインの流入側で前記把持部材により把持されることとしてもよい。
【0014】
この場合には、前記把持部材による前記検査用フィルタの把持部位に、前記副排気ライン中の微粒子の堆積を抑制するためのコーティングが施されることとしてもよい。
【0015】
更に、上記した排気ガス浄化装置用センサにおいて、前記検査用フィルタは、前記微粒子を捕捉可能な微粒子捕捉フィルタからの微粒子漏れを診断し又は前記微粒子捕捉フィルタに捕捉される微粒子量を測定するために設けられていることとしてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、PM量又はPM濃度の測定を適切に行いつつ応力作用を抑えた排気ガス浄化装置用センサにおける検査用フィルタの把持を実現させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態である排気ガス浄化装置用センサを備える排気ガス浄化装置の全体構成図である。
【図2】本発明の一実施形態の排気ガス浄化装置用センサの要部構成図である。
【図3】本発明の実施形態の変形例である排気ガス浄化装置用センサの構成図である。
【図4】本発明の実施形態の変形例である排気ガス浄化装置用センサを備える排気ガス浄化装置の全体構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を用いて、本発明に係る排気ガス浄化装置用センサの具体的な実施形態について説明する。
【0019】
図1は、本発明の一実施形態である排気ガス浄化装置用センサを備える排気ガス浄化装置の全体構成図を示す。また、図2は、本発明の一実施形態の排気ガス浄化装置用センサの要部構成図を示す。
【0020】
本実施形態の排気ガス浄化装置10は、図1に示す如く、内燃機関(特にディーゼルエンジン)12に接続する主排気ライン14上に設けられた、ディーゼル用酸化触媒(DOC:Diesel Oxidation Catalyst)16及び微粒子捕捉フィルタ(DPF:Diesel Particulate Filter)18を備えている。DOC16は、内燃機関12から排出される排気ガス中に含まれる一酸化炭素又は炭化水素などを除去するための触媒である。また、DPF18は、内燃機関12から排出される排気ガス中に含まれる微粒子(PM:Particulate Matter)を捕捉するフィルタである。
【0021】
本実施形態の排気ガス浄化装置10は、内燃機関12から大気へ排出される排気ガスを浄化するための装置であると共に、DPF18に破損などの故障が発生し、閾値以上の量のPMが主排気ライン14上でDPF18下流側へ漏れ出した場合に、この故障を検出して、アラーム、ランプの点滅、又はランプの点灯等を行うことができる。排気ガス浄化装置10は、DPF18の故障を検出するための排気ガス浄化装置用センサ(以下、PMセンサと称す)20を備えている。
【0022】
すなわち、主排気ライン14のDPF18下流側には、大気に連通する主排気ラインとは別に設けられた副排気ライン22が接続されている。副排気ライン22は、主排気ライン14から分岐されており、DPF18を通過した排気ガスの一部が流入し得る。副排気ライン22は、主排気ライン14の流路断面積よりも小さな流路断面積を有している。PMセンサ20は、副排気ライン22内に配設されており、副排気ライン22に流れる排気ガス中のPMの濃度に基づいてDPF18からのPM漏れを判定する。
【0023】
図2に示す如く、PMセンサ20は、副排気ライン22内に設けられた検査用フィルタ28を構成要素として有している。尚、PMセンサ20は、更に差圧計、流量計、及び/又は温度測定部をセンサ構成要素として含んでいてもよい。DPF18を通過した主排気ライン14中の排気ガスの一部は、ポンプ等で吸引されることで副排気ライン22側に吸引されて、検査用フィルタ28を通過する。
【0024】
検査用フィルタ28は、副排気ライン22内で堆積するPMの量、又は、内燃機関12から排出される排気ガス中に含まれるPMの濃度を算出するためのフィルタであって、PMを捕捉することが可能である。検査用フィルタ28は、DPF18と同様の多孔質セラミックなどの材質により構成されており、円筒状等に形成され又は筒状以外の形状(例えば、四角い一つのセルを持つ形状、3×3セルのセルを持つ形状など)に形成されている。検査用フィルタ28は、DPF18のスートストレージ容量よりも小さなスートストレージ容量を有している。検査用フィルタ28は、ろ過壁として用いられる(使用可能な)外周部28aを有している。
【0025】
PMセンサ20は、差圧計25を備えている。PMセンサ20の差圧計25は、副排気ライン22内における検査用フィルタ28の入口と出口との差圧ΔP(すなわち、上流側と下流側との圧力差)に応じた電気信号を出力する機器であって、例えばダイヤフラム式、ゲージ式、ベローズ式、熱式などの公知の圧力計などにより構成されている。差圧計の出力はマイクロコンピュータを主体に構成される演算部27に供給される。演算部27は、差圧計25の出力信号などに基づいて、副排気ライン22内における検査用フィルタ28の上流側と下流側との間に生じる圧力差ΔPを検出し、そして、その圧力差ΔPの時間変化に基づいて排気ガス中のPM濃度を測定する。
【0026】
副排気ライン22の一部は、主排気ライン14から流入した排気ガスを検査用フィルタ28側へ導く配管の少なくとも一部を構成する円筒形状の外筒(キャニスタ)24により形成されている。キャニスタ24は、円筒状の治具26(把持部材)により主排気ライン14に固定されている。キャニスタ24は、ステンレスなどの強度の高い金属部材により構成されており、円筒状の治具26に溶接などで取り付けられている。また、検査用フィルタ28は、マット又はセラミックペーストなどにより、円筒状の冶具26及びキャニスタ24に固定されている。
【0027】
キャニスタ24は、軸方向に延在する円筒状の検査用フィルタ28の外周側を取り囲んでおり、主排気ライン14から流入した排気ガスを検査用フィルタ28へ導く。検査用フィルタ28の排気ガス流入側にある端部は、キャニスタ24の内周側において円筒状の冶具26から排気ガス流入側へ突出している。検査用フィルタ28の排気ガス流入側は、封止部28bにより封止されており、検査用フィルタ28の外周部28aは、ろ過部位としてキャニスタ24内部に臨んでいる。このため、排気ガスは、副排気ライン22上で検査用フィルタ28へ導かれると、その検査用フィルタ28のろ過部位を通して外周側から内周側へ流通する。この際、排気ガス中に含まれるPMは、検査用フィルタ28の外周側に堆積する。
【0028】
検査用フィルタ28には、その内周側にヒータ30が配設されている。ヒータ30は、電熱線、シースヒータ、セラミックヒータなどであり、内燃機関12を搭載する車両などに搭載されるバッテリから電力が供給されることにより昇温される。ヒータ30は、検査用フィルタ28全体を所定温度(例えば600℃)まで加熱することにより、検査用フィルタ28の外壁に堆積するPMを燃焼させて検査用フィルタ28を再生する。ヒータ30への電力供給は、演算部27による副排気ライン22内の圧力差ΔPの検出結果に基づいて制御されることが望ましい。
【0029】
次に、本実施形態の排気ガス浄化装置10及びPMセンサ20の動作について説明する。
【0030】
本実施形態において、内燃機関12から排出された排気ガスは、主排気ライン14を流通してDPF18を通過した後、その大部分は大気へ放出されるが、その一部は副排気ライン22内へ流入してPMセンサ20に導入される。PMセンサ20に導入された排気ガス中に含まれるPMは、排気ガスがPMセンサ20の検査用フィルタ28のろ過部位を通過する際にろ過部位に吸着されて堆積する。検査用フィルタ28でのPMの堆積状態が時間変化すると、副排気ライン22上での検査用フィルタ28前後の圧力差ΔPが時間変化することとなる。
【0031】
演算部27は、PMセンサ20の差圧計25の出力信号に基づいて、副排気ライン22内における検査用フィルタ28の上流側と下流側との間に生じる圧力差ΔPを検出し、そして、その圧力差ΔP、流量、及び温度に基づいて、検査用フィルタ28に堆積するPMの量、又は、副排気ライン22に流れる排気ガス中のPMの濃度を算出し、その算出したPMの量或いは濃度に基づいて、DPF18からのPM漏れの有無を判定する。演算部27は、その判定の結果、DPF18からのPM漏れが生じていることを判定すると、アラーム、ランプの点滅、又はランプの点灯等を行う。従って、DPF18下流側のPM濃度を測定してDPF18の故障の有無を判定し、故障が有ると判定される時に排気ガス浄化装置10を搭載する車両等の運転者にその故障を知らせることが可能である。
【0032】
演算部27は、また、算出できる検査用フィルタ28に堆積するPMの量が所定の閾値以上であるか否かを判別する。尚、この所定の閾値は、検査用フィルタ28の再生が必要であるPM堆積量の最小値に設定されている。そして、演算部27は、PM堆積量が所定の閾値以上であると判別した場合は、バッテリからヒータ30へ電力供給を行う指令を行って検査用フィルタ28を加熱させる。
【0033】
ヒータ30の作動により検査用フィルタ28が加熱されると、検査用フィルタ28に堆積するPMが燃焼されることで、その検査用フィルタ28が再生される。従って、検査用フィルタ28にPMが過剰に堆積しても、ヒータ30の作用により堆積したPMを燃焼させて、検査用フィルタ28を再生することが可能である。
【0034】
このように、本実施形態において、検査用フィルタ28は、DPF18下流側のPM濃度を測定してDPF18の故障の有無を判定するのに重要な役割を果たすものである。この検査用フィルタ28は、DPF18を通過した排気ガスの一部が導かれる副排気ライン22内に設けられ、キャニスタ24の内部において円筒状に形成されるが、その検査用フィルタ28の把持が適切に行われていないと、長期間の使用が行われた場合などに、振動などに起因して検査用フィルタ28に過大な応力が作用してその破損が発生するおそれがある。一方、検査用フィルタ28が把持される部位の領域が大きいほど、検査用フィルタ28が安定して把持されるので、破損が生ずる可能性は小さくなるが、この場合は、検査用フィルタ28の排気ガスに晒される領域が小さくなるので、排気ガス中のPM濃度の測定が精度よく行われないものとなるおそれがある。
【0035】
本実施形態において、円筒状の治具26には、検査用フィルタ28を把持すべく軸方向に向けて空いた貫通孔26aが設けられている。検査用フィルタ28は、貫通孔26aを貫通して円筒状の治具26により把持されている。円筒状の治具26は、上記の如くキャニスタ24を主排気ライン14に固定させると共に、検査用フィルタ28をろ過部位をキャニスタ24内部に露出させつつ把持する役割を有している。
【0036】
円筒状の治具26は、軸方向に円筒状に延びる検査用フィルタ28を把持するのに、検査用フィルタ28の外周部28aの(具体的には、ろ過壁の外周面の総ろ過面積に対して)10%〜50%の面積(外部表面積)部分を外周側から覆っている。すなわち、円筒状の冶具26が検査用フィルタ28を把持する把持部分の面積は、検査用フィルタ28の外周部28aの面積(外部表面積)の10%〜50%である。これは、把持部分の面積が10%未満である場合は、振動などの過大な応力により検査用フィルタ28の破損が生じる可能性があり、また、把持部分の面積が50%を超える場合は、PM濃度の測定が精度良く行われない可能性があるためである。
【0037】
この場合、検査用フィルタ28は、排気ガスの流入側に面する封止部28bを有し、排気ガス流出側で円筒状の治具26により把持されており、外周部28aにおいて治具26に覆われる領域よりも先端側にある排気ガス流入側の領域を、排気ガス中のPMを捕捉するろ過部位として使用する。このため、検査用フィルタ28は、そのフィルタとしてのろ過面積がある程度大きく確保されつつ、その把持が適切に行われるものとなっている。
【0038】
このような排気ガス浄化装置10のPMセンサ20においては、検査用フィルタ28のろ過面積がある程度大きく確保されるので、排気ガス中のPM濃度の測定を適切に行うことが可能であると共に、円筒状の治具26による検査用フィルタ28の把持が安定するので、振動などに起因した検査用フィルタ28への過大な応力作用を抑えることが可能である。従って、本実施形態の排気ガス浄化装置10のPMセンサ20によれば、検査用フィルタ28の破損を防止しつつ、排気ガス中のPM濃度の測定を適切に行うことが可能となっている。
【0039】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した要旨内において様々な変形及び変更が可能である。
【0040】
上記の本発明の実施形態は、DPF18下流側に接続する副排気ライン22内に、キャニスタ24の内周側において排気ガス流入側(入口側)へ突出する端部を有しかつその排気ガス流入側が封止部28bにより封止された検査用フィルタ28を設けたPMセンサ20の例であるが、本発明はこれに限定されるものではない。図3は、本発明の実施形態の変形例である排気ガス浄化装置用センサの構成図を示す。例えば図3に示す如く、PMセンサ100として、DPF18下流側に接続する副排気ライン102内に、キャニスタ24の内周側において排気ガス流出側(出口側)へ突出する端部を有しかつその排気ガス流出側が封止部106bにより封止された検査用フィルタ106を設けることとしてもよい。
【0041】
かかる本発明の実施形態の変形例のPMセンサ100において、検査用フィルタ106は、排気ガス流出側に面する封止部106bを有し、排気ガス流入側で把持部材104により把持される。そして、検査用フィルタ106の外周部106aにおいて把持部材104に覆われる領域よりも後端側(下流側)にある排気ガス流出側の領域を、排気ガス中のPMを捕捉するろ過部位として使用する。
【0042】
そして、把持部材104は、軸方向に円筒状に延びる検査用フィルタ106を把持するのに、検査用フィルタ106の外周部106aの(具体的には、ろ過壁の外周面の総ろ過面積に対して)10%〜50%の面積(外部表面積)部分を外周側から覆っている。すなわち、把持部材104が検査用フィルタ106を把持する把持部分の面積は、検査用フィルタ106の外周部106aの面積(外部表面積)の10%〜50%である。これは、把持部分の面積が10%未満である場合は、振動などの過大な応力により検査用フィルタ106の破損が生じる可能性があり、また、把持部分の面積が50%を超える場合は、PM濃度の測定が精度良く行われない可能性があるためである。
【0043】
このため、検査用フィルタ106は、そのフィルタとしてのろ過面積がある程度大きく確保されつつ、その把持が適切に行われるものとなっているので、上記した本発明の実施形態と同様の効果を得ることが可能となっている。
【0044】
尚、かかる本発明の実施形態の変形例においては、検査用フィルタ106の排気ガスの流入側が把持部材104により把持されて、排気ガスが検査用フィルタ106の内周側から外周側へろ過部位を通して流通するが、このフィルタ構造では、検査用フィルタ106の把持部材104に面する内周側(把持部位)に排気ガス中のPMが堆積するおそれがある。そこで、その検査用フィルタ106の把持部材104に面する内周側に排気ガス中のPMが堆積しないようにコーティング108を施すことが望ましい。コーティング108としては、アルミナ又はガラス等が挙げられる。かかる本発明の実施形態の変形例によれば、コーティング108の存在により、検査用フィルタ106の把持部材104に面する内周側にPMが堆積するのを抑制することができるので、検査用フィルタ106を通過する排気ガスの流通が検査用フィルタ106の内周面に堆積するPMによって阻害されるのを防止することが可能である。
【0045】
更に、上記の実施形態は、主排気ライン14のDPF18下流側に接続する副排気ライン22を設け、その副排気ライン22内にPMセンサ20を配設して、DPF18からのPM漏れを判定する排気ガス浄化装置10のシステムであるが、本発明はこれに限定されるものではない。図4は、本発明の実施形態の変形例である排気ガス浄化装置用センサを備える排気ガス浄化装置の全体構成図を示す。例えば図4に示す如く、排気ガス浄化装置200のシステムとして、排気ライン14のDPF18上流側に接続する副排気ライン202を設け、その副排気ライン202内にPMセンサ204を配設して、主排気ライン14に流れる排気ガス中のPMの濃度を測定させることとしてもよい。尚、この場合、副排気ライン202は、上流側を主排気ライン14のDPF18上流側に接続し、かつ、下流側を主排気ライン14のDPF18下流側に接続することが望ましい。
【0046】
かかる本発明の実施形態の変形例においても、PMセンサ204の検査用フィルタは、上記した実施形態と同様に、排気ガス流入側に面する封止部を有し、排気ガス流出側で把持部材により把持されており、検査用フィルタの外周部において把持部材に覆われる領域よりも先端側(上流側)にある排気ガス流入側の領域を、排気ガス中のPMを捕捉するろ過部位として使用する。そして、把持部材は、軸方向に円筒状に延びる検査用フィルタを把持するのに、その検査用フィルタの外周部の(具体的には、ろ過壁の外周面の総ろ過面積に対して)10%〜50%の面積(外部表面積)部分を外周側から覆う。このため、かかるフィルタ構造においても、検査用フィルタは、そのフィルタとしてのろ過面積がある程度大きく確保されつつ、その把持が適切に行われるものとなるので、上記した実施形態と同様の効果を得ることが可能である。
【0047】
尚、PMセンサ204の検査用フィルタは、排気ガスの流出側に面する封止部を有し、排気ガスの流入側で把持部材により把持されており、PMセンサ204の検査用フィルタの外周部において把持部材に覆われている領域よりも後端側(下流側)にある排気ガス流入側の領域を、排気ガス中のPMを捕捉するろ過部位として使用することとしてもよい。このフィルタ構造においても、上記した実施形態と同様の効果を得ることが可能となる。
【符号の説明】
【0048】
10,200 排気ガス浄化装置
12 内燃機関
14 主排気ライン
18 DPF
20,100,204 PMセンサ
22,102,202 副排気ライン
26 治具
26a 貫通孔
28,106 検査用フィルタ
30 ヒータ
104 把持部材
108 コーティング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の主排気ラインから分岐された副排気ラインに設けられる検査用フィルタと、前記副排気ライン上で前記検査用フィルタを把持する把持部材と、を備える排気ガス浄化装置用センサであって、
前記把持部材は、前記検査用フィルタの外周部の10%〜50%の面積部分を外周側から覆うように把持することを特徴とする排気ガス浄化装置用センサ。
【請求項2】
前記検査用フィルタの外周部はろ過壁として用いられることを特徴とする請求項1に記載された排気ガス浄化装置用センサ。
【請求項3】
前記検査用フィルタは、前記把持部材により外周側が覆われ、前記副排気ライン上に把持されることを特徴とする請求項1に記載された排気ガス浄化装置用センサ。
【請求項4】
前記検査用フィルタは、前記副排気ラインの流入側に面する封止部を有し、前記副排気ラインの流出側で前記把持部材により把持されることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載された排気ガス浄化装置用センサ。
【請求項5】
前記検査用フィルタは、前記副排気ラインの流出側に面する封止部を有し、前記副排気ラインの流入側で前記把持部材により把持されることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載された排気ガス浄化装置用センサ。
【請求項6】
前記把持部材による前記検査用フィルタの把持部位に、前記副排気ライン中の微粒子の堆積を抑制するためのコーティングが施されることを特徴とする請求項5に記載された排気ガス浄化装置用センサ。
【請求項7】
前記検査用フィルタは、前記微粒子を捕捉可能な微粒子捕捉フィルタからの微粒子漏れを診断し又は前記微粒子捕捉フィルタに捕捉される微粒子量を測定するために設けられていることを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項に記載された排気ガス浄化装置用センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−177299(P2012−177299A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−245578(P2010−245578)
【出願日】平成22年11月1日(2010.11.1)
【出願人】(000000158)イビデン株式会社 (856)
【Fターム(参考)】