排気ガス浄化装置
【課題】この排気ガス浄化装置は,ディーゼルエンジンからの排気ガス中の煤等の粒子状物質をフイルタで捕集し,フイルタの再生時に粒子状物質をフイルタ全域で均等な低温燃焼させて短時間に焼却してフイルタの耐久性をアップする。
【解決手段】この排気ガス浄化装置は,粒子状物質を捕集するフイルタ1を金網ヒータ5,その両側から挟み込んだ一対のセラミック不織布4,及びセラミック不織布4の外側に積層された一対の支持用金網8から成る積層体を蛇腹状に折り曲げて筒状に成形された筒体3から構成する。筒体3の内周側には骨組用補強部材35を配置し,筒体3の外周側に隙間24を空けてハウジング10内に外周ヒータ7を配置する。フイルタ1の再生時に,金網ヒータ5と外周ヒータ7に通電してフイルタ全域で均等に低温燃焼を確保する。
【解決手段】この排気ガス浄化装置は,粒子状物質を捕集するフイルタ1を金網ヒータ5,その両側から挟み込んだ一対のセラミック不織布4,及びセラミック不織布4の外側に積層された一対の支持用金網8から成る積層体を蛇腹状に折り曲げて筒状に成形された筒体3から構成する。筒体3の内周側には骨組用補強部材35を配置し,筒体3の外周側に隙間24を空けてハウジング10内に外周ヒータ7を配置する。フイルタ1の再生時に,金網ヒータ5と外周ヒータ7に通電してフイルタ全域で均等に低温燃焼を確保する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は,例えば,船舶,産業機械,車両等に使用されるディーゼルエンジンから排出される排気ガスに含有される煤,SOF,サルフェート等の有害物質である粒子状物質(PM)をフイルタで捕集し,該粒子状物質を焼却して消失させ,排気ガスを浄化する排気ガス浄化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ディーゼルエンジンは,高い熱効率を有することから,結果的にディーゼル車の普及は地球温暖化防止に寄与することになる。また,ディーゼルエンジンから排出される炭素系の粒子状物質と有機化合物等の有害物質である粒子状物質(又はPMという)は人体に有害であることから,近年,その排出量を益々低減するように規制されている。そこで,ディーゼルエンジンから排出される排気ガス中の粒子状物質を捕集するフイルタが多数提案されている。従来のディーゼルパティキュレートフィルタ即ち排気ガス浄化装置としては,多孔質セラミックスから成るハニカム構造のフィルタ或るはセラミックス繊維を積層した構造のフィルタが使用されている。自動車用としてはセラミックハニカムにてPMを捕集し,触媒作用を利用して300℃程度から徐々に粒子状物質を燃焼させ,排気ガス中の粒子状物質を消失させることが一般的である。この場合は,排気ガス中における硫黄によって触媒が非毒して活性を失わせるため燃料の硫黄濃度は50ppm以下であることが必要である。また,フィルタが粒子状物質を捕集する場合には,セラミックス繊維材のフィルタにパティキュレート物質の粒子が引っ掛かり,これらの粒子が逐次大きくなり,隣接する繊維材間の隙間を埋めながら堆積していく。また,パティキュレート物質を捕集したフィルタは,パティキュレート物質を加熱焼却して再生する必要があり,その時にフィルタに設けたヒータに通電してパティキュレート物質を加熱焼却してフィルタを再生しなければならない。この場合は,触媒を使用していないので,燃料中の硫黄濃度に影響されることはない。
【0003】
従来,ディーゼルパティキュレートフィルタを構成するフィルタをセラミックス不織布で作製したものが知られている。該ディーゼルパティキュレートフィルタは,排気ガス中のパティキュレート物質を捕集するフィルタをセラミックス不織布で作製し,セラミックス不織布の繊維飛散性を低下させ,耐久性及び耐腐食性を向上させたものであり,セラミックスフィルタをセラミックス不織布で内側と外側との間で周方向に順次に襞状に折り曲げて筒状に形成し,セラミックス不織布の目付け重量繊維長を調整し,フィルタに捕集されたパティキュレート物質を加熱焼却するためセラミックス不織布から成るフェルトに排気ガス流入側に金網ヒータを配設し,フェルトの排気ガス流入側の全面を金網ヒータによって囲んだものである(例えば,特許文献1参照)。
【0004】
また,従来知られているパティキュレートフィルタとしては,フィルタの両端部の各々に,フィルタ内側に波形の凹部及び凸部に係合する凸部及び凹部を有する円筒形の第一手段を設け,フィルタ外側に波形の凹部に形成する凸部を有する第二手段を設け,更に第二手段の外側にフィルタをその厚さ方向に締め付けるための円筒形の締め付け手段を設けたものである(例えば,特許文献2参照)。
【0005】
また,排気ガス浄化装置として,ヒータをフィルタの長手方向に二分割し,ヒータに逐次に通電することにより電圧を低減すると共に,消費電力を低減するものが知られている。フィルタは,内部の排気ガス流れの上下流側のセラミックス不織布,両側の金網,及びセラミックス不織布内に配置されたヒータから成る5層構造に構成されている。ヒータは,フィルタの長手方向の排気ガス入口側と排気ガス出口側とに二分割された入口側ヒータと出口側ヒータとから構成され,フィルタの再生時には,入口側ヒータへ通電してフィルタの入口側部分を再生した後に,出口側ヒータへ通電してフィルタの出口側部分を再生する制御を行う(例えば,特許文献3参照)。
【0006】
また,排気ガス浄化装置として,コルゲート状に形成されたフィルタの形状を骨組用補強部材によって保持したものが知られている。フィルタはコルゲート形状の筒体に形成され,筒体は,骨組用補強部材によって補強保持されている。骨組用補強部材は,ハウジングの排気ガスの流入側の端部に配置された円盤部材,排気ガスの流出側の端部とフィルタの長手方向の所定箇所とに配置されたリング部材,及び円盤部材と端部のリング部材との間でそれらの突起部間の谷部に配置された樋状フレームを有している。円盤部材とリング部材とは,外周に筒体の内周側山部に対応する形状の突起部を備えている(例えば,特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平7−286510号公報
【特許文献2】特開平8−144738号公報
【特許文献3】特開2003−172127号公報
【特許文献4】特開2003−172128号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで,従来の排気ガス浄化装置では,自動車用の軽油に含まれる硫黄濃度は,10ppm程度であり,フイルタに担持させた触媒を劣化させることが少なく,排気ガスを浄化する機能を果たしている。しかしながら,船舶等に使用される大型ディーゼルエンジンの燃料は,A重油又はC重油が一般的であり,これらの燃料には硫黄分が1%以上と高濃度であるため,自動車用の排気ガス浄化装置に用いている触媒タイプでは,触媒が短時間で硫黄分で劣化し,触媒機能が無くなり,機能しなくなるという問題がある。
【0009】
また,排気ガス浄化装置において,触媒を用いないで,セラミックハニカムタイプのフイルタで粒子状物質を捕集し,粒子状物質の捕集量が増大して圧力損失が或る測定値に達すると,一旦捕集を中断してフイルタの出口側から圧縮空気で圧力即ち逆洗して捕集した粒子状物質をフイルタから吐き出し除去するタイプが提案されているが,逆洗して排出された粒子状物質を処理するのが困難であり,例えば,人手で逆洗して得た粒子状物質をドラム缶に詰める作業が必要であり,また,ドラム缶に溜めた粒子状物質を焼却炉で焼却する必要が有るが,船舶では法律上,粒子状物質を焼却することができず,粒子状物質を陸上に運搬する必要があり,その間,ドラム缶を保管する必要が有る等の問題が有った。
【0010】
また,従来のセラミック不織布を用いた排気ガス浄化装置では,ディーゼルエンジンが燃料としてA重油やC重油を用いて運転すると,フイルタの再生時に,セラミック不織布に埋め込んだヒータに通電して粒子状物質を焼却する場合に,フイルタの蛇腹状に成形したフイルタについて,内周側の凹部が外周側の凸部に比較して局部的に高温になり,外周側の凸部と内周側の凹部との間で温度差が発生し,即ち,フイルタに局部的に高熱部分が発生し,フイルタを焼損したり,腐蝕したりして耐久性を損なうという問題が有った。
【0011】
この発明の目的は,上記の問題を解決することであり,ディーゼルエンジンから排出される排気ガス中に含まれる煤,SOF,サルフェート等の有害物質である粒子状物質(PM)をフイルタで捕集し,該粒子状物質をヒータに通電して焼却処理するものであり,フィルタを構成するセラミック不織布に捕集された粒子状物質を加熱焼却するため,ヒータをフイルタの外周側にも配置するという特殊な構成を採用することによって,フイルタの上流の外周領域と下流の内周領域との温度差を小さくしてフイルタ全域で比較的に均等な低温領域で加熱して粒子状物質を均等に確実に加熱焼却して短時間に再生時間を達成し,フイルタのセラミック不織布に局部的な高温領域の発生を抑制し,例えば,特許文献3に開示された蛇腹状フイルタの外周側である凸部の先端部が600℃であると,従来の排気ガス浄化装置では内周側の凹部では800℃〜900℃となって温度分布に大きな差が発生するが,本発明のように外周ヒータを設けることによってフイルタ全域で均等な燃焼温度状態を確保できてフイルタを再生でき,フイルタの耐久性を向上させることができ,例えば,船舶に使用される大型ディーゼルエンジンの燃料であるA重油やC重油を燃焼させた排気ガス中に含まれるバナジュウムによるセラミック不織布への高温による悪影響,即ち,粒子状物質の燃焼温度が800℃以上になるとバナジュウムが炭化珪素等のセラミック不織布に対して攻撃的になるので,その不均一な燃焼温度状態の発生を抑制して,フイルタ全域で低温燃焼を確保し,フイルタを再生することができる排気ガス浄化装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明は,ディーゼルエンジンからの排気ガスを排出する排気ガス通路に配置されたハウジング内に収容されたフイルタによって前記排気ガス中に含まれる煤,SOF等の粒子状物質を捕集し,前記フイルタに捕集された前記粒子状物質を焼却して前記排気ガスを浄化する排気ガス浄化装置において,
前記フイルタは,再生時に通電される金網ヒータ,前記金網ヒータを両側から挟み込んだ一対のセラミック不織布,及び前記セラミック不織布の外側に積層された一対の支持用金網から成る積層体を蛇腹状に折り曲げて筒状に成形された筒体から構成されており,
前記筒体の内周側には配置された骨組用補強部材,及び前記筒体の外周側に隙間を空けて前記ハウジング内に配置された外周ヒータを備えており,
前記フイルタに前記排気ガスを流して前記排気ガスに含まれる前記粒子状物質を前記フイルタで捕集し,前記フイルタの再生時に前記フイルタに捕集された前記粒子状物質を前記金網ヒータと前記外周ヒータに通電して焼却して前記排気ガスを浄化することを特徴とする排気ガス浄化装置に関する。
【0013】
また,この排気ガス浄化装置において,前記フイルタの外周側に配設された前記ヒータは,前記ヒータの両端部の発熱量が中央部の発熱量より大きくなるように構成されているものである。
【0014】
また,前記外周ヒータは,複数の金属製棒状ヒータから構成され,少なくとも一端が前記ハウジングにばね部材で弾性的に支持されており,前記外周ヒータが前記フイルタに対して長手方向に拘束されずに熱変形を許容できるものである。又は,前記外周ヒータを構成する前記棒状ヒータは,少なくとも一端が前記ハウジングに取り付けられたリング状ガイド孔に隙間を介して嵌合され,前記棒状ヒータは前記ハウジングに対して長手方向に拘束されずに前記棒状ヒータの熱変形を許容できるものである。更に,前記金属製棒状ヒータから成る前記外周ヒータは,棒状のヒータ本体と該ヒータ本体の長手方向に沿って固着された抵抗調整プレートとから構成されているものである。
【0015】
或いは,前記外周ヒータは,金属線が渦巻き状で長手方向に弾性変形可能に延びて形成されている渦巻きヒータである。更に,前記渦巻きヒータは,前記フイルタの長手方向に沿って巻き数が両端部で密であり,中央部で粗になって発熱量が調整されているものである。
【0016】
この排気ガス浄化装置において,前記フイルタを構成する前記筒体は,少なくとも一端が前記ハウジングに端ね支持されているものである。また,前記フイルタは,前記フイルタを設置するベースに対して垂直状態に設置可能に構成されており,船舶等の大型ディーゼルエンジンではフイルタを甲板等のベースに垂直状態に設置して使用するのが好ましいものである。
【発明の効果】
【0017】
この排気ガス浄化装置は,上記のように構成されているので,フイルタの再生時に,フイルタの外周に設けた金網ヒータと外周ヒータを通電してフイルタの外周の凸部側を加熱することによって,排気ガス流れをフイルタ本体の外周側から内周側に流すタイプではフイルタの前後,即ち,蛇腹状フイルタの外周側の凸部と内周側の凹部での粒子状物質等の有害物質の燃焼温度を,例えば,600℃以上近辺の温度に調整すると,フイルタの中央部では燃焼温度が650℃程度になってほぼ均一な適正な温度分布になり,フイルタの凸部と凹部の温度差を無くすことができ,外周ヒータに抵抗調整プレートを設けて両端部の発熱量を増やしてフイルタの半径方向の燃焼温度差を最少にしてフイルタ全域で低温燃焼させることができ,フイルタを構成するセラミック不織布のバナジュウム等による劣化を防止することができる。即ち,この排気ガス浄化装置は,船舶等に使用される大型ディーゼルエンジンでは電気量が十分にあるので,外周ヒータの加熱に支障はなく,構造そのものを簡素化すると共に,低温燃焼によってバナジュウム等の物質でフイルタを劣化させることを防ぎ,排気ガスを浄化することができ,装置そのものが高強度に簡素な構造に構成でき,製造コストを低減できるものである。従って,この排気ガス浄化装置では,フィルタ全体をPM燃焼に必要な温度600℃以上の近辺の燃焼温度を確保しながら,最高温度を650℃程度に納めることが可能となり,その結果,炭化珪素繊維がディーゼルエンジンがA重油やC重油の燃料を使用したとしても,安心してフイルタの耐久性を確保するという効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】この発明による排気ガス浄化装置の一実施を示す断面図である。
【図2】この発明によるを排気ガス浄化装置におけるフイルタであって,フイルタ本体の外周に棒状外周ヒータを配置した一実施例を示す平面図である。
【図3】図2のフイルタを示す端面図である。
【図4】図3に示すフイルタのA領域を示す拡大図である。
【図5】図2のフイルタにおける棒状の外周ヒータのB領域の1本を示す端面図である。
【図6】図2に示す棒状の外周ヒータの長手方向における発熱量Jと電流抵抗値Ωを示すグラフである。
【図7】この発明による排気ガス浄化装置におけるフイルタであって,フイルタ本体の外周に渦巻き状の外周ヒータを配置した別の実施例を示す平面図である。
【図8】図7のフイルタを示す端面図である。
【図9】この排気ガス浄化装置における金網ヒータを持つフイルタ本体の通電時の温度分布を示すグラフである。
【図10】フイルタを構成するセラミック不織布の温度に対する引っ張り強度を示すグラフある。
【図11】図1に示す排気ガス浄化装置におけるフイルタの通電時の燃焼温度分布を示すグラフである。
【図12】フイルタにおけるフイルタ本体に組み込まれた骨組用補強部材の一部を示す斜視図である。
【図13】図12に示す骨組用補強部材における両端部に配置される星型円板部材を示す正面図である。
【図14】図12に示す骨組用補強部材における中間部に配置される星型リング部材を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
この排気ガス浄化装置は,船舶,産業機械等に使用される大型ディーゼルエンジンから排出される排気ガスに含まれる煤,SOF,サルフェート等の有害物質である粒子状物質(PM)をハウジング内に配設したフィルタで捕集し,フィルタに捕集されたPMをフィルタに設けたヒータに通電して加熱焼却し,フィルタを再生するものであり,船舶に搭載するのに最適のものである。この排気ガス浄化装置は,船舶を駆動する大型ディーゼルエンジンに使用される場合には,フイルタ1は,それを設置する例えば,甲板,収納室等のベース(図示せず),に対して垂直状態に設置して使用するのが好ましいものである。
【0020】
以下,図面を参照して,この発明による排気ガス浄化装置の実施例を説明する。この排気ガス浄化装置は,ディーゼルエンジンからの排気ガスGを排出する排気ガス通路9に配置されたハウジング10内に収容されたフイルタ1によって排気ガスG中に含まれる煤等の粒子状物質を捕集し,フイルタ1に捕集された粒子状物質を焼却して排気ガスGを浄化するものである。この排気ガス浄化装置は,フイルタ1の外周に外周ヒータ7を備えた構成に特徴を有している。この排気ガス浄化装置は,概して,蛇腹状に折り曲げて筒状に成形された筒体3と筒体3の内周側に配置された骨組用補強部材35とから成るフイルタ本体2,及び筒体3の外周側に隙間24を空けてハウジング10内に支持された外周ヒータ7から構成されている。筒体3は,その一端がばね支持部材29でハウジング10に弾性的に支持され,他端がクリンガスを排気する排気パイプ30でハウジング10に取り付けられている。フイルタ1を構成する筒体3は,両端に電極となる端子23を備えた金網ヒータ5,金網ヒータ5を両側から挟み込んだ一対のセラミック不織布4,及びセラミック不織布4の外側に積層された一対の支持用金網8から成る積層体を蛇腹状に折り曲げて筒状に成形されたものである。この排気ガス浄化装置は,具体的には,フイルタ本体2の外周部が開放状態に示されているが,フイルタ本体2の両端部は仕切板6で閉鎖されており,フイルタ本体2を構成する粒子状物質を捕集するセラミック不織布4には,粒子状物質を低温で燃焼,或いは反応燃焼させるため,白金等の触媒が担持されているものである。この排気ガス浄化装置は,フイルタ1の外周側から内周側へ排気ガスGを流して排気ガスGに含まれる煤等の粒子状物質である有害物質をフイルタ1で捕集し,フイルタ1の再生時に金網ヒータ5と外周ヒータ7とに通電してフイルタ1の全域を均等に低温燃焼させて,フイルタ1に捕集された有害物質を短時間に焼却して排気ガスGを浄化することを特徴としている。図1には排気ガスGの流れが矢印で示されている。
【0021】
筒体3を構成するセラミック不織布4は,例えば,炭化珪素繊維等の不織布から構成されている。金網ヒータ5は,両側に位置する一対のセラミック不織布4の境界部即ち中央部に位置している。排気ガスGは,排気ガス通路9から流入してフイルタ1の外周部からセラミック不織布4に流入し,フィルタ1によりPMが除去され,セラミック不織布4の内周側からクリンガスとなって排出される。フィルタ本体21に捕集されたPMによってフィルタ1の圧力損失が増大するので,ある程度のPMが捕集された時点で,排ガスGの流入を止め,セラミック不織布の中央部に配設された金網ヒータ5及び外周ヒータ14に通電することによって,フィルタ温度を600℃前後に過熱し,そこに適切な空気を流すことで,捕集したPMは燃焼して消失することになる。
【0022】
フイルタ1におけるフイルタ本体2ついては,再生するため金網ヒータ5に通電した時のフイルタ本体2を構成する筒体3の凸部11と凹部12の温度は,金網ヒータ5のみに通電した時には,図9に示すように,凸部11の温度が600℃で前後になった場合に,凹部12の温度は700℃を超える温度になり,PMが燃焼する時にはさらに金網ヒータ5への通電のみよりさらに温度が50℃程度上昇するので,筒体3の凹部12の温度は750℃以上に到達することになる。また,図9に示されるように,フイルタ本体2の両端部における温度は,中央部より低いことが解る。
【0023】
また,ディーゼルエンジンがA重油,特にC重油を燃料とする場合に,排気ガス浄化装置におけるフイルタ本体2,即ちセラミック不織布4の強度劣化が激しくなる。フイルタ本体2を構成する炭化珪素に対して,排気ガスGに含まれる各種物資の強度低下をもたらす物質を調査した結果,バナジウムが悪い影響を及ぼしていることが解った。図10には,ディーゼルエンジンをA重油又はC重油で運転した排ガスに含まれるバナジウムが繊維強度に及ぼす影響を調べたものであり,硫酸バナジウム溶液を炭化珪素繊維に塗布して各温度に100時間暴露した後,強度を測定したものである。フイルタ本体2が必要とされる強度は1GPaであり,700℃まではその強度を保持することができるが,800℃では1GPa以下の強度となることが解った。そこで,ディーゼルエンジンがA重油やC重油を燃料とする場合に,排気ガスG中で炭化珪素フィルタの強度を確保するためには最高温度を650℃〜700℃以下にすることが良いことが解った。しかしながら,従来にフィルタでは凹部と凸部の温度差が100℃以上あり,凸部を600℃程度にすると凹部は700℃を越えてしまう。
【0024】
この発明による排気ガス浄化装置は,図1,図2及び図3に示すように,フイルタ本体2を構成する筒体3の凸部11と凹部12の温度差を小さくするため,フイルタ本体2の外周に隙間24を空けて外周ヒータ7を配置すると共に,外周ヒータ7の発熱分布をフイルタ本体2の両端部で大きく,中央に行くに従い小さくすることによって,筒体3の凸部11と凹部12の温度差を均一にするとともに,両端部の温度と中央部の温度差を最小とすることを可能にすることを特徴としている。外周ヒータ7は,フイルタ本体2の外周に隙間25を空けて隔置して配設された複数の金属製棒状ヒータ13から成り,金属製棒状ヒータ13は,図5に示すように,四角の箱状の断面を形成したヒータ本体14とヒータ本体14の長手方向に沿って固着された抵抗調整プレート15とから構成されており,抵抗調整プレート15は,両端部16から中央部17になるに従って抵抗値が小さくなるよう板状のプレートから構成されている。棒状ヒータ13は,上記のような構造を有することにより,図6に示すように,その軸方向の抵抗値Ω(オーム)が両端部16が大きくなり,中間部28が段々小さくなって中央部17が小さくなる。また,棒状ヒータ13は,その軸方向の発熱量J(ジュール)が両端部16が大きくなり,中央部17が小さくなる。一般に,発熱量=電流×電流×抵抗値であるので,棒状ヒータ13の電流値は,どの場所でも同じであるが,抵抗調整プレート15の抵抗値が小さい中央部の発熱量を小さくすることができる。即ち,フイルタ本体2の外周に外周ヒータ7を配置したフイルタ1では,図11に示すように,筒体3の凹部12と凸部11との温度分布が温度差が小さくなり,600℃〜650℃の温度範囲になってセラミック不織布4を劣化させないことが解る。即ち,フイルタ1において,外周ヒータ7の棒状ヒータ13の発熱分布を最適にすることによって,筒体3の凹部12と凸部11の温度差は,20℃程度となり,軸方向の最大温度差も40℃程度に低減することができる。
【0025】
また,図1にはこの排気ガス浄化装置におけるフイルタ1を構成するため,外周ヒータ7である棒状ヒータ13をハウジング10に取り付けた構造が示されている。外周ヒータ7に通電すると,外周ヒータ7の棒状ヒータ13は熱膨張することになり,棒状ヒータ13の伸びを吸収しないとフイルタ1が変形を起こすことになる。そこで,この排気ガス浄化装置では,外周ヒータ7を構成する棒状ヒータ13は,両端部にねじ付き端部支持ロッド20を備えており,フイルタ本体2に直接取り付けることなく,端部支持ロッド20をハウジング10に設けられたブラケット19に支持されている。具体的には,図1では,端部支持ロッド20をブラケット19に支持する固着方法が示されている。即ち,棒状ヒータ13は,その軸方向に熱変形できるように少なくともその端部が,ハウジング10に設けたブラケット19にばね部材18を介して支持されるか,又は,端部支持ロッド20がブラケット19に設けたリング状ガイド孔22に摺動自在に支持され,棒状ヒータ13がフイルタ本体2,言い換えれば,ハウジング10に対して長手方向に拘束されずに熱変形を許容できるように構成されている。ばね部材18は,一端がボルト26とナット21によってブラケット19に固着され,他端が棒状ヒータ13の端部支持ロッド20に挿通してナット21が端部支持ロッド20のねじに螺入して固着されている。又は,棒状ヒータ13の端部支持ロッド20をブラケット19に設けた挿通孔22に摺動自在に挿通され,端部支持ロッド20の端部のねじにナット21を螺入して取り付けられている。棒状ヒータ13のブラケット19への取付けは,棒状ヒータ13の少なくとも一端でよく,他端はブラケットの挿通孔に端部支持ロッド20を挿通してナット21で固着されている。
【0026】
或いは,この排気ガス浄化装置では,外周ヒータ7は,図7及び図8に示すように,金属線が渦巻き状に長手方向に延びて形成されている渦巻きヒータ27である。更に,金属線を渦巻き状に巻き上げた渦巻きヒータ27は,フイルタ本体2の長手方向に沿って巻き数が両端部16で密27Aであり,中央部17で粗27Bに構成されているものである。即ち,渦巻きヒータ27の軸方向の温度分布は,渦巻きヒータ27は,軸方向に伸縮可能であり,金属線のピッチを両端部16では密27Aに,中央部17は粗粗27Bに巻き上げられており,両端部16と中央部17との間の中間部28は比較的密27Cにすることによって,フイルタ本体2の両端部に相当する部分の発熱量を大きく,中央部を少なくすることができる。また,渦巻きヒータ27は,一種のつるまきばねであるため,通電過熱による熱膨張によるヒータ27自体の伸びは,渦巻きヒータ27のばね構造により吸収することができる。
【0027】
骨組用補強部材35は,蛇腹状に折り曲げて成形された筒体3のコルゲート形状を補強保持するためにフイルタ本体2に組み込まれている。骨組用補強部材35は,例えば,特許文献4に開示された図12−図14に示すものを使用することができ,ここでは簡単に説明する。骨組用補強部材35は,ハウジング10に形成されたフイルタ収容室の排気ガスGの流入側に位置する筒体3の両端部に配置された円板部材40,筒体31の長手方向の複数の所定箇所に配置された排気ガスGの流れを許容する中空孔45を備えたリング部材42,及び円板部材40とリング部材42との間の長手方向に延びる樋状フレーム44を有している。円板部材40は,図13に示すように,外周に筒体3の凸部11に対応する形状の突起部39を備えており,また,リング部材42は,図14に示すように,外周に筒体3の凸部11に対応する形状の突起部41を備えている。樋状フレーム44は,特に,図12に示すように,円板部材40とリング部材42との突起部39,41の間の谷部43に配置されて長手方向に延びている。樋状フレーム44は,少なくとも長手方向の熱膨張量を小さくするためフェライト系ステンレススチール等の熱膨張の小さい金属材料で作製されている。また,円板部材40とリング部材42とは,長手方向の熱膨張量を余り考慮する必要がないので,オーステナイト系ステンレススチール等の高温強度が高く比較的に安価な金属材料で作製されている。骨組用補強部材35は,支持部材等によって筒体3の内部に支持されたり,ハウジング10にブラケット等によって支持されている。
【産業上の利用可能性】
【0028】
この発明による排気ガス浄化装置は,例えば,船舶,産業機械等の大型ディーゼルエンジンから排出される排気ガスに含まれる煤,SOF,サルフェート等の有害物質である粒子状物質(PM)を捕集して該有害物質を焼却して消失させ,排気ガスを浄化するのに使用して好ましいものである。
【符号の説明】
【0029】
1 フイルタ
2 フイルタ本体
3 筒体
4 セラミック不織布
5 金網ヒータ
7 外周ヒータ
8 支持用金網
9 排気ガス通路
10 ハウジング
13 棒状ヒータ
14 ヒータ本体
15 抵抗調整プレート
16 端部
17 中央部
18 ばね部材
19 ブラケット
22 リング状ガイド孔
24 隙間
27 渦巻きヒータ
27A 密
27B 粗
27C 比較的に密
28 中間部
29 ばね支持部材
35 骨組用補強部材
G 排気ガス
【技術分野】
【0001】
この発明は,例えば,船舶,産業機械,車両等に使用されるディーゼルエンジンから排出される排気ガスに含有される煤,SOF,サルフェート等の有害物質である粒子状物質(PM)をフイルタで捕集し,該粒子状物質を焼却して消失させ,排気ガスを浄化する排気ガス浄化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ディーゼルエンジンは,高い熱効率を有することから,結果的にディーゼル車の普及は地球温暖化防止に寄与することになる。また,ディーゼルエンジンから排出される炭素系の粒子状物質と有機化合物等の有害物質である粒子状物質(又はPMという)は人体に有害であることから,近年,その排出量を益々低減するように規制されている。そこで,ディーゼルエンジンから排出される排気ガス中の粒子状物質を捕集するフイルタが多数提案されている。従来のディーゼルパティキュレートフィルタ即ち排気ガス浄化装置としては,多孔質セラミックスから成るハニカム構造のフィルタ或るはセラミックス繊維を積層した構造のフィルタが使用されている。自動車用としてはセラミックハニカムにてPMを捕集し,触媒作用を利用して300℃程度から徐々に粒子状物質を燃焼させ,排気ガス中の粒子状物質を消失させることが一般的である。この場合は,排気ガス中における硫黄によって触媒が非毒して活性を失わせるため燃料の硫黄濃度は50ppm以下であることが必要である。また,フィルタが粒子状物質を捕集する場合には,セラミックス繊維材のフィルタにパティキュレート物質の粒子が引っ掛かり,これらの粒子が逐次大きくなり,隣接する繊維材間の隙間を埋めながら堆積していく。また,パティキュレート物質を捕集したフィルタは,パティキュレート物質を加熱焼却して再生する必要があり,その時にフィルタに設けたヒータに通電してパティキュレート物質を加熱焼却してフィルタを再生しなければならない。この場合は,触媒を使用していないので,燃料中の硫黄濃度に影響されることはない。
【0003】
従来,ディーゼルパティキュレートフィルタを構成するフィルタをセラミックス不織布で作製したものが知られている。該ディーゼルパティキュレートフィルタは,排気ガス中のパティキュレート物質を捕集するフィルタをセラミックス不織布で作製し,セラミックス不織布の繊維飛散性を低下させ,耐久性及び耐腐食性を向上させたものであり,セラミックスフィルタをセラミックス不織布で内側と外側との間で周方向に順次に襞状に折り曲げて筒状に形成し,セラミックス不織布の目付け重量繊維長を調整し,フィルタに捕集されたパティキュレート物質を加熱焼却するためセラミックス不織布から成るフェルトに排気ガス流入側に金網ヒータを配設し,フェルトの排気ガス流入側の全面を金網ヒータによって囲んだものである(例えば,特許文献1参照)。
【0004】
また,従来知られているパティキュレートフィルタとしては,フィルタの両端部の各々に,フィルタ内側に波形の凹部及び凸部に係合する凸部及び凹部を有する円筒形の第一手段を設け,フィルタ外側に波形の凹部に形成する凸部を有する第二手段を設け,更に第二手段の外側にフィルタをその厚さ方向に締め付けるための円筒形の締め付け手段を設けたものである(例えば,特許文献2参照)。
【0005】
また,排気ガス浄化装置として,ヒータをフィルタの長手方向に二分割し,ヒータに逐次に通電することにより電圧を低減すると共に,消費電力を低減するものが知られている。フィルタは,内部の排気ガス流れの上下流側のセラミックス不織布,両側の金網,及びセラミックス不織布内に配置されたヒータから成る5層構造に構成されている。ヒータは,フィルタの長手方向の排気ガス入口側と排気ガス出口側とに二分割された入口側ヒータと出口側ヒータとから構成され,フィルタの再生時には,入口側ヒータへ通電してフィルタの入口側部分を再生した後に,出口側ヒータへ通電してフィルタの出口側部分を再生する制御を行う(例えば,特許文献3参照)。
【0006】
また,排気ガス浄化装置として,コルゲート状に形成されたフィルタの形状を骨組用補強部材によって保持したものが知られている。フィルタはコルゲート形状の筒体に形成され,筒体は,骨組用補強部材によって補強保持されている。骨組用補強部材は,ハウジングの排気ガスの流入側の端部に配置された円盤部材,排気ガスの流出側の端部とフィルタの長手方向の所定箇所とに配置されたリング部材,及び円盤部材と端部のリング部材との間でそれらの突起部間の谷部に配置された樋状フレームを有している。円盤部材とリング部材とは,外周に筒体の内周側山部に対応する形状の突起部を備えている(例えば,特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平7−286510号公報
【特許文献2】特開平8−144738号公報
【特許文献3】特開2003−172127号公報
【特許文献4】特開2003−172128号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで,従来の排気ガス浄化装置では,自動車用の軽油に含まれる硫黄濃度は,10ppm程度であり,フイルタに担持させた触媒を劣化させることが少なく,排気ガスを浄化する機能を果たしている。しかしながら,船舶等に使用される大型ディーゼルエンジンの燃料は,A重油又はC重油が一般的であり,これらの燃料には硫黄分が1%以上と高濃度であるため,自動車用の排気ガス浄化装置に用いている触媒タイプでは,触媒が短時間で硫黄分で劣化し,触媒機能が無くなり,機能しなくなるという問題がある。
【0009】
また,排気ガス浄化装置において,触媒を用いないで,セラミックハニカムタイプのフイルタで粒子状物質を捕集し,粒子状物質の捕集量が増大して圧力損失が或る測定値に達すると,一旦捕集を中断してフイルタの出口側から圧縮空気で圧力即ち逆洗して捕集した粒子状物質をフイルタから吐き出し除去するタイプが提案されているが,逆洗して排出された粒子状物質を処理するのが困難であり,例えば,人手で逆洗して得た粒子状物質をドラム缶に詰める作業が必要であり,また,ドラム缶に溜めた粒子状物質を焼却炉で焼却する必要が有るが,船舶では法律上,粒子状物質を焼却することができず,粒子状物質を陸上に運搬する必要があり,その間,ドラム缶を保管する必要が有る等の問題が有った。
【0010】
また,従来のセラミック不織布を用いた排気ガス浄化装置では,ディーゼルエンジンが燃料としてA重油やC重油を用いて運転すると,フイルタの再生時に,セラミック不織布に埋め込んだヒータに通電して粒子状物質を焼却する場合に,フイルタの蛇腹状に成形したフイルタについて,内周側の凹部が外周側の凸部に比較して局部的に高温になり,外周側の凸部と内周側の凹部との間で温度差が発生し,即ち,フイルタに局部的に高熱部分が発生し,フイルタを焼損したり,腐蝕したりして耐久性を損なうという問題が有った。
【0011】
この発明の目的は,上記の問題を解決することであり,ディーゼルエンジンから排出される排気ガス中に含まれる煤,SOF,サルフェート等の有害物質である粒子状物質(PM)をフイルタで捕集し,該粒子状物質をヒータに通電して焼却処理するものであり,フィルタを構成するセラミック不織布に捕集された粒子状物質を加熱焼却するため,ヒータをフイルタの外周側にも配置するという特殊な構成を採用することによって,フイルタの上流の外周領域と下流の内周領域との温度差を小さくしてフイルタ全域で比較的に均等な低温領域で加熱して粒子状物質を均等に確実に加熱焼却して短時間に再生時間を達成し,フイルタのセラミック不織布に局部的な高温領域の発生を抑制し,例えば,特許文献3に開示された蛇腹状フイルタの外周側である凸部の先端部が600℃であると,従来の排気ガス浄化装置では内周側の凹部では800℃〜900℃となって温度分布に大きな差が発生するが,本発明のように外周ヒータを設けることによってフイルタ全域で均等な燃焼温度状態を確保できてフイルタを再生でき,フイルタの耐久性を向上させることができ,例えば,船舶に使用される大型ディーゼルエンジンの燃料であるA重油やC重油を燃焼させた排気ガス中に含まれるバナジュウムによるセラミック不織布への高温による悪影響,即ち,粒子状物質の燃焼温度が800℃以上になるとバナジュウムが炭化珪素等のセラミック不織布に対して攻撃的になるので,その不均一な燃焼温度状態の発生を抑制して,フイルタ全域で低温燃焼を確保し,フイルタを再生することができる排気ガス浄化装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明は,ディーゼルエンジンからの排気ガスを排出する排気ガス通路に配置されたハウジング内に収容されたフイルタによって前記排気ガス中に含まれる煤,SOF等の粒子状物質を捕集し,前記フイルタに捕集された前記粒子状物質を焼却して前記排気ガスを浄化する排気ガス浄化装置において,
前記フイルタは,再生時に通電される金網ヒータ,前記金網ヒータを両側から挟み込んだ一対のセラミック不織布,及び前記セラミック不織布の外側に積層された一対の支持用金網から成る積層体を蛇腹状に折り曲げて筒状に成形された筒体から構成されており,
前記筒体の内周側には配置された骨組用補強部材,及び前記筒体の外周側に隙間を空けて前記ハウジング内に配置された外周ヒータを備えており,
前記フイルタに前記排気ガスを流して前記排気ガスに含まれる前記粒子状物質を前記フイルタで捕集し,前記フイルタの再生時に前記フイルタに捕集された前記粒子状物質を前記金網ヒータと前記外周ヒータに通電して焼却して前記排気ガスを浄化することを特徴とする排気ガス浄化装置に関する。
【0013】
また,この排気ガス浄化装置において,前記フイルタの外周側に配設された前記ヒータは,前記ヒータの両端部の発熱量が中央部の発熱量より大きくなるように構成されているものである。
【0014】
また,前記外周ヒータは,複数の金属製棒状ヒータから構成され,少なくとも一端が前記ハウジングにばね部材で弾性的に支持されており,前記外周ヒータが前記フイルタに対して長手方向に拘束されずに熱変形を許容できるものである。又は,前記外周ヒータを構成する前記棒状ヒータは,少なくとも一端が前記ハウジングに取り付けられたリング状ガイド孔に隙間を介して嵌合され,前記棒状ヒータは前記ハウジングに対して長手方向に拘束されずに前記棒状ヒータの熱変形を許容できるものである。更に,前記金属製棒状ヒータから成る前記外周ヒータは,棒状のヒータ本体と該ヒータ本体の長手方向に沿って固着された抵抗調整プレートとから構成されているものである。
【0015】
或いは,前記外周ヒータは,金属線が渦巻き状で長手方向に弾性変形可能に延びて形成されている渦巻きヒータである。更に,前記渦巻きヒータは,前記フイルタの長手方向に沿って巻き数が両端部で密であり,中央部で粗になって発熱量が調整されているものである。
【0016】
この排気ガス浄化装置において,前記フイルタを構成する前記筒体は,少なくとも一端が前記ハウジングに端ね支持されているものである。また,前記フイルタは,前記フイルタを設置するベースに対して垂直状態に設置可能に構成されており,船舶等の大型ディーゼルエンジンではフイルタを甲板等のベースに垂直状態に設置して使用するのが好ましいものである。
【発明の効果】
【0017】
この排気ガス浄化装置は,上記のように構成されているので,フイルタの再生時に,フイルタの外周に設けた金網ヒータと外周ヒータを通電してフイルタの外周の凸部側を加熱することによって,排気ガス流れをフイルタ本体の外周側から内周側に流すタイプではフイルタの前後,即ち,蛇腹状フイルタの外周側の凸部と内周側の凹部での粒子状物質等の有害物質の燃焼温度を,例えば,600℃以上近辺の温度に調整すると,フイルタの中央部では燃焼温度が650℃程度になってほぼ均一な適正な温度分布になり,フイルタの凸部と凹部の温度差を無くすことができ,外周ヒータに抵抗調整プレートを設けて両端部の発熱量を増やしてフイルタの半径方向の燃焼温度差を最少にしてフイルタ全域で低温燃焼させることができ,フイルタを構成するセラミック不織布のバナジュウム等による劣化を防止することができる。即ち,この排気ガス浄化装置は,船舶等に使用される大型ディーゼルエンジンでは電気量が十分にあるので,外周ヒータの加熱に支障はなく,構造そのものを簡素化すると共に,低温燃焼によってバナジュウム等の物質でフイルタを劣化させることを防ぎ,排気ガスを浄化することができ,装置そのものが高強度に簡素な構造に構成でき,製造コストを低減できるものである。従って,この排気ガス浄化装置では,フィルタ全体をPM燃焼に必要な温度600℃以上の近辺の燃焼温度を確保しながら,最高温度を650℃程度に納めることが可能となり,その結果,炭化珪素繊維がディーゼルエンジンがA重油やC重油の燃料を使用したとしても,安心してフイルタの耐久性を確保するという効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】この発明による排気ガス浄化装置の一実施を示す断面図である。
【図2】この発明によるを排気ガス浄化装置におけるフイルタであって,フイルタ本体の外周に棒状外周ヒータを配置した一実施例を示す平面図である。
【図3】図2のフイルタを示す端面図である。
【図4】図3に示すフイルタのA領域を示す拡大図である。
【図5】図2のフイルタにおける棒状の外周ヒータのB領域の1本を示す端面図である。
【図6】図2に示す棒状の外周ヒータの長手方向における発熱量Jと電流抵抗値Ωを示すグラフである。
【図7】この発明による排気ガス浄化装置におけるフイルタであって,フイルタ本体の外周に渦巻き状の外周ヒータを配置した別の実施例を示す平面図である。
【図8】図7のフイルタを示す端面図である。
【図9】この排気ガス浄化装置における金網ヒータを持つフイルタ本体の通電時の温度分布を示すグラフである。
【図10】フイルタを構成するセラミック不織布の温度に対する引っ張り強度を示すグラフある。
【図11】図1に示す排気ガス浄化装置におけるフイルタの通電時の燃焼温度分布を示すグラフである。
【図12】フイルタにおけるフイルタ本体に組み込まれた骨組用補強部材の一部を示す斜視図である。
【図13】図12に示す骨組用補強部材における両端部に配置される星型円板部材を示す正面図である。
【図14】図12に示す骨組用補強部材における中間部に配置される星型リング部材を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
この排気ガス浄化装置は,船舶,産業機械等に使用される大型ディーゼルエンジンから排出される排気ガスに含まれる煤,SOF,サルフェート等の有害物質である粒子状物質(PM)をハウジング内に配設したフィルタで捕集し,フィルタに捕集されたPMをフィルタに設けたヒータに通電して加熱焼却し,フィルタを再生するものであり,船舶に搭載するのに最適のものである。この排気ガス浄化装置は,船舶を駆動する大型ディーゼルエンジンに使用される場合には,フイルタ1は,それを設置する例えば,甲板,収納室等のベース(図示せず),に対して垂直状態に設置して使用するのが好ましいものである。
【0020】
以下,図面を参照して,この発明による排気ガス浄化装置の実施例を説明する。この排気ガス浄化装置は,ディーゼルエンジンからの排気ガスGを排出する排気ガス通路9に配置されたハウジング10内に収容されたフイルタ1によって排気ガスG中に含まれる煤等の粒子状物質を捕集し,フイルタ1に捕集された粒子状物質を焼却して排気ガスGを浄化するものである。この排気ガス浄化装置は,フイルタ1の外周に外周ヒータ7を備えた構成に特徴を有している。この排気ガス浄化装置は,概して,蛇腹状に折り曲げて筒状に成形された筒体3と筒体3の内周側に配置された骨組用補強部材35とから成るフイルタ本体2,及び筒体3の外周側に隙間24を空けてハウジング10内に支持された外周ヒータ7から構成されている。筒体3は,その一端がばね支持部材29でハウジング10に弾性的に支持され,他端がクリンガスを排気する排気パイプ30でハウジング10に取り付けられている。フイルタ1を構成する筒体3は,両端に電極となる端子23を備えた金網ヒータ5,金網ヒータ5を両側から挟み込んだ一対のセラミック不織布4,及びセラミック不織布4の外側に積層された一対の支持用金網8から成る積層体を蛇腹状に折り曲げて筒状に成形されたものである。この排気ガス浄化装置は,具体的には,フイルタ本体2の外周部が開放状態に示されているが,フイルタ本体2の両端部は仕切板6で閉鎖されており,フイルタ本体2を構成する粒子状物質を捕集するセラミック不織布4には,粒子状物質を低温で燃焼,或いは反応燃焼させるため,白金等の触媒が担持されているものである。この排気ガス浄化装置は,フイルタ1の外周側から内周側へ排気ガスGを流して排気ガスGに含まれる煤等の粒子状物質である有害物質をフイルタ1で捕集し,フイルタ1の再生時に金網ヒータ5と外周ヒータ7とに通電してフイルタ1の全域を均等に低温燃焼させて,フイルタ1に捕集された有害物質を短時間に焼却して排気ガスGを浄化することを特徴としている。図1には排気ガスGの流れが矢印で示されている。
【0021】
筒体3を構成するセラミック不織布4は,例えば,炭化珪素繊維等の不織布から構成されている。金網ヒータ5は,両側に位置する一対のセラミック不織布4の境界部即ち中央部に位置している。排気ガスGは,排気ガス通路9から流入してフイルタ1の外周部からセラミック不織布4に流入し,フィルタ1によりPMが除去され,セラミック不織布4の内周側からクリンガスとなって排出される。フィルタ本体21に捕集されたPMによってフィルタ1の圧力損失が増大するので,ある程度のPMが捕集された時点で,排ガスGの流入を止め,セラミック不織布の中央部に配設された金網ヒータ5及び外周ヒータ14に通電することによって,フィルタ温度を600℃前後に過熱し,そこに適切な空気を流すことで,捕集したPMは燃焼して消失することになる。
【0022】
フイルタ1におけるフイルタ本体2ついては,再生するため金網ヒータ5に通電した時のフイルタ本体2を構成する筒体3の凸部11と凹部12の温度は,金網ヒータ5のみに通電した時には,図9に示すように,凸部11の温度が600℃で前後になった場合に,凹部12の温度は700℃を超える温度になり,PMが燃焼する時にはさらに金網ヒータ5への通電のみよりさらに温度が50℃程度上昇するので,筒体3の凹部12の温度は750℃以上に到達することになる。また,図9に示されるように,フイルタ本体2の両端部における温度は,中央部より低いことが解る。
【0023】
また,ディーゼルエンジンがA重油,特にC重油を燃料とする場合に,排気ガス浄化装置におけるフイルタ本体2,即ちセラミック不織布4の強度劣化が激しくなる。フイルタ本体2を構成する炭化珪素に対して,排気ガスGに含まれる各種物資の強度低下をもたらす物質を調査した結果,バナジウムが悪い影響を及ぼしていることが解った。図10には,ディーゼルエンジンをA重油又はC重油で運転した排ガスに含まれるバナジウムが繊維強度に及ぼす影響を調べたものであり,硫酸バナジウム溶液を炭化珪素繊維に塗布して各温度に100時間暴露した後,強度を測定したものである。フイルタ本体2が必要とされる強度は1GPaであり,700℃まではその強度を保持することができるが,800℃では1GPa以下の強度となることが解った。そこで,ディーゼルエンジンがA重油やC重油を燃料とする場合に,排気ガスG中で炭化珪素フィルタの強度を確保するためには最高温度を650℃〜700℃以下にすることが良いことが解った。しかしながら,従来にフィルタでは凹部と凸部の温度差が100℃以上あり,凸部を600℃程度にすると凹部は700℃を越えてしまう。
【0024】
この発明による排気ガス浄化装置は,図1,図2及び図3に示すように,フイルタ本体2を構成する筒体3の凸部11と凹部12の温度差を小さくするため,フイルタ本体2の外周に隙間24を空けて外周ヒータ7を配置すると共に,外周ヒータ7の発熱分布をフイルタ本体2の両端部で大きく,中央に行くに従い小さくすることによって,筒体3の凸部11と凹部12の温度差を均一にするとともに,両端部の温度と中央部の温度差を最小とすることを可能にすることを特徴としている。外周ヒータ7は,フイルタ本体2の外周に隙間25を空けて隔置して配設された複数の金属製棒状ヒータ13から成り,金属製棒状ヒータ13は,図5に示すように,四角の箱状の断面を形成したヒータ本体14とヒータ本体14の長手方向に沿って固着された抵抗調整プレート15とから構成されており,抵抗調整プレート15は,両端部16から中央部17になるに従って抵抗値が小さくなるよう板状のプレートから構成されている。棒状ヒータ13は,上記のような構造を有することにより,図6に示すように,その軸方向の抵抗値Ω(オーム)が両端部16が大きくなり,中間部28が段々小さくなって中央部17が小さくなる。また,棒状ヒータ13は,その軸方向の発熱量J(ジュール)が両端部16が大きくなり,中央部17が小さくなる。一般に,発熱量=電流×電流×抵抗値であるので,棒状ヒータ13の電流値は,どの場所でも同じであるが,抵抗調整プレート15の抵抗値が小さい中央部の発熱量を小さくすることができる。即ち,フイルタ本体2の外周に外周ヒータ7を配置したフイルタ1では,図11に示すように,筒体3の凹部12と凸部11との温度分布が温度差が小さくなり,600℃〜650℃の温度範囲になってセラミック不織布4を劣化させないことが解る。即ち,フイルタ1において,外周ヒータ7の棒状ヒータ13の発熱分布を最適にすることによって,筒体3の凹部12と凸部11の温度差は,20℃程度となり,軸方向の最大温度差も40℃程度に低減することができる。
【0025】
また,図1にはこの排気ガス浄化装置におけるフイルタ1を構成するため,外周ヒータ7である棒状ヒータ13をハウジング10に取り付けた構造が示されている。外周ヒータ7に通電すると,外周ヒータ7の棒状ヒータ13は熱膨張することになり,棒状ヒータ13の伸びを吸収しないとフイルタ1が変形を起こすことになる。そこで,この排気ガス浄化装置では,外周ヒータ7を構成する棒状ヒータ13は,両端部にねじ付き端部支持ロッド20を備えており,フイルタ本体2に直接取り付けることなく,端部支持ロッド20をハウジング10に設けられたブラケット19に支持されている。具体的には,図1では,端部支持ロッド20をブラケット19に支持する固着方法が示されている。即ち,棒状ヒータ13は,その軸方向に熱変形できるように少なくともその端部が,ハウジング10に設けたブラケット19にばね部材18を介して支持されるか,又は,端部支持ロッド20がブラケット19に設けたリング状ガイド孔22に摺動自在に支持され,棒状ヒータ13がフイルタ本体2,言い換えれば,ハウジング10に対して長手方向に拘束されずに熱変形を許容できるように構成されている。ばね部材18は,一端がボルト26とナット21によってブラケット19に固着され,他端が棒状ヒータ13の端部支持ロッド20に挿通してナット21が端部支持ロッド20のねじに螺入して固着されている。又は,棒状ヒータ13の端部支持ロッド20をブラケット19に設けた挿通孔22に摺動自在に挿通され,端部支持ロッド20の端部のねじにナット21を螺入して取り付けられている。棒状ヒータ13のブラケット19への取付けは,棒状ヒータ13の少なくとも一端でよく,他端はブラケットの挿通孔に端部支持ロッド20を挿通してナット21で固着されている。
【0026】
或いは,この排気ガス浄化装置では,外周ヒータ7は,図7及び図8に示すように,金属線が渦巻き状に長手方向に延びて形成されている渦巻きヒータ27である。更に,金属線を渦巻き状に巻き上げた渦巻きヒータ27は,フイルタ本体2の長手方向に沿って巻き数が両端部16で密27Aであり,中央部17で粗27Bに構成されているものである。即ち,渦巻きヒータ27の軸方向の温度分布は,渦巻きヒータ27は,軸方向に伸縮可能であり,金属線のピッチを両端部16では密27Aに,中央部17は粗粗27Bに巻き上げられており,両端部16と中央部17との間の中間部28は比較的密27Cにすることによって,フイルタ本体2の両端部に相当する部分の発熱量を大きく,中央部を少なくすることができる。また,渦巻きヒータ27は,一種のつるまきばねであるため,通電過熱による熱膨張によるヒータ27自体の伸びは,渦巻きヒータ27のばね構造により吸収することができる。
【0027】
骨組用補強部材35は,蛇腹状に折り曲げて成形された筒体3のコルゲート形状を補強保持するためにフイルタ本体2に組み込まれている。骨組用補強部材35は,例えば,特許文献4に開示された図12−図14に示すものを使用することができ,ここでは簡単に説明する。骨組用補強部材35は,ハウジング10に形成されたフイルタ収容室の排気ガスGの流入側に位置する筒体3の両端部に配置された円板部材40,筒体31の長手方向の複数の所定箇所に配置された排気ガスGの流れを許容する中空孔45を備えたリング部材42,及び円板部材40とリング部材42との間の長手方向に延びる樋状フレーム44を有している。円板部材40は,図13に示すように,外周に筒体3の凸部11に対応する形状の突起部39を備えており,また,リング部材42は,図14に示すように,外周に筒体3の凸部11に対応する形状の突起部41を備えている。樋状フレーム44は,特に,図12に示すように,円板部材40とリング部材42との突起部39,41の間の谷部43に配置されて長手方向に延びている。樋状フレーム44は,少なくとも長手方向の熱膨張量を小さくするためフェライト系ステンレススチール等の熱膨張の小さい金属材料で作製されている。また,円板部材40とリング部材42とは,長手方向の熱膨張量を余り考慮する必要がないので,オーステナイト系ステンレススチール等の高温強度が高く比較的に安価な金属材料で作製されている。骨組用補強部材35は,支持部材等によって筒体3の内部に支持されたり,ハウジング10にブラケット等によって支持されている。
【産業上の利用可能性】
【0028】
この発明による排気ガス浄化装置は,例えば,船舶,産業機械等の大型ディーゼルエンジンから排出される排気ガスに含まれる煤,SOF,サルフェート等の有害物質である粒子状物質(PM)を捕集して該有害物質を焼却して消失させ,排気ガスを浄化するのに使用して好ましいものである。
【符号の説明】
【0029】
1 フイルタ
2 フイルタ本体
3 筒体
4 セラミック不織布
5 金網ヒータ
7 外周ヒータ
8 支持用金網
9 排気ガス通路
10 ハウジング
13 棒状ヒータ
14 ヒータ本体
15 抵抗調整プレート
16 端部
17 中央部
18 ばね部材
19 ブラケット
22 リング状ガイド孔
24 隙間
27 渦巻きヒータ
27A 密
27B 粗
27C 比較的に密
28 中間部
29 ばね支持部材
35 骨組用補強部材
G 排気ガス
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディーゼルエンジンからの排気ガスを排出する排気ガス通路に配置されたハウジング内に収容されたフイルタによって前記排気ガス中に含まれる煤,SOF等の粒子状物質を捕集し,前記フイルタに捕集された前記粒子状物質を焼却して前記排気ガスを浄化する排気ガス浄化装置において,
前記フイルタは,再生時に通電される金網ヒータ,前記金網ヒータを両側から挟み込んだ一対のセラミック不織布,及び前記セラミック不織布の外側に積層された一対の支持用金網から成る積層体を蛇腹状に折り曲げて筒状に成形された筒体から構成されており,
前記筒体の内周側には配置された骨組用補強部材,及び前記筒体の外周側に隙間を空けて前記ハウジング内に配置された外周ヒータを備えており,
前記フイルタに前記排気ガスを流して前記排気ガスに含まれる前記粒子状物質を前記フイルタで捕集し,前記フイルタの再生時に前記フイルタに捕集された前記粒子状物質を前記金網ヒータと前記外周ヒータに通電して焼却して前記排気ガスを浄化することを特徴とする排気ガス浄化装置。
【請求項2】
前記フイルタの外周側に配設された前記外周ヒータは,前記外周ヒータの両端部の発熱量が中央部の発熱量より大きくなるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の排気ガス浄化装置。
【請求項3】
前記外周ヒータは,複数の金属製棒状ヒータから構成され,少なくとも一端が前記ハウジングにばね部材で弾性的に支持されており,前記外周ヒータが前記フイルタに対して長手方向に拘束されずに熱変形を許容できることを特徴とする請求項1又は2に記載の排気ガス浄化装置。
【請求項4】
前記外周ヒータを構成する前記棒状ヒータは,少なくとも一端が前記ハウジングに取り付けられたリング状ガイド孔に隙間を介して嵌合され,前記棒状ヒータは前記ハウジングに対して長手方向に拘束されずに前記棒状ヒータの熱変形を許容できることから構成されていることを特徴とする請求項3に記載の排気ガス浄化装置。
【請求項5】
前記金属製棒状ヒータから成る前記外周ヒータは,棒状のヒータ本体と該ヒータ本体の長手方向に沿って固着された抵抗調整プレートとから構成されていることを特徴とする請求項3又は4に記載の排気ガス浄化装置。
【請求項6】
前記外周ヒータは,金属線が渦巻き状に長手方向に弾性変形可能に延びて形成されている渦巻きヒータであることを特徴とする請求項1又は2に記載の排気ガス浄化装置。
【請求項7】
前記渦巻きヒータは,前記フイルタの長手方向に沿って巻き数が両端部で密であり,中央部で粗になって発熱量が調整されていることを特徴とする請求項6に記載の排気ガス浄化装置。
【請求項8】
前記フイルタを構成する前記筒体は,少なくとも一端が前記ハウジングにばね支持されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の排気ガス浄化装置。
【請求項9】
前記フイルタは,前記フイルタを設置するベースに対して垂直状態に設置可能に構成されることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の排気ガス浄化装置。
【請求項1】
ディーゼルエンジンからの排気ガスを排出する排気ガス通路に配置されたハウジング内に収容されたフイルタによって前記排気ガス中に含まれる煤,SOF等の粒子状物質を捕集し,前記フイルタに捕集された前記粒子状物質を焼却して前記排気ガスを浄化する排気ガス浄化装置において,
前記フイルタは,再生時に通電される金網ヒータ,前記金網ヒータを両側から挟み込んだ一対のセラミック不織布,及び前記セラミック不織布の外側に積層された一対の支持用金網から成る積層体を蛇腹状に折り曲げて筒状に成形された筒体から構成されており,
前記筒体の内周側には配置された骨組用補強部材,及び前記筒体の外周側に隙間を空けて前記ハウジング内に配置された外周ヒータを備えており,
前記フイルタに前記排気ガスを流して前記排気ガスに含まれる前記粒子状物質を前記フイルタで捕集し,前記フイルタの再生時に前記フイルタに捕集された前記粒子状物質を前記金網ヒータと前記外周ヒータに通電して焼却して前記排気ガスを浄化することを特徴とする排気ガス浄化装置。
【請求項2】
前記フイルタの外周側に配設された前記外周ヒータは,前記外周ヒータの両端部の発熱量が中央部の発熱量より大きくなるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の排気ガス浄化装置。
【請求項3】
前記外周ヒータは,複数の金属製棒状ヒータから構成され,少なくとも一端が前記ハウジングにばね部材で弾性的に支持されており,前記外周ヒータが前記フイルタに対して長手方向に拘束されずに熱変形を許容できることを特徴とする請求項1又は2に記載の排気ガス浄化装置。
【請求項4】
前記外周ヒータを構成する前記棒状ヒータは,少なくとも一端が前記ハウジングに取り付けられたリング状ガイド孔に隙間を介して嵌合され,前記棒状ヒータは前記ハウジングに対して長手方向に拘束されずに前記棒状ヒータの熱変形を許容できることから構成されていることを特徴とする請求項3に記載の排気ガス浄化装置。
【請求項5】
前記金属製棒状ヒータから成る前記外周ヒータは,棒状のヒータ本体と該ヒータ本体の長手方向に沿って固着された抵抗調整プレートとから構成されていることを特徴とする請求項3又は4に記載の排気ガス浄化装置。
【請求項6】
前記外周ヒータは,金属線が渦巻き状に長手方向に弾性変形可能に延びて形成されている渦巻きヒータであることを特徴とする請求項1又は2に記載の排気ガス浄化装置。
【請求項7】
前記渦巻きヒータは,前記フイルタの長手方向に沿って巻き数が両端部で密であり,中央部で粗になって発熱量が調整されていることを特徴とする請求項6に記載の排気ガス浄化装置。
【請求項8】
前記フイルタを構成する前記筒体は,少なくとも一端が前記ハウジングにばね支持されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の排気ガス浄化装置。
【請求項9】
前記フイルタは,前記フイルタを設置するベースに対して垂直状態に設置可能に構成されることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の排気ガス浄化装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−236787(P2011−236787A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−107945(P2010−107945)
【出願日】平成22年5月10日(2010.5.10)
【出願人】(509185192)株式会社 ACR (9)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月10日(2010.5.10)
【出願人】(509185192)株式会社 ACR (9)
【Fターム(参考)】
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