説明

排気タービン、排熱回収システム及び排熱回収システムの運転方法

【課題】多機関装置においてタービンブレードにおける振動誘発を回避しながら排熱回収における効率改善を実現するような排気タービンを提供する。
【解決手段】排気タービン(20)は、タービンハウジング(21)、タービンハウジング内に回転可能に軸受され、複数のタービンブレード(23a)を有するロータ(23)、タービンブレードへの排気流を制御するための、タービンハウジング内に配置されたガイドバッフル(24)を有しており、タービンハウジングは、ガイドバッフルを介して排気をタービンブレードに導くための複数の排気インテーク通路(22a,22b)を有しており、それぞれの排気インテーク通路はガイドバッフルまでは互いに別々であり、また、各排気インテーク通路にはそれぞれの排気インテーク通路内の排気圧力(PI,PII)を測定するための圧力センサが配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は排気タービン、そのような排気タービンを装備した排熱回収システム、及びそのような排熱回収システムの運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
船舶に使用される多機関装置、つまり複数の内燃機関を有する装置においては、一つの排気ラインに故障があっても他の内燃機関の運転方法に影響が出ないよう、内燃機関のそれぞれの排気ラインは互いに独立して実施される。
【0003】
多機関装置のために排熱を利用する蒸気タービン及び排気タービンを有するWHR(Waste-Heat-Recovery 排熱回収)システムが実施される場合、通常は、内燃機関ごとにそれぞれ一つの排気タービンが設けられる。
【0004】
しかしながら複数の小型の排気タービンは、(一つの大型排気タービンに比較して)効率が悪いという点、及び、高速運転される複数のギヤを持つ構造は(大型でゆっくり運転される排気タービンに比較して)より複雑であり、また、損失もより高く、共用ギヤによる追加的な損失もあるという点に関して欠点がある。
【0005】
一つの大きな排気タービン又はパワータービンの前で複数の排気バイパスラインを一緒に実施した場合、内燃機関が、さまざまな負荷において運転されて排気圧力がさまざまであれば、内燃機関のそれぞれの排気システム内で互いに反動が生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、多機関装置においてタービンブレードにおける振動誘発を回避しながら排熱回収における効率改善を実現することが可能な、排気タービン、そのような排気タービンを装備した排熱回収システム、及び、そのような排熱回収システムの運転方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は請求項1に記載の排気タービン、請求項7に記載の排熱回収システム、請求項10に記載の方法により解決される。本発明の発展形はそれぞれの従属請求項で定義されている。
【0008】
本発明の第1の態様では内燃機関の排気をエネルギー的に利用するための排気タービンが提供され、該排気タービンは、
タービンハウジング、
タービンハウジング内に回転可能に軸受されて複数のタービンブレードを有するロータ、
タービンブレードへの排気流を制御するためにタービンハウジング内に配置されたガイドバッフルを有しており、このときタービンハウジングはガイドバッフルを介して排気をタービンブレードにガイドするための複数の排気インテーク通路を有しており、また、それぞれの排気インテーク通路はガイドバッフルまでは互いに別々であり、また、それぞれの排気インテーク通路内の排気圧力を測定するために各排気インテーク通路内に一つの圧力センサが配置されており、
さらに、排気タービンは、これら圧力センサに接続されていて排気インテーク通路(22a,22b)内のそれぞれの排気圧力(PI,PII)を互いに調和させるための圧力調和手段を有している。
【0009】
圧力を調和させることにより、タービンブレードにおける振動誘発が確実に回避される。それにより、多機関装置用にそのようなただ一つの排気タービンを設けることができ、また、そのただ一つの排気タービンはより大きくしてより高い効率で実施することができる。
【0010】
本発明の排気タービンの一つの実施形態においてタービンブレードは、不減衰の、特にダンピングワイヤなしのタービンブレードとして構成されている。
【0011】
ダンピングワイヤは、離して並べられている複数のタービンブレードの振動を減衰させるために通常のタービンに用いられており、減衰はワイヤを受ける場所における摩擦により行われる。ダンピングワイヤはタービンブレードの穴に通すことができる。これらの穴はタービンブレードのぜい弱部でありタービン破損が頻繁にここから起こるため、通常はタービンブレードは穴の領域を厚くして構成されている。ダンピングワイヤはいずれにせよタービンブレード輪郭の周囲の流れにとって障害であり、それによりタービンの効率が低下する。
【0012】
本発明によりタービンブレードが不減衰、特にダンピングワイヤなしで構成されることにより、タービンブレードによるそのような効率低下が回避される。
【0013】
本発明の排気タービンのさらなる実施形態においては、それぞれの排気インテーク通路内の圧力を調節するよう設定された圧力調節装置が各排気インテーク通路に前置されることにより圧力調和手段が構成され、このとき圧力センサ及びそれぞれの圧力調節装置はタービン制御装置に接続されており、また、タービン制御装置は、それぞれの圧力調節装置をそれぞれの圧力センサにより測定された排気圧力に基づいて制御するよう、すべての排気インテーク通路における排気圧力を一つの統一目標圧力レベルに調節するよう、設定されている。
【0014】
本発明の排気タービンのさらなる一つの実施形態においては、前記一つの統一目標圧力レベルにおける排気圧力の互いの所与の制御偏差は≦1.0barである。
【0015】
本発明の排気タービンのさらなる一つの実施形態において各圧力調節装置は、それぞれの排気インテーク通路への排気流入を絞るための絞り装置を有している。
【0016】
代替的又は追加的に、本発明の排気タービンのさらなる一つの実施形態において各圧力調節装置は、それぞれの排気インテーク通路への排気流入から排気を分岐させるためのバイパス装置を有している。
【0017】
本発明の第2の態様では排熱回収システムが提供され、該排熱回収システムは複数の内燃機関を有しており、このとき各内燃機関は一つの別個の排気ラインを有しており、前記排熱回収システムはさらに、本発明の第1の態様の前述の一つの又は複数の又はすべての実施形態の考え得るあらゆる組み合わせによる、ただ一つの排気タービンを有しており、このとき排気を導入するための、複数の内燃機関のうちの第1の内燃機関の排気ラインが、排気タービンの複数の排気インテーク通路のうちの第1の排気インテーク通路に接続されており、また、複数の内燃機関のうちの第2の内燃機関の排気ラインが、排気を導入するために排気タービンの複数の排気インテーク通路のうちの第2の排気インテーク通路に接続されている。
【0018】
圧力を調和させることによりタービンブレードにおける振動誘発は確実に回避される。本発明において排熱回収システム用にただ一つの排気タービンが設けられることにより、このただ一つの排気タービンをより大きく、そしてそれにより、より高い効率で実施することができる。
【0019】
本発明の排熱回収システムの一つの実施形態において排熱回収システムはさらに、蒸気タービン、及び、各排気ラインに一つの熱交換機を有しており、該熱交換機は、排気を導くよう設定された一次ライン及び蒸気を提供するよう設定された二次ラインを有しており、それぞれの熱交換機の二次ラインは蒸気タービンの蒸気入口に接続されている。
【0020】
本発明の排熱回収システムのさらなる一つの実施形態において、排熱回収システムはさらに発電機を有しており、この発電機の駆動軸は、排気タービンのロータにより回転駆動される排気タービンのアウトプットシャフトに、及び、蒸気タービンのロータにより回転駆動される蒸気タービンのアウトプットシャフトに、回転駆動接続することが可能である。
【0021】
本発明の第3の態様においては、本発明の第2の態様における前述の一つの又は複数の又はすべての実施形態の考え得るあらゆる組み合わせによる排熱回収システムの運転方法が提供され、その方法は以下のステップ;
排気タービンのそれぞれの排気インテーク通路内の排気圧力を測定するステップ、
測定された排気圧力を比較するステップ、
排気インテーク通路内のそれぞれの排気圧力を互いに調和させるステップ、
を有する。
【0022】
圧力を調和させることによりタービンブレードにおける振動誘発は確実に回避される。本発明によるただ一つの排気タービンが排熱回収システム内に設けられることにより、このただ一つの排気タービンはより大きく、また、より高い効率で実施することができる。
【0023】
本発明の方法の一つの実施形態において、測定された排気圧力の比較ステップではさらに、測定された排気圧力の最低排気圧力の決定が行われ、このとき残りの排気圧力は高圧力の排気圧力として決定され、また、最低排気圧力から目標圧力レベルが決定され、また、排気インテーク通路内のそれぞれの排気圧力を互いに調和させる際には高圧力の排気圧力が目標圧力レベルにまで低下させられる。
【0024】
本発明の方法のさらなる一つの実施形態においては、一つの統一目標圧力レベルにおいて排気圧力の互いの制御偏差は≦1.0barに調整される。
【0025】
本発明の方法のさらなる一つの実施形態においては、それぞれの排気インテーク通路へのそれぞれの排気流入を絞ることにより、高圧力の排気圧力の低減が行われる。
【0026】
代替的又は追加的に、本発明の方法のさらなる一つの実施形態においては、それぞれの排気インテーク通路へのそれぞれの排気流入から排気を分岐させることにより、高圧力の排気圧力の低減が行われる。
【0027】
本発明は、請求項の明示的な引用における特徴の組み合わせによらない実施形態も明らかにカバーしており、そのため、開示された本発明の特徴は、技術的に有意義であれば、任意に互いに組み合わせることができる。
【0028】
まとめると、発明者により解決法として認識されているのは、複数のインレットインサート、つまり排気脈動ターボチャージ類似のタービンハウジングを持つ排気タービン又はパワータービンであり、このとき複数の排気流はタービンガイドバッフル(ノズルリング)の後ではじめて混合され、それにより互いに影響しないため、反動が生じない。
【0029】
発明者が特に認識したのは、排気脈動ターボチャージ運転中のタービンにおいては、排気の供給が不均一であるために、タービンブレードにおいてより高い振動誘発が生じるため、ダンピングワイヤ又は減衰要素を備える頑丈なタービンが必要であり、それにより効率も悪くなるということである。
【0030】
そのため本発明では解決法として、最高の効率のためにタービンブレードをダンピングワイヤなしで構成することを提案しており、その際、不均一なパルス衝突により起こるタービンの振動誘発という問題は、個々の排気管又は排気インテーク通路内の圧力を個別に調節して排気インテーク通路ができるだけ同じ圧力レベル及びそれにより同じ速度レベルで運転されることにより、低減又は解消される。
【0031】
このことは例えば、タービン前の流入管内のそれぞれの圧力を測定し、絞り及び/又はバイパス調節により高い圧力をそれぞれ調節することにより行われる。絞り運転においては排気圧力が高まり、それが、連結された内燃機関にとって有利にはたらき、最大点火圧力が許容する限り内燃機関のチャージが改善される。バイパス運転においては排気内の余熱を取り出して蒸気タービン内で転換することができる。
【0032】
それにより、例えば発電機とともに一つのラインに一緒に取り付けられた一つの蒸気タービン及び一つの排気タービンから成る、少なくとも2つの内燃機関のためのWHRシステムが可能となる。さらに、少なくとも2つの入口(一緒に取り付けるべき内燃機関の数と同じ)を持ち、できるだけ最高の効率のためにダンピングワイヤが備えられていない一つの排気タービンが可能となる。さらに、圧力測定による調節及び、タービン前の排気圧力をそれぞれ類似のレベル(制御偏差が例えば≦1.0bar)に確実にする調節機構が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】標準的な排熱回収システムの回路図である。
【図2】本発明の一つの実施形態における排熱回収システムの回路図である。
【図3】本発明の一つの実施形態における排気タービンの部分の斜視図である。
【図4】図3の排気タービンのタービンハウジングの、図3の平面Aで切断された部分を2つの斜視図で示した図である。
【図5】図2に似ているが、分かりやすくするために本発明の排熱回収システムのいくつかの要素を取り除いて示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明について、好ましい実施形態及び付属の図を用いて詳細に説明する。
【0035】
図1は、船舶(完全に図示されてはおらず、また特に記号も付与されていない)に組み込まれた標準的な排熱回収システム1'の回路図である。
【0036】
図1の排熱回収システム1'は、船舶の駆動に用いられる第1内燃機関10'及び第2内燃機関50'を有している。
【0037】
各内燃機関10',50'は、
それぞれの排気出口16'又は56'(本図では煙突)を持つ別々の排気ライン15'又は55'、
別々の排気タービン又はパワータービン20'又は60'であって、該排気タービン20',60'がそれぞれの排気ライン15'又は55'の排気により駆動可能なようにそれぞれ付属する排気ライン15'又は55'に接続されている排気タービン又はパワータービン20'又は60'、
一次ライン25a'又は65a'を備え、蒸気発生のためにそれぞれ付属する排気ライン15'又は55'に組み込まれた別々の熱交換機25'又は65'、
それぞれの内燃機関10'又は50'へのターボ過給のためにそれぞれ付属する排気ライン15'又は55'に接続された2つのターボチャージャ30a',30b'又は70a',70b'(それぞれの排気タービン及びそれぞれのコンプレッサを有しているが、特に符号は付与されていない)
を有する。
【0038】
図1の排熱回収システム1'はさらに蒸気タービン75'及び発電機80'を有している。蒸気タービン75'は熱交換機25',65'のそれぞれの二次ライン25b'又は65b'にそれぞれ接続されているため、蒸気タービン75'は熱交換機25',65'により発生された蒸気を介して駆動可能である。
【0039】
2つの排気タービン20',60'は共用ギヤ85'を介して出力側で選択的に発電機80'の駆動軸81'に回転駆動接続可能である。蒸気タービン75'はギヤ90'を介して出力側で継続的に発電機80'の駆動軸81'に回転駆動接続されている。
【0040】
以下、図2から図5を参照しながら、船舶(完全には図示されず、また、特に符号は付与されていない)内に組み込まれた、本発明の実施形態による排熱回収システム1について詳述する。
【0041】
本発明の排熱回収システム1は、船舶を駆動する第1内燃機関10及び第2内燃機関50を有する。
【0042】
各内燃機関10,50は、
複数の排気管(特に符号は付与されていない)及びそれぞれの排気出口16又は56(本図では煙突)を持つ別個の排気ライン15又は55、
別々の熱交換機25又は65であって、熱交換機25又は65は排気を導くよう設定された一次ライン25a又は65aを備えて、蒸気発生のためにそれぞれ付属する排気ライン15又は55内に組み込まれている熱交換機25又は65、
それぞれの内燃機関10又は50へのターボ過給のためにそれぞれ付属する排気ライン15又は55に接続された、2つのターボチャージャ30a,30b又は70a,70b(それぞれの排気タービン及びそれぞれのコンプレッサを有しているが、特に符号は付与されていない)、
を有する。
【0043】
本発明による排熱回収システム1はさらに、内燃機関の排気をエネルギー的に利用するために、排気管を介して両方の排気ライン15,55に接続された排気タービン又はパワータービン20を有しており、排気タービン20は両方の排気ライン15,55の排気により駆動可能である。
【0044】
特に図2、図3、図5から分かるように排気タービン20は、タービン流入ハウジング22を持つタービンハウジング21、回転可能にタービンハウジング21に軸受けされ、複数の不減衰の、特にダンピングワイヤなしのタービンブレード23aを有するロータ23(図式的かつ部分的にのみ図示)、タービンブレード23aへの排気流を制御するためにタービンハウジング21内に配置されたガイドバッフル24(又はノズルリング)、排気タービン20から排気を排出するための排出ディフューザ24aを有している。
【0045】
タービンハウジング21のタービン流入ハウジング22は、ガイドバッフル24を介して排気をタービンブレード23aにガイドするための複数の排気インテーク通路を有しており、このときそれぞれの排気インテーク通路はガイドバッフル24までは互いに別々である。図2から図5に図示された本発明の実施形態においては、タービンハウジング21のタービン流入ハウジング22は第1排気インテーク通路22a及び第2排気インテーク通路22bを有しており、これらはガイドバッフル24の少し手前からガイドバッフル24まで隔壁22cにより、流れに関して互いに隔てられている。これについて図4では図3の平面Aで切断された、「ズボン」のように構成されているタービン流入ハウジング22の部分が2つの部分図の斜視図で図示されている。
【0046】
第1内燃機関10の排気ライン15は、排気を導くために排気タービン20の第1排気インテーク通路22aに接続されている。第2内燃機関50の排気ライン55は排気を導くために排気タービン20の第2排気インテーク通路22bに接続されている。
【0047】
図2から図5には図示されていないが、排気インテーク通路22a,22bのそれぞれには、それぞれの排気インテーク通路22a,22b内の排気圧力PI又はPII(図2参照)を測定するための圧力センサが配置されている。
【0048】
各排気インテーク通路22a,22bには、それぞれの排気インテーク通路22a,22b内の排気圧力PI又はPIIを調節するよう設定された圧力調節装置60a,60bが前置されている。各圧力調節装置60a,60bは、電子制御ユニット61a又は61b及び、望ましくは電気モータ(符号M)で制御可能な第1のバルブ62a又は62b、及び、望ましくは電気モータ(符号M)で制御可能な第2のバルブ63a又は63bを有している。第1及び第2のバルブ62a,63a又は62b,63bは、制御のために、付属する制御ユニット61a又は61bに電気的に接続されている。
【0049】
各圧力調節装置60a,60bの第1バルブ62a,62bは、それぞれ割り当てられた排気インテーク通路22a又は22bへの排気流入を絞るための絞り装置として機能する。各圧力調節装置60a,60bの第2バルブ63a,63bは、それぞれ割り当てられた排気インテーク通路22a又は22bへの排気流入の排気を分岐させるためのバイパス装置として機能する。
【0050】
本発明による排熱回収システム1はさらに、信号受信のためにそれぞれの圧力センサに電気的に接続され、また、制御のためにそれぞれの圧力調節装置60a,60bの制御ユニット61a,61bに接続された、電子式タービン制御装置100を有している。タービン制御装置100は、すべての排気インテーク通路22a,22b内の排気圧力PI、PIIを一つの統一目標圧力レベルに調節するために、それぞれの圧力センサにより測定された排気圧力PI,PIIに基づいてそれぞれの圧力調節装置の制御ユニット61a,61bを制御するように設定されている。この一つの統一目標圧力レベルにおいて、排気圧力PI,PIIの互いの制御偏差は望ましくは≦0.2barである。
【0051】
つまり、圧力調節装置60a,60b及びタービン制御装置100は圧力調和手段を形成しており、これらは圧力センサに接続されており、また、排気インテーク通路22a,22b内のそれぞれの排気圧力PI,PIIを互いに調和させるように設定されている。
【0052】
本発明による排熱回収システム1はさらに蒸気タービン75及び発電機80を有している。蒸気タービン75の蒸気入口(特に符号は付与されていない)は蒸気管(特に符号は付与されていない)を介して、それぞれ蒸気を提供するよう設定された熱交換機25,65の二次ライン25b又は65bのそれぞれに接続されているため、蒸気タービン75は二つの熱交換機25,65を介して発生した蒸気により駆動可能である。
【0053】
発電機80の駆動軸81はギヤ85を介して、排気タービン20のロータ23により回転駆動された、排気タービン20のアウトプットシャフト23bに回転駆動接続させることができ、また、ギヤ90を介して、蒸気タービン75のロータ(符号なし)により回転駆動された、蒸気タービン75のアウトプットシャフト75aに回転駆動接続させることができる。
【0054】
図示された実施形態においては、排気タービン20は、ギヤ85及びクラッチ(符号なし)を介して出力側で選択的に発電機80の駆動軸81に回転駆動接続することが可能であり、蒸気タービン75は、ギヤ90を介して出力側で継続的に発電機80の駆動軸81に回転駆動接続されている。
【0055】
図2から図5に図示された排熱回収システム1の本発明の運転方法においては、少なくとも以下のステップ;
圧力センサを用いてそれぞれの排気インテーク通路22a,22b内の排気圧力PI,PIIを測定するステップ、
測定された排気圧力PI,PIIをタービン制御装置100内で比較するステップ、
圧力調和手段により、排気インテーク通路22a,22b内のそれぞれの排気圧力PI,PIIを互いに調和させるステップ、
を有している。
【0056】
この方法において、測定された排気圧力PI,PIIを比較するステップではさらに、測定された排気圧力PI,PIIの最低排気圧力の決定が行われ、このとき残りの排気圧力は高圧力の排気圧力として決定され、また、最低排気圧力から目標圧力レベルが決定され、また、排気インテーク通路22a,22b内のそれぞれの排気圧力PI,PIIの互いの調和においては高圧力の排気圧力は圧力調節装置60a,60bにより目標圧力レベルに低減される。
【0057】
この方法において、前記一つの統一目標圧力レベルにおける排気圧力PI,PIIの互いの制御偏差は望ましくは≦0.2barに調整される。
【0058】
この方法においては、高圧力の排気圧力の低減は、望ましくは、関連する圧力調節装置60a,60bの第1バルブ62a又は62bを部分的に閉じることにより、高圧力の排気の排気インテーク通路への流入が絞られることにより実施される。
【0059】
この方法においては代替的又は追加的に、高圧力の排気圧力の低減は、望ましくは、関連する圧力調節装置60a,60bの第2バルブ63a又は63bを開くことにより、排気インテーク通路への高めの圧力の排気流入から排気を分岐させることにより実施される。
【0060】
この方法においては、内燃機関10,50は互いのモータ負荷に50%以上の差があっても運転可能であり、その際、発電機に連結されたただ一つの排気タービン20はそれにも関わらず内燃機関10,50に関してフィードバックなく運転されることが保証される。
【符号の説明】
【0061】
1,1' 排熱回収システム
10,10' 内燃機関
15,15' 排気ライン
16,16' 排気出口
20,20' 排気タービン
21 タービンハウジング
22 タービン流入ハウジング
22a,22b 排気インテーク通路
22c 隔壁
23 ロータ
23a タービンブレード
23b アウトプットシャフト
24 ガイドバッフル
24a 排出ディフューザ
25,25' 熱交換機
25a,25a' 一次ライン
25b,25b' 二次ライン
30a,30a' ターボチャージャ
30b,30b' ターボチャージャ
50,50' 内燃機関
55,55' 排気ライン
56,56' 排気出口
60' 排気タービン
60a,60b 圧力調節装置
61a,61b 制御ユニット
62a,62b バルブ
63a,63b バルブ
65,65' 熱交換機
65a,65a' 一次ライン
65b,65b' 二次ライン
70a,70a' ターボチャージャ
70b,70b' ターボチャージャ
75,75' 蒸気タービン
75a アウトプットシャフト
80,80' 発電機
81,81' 駆動軸
85 ギヤ
85' 共用ギヤ
90,90' ギヤ
100 タービン制御装置
PI,PII 排気圧力
A (断面)平面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の排気をエネルギー的に利用するための排気タービン(20)であって、
タービンハウジング(21)と、
該タービンハウジング(21)に回転可能に軸受され、複数のタービンブレード(23a)有するロータ(23)と、
前記タービンブレード(23a)への排気流を制御するための、前記タービンハウジング(21)内に配置されたガイドバッフル(24)であって、前記タービンハウジング(21)は前記ガイドバッフル(24)を介して排気を前記タービンブレード(23a)に導くための複数の排気インテーク通路(22a,22b)を有しており、それぞれの前記排気インテーク通路(22a,22b)は前記ガイドバッフル(24)まで互いに別々であり、前記各排気インテーク通路(22a,22b)内には前記それぞれの排気インテーク通路(22a,22b)内の排気圧力(PI,PII)を測定するための圧力センサが配置されている、ガイドバッフル(24)と、
前記圧力センサに接続され、前記排気インテーク通路(22a,22b)内のそれぞれの前記排気圧力(PI,PII)を互いに調和させるよう設定されている圧力調和手段と、
を具備してなることを特徴とする排気タービン(20)。
【請求項2】
前記タービンブレード(23a)が不減衰タービンブレードとして構成されていることを特徴とする請求項1に記載の排気タービン(20)。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の排気タービン(20)において、前記圧力調和手段はそれぞれの前記排気インテーク通路(22a,22b)内の排気圧力(PI,PII)を調節するために設定された圧力調節装置(60a,60b)が各排気インテーク通路(22a,22b)に前置されることにより形成されていること、それぞれの前記圧力センサ及びそれぞれの前記圧力調節装置(60a,60b)がタービン制御装置(100)に接続されていること、及び、前記タービン制御装置(100)は、それぞれの前記圧力センサにより測定された前記排気圧力(PI,PII)に基づいてそれぞれの前記圧力調節装置(60a,60b)を制御するよう、すべての排気インテーク通路(22a,22b)内の前記排気圧力(PI,PII)を一つの統一目標圧力レベルに調節するよう、設定されていることを特徴とする排気タービン。
【請求項4】
前記一つの統一目標圧力レベルにおいて前記排気圧力(PI,PII)の互いの所与の制御偏差が≦1.0barであることを特徴とする請求項3に記載の排気タービン(20)。
【請求項5】
各圧力調節装置(60a,60b)が、それぞれの前記排気インテーク通路(22a,22b)への排気流入を絞るための絞り装置を有することを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の排気タービン(20)。
【請求項6】
各圧力調節装置(60a,60b)が、それぞれの前記排気インテーク通路(22a,22b)への排気流入から排気を分岐するためのバイパス装置を有することを特徴とする請求項3から請求項5のいずれか一項に記載の排気タービン(20)。
【請求項7】
排熱回収システム(1)であって、
複数の内燃機関(10,50)を有し、それぞれの内燃機関(10,50)は別個の排気ライン(15,55)有しており、かつ、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の排気タービン(20)を有している排熱回収システムにおいて、
前記内燃機関(10,50)の第1内燃機関(10)の前記排気ライン(15)は、排気を導入するために前記排気タービン(20)の前記排気インテーク通路(22a,22b)の第1排気インテーク通路(22a)に接続されており、また、前記内燃機関(10,50)の第2内燃機関(50)の前記排気ライン(55)は、排気を導入するために前記排気タービン(20)の前記排気インテーク通路(22a,22b)の第2排気インテーク通路(22b)に接続されていることを特徴とする排熱回収システム。
【請求項8】
請求項7に記載の排熱回収システム(1)であって、さらに、
蒸気タービン(75)を有し、また、
各排気ライン(15,55)内には排気を導くよう設定された一次ライン(25a,65a)、及び、蒸気を提供するよう設定された二次ライン(25b,65b)を有する熱交換機(25,65)であって、それぞれの前記熱交換機(25,65)の前記二次ライン(25b,65b)は蒸気タービンの蒸気入口(75)に接続されている、熱交換機(25,65)を有することを特徴とする排熱回収システム(1)。
【請求項9】
請求項8に記載の排熱回収システム(1)であってさらに発電機(80)を有しており、該発電機(80)の駆動軸(81)が、前記排気タービン(20)の前記ロータ(23)により回転駆動される、前記排気タービン(20)のアウトプットシャフト(23b)に、かつ、前記蒸気タービンのロータ(75)により回転駆動される、前記蒸気タービン(75)のアウトプットシャフト(75a)に回転駆動接続することが可能であることを特徴とする排熱回収システム。
【請求項10】
請求項7から請求項9のいずれか一項に記載の排熱回収システム(1)を運転する方法であって、以下のステップ;
それぞれの前記排気インテーク通路(22a,22b)内の前記排気圧力(PI,PII)を測定するステップと、
測定された前記排気圧力(PI,PII)を比較するステップと、
前記排気インテーク通路(22a,22b)内のそれぞれの前記排気圧力(PI,PII)を互いに調和させるステップと、
を有すること特徴とする運転方法。
【請求項11】
請求項10に記載の運転方法において、
前記測定された排気圧力(PI,PII)の比較ステップでさらに、前記測定された排気圧力(PI,PII)の最低排気圧力が決定され、その際、残りの排気圧力は高圧力の排気圧力と決定され、また、前記最低排気圧力より目標圧力レベルが決定され、かつ、
前記排気インテーク通路(22a,22b)内のそれぞれの前記排気圧力(PI,PII)を互いに調和させるステップで前記高圧力の排気圧力が前記目標圧力レベルにまで低減されることを特徴とする運転方法。
【請求項12】
請求項11に記載の運転方法において、前記一つの統一目標圧力レベルにおける前記排気圧力の互いの制御偏差が≦1.0barに調整されることを特徴とする運転方法。
【請求項13】
請求項11又は請求項12に記載の運転方法において、前記高圧力の排気圧力の低減は、それぞれの前記排気インテーク通路(22a,22b)へのそれぞれの排気流入を絞ることにより行われることを特徴とする運転方法。
【請求項14】
請求項11から請求項13のいずれか一項に記載の運転方法において、前記高圧力の排気圧力の低減は、それぞれの前記排気インテーク通路(22a,22b)へのそれぞれの排気流入から排気が分岐されることにより行われることを特徴とする運転方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−225343(P2012−225343A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−91722(P2012−91722)
【出願日】平成24年4月13日(2012.4.13)
【出願人】(510153962)マン・ディーゼル・アンド・ターボ・エスイー (65)
【Fターム(参考)】