説明

排気中水蒸気の回収利用システム及び回収利用方法

【課題】車両から排出される排気に含まれる水蒸気を回収し、水が不足しがちな地域で水供給源として広く利用可能にする。
【解決手段】車両10の排気管16に、排気eを冷却し、排気e中に含まれる水蒸気を凝縮して回収する水蒸気回収装置42、回収した回収水を貯留する水タンク46とを設けている。総合水管理センター50で、水タンク46の貯水量が閾値を超えた走行中の車両10Aから、該車両10Aの貯水量及び位置情報に係る第1情報、及び回収水貯留タンク62を備えたガソリンスタンド60A、60Bから貯水量及び回収水の受け入れ可否に関する第2情報を得て、回収水を荷降ろしするガソリンスタンドを選択し、車両10Aに該ガソリンスタンドに回収水を荷降ろしするように指示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のエンジンから排出される排気中に含まれる水分を回収し、その回収水を有効利用する方法及び該方法を実施するためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両のエンジンで燃料を燃焼させると、排気からCO、CO、HC、NOなどの有害な成分が排出される。エンジンの燃料は、炭化水素やアルコール系であるから、C、H、Oを主成分としている。そのため、HとOの反応によりHOも生成されているが、水蒸気として大気に放出されている。
【0003】
一方、水資源は、石油と同様に世界で偏在しており、将来、地球規模で水資源の確保が必要不可欠になると予想される。現在、車両で排出される排気中に含まれる水蒸気を大気に放出しているが、これを凝縮させて捕集し、有害成分を取り除けば、水不足の地域でも、モータリゼーションの発達した国では、水の供給源になり得る可能性がある。
【0004】
特許文献1には、車両のエンジンから排出される排気中に含まれる水蒸気を回収し、この回収水を車両に搭載した水タンクに貯留し、排気経路に設けられたNO選択還元触媒に供給される高濃度尿素水の希釈水として用いる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−280856号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示された技術は、車両のエンジンの排気中から回収された回収水を、同一車両に設けられたNO選択還元触媒用に用いるのみであり、用途が限定されており、車両外の用途に広く利用可能にするものではない。回収水を地域内で工業用水や家庭用水等に広く利用するためには、回収水を集配システムや再処理システムを考える必要がある。
【0007】
本発明は、かかる従来技術の課題に鑑み、車両のエンジンから排出される排気に含まれる水蒸気を回収し、水が不足しがちな地域で水供給源として車両外の用途に広く利用可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的を達成するため、本発明の排気中水分の回収利用システムは、エンジンの排気管に設けられ、該排気管を通る排気を冷却し排気中の水蒸気を凝縮して回収する水蒸気回収装置、及び該水蒸気回収装置で回収された回収水を貯留する水タンクを備えた車両と、回収水を貯留可能な回収水貯留タンクを備えた貯留施設と、水タンクの貯水量情報と回収水貯留タンクの貯水量情報とに基づき、回収水貯留タンクの回収水受け入れ要否情報を車両に送信する管理センターとを備え、管理センターからの情報に基づき回収水貯留タンクに車両の回収水を荷降ろしするようにしたものである。
【0009】
本発明では、車両で排気中から回収し、車両に搭載した水タンクに貯留した回収水の貯水量が閾値を超えたら、管理センターの指示に従って、選択された貯留施設の回収水貯留タンクに回収水を荷降ろしするようにする。荷降ろしした回収水は、貯留施設又は水処理場で有害成分を取り除き、浄化度合いに応じて使用先に分配される。これによって、貯水可能な回収水貯留タンクを特定でき、効率良く回収水を荷降ろしできる。また、回収水の貯留施設への荷降ろしを地域全体で計画的にかつ効率的に行なうことができると共に、最も水が必要な場所に低コストで供給できる。なお、貯留施設とは、ガソリンスタンド、工業用水プラント、各家庭に設けられた貯留タンク等を指す。
【0010】
本発明において、前記管理センターは、水タンクの貯水量が閾値を超えた車両から該貯水量及び自車の位置情報に係る第1情報と、回収水貯留タンクを備えた貯留施設から、回収水貯留タンクの貯水量と回収水の受け入れ可否に関する第2情報とを受信し、該第1情報及び第2情報に基づいて、回収水を受け入れる貯留施設を選択し、選択された貯留施設及び該貯留施設の第2情報を車両に送るようにするとよい。こうして、第1情報及び第2情報を得ている管理センターが、回収水を荷降ろしする貯留施設を選択し、車両に対して、該ガソリンスタンドへ荷降ろしするように指示する。
【0011】
これによって、貯留施設の回収水貯留タンクに荷降ろしした回収水は、ガソリンスタンド、工業用水プラントの水処理施設又は水処理場等で有害成分を取り除き、浄化度合いに応じて使用先に分配される。これによって、回収水の貯留施設への荷降ろしを地域全体で計画的にかつ効率的に行なうができる。また、最も水が必要な場所に低コストで供給できる。
【0012】
本発明において、好ましくは、車両は空調装置を備え、水蒸気回収装置は、排気と該空調装置の膨張弁下流側の冷媒とを熱交換させる熱交換部を備え、排気から該冷媒の蒸発潜熱を吸収するように構成されるとよい。これによって、排気の冷却効果を増大できると共に、排気の冷却源として、車両に備えられた既設の空調装置を利用できるので、新たな設備を付設する必要がなく、低コストで実現できる。
【0013】
また、本発明において、水蒸気回収装置の設置位置より上流側の前記排気管に熱電変換素子装置を設け、該熱電変換素子装置で排気の保有熱で電力を発生させ、発生した電力を前記車両に搭載されたバッテリに蓄電するように構成するとよい。これによって、熱電変換素子装置を排気の冷却源として利用できると共に、回収水を得るだけでなく、排気の保有熱で蓄電が可能になり、車両で必要な機器に電力を供給できる。
【0014】
前記本発明システムの使用に好適な本発明の排気中水蒸気の回収利用方法は、走行中の車両のエンジンから排出される排気を冷却し排気中の水蒸気を凝縮して回収し、車両に搭載された水タンクに貯留する第1工程と、水タンクの貯水量が閾値を超えた車両が該貯水量及び自車の位置情報に係る第1情報を管理センターに送る第2工程と、回収水貯留タンクを備えた貯留施設から、該回収水貯留タンクの貯水量と回収水の受け入れ可否に関する第2情報を管理センターに送る第3工程と、管理センターで、第1情報及び第2情報に基づいて、回収水を受け入れる貯留施設を選択し、車両に選択された貯留施設及び該貯留施設の第2情報を送る第4工程と、選択された貯留施設の回収水貯留タンクに車両の回収水を荷降ろしする第5工程と、からなるものである。
【0015】
本発明方法において、第1情報及び第2情報を得ている管理センターが、回収水を荷降ろしする貯留施設を選択し、車両に対して、該貯留施設へ荷降ろしするように指示する。これによって、荷降ろしした回収水は、貯留施設、工業用水プラントの水処理施設又は水処理場等で有害成分を取り除き、浄化度合いに応じて使用先に分配される。これによって、回収水の貯留施設への荷降ろしを地域全体で計画的にかつ効率的に行なうができる。また、最も水が必要な場所に低コストで供給できる。
【0016】
本発明方法において、貯留施設の回収水貯留タンクに溜まった回収水を水処理場に移送する工程と、該水処理場で回収水を浄化する工程と、浄化した水を使用先へ供給する工程と、をさらに具備するとよい。これによって、浄化した回収水を使用先に供給できる。また、回収水の浄化度に応じて、使用可能な所に分配できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の回収利用システムによれば、エンジンの排気管に設けられ、該排気管を通る排気を冷却し排気中の水蒸気を凝縮して回収する水蒸気回収装置、及び該水蒸気回収装置で回収された回収水を貯留する水タンクを備えた車両と、回収水を貯留可能な回収水貯留タンクを備えた貯留施設と、水タンクの貯水量情報と回収水貯留タンクの貯水量情報とに基づき、回収水貯留タンクの回収水受け入れ要否情報を車両に送信する管理センターとを備え、管理センターからの情報に基づき回収水貯留タンクに車両の回収水を荷降ろしするようにしたので、管理センターで、回収水を荷降ろしする貯留施設を指定するので、回収水のガソリンスタンドへの荷降ろしを地域全体で計画的にかつ効率的に行なうができる。また、最も水が必要な場所に低コストで供給できる。
【0018】
そのため、水不足の地域では、モータリゼーションを利用し、石油燃料由来の水を得て、水不足を補うことができる。
【0019】
本発明方法によれば、走行中の車両のエンジンから排出される排気を冷却し排気中の水蒸気を凝縮して回収し、車両に搭載された水タンクに貯留する第1工程と、水タンクの貯水量が閾値を超えた車両が該貯水量及び自車の位置情報に係る第1情報を管理センターに送る第2工程と、回収水貯留タンクを備えた貯留施設から、該回収水貯留タンクの貯水量と回収水の受け入れ可否に関する第2情報を管理センターに送る第3工程と、管理センターで、第1情報及び第2情報に基づいて、回収水を受け入れる貯留施設を選択し、車両に選択された貯留施設及び該貯留施設の第2情報を送る第4工程と、選択された貯留施設の回収水貯留タンクに車両の回収水を荷降ろしする第5工程と、からなり、第1情報及び第2情報を得ている管理センターが、回収水を荷降ろしする貯留施設を選択し、車両に対して、該貯留施設へ荷降ろしするように指示するようにしたので、前記本発明方法と同様の作用効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明方法及びシステムの第1実施形態に係る車両の平面視断面図である。
【図2】前記第1実施形態の全体構成を示すブロック線図である。
【図3】前記第1実施形態の通信システムを示すブロック線図である。
【図4】本発明方法及びシステムの第2実施形態に係る車両の平面視断面図である。
【図5】本発明方法及びシステムの第3実施形態に係る車両の一部を示す正面視説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではない。
【0022】
(実施形態1)
本発明方法及び本発明システムの第1実施形態を図1〜図3に基づいて説明する。図1において、車両10の車体内部で、車体前部10aにエンジン12が搭載され、エンジン12に吸気管14及び排気管16が接続されている。吸気管14及び排気管16に跨って過給機18が設けられ、エンジン12から排気される排気eによって過給機18が駆動され、過給機18によって吸気管14に吸気aが加圧されて供給される。エンジン12の駆動はECU(エンジン・コントロール・ユニット Engine Control Unit)19で制御される。エンジン12の出力は、トルクコンバータ20、ディファレンシャル装置22及び車軸23を介して前輪24に伝達される。
【0023】
また、エンジン12の回転力はベルト26を介して発電機28に伝達され、発電機28を回して電力を発生させ、その電力はバッテリ30に蓄電され、車両10の他の用途に使用される。排気管16の途中には、排気浄化装置32が設けられ、排気浄化装置32で排気中のCOやNOを除去する。
【0024】
車体後部10bには、後輪34と、エンジン12に燃料供給管38を介して燃料を供給する燃料タンク36が設けられている。また、排気管16にマフラ40が設けられ、マフラ40の下流側排気管16に、排気eを冷却し、排気e中に含まれる水蒸気を凝縮して回収する水蒸気回収装置42が設けられている。車両10には、水タンク46が搭載されており、水蒸気回収装置42によって回収された回収水は、管路44を介して水タンク46に送られ、貯留される。
【0025】
尚、水タンク46に回収された水量(貯水量)は、水タンク46に設置された水量センサ(図示省略)によって検出可能に構成されている。車両10に搭載されたECU19を構成する車載コンピュータが、定期又は不定期のタイミングで水量センサの検出値を取得することによって、水タンク46の貯水量を管理するようにしている。
【0026】
図2において、適宜場所に総合水管理センター50が設けられ、各ガソリンスタンド60A、60Bには、車両10で回収した回収水を受け入れて回収する貯水タンク62が設けられている。走行中の車両10は、水タンク46の回収水の貯水量が閾値を超えたとき、自車両の位置情報及び該貯水量に関する第1情報を総合水管理センター50に連絡する。このような第1情報の連絡は、具体的には、ECU19を構成する車載コンピュータが水タンク46に設置された水量センサから貯水量値を取得し、予めメモリ等に記憶された閾値と比較することによって、自動的に行うようにするとよい。
【0027】
各ガソリンスタンド60A、60Bでは、貯水タンク62の貯水量及び回収水の受け入れ可否に関する第2情報を総合水管理センター50に連絡する。この各ガソリンスタンド60A、60Bにおける第2情報の連絡もまた、ガソリンスタンド60A、60Bに設置されたパソコンなどの情報端末を用いて、通信網を介して総合水管理センター50との間で行うようにするとよい。
【0028】
総合水管理センター50では、各ガソリンスタンドの貯水タンク62の貯水量を管理し、回収水の荷降ろしが必要な車両10に、どこのガソリンスタンドに回収水を荷降ろしすればよいかを指示する。指示を受信した車両10側では、例えばナビゲーションなどの画面上に指示内容を表示するようにすることで、ドライバーが回収水の荷降ろしを行うように促すとよい。具体的には、車両10の周辺地図上に荷降ろしが可能なガソリンスタンドの位置を表示するとよい。
【0029】
図3に、総合水管理センター50、車両10及びガソリンスタンド60の間で構築された通信手段の構成を示す。図3において、車両10は、GPS信号受信機110及び通信部112を備えている。GPS信号受信機110で、GPS通信衛星70から自車の位置情報を受信する。走行中の車両10は、該位置情報及び水タンク46の貯水量等の第1情報を、通信部112から、中継基地局に設置された受信アンテナ72及びネットワーク回路74を介し、総合水管理センター50に備えられた管理サーバ52に送る。
【0030】
各ガソリンスタンド60では、ガソリンスタンドの位置情報及び貯水タンク62の貯水量等の第2情報を、同様の通信経路で総合水管理センター50の管理サーバ52に送る。管理サーバ52では、車両10及びガソリンスタンド60から送信されたこれらの情報を記憶部54に収納する。管理サーバ52の位置検出手段56では、記憶部54に収納された情報から、走行中の各車両10及び各ガソリンスタンド60の位置を検出する。
【0031】
判定手段58では、車両10及びガソリンスタンド60から送られた情報から、水タンク46の回収水を荷降ろししたい車両10Aに対して、最寄りのガソリンスタンドを指定し、該ガソリンスタンドで回収水を荷降ろしするよう指示する。指示された車両10Aは、指定されたガソリンスタンドに向かって移動し、該ガソリンスタンドで回収水を貯水タンク62に荷降ろしする。図2では、車両10Bがガソリンスタンド60Aで回収水を荷降ろしし、車両10Cがガソリンスタンド60Bで回収水を荷降ろししている状態を示す。
【0032】
図2において、ガソリンスタンドの貯水タンク62が満杯になると、例えば、貯水タンク62に中和清浄機能のないガソリンスタンド60Aでは、貯留水を管路又は他の輸送手段により水処理場76に送る。水処理場76で中和清浄処理し、燃料や潤滑油由来の有害成分、例えば硫黄、リン等を除去する。次に、この処理水を、浄水処理場78で上水として使用可能になるまで浄化処理する。浄水処理場78で浄化処理した清浄水は、各家庭などの上水使用先82に供給する。
【0033】
貯水タンク62に中和清浄処理あるガソリンスタンド60Bでは、ガソリンスタンド60Bで中和清浄処理した後、この貯留水を、管路又は他の輸送手段で、浄水処理場78又は中水供給施設80へ移送する。浄水処理場78で浄化処理した上水は、上水使用先82に供給し、中水供給施設80で浄化処理された中水は、工場などの中水使用先84に供給する。
【0034】
本実施形態によれば、回収水のガソリンスタンドへの荷降ろしを地域全体で計画的にかつ効率的に行なうができる。また、最も水が必要な場所に低コストで供給できる。例えば総合水管理センター50において、各ガソリンスタンド60A,60Bにおける貯水タンク62の貯留水量を通信網を介して管理することにより、貯水タンク62に余裕のあるガソリンスタンド60A,60Bに車両10を優先的に誘導したり、水不足が深刻な地域にあるガソリンスタンド60A,60Bに車両10を優先的に誘導するなど、計画的且つ効率的な管理を実現することができる。そのため、水不足の地域では、モータリゼーションを利用し、石油燃料由来の水を得て、水不足を補うことができる。
【0035】
また、ガソリンスタンド60A、60Bの回収水貯留タンク62に貯留した回収水を、ガソリンスタンド60A、60B又は水処理場76及び浄水処理場78で浄化するようにしているので、浄化水の浄化度に応じて、使用可能な所に効率的に分配できる。
【0036】
(実施形態2)
次に、本発明方法及び本発明システムの第2実施形態を図4により説明する。図4において、車両86の車体内部で、前部にエンジン88が設けられ、エンジン88に接続された排気管16が後部まで延設されている。前記第1実施形態と同様に、排気管16には、前方から順に排気浄化装置32、マフラ40及び水蒸気回収装置42が設けられている。エンジン88の近傍に、エンジン88よって駆動される空調装置90が装備されている。
【0037】
空調装置90は、冷媒循環路91に、エンジン88の出力によって駆動される圧縮機92、凝縮機94、膨張弁96及び蒸発器98が介設されて構成されている。冷媒循環路91は、膨張弁96の下流側で2つの分岐路91a及び91bに分岐され、分岐路91aに蒸発器98が設けられ、分岐路91bは車体後部まで延設され、水蒸気回収装置42に接続されている。蒸発器98及び水蒸気回収装置42の下流側で、分岐路91a及び91bは、合流した後、凝縮機94に接続されている。その他の構成は前記第1実施形態と同一である。
【0038】
本実施形態では、水蒸気回収装置42で排気eを冷却する冷却源として、膨張弁96下流側の冷媒を用い、冷媒と排気eと熱交換させ、冷媒の蒸発潜熱で排気eを冷却するようにしている。そのため、排気eの冷却効果を向上でき、排気eからの回収水量を増加できる。また、空調装置90の冷媒を冷却源として利用しているので、新たな設備を付設することなく、既存の空調装置を冷却源として利用できる利点がある。
【0039】
(実施形態3)
次に、本発明方法及び本発明システムの第3実施形態を図5により説明する。本実施形態は、車両100の後部100bで、マフラ40の下流側でかつ水蒸気回収装置42の上流側領域の排気管16に、熱電変換素子装置102を設けている。熱電変換素子装置102は、ゼーベック効果やペルチェ効果が顕著な材料に電流を流すことで、電流の入口と出口に温度差を与え、この温度差によって電流を発生できる装置である。排気eの保有熱で熱電変換素子装置102を構成する材料に電流を発生させ、その電流を取り出すことができる。その他の構成は、第1実施形態と同一である。
【0040】
本実施形態では、熱電変換素子装置102で、排気eの保有熱を利用して電流を発生させ、その電流をケーブル104を介して既存のバッテリ30に蓄電できる。
本実施形態によれば、前記第1実施形態で得られる作用効果に加えて、熱電変換素子装置102によって、排気eを冷却できるので、さらに排気eの冷却効果を増大できると共に、熱電変換素子装置102によって電力を発生できる。そして、発生した電力をバッテリ30に蓄電することで、車両100の他の機器に有効利用できる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明によれば、車両から排気される排気から水を回収し、その回収水を水資源として地域の需要に広く利用できる。
【符号の説明】
【0042】
10,10A、10B、10C、86,100 車両
110 GPS信号受信機
112 通信部
10a 車体前部
10b、100b 車体後部
12,88 エンジン
14 吸気管
16 排気管
18 過給機
20 トルクコンバータ
22 ディファレンシャル装置
23 車軸
24 前輪
26 ベルト
28 発電機
30 バッテリ
32 排気浄化装置
34 後輪
36 燃料タンク
38 燃料供給管
40 マフラ
42 水蒸気回収装置
44 管路
46 水タンク
50 総合水管理センター
52 管理サーバ
54 記憶部
56 位置検出手段
58 判定手段
60,60A、60B ガソリンスタンド
62 回収水貯留タンク
70 GPS通信衛星
72 受信アンテナ
74 ネットワーク回路
76 水処理場
78 浄水処理場
80 中水供給施設
82 上水使用先
84 中水使用先
90 空調装置
91 冷媒循環路
91a、91b 分岐路
92 圧縮機
94 凝縮器
96 膨張弁
98 蒸発器
102 熱電変換素子装置
104 ケーブル
a 吸気
e 排気

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンの排気管に設けられ、該排気管を通る排気を冷却し排気中の水蒸気を凝縮して回収する水蒸気回収装置、及び該水蒸気回収装置で回収された回収水を貯留する水タンクを備えた車両と、
回収水を貯留可能な回収水貯留タンクを備えた貯留施設と、
前記水タンクの貯水量情報と前記回収水貯留タンクの貯水量情報とに基づき前記回収水貯留タンクの回収水受け入れ要否情報を前記車両に送信する管理センターとを備え、
前記管理センターからの情報に基づき前記回収水貯留タンクに前記車両の回収水を荷降ろしするようにしたことを特徴とする排気中水蒸気の回収利用システム。
【請求項2】
前記管理センターは、
前記水タンクの貯水量が閾値を超えた車両から該貯水量及び自車の位置情報に係る第1情報と、前記回収水貯留タンクを備えた貯留施設から、該回収水貯留タンクの貯水量と回収水の受け入れ可否に関する第2情報とを受信し、該第1情報及び第2情報に基づいて、回収水を受け入れる貯留施設を選択し、選択された貯留施設及び該貯留施設の前記第2情報を前記車両に送ることを特徴とする請求項1に記載の排気中水蒸気の回収利用システム。
【請求項3】
前記車両は空調装置を備え、前記水蒸気回収装置は、排気と該空調装置の膨張弁下流側の冷媒とを熱交換させる熱交換部を備え、排気から該冷媒の蒸発潜熱を吸収するように構成したことを特徴とする請求項1又は2に記載の排気中水蒸気の回収利用システム。
【請求項4】
前記水蒸気回収装置の設置位置より上流側の前記排気管に熱電変換素子装置を設け、該熱電変換素子装置で排気の保有熱で電力を発生させ、発生した電力を前記車両に搭載されたバッテリに蓄電するように構成したことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の排気中水蒸気の回収利用システム。
【請求項5】
走行中の車両のエンジンから排出される排気を冷却し排気中の水蒸気を凝縮して回収し、車両に搭載された水タンクに貯留する第1工程と、
前記水タンクの貯水量が閾値を超えた車両が該貯水量及び自車の位置情報に係る第1情報を管理センターに送る第2工程と、
回収水貯留タンクを備えた貯留施設から、該回収水貯留タンクの貯水量と回収水の受け入れ可否に関する第2情報を前記管理センターに送る第3工程と、
前記管理センターで、前記第1情報及び第2情報に基づいて、回収水を受け入れる貯留施設を選択し、前記車両に選択された貯留施設及び該貯留施設の前記第2情報を送る第4工程と、
前記選択された貯留施設の回収水貯留タンクに前記車両の回収水を荷降ろしする第5工程と、からなることを特徴とする排気中水蒸気の回収利用方法。
【請求項6】
前記貯留施設の回収水貯留タンクに溜まった回収水を水処理場に移送する工程と、該水処理場で回収水を浄化する工程と、浄化した水を使用先へ供給する工程と、をさらに具備したことを特徴とする請求項5に記載の排気中水蒸気の回収利用方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−241646(P2012−241646A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−113699(P2011−113699)
【出願日】平成23年5月20日(2011.5.20)
【出願人】(000006286)三菱自動車工業株式会社 (2,892)
【Fターム(参考)】