説明

排気浄化フィルタ、媒煙フィルタ再生システム、およびその再生方法

【課題】ガソリンエンジンの媒煙フィルタ内の粒子状物質をより低い温度で十分に酸化させることができる排気浄化フィルタ、媒煙フィルタ再生システム、およびその再生方法を提供する。
【解決手段】本発明の実施形態に係る排気浄化フィルタは、ガソリンエンジンの排気ガスに含まれているアンモニアを予め設定された温度未満で吸蔵させ、前記吸蔵されたアンモニアを前記予め設定された温度以上で脱着させて窒素酸化物を生成するアンモニア吸蔵触媒、および前記排気ガスに含まれている粒子状物質を捕集し、前記アンモニア吸蔵触媒で生成された前記窒素酸化物を利用して前記捕集された粒子状物質を再生させる媒煙フィルタ、を含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排気浄化フィルタ、媒煙フィルタ再生システム、およびその再生方法に係り、より詳しくは、ガソリンエンジンの排気浄化フィルタ、媒煙フィルタ再生システム、およびその再生方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、内燃機関で燃費および性能を改善するためにガソリン直接噴射(Gasoline Direct Injection:GDI)技術が開発されているが、GDIエンジンは燃料を吸気管内部に噴射せず、燃焼室に直接に噴射するガソリンエンジンにおける噴射方式を意味する。
これは、点火プラグ周囲の空燃比を濃厚にするため希薄な空燃比でもエンジン作動が可能となるが、ガソリン直接噴射エンジン(GDI)技術の開発により、燃焼室内の不完全燃焼区間の増加に伴う粒子状物質(Particulate Matters:PM)の発生が問題になっている。これにより、ガソリン直接噴射エンジン(GDI)車両に媒煙フィルタを装着することにより、このような問題を解決しようとした。
【0003】
しかし、ガソリン車両において低速長時間運転をするとき、媒煙フィルタ内の温度が低くて酸素濃度が不足し、媒煙フィルタに積もった粒子状物質(PM)を自然再生することが困難になる問題点があった。
従来は、これを解決するために、媒煙フィルタ前端に酸素を供給する多様な方法が提示されていた。すなわち、排気パイプの媒煙フィルタ前端に空気を追加供給することにより、媒煙フィルタに積もった粒子状物質(PM)が酸化されて除去されるようにすることによって媒煙フィルタの再生を行っていた。
【0004】
しかし、媒煙フィルタ前端に酸素を供給しても、媒煙フィルタに積もった粒子状物質(PM)を酸素によって酸化させるためには高い温度が必要となるが、一般的にガソリンエンジンの媒煙フィルタは、粒子状物質(PM)と酸素が十分に反応できる程の温度を確保することが難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−261423号公報
【特許文献2】特開2012−047081号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、ガソリンエンジンの媒煙フィルタ内の粒子状物質をより低い温度で十分に酸化させることができる排気浄化フィルタ、媒煙フィルタ再生システム、およびその再生方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような問題点を解決するためになされた本発明の実施形態に係る排気浄化フィルタは、ガソリンエンジンの排気ガスに含まれているアンモニアを予め設定された温度未満で吸蔵させ、前記吸蔵されたアンモニアを前記予め設定された温度以上で脱着させて窒素酸化物を生成するアンモニア吸蔵触媒、および前記排気ガスに含まれている粒子状物質を捕集し、前記アンモニア吸蔵触媒で生成された前記窒素酸化物を利用して前記捕集された粒子状物質を再生させる媒煙フィルタ、を含むことを特徴とする。
【0008】
前記アンモニア吸蔵触媒は三元触媒層をさらに含むことを特徴とする。
【0009】
前記アンモニア吸蔵触媒は、ゼオライトまたはアンモニアを吸蔵する物質を含むことを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、ガソリンエンジンの排気パイプ上に設置される媒煙フィルタ再生システムであって、前記ガソリンエンジンと連結する前記排気パイプに設置され、前記ガソリンエンジンから排出する排気ガスを酸化−還元させる三元触媒、
前記三元触媒装置の後方の前記排気パイプに設置され、前記三元触媒で生成されたアンモニアを予め設定された温度未満で吸蔵し、前記吸蔵されたアンモニアを前記予め設定された温度以上で脱着させ、前記脱着したアンモニアを酸化させて窒素酸化物を生成するアンモニア吸蔵触媒、前記アンモニア吸蔵触媒に隣接するように設置され、前記排気ガスに含まれている粒子状物質(Particulate Matters)を捕集し、前記アンモニア吸蔵触媒で生成された前記窒素酸化物を利用して前記捕集された粒子状物質を再生させる媒煙フィルタ、および前記ガソリンエンジンに流入する空燃比を調節する制御部、を含み、前記制御部は、前記媒煙フィルタの差圧が予め設定された差圧以上である場合に希薄な雰囲気を造成することを特徴とする。
【0011】
前記制御部は、前記アンモニアの濃度が予め設定された濃度以下である場合に濃厚な雰囲気を造成することを特徴とする請求項4に記載の媒煙フィルタ再生システム。
【0012】
前記制御部は、前記媒煙フィルタの差圧が予め設定された差圧以上である場合に、前記アンモニア吸蔵触媒の温度を考慮して希薄な雰囲気を造成することを特徴とする。
【0013】
前記アンモニア吸蔵触媒は三元触媒層をさらに含むことを特徴とする。
【0014】
前記アンモニア吸蔵触媒は、ゼオライトまたはアンモニアを吸蔵する物質を含むことを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、温度に応じて排気ガスに含まれているアンモニアを吸蔵および脱着するアンモニア吸蔵触媒と、前記排気ガスに含まれている粒子状物質を捕集する媒煙フィルタとを含む前記媒煙フィルタ再生システムを再生する方法であって、前記排気ガス内に含まれているアンモニアを吸蔵する段階、前記媒煙フィルタの差圧と予め設定された差圧を比較する段階、前記媒煙フィルタの差圧が予め設定された差圧以上である場合に希薄な雰囲気を造成し、前記アンモニア吸蔵触媒から前記アンモニアを脱着させて窒素酸化物を生成する段階、および前記生成された窒素酸化物を利用して前記媒煙フィルタを再生する段階、を含むことを特徴とする。
【0016】
前記窒素酸化物を生成する段階は、前記アンモニア吸蔵触媒の温度を考慮して希薄な雰囲気を造成することによって行われることを特徴とする。
【0017】
前記アンモニアを吸蔵する段階では、濃厚な雰囲気を造成することによって前記排気ガス内のアンモニアの比率を高めることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態に係る媒煙フィルタ再生システムの構成図である。
【図2】本発明の実施形態に係る媒煙フィルタ再生システムの構成図である。
【図3】温度変化によるアンモニアの吸収率を示す表である。
【図4】本発明の実施形態に係る媒煙フィルタ再生方法の流れを説明するフローチャートである。
【図5】粒子状物質(PM)の温度変化による燃焼率を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の好ましい実施形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
図1および図2は、本発明の実施形態に係る媒煙フィルタ再生システム1の構成図である。図3は、温度変化によるアンモニアの吸収率を示す表である。
図1および図2に示す通り、本発明の実施形態に係る媒煙フィルタ再生システム1は、ガソリンエンジン10、三元触媒装置20、アンモニア吸蔵触媒32、媒煙フィルタ35、制御部40を含む。
ガソリンエンジン10はガソリンを燃料とする内燃機関であって、燃料と空気を燃焼させて化学的エネルギーを機械的エネルギーに変換する。ガソリンエンジン10は、燃料と空気が流入する多数の気筒11と、気筒11内に流入した燃料と空気を点火させる点火装置とを含む。ガソリンエンジン10は、吸気マニホールド15に連結して気筒11内部に空気が流入され、燃焼過程で発生した排気ガスを排気マニホールド17に流出させ、排気パイプ19に沿って車両外部に排出する。ガソリンエンジン10には、気筒11内に燃料を噴射流入させるインジェクタ13が装着される。
【0020】
三元触媒装置20は、ガソリンエンジン10と連結する排気パイプ19に設置され、ガソリンエンジン10から排出される排気ガスを酸化還元させる。一般的に、三元触媒装置20は、排気ガスに含まれている3つの有害物質(CO、HC、NO)を酸化−還元反応によって無害なガス(CO、HO、N)に変化させる。
三元触媒装置20は、酸化−還元反応を促進させる触媒として、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、およびロジウム(Rh)を主に用いる。白金またはパラジウム触媒は主に一酸化炭素(CO)と炭化水素(HC)を低減させる酸化反応を促進させ、ロジウム触媒は窒素酸化物(NO)を低減させる還元反応を主に担当する。空燃比が希薄な場合、すなわち空気が過剰した場合には、三元触媒装置20は、一酸化炭素(CO)と炭化水素(HC)を低減させる酸化反応が活発に起こって水(HO)と二酸化炭素(CO)の生成率が増加するが、空燃比が濃厚な場合、すなわち燃料が過剰した場合には、窒素酸化物(NO)を低減させる還元反応が活発に起こって窒素(N)の生成率が増加する。
【0021】
アンモニア吸蔵触媒32は、三元触媒装置20の後方の排気パイプ19に提供される。アンモニア吸蔵触媒32は、媒煙フィルタ35に隣接するように提供されてもよく、媒煙フィルタ35内にアンモニア吸蔵触媒32が提供されてもよい。図1および図2に示すように、アンモニア吸蔵触媒32と媒煙フィルタは、1つの空間内に提供されてもよい。
アンモニア吸蔵触媒32は、アンモニア(NH)が吸蔵および脱着する。上述したように、アンモニア(NH)は、燃料が過剰して供給されるときに、三元触媒装置20で窒素酸化物(NO)が還元されて生成される。これにより、アンモニア吸蔵触媒32は、三元触媒装置20で生成されたアンモニア(NH)が主に吸蔵および脱着する。
【0022】
アンモニア吸蔵触媒32は、温度に応じてアンモニア(NH)の吸収率と脱着率が異なる。すなわち、アンモニア吸蔵触媒32は、温度が低いほどアンモニア(NH)の吸収率が高まり、温度が高いほどアンモニア(NH)の脱着率が高まる。これにより、図3に示すように、三元触媒装置20で生成されたアンモニア(NH)は、アンモニア吸蔵触媒32に一定の温度未満で主に吸蔵され、一定の温度以上で主に脱着する。一例によれば、前記一定の温度は350℃であってもよいが、これに限定されることはない。
アンモニア吸蔵触媒32は、多様な吸蔵物質を用いてもよい。一例によれば、吸蔵物質はゼオライト(zeolite)であってもよい。
【0023】
図2に示すように、アンモニア吸蔵触媒32は、アンモニア吸蔵層33の他にも三元触媒層34を含んでもよい。アンモニア吸蔵層33と三元触媒層34は、アンモニア吸蔵触媒32内に上下に提供されてもよい。特に、アンモニア吸蔵層33は三元触媒層34の下部に提供されてもよいが、これに限定されることはない。
三元触媒層34は三元触媒装置20と別に提供されるが、三元触媒装置20のように排気ガスを酸化−還元させる。燃料が過剰供給された場合、すなわち空燃比が濃厚な場合、三元触媒層34は、三元触媒装置20で還元されない窒素酸化物(NO)が三元触媒層34を通過しながら還元されてアンモニア(NH)を生成する。これにより、アンモニア吸蔵層33を通過する排気ガス内に含まれているアンモニア(NH)の含有量が増加する。また、酸素(O)が過剰供給された場合、すなわち空燃比が希薄な場合、三元触媒層34は、アンモニア吸蔵層33から脱着したアンモニア(NH)の酸化作用を促進させて窒素酸化物(NO)、特に二酸化窒素(NO)の生成率を増加させる。
【0024】
媒煙フィルタ35は、アンモニア吸蔵触媒32の後方に隣接するように提供され、排気ガスに含まれている粒子状物質(Particulate Matters:PM)を捕集する。粒子状物質(PM)は、主にスーツ(soot)と呼ばれるカーボンのかたまり、およびその他の有機可溶性分(soluble organic fraction)などで構成されている。媒煙フィルタ35は、フィルタ構造を利用して粒子状物質(PM)を捕集する。
媒煙フィルタ35に粒子状物質(PM)が捕集されれば、粒子状物質(PM)によって排気ガスの流れが妨害されることがある。これにより、媒煙フィルタ35は、粒子状物質(PM)を酸化させて除去する再生過程を行う。特に、媒煙フィルタ35に粒子状物質(PM)の一定量が捕集されて媒煙フィルタ35に差圧が発生し、差圧センサ38によって測定された差圧が予め設定された差圧以上である場合に、媒煙フィルタ35の再生過程が行われる。
【0025】
媒煙フィルタ35は、アンモニア吸蔵触媒32から脱着したアンモニア(NH)が酸化して生成された窒素酸化物(NO)、特に二酸化窒素(NO)を利用して粒子状物質(PM)を再生させる。すなわち、粒子状物質(PM)が窒素酸化物(NO)、特に二酸化窒素(NO)との酸化反応によって酸化して除去される。
制御部40は、ガソリンエンジン10の空燃比を調節する。具体的に、制御部40は、ガソリンエンジン10に流入する空気量と燃料量を調節し、排気ガス内に含まれる酸素(O)含有量を調節する。
【0026】
制御部40は、差圧センサ38によって測定された媒煙フィルタ35の差圧が伝達され、予め設定された差圧と測定された差圧を比較して媒煙フィルタ35の再生の要否を決定する。媒煙フィルタ35の差圧が予め設定された差圧以上である場合、制御部40は媒煙フィルタ35の再生のために空燃比を希薄に調節する。 具体的に説明すれば、制御部40は、媒煙フィルタ35内の粒子状物質(PM)、主に炭素(C)粒子が酸化して除去されるように、排気ガス内の酸素(O)含有量を増加させる。一例によれば、排気ガス内の酸素(O)含有量を増加させるために、制御部40はインジェクタ13を制御して気筒11内に燃料供給を中断させてもよい。
【0027】
媒煙フィルタ35の再生のために空燃比を希薄に調節する場合、制御部40は、温度計36によって測定されたアンモニア吸蔵触媒32の温度を考慮して空燃比を調節してもよい。
具体的に説明すれば、制御部40は、媒煙フィルタ35の再生の要否が決定された後、温度計36によって測定された温度とアンモニア吸蔵触媒32の脱着可能温度(例えば、350℃)を比較して空燃比を調節してもよい。例えば、温度計36によって測定された温度がアンモニア吸蔵触媒32の脱着可能温度未満である場合、制御部はアンモニア吸蔵触媒32の脱着可能温度に達するように酸素含有量を増加させる。
【0028】
制御部40は、排気ガス内のアンモニア(NH)の含有量を調節する。制御部40は、アンモニア濃度測定計(図示せず)によって測定されたアンモニア(NH)の濃度が伝達され、予め設定された濃度と比較する。測定されたアンモニア(NH)の濃度が予め設定された濃度以下である場合には、制御部40は空燃比を濃厚に調節する。
具体的に説明すれば、制御部40は、排気ガス内のアンモニア(NH)の含有量を増加させるためにインジェクタ13を制御し、気筒11内に燃料を過剰に供給させてもよい。
一方、排気ガス内のアンモニア含有量は、パラメータ(例えば、エンジン可動条件、排気ガス温度、空燃比、および触媒劣化程度など)を考慮して制御部40で計算してもよいが、このような計算のために、制御部40はパラメータに対するアンモニア含有量が予め格納されたマップテーブルを含んでもよい。
【0029】
図4は、本発明の実施形態に係る媒煙フィルタ再生方法の流れを説明するフローチャートである。
以下、図4を参照して上述した媒煙フィルタ再生システムを利用した再生方法について詳しく説明する。
図4に示す通り、媒煙フィルタ再生システム1は、ガソリンエンジン10が運転中であるときに実行される(S100)。ガソリンエンジン10が作動してガソリンエンジン10に燃料が過剰供給されれば(S110)、すなわち空燃比が濃厚であれば、三元触媒装置20で窒素酸化物(NO)の還元反応が促進されてアンモニア(NH)が生成される(S120)。ガソリンエンジン10の運転初期および高負荷領域では、排気マニホールド17および三元触媒装置20の触媒を保護するために燃料を過剰に供給する。また、アンモニア濃度測定計(図示せず)によって測定されたり制御部40によって計算されたアンモニア(NH)の濃度が予め設定された濃度以下である場合には、制御部40はインジェクタ13を制御して燃料を過剰に供給する。
【0030】
三元触媒装置20から排出された排気ガス内に含まれているアンモニア(NH)は、アンモニア吸蔵触媒32に吸蔵される(S130)。上述したように、アンモニア(NH)は一定の温度、例えば約350℃未満でアンモニア吸蔵触媒32に吸蔵される。ガソリンエンジン10の一般的な運転中には、排気ガスの温度が前記温度を越えないため、アンモニア(NH)はアンモニア吸蔵触媒32にほぼ吸蔵される。
ガソリンエンジン10の一般的な運転中に、差圧センサ38は媒煙フィルタ35の差圧を測定し(S140)、測定された差圧を制御部40に伝達する。
制御部40は、媒煙フィルタ35の差圧が予め設定された差圧以上であるかを判断する(S150)。媒煙フィルタ35の差圧が予め設定された差圧以上である場合には、制御部40はガソリンエンジン10の空燃比を希薄に調節する(S160)。
【0031】
ガソリンエンジン10から排出される排気ガス内に含まれている酸素(O)量の増加に伴って三元触媒装置20内の酸化反応が促進され、これによって発生した酸化熱によって排気ガスの温度が上昇する。これにより、上昇した排気ガスの温度が一定温度、例えば約350℃以上である場合には、アンモニア吸蔵触媒32のアンモニア吸蔵層33からアンモニア(NH)が脱着する(S170)。 また、脱着したアンモニア(NH)は酸化して窒素酸化物(NO)、特に二酸化窒素(NO)を生成する(S180)。媒煙フィルタ35内の粒子状物質(PM)は窒素酸化物(NO)、特に二酸化窒素(NO)によって酸化されて除去される(S190)。すなわち、媒煙フィルタ35が再生される。
一般的に、媒煙フィルタ35は、酸素(O)気体によって粒子状物質(PM)が酸化されて除去されるが、媒煙フィルタ再生システム1は、二酸化窒素(NO)によって粒子状物質(PM)が酸化されて除去される。
【0032】
図5は、粒子状物質(PM)の温度変化による燃焼率を示す表である。
図5に示す通り、媒煙フィルタ内に捕集された粒子状物質(PM)、すなわちスーツ(SOOT)が酸素(O)気体によって酸化、すなわち燃焼するためには、周囲温度が最小400℃以上でなければならない。しかし、二酸化窒素(NO)は400℃以下でも粒子状物質(PM)、すなわちスーツ(SOOT)を酸化、すなわち燃焼させることができる。
したがって、媒煙フィルタ再生システム1は、媒煙フィルタ35の再生が必要な場合に、媒煙フィルタ35に流入する二酸化窒素(NO)の量を増加させ、より低い温度で粒子状物質(PM)が二酸化窒素(NO)によって酸化されて除去される。
本発明の実施形態は、ガソリンエンジンの媒煙フィルタ内の粒子状物質を十分に酸化させることができる。
本発明は、ガソリンエンジンの媒煙フィルタ内の粒子状物質をより低い温度で酸化させることができる。
【0033】
以上、本発明に関する好ましい実施形態を説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の属する技術分野を逸脱しない範囲での全ての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0034】
1:媒煙フィルタ再生システム
10:ガソリンエンジン
11:気筒
13:インジェクタ
15:吸気マニホールド
17:排気マニホールド
19:排気パイプ
20:三元触媒装置
32:アンモニア吸蔵触媒
33:アンモニア吸蔵層
34:三元触媒層
35:媒煙フィルタ
36:温度計
38:差圧センサ
40:制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガソリンエンジンの排気ガスに含まれているアンモニアを予め設定された温度未満で吸蔵させ、前記吸蔵されたアンモニアを前記予め設定された温度以上で脱着させて窒素酸化物を生成するアンモニア吸蔵触媒、および
前記排気ガスに含まれている粒子状物質を捕集し、前記アンモニア吸蔵触媒で生成された前記窒素酸化物を利用して前記捕集された粒子状物質を再生させる媒煙フィルタ、
を含むことを特徴とする排気浄化フィルタ。
【請求項2】
前記アンモニア吸蔵触媒は三元触媒層をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の排気浄化フィルタ。
【請求項3】
前記アンモニア吸蔵触媒は、ゼオライトまたはアンモニアを吸蔵する物質を含むことを特徴とする請求項1に記載の排気浄化フィルタ。
【請求項4】
ガソリンエンジンの排気パイプ上に設置される媒煙フィルタ再生システムであって、
前記ガソリンエンジンと連結する前記排気パイプに設置され、前記ガソリンエンジンから排出する排気ガスを酸化−還元させる三元触媒、
前記三元触媒装置の後方の前記排気パイプに設置され、前記三元触媒で生成されたアンモニアを予め設定された温度未満で吸蔵し、前記吸蔵されたアンモニアを前記予め設定された温度以上で脱着させ、前記脱着したアンモニアを酸化させて窒素酸化物を生成するアンモニア吸蔵触媒、
前記アンモニア吸蔵触媒に隣接するように設置され、前記排気ガスに含まれている粒子状物質(Particulate Matters)を捕集し、前記アンモニア吸蔵触媒で生成された前記窒素酸化物を利用して前記捕集された粒子状物質を再生させる媒煙フィルタ、および
前記ガソリンエンジンに流入する空燃比を調節する制御部、
を含み、
前記制御部は、前記媒煙フィルタの差圧が予め設定された差圧以上である場合に希薄な雰囲気を造成することを特徴とする媒煙フィルタ再生システム。
【請求項5】
前記制御部は、前記アンモニアの濃度が予め設定された濃度以下である場合に濃厚な雰囲気を造成することを特徴とする請求項4に記載の媒煙フィルタ再生システム。
【請求項6】
前記制御部は、前記媒煙フィルタの差圧が予め設定された差圧以上である場合に、前記アンモニア吸蔵触媒の温度を考慮して希薄な雰囲気を造成することを特徴とする請求項4に記載の媒煙フィルタ再生システム。
【請求項7】
前記アンモニア吸蔵触媒は三元触媒層をさらに含むことを特徴とする請求項4に記載の媒煙フィルタ再生システム。
【請求項8】
前記アンモニア吸蔵触媒は、ゼオライトまたはアンモニアを吸蔵する物質を含むことを特徴とする請求項4に記載の媒煙フィルタ再生システム。
【請求項9】
温度に応じて排気ガスに含まれているアンモニアを吸蔵および脱着するアンモニア吸蔵触媒と、前記排気ガスに含まれている粒子状物質を捕集する媒煙フィルタとを含む前記媒煙フィルタ再生システムを再生する方法であって、
前記排気ガス内に含まれているアンモニアを吸蔵する段階、
前記媒煙フィルタの差圧と予め設定された差圧を比較する段階、
前記媒煙フィルタの差圧が予め設定された差圧以上である場合に希薄な雰囲気を造成し、前記アンモニア吸蔵触媒から前記アンモニアを脱着させて窒素酸化物を生成する段階、および
前記生成された窒素酸化物を利用して前記媒煙フィルタを再生する段階、
を含むことを特徴とする媒煙フィルタ再生システムを再生する方法。
【請求項10】
前記窒素酸化物を生成する段階は、前記アンモニア吸蔵触媒の温度を考慮して希薄な雰囲気を造成することによって行われることを特徴とする請求項9に記載の媒煙フィルタ再生システムを再生する方法。
【請求項11】
前記アンモニアを吸蔵する段階では、濃厚な雰囲気を造成することによって前記排気ガス内のアンモニアの比率を高めることを特徴とする請求項9に記載の媒煙フィルタ再生システムを再生する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−87769(P2013−87769A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−111395(P2012−111395)
【出願日】平成24年5月15日(2012.5.15)
【出願人】(591251636)現代自動車株式会社 (1,064)
【出願人】(500518050)起亞自動車株式会社 (449)
【Fターム(参考)】