説明

排気浄化装置

【課題】光触媒の劣化を抑制しつつ、上流側から下流側に亘って均質な強度のプラズマを発生させることができる小型の排気浄化装置を提供すること。
【解決手段】内燃機関の排気管内に排気の流通方向に沿って設けられた円筒状の外周電極31と、外周電極31の中心軸と同軸に設けられた線状又は棒状の内部電極32と、外周電極31内に排気の流通方向に沿って設けられ、上流側端部及び下流側端部のうち少なくとも一方の端部に光触媒が担持された円柱状のハニカム構造体33と、を備えるプラズマリアクタ1であって、内部電極32は、ハニカム構造体33内を貫通して外周電極31内でハニカム構造体33よりも上流側及び下流側に延在し、且つその上流側端部及び下流側端部が高圧電源6の同電位極に接続され、ハニカム構造体33内の内部電極32は、円筒状の電気絶縁部材34により被覆されて外周電極31から電気的に絶縁されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排気浄化装置に関する。より詳しくは、プラズマ及び光触媒の作用により排気を浄化する排気浄化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内燃機関の排気を浄化する排気浄化装置として、プラズマリアクタと呼ばれるものが提案されている。このプラズマリアクタは、排気管内に設けられた一対の電極間に高電圧を印加してプラズマを発生させ、発生したプラズマの作用により、排気中の有害成分を浄化する。
【0003】
また、上記のプラズマリアクタ内に、光触媒を担持したハニカム構造体を設け、プラズマによる排気浄化に加えて光触媒による排気浄化を行う技術が提案されている。この技術は、プラズマリアクタ内で発生するプラズマから発光される紫外線によって光触媒を励起し、励起された光触媒の作用により、排気中の有害成分を浄化する。
【0004】
ところが、光触媒を担持したハニカム構造体の内部でプラズマ放電を行うと、ハニカム構造体への水分や未燃燃料成分の付着等により生じる短絡によって、光触媒が劣化するという問題があった。
【0005】
そこで、第1電極及び第2電極を有するプラズマ発生手段と、光触媒が担持されたハニカム構造体を有する触媒手段と、を分離して設け、これらプラズマ発生手段と触媒手段を排気の流通方向に沿って交互に複数配置した排気浄化装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この排気浄化装置によれば、光触媒を担持したハニカム構造体の外部でプラズマ放電を行うため、光触媒の劣化が抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−265850号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の排気浄化装置では、第1電極及び第2電極が円盤形状に形成され、互いに対向して上流側と下流側に設けられるとともに、これら両電極が各高圧電源のプラス電極とマイナス電極にそれぞれ接続される。そのため、複数のプラズマ発生手段ごとに高圧電源が必要であり装置が大型化するうえ、上流側から下流側に亘って均質な強度のプラズマを発生させることができない、という問題があった。
【0008】
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、その目的は、光触媒の劣化を抑制しつつ、上流側から下流側に亘って均質な強度のプラズマを発生させることができる小型の排気浄化装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため本発明は、内燃機関の排気管(例えば、後述の排気管2)内に排気の流通方向に沿って設けられた筒状の外周電極(例えば、後述の外周電極31)と、前記外周電極の中心軸と同軸に設けられた線状又は棒状の内部電極(例えば、後述の内部電極32)と、前記外周電極内に前記排気の流通方向に沿って設けられ、上流側端部及び下流側端部のうち少なくとも一方の端部に光触媒が担持された柱状のハニカム構造体(例えば、後述のハニカム構造体33)と、を備える排気浄化装置(例えば、後述のプラズマリアクタ1)を提供する。本発明に係る排気浄化装置では、前記内部電極は、前記ハニカム構造体内を貫通して前記外周電極内において前記ハニカム構造体よりも上流側及び下流側に延在し、且つその上流側端部及び下流側端部が高圧電源(例えば、後述の高圧電源6)の同電位極に接続され、前記ハニカム構造体内の内部電極は、絶縁手段(例えば、後述の電気絶縁部材34)により前記外周電極から電気的に絶縁されていることを特徴とする。
【0010】
本発明では、排気の流通方向に沿って延びる外周電極の中心軸と同軸に内部電極を設け、この内部電極の上流側端部及び下流側端部を高圧電源の同電位極に接続する。これにより、上流側と下流側とで両電極間のインピーダンスに差が生じるのを抑制できるため、上流側から下流側に亘って均質な強度のプラズマを発生させることができる。同時に、1つの高圧電源で足りるため、装置を小型化できる。
また本発明では、外周電極内で排気の流通方向に沿って延びる柱状のハニカム構造体に光触媒を担持させ、このハニカム構造体内を貫通して外周電極内においてハニカム構造体よりも上流側及び下流側に延在するように内部電極を設ける。また、ハニカム構造体内の内部電極を外周電極から電気的に絶縁させる。これにより、光触媒が担持されたハニカム構造体の内部ではなく、その上流側と下流側でプラズマ放電を行うことができるため、光触媒の劣化を抑制できる。また、ハニカム構造体内の内部電極が電気的に絶縁されているため、ハニカム構造体の内部でプラズマ放電が行われるのを回避でき、光触媒の劣化をより確実に抑制できる。
また本発明では、ハニカム構造体の上流側端部及び下流側端部のうち少なくとも一方の端部に、光触媒を担持させる。これにより、ハニカム構造体よりも上流側及び下流側で発生したプラズマから発光される紫外線が到達可能な部分に光触媒を効率的に担持させることができる。そのため、ハニカム構造体に担持した光触媒の多くを励起して有効利用できるため、光触媒の担持量を低減でき、装置をより小型化できる。
【0011】
この場合、前記ハニカム構造体は、その上流側端面から下流側に向かって1mm〜10mmの部分(例えば、後述の部分331)及びその下流側端面から上流側に向かって1mm〜10mmの部分(例えば、後述の部分332)のうち少なくとも一方の部分に、前記光触媒が担持されていることが好ましい。
【0012】
この発明では、ハニカム構造体の上流側端面から下流側に向かって1mm〜10mmの部分と、その下流側端面から上流側に向かって1mm〜10mmの部分のうち少なくとも一方の部分に光触媒を担持させる。即ち、ハニカム構造体よりも上流側及び下流側で発生したプラズマから発光される紫外線が到達可能な部分にのみ、光触媒を担持させる。これにより、ハニカム構造体に担持した全ての光触媒を励起して有効利用できるため、光触媒の担持量をより低減でき、装置をより小型化できる。
【0013】
この場合、前記ハニカム構造体(例えば、後述のハニカム構造体35)は、上流側から下流側に亘って所定の間隔をあけて複数設けられていることが好ましい。
【0014】
この発明では、上流側から下流側に亘って、所定の間隔をあけて複数のハニカム構造体を設ける。これにより、プラズマによる浄化と光触媒による浄化とを交互に繰り返し実行できるため、浄化効率を向上できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、光触媒の劣化を抑制しつつ、上流側から下流側に亘って均質な強度のプラズマを発生させることができる小型の排気浄化装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1実施形態に係るプラズマリアクタの概略構成を示す斜視図である。
【図2】上記実施形態に係るプラズマ放電ユニットの概略構成を示す断面図である。
【図3】上記実施形態に係るプラズマリアクタを適用した排気浄化システムの一例を示す図である。
【図4】上記実施形態に係るプラズマリアクタを適用した排気浄化システムの一例を示す図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係るプラズマ放電ユニットの概略構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳しく説明する。なお、第2実施形態の説明において、第1実施形態と共通する構成については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0018】
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係るプラズマリアクタ1の概略構成を示す斜視図である。図2は、プラズマリアクタ1のプラズマ放電ユニット3の概略構成を示す断面図である。このプラズマリアクタ1は、後段で図3及び図4を参照して説明するように、内燃機関(以下、「エンジン」という)の排気を浄化する排気浄化装置の1つとして車両に搭載される。
【0019】
プラズマリアクタ1は、図示しないエンジンの排気通路の一部を構成する円筒状の排気管2と、この排気管2内に収容された複数の円筒状のプラズマ放電ユニット3と、これら複数のプラズマ放電ユニット3によりプラズマを発生させるための高圧電源6と、高圧電源6の電力を排気管2内部の複数のプラズマ放電ユニット3に供給する第1給電プラグ41及び第2給電プラグ42と、排気管2内部においてこれら給電プラグ41,42と複数のプラズマ放電ユニット3とを電気的に接続する第1接続部材51及び図示しない第2接続部材と、を含んで構成される。このプラズマリアクタ1は、図1においては紙面手前側から奥へ向けて、図2においては左から右へ向けてエンジンの排気が流通するように、図示しない車両の排気管の一部に組み込まれる。
【0020】
第1給電プラグ41は、排気管2のうち、プラズマ放電ユニット3よりも上流側の上部に設けられている。また第2給電プラグ42は、排気管2のうち、プラズマ放電ユニット3よりも下流側の上部に設けられている。これら給電プラグ41、42は、各々の先端部が排気管2内のプラズマ放電ユニット3の上流側及び下流側に臨むように、鉛直方向に沿って排気管2に装着される。
【0021】
第1接続部材51は、排気管2内のうちプラズマ放電ユニット3の上流側に設けられ、各プラズマ放電ユニット3の内部電極32の上流側の端部と第1給電プラグ41とを電気的に接続する。また、図示しない第2接続部材は、排気管2内のうちプラズマ放電ユニット3の下流側に設けられ、各プラズマ放電ユニット3の内部電極32の下流側の端部と第2給電プラグ42とを電気的に接続する。即ち、各プラズマ放電ユニット3の内部電極32の両端は、第1接続部材51及び第2接続部材を介して給電プラグ41,42に保持されている。これにより、第1接続部材51及び第2接続部材の排気管2内における位置が固定され、内部電極32の位置を外周電極31の中心に維持されるため、均質なプラズマを安定して発生させることができる。
【0022】
第1接続部材51は、互いに隣接するプラズマ放電ユニット3の内部電極32の端部を連結する連結部511と、この連結部511から排気の流通方向に対し垂直な面方向、より具体的には鉛直方向に沿って延び、第1給電プラグ41の先端部に嵌合する支持軸515とを備える。これら連結部511と支持軸515とは、導電性の材料により一体に形成されている。
連結部511は、水平方向に沿って延び排気管2内の上段に設けられた2つの隣接するプラズマ放電ユニット3の内部電極32を連結する第1連結部材512と、水平方向に沿って延び排気管2内の中段に設けられた3つの隣接するプラズマ放電ユニット3の内部電極32を連結する第2連結部材513と、水平方向に沿って延び排気管2内の下段に設けられた2つの隣接するプラズマ放電ユニット3の内部電極32を連結する第3連結部材514とで構成される。
なお、第2接続部材は、上述の第1接続部材51と同様の構成である。
【0023】
各プラズマ放電ユニット3は、排気管2の延在方向、即ち排気の流通方向に沿って設けられた円筒状の外周電極31と、この外周電極31の中心軸と同軸に設けられた線状又は棒状の内部電極32と、を備える。これら複数のプラズマ放電ユニット3は、それぞれの両端を揃えて並列に束ねた上、排気管2内に収容される。より具体的には、本実施形態では、排気管2内の上段に2つ、中段に3つ、下段に2つのプラズマ放電ユニット3が設けられる。ただし本発明において、プラズマ放電ユニット3の数や排気管2内における配置態様はこれに限らない。また本実施形態では、排気の流通方向に対し垂直な断面視が円になるような円筒状の外周電極31を例に説明するが、本発明はこれに限らない。例えば、断面視で多角形となるような筒状の外周電極を用いてもよい。
【0024】
図2に示すように、各外周電極31内には、排気の流通方向に沿って延びる円柱状のハニカム構造体33が設けられている。ハニカム構造体33の径は、外周電極31の内径と略同一となっており、外周電極31のうち排気の流通方向の略中央部の内部に、ハニカム構造体33が嵌合して配置されている。
ハニカム構造体33は、その上流側端部と下流側端部の両端部に、光触媒としての酸化チタン(TiO)が担持されている。具体的には、ハニカム構造体33には、その上流側端面から下流側に向かって1mm〜10mmの部分331と、その下流側端面から上流側に向かって1mm〜10mmの部分332に、光触媒が担持されている。これらの部分331,332は、ハニカム構造体33よりも上流側及び下流側(図2の領域P)で発生するプラズマから発光される紫外線が到達して光触媒を励起させることが可能な部分である。
【0025】
ここで、光触媒による排気浄化のメカニズムについて説明する。
先ず、物質中の電子は、通常、価電子帯に存在し、エネルギが付与されることで伝導帯に遷移して表面から放出される特性を有する。このとき、電子の遷移に必要なエネルギの大きさは、紫外線の波長領域の光が有するエネルギの大きさに相当することが知られている。
このような大きさのエネルギを有する紫外線がプラズマから発光されて光触媒に照射されると、電子が伝導帯に遷移してその表面から放出される。電子が抜け出た穴は正孔(ホール)と呼ばれ、この正孔は、プラスの電荷を帯び、強力な酸化力を有する。そのため、正孔は、水中にあるOH(水酸化物イオン)等から電子を奪い、電子を奪われたOHは、非常に不安定な状態で強力な酸化力を有するOHラジカルとなる。このOHラジカルにより、排気中の有害成分は電子を奪われて分子内の結合が分断される結果、浄化される。
【0026】
次に、光触媒の調製方法について説明する。
光触媒の調製方法としては特に限定されず、従来公知の調製方法により調製される。光触媒の調製方法の一例は、次の通りである。
先ず、粉末状の酸化チタン(TiO)と、アルミナバインダと、水と、アルミナボールと、を所定量ずつポットに入れ、ボールミルにて湿式粉砕を行うことで、スラリーを得る。
得られたスラリー中に、円柱状のコージエライト製ハニカム構造体を浸漬させる。所定時間経過後、そのハニカム構造体をスラリー中から取出し、表面に付着している過剰のスラリーをエア噴射により除去する。次いで、所定の加熱条件にて加熱処理を行う。
以上の浸漬、過剰分の除去、加熱処理を繰返し実施した後、マッフル炉内にそのハニカム構造体を入れて所定の焼成条件にて焼成を行うことで、ウオッシュコートを得る。
【0027】
また図2に示すように、内部電極32は、ハニカム構造体33内を貫通し、外周電極31内においてハニカム構造体33よりも上流側及び下流側に延在している。これにより、ハニカム構造体33よりも上流側及び下流側(図2の領域P)において、内部電極32と外周電極31との間でプラズマ放電が行われ、プラズマが発生する。
内部電極32は、その上流側端部と下流側端部が、高圧電源6に並列に、即ち高圧電源6の同電位極(図2ではプラス極)に接続されている。図2では、便宜上、第1給電プラグ41、第2給電プラグ42、第1接続部材51及び第2接続部材を省略しているが、内部電極32の上流側端部は第1接続部材51及び第1給電プラグを介して高圧電源6に接続されており、下流側端部は第2接続部材及び第2給電プラグ42を介して高圧電源6に接続されている。一方、各プラズマ放電ユニット3の外周電極31は接地されており、これにより、各プラズマ放電ユニット3の内部電極32と外周電極31との間に電圧を印加し、プラズマを発生させることができる。
【0028】
また、図2に示すように、ハニカム構造体33内の内部電極32には、その外周を被覆する円筒状の電気絶縁部材34が設けられている。これにより、ハニカム構造体33内の内部電極32は外周電極31から電気的に絶縁され、ハニカム構造体33の内部でのプラズマ放電が回避される。なお、電気絶縁部材34の全長は、ハニカム構造体33の排気の流通方向の長さよりも長く設定されており、これにより、ハニカム構造体33の内部でのプラズマ放電がより確実に回避される。
【0029】
次に、図3及び図4を参照して、以上のような構成を備えるプラズマリアクタ1を適用した排気浄化システムの一例について説明する。
図3は、排気中の炭化水素を還元剤として排気中のNOxを還元除去する選択還元触媒(HC−SCR(Selective Catalytic Reduction Catalyst))73を備えた排気浄化システム7Aにプラズマリアクタ1を適用した例を示す図である。このシステム7Aでは、図3に示すように、エンジン71の排気通路72に、上流側から下流側へ向かってプラズマリアクタ1、選択還元触媒73、酸化触媒74の順で設けることが好ましい。
図3に示すような排気浄化システム7Aでは、プラズマリアクタ1で発生するプラズマの浄化作用と光触媒の浄化作用とにより、エンジン71の排気に含まれるHCをより高活性の還元剤CHCHOに変換するとともに、排気中のNOをNOに変換し、下流側の選択還元触媒73におけるNOxのNへの還元を促進することができる。
【0030】
図4は、プラズマリアクタ1により排気中のHC及びNOxを直接浄化する排気浄化システム7Bを示す図である。このシステム7Bでは、図4に示すように、プラズマリアクタ1の下流側に酸化触媒75を設けることが好ましい。
上述したように図3では、選択還元触媒73におけるNOxの還元を促進するための補助的な装置としてプラズマリアクタ1を適用した例を示している。しかしながら、プラズマリアクタ1では、図3に示すシステム7Aよりも高いエネルギのプラズマを発生させることにより、排気中のHCやNOxをCOやNに直接分解することができるため、図4に示すようなプラズマリアクタ1により排気中のHCやNOを浄化するシステム7Bを構築することができる。
【0031】
本実施形態によれば、以下の効果が奏される。
本実施形態では、排気の流通方向に沿って延びる円筒状の外周電極31の中心軸と同軸に線状又は棒状の内部電極32を設け、この内部電極32の上流側端部及び下流側端部を高圧電源6の同電位極に接続する。これにより、上流側と下流側とで両電極間のインピーダンスに差が生じるのを抑制できるため、上流側から下流側に亘って均質な強度のプラズマを発生させることができる。同時に、1つの高圧電源6で足りるため、プラズマリアクタ1を小型化できる。
【0032】
また本実施形態では、外周電極31内で排気の流通方向に沿って延びる円柱状のハニカム構造体33に光触媒を担持させ、このハニカム構造体33内を貫通して外周電極31内においてハニカム構造体33よりも上流側及び下流側に延在するように内部電極32を設ける。また、ハニカム構造体33内の内部電極32を外周電極31から電気的に絶縁させる。これにより、光触媒が担持されたハニカム構造体33の内部ではなく、その上流側と下流側でプラズマ放電を行うことができるため、光触媒の劣化を抑制できる。また、ハニカム構造体33内の内部電極32が電気的に絶縁されているため、ハニカム構造体33の内部でプラズマ放電が行われるのを回避でき、光触媒の劣化をより確実に抑制できる。
【0033】
また本実施形態では、ハニカム構造体33の上流側端面から下流側に向かって1mm〜10mmの部分331と、その下流側端面から上流側に向かって1mm〜10mmの部分332に光触媒を担持させる。即ち、ハニカム構造体33よりも上流側及び下流側で発生したプラズマから発光される紫外線が到達可能な部分にのみ、光触媒を担持させる。これにより、ハニカム構造体33に担持した全ての光触媒を励起して有効利用できるため、光触媒の担持量をより低減でき、プラズマリアクタ1をより小型化できる。
【0034】
<第2実施形態>
本発明の第2実施形態に係るプラズマリアクタは、ハニカム構造体の構成が第1実施形態と異なる以外は、第1実施形態に係るプラズマリアクタ1と同様の構成である。
図5は、本発明の第2実施形態に係るプラズマ放電ユニット4の概略構成を示す断面図である。図5に示すように、本実施形態に係るプラズマ放電ユニット4では、光触媒を担持したハニカム構造体35が、排気の流通方向に沿って一定の間隔をあけて複数配置されている。より具体的には、図5に示すように、4つのハニカム構造体35が排気の流通方向に沿って一定の間隔をあけて配置されている。各ハニカム構造体35は、第1実施形態に係るハニカム構造体33と同様に、その上流側端面から下流側に向かって1mm〜10mmの部分351と、その下流側端面から上流側に向かって1mm〜10mmの部分352に、光触媒としての酸化チタンが担持されている。また、各ハニカム構造体35内の内部電極32には、その外周を被覆する円筒状の電気絶縁部材36が設けられている。
また、本実施形態に係るプラズマリアクタは、第1実施形態と同様の排気浄化システムに適用される。
【0035】
本実施形態によれば、第1実施形態の効果に加えて以下の効果が奏される。
本実施形態では、上流側から下流側に亘って、所定の間隔をあけて複数のハニカム構造体35を設ける。これにより、プラズマによる浄化と光触媒による浄化とを交互に繰り返し実行できるため、浄化効率を向上できる。
【0036】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良は本発明に含まれる。
例えば上記実施形態では、ハニカム構造体の上流側端部と下流側端部の両方に光触媒を担持させたが、いずれか一方の端部のみでもよい。
【符号の説明】
【0037】
1…プラズマリアクタ(排気浄化装置)
2…排気管
3…プラズマ放電ユニット
31…外周電極
32…内部電極
33…ハニカム構造体
34…電気絶縁部材(絶縁手段)
6…高圧電源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の排気管内に排気の流通方向に沿って設けられた筒状の外周電極と、
前記外周電極の中心軸と同軸に設けられた線状又は棒状の内部電極と、
前記外周電極内に前記排気の流通方向に沿って設けられ、上流側端部及び下流側端部のうち少なくとも一方の端部に光触媒が担持された柱状のハニカム構造体と、を備える排気浄化装置であって、
前記内部電極は、前記ハニカム構造体内を貫通して前記外周電極内において前記ハニカム構造体よりも上流側及び下流側に延在し、且つその上流側端部及び下流側端部が高圧電源の同電位極に接続され、
前記ハニカム構造体内の内部電極は、絶縁手段により前記外周電極から電気的に絶縁されていることを特徴とする排気浄化装置。
【請求項2】
前記ハニカム構造体は、その上流側端面から下流側に向かって1mm〜10mmの部分及びその下流側端面から上流側に向かって1mm〜10mmの部分のうち少なくとも一方の部分に、前記光触媒が担持されていることを特徴とする請求項1に記載の排気浄化装置。
【請求項3】
前記ハニカム構造体は、上流側から下流側に亘って所定の間隔をあけて複数設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の排気浄化装置。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図2】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−72288(P2013−72288A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−209631(P2011−209631)
【出願日】平成23年9月26日(2011.9.26)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】