説明

排気用吸込装置

【課題】微細な作業を行う際の作業性を確保しながら作業時に発生する微細な粉塵や臭気などを効率良く捕集できる排気用吸込装置を提供する。
【解決手段】排気用配管系14に、排気ダクトを兼ねた自在アーム19を介して、集塵フード21を接続する。この集塵フード21は、下面開口形のフード本体22の中央部に透視窓23を設け、この透視窓23に拡大レンズ24を嵌着する。フード本体22の下面であって拡大レンズ24の周囲に光源25を配設する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、卓上作業などに適する排気用吸込装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の排気用吸込装置としては、溶接作業などを行う発塵源の上面側を集塵フードで覆い、この集塵フードを吸引ダクト管および輸送ダクト管を介して集塵機に接続して、溶接作業時に発生するガス粉塵を集塵機に吸引収集させるようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような溶接作業などでは、火災防止の観点から、発塵源から吸引ダクト管までの高さを十分に確保する必要があるため、集塵フードの下側にも十分な作業空間を確保でき、作業性の上では問題ないが、集塵フードが作業者の手元を覆うように位置する卓上作業型の集塵フードでは、粉塵や臭気の捕集効率を上げようとすると、集塵フードが作業性を阻害する要因となって、粉塵や臭気の捕集効率と作業性とを両立されることが容易でない。
【0004】
例えば、従来の卓上作業型の集塵フードは、用途に合わせて、図4に示される円盤型フード1や、図5に示されるボール型フード2や、図示しない角型フードなどが用いられているが、これらの集塵フードの主たる目的は、卓上で実施する軽作業で発生する微細な粉塵や臭気を捕集することであり、それらの形状は作業性よりも捕集効率を重視したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−272326号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、微細な作業を行う際には、別途準備した拡大レンズなどを用いる必要があり、この拡大レンズなどを用いた場合は、拡大レンズと集塵フードとが接触し作業性が著しく損なわれるおそれがある。
【0007】
一方、集塵フードを作業対象部から遠ざけた場合は、拡大レンズと集塵フードとの接触を回避できるため作業性は確保できるが、粉塵や臭気の捕集効率が低下し、これらを作業者が吸気によって吸入するおそれがある。
【0008】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、微細な作業を行う際の作業性を確保しながら作業時に発生する微細な粉塵や臭気などを効率良く捕集できる排気用吸込装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載された発明は、排気用配管系に接続された下面開口形のフード本体と、このフード本体に設けられた透視窓と、この透視窓に嵌着された拡大レンズとを具備した排気用吸込装置である。
【0010】
請求項2に記載された発明は、請求項1記載の排気用吸込装置において、フード本体の下面であって拡大レンズの周囲に配設された光源を具備したものである。
【0011】
請求項3に記載された発明は、請求項1または2記載の排気用吸込装置におけるフード本体が、複数の配管用自在継手により自在に変形可能な排気ダクトを兼ねた自在アームを介して排気用配管系に接続されたものである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1記載の発明によれば、排気用配管系に接続されたフード本体の透視窓に拡大レンズを嵌着したことにより、この拡大レンズにより微細な作業部分を拡大して、微細作業を実施する際の作業性を確保でき、かつ、拡大レンズと共に作業対象部に近づけた下面開口形のフード本体により、作業時に作業対象部から発生した微細な粉塵や臭気などを効率良く捕集できる。
【0013】
請求項2記載の発明によれば、フード本体の下面であって拡大レンズの周囲に配設された光源によって、微細な作業部分を拡大しつつ明るく照らして、微細作業を実施する際の作業性をより向上させることができる。
【0014】
請求項3記載の発明によれば、複数の配管用自在継手により自在に変形可能な排気ダクトを兼ねた自在アームによって、フード本体および拡大レンズを任意の位置に移動させたり角度調整することができ、作業性の向上と、微細な粉塵や臭気などの捕集効率の向上とを図れる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る排気用吸込装置の一実施の形態を示す斜視図である。
【図2】同上吸込装置の集塵フードを示す上側からの斜視図である。
【図3】同上吸込装置の集塵フードを示す下側からの斜視図である。
【図4】従来の集塵フードの一例を示す斜視図である。
【図5】従来の集塵フードの他の例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を、図1乃至図3に示された一実施の形態に基いて詳細に説明する。
【0017】
図1は、排気用吸込装置11を示し、ブロワ12などの吸気口にフィルタ13を介して接続された排気用配管系14の主管15から複数の枝管16が分岐され、これらの各枝管16のそれぞれに、スイベル継手17および複数の配管用自在継手18,18により自在に変形可能な排気ダクトを兼ねた自在アーム19を介して、集塵フード21がそれぞれ接続されている。
【0018】
図2および図3に示されるように、この集塵フード21は、スチールまたはプラスチックにより円盤状天板部22aの周縁から下側に周側板部22bを一体に成形した下面開口形のフード本体22を備え、このフード本体22の円盤状天板部22aの中央部に、透視窓23が設けられ、この透視窓23に、凸レンズなどの拡大レンズ24が気密状に嵌着されている。
【0019】
さらに、フード本体22により作業視野の周辺部が暗くなるおそれがあり、このおそれを解決するため、フード本体22の下面であって拡大レンズ24の周囲には、LED光源などの光源25が配設されている。
【0020】
図1に示されるように、排気ダクトを兼ねた自在アーム19の各配管用自在継手18,18は、直管部26に対して一方のエルボ管部27をシール部材を介して回動可能に嵌合し、この一方のエルボ管部27に対して他方のエルボ管部28をシール部材を介して回動可能に嵌合し、この他方のエルボ管部28に対して直管部26をシール部材を介して回動可能に嵌合したものである。
【0021】
この自在アーム19は、各配管用自在継手18,18の各管部間を適度な摩擦抵抗を付与しつつ回動可能に嵌合することで、集塵フード21を定位置に保つことができるとともに、必要に応じて集塵フード21を任意の位置に移動させたり集塵フード21の角度を調整することができるように構成されている。
【0022】
集塵フード21のフード本体22には、図2および図3に示されるように排気ダクトを兼ねた自在アーム19に接続する接続口部29が一体に設けられ、この接続口部29内を通してフード本体22内が自在アーム19内に連通されている。
【0023】
次に、この実施の形態の作用効果を説明する。
【0024】
排気用配管系14に設けられたブロワ12などの吸引力により、各卓上作業部で発生した粉塵、ガス、煙、臭気などを集塵フード21から吸込み、排気ダクトを兼ねた自在アーム19を介して排気用配管系14の主管15に集め、フィルタ13により粉塵、臭気などを除去した清浄な空気を、屋外などへ排出する。
【0025】
このとき、排気用配管系14に自在アーム19を介して接続された集塵フード21のフード本体22に拡大レンズ24を嵌着したことにより、この拡大レンズ24により微細な作業部分を拡大して、微細作業を実施する際の作業性を確保できる。
【0026】
特に、拡大レンズ24の効果で微細作業時にも拡大された作業視野により、円滑な作業を行うことができるとともに、フード本体22と拡大レンズ24が一体化されていることで、フード本体22により視界を妨げられることなく、かつフード本体22と拡大レンズ24とを別々に取扱う場合のこれらの接触に注意を払うことなく、作業を円滑に行うことができる。
【0027】
同時に、拡大レンズ24と共に作業対象部に近づけた下面開口形のフード本体22により、作業時に作業対象部から発生した微細な粉塵や臭気などを効率良く捕集できる。すなわち、フード本体22に設けられた接続口部29により、フード本体22は、排気ダクトを兼ねた自在アーム19を介して排気用配管系14に接続されているので、有害な微細粉塵を発生するような作業時にも、これら粉塵を作業者が吸入するおそれを低減させることができる。
【0028】
特に、排気ダクトを兼ねた自在アーム19は、複数の配管用自在継手18,18により自在に変形可能に構成されているので、フード本体22および拡大レンズ24を任意の位置に移動させたり角度調整することができ、作業性の向上と、微細な粉塵や臭気などの捕集効率の向上とを図れる。
【0029】
さらに、フード本体22の下面であって拡大レンズ24の周囲に配設された光源25によって、微細な作業部分を拡大しつつ明るく照らして、微細作業を実施する際の作業性をより向上させることができる。
【0030】
次に、図示されない他の実施の形態を説明する。
【0031】
図示された実施の形態では、フード本体22の形状は、円盤状であるが、他の実施形態として、作業内容や、発生する粉塵の性情などを考慮して、フード本体は円錐状や四角錐状などに成形しても良い。
【0032】
拡大レンズ24についても、凸レンズに限定されるものではなく、拡大レンズの他の実施形態として薄く軽量のフレネルレンズを用いても良い。
【0033】
光源25についても、図示された実施の形態ではLED光源であるが、円形の蛍光灯や作業内容に応じて赤や緑などの有色LED光源を用いても良い。
【0034】
フード本体22の接続口部29についても、図示された実施の形態では円筒状のものであるが、板状の偏平筒やそれに類する筒状でも良い。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明は、排気用吸込装置の製造業などにおいて利用できる。
【符号の説明】
【0036】
14 排気用配管系
18 配管用自在継手
19 自在アーム
22 フード本体
23 透視窓
24 拡大レンズ
25 光源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気用配管系に接続された下面開口形のフード本体と、
このフード本体に設けられた透視窓と、
この透視窓に嵌着された拡大レンズと
を具備したことを特徴とする排気用吸込装置。
【請求項2】
フード本体の下面であって拡大レンズの周囲に配設された光源
を具備したことを特徴とする請求項1記載の排気用吸込装置。
【請求項3】
フード本体は、複数の配管用自在継手により自在に変形可能な排気ダクトを兼ねた自在アームを介して排気用配管系に接続された
ことを特徴とする請求項1または2記載の排気用吸込装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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