説明

排気装置

【課題】 簡単な操作で画像形成装置本体内から排出される空気の流れ方向を変えることのできる排気装置を提供する。
【解決手段】 格子状に配列された多数の桟7を有するルーバ4と、そのルーバ4よりも空気の流れ方向上流側の画像形成装置本体内に配置されたファン5とを有し、ルーバ4は、画像形成装置本体1の外装カバー2に形成された取付孔に、角度及び方向に制限されることなく自由に回転でき、かつ着脱可能に嵌合するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機器本体内の空気を排出する排気装置と、その排気装置を有する画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子複写機、プリンタ、ファクシミリ、印刷機又はこれらの複合機などとして構成される画像形成装置、或いはその他の各種機器の本体内の空気を排出する排気装置は従来より周知である(特許文献1参照)。従来のこの種の排気装置は、格子状に配列された複数の桟を有するルーバと、そのルーバに組み付けられたファンとを有している。かかるルーバが、機器本体の外装カバーに形成された取付孔に取り付けられ、ファンが作動することにより、機器本体内の空気がルーバの桟の間の隙間を通して外部に排出される。その際、従来の排気装置においても、ルーバを通して流出する空気の流れ方向を調整できるように、ルーバが回転可能に機器本体の外装カバーに装着されている。ところが、従来のこの種の排気装置は、ファンがルーバに組み付けられ、該ファンがルーバと共に回転するので、当該ファンのモータハーネスが切断されることを防止するため、ルーバが360°以上の角度を回転できないように構成されている。このため、ルーバを通して流出する空気の流れ方向を調整する作業がやりずらく、操作性に劣る欠点を免れなかった。
【0003】
【特許文献1】特開2002−248836号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、上記従来の欠点を除去した排気装置と、その排気装置を具備する画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記目的を達成するため、格子状に配列された複数の桟を有するルーバと、該ルーバよりも空気流れ方向上流側に配置されたファンとを有し、前記ルーバは、機器本体の外装カバーに形成された取付孔に、角度及び方向に制限されることなく自由に回転でき、かつ着脱可能に嵌合するように構成され、前記ルーバの中心軸線に直交する平面に対して前記桟が成す角度をθとしたとき、0°<θ<90°を満たすように、該角度θが設定されている排気装置を提案する(請求項1)。
【0006】
また、上記請求項1に記載の排気装置において、前記ルーバには、前記取付孔の縁に着脱可能に係合して、該ルーバを取付孔に保持する係止爪が形成されていると有利である(請求項2)。
【0007】
さらに、本発明は、上記目的を達成するため、格子状に配列された複数の桟を有するルーバと、該ルーバに着脱可能に組み付けられて該ルーバを保持するホルダと、互いに組み付けられたホルダとルーバとによって区画された内部空間に収容されるフィルタと、前記ルーバ及びホルダよりも空気流れ方向上流側に配置されたファンとを有し、前記ホルダとルーバが組み付けられた状態で、前記桟に対向するホルダの部分には空気流通孔が形成され、前記ホルダは、前記ルーバと共に、機器本体の外装カバーに形成された取付孔に、角度及び方向に制限されることなく自由に回転でき、かつ着脱可能に嵌合するように構成され、前記ホルダとルーバの中心軸線に直交する平面に対して前記桟が成す角度をθとしたとき、0°<θ<90°を満たすように、該角度θが設定されている排気装置を提案する(請求項3)。
【0008】
また、上記請求項3に記載の排気装置において、前記ホルダには、前記取付孔の縁に着脱可能に係合して、該ホルダを取付孔に保持する係止爪が形成されていると有利である(請求項4)。
【0009】
さらに、上記請求項3又は4に記載の排気装置において、前記ホルダとルーバの一方には係止突起が突設され、他方には該係止突起が係合する係止孔が形成され、前記ホルダとルーバが組み付けられたとき、前記係止突起と係止孔が着脱可能に係合して、ホルダとルーバが係止されるように構成されていると有利である(請求項5)。
【0010】
また、上記請求項3乃至5のいずれかに記載の排気装置において、前記ホルダを前記取付孔から取り外すのに必要とされる力の方が、前記ルーバを前記ホルダから取り外すのに必要とされる力よりも大きくなるように構成され、前記空気流通孔は人の指を挿入できない大きさに設定されていると有利である(請求項6)。
【0011】
さらに、本発明は、上記目的を達成するため、請求項1乃至6のいずれかに記載の排気装置を具備する画像形成装置を提案する(請求項7)。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ルーバを、その角度及び方向に制限されることなく自由に回転させることができるので、ルーバを通して流出する空気の流れ方向を容易に調整することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明は、例えば、掃除機、空気清浄機、発電機、エアコン、パソコン、画像形成装置などの各種機器の排気装置として構成できるものであるが、以下に、その一例として画像形成装置の排気装置の具体例を説明する。
【0014】
図1は、プリンタとして構成された画像形成装置の外観斜視図であり、符号2は画像形成装置本体1の外装カバーを示している。また、図2は排気装置3の斜視図であり、図2中の符号Iは、画像形成装置本体1の内部を示し、符号Oは画像形成装置本体1の外部を示している(図9においても同じ)。図2において、排気装置3は、樹脂製のルーバ4と、ファン5とを有し、ルーバ4は、外装カバー2に着脱可能に装着され(図1も参照)、ファン5は画像形成装置本体内に固定配置されている。図3は外装カバー2から取り外したルーバ4を示す斜視図であり、図4はルーバ4の裏面側を示す斜視図である。
【0015】
図3及び図4に明示するように、ルーバ4は円筒状の周壁6と、その周壁6の軸線方向一端側に固定された複数の桟7を有し、これらの桟7は格子状に配列されている。またルーバ4の周壁6の互いに対向した2つの部分は、片持ち状の舌部8,108として構成され、各舌部8,108は、その基端側を中心として弾性変形することができる。かかる舌部8,108の外面には、突起状の係止爪9,109がそれぞれ形成されている。各係止爪9,109は、図2乃至図5に示すように、舌部8,108の表面から立ち上がった段部10,110を有している。
【0016】
機器本体の一例である画像形成装置本体1の外装カバー2には、図3に明示するように、円形の取付孔11が形成され、図示した例では、外装カバー2の一部を構成する円筒壁12によって取付孔11が区画されている。
【0017】
図3に矢印Aで示すように、ルーバ4の周壁6を、取付孔11に挿入すると、周壁6よりもわずかに径が大きくなったルーバ4の環状突部13が、図2に示すように、取付孔12のまわりの外装カバー部分14(図3)に当接する。しかもルーバ4の各舌部8,108に突設された係止爪9,109が、取付孔11を区画する円筒壁12を乗り越え、図2に示すようにその各係止爪9,109の段部10,110が取付孔11の縁15に係合する。これにより、ルーバ4が取付孔11から脱落しないように保持される。逆に、ルーバ4を、図2に矢印Bで示すように、外方に引張ると、舌部8,108が弾性変形して、その各舌部に形成された係止爪9,109が取付孔11の縁15から外れるので、ルーバ4を取付孔11から抜き出すことができる。このように、ルーバ4は取付孔11に着脱可能に嵌合するのである。
【0018】
一方、図2に示したファン5は、それ自体周知のように、枠体41と、その枠体41にステー42を介して固定支持されたモータ18と、そのモータ18により回転駆動される羽根40とを有している。図2に示したように、ルーバ4が取付孔11に嵌合した状態で、ファン5のモータ18が作動し、該ファン5の羽根40が回転すると、そのファン5により付勢された画像形成装置本体内Iの空気は、外装カバー2に装着されたルーバ4の各桟7の間の隙間を通って、画像形成装置本体外Oに排出される。このように、ファン5は、ルーバ4よりも空気流れ方向上流側の画像形成装置本体内に固定配置されている。
【0019】
排気装置3によって、上述の如く画像形成装置本体内Iの空気を排出することにより、画像形成装置本体内の温度が過度に上昇することを阻止できる。
【0020】
ところで、図1に示した画像形成装置が、例えば、オフィスの座席の近傍に設置されていたとすると、ルーバ4を通して排出された空気が、その座席に着座した人に当り、着座者に不快な思いをさせるおそれがある。特に、排出される空気の温度が高かったり、その空気中に粉塵や臭いが含まれていると、着座者に多大な不快感を与えかねない。
【0021】
そこで、本例の排気装置3においては、ルーバ4が、外装カバー2に形成された取付孔11に角度及び方向に制限されることなく自由に回転できるように嵌合している。図2に示したように取付孔11に嵌合したルーバ4に手を当てて、該ルーバ4に回転力を加えることにより、当該ルーバ4をその中心軸線(回転中心)Xのまわりに自由に回転させることができるのである。ここで、ルーバ4を角度に制限されることなく自由に回転させることができるとは、取付孔11に嵌合したルーバ4を、360°まではもとより、それ以上の任意の角度を制限なく回転させることができることを意味する。また、ルーバ4を方向に制限されることなく自由に回転させることができるとは、取付孔11に嵌合したルーバ4を時計方向、反時計方向のいずれの方向にも自由に回転させることができることを意味する。
【0022】
一方、図6に示すように、ルーバ4の中心軸線Xに直交する平面Pを考え、この平面Pに対して桟7が成す角度をθとしたとき、0°<θ<90°を満たすように、角度θが設定されている。このため、ルーバ4を前述のように回転させることにより、ルーバ4を通して流出する空気の流れ方向を自由に変えることができる。従って、画像形成装置の近傍の座席に着座した者に風が当らないように、空気の流れ方向を調整することによって、その着座者に不快感を与えることを回避することができる。しかも、ルーバ4を、角度及び方向に制限されることなく自由に回転させることができるので、ルーバ4を通って、流出する風の向きを容易にワンタッチで調整することができる。従来の排気装置は、ファンがルーバ自体に組み付けられ、ルーバがファンと共に回転するように構成されていたので、ファンのモータハーネスの保護のために、ルーバが360°以上を回転できないように構成しなければならず、これによって空気の流れ方向を調整するときの操作性が低下する欠点を免れなかった。これに対し、本例の排気装置3においては、ルーバ4とファン5とが別々に配置されているので、支障なく、ルーバ4を任意の角度だけ、いずれの方向にも自由に回転させることができるのである。
【0023】
また、本例の排気装置3のルーバ4には、取付孔11の縁15に着脱可能に係合して、ルーバ4を取付孔11に保持する係止爪9,109が形成されているので、ドライバなどの工具を用いることなく、ルーバ4を取付孔11に対して容易に着脱することができる。このため、ルーバ4が汚れたときに、楽にその清掃作業を行うことができる。
【0024】
さらに、図2乃至図5に示すように、係止爪9,109の段部10,110に隣接する舌部8,108の部分には、突起16,116が突設され、しかも外装カバー2の円筒壁12の縁15には、その周方向に間隔をあけて配置された複数の凹部17が形成されていて、突起16,116が凹部17に係合できるように構成されている。これにより、ルーバ4の回転時に、操作者に対して節度感を与えることができる。
【0025】
図7乃至図13は、排気装置の他の例を示す。ここに示した排気装置3Aは、樹脂製のルーバ4Aと、そのルーバ4Aを保持する樹脂製のホルダ19Aと、フィルタ20Aと、ファン5Aとを有している。ルーバ4Aは、図2乃至図5に示したルーバ4と同様に、円筒状の周壁6Aと、その周壁6Aの軸線方向一端側に固定された複数の桟7Aとを有し、これらの桟7Aも格子状に配列されている。また、図7及び図10に示すように、周壁6Aの互いに対向する2つの部分は、弾性変形可能な片持ち状の舌部8A,108Aとして構成され、その各舌部8A,108Aには、係止突起9A,109Aがそれぞれ突設されている。これらの係止突起9A,109Aは、図12に示すように、2つの傾斜面21A,22Aを有するほぼ三角形状に形成されている。
【0026】
一方、ホルダ19Aは、図7及び図11に明示するように、円筒状の周壁23Aを有するカップ状に形成され、そのカップの底壁に相当する部分に、多数の空気流通孔24Aが形成されている。また、周壁23Aの互いに対向する2つの部分が弾性変形可能な片持ち状の舌部25A,125Aとして形成され、その各舌部25A,125Aには係止爪26A,126Aと、係止孔27A,127Aがそれぞれ形成されている。これらの係止爪26A,126Aは、図13に示すように、各舌部25A,125Aの表面に対して立ち上がった段部28A,128Aを有している。
【0027】
ここで、ルーバ4Aの周壁6Aを、図7に矢印Aで示すように、ホルダ19Aの周壁23内に嵌合し、図8に示すようにルーバ4Aとホルダ19Aを組み付けると、ルーバ4Aの環状突部13Aが、ホルダ19Aの周壁23Aの端部29A(図7)に当接すると共に、ルーバ4Aに突設された各係止突起9A,109Aがホルダ19Aに形成された各係止孔27A,127Aにそれぞれ嵌合する。これによりホルダ19Aとルーバ4Aが一体的に係止される。このとき、ホルダ19Aに形成された空気流通孔24Aは、ルーバ4Aの桟7Aに対向して位置する。
【0028】
上述のように組み付けられたホルダ19Aとルーバ4Aとによって内部に空間が区画されるが、この内部空間に、フィルタ20Aが収容される。ホルダ19Aを手で抑えた上で、ルーバ4Aを図8に矢印Bで示すように外方に引っ張ると、ルーバ4Aの舌部8A,108Aが弾性変形して、その各舌部に形成された係止突起9A,109Aが各係止孔27A,127Aから外れ、ルーバ4Aをホルダ19Aから離脱することができる。
【0029】
一方、図7及び図9に示すように、画像形成装置本体1Aの外装カバー2Aには、図3に示した取付孔11と全く同じく構成された取付孔11Aが形成されている。ルーバ4Aが組み付けられたホルダ19Aを、図9に示すように取付孔11Aに嵌合すると、ホルダ19Aの周壁23Aよりもわずかに径が大きくなった環状突部30Aが、図9に示すように、取付孔11Aのまわりの外装カバー部分14A(図7)に当接し、しかもホルダ19Aの各舌部25A,125Aに突設された係止爪26A,126Aが、取付孔11Aを区画する円筒壁12Aを乗り越え、図9に示すように、各係止爪26A,126Aの段部28A,128Aが、取付孔11Aの縁15Aに係合する。これによりホルダ19Aが、ルーバ4Aと共に取付孔11Aから脱落しないように保持される。ホルダ19Aを、図9に矢印Dで示すように、外方に引っ張ると、舌部25,125Aが弾性変形して、係止爪26,126Aが取付孔11Aの縁15Aから外れ、ルーバ4Aを保持したホルダ19Aを取付孔11Aから抜き出すことができる。このように、ホルダ19Aは、ルーバ4Aと共に、取付孔11Aに着脱可能に嵌合するのである。
【0030】
また、図9に示したファン5Aは、図2に示したファン5と同じく、枠体41Aと、その枠体41Aにステー42Aを介して支持されたモータ18Aと、そのモータ18Aにより回転駆動される羽根40Aを有している。
【0031】
ルーバ4Aを保持したホルダ19Aを図9に示すように取付孔11A(図7)に嵌合した状態で、モータ18Aが作動してファン5Aの羽根40Aが回転すると、画像形成装置本体内Iの空気は、ホルダ19Aの多数の空気通気孔24A(図7)を通して、ホルダ19Aとルーバ4Aによって区画された内部空間内に流入し、フィルタ20A(図7)を通過する。次いで、その空気は、ルーバ4Aの各桟7Aの間の隙間を通って、画像形成装置本体外Oに排出される。このように、この例のファン5Aも、ホルダ19Aとルーバ4Aよりも空気流れ方向上流側の画像形成装置本体内に固定配置されている。
【0032】
上述したフィルタ20Aは、防塵、オゾン除去及び脱臭の少なくとも1つの機能を有するフィルタである。かかるフィルタの代りに芳香剤をルーバ4Aとホルダ19Aの間の内部空間に収容することもできる。
【0033】
以上のように、図7乃至図13に示した排気装置3Aは、格子状に配列された複数の桟7Aを有するルーバ4Aと、該ルーバ4Aに着脱可能に組み付けられて当該ルーバ4Aを保持するホルダ19Aと、互いに組み付けられたホルダ19Aとルーバ4Aとによって区画された内部空間に収容されるフィルタ20Aと、ルーバ4A及びホルダ19Aよりも空気流れ方向上流側に配置されたファン5Aとを有し、ホルダ19Aとルーバ4Aが組み付けられた状態で、桟7Aに対向するホルダ19Aの部分には空気流通孔24Aが形成されている。
【0034】
さらに、本例の排気装置3Aにおいては、ホルダ19Aが、ルーバ4Aと共に、機器本体の一例である画像形成装置本体1Aの外装カバー2Aに形成された取付孔11Aに、角度及び方向に制限されることなく自由に回転できるように取付孔11Aに嵌合している。すなわち、取付孔11Aに嵌合したホルダ19Aを、ルーバ4Aと共に、360°まではもとより、それ以上の任意の角度を制限なく自由に回転させることができ、しかもそのホルダ19Aを、ルーバ4Aと共に、時計方向にも、反時計方向にも自由に回転させることができる。ファン5Aが、ホルダ19A及びルーバ4Aとは別に配置されているので、ホルダ19Aとルーバ4Aを上述の如く自由に回転し得るように構成できるのである。
【0035】
一方、本例のルーバ4Aの桟7Aも、図6に示したように傾斜している。すなわち、ホルダ19Aとルーバ4Aの中心軸線Xに直交する平面Pに対して、桟7Aが成す角度をθとしたとき、0°<θ<90°を満たすように角度θが設定されているのである。
【0036】
上述した構成により、図2乃至図5に示した排気装置3と同様に、ルーバ4Aと共にホルダ19Aを、手操作によって回転させることにより、ルーバ4Aを通して流出する空気の流れ方向を自由に変えることができる。これにより、画像形成装置の近傍の座席に着座した者に風が吹き当らないように、その風の向きを調整することができる。しかも、ルーバ4Aと共に、ホルダ19Aを、角度及び方向に制限されることなく自由に回転させることができるので、ルーバ4Aを通って流出する風の向きを楽に調整することができる。
【0037】
また、本例の排気装置3Aにおいては、図7乃至図9、図11及び図13に示すように、係止爪26A,126Aの段部28A,128Aに隣接する舌部25A,125Aの部分には、突起16A,116Aが突設され、しかも外装カバー2Aの円筒壁12Aの縁15Aには、その周方向に間隔をあけて配置された複数の凹部17Aが形成されていて、突起16A,116Aが凹部17Aに係合できるように構成されている。これによりホルダ19Aの回転時に、操作者に対して節度感を与えることができる。
【0038】
また、本例の排気装置3Aのホルダ19Aには、取付孔11Aの縁15Aに着脱可能に係合して、ホルダ19Aを取付孔11Aに保持する係止爪26A,126Aが形成されているので、工具を用いずに、ホルダ19Aを取付孔11Aに対して容易に着脱することができる。このため、ホルダ19Aが汚れたときに楽にその清掃作業を行うことができる。
【0039】
さらに、ルーバ4Aに突設された係止突起9A,109Aを、ホルダ19Aに形成された係止孔27A,127Aに着脱可能に係合して、ホルダ19Aとルーバ4Aを係止できるように構成されているので、ホルダ19Aとルーバ4Aを容易に着脱できる。従って、ホルダ19Aとルーバ4Aの中に収容されたフィルタ20Aを容易に取り出し、これを交換し、又は清掃することができる。
【0040】
係止突起をホルダ19Aの方に設け、係止孔をルーバ4Aに形成して、ホルダ19Aとルーバ4Aを組み付けたとき、その係止突起と係止孔を着脱可能に係合するように構成することもできる。要は、ホルダとルーバの一方に係止突起を突設し、他方にその係止突起が係合する係止孔を形成し、ホルダとルーバが組み付けられたとき、係止突起と係止孔が着脱可能に係合して、ホルダとルーバが係止されるように構成すればよい。
【0041】
ところで、フィルタ20Aの交換作業は、専門のサービスマンによって行われるほか、一般のユーザによっても行われるのが普通である。その際、図9に示したように、ホルダ19Aとルーバ4Aが外装カバー2Aの取付孔11Aに嵌合した状態で、ユーザがルーバ4Aを掴んで、これを矢印D方向に引張ったとき、ルーバ4Aとホルダ19Aが組み付いたまま、これらが取付孔11Aから抜け出てしまったとすると、図7から判るように、取付孔11Aが外部に向けて大きく開放される。このため、ユーザが誤ってこの取付孔11Aに手を入れ、ファン5Aに触れてしまうおそれがある。
【0042】
そこで、本例の排気装置3Aは、ホルダ19Aを取付孔11Aから取り外すのに必要とされる力のほうが、ルーバ4Aをホルダ19Aから取り外すのに必要とされる力よりも大きくなるように構成されている。
【0043】
具体的に示すと、ホルダ19Aとルーバ4Aが組み付いたとき、図12に示した係止突起9A,109Aの一方の傾斜面21Aがホルダ19Aに形成された係止孔27A,127Aの縁に係合する。同様にホルダ19Aが取付孔11Aに嵌合したとき、図13に示した係止爪26A,126Aの段部28A,128Aが取付孔11Aの縁15Aに係合する。その際、図12に示した係止突起9A,109Aの傾斜面21Aが舌部8A,108Aの表面に対して成す角度をαとし、図13に示した係止爪26A,126Aの段部28A,128Aが舌部25A,125Aの表面に対して成す角度をβとしたとき、その各角度はα>βに設定されている。このため、ユーザがルーバ4Aを掴んで、そのルーバ4Aを図9に矢印Dで示した外方に引っ張ると、ルーバ4Aはホルダ19Aから外れるが、ホルダ19Aの方は、取付孔11Aから外れることはない。このため、取付孔11Aは開放されず、ホルダ19Aによって閉鎖されたままとなる。このとき、ホルダ19Aに形成された空気流通孔24Aは人の指を挿入できない大きさに形成されており、従ってユーザが取付孔11Aに指を入れようとしても、ホルダ19Aに邪魔されて指を取付孔11Aに入れることができず、ユーザの安全性が確保される。ホルダ19Aが取付孔11Aから外れないように構成しても、同じ効果を奏することができる。
【0044】
また、ホルダ19Aの舌部25A,125Aの厚さを、ルーバ4Aの舌部8A,108Aの厚さよりも厚くして、舌部8A,108Aの方が、舌部25A,125Aよりも弾性変形しやすくしたり、係止爪26A,126Aの突出高さを、係止突起9A,109Aの突出高さよりも高く形成しても、ルーバ4Aを矢印D方向に引っ張ることにより、ルーバ4Aをホルダ19Aから外し、ホルダ19Aの方は取付孔11Aから外れないようにすることができる。
【0045】
本発明は、画像形成装置以外の各種機器の排気装置にも広く適用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】画像形成装置の外観斜視図である。
【図2】ルーバが取付孔に嵌合した状態での排気装置の斜視図である。
【図3】ルーバを取付孔から外したときの斜視図である。
【図4】図3に示したルーバを裏側から見たときの斜視図である。
【図5】ルーバに形成された係止爪を示す拡大斜視図である。
【図6】ルーバの桟の配列状態を示す断面図であって、図2に示した桟と、図7に示した桟の配列状態を説明する図である。
【図7】図2に示した排気装置とは異なる排気装置の分解斜視図である。
【図8】図7に示した排気装置のホルダとルーバが組み付いた状態を示す斜視図である。
【図9】ルーバが組み付いたホルダを取付孔に嵌合したときの様子を示す斜視図である。
【図10】ルーバを裏側から見たときの斜視図である。
【図11】ホルダを裏側から見たときの部分斜視図である。
【図12】係止突起の拡大斜視図である。
【図13】係止爪の拡大斜視図である。
【符号の説明】
【0047】
2,2A 外装カバー
4,4A ルーバ
5,5A ファン
7,7A 桟
9,109,26A,126A 係止孔
9A,109A 係止突起
15,15A 縁
19A ホルダ
20A フィルタ
24A 空気流通孔
27A,127A 係止孔
X 中心軸線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
格子状に配列された複数の桟を有するルーバと、該ルーバよりも空気流れ方向上流側に配置されたファンとを有し、前記ルーバは、機器本体の外装カバーに形成された取付孔に、角度及び方向に制限されることなく自由に回転でき、かつ着脱可能に嵌合するように構成され、前記ルーバの中心軸線に直交する平面に対して前記桟が成す角度をθとしたとき、0°<θ<90°を満たすように、該角度θが設定されている排気装置。
【請求項2】
前記ルーバには、前記取付孔の縁に着脱可能に係合して、該ルーバを取付孔に保持する係止爪が形成されている請求項1に記載の排気装置。
【請求項3】
格子状に配列された複数の桟を有するルーバと、該ルーバに着脱可能に組み付けられて該ルーバを保持するホルダと、互いに組み付けられたホルダとルーバとによって区画された内部空間に収容されるフィルタと、前記ルーバ及びホルダよりも空気流れ方向上流側に配置されたファンとを有し、前記ホルダとルーバが組み付けられた状態で、前記桟に対向するホルダの部分には空気流通孔が形成され、前記ホルダは、前記ルーバと共に、機器本体の外装カバーに形成された取付孔に、角度及び方向に制限されることなく自由に回転でき、かつ着脱可能に嵌合するように構成され、前記ホルダとルーバの中心軸線に直交する平面に対して前記桟が成す角度をθとしたとき、0°<θ<90°を満たすように、該角度θが設定されている排気装置。
【請求項4】
前記ホルダには、前記取付孔の縁に着脱可能に係合して、該ホルダを取付孔に保持する係止爪が形成されている請求項3に記載の排気装置。
【請求項5】
前記ホルダとルーバの一方には係止突起が突設され、他方には該係止突起が係合する係止孔が形成され、前記ホルダとルーバが組み付けられたとき、前記係止突起と係止孔が着脱可能に係合して、ホルダとルーバが係止されるように構成されている請求項3又は4に記載の排気装置。
【請求項6】
前記ホルダを前記取付孔から取り外すのに必要とされる力の方が、前記ルーバを前記ホルダから取り外すのに必要とされる力よりも大きくなるように構成され、前記空気流通孔は人の指を挿入できない大きさに形成されている請求項3乃至5のいずれかに記載の排気装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載の排気装置を具備する画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−154137(P2006−154137A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−343107(P2004−343107)
【出願日】平成16年11月26日(2004.11.26)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】