説明

排気設備

【課題】排気室側壁における排気口周縁(特に排気口上縁)の壁面部分に対する塗料ミストの付着堆積を効果的に防止する。
【解決手段】排気口10aの上側近傍箇所から排気室4の内部へ水平向きに又は斜め下向きに又は下向きに塗料ミスト付着防止用の空気Aを吐出する空気吐出口20を側壁4aに設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗料ミストを含む空気の排気処理を行なう排気設備に関し、詳しくは、排気室の底壁近くで排気室の側壁に、この側壁の横幅方向を長手方向とするスリット状又は長方形状の排気口を設け、塗料ミストを含む排気室内の空気を前記排気口から吸い込んで塗料ミスト処理装置に導く排気設備に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の排気設備に関して図12に示す如き塗装ブースがある(特許文献1参照)。
【0003】
この塗装ブースでは、塗装室2での塗装作業で発生した余剰噴霧の塗料ミストを塗装室2の室内空気EAとともに塗装室2から下向きに排出し、この排出空気EA(塗料ミスト含有空気)を塗装室2直下の排気室4に受け入れる。
【0004】
この塗料ミスト含有空気EAは排気室4から下方に延出させた2枚の縦壁4aどうしの間の排気路を通じて下方に導き、これら縦壁4aの下端縁と底壁4bとの間のスリット状の排気口10aを通じて横向きにフィルタ収容室5Aに導入する。
【0005】
そして、この塗装ブースでは、排気口10aを通過した塗料ミスト含有空気EAに対してフィルタ用のプレコート粉体剤Pを噴出するプレコート剤ノズル11を、フィルタ収容室5Aの側において縦壁4aの下端部(即ち、排気口10aの近傍)に設け、このプレコート剤ノズル11から噴出したプレコート粉体剤Pを塗料ミスト含有空気EAとともに乾式フィルタ8に至らせて、フィルタ表面にプレコート粉体剤Pからなる保護層を形成する。
【0006】
即ち、この保護層により乾式フィルタ8に対する塗料ミストの直接的な付着を防止した状態で、塗料ミスト含有空気EAを乾式フィルタ8に通過させて空気EA中の塗料ミストを捕集する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特表2008−536661号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上記の塗装ブースを初め、排気室4の底壁4b近くで排気室4の側壁4a(即ち、上記の縦壁に相当)に設けたスリット状や長方形状の排気口10aから排気室4内の塗料ミスト含有空気EAを吸い込む排気設備では、排気室4内の塗料ミスト含有空気EAが排気口10aに集中して高速で排気口10aを通過するため、また、排気室4内の上部から下向きに流れて排気口10aに至った塗料ミスト含有空気EAが急激に水平向き側へ向き変化して排気口10aに流入するため、排気室4において側壁4aにおける排気口10a周縁の壁面部分(特に、排気口10a上縁の壁面部分)に塗料ミストが付着して堆積し易いものとなる。
【0009】
そして、このような塗料ミストの付着堆積の為、付着堆積した塗料を除去する清掃作業が頻繁に必要になり、労力面や経費面並びに設備の操業停止が必要となる施業時間面などで清掃作業の負担が大きくなる問題があった。
【0010】
また、上記の如き塗料ミストの付着堆積で排気口10a周縁の壁面部分に形成される塗料塊、特に排気口10a上縁の壁面部分から氷柱状に垂れ下がる状態になる塗料塊が、排気口10aの通過空気により剥がれされてフィルタ装置などの下流側の塗料ミスト処理装置まで運び去られることで、フィルタ装置においてフィルタ8の目詰まりを招くなど塗料ミスト処理装置の運転にトラブルを来たす問題もあった。
【0011】
この実情に鑑み、本発明の主たる課題は、合理的な改良により上記の如き問題を効果的に解消することができる排気設備を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は排気設備に係り、その第1特徴構成は、
排気室の底壁近くで排気室の側壁に、この側壁の横幅方向を長手方向とするスリット状又は長方形状の排気口を設け、塗料ミストを含む排気室内の空気を前記排気口から吸い込んで塗料ミスト処理装置に導く排気設備であって、
前記排気口の上側近傍箇所から前記排気室の内部へ塗料ミスト付着防止用の空気を吐出する空気吐出口を、前記排気口の長手方向の全長にわたらせる状態に配置して前記側壁に設けてある点にある。
【0013】
つまり、この構成によれば、空気吐出口から排気室の内部へ吐出した塗料ミスト付着防止用の空気が、排気室内の上部から排気口に至って急激に水平向き側へ向き変化して排気口に流入する塗料ミスト含有空気と、側壁における排気口上縁の壁面部分(空気吐出口を含む)との間に空気層の形で介在する状態になり、この介在空気層が排気口の長手方向の全長にわたって形成される。
【0014】
即ち、この介在空気層の形成により側壁における排気口上縁の壁面部分に対する塗料ミストの付着堆積を効果的に防止することができ、これにより、付着堆積した塗料を除去する清掃作業の必要頻度を低減することができて、清掃作業の負担を効果的に軽減することができる。
【0015】
また、排気口上縁の壁面部分に対する塗料ミストの付着堆積で形成される塗料塊が排気口の通過空気によりフィルタ装置などの下流側の塗料ミスト処理装置まで運び去られて塗料ミスト処理装置の運転にトラブルを来たすといったことも効果的に防止することができる。
【0016】
そしてまた、上記構成であれば、空気吐出口を排気口の上側近傍箇所に配置するから、例えば、排気室の上部から側壁に沿わせる状態に空気吐出することで排気口上縁の壁面部分に対する塗料ミストの付着堆積を防止するのに比べ、空気吐出口からの吐出空気を排気口上縁の壁面部分に対して的確かつ無駄なく塗料ミスト付着防止機能させることができ、これにより、空気吐出口からの空気の吐出風速や吐出風量を小さくして空気吐出に要する送風動力を小さなものにしながらも、排気口上縁の壁面部分に対する塗料ミストの付着堆積を上記の如く効果的かつ確実に防止することができる。
【0017】
なお、側壁の上部や上下中間部(即ち、排気口近傍の側壁下部を除いた側壁部分)については、側壁の壁面に沿う状態で下向きに流れて排気口に向う室内空気が存在し、その空気中の塗料ミストも空気の下向き流れに乗った状態で排気口に導かれることから、特に問題になるほどの塗料ミストの付着堆積は生じない。
【0018】
上記構成の実施において、排気口の長手方向の全長にわたらせる状態に配置する空気吐出口は、排気口よりも長手方向の寸法が大きなものにして、排気口の長手方向で空気吐出口の両端部が排気口の両端部よりある程度外側に位置するものにするのが望ましい。
【0019】
本発明の第2特徴構成は、上記第1特徴構成の実施において、
前記空気吐出口は、塗料ミスト付着防止用の空気を前記排気室の内部へ水平向きに又は斜め下向きに吐出する構成にしてある点にある。
【0020】
つまり、この構成によれば、空気吐出口から水平向きに又は斜め下向きに空気吐出させるから、例えば、空気を側壁の壁面に沿わせる状態で下向きに吐出する空気吐出口を側壁に設ける構造などに比べ、空気吐出口(具体的には、その形成部材)を側壁から排気室の内部に突出させずに空気吐出口を側壁に設けることができる。
【0021】
即ち、このことにより、空気吐出口の形成部材に対する派生的な塗料ミスト付着や、それに原因する塗料塊の形成も効果的に回避することができて、清掃作業の負担軽減や塗料塊に原因する運転トラブルの防止を一層確実に達成することができる。
【0022】
本発明の第3特徴構成は、前記第1特徴構成の実施において、
前記空気吐出口は、塗料ミスト付着防止用の空気を前記排気室の内部へ下向きに吐出する構成にしてある点にある。
【0023】
つまり、この構成によれば、空気吐出に要する送風動力を一層小さなものにしながらも、排気口上縁の壁面部分に対する塗料ミストの付着堆積を効果的かつ確実に防止することができる。
【0024】
即ち、空気吐出口から排気室の内部へ水平向きに又は斜め下向きに空気を吐出させる前記の第2特徴構成では、空気吐出口から水平向き又は斜め下向きに吐出させた空気を、排気室上部から排気口近傍に至って水平向き側へ向き変化する室内空気流により排気口上縁壁面部分の側へ押さえ込む状態で、その室内空気流と排気口上縁壁面部分との間に前述の介在空気層を形成して、排気口上縁壁面部分に対し塗料ミスト付着防止機能させる形態になる。
【0025】
これに対し、上記構成によれば、空気吐出口から下向きに空気吐出させるから、換言すれば、排気室上部から排気口近傍に至って水平向き側へ向き変化する室内空気流と排気口上縁壁面部分との間に向けて空気吐出させて前述の介在空気層を形成するから、空気吐出口からの吐出空気を排気口上縁の壁面部分に対して直接的に塗料ミスト付着防止機能させることができ、その分、空気吐出口からの空気の吐出風速や吐出風量を一層小さくして空気吐出に要する送風動力を一層小さなものにしながら、排気口上縁の壁面部分に対する塗料ミストの付着堆積を効果的かつ確実に防止することができる。
【0026】
そしてまた、側壁の壁面に沿う状態で下向きに流れて排気口に向う室内空気流(あるいは排気口近傍に至って水平向き側へ向き変化しようとする室内空気流)の流れ領域の中において、その室内空気流に沿う状態で空気吐出口から下向きに空気吐出させることからも、空気吐出口からの空気吐出に要する送風動力を小さなもので済ませることができる。
【0027】
なお、上記構成の実施においては、空気吐出口(具体的には、その形成部材)が排気室の室内に突出することに対して、空気吐出口の形成部材に塗料ミストが付着堆積することを防止する手段を講じておくのが望ましく、例えば、排気室の上部から側壁に沿う状態で下向きに流れる室内空気がそれに含まれる塗料ミストとともに空気吐出口の形成箇所において空気吐出口の形成部材をかわす分だけ排気室内方側へ緩く滑らかに向き変化するように、その室内空気を案内する傾斜板などの気流案内手段を設けるのが望ましい。
【0028】
本発明の第4特徴構成は、上記第1〜第3特徴構成のいずれかの実施において、
前記側壁のうち前記空気吐出口を形成した壁部分である吐出口形成壁部分により給気ボックスのボックス開口を閉塞する状態で、その給気ボックスを前記側壁の背面側に配置して前記側壁に取り付け、
給気路を通じて前記給気ボックスの内部に供給する空気を前記空気吐出口から前記排気室の内部へ吐出させる構成にしてある点にある。
【0029】
つまり、この構成によれば、ボックス開口を備える給気ボックスを側壁の背面側で側壁に取り付けて、側壁のうち空気吐出口を形成した壁部分である吐出口形成壁部分により給気ボックスのボックス開口を閉塞するだけで、給気ボックスの内部を空気吐出口に対する空気供給室として、給気路を通じ給気ボックスの内部に供給した空気をボックス内部の静圧により空気吐出室から吐出させることができる。
【0030】
即ち、このことにより、側壁に形成した空気吐出口に対して空気供給用のダクトを直接的に接続する構造などに比べ、空気吐出口における吐出空気の分布(特に、空気吐出口の長手方向における分布)を均一化して、排気口上縁の壁面部分に対する塗料ミスト付着を一層確実に防止しながら、空気吐出口の設置施工も容易にすることができる。
【0031】
本発明の第5特徴構成は、上記第4特徴構成の実施において、
前記吐出口形成壁部分を前記ボックス開口に対する蓋体として前記側壁の本体部に着脱自在に取り付けてある点にある。
【0032】
つまり、この構成によれば、側壁のうち空気吐出口を形成した吐出口形成壁部分を給気ボックスのボックス開口に対する蓋体として側壁の本体部に着脱自在に取り付けるから、逆言すれば、ボックス開口に対する蓋体として側壁の本体部に着脱自在に取り付ける吐出口形成壁部分に空気吐出口を形成するから、側壁の本体部に対する直接的な加工により空気吐出口を設置施工するのに比べ、空気吐出口の設置施工を一層容易にすることができる。
【0033】
また、この蓋体としての吐出口形成壁部分を側壁本体部から取り外して、給気ボックスの内部の点検や補修なども排気室側から容易に行うことができる。
【0034】
本発明の第6特徴構成は、上記第4又は第5特徴構成の実施において、
前記空気吐出口から前記給気ボックスの内部へ直線的に延出させた気流案内筒を設け、
この気流案内筒を通じて前記給気ボックス内の空気を前記空気吐出口に送ることで前記空気吐出口からの空気の吐出向きを規定する構成にしてある点にある。
【0035】
つまり、この構成では、気流案内筒の内部を通過する過程において、給気ボックスの内部から空気吐出口に送る空気に気流案内筒の筒軸芯方向に沿う向きの動慣性を与え、これにより、空気吐出口からの空気の吐出向きを気流案内筒の筒軸芯方向に沿う向きに規定する。
【0036】
従って、空気吐出口から給気ボックスの内部へ直線的に延出させる気流案内筒の姿勢を設定することで、空気吐出口から排気室内に吐出させる空気の向きを所要の向きに的確に規定することができる。
【0037】
また、空気吐出口から水平向きや斜め下向きに空気吐出させる前記第2特徴構成を採る場合では、空気吐出口(具体的には、その形成部材)を側壁から排気室内に吐出させない構造を採りながら、空気吐出口から水平向きや所望傾斜角度の斜め下向きで的確に空気吐出させることができる。
【0038】
なお、この構成は、空気吐出口からの空気の吐出風速(面風速)を比較的大きく設定する場合に特に有効である。
【0039】
本発明の第7特徴構成は、上記第6特徴構成の実施において、
前記給気ボックスの内部で前記給気路の接続部と前記気流案内筒との間に、前記給気ボックスの縦断面の全面にわたる多孔状分散板を設けてある点にある。
【0040】
つまり、この構成では、給気路を通じて給気ボックスに供給される空気を多孔分散板に通過させることで、給気ボックスの内部における空気流の分布を給気ボックスの縦断面方向において均一化する。
【0041】
即ち、このことにより、空気吐出口における吐出空気の分布(特に、空気吐出口の長手方向における分布)を一層効果的に均一化することができ、そのことで、排気口上縁の壁面部分に対する塗料ミスト付着を一層確実に防止することができる。
【0042】
本発明の第8特徴構成は、上記第1〜第5特徴構成のいずれかの実施において、
前記空気吐出口に、その開口面の全面にわたる多孔状散気板を設けてある点にある。
【0043】
つまり、この構成では、空気吐出口の開口面において吐出空気を多孔状散気板に通過させることで、空気吐出口における吐出空気の分布(特に、空気吐出口の長手方向における分布)を均一化する。
【0044】
即ち、このことにより、上記第7特徴構成と同様、排気口上縁の壁面部分に対する塗料ミスト付着を一層確実に防止することができる。
【0045】
なお、この構成は、空気吐出口からの空気の吐出風速(面風速)を比較的小さく設定する場合や、空気吐出口から水平向きに空気吐出させる場合に特に有効である。
【0046】
本発明の第9特徴構成は、上記第1〜第8特徴構成のいずれかの実施において、
塗料ミスト付着防止用の補助粉体剤を前記空気吐出口から吐出した後の空気又は前記空気吐出口から吐出する前の空気に混合する補助剤混合手段を設けてある点にある。
【0047】
つまり、この構成では、空気吐出口からの空気吐出により前述の介在空気層を形成して排気口上縁壁面部分への塗料ミスト付着を防止するのに加え、空気吐出口から吐出した後の空気又は空気吐出口から吐出する前の空気に補助粉体剤を混合することで、その補助粉体剤も排気口上縁壁面部分に対して防護機能させるとともに、補助粉体剤と塗料ミストとの結合により塗料ミストの付着性(粘着性)も低下させる。
【0048】
従って、空気吐出口からの空気吐出による前述介在空気層の形成と、補助粉体剤の上記機能とが相俟って、介在空気層の形成だけに比べ、排気口上縁の壁面部分に対する塗料ミスト付着を一層効果的かつ確実に防止することができる。
【0049】
なお、この構成の実施において、空気吐出口から吐出した後の空気に補助粉体剤を混合する場合には、補助剤混合手段として補助粉体剤の噴出口を空気吐出口と排気口との間の側壁部分に設けるなどすればよい。
【0050】
また、空気吐出口から吐出する前の空気に補助粉体剤を混合する場合には、補助剤混合手段として、例えば前記した給気ボックスの内部へ補助粉体剤を噴出するボックス内噴出手段を設けるなどすればよい。
【0051】
そしてまた、この構成の実施において排気口を通過した塗料ミスト含有空気をフィルタ装置に導いてフィルタにより塗料ミストを捕集する場合、塗料ミスト含有空気とともに排気口を通過してフィルタ装置に導かれる余剰の補助粉体剤をフィルタ用のプレコート粉体剤として利用して、その余剰の補助粉体剤からなる保護層をフィルタ表面に形成し、この保護層によりフィルタに対する塗料ミストの直接的な付着を防止した状態で、塗料ミスト含有空気をフィルタに通過させて塗料ミストを捕集するようにしてもよい。
【0052】
本発明の第10特徴構成は、上記第1〜第9特徴構成のいずれかの実施において、
前記空気吐出口からの空気吐出風量を前記排気口からの空気吸込風量の1%〜20%にしてある点にある。
【0053】
つまり、空気吐出口からの空気吐出風量が排気口からの空気吸込風量に対して過大である場合には、空気吐出口からの吐出空気が原因で、排気室内の塗料ミスト含有空気を排気口から円滑かつ効率的に排出する機能に低下が見られ、また、空気吐出口からの空気吐出風量が排気口からの空気吸込風量に対して過小である場合には、排気口上縁の壁面部分に対する塗料ミスト付着を防止する機能が十分に得られない。
【0054】
これに対して、上記の如く空気吐出口からの空気吐出風量を排気口からの空気吸込風量の1%〜20%にすれば、排気室内の塗料ミスト含有空気を排気口から円滑かつ効率的に排出しながら、排気口上縁の壁面部分に対する塗料ミスト付着も効果的に防止することができる。
【0055】
本発明の第11特徴構成は、上記第1〜第10特徴構成のいずれかの実施において、
前記空気吐出口における空気吐出風速を0.2m/s〜10m/sにしてある点にある。
【0056】
つまり、空気吐出口からの空気吐出風速(面風速)が過大である場合には、空気吐出口からの空気吐出が原因で、排気室内の塗料ミスト含有空気を排気口から円滑かつ効率的に排出する機能に低下が見られ、また、空気吐出口からの空気吐出風速(面風速)が過小である場合には、排気口上縁の壁面部分に対する塗料ミスト付着を防止する機能が十分に得られない。
【0057】
これに対し、上記の如く空気吐出口における空気吐出風速(面風速)を0.2m/s〜10m/sにすれば、排気室内の塗料ミスト含有空気を排気口から円滑かつ効率的に排出しながら、排気口上縁の壁面部分に対する塗料ミスト付着も効果的に防止することができる。
【0058】
本発明の第12特徴構成は、上記第1〜第11特徴構成のいずれかの実施において、
前記空気吐出口を上下方向に並べて複数設けてある点にある。
【0059】
つまり、空気吐出口からの空気吐出風量を十分に確保するのに空気吐出口の開口面積が小さい場合、空気吐出口からの空気吐出風速が大きくなって吐出空気流の周りに気流の乱れが生じ、それが原因で、排気口上縁や排気口周縁の壁面部分に対する塗料ミスト付着を防止する機能が低下する場合がある。
【0060】
これに対し、上記構成によれば、上下方向に複数並べて設けた複数の空気吐出口の全体をもって空気吐出風量を大きく確保するようにして、個々の空気吐出口の空気吐出風速を小さくすることができ、これにより、上記の如き気流の乱れに原因する塗料ミスト付着防止機能の低下を回避して、排気口上縁や排気口周縁の壁面部分に対する塗料ミスト付着を一層確実に防止することができる。
【0061】
なお、この構成は、空気吐出向きの規定などのために個々の空気吐出口の高さ方向の幅寸法を比較的小さくする場合において特に有効である。
【0062】
また、この構成の実施においては、水平向き又は斜め下向きに空気吐出する空気吐出口を上下方向に複数並べて設けるのが好ましいが、水平向き又は斜め下向きに空気吐出する空気吐出口と下向きに空気吐出する空気吐出口とを上下方向に並べて設けてもよく、また場合によっては、下向きに空気吐出する空気吐出口を上下方向に並べて複数設けるようにしてもよい。
【0063】
本発明の第13特徴構成は、上記第1〜第12特徴構成のいずれかの実施において、
前記排気口の両横側近傍箇所から前記排気室の内部へ塗料ミスト付着防止用の空気を吐出する側部空気吐出口を、前記排気口の高さ方向の全幅にわたらせる状態に配置して前記側壁に設けてある点にある。
【0064】
つまり、この構成によれば、排気口の上側近傍箇所に設けた前記空気吐出口(即ち、上部空気吐出口)からの空気吐出により、排気室内の上部から排気口に至る塗料ミスト含有空気と排気口上縁の壁面部分(空気吐出口を含む)との間に前述の介在空気層を形成するのに加えて、側部空気吐出口からの空気吐出により、排気口に向かって集中する塗料ミスト含有空気と排気口両横縁の壁面部分(側部空気吐出口を含む)との間にも同様の介在空気層を形成することができる。
【0065】
即ち、このことにより、排気口上縁の壁面部分に対する塗料ミスト付着を防止することに加え、排気口両横縁の壁面部分に対する塗料ミスト付着も効果的に防止することができて、全体として排気口周縁の壁面部分に対する塗料ミスト付着を一層効果的に防止することができ、これにより、清掃作業の負担軽減や塗料塊に原因する運転トラブルの防止をさらに確実に達成することができる。
【0066】
なお、この構成の実施において、側部空気吐出口からの空気吐出の向きは水平向き又は斜め下向き又は排気口の側に傾く斜め横向きのいずれにしてもよく、場合によっては、排気口の側に向く横向きにしてもよい。
【0067】
また、この構成の実施においては、上部空気吐出口と側部空気吐出口とを設けるのに加えて、排気口の下側近傍箇所から排気室の内部へ水平向きに又は斜め上向きに又は上向きに塗料ミスト付着防止用の空気を吐出する下部空気吐出口を、排気口の長手方向の全長にわたらせる状態に配置して側壁に設けるようにしてもよい。
【0068】
また、これら側部空気吐出口や下部空気吐出口を設けるのに、前記空気吐出口(上部空気吐出口)に対して採用する第4〜第9特徴構成と同様の構成を側部空気吐出口や下部空気吐出口に採用してもよい。
【0069】
つまり、側壁のうち側部空気吐出口や下部空気吐出口を形成した吐出口形成壁部分により給気ボックスのボックス開口を閉塞する状態で、その給気ボックスを側壁の背面側に配置して側壁に取り付け、給気路を通じて給気ボックスの内部に供給する空気を側部空気吐出口や下部空気吐出口から排気室の内部へ吐出させる構成にしてもよい。
【0070】
また、側部空気吐出口や下部空気吐出口を形成した吐出口形成壁部分をボックス開口に対する蓋体として側壁の本体部に着脱自在に取り付けるようにしてもよい。
【0071】
また、側部空気吐出口や下部空気吐出口から給気ボックスの内部へ直線的に延出させた気流案内筒を設け、この気流案内筒を通じて給気ボックス内の空気を側部空気吐出口や下部空気吐出口に送ることで、側部空気吐出口や下部空気吐出口からの空気の吐出向きを規定する構成にしてもよい。
【0072】
また、給気ボックスの内部で給気路の接続部と側部空気吐出口や下部空気吐出口に対する気流案内筒との間に、給気ボックスの縦断面の全面にわたる多孔状分散板を設けてもよい。
【0073】
また、側部空気吐出口や下部空気吐出口に、その開口面の全面にわたる多孔状散気板を設けてもよい。
【0074】
また、塗料ミスト付着防止用の補助粉体剤を側部空気吐出口や下部空気吐出口から吐出した後の空気又は側部空気吐出口や下部空気吐出口から吐出する前の空気に混合する補助剤混合手段を設けてもよい。
【0075】
なお、側部空気吐出口や下部空気吐出口に対する給気ボックスを設ける場合、その給気ボックスは上部空気吐出口に対する給気ボックスと共用のものにしてもよい。
【0076】
また、側部空気吐出口や下部空気吐出口を形成する吐出口形成壁部分も、上部空気吐出口を形成する吐出口形成壁部分と一体化したものにしてもよい。
【0077】
本発明の第14特徴構成は、上記第1〜第13特徴構成のいずれかの実施において、
前記塗料ミスト処理装置として、空気中の塗料ミストを乾式フィルタにより捕集するフィルタ装置を前記排気室の室外側で前記側壁に近接させた状態に配置して前記排気口の出口側に接続し、
前記排気口から前記フィルタ装置の側に延出させた空気導入筒部の上壁における内面側に、前記排気口の長手方向視における断面形状が下向きに開く凹状断面形状の滞留用凹部を前記排気口の長手方向に連続させて形成し、
前記排気口から前記空気導入筒部を通じて前記フィルタ装置に導入する空気に混合するフィルタ用のプレコート粉体剤を前記排気口の長手方向における所定箇所で前記滞留用凹部の内面に衝突させる状態に、前記滞留用凹部の内面に向けてプレコート粉体剤を空気とともに噴出するプレコート剤ノズルを設け、
この噴出により、前記滞留用凹部においてプレコート粉体剤及び空気の渦流的な滞留を生じさせる構成にしてある点にある。
【0078】
つまり、この構成によれば、排気口の長手方向(即ち、側壁の横幅方向)における所定箇所で滞留用凹部の内面に衝突させる状態に滞留用凹部の内面に向けてフィルタ用のプレコート粉体剤を空気とともにプレコート剤ノズルから噴出させることにより、空気導入筒部を通過する塗料ミスト含有空気の流れが滞留用凹部の下向き開口の近傍を通過することとも相俟って、滞留用凹部において噴出プレコート粉体剤を伴う空気の適当時間にわたる渦流的な滞留を生じさせることができ、この渦流的な滞留により攪拌を伴いながら噴出プレコート粉体剤を、排気口の長手方向に連続する滞留用凹部において排気口の長手方向(側壁の横幅方向)に拡散させることができる。
【0079】
そして、このようにプレコート粉体剤を排気口の長手方向へ拡散させながら、その拡散したプレコート粉体剤を滞留用凹部の下向き開口から空気導入筒部における塗料ミスト含有空気の通過流に徐々に取り込ませる形態にすることができ、これにより、排気口から空気導入筒部を通じてフィルタ装置に導入する塗料ミスト含有空気に対してフィルタ用のプレコート粉体剤を排気口の長手方向において均一な分散状態に混合することができて、フィルタ装置における乾式フィルタの表面にプレコート粉体剤からなる塗料ミスト付着防止用の保護層を均一な状態で良好に形成することができる。
【0080】
また、この構成によれば、多数のプレコート剤ノズルを小さい間隔で排気口の長手方向に並置することを回避することができて、スリット状や長方形状の排気口に対して1つのプレコート剤ノズルを配備するだけで済ませる、あるいは、プレコート剤ノズルを排気口の長手方向に並置するにしても、その並置間隔を大きくして並置数を効果的に削減することができ、これにより、設備コストを安価にし得るとともにプレコート剤ノズルなどに対するメンテナンスも容易にすることができる。
【0081】
そしてまた、このように滞留用凹部においてプレコート粉体剤を排気口の長手方向に拡散させる構造では、排気口周縁の壁面部分に対する塗料ミストの付着堆積により排気口周縁(特に上縁)に塗料塊が形成されると、その塗料塊の存在による気流の乱れが原因で、滞留用凹部においてプレコート粉体剤を排気口の長手方向に拡散させる機能が低下する虞があるが、上記構成によれば、空気吐出口からの空気吐出により排気口上縁の壁面部分に対する塗料ミスト付着を防止して上記の如き塗料塊の形成を効果的に防止できることで、滞留用凹部においてプレコート粉体剤を排気口の長手方向に拡散させる機能も安定的に維持することができ、これにより、フィルタ装置の運転及び設備の運転を一層安定的なものにすることができる。
【0082】
なお、上記構成の実施において、排気口の長手方向視(側壁横幅方向視)における滞留用凹部の具体的な断面形状は弧状や多角形状など種々の形状を採用することができ、排気口を通過する塗料ミスト含有空気の風速やプレコート粉体剤の材質などに応じて選定すればよい。
【0083】
また、プレコート剤ノズルから噴出したプレコート粉体剤及び空気を滞留用凹部の内面に衝突させるのに、その衝突位置を空気導入筒部における空気通過方向で滞留用凹部の中央部よりも下流側寄りに配置すれば、プレコート剤ノズルからのプレコート粉体剤及び空気の噴出により滞留用凹部において形成する渦流的な滞留域を、空気通過方向において滞留用凹部における下流側部分よりも上流側部分(即ち、滞留用凹部の上流側端とプレコート剤ノズルとの間の部分)において大きく形成することができ、これにより、空気導入筒部を通過する塗料ミスト含有空気に対してプレコート粉体剤を混合する箇所を空気通過方向において滞留用凹部の上流端側へ偏らせることができる。
【0084】
即ち、この偏り分だけ、空気導入筒部の通過過程における塗料ミスト含有空気中でのプレコート粉体剤の拡散を促進することができて、乾式フィルタに送る塗料ミスト含有空気中のプレコート粉体剤の分布を一層均一化することができる。
【0085】
上記構成の実施において前記第9特徴構成を併行実施する場合、プレコート剤ノズルから噴出するフィルタ用のプレコート粉体剤と、補助剤混合手段により空気吐出口からの吐出空気に混合する塗料ミスト付着防止用の補助粉体剤とは同じ粉体剤あるいは異種の粉体剤のいずれにしてもよい。
【0086】
本発明の第15特徴構成は、上記第14特徴構成の実施において、
前記プレコート剤ノズルは、プレコート粉体剤及び空気を前記滞留用凹部の内面に対して斜め向きに衝突させる状態に配置してある点にある。
【0087】
つまり、この構成によれば、プレコート剤ノズルから空気とともに噴出したプレコート粉体剤が衝突により滞留用凹部の内面に付着堆積することを斜め向きの衝突による衝突エネルギの逸散により防止することができ、これにより、排気口から吸い込む塗料ミスト含有空気の湿度が高い場合やプレコート粉体剤の凝固性が高い場合などでも滞留用凹部でのプレコート粉体剤の拡散を安定的かつ良好に維持することができる。
【0088】
また、この構成によれば、プレコート粉体剤を斜め向きに衝突させる凹部内面部分による案内により、プレコート剤ノズルから噴出したプレコート粉体剤と空気との滞留用凹部での渦流的な滞留を促進し、これにより、滞留用凹部でのプレコート粉体剤の排気口長手方向への拡散を一層促進することもできる。
【0089】
なお、この構成の実施においてプレコート粉体剤及び空気を滞留用凹部の内面に対して斜め向きに衝突させるのに、プレコート剤ノズルの噴出中心軸芯を鉛直方向に対して傾斜させる配置形態、又は、滞留用凹部の内面を水平に対して傾斜させる配置形態、あるいはまた、プレコート剤ノズルの噴出中心軸芯を鉛直方向に対して傾斜させるとともに滞留用凹部の内面を水平に対して傾斜させる配置形態のいずれを採用してもよい。
【0090】
本発明の第16特徴構成は、上記第14又は第15特徴構成の実施において、
前記空気導入筒部における空気通過方向において前記滞留用凹部の上流側端縁に縦姿勢の上流側垂れ壁を設けるとともに、
前記空気導入筒部における空気通過方向において前記滞留用凹部の下流側端縁に縦姿勢の下流側垂れ壁を設け、
前記滞留用凹部でのプレコート粉体剤及び空気の渦流的な滞留において前記上流側垂れ壁に至ったプレコート粉体剤及び空気を前記上流側垂れ壁により下向きに案内するとともに、
前記滞留用凹部でのプレコート粉体剤及び空気の渦流的な滞留において前記下流側垂れ壁に至ったプレコート粉体剤及び空気を前記下流側垂れ壁により下向きに案内する構成にしてある点にある。
【0091】
つまり、この構成によれば、滞留用凹部における渦流的な滞留において空気導入筒部における空気通過方向で滞留用凹部の上流側端や下流側端に至った拡散状態のプレコート粉体剤及び空気を上流側垂れ壁や下流側垂れ壁により下向きに案内することで、それら拡散状態のプレコート粉体剤及び空気を空気導入筒部の上流側部分や下流側部分において塗料ミスト含有空気の通過流に対し積極的に合流させて混合することができる。
【0092】
即ち、このことにより、プレコート粉体剤を空気導入筒部の高さ方向(排気口の短辺方向)についても効果的に分散させた状態で塗料ミスト含有空気に混合することができ、これにより、乾式フィルタに送る塗料ミスト含有空気中のプレコート粉体剤の分布を一層効果的に均一化することができて、乾式フィルタの表面にプレコート粉体剤からなる塗料ミスト付着防止用の保護層を一層均一な状態で良好に形成することができる。
【0093】
そしてまた、上記構成によれば、上流側垂れ壁や下流側垂れ壁による案内で形成する下向き流により、塗料ミスト含有空気の通過流に対して混合するプレコート粉体剤のうちの適当な一部量を空気導入筒部の底壁にまで確実に至らせて、その底壁上にプレコート粉体剤の層を形成することもでき、これにより、塗料ミストが空気導入筒部の底壁上に付着堆積することも効果的に防止することもできる。
【0094】
殊に、空気導入筒部の底壁を空気通過方向における下流側ほど低くなる後述の如き傾斜底壁にする場合では、下流側垂れ壁による案内で形成する下向き流によりプレコート粉体剤の一部を傾斜底壁の下流側部分に至らせるとともに、傾斜底壁の下流側部分に至った後の下向き流の傾斜底壁に沿った上流側への反転流成分(即ち、傾斜底壁を駆け上る気流成分)により、傾斜底壁の下流側部分に至ったプレコート粉体剤を傾斜底壁上に拡げた状態にして保持することもでき、これにより、空気導入筒部の底壁を傾斜底壁にしながらも、その傾斜底壁上に形成する塗料ミスト付着防止用のプレコート粉体剤層を安定的に維持することもできる。
【0095】
なお、上記構成の実施においては、空気導入筒部における空気通過方向において空気導入筒部の底壁における上流側端縁に、滞留用凹部の上流側端縁に向かって立ち上がる縦姿勢の上流側立上り壁を設けるのが望ましい。
【0096】
つまり、空気導入筒部の内部では、滞留用凹部の存在(特に、上流側垂れ壁の存在)により上側領域における空気通過風速が抑制されるが、上記の如く上流側立上り壁を設ければ、空気導入筒部の内部における下側領域でも空気通過風速を抑制して、空気導入筒部における上側領域と下側領域とでの空気通過風速のバランスを採ることができ、これにより、空気導入筒部を通じたフィルタ装置への塗料ミスト含有空気の導入、及び、塗料ミスト含有空気の通過流に対するプレコート粉体剤の混合をさらに円滑かつ安定的なものに保つことができる。
【0097】
本発明の第17特徴構成は、上記第14〜第16特徴構成のいずれかの実施において、
前記空気導入筒部の出口側開口を入口側開口である前記排気口より低い位置に配置して、前記空気導入筒部の内部に形成される空気導入風路、及び、その風路の底壁を空気通過方向の下流側ほど低くなる先下がりの傾斜風路及び傾斜底壁にするとともに、前記乾式フィルタを前記空気導入筒部の出口側開口より高い位置に配置し、
前記空気導入筒部の先下がり空気導入風路を通過した空気を前記フィルタ装置において前記乾式フィルタに向く上向き状態に急激に向き変化させる構成にしてある点にある。
【0098】
つまり、この構成では、塗料ミスト含有空気を空気導入筒部の内部における先下がり傾斜の空気導入風路を通じて高位の入口側開口(即ち、排気口)から低位の出口側開口に向かって斜め下向きに通過させるのに続き、その斜め下向きから上向きへ大きく向き変化させて塗料ミスト含有空気を空気導入筒部の出口側開口よりも高位の乾式フィルタに向わせる。
【0099】
即ち、この大きな向き変化により、空気導入筒部の通過過程で塗料ミスト含有空気に混合したプレコート粉体剤の塗料ミスト含有空気中での拡散を一層促進することができて、乾式フィルタに送る塗料ミスト含有空気中のプレコート粉体剤の分布を一層均一化することができる。
【0100】
また、この構成によれば、塗料ミスト含有空気に含まれる塗料ミストがプレコート粉体剤との混合状態で空気導入筒部の傾斜底壁に堆積したとしても、傾斜壁面の傾斜をもって、また、前述の如く傾斜底壁上にプレコート粉体剤層がある場合には、その粉体剤層による付着防止効果とも相俟って、その混合状態の堆積物を速やかに空気導入筒部からフィルタ装置の側へ排除することができ、このことからも、フィルタ装置の運転を良好かつ安定的に維持し得るとともに、空気導入筒部に対する清掃などのメンテナンスも容易にすることができる。
【0101】
なお、上記構成の実施においては、乾式フィルタの下方で空気導入筒部の出口側開口より低い位置に搬出手段を設け、乾式フィルタから剥離して落下した剥離混合物を搬出手段により受け止めた状態で排気口長手方向(側壁横幅方向)に搬送してフィルタ装置の外部に搬出する構成にするのが望ましい。
【0102】
つまり、塗料ミスト含有空気に含まれる塗料ミストと塗料ミスト含有空気に混合したプレコート粉体剤との混合物からなる乾式フィルタ表面上の捕集物堆積層(換言すれば、乾式フィルタの表面に形成されるプレコート粉体剤からなる保護層に捕集塗料ミストが混合した堆積層)がある程度成長すると適当な手段により、その捕集物堆積層を乾式フィルタから剥離させて乾式フィルタを再生するが、上記の如き搬出手段を設ければ、このフィルタ再生で落下する剥離混合物や、通常運転中において自ずと乾式フィルタから剥離して落下する剥離混合物を能率良く搬出することができる。
【0103】
また、空気導入筒部を通過した後、乾式フィルタに至るまでの過程で塗料ミストとプレコート粉体剤とが結合して生じる落下混合物や、乾式フィルタに至るまでの過程で落下してしまうプレコート粉体剤なども、乾式フィルタから落下する剥離混合物とともに搬出手段によりフィルタ装置の外部に搬出することができ、これにより、フィルタ装置に対するメンテナンスも容易にすることができる。
【0104】
さらに上記構成の実施においては、空気導入筒部の出口側開口における下縁部から上記搬出手段の側へ水平姿勢で突出する舞い上がり防止用案内板を設けるのが望ましい。
【0105】
つまり、このような舞い上がり防止用案内板を設けることにより、空気導入筒部を通過した塗料ミスト含有空気の気流が搬出手段に対して影響を及ぼすことを舞い上がり防止用案内板により防止した状態で、塗料ミスト含有空気を上方へ向き変化させて乾式フィルタに向わせることができる。
【0106】
即ち、乾式フィルタの下方において搬出手段により搬出する混合物中の軽量な粉状分が空気導入筒部を通過した塗料ミスト含有空気により舞い上げられてしまうことを舞い上がり防止用案内板により防止することができ、これにより、プレコート剤ノズルから供給した新鮮なプレコート粉体剤のみが混合された塗料ミスト含有空気を乾式フィルタに送って、新鮮プレコート粉体剤のみからなる良好な保護層を乾式フィルタの表面に形成することができる。
【0107】
本発明の第18特徴構成は、上記第1〜第17特徴構成のいずれかの実施において、
前記排気室がそれの直上に配置された塗装室から下向きに排出される空気及びそれに含まれる塗料ミストを受け入れて前記排気口に導く導風用室である点にある。
【0108】
つまり、この構成によれば、導風用室である排気室での排気口上縁壁面部分に対する塗料ミスト付着を前述の如く効果的に防止することができて、清掃作業の負担を軽減し得るとともに塗料塊に原因する運転トラブルを防止できることで、塗装室での塗装作業の操業率を高めることができ、塗装品の生産効率を高めることができる。
【0109】
本発明の第19特徴構成は、第1〜第15特徴構成のいずれかの実施において、
前記排気室がその室内で行なう塗装作業で発生した余剰噴霧の塗料ミストを室内空気とともに前記排気口から排出する塗装作業用室である点にある。
【0110】
つまり、この構成によれば、第18特徴構成と同様、排気室での排気口上縁壁面部分に対する塗料ミスト付着を前述の如く効果的に防止することができて、清掃作業の負担を軽減し得るとともに塗料塊に原因する運転トラブルを防止できることで、塗装作業用室である排気室での塗装作業の操業率を高めることができ、塗装品の生産効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】塗装ブースの横断面図
【図2】塗装ブースの側面視断面図
【図3】要部の概略断面図
【図4】要部の構造図
【図5】他の実施形態を示す塗装ブースの横断面図
【図6】他の実施形態を示す簡易塗装ブースの断面図
【図7】他の実施形態を示す要部の概略断面図
【図8】他の実施形態を示す要部の正面図
【図9】他の実施形態を示す要部の概略断面図
【図10】他の実施形態を示す排気口部分の概略断面図
【図11】塗料ミストの付着状態を示す比較図
【図12】従来の塗装ブースの横断面図
【発明を実施するための形態】
【0112】
図1,図2は塗装ブースを示し、この塗装ブースは被塗物1(本例では自動車ボディ)を塗装ガンGにより塗装する塗装室2を備え、この塗装室2には被塗物1を搬送する搬送装置3を装備してある。
【0113】
塗装室2は被塗物1の搬送方向(図1における奥行き方向)に延びるトンネル状の空間にしてあり、この塗装室2にはトンネル状の室内全体に対して温湿度調整した換気用空気SAが天井部2aから供給される。
【0114】
塗装室2の下方には、塗装室2と同じく被塗物1の搬送方向に延びる導風用室としての排気室4を形成してあり、この排気室4は、塗装室2に対する換気用空気SAの供給に伴い塗装室2から格子床2bを通じて下向きに排出される排出空気EAを受け入れる。
【0115】
この排出空気EAには塗装室2での塗装作業において生じた余剰噴霧(オーバースプレー)の浮遊塗料ミストが含まれており、塗装室2の天井部2aから換気用空気SAを供給するのに伴いピストン流的に塗装室2の室内空気EAを下方の排気室4へ排出することで、塗装室2において生じる浮遊塗料ミストを迅速かつ確実に塗装室2から排除し、これにより、被塗物1の塗装品質を高く保つとともに塗装室2の作業環境を良好に保つ。
【0116】
排気室4の室幅は塗装室2の室幅よりも小さくして、塗装室2の下方で排気室4の両横側には窪み部17を形成し、これら窪み部17には、塗料ミスト処理装置の一例であるフィルタ装置5を排気室4の側壁4aに近接させた状態で被塗物1の搬送方向である塗装ブース長手方向に並べて並置してある(上記近接状態は側壁4aをフィルタ装置5の排気室側の装置ケース部分に兼用する場合も含む)。
【0117】
即ち、塗装室2からの排出空気EAは排気室4への受け入れに続き、これらフィルタ装置5に送り、これらフィルタ装置5に内装したバグフィルタ8(乾式フィルタの一例)より排出空気EAに含まれる塗料ミストを捕集して排出空気EAを浄化する。
【0118】
また、フィルタ装置5で浄化した排出空気EAは各フィルタ装置5の上部に接続した排気ダクト6を通じて排気ファン7により外部へ排出(又は、換気用空気SAとして空調機を通じ塗装室2へ還送)する。
【0119】
なお、各フィルタ装置5には複数のバグフィルタ8を垂下姿勢でかつ平面視において縦列状態に配置して内装してある。
【0120】
排気室4の両側壁4aには、排気室4の底壁4b近くで側壁4aの横幅方向(即ち、塗装ブース長手方向)に延びるスリット状又は長方形状の排気口10aを所定間隔で側壁4aの横幅方向に一列状に並べて設けてあり、各排気口10aからは排気口10aと同様のスリット状又は長方形状の断面形状を有する空気導入筒部10をフィルタ装置5の側に延出させてある。
【0121】
これら空気導入筒部10は隣り合う2本ずつを各フィルタ装置5の装置ケース9における排気室側ケース部分9aの下部に接続して、内装のバグフィルタ8よりも下方でフィルタ装置5の内部に開放させてあり、排気室4に受け入れた排出空気EAは、これら排気口10aから空気導入筒部10を通じて各フィルタ装置5に導入する。
【0122】
即ち、装置ケース9の上端部に接続した排気ダクト6を通じて排気ファン7により付与される吸引力により、塗装室2からの排出空気EA(塗料ミスト含有空気)を排気室4から排気口10a及び空気導入筒部10を通じてフィルタ装置5に導入する。
【0123】
空気導入筒部10には、そこを通過する排出空気EA(即ち、バグフィルタ8に送る塗料ミスト含有空気)にフィルタ用のプレコート粉体剤Pを混合するプレコート剤ノズル11を装備してあり、このプレコート剤ノズル11から噴出したプレコート粉体剤Pを排出空気EAとともにバグフィルタ8に送ることで、バグフィルタ8の表面にプレコート粉体剤Pからなる保護層(具体的には、排出空気EA中の塗料ミストが分散状態で混じったプレコート粉体剤Pの堆積層)を形成する。
【0124】
つまり、塗料ミストがバグフィルタ8の表面に直接に付着することを上記保護層により防止した状態で排出空気EA中の塗料ミストをバグフィルタ8により捕集する。
【0125】
空気導入筒部10における上壁の内面側には、図3に示す如く、排気口10aの長手方向視(塗装ブース長手方向視)における断面形状が下向きに開く凹状断面形状の滞留用凹部12を排気口10aの長手方向(側壁4aの横幅方向)に連続させて形成してあり、空気導入筒部10における空気通過方向において、この滞留用凹部12の上流側端縁には、排気室4の側壁4aに連なる縦姿勢の上流側垂れ壁12aを設け、同様に、この滞留用凹部12の下流側端縁には縦姿勢の下流側垂れ壁12bを設けてある。
【0126】
また、空気導入筒部10における空気通過方向において空気導入筒部10の底壁13(下壁)における上流側端縁には、滞留用凹部12の上流側端縁(即ち、上流側垂れ壁12a)に向かって立ち上がる縦姿勢の上流側立上り壁13aを設けてある。
【0127】
空気導入筒部10の出口側開口10b(即ち、下流側垂れ壁12bの下端部と底壁13の下流側端部13bとの間に形成される開口)は、空気導入筒部10の入口側開口である排気口10a(即ち、上流側垂れ壁12aの下端部と上流側立上り壁13aの上端部との間に形成される開口)より低い位置に配置してあり、空気導入筒部10の内部に形成する空気導入風路及びその風路の底壁(即ち、空気導入筒部10の底壁13)は、空気通過方向の下流側ほど低くなる先下がりの傾斜風路及び傾斜底壁にしてある。
【0128】
即ち、空気導入筒部10における先下がり傾斜の空気導入風路を通過させた排出空気EAはフィルタ装置5の内部において上方の乾式フィルタ8に向う上向き気流状態に急激に向き変化させるようにしてある。
【0129】
このような構造にした空気導入筒部10において、プレコート粉体剤Pを圧縮空気とともに噴出するプレコート剤ノズル11は、空気導入筒部10の排気口長手方向(横幅方向)における中央箇所で滞留用凹部12の奥部内面に向けてプレコート粉体剤P及び圧縮空気を噴出させる状態に配置してある。
【0130】
換言すれば、プレコート剤ノズル11は、空気導入筒部10の排気口長手方向(横幅方向)における中央箇所で滞留用凹部12の奥部内面にプレコート粉体剤P及び圧縮空気を衝突させる状態に配置してある。
【0131】
つまり、このように滞留用凹部12の奥部内面に向けてプレコート粉体剤Pを圧縮空気とともに噴出することにより、プレコート粉体剤Pを伴う空気流の適当時間にわたる渦流的な滞留(図中塗り潰しの矢印で示す如き渦流的な滞留)が滞留用凹部12において生じるようにする。
【0132】
即ち、この渦流的な滞留により、攪拌を伴いながらプレコート粉体剤Pを排気口長手方向(即ち、空気導入筒部10の横幅方向)に連続する滞留用凹部12において排気口長手方向に拡散させ、そして、この拡散したプレコート粉体剤Pを空気導入筒部10における排出空気EAの通過流に徐々に取り込ませる形態で、排気口長手方向(空気導入筒部10の横幅方向)において均一な分散状態で排出空気EAの通過流にプレコート粉体剤Pを混合する。
【0133】
また、滞留用凹部12における上流側垂れ壁12a及び傾斜底壁13における上流側立上り壁13aにより排出空気EAの通過風速を空気導入筒部10の上下方向でも均等化した状態で、滞留用凹部12における上流側垂れ壁12a及び下流側垂れ壁12bの夫々により滞留用凹部12における拡散状態のプレコート粉体剤Pを空気をとともに下向きに案内して、プレコート粉体剤Pを空気導入筒部10の高さ方向(短辺方向)についても効果的に分散させるとともに、下流側垂れ壁12bによる案内で形成した下向き流の傾斜底壁13に至った後の上流側への反転流成分により、プレコート粉体剤Pの一部を傾斜底壁13上に拡げた状態に保持して、傾斜底壁13への塗料ミストの付着を防止する傾斜底壁13上のプレコート粉体剤層を安定的に維持する。
【0134】
そしてまた、空気導入筒部10の出口側開口10bを入口側開口である排気口10aより低位にして、空気導入筒部10を先下がりの斜め下向きに通過させた排出空気EAを前述の如く上向き気流状態へ大きく向き変化させて上方のバグフィルタ8に向わせることで、排出空気EAに混合したプレコート粉体剤Pの排出空気EA中での拡散を一層促進する。
【0135】
プレコート剤ノズル11の噴出口11aは空気導入筒部10の空気通過方向において滞留用凹部12の中央部よりも下流側寄りの位置でほぼ鉛直上方向きに配置してあり、これに対し、滞留用凹部12の奥部内面のうちプレコート粉体剤P及び圧縮空気を衝突させる部分は傾斜底壁13とほぼ平行姿勢の傾斜面12cにし、この傾斜面12cに対しプレコート剤ノズル11の噴出中心軸芯が斜交する(即ち、滞留用凹部12の奥部内面に対してプレコート粉体剤P及び圧縮空気を斜め向きに衝突させる)配置関係にしてある。
【0136】
即ち、この斜交配置により、プレコート剤ノズル11から噴出したプレコート粉体剤Pが滞留用凹部12の奥部内面に付着堆積することを防止するとともに、前述の渦流的な滞留域を主に滞留用凹部12における上流側部分で形成して、空気導入筒部10を通過する排出空気EAにプレコート粉体剤Pを混入する箇所を混入後における拡散時間の確保のために滞留用凹部12の上流端側へ偏らせるようにしてある。
【0137】
フィルタ装置5の内部においてバグフィルタ8の下方で空気導入筒部10の出口側開口10bより低い箇所には搬出手段としてのベルトコンベア14を設けてあり、このベルトコンベア14は塗装ブース長手方向に一列状に並ぶ複数のフィルタ装置5にわたらせて設けてある。
【0138】
即ち、バグフィルタ8の表面から剥離して落下する捕集堆積物(即ち、塗料ミストとプレコート粉体剤Pとの混合物)や、バグフィルタ8に至る過程でプレコート粉体剤Pと塗料ミストとが結合して生じる落下混合物などを、このベルトコンベア14により受け止めた状態で塗装ブース長手方向に搬送して各フィルタ装置5から搬出する。
【0139】
図中19は、ベルトコンベア14による搬出物を受け入れる回収ホッパであり、この回収ホッパ19に受け入れた搬出物は空気搬送などにより所定の回収部に送る。
【0140】
また、フィルタ装置5の内部においてバグフィルタ8の上方近傍には圧縮空気をパルス的に噴出する剥離装置15を装備してあり、塗料ミストとプレコート粉体剤Pとの混合物からなるバグフィルタ8表面上の捕集物堆積層がある程度成長すると、この剥離装置15により各バグフィルタ8に対して空気通過方向の下流側から圧縮空気をパルス的に作用させ、これにより、捕集物堆積層をバグフィルタ8の表面から強制的に剥離させてベルトコンベア14上に落下させる。
【0141】
空気導入筒部10における傾斜底壁13の下流側端からはベルトコンベア14の上方域へ水平姿勢で突出する舞い上がり防止用案内板16を連設してあり、空気導入筒部10を通過した排出空気EAをこの舞い上がり防止用案内板16による案内の下で上方のバグフィルタ8に向わせることで、ベルトコンベア14上に受け止めた落下混合物のうちの軽量な粉状分が排出空気EAにより舞い上げられてしまうことを防止する。
【0142】
一方、排気室4の側壁4aにおいて各排気口10aの上側近傍箇所には、塗料ミスト付着防止用の空気Aを排気室4の内部へ斜め下向きに吐出するスリット状の空気吐出口20を排気口10aの長手方向の全長にわたらせる状態に配置して設け、この空気吐出口20からの空気吐出により側壁4aにおける排気口10a周縁の壁面部分(特に、側壁4aの一部となる上流側垂れ壁12aの排気室内側壁面などに代表される排気口10a上縁の壁面部分)に対する塗料ミストの付着堆積を防止するようにしてある。
【0143】
つまり、排気室4では塗装室2から受け入れた排出空気EA(塗料ミスト含有空気)が側壁4a下部の排気口10aに集中して高速状態で排気口10aに吸い込まれるため、また、排気室4の上部から下向きに流れて排気口10aに至った排出空気EAが水平向き側へ急激に向き変化して排気口10aに吸い込まれるため、側壁4aにおける排気口10a周縁の壁面部分(特に、上記の如き排気口10a上縁の壁面部分)に塗料ミストが付着堆積し易い。
【0144】
また、このような塗料ミストの付着堆積で排気口10a周縁の壁面部分に塗料塊が形成され、この塗料塊の存在による気流の乱れが原因で空気導入筒部10における滞留用凹部12でのプレコート粉体剤Pの拡散機能が低下したり、排気口10aの高速通過気流により剥がされた塗料塊がバグフィルタ8まで運び去られてバグフィルタ8に目詰まりが生じるなどのトラブルが発生することもある。
【0145】
これに対し、上記の如く排気口10aの上側近傍箇所において空気吐出口20から排気室4の内部へ空気Aを吐出させることで、排気口10aに集中する排出空気EA(特に、排気室4の上部から排気口10aに至る排出空気)と、側壁4aにおける排気口上縁壁面部分(空気吐出口20を含む)との間に、空気吐出口20からの吐出空気Aが空気層の形で介在するようにし、この介在空気層により排気口10a周縁の壁面部分(特に、排気口10a上縁の壁面部分)に対する塗料ミストの付着堆積を防止する。
【0146】
排気室4の側壁4aに空気吐出口20を設けるのに具体的には、図4に示す如く、側壁4a(側壁本体部)に吐出口形成用の開口21を設け、この吐出口形成用の開口21を通じて給気ボックス22の内部を排気室4内に開放させる状態で、給気ボックス22を側壁4aの背面側に配置して側壁4aに取り付けてある。
【0147】
そして、空気吐出口20を形成した吐出口形成壁部分24(側壁4aの一部)を、それにより吐出口形成用の開口21及びそれに対向する給気ボックス22のボックス開口22aを閉塞する状態で排気室4の内部から側壁4aに着脱自在に取り付けてある。
【0148】
換言すれば、空気吐出口20を形成した吐出口形成壁部分24を給気ボックス22のボックス開口22aに対する蓋体として側壁4aに着脱自在に取り付けてある。
【0149】
また、吐出口形成壁部分24には、空気吐出口20と同様、排気口長手方向(横幅方方向)に延びるスリット状の断面形状を有する扁平角筒状の気流案内筒25を空気吐出口20から給気ボックス22の内部へ斜め上向きの傾斜状態で直線的に延出させる状態に取り付けてある。
【0150】
給気ボックス22には、空気供給用の給気路26に対する接続口27を側壁4aの背面側に配置して設けるとともに、給気ボックス22の内部において接続口27の形成箇所を局部的に囲う状態に配置した目の粗い前段の多孔状分散板28a(例えば開口率が10%程度のパンチング板)、及び、その前段多孔状分散板28aと気流案内筒25との間で給気ボックス22の縦断面の全面にわたらせた目の細かい後段の多孔状分散板28b(例えば開口率が3%程度のパンチング板)を設けてある。
【0151】
つまり、この構造では、給気路26を通じて接続口27から給気ボックス22の内部に供給される空気Aを給気ボックス22内の静圧をもって空気吐出口20から斜め下向きに吐出させるようにしてあり、空気吐出口20(具体的にはそれの形成部材)が排気室4内に突出しない構造にしながら、空気吐出口20から給気ボックス22の内部へ直線的に延出させる気流案内筒25の傾斜角度を設定することで、空気吐出口20からの空気Aの吐出向きを所望傾斜角度の斜め下向きに規定するようにしてある。
【0152】
また、給気路26を通じて給気ボックス22の内部に供給される空気Aを前段及び後段の多孔状分散板28a,28bに通過させることで、給気ボックス22の内部における空気流の分布を給気ボックス22の縦断面方向において均一化し、これにより、空気吐出口20における吐出空気Aの分布(特に、空気吐出口20の長手方向(横幅方向)における分布)を均一化する。
【0153】
即ち、このように空気吐出口20からの空気Aの吐出向きを規定するとともに、空気吐出口20における吐出空気Aの分布を均一化することで、側壁4aにおける排気口周縁壁面部分(特に、排気口上縁壁面部分)に対する塗料ミストの付着堆積を排気口10aの長手方向の全長にわたって効果的かつ確実に防止する。
【0154】
なお、空気吐出口20からの空気吐出風量は排気口10aからの空気吸込風量の1%〜20%にするのが望ましく、また、空気吐出口20における空気吐出風速は0.2m/s〜10m/sにするのが望ましい。
【0155】
〔その他の実施形態〕
図5は前述実施形態の塗装ブースとは構造が異なる塗装ブースを示し、この塗装ブースでは、上方の塗装室2の室幅とほぼ同じ室幅にした排気室4の両横外側において、フィルタ装置5を排気室4の側壁4aに近接させた状態で塗装ブース長手方向に一列状に並べて並置してある。
【0156】
そして、側壁4aの下部に設けるスリット状又は長方形状の排気口10a、各排気口10aからフィルタ装置5の側に延出させる空気導入筒部10、滞留用凹部12の内面に向けてプレコート粉体剤Pを噴出するプレコート剤ノズル11、各排気口10aの上側近傍箇所で側壁4aに設ける空気吐出口20などについては、前述の実施形態と同様の構成にしてある。
【0157】
図6は簡易塗装ブースを示し、この簡易塗装ブースでは、前述の如きスリット状又は長方形状の排気口10aを設ける排気室4そのものを塗装作業用室として、その室内で塗装ガンGにより塗装作業を行い、この塗装作業において生じる余剰噴霧の塗料ミストを含む室内空気EAを排気口10aから排出する。
【0158】
排気口10aは被塗物1に対して塗装ガンGとは反対側の側壁4aにおいて排気室4の底壁4b近くに形成してあり、この排気口10aを通じて排気室4からの排出空気EAを導入するフィルタ装置5は、排気口10aを形成した側壁4aをフィルタ装置5の排気室側の装置ケース部分に兼用利用した状態で排気室4に隣接させてある。
【0159】
また、この簡易塗装ブースでは、フィルタ装置5におけるバグフィルタ8から剥離して落下する捕集混合物などを受け止める手段として前述の如きベルトコンベア14に代え回収容器29をフィルタ装置15の下部に配置してある。
【0160】
そして、排気口10aからフィルタ装置5の側に延出させる空気導入筒部10、滞留用凹部12の内面に向けてプレコート粉体剤Pを噴出するプレコート剤ノズル11、各排気口10aの上側近傍箇所で側壁4aに設ける空気吐出口20などについては、前述の実施形態と同様の構成にしてある。
【0161】
図7は空気吐出口20の他の実施形態を示し、空気吐出口20を設けるにあたり図7(a)に示す如く、塗料ミスト付着防止用の補助粉体剤P′を排気室4の内部へ噴出する補助剤噴出口30を、側壁4aにおける排気口10aとその上側の空気吐出口20との間の部分で排気口10aの長手方向(図面奥行き方向)における中央箇所に設けるようにしてもよい。
【0162】
この補助剤噴出口30から噴出した補助粉体剤P′は、空気吐出口20から吐出した後の空気Aに混合され、空気吐出口20からの吐出空気Aとともに側壁4aにおける排気口10a周縁の壁面部分(特に、排気口10a上縁の壁面部分)に対する塗料ミストの付着を防止する。
【0163】
換言すれば、補助剤噴出口30から噴出した補助粉体剤P′は、空気吐出口20からの空気吐出により、排気室4上部から排気口10aに至る塗料ミスト含有空気EAと排気口上縁壁面部分との間に形成される前述の介在空気層に混入にして、その介在空気層との協働により排気口10a周縁壁面部分に対する塗料ミスト付着を防止する。
【0164】
即ち、この補助剤噴出口30は空気吐出口20から吐出した後の空気Aに塗料ミスト付着防止用の補助粉体剤P′を混合する補助剤混合手段として機能する。
【0165】
なお、空気吐出口20からの吐出空気Aに補助粉体剤P′を混合する補助剤混合手段は、例えば、給気ボックス22の内部に補助粉体剤P′を吹き込むボックス内噴出手段を採用するなど、場合によっては、空気吐出口20から吐出する前の空気Aに補助粉体剤P′を混合するものにしてもよい。
【0166】
また、排気口10aに続く空気導入筒部10において滞留用凹部12の内面に向けてフィルタ用のプレコート粉体剤Pを噴出するプレコート剤ノズル11を設ける場合、そのプレコート粉体剤Pと同じ粉体剤を補助粉体剤P′として用いるようにしてもよい。
【0167】
図7(b)に示す如く、空気吐出口20は比較的大きな開口面積を有するものにして排気室4の内部へ水平向きに空気吐出するものにしてもよい。
【0168】
また、この場合、給気ボックス22の内部に給気ボックス22の縦断面の全面にわたる多孔分散板28bを設けるのに代えて、同図7(b)に示す如く、空気吐出口20の開口面にその全面にわたる多孔状散気板31を設け、これにより、空気吐出口20における吐出空気Aの分布を均一化するようにしてもよい。
【0169】
図7(c)に示す如く、空気吐出口20を上下方向に並べて複数設けるようにしてもよい。
【0170】
この構成は、同図7(c)に示す如く複数の空気吐出口20をいずれも斜め下向きに空気吐出するものにする場合に好適であるが、水平向きに空気吐出する空気吐出口20と斜め下向きに空気吐出する空気吐出口20とを上下方向に並べて設けるようにしたり、水平向きに空気吐出する空気吐出口20を上下方向に複数並べて設けるようにしてもよく、また場合によっては、水平向き又は斜め下向きに空気吐出する空気吐出口20と後述の如く下向きに空気吐出する空気吐出口20とを上下方向に並べて設けるようにしたり、下向きに空気吐出する空気吐出口20を上下方向に複数並べて設けるようにしてもよい。
【0171】
また、このように複数の空気吐出口20を上下方向に並べて設ける場合、それら複数の空気吐出口20に対する給気ボックス22は同図7(c)に示す如く共用のものにするのが望ましい。
【0172】
図8に示す如く、排気口10aの上側近傍箇所から排気室4の内部へ水平向きに又は斜め下向きに又は下向きに塗料ミスト付着防止用の空気Aを吐出する前記空気吐出口20(即ち、上部空気吐出口)を設けるのに加えて、排気口10aの両横側近傍箇所から排気室4の内部へ水平向きに又は斜め下向きに又は排気口10aの側に傾く斜め横向きに又は排気口10aの側に向く横向きに塗料ミスト付着防止用の空気Aを吐出する側部空気吐出口20Aを設ける構成にしてもよい。
【0173】
また、この場合、同図8に示す如く、上部空気吐出口20と側部空気吐出口20Aのいずれも、その開口面に設けた多孔状散気板31(図7(b)参照)を通じて水平向きに空気吐出するものにし、上部空気吐出口20の開口面と側部空気吐出口20Aの開口面とが連続するものにしてもよい。
【0174】
また、上部空気吐出口20に対する給気ボックス22と側部空気吐出口20Aに対する給気ボックス22とは共用のものにしてもよい。
【0175】
図9は空気吐出口20のさらに他の実施形態を示し、図9(a)に示す如く、給気ボックス22を排気室4の室内側に配置して側壁4aに取り付け、この給気ボックス22の下壁部(下面部)に設けた空気吐出口20から排気室4の内部へ下向きに空気吐出させるようにしてもよい。
【0176】
また、この場合、図9(b)に示す如く、給気ボックス22の上壁部22bをそれの下側ほど排気室4の内方に寄る傾斜上壁部にし、これにより、下向き空気吐出口20の形成部材である給気ボックス22への塗料ミスト付着を防止するようにしてもよい。
【0177】
即ち、この傾斜上壁部22bによる気流案内により、排気室4の上部から側壁4aに沿う状態で下向きに流れる室内空気EAがそれに含まれる塗料ミストとともに空気吐出口20の形成箇所において空気吐出口20の形成部材(給気ボックス22)をかわす分だけ排気室内方側へ緩く滑らかに向き変化するようにし、これにより、空気吐出口20の形成部材に対する塗料ミスト付着を防止する。
【0178】
上記の如き側部空気吐出口20Aに加えて又は代えて、排気口10aの下側近傍箇所から排気室4の内部に水平向きに又は斜め上向きに又は上向きに塗料ミスト付着防止用の空気を吐出する下部空気吐出口を上部空気吐出口20とともに排気室4の側壁4aに設けるようにしてもよい。
【0179】
排気口10aから延出させる空気導入筒部10に設ける滞留用凹部12の排気口長手方向視(横幅方向視)における具体的断面形状は各種の多角形形状や弧状形状など種々の構成変更が可能であり、また、図10の(a),(b)に示す如く、滞留用凹部12の奥部にさらに凹部を備えさせる形状や図10の(c)に示す如く滞留用凹部12における奥部内面の全てを下流側ほど低位となる傾斜面にする形状などを採用してもよい。
【0180】
また、滞留用凹部12の内面に向けてプレコート粉体剤Pを噴出するプレコート剤ノズル11の配備姿勢も、その噴出中心軸芯が滞留用凹部12の内面に対して斜交ないし直交する各種姿勢を採用することができ、図10の(a)〜(c)に示す如き姿勢に配置してもよい。
【0181】
排気口10aから延出させる空気導入筒部10の排気口長手方向視(横幅方向視)における具体的な断面形状及び構造は前述の実施形態に示した形状及び構造に限らず、上壁内面側に設ける滞留用凹部12との関係において種々の構成変更が可能であり、場合によっては、入口側開口である排気口10aと出口側開口10bとを同じ高さに配置したり、逆に出口側開口10bを排気口10aより高位置に配置するなどしてもよい。
【0182】
フィルタ用のプレコート粉体剤Pや塗料ミスト付着防止用の補助粉体剤P′としては、炭酸カルシウム粉体、苛性ソーダ粉体、消石灰粉体、水酸化カルシウム粉体、ケイ酸カルシウム粉体、ゼオライト粉体、岩粉、アルミニウム酸化物粉体、シリコン酸化物粉体、粉体塗料など、塗料ミストの性状に応じて種々の粉体状物質を使用することができ、特に、塗料ミストとの結合により塗料ミストの粘着性を低減し得るものや、脱臭効果、殺菌効果などを備えるものが好ましい。
【0183】
排気口10aを通じて排気室4から塗料ミスト含有空気EAを導入する塗料ミスト処理装置は、種々の形式の乾式フィルタ8を備える乾式のフィルタ装置5に限られるものではなく、塗料ミスト捕集用の濾材を水などの洗浄用液により洗浄して再生する湿式のフィルタ装置や、散布液により塗料ミストを捕集するスクラバ装置など、排気口10aの通過空気EAに含まれる塗料ミストに対して捕集処理や無害化処理などの種々の処理を施すものであれば、どのような装置であってもよい。
【実施例1】
【0184】
図11は空気吐出口20を設けない従来の排気設備と空気吐出口20を設けた排気設備との比較結果を示し、図11(a)は空気吐出口20を設けない排気設備の側面視断面図と正面図、図11(b)は前述の実施形態で示した空気吐出口20(上部空気吐出口)を設けた排気設備の側面視断面図と正面図、図11(c)は図8に示す如き上部空気吐出口20と側部空気吐出口20Aとを設けた排気設備の側面視断面図と正面図であり、いずれも黒色濃度の高い部分ほど塗料ミスト濃度が高いことを示している。
【0185】
この図11による比較結果から判るように、空気吐出口20を設けない図11(a)に示される従来の排気設備では、排気口10a周縁の壁面部分に対する塗料ミスト付着が多いのに対して、空気吐出口20(上部空気吐出口)を設けた図11(b)に示される排気設備では、排気口10a上縁の壁面部分に対する塗料ミスト付着が効果的に低減している。
【0186】
また、上部空気吐出口20と側部空気吐出口20Aを設けた図11(c)に示される排気設備では、排気口10a上縁の壁面部分に対する塗料ミスト付着が効果的に低減するとともに、排気口10a両横縁の壁面部分に対する塗料ミスト付着も効果的に低減している。
【産業上の利用可能性】
【0187】
本発明による排気設備は、塗装ブースを初め、塗料ミストを含む空気の排気処理が必要な施設であれば、各種分野における種々の施設において利用することができる。
【符号の説明】
【0188】
4 排気室
4b 底壁
4a 側壁、側壁本体部
10a 排気口
EA 塗料ミストを含む空気
5 塗料ミスト処理装置,フィルタ装置
A 塗料ミスト付着防止用の空気
20 空気吐出口
24 吐出口形成壁部分,蓋体
22 給気ボックス
22a ボックス開口
26 給気路
27 給気路接続部
25 気流案内筒
28b 多孔状分散板
31 多孔状散気板
P′ 塗料ミスト付着防止用の補助粉体剤
30 補助剤混合手段
20A 側部空気吐出口
8 乾式フィルタ
10 空気導入筒部
12 滞留用凹部
P フィルタ用のプレコート粉体剤
12c 滞留用凹部の傾斜内面
11 プレコート剤ノズル
12a 上流側垂れ壁
12b 下流側垂れ壁
10b 出口側開口
13 空気導入筒部の底壁
2 塗装室

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気室の底壁近くで排気室の側壁に、この側壁の横幅方向を長手方向とするスリット状又は長方形状の排気口を設け、塗料ミストを含む排気室内の空気を前記排気口から吸い込んで塗料ミスト処理装置に導く排気設備であって、
前記排気口の上側近傍箇所から前記排気室の内部へ塗料ミスト付着防止用の空気を吐出する空気吐出口を、前記排気口の長手方向の全長にわたらせる状態に配置して前記側壁に設けてある排気設備。
【請求項2】
前記空気吐出口は、塗料ミスト付着防止用の空気を前記排気室の内部へ水平向きに又は斜め下向きに吐出する構成にしてある請求項1記載の排気設備。
【請求項3】
前記空気吐出口は、塗料ミスト付着防止用の空気を前記排気室の内部へ下向きに吐出する構成にしてある請求項1記載の排気設備。
【請求項4】
前記側壁のうち前記空気吐出口を形成した壁部分である吐出口形成壁部分により給気ボックスのボックス開口を閉塞する状態で、その給気ボックスを前記側壁の背面側に配置して前記側壁に取り付け、
給気路を通じて前記給気ボックスの内部に供給する空気を前記空気吐出口から前記排気室の内部へ吐出させる構成にしてある請求項1〜3のいずれか1項に記載の排気設備。
【請求項5】
前記吐出口形成壁部分を前記ボックス開口に対する蓋体として前記側壁の本体部に着脱自在に取り付けてある請求項4記載の排気設備。
【請求項6】
前記空気吐出口から前記給気ボックスの内部へ直線的に延出させた気流案内筒を設け、
この気流案内筒を通じて前記給気ボックス内の空気を前記空気吐出口に送ることで前記空気吐出口からの空気の吐出向きを規定する構成にしてある請求項4又は5記載の排気設備。
【請求項7】
前記給気ボックスの内部で前記給気路の接続部と前記気流案内筒との間に、前記給気ボックスの縦断面の全面にわたる多孔状分散板を設けてある請求項6記載の排気設備。
【請求項8】
前記空気吐出口に、その開口面の全面にわたる多孔状散気板を設けてある請求項1〜5のいずれか1項に記載の排気設備。
【請求項9】
塗料ミスト付着防止用の補助粉体剤を前記空気吐出口から吐出した後の空気又は前記空気吐出口から吐出する前の空気に混合する補助剤混合手段を設けてある請求項1〜8のいずれか1項に記載の排気設備。
【請求項10】
前記空気吐出口からの空気吐出風量を前記排気口からの空気吸込風量の1%〜20%にしてある請求項1〜9のいずれか1項に記載の排気設備。
【請求項11】
前記空気吐出口における空気吐出風速を0.2m/s〜10m/sにしてある請求項1〜10のいずれか1項に記載の排気設備。
【請求項12】
前記空気吐出口を上下方向に並べて複数設けてある請求項1〜11のいずれか1項に記載の排気設備。
【請求項13】
前記排気口の両横側近傍箇所から前記排気室の内部へ塗料ミスト付着防止用の空気を吐出する側部空気吐出口を、前記排気口の高さ方向の全幅にわたらせる状態に配置して前記側壁に設けてある請求項1〜12のいずれか1項に記載の排気設備。
【請求項14】
前記塗料ミスト処理装置として、空気中の塗料ミストを乾式フィルタにより捕集するフィルタ装置を前記排気室の室外側で前記側壁に近接させた状態に配置して前記排気口の出口側に接続し、
前記排気口から前記フィルタ装置の側に延出させた空気導入筒部の上壁における内面側に、前記排気口の長手方向視における断面形状が下向きに開く凹状断面形状の滞留用凹部を前記排気口の長手方向に連続させて形成し、
前記排気口から前記空気導入筒部を通じて前記フィルタ装置に導入する空気に混合するフィルタ用のプレコート粉体剤を前記排気口の長手方向における所定箇所で前記滞留用凹部の内面に衝突させる状態に、前記滞留用凹部の内面に向けてプレコート粉体剤を空気とともに噴出するプレコート剤ノズルを設け、
この噴出により、前記滞留用凹部においてプレコート粉体剤及び空気の渦流的な滞留を生じさせる構成にしてある請求項1〜13のいずれか1項に記載の排気設備。
【請求項15】
前記プレコート剤ノズルは、プレコート粉体剤及び空気を前記滞留用凹部の内面に対して斜め向きに衝突させる状態に配置してある請求項14記載の排気設備。
【請求項16】
前記空気導入筒部における空気通過方向において前記滞留用凹部の上流側端縁に縦姿勢の上流側垂れ壁を設けるとともに、
前記空気導入筒部における空気通過方向において前記滞留用凹部の下流側端縁に縦姿勢の下流側垂れ壁を設け、
前記滞留用凹部でのプレコート粉体剤及び空気の渦流的な滞留において前記上流側垂れ壁に至ったプレコート粉体剤及び空気を前記上流側垂れ壁により下向きに案内するとともに、
前記滞留用凹部でのプレコート粉体剤及び空気の渦流的な滞留において前記下流側垂れ壁に至ったプレコート粉体剤及び空気を前記下流側垂れ壁により下向きに案内する構成にしてある請求項14又は15記載の排気設備。
【請求項17】
前記空気導入筒部の出口側開口を入口側開口である前記排気口より低い位置に配置して、前記空気導入筒部の内部に形成される空気導入風路、及び、その風路の底壁を空気通過方向の下流側ほど低くなる先下がりの傾斜風路及び傾斜底壁にするとともに、前記乾式フィルタを前記空気導入筒部の出口側開口より高い位置に配置し、
前記空気導入筒部の先下がり空気導入風路を通過した空気を前記フィルタ装置において前記乾式フィルタに向く上向き状態に急激に向き変化させる構成にしてある請求項14〜16のいずれか1項に記載の排気設備。
【請求項18】
前記排気室がそれの直上に配置された塗装室から下向きに排出される空気及びそれに含まれる塗料ミストを受け入れて前記排気口に導く導風用室である請求項1〜17のいずれか1項に記載の排気設備。
【請求項19】
前記排気室がその室内で行なう塗装作業で発生した余剰噴霧の塗料ミストを室内空気とともに前記排気口から排出する塗装作業用室である請求項1〜17のいずれか1項に記載の排気設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−40511(P2012−40511A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−184270(P2010−184270)
【出願日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【出願人】(000149790)株式会社大気社 (136)
【Fターム(参考)】