説明

排気RI濃度低減装置

【課題】排気ガス中のRI濃度を所望に低減させることができる排気RI濃度低減装置を提供すること。
【解決手段】本発明の排気RI濃度低減装置15では、被験者収容室S内にRIガスが漏出した場合であっても、ディレーセクション14によって空気Aの室外への排出を遅延させ、この遅延により、RIガスの放射能を減衰させるようにし、排気空気中のRI濃度を所望に低減させると共に、空気Aの流れを止めることがないようにしてガス貯留用の空間を設けることを不要とし、連続して空気Aを排出可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排気RI濃度低減装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、下記特許文献1に記載されるように、放射性同位元素(radioisotope;以下、「RI」ともいう)から成る放射性トレーサを被験者に投与するにあたり、当該放射性トレーサの準備及び配送を効率的に行うことができる陽電子放射断層撮影(Positron Emission Tomography;以下、「PET」という)装置が知られている。
【0003】
このようなPET装置では、放射性トレーサとして、例えば質量数が13の窒素や質量数が15の酸素(以下、「13N」,「15O」のように表す)等が用いられる。例えば、15Oの場合、15ガス、C15Oガス、又はC15ガス等といったRIガスが放射性トレーサとして用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−324007号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のようなPET装置による検査は、放射線管理区域である検査室内で行われる。一方、RIガスの被験者への投与は、被験者の口に取り付けられたマスク等を通して行われるのが一般的であり、この投与の際に、多少のRIガスが検査室内に漏出する場合がある。通常、検査室には換気設備が設けられるが、検査室内にRIガスが漏出した場合であっても、換気設備により検査室から排出される排気ガスは、法令上、RI濃度が所定値以下とされる必要がある。
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載されたPET装置では、このように検査室内でのRIガスの漏出が生じた場合における排気ガス中のRI濃度対策については明らかにされていなかった。そのため、排気ガス中のRI濃度が所望に低減されないおそれがあった。
【0007】
そこで本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、排気ガス中のRI濃度を所望に低減させることができる排気RI濃度低減装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る排気RI濃度低減装置は、PET装置が設置された検査室内に設けられ、検査室内から室外へ排出されるガスの流れを止めることなく、ガスの室外への排出を遅延させる排出遅延手段を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る排気RI濃度低減装置によれば、検査室内にRIガスが漏出した場合であっても、排出遅延手段によってガスの室外への排出が遅延されるため、この遅延により、RIガスの放射能を減衰させることができる。よって、排気ガス中のRI濃度を所望に低減させることができる。また、ガスの流れを止めることがないので、ガス貯留用の空間を設ける必要がなく、連続してガスを排出することができる。
【0010】
ここで、排出遅延手段はガスを通す管状部を有し、管状部は、管状部が延びる向きを変えるための曲折部を有すると、少ない設置スペースを有効に活用して、より長い管路を設けることができ、上記した放射能の減衰によるRI濃度の低減効果を好適に発揮できる。
【0011】
また、排出遅延手段は、ガスの流れ方向を変えるための第1の仕切板を有すると、ガスの流れ方向を第1の仕切板により変えることができるため、限られたスペースでガスの排出を確実に遅延させることができ、上記した放射能の減衰によるRI濃度の低減効果を好適に発揮できる。また、複雑な部品を要することなく、簡素な構成で上記効果を発揮できる。
【0012】
また、排出遅延手段は、所定の容積を有するチャンバを具備し、チャンバ内には第2の仕切板が設けられていると、第2の仕切板により、チャンバ内においてガスが短絡して流れるようなことを防止でき、ガスの排出を確実に遅延させることができる。
【0013】
また、検査室は、被験者を収容する空間である第1の区画と、第1の区画とは仕切られた空間である第2の区画とを有し、排出遅延手段は、第2の区画内に配置されていると、被験者を収容する第1の区画に排出遅延手段が露出することを防止でき、外観の向上が図られる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、排気ガス中のRI濃度を所望に低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1実施形態に係る排気RI濃度低減装置が適用されるPETシステムの概要図である。
【図2】図1中の排気RI濃度低減装置を示す概略断面図である。
【図3】第2実施形態に係る排気RI濃度低減装置を示す概略断面図である。
【図4】第3実施形態に係る排気RI濃度低減装置の概略構成を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る排気RI濃度低減装置の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図面の説明において同一要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0017】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る排気RI濃度低減装置が適用されるPETシステムの概要図である。図1に示すPETシステムMは、例えば医療機関等に設置され、被験者SBにRIから成る放射性トレーサを投与し、PET法により被験者SBを検査するためのものである。本実施形態では、15OからなるRIガス(15ガス、C15Oガス、又はC15ガス)を放射性トレーサとして用いる場合について説明する。本実施形態のPET検査では、RIガスと空気あるいは酸素ガスとが混合された状態のガスを、被験者SBに吸入させて、例えば脳における酸素代謝、局所血流量、および血液プールイメージのデータを取得する。
【0018】
図1に示すように、PETシステムMは、それぞれ異なる空間を有する3つの部屋を備えている。すなわち、PETシステムMは、サイクロトロン(図示せず)が設けられRIガスを合成するためのサイクロトロン室Cと、サイクロトロン室Cで合成されたRIガスの純度を測定するためのホットラボ室Hと、ホットラボ室Hにおいて純度が測定されたRIガスを被験者SBに投与すると共に被験者SBの体内を撮像しPET検査を行うためのPET検査室(検査室)Rと、を備えている。これら3つの部屋内には機器類が設けられており、この機器類は、部屋同士の間に敷設された配管(以下、「ライン」という)により互いに接続されている。なお、これらの各部屋は、放射線の透過を防止する放射線遮蔽壁80によって区切られている。放射線遮蔽壁80は、例えばコンクリートによって形成することが可能である。
【0019】
なお、サイクロトロン室Cの室外には、サイクロトロン室C内でのRI製造のための原料ガスを貯留するボンベ21が設けられている。以下、PETシステムMが各部屋内に備える機器類について説明する。
【0020】
サイクロトロン室C内には、ラインL1によりボンベ21に接続され、ボンベ21から供給される原料ガスをサイクロトロンにより陽子等を照射して放射化させるターゲット箱22と、ターゲット箱22の2次側においてラインL2により接続され、ターゲット箱22から供給される放射化された原料ガスを精製してRIガスにする自動合成装置23とが設けられている。自動合成装置23は、合成したRIガスをラインL3を通じてホットラボ室Hへ送出する。
【0021】
なお、ラインL1には、ターゲット箱22への入口箇所にバルブB1が設けられている。また、ラインL2には、ターゲット箱22から出た箇所に圧力計P1及びバルブB2が設けられている。
【0022】
更に、サイクロトロン室C内には、ホットラボ室Hから返送される純度測定後のRIガスをラインL4を通じて導入すると共にPET検査室Rから返送される投与後のRIガスをラインL6を通じて導入し、これらのRIガスを回収する気体回収装置26が設けられている。
【0023】
ホットラボ室H内には、ラインL3により自動合成装置23に接続され、自動合成装置23から送られたRIガスの純度を測定する純度測定装置24が設けられている。この純度測定装置24には、圧力計P2が設けられている。純度測定装置24は、純度測定後のRIガスをラインL5を通じてPET検査室Rへ送出する。また、純度測定装置24は、純度測定後のRIガスをラインL4を通じてサイクロトロン室Cへ返送する。
【0024】
PET検査室Rは、被験者SBを収容する空間である被験者収容室(第1の区画)Sと、天井12により被験者収容室Sとは仕切られ被験者収容室Sの上側に形成された空間である天井裏(第2の区画)Tとを有している。
【0025】
PET検査室Rの被験者収容室S内には、ラインL5により純度測定装置24に接続され、純度測定装置24から送られたRIガスを導入し、ラインL7を通じて当該RIガスを被験者SBに吸入させるためのガス吸入装置20と、被験者SBの身体が載せられると共に、ガス吸入装置20からのRIガスを吸入した被験者SBの体内を撮像しPET検査を行うためのPET装置10とが設置されている。ここで、ラインL7の先端には、被験者SBの口に取り付けられ、被験者SBへのRIガスの供給をスムーズに行うためのマスク11が設けられている。
【0026】
ガス吸入装置20は、マスク11を通じて被験者SBにRIガスを供給すると共に、投与後のRIガスを含んだ被験者SBの呼気をマスク11及びラインL7を通じて回収する。更に、ガス吸入装置20は、回収した被験者SBの呼気をラインL6を通じて前述した気体回収装置26へ返送する。
【0027】
更に、PET検査室Rの天井裏T内には、被験者収容室S内の空気(ガス)Aを吸引すると共にPET検査室Rの外部(室外)へ排気するための排気装置18が設けられている。
【0028】
この排気装置18は、天井12の開口部に設置された天井フィルタ13と、天井フィルタ13を通過した空気Aを導入するダクトであるラインL7と、空気Aの室外への排出を遅延させると共に空気Aに含まれ得るRIガスの濃度を低減させるための排気RI濃度低減装置15と、排気RI濃度低減装置15を経た空気Aに含まれるRIガスの一部を除去するためのフィルタ16と、空気Aを被験者収容室Sから吸引し、吸引した空気Aを排気空気としてラインL8を通じて室外へ排出する排気ファン17とを有している。
【0029】
図2は、図1中の排気RI濃度低減装置15を示す概略断面図である。図1及び図2に示す排気RI濃度低減装置15は、PET検査用のRIガス(放射性ガス)が投与された被験者SBが収容される検査室に設けられ、排気空気中のRI(15O)濃度を低減させるためのものであり、被験者収容室S内の空気Aの室外への排出を遅延させるディレーセクション(排出遅延手段)14を備えている。なお、排気RI濃度低減装置15は、ディレーセクション14の他に風量調整用のダンパー(図示せず)等を適宜備えていてもよい。
【0030】
このディレーセクション14は、空気Aを通す断面長方形状のダクト部(管状部)31を有している。このダクト部31は、ラインL7が接続される入口部33と、フィルタ16に接続される出口部34とを有している。更に、ダクト部31は、ダクト部31が延びる向きを変えるための曲折部32を複数(図2では4個)有している。より詳しくは、ダクト部31が延びる向きは、曲折部32を屈曲点として水平方向に180°変わっている。すなわち、ダクト部31内に形成された流路F1は、曲折部32の前後において空気Aの流れが水平方向に180°変化する形状とされている。
【0031】
ダクト部31の長さ(入口部33から出口部34までの流路F1の長さ)は、排気ファン17による排気風量、空気A中に含まれ得るRIガス濃度、そのRIガスの半減期、及びRIの排出基準値等に応じて適宜決定することができる。例えば、排気風量が500m/hの場合、断面が1m×1mの大きさを有するダクト部31を33mの長さにわたって設ければ、ディレーセクション14内に空気Aが滞留する時間は4分となる。よって、15Oから成るRIガスを用いた場合、その半減期は約2分であることから、ディレーセクション14における空気Aの滞留時間は半減期の約2倍となる。
【0032】
なお、曲折部32は、1〜3個であってもよいし、5個以上であってもよい。また、ダクト部31が延びる向きは、曲折部32を屈曲点として90°変わってもよいし、45°変わってもよい。更には、ダクト部31が延びる向きは、上下方向に変わってもよい。このように、ダクト部31は、天井裏T内の形状等によって決められる好適な形状で適宜敷設することができる。また、ダクト部31は、断面長方形状である場合に限られず、断面円形状の円管であってもよい。
【0033】
このような排気RI濃度低減装置15を有する排気装置18によれば、排気ファン17の作動によりラインL7を通じて被験者収容室S内の空気Aが吸引され、吸引された空気Aは、ディレーセクション14内に導入される。ディレーセクション14に導入された空気Aは、その流れが止まることなく流路F1内を所定時間かけて通過する。そして、ディレーセクション14を出た空気Aは、フィルタ16によりRIガスの一部が除去された後、排気ファン17の吐出側からPET検査室Rの外部へ排出される。
【0034】
ここで、PET検査が行われる際、被験者SBの口に取り付けられたマスク11と被験者SBの顔との間に多少の隙間があると、この隙間からRIガスが漏出する場合がある。こうして漏出したRIガスは、被験者収容室S内を拡散し所定の濃度となって空気Aに含まれる。そして、この空気Aが排気装置18により吸引されると、ディレーセクション14を通過する間に、空気Aに含まれたRIガスの放射能は所定の管理値以下にまで減衰する。
【0035】
例えば、前述した例のようにディレーセクション14における滞留時間が半減期の約2倍である場合、ディレーセクション14の入口部33と出口部34とでは、空気Aに含まれるRIの濃度を約4分の1に低減することができる。
【0036】
従来の排気装置では、単にラインL7にフィルタ16及び排気ファン17が設けられているだけであったため、空気Aが流れる流路の長さは例えば10m程度と短かった。よって、空気AにRIガスが含まれる場合、PET検査室R内から室外へと空気Aが短絡しRI濃度が低減されないまま排出されるおそれがあった。また、排気ファン17による換気風量を絞ることにより空気Aの排出を遅延させると、PET検査室R内にRIガスが滞留し、PET検査室R内にて作業を行う医療スタッフへの被曝が生じるおそれがあった。
【0037】
本実施形態の排気RI濃度低減装置15によれば、被験者収容室S内にRIガスが漏出した場合であっても、ディレーセクション14によって空気Aの室外への排出が遅延されるため、この遅延により、RIガスの放射能を減衰させることができ、排気空気中のRI濃度を所望に低減させることができる。また、空気Aの流れを止めることがないので、ガス貯留用の空間を設ける必要がなく、連続して空気Aを排出することができる。また、放射能が管理値以下に減衰された排気空気が放射線管理区域外へ排出されるので、連続して異なる被験者SBを検査することができ、検査回数を増やすことができる。
【0038】
また、ディレーセクション14のダクト部31は、ダクト部31が延びる向きを変えるための曲折部32を有するため、少ない設置スペースを有効に活用して、より長い管路(流路F1)を設けることができ、上記した放射能の減衰によるRI濃度の低減効果を好適に発揮できる。
【0039】
また、ディレーセクション14は、天井裏T内に配置されているため、被験者SBを収容する被験者収容室Sにディレーセクション14が露出することを防止でき、外観の向上が図られる。
【0040】
(第2実施形態)
図3は、第2実施形態に係る排気RI濃度低減装置を示す概略断面図である。図3に示す本実施形態の排気RI濃度低減装置15Bが図2に示した第1実施形態の排気RI濃度低減装置15と異なる点は、ダクト部31有するディレーセクション14に代えて、所定の容積を有するチャンバ55を具備するディレーセクション(排出遅延手段)50を備えた点である。
【0041】
このチャンバ55は、略直方体形状を成す中空の容器であり、ラインL7(図1参照)が接続される入口部53と、フィルタ16(図1参照)に接続される出口部54とを有している。また、チャンバ55は、所定の長さを有し、一方の端部に入口53が設けられ、他方の端部に出口54が設けられている。
【0042】
更に、チャンバ55を形成する一の壁部である第1の壁部(図示下側の壁部)56には、第1の壁部56に対向する第2の壁部(図示上側の壁部)57に向けて垂直に立設された板状の部材であって、その板面に垂直な方向に互いに所定長さ離間する複数の仕切板(第2の仕切板)51が並設されている。この仕切板51の先端部(図示上側の端部)51aは、第2の壁部57から所定距離離間している。また、第2の壁部57には、第1の壁部56に向けて垂直に立設された板状の部材であって、その板面に垂直な方向から仕切板51に対面するように配置され、当該垂直な方向に互いに所定長さ離間する複数の仕切板(第2の仕切板)52が並設されている。この仕切板52の先端部(図示下側の端部)52aは、第1の壁部56から所定距離離間している。
【0043】
このような構成を有するチャンバ55内に形成される流路F2は、第1の壁部56及び第2の壁部57から交互に立設された仕切板51,52によって、空気Aの流れを上向流から下降流へ、又は下降流から上向流へと変化させる形状とされている。
【0044】
本実施形態の排気RI濃度低減装置15Bによれば、チャンバ55内に設けられた仕切板51,52により、チャンバ55内において空気Aが短絡して流れるようなことを防止し、流路F2を長くすることで空気Aの排出を確実に遅延させることができる。
【0045】
(第3実施形態)
図4は、第3実施形態に係る排気RI濃度低減装置の概略構成を示す正面図である。本実施形態の排気RI濃度低減装置15Cは、第1及び第2実施形態の排気RI濃度低減装置15,15Bとは異なり、PET検査室Rの被験者収容室S内に配置されている。また、被験者収容室S上方の天井12には、天井12の隅部において被験者収容室Sから空気Aを排出するための排出口66が形成されており、この排出口66にはラインL8が接続されている。ラインL8には、PET検査室R外において図1に示したフィルタ16及び排気ファン17が設けられる。なお、図4では、天井裏Tは図示を省略している。
【0046】
排気RI濃度低減装置15Cは、PET装置10と排出口66との間で天井12から床面65に向けて垂下するように設けられた、所定幅を有する仕切板(第1の仕切板)61を有している。仕切板61の下端部(図示下側の端部)61aは、被験者収容室Sの床面19から所定距離離間している。また、仕切板61の左右端部(図示手前側と奥側の端部)は、被験者収容室Sの側壁に当接していてもよいし、当該側壁から離間していてもよい。
【0047】
この仕切板61は、空気Aの流れ方向F3を変えるためのものである。すなわち、仕切板61は、空気AがPET装置10から排出口66へと短絡して流れることを防止するものであり、その流れ方向F3を変えることにより空気Aの室外への排出を遅延させる。排気RI濃度低減装置15Cでは、このような仕切板61を備えて、ディレーセクション(排出遅延手段)60が構成されている。
【0048】
本実施形態の排気RI濃度低減装置15Cによれば、空気Aの流れ方向F3を仕切板61により変えることができるため、被験者収容室S内の限られたスペースで空気Aの排出を確実に遅延させることができ、放射能の減衰によるRI濃度の低減効果を好適に発揮できる。また、複雑な部品を要することなく、簡素な構成で上記効果を発揮できる。
【0049】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではない。例えば、上記第1及び第2実施形態では、排気装置18のフィルタ16及び排気ファン17が天井裏Tに設けられる場合について説明したが、フィルタ16及び排気ファン17はPET検査室Rの室外に設けられてもよい。また、排気RI濃度低減装置15のディレーセクション14や排気RI濃度低減装置15Bのディレーセクション50は、被験者収容室S内に設置されてもよい。更にまた、排気RI濃度低減装置15や排気RI濃度低減装置15Bと、排気RI濃度低減装置15Cとを適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0050】
10…PET装置、14…ディレーセクション(排出遅延手段)、15,15B,15C…排気RI濃度低減装置、31…ダクト部(管状部)、32…曲折部、50…ディレーセクション(排出遅延手段)、51,52…仕切板(第2の仕切板)、55…チャンバ、60…ディレーセクション(排出遅延手段)、61…仕切板(第1の仕切板)、A…空気(ガス)、R…PET検査室(検査室)、S…被験者収容室(第1の区画)、SB…被験者、T…天井裏(第2の区画)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
PET装置が設置された検査室内に設けられ、前記検査室内から室外へ排出されるガスの流れを止めることなく、前記ガスの前記室外への排出を遅延させる排出遅延手段を備えることを特徴とする、排気RI濃度低減装置。
【請求項2】
前記排出遅延手段は前記ガスを通す管状部を有し、
前記管状部は、前記管状部が延びる向きを変えるための曲折部を有することを特徴とする、請求項1記載の排気RI濃度低減装置。
【請求項3】
前記排出遅延手段は、前記ガスの流れ方向を変えるための第1の仕切板を有することを特徴とする、請求項1又は2記載の排気RI濃度低減装置。
【請求項4】
前記排出遅延手段は、所定の容積を有するチャンバを具備し、
前記チャンバ内には第2の仕切板が設けられていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項記載の排気RI濃度低減装置。
【請求項5】
前記検査室は、被験者を収容する空間である第1の区画と、前記第1の区画とは仕切られた空間である第2の区画とを有し、
前記排出遅延手段は、前記第2の区画内に配置されていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項記載の排気RI濃度低減装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−2736(P2012−2736A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−139297(P2010−139297)
【出願日】平成22年6月18日(2010.6.18)
【出願人】(000002107)住友重機械工業株式会社 (2,241)
【Fターム(参考)】