説明

排水ますの継手手段に適用される着脱機構

【課題】排水ます等の内部へ設置される器具を確実且つ着脱自在に取り付けることができ、装着時、前記器具との間で高いシール性を得ることができる継手手段の着脱機構を提供することを目的とする。
【解決手段】接続される一方の部品には係合突起を設け、接続される他方の部品には、前記係合突起と係合し且つOリングに対し移動する側の部品が所定の動きで前記Oリングを押圧するように案内する特殊な案内溝を設けることにより、確実且つ着脱自在に取り付けることができ、装着時、高いシール性を得ることができる、排水ます等の内部へ設置される器具と外部の排水管とを流体連通に連結するための継手手段の着脱機構を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防臭のための水封用エルボ、逆流防止のための逆流防止弁付エルボ、流量調節のためのオリフィスまたは異物除去のためのフィルターなど、排水ますの内部へ装着される器具と外部排水管とを流体連通に連結するために前記ますへ取り付ける継手手段の着脱機構に関し、特に器具を継手手段へ高いシール性を確保しながら着脱自在な取り付け可能とする継手手段の着脱機構に関する。なお、本願明細書において「排水ます」とは、汚水ます、雨水ます、トラップますなどを含む一般的な樹脂製の集合ますや中間ますの総称として用いる。
【背景技術】
【0002】
排水ますは、その内部に防臭、逆流防止、流量調節または異物の除去を目的とした水封用エルボ、逆流防止弁付エルボ、オリフィスまたはフィルターなどの器具を備えている場合がある。これらの器具は、外部排水管と流体連通の状態におく必要があることから、通常、排水ますまたは立管の側壁に設けた開口部の内部側若しくは受口の内部側へ取り付けられる。また、排水ますでは、その内部を定期的に点検や掃除などする必要があるため、通常、これらの器具は着脱自在に取り付けられる。
【0003】
排水ますにおいて、水封用エルボ、逆流防止弁付エルボ、オリフィスまたはフィルターなどの器具を着脱自在に取り付ける機構としては、鍔状のフランジを上部が開放したポケットの中へ抜き差しするタイプのものや、接続部の全部または一部にネジ山を設け、ネジ機構を利用した締め付けまたは解放を行うタイプのものなどが知られている。
【0004】
例えば、特許文献1(特開平9−242174号公報)の中には、水封用エルボを着脱自在に取り付けているエルボ型トラップ付溜めますが開示されている。このタイプの着脱機構は、水封用エルボの接続端外周面上に鍔状のフランジを設け、そのフランジを溜めますの内周面に固定されているポケットの中へ抜き差しすることにより着脱自在に取り付け可能な構造としている。
【0005】
しかしながら、このタイプの着脱機構は、水封用エルボをポケットの中で上下動させて取り付けなければならないために水封用エルボまたは溜めますの流出口の全周にわたって配設したOリング等のシール部材を十分に押圧することができず、その結果、差口/受口へシール部材を直接取り付ける構造のものよりシール性が低いという問題がある。また、内部にポケットを設けた専用の溜めますを準備しなければならないため、製品のコストが高価となるという問題もあった。
【0006】
また、他のタイプの着脱機構として、特許文献2,3(特開平7−259174号公報,特開平7−268945号公報)の中には、水封用Uトラップまたはエルボが着脱自在に取り付けられているトラップますが開示されている。このトラップますの着脱機構は、水封用Uトラップまたはエルボの接続部内周面上に小突起が設けられており、その小突起をトラップますの受口に固定された管継手差口の外周面上に設けられているL字型の凹溝の中へ挿入し係止することにより、着脱自在に取り付け可能な構造とするものである。
【0007】
しかしながら、このタイプの着脱機構は、水封用Uトラップまたはエルボの接続端が管継手の差口外周面上に装着されているOリングのリング面に対し直角方向に前進するので、前記接続端の角部がOリングに損傷を与えたり若しくは摩擦によりOリングをリング溝から除去してしまうという問題があった。
【0008】
また、Oリングにより高いシール性を得るため、一般にOリングを固定するためのリング溝は単独で形成される。このため、特許文献2,3のタイプの場合、水封用Uトラップの小突起を係止位置まで案内するためのL字型の凹溝は、管継手差口の外周面上においてOリングを固定するためのリング溝から分離して形成されており、これでは管継手の成形および加工が複雑となり製造コストが増大するという問題もあった。
【0009】
さらに、他のタイプの着脱機構として、特許文献4(特開平9−257175号公報)の中には、2つの管体が着脱自在に取り付けられている接続管が開示されている。この接続管の着脱機構は、接続される2つの管体の差口外周面上に係止突起が設け、その係止突起を接続管受口の内周面上に設けられている略L字型の係止溝の中へ挿入し係止することにより、着脱自在に取り付け可能な構造としたものである。
【0010】
特許文献4のタイプの着脱機構は特許文献2,3のタイプの場合と異なり、管体と接続管との間をシールするための環状シール部材が、管体の接続端全域から均等な圧力を受けられるように接続管内部に設けられた環状の壁に隣接して配置されるため、環状シール部材が管体の先端部から損傷を受けたり固定位置から除去されるという問題を生じることが殆んどない。
【0011】
しかしながら、特許文献4のタイプにおいても、管体の係止突起を抜け止め位置まで案内するための係止溝は、接続管の筒体へ独立して形成しなければならず、このため、接続管の成形および加工が複雑となり製造コストが増大するという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開平9−242174号公報
【特許文献2】特開平7−259174号公報
【特許文献3】特開平7−268945号公報
【特許文献4】特開平9−257175号公報
【特許文献5】特開2001−56083号公報
【特許文献6】特開平10−18405号公報
【特許文献7】実開昭60−80188号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
そこで、本発明は、防臭のための水封用エルボ、逆流防止のための逆流防止弁付エルボ、流量調節のためのオリフィスまたは異物除去のためのフィルターなど、排水ますの内部へ装着される器具と外部排水管とを流体連通に連結するために前記ますへ取り付ける継手手段の着脱機構に関し、特に上述の器具を継手手段へ確実且つ着脱自在に取り付けることができ、そして装着時、それらの器具と継手手段との間で高いシール性を得ることができる継手手段の着脱機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
そこで、本発明者等は、排水ますへ取り付ける継手手段と、前記ますの内部に設置される水封用エルボなど器具との着脱機構について鋭意検討を重ねた結果、接続される一方の部品には係合突起を設け、接続される他方の部品には、前記係合突起と係合し且つ取り付ける側の部品がOリングを押圧しながら所定の動きで前進するように案内する特殊な案内溝を設けることにより上記の目的を達成し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0015】
すなわち、本発明の特徴とするところは、排水ますの内部に装着される器具と前記ますの外部排水管とを流体連通に連結するため、前記ますまたは立管の側壁若しくは受口へ取り付けられる筒状の継手手段であって、内周面上に係合突起を有する継手接続用受口を備えた前記器具と接続するための器具接続用差口と、前記排水管と接続するための排水管接続部とを備え、そして前記器具接続用差口の外周面上にはOリングを固定するための嵌合溝と、前記器具の係合突起と係合し且つ前記嵌合溝と連絡している案内溝とが設けられている前記継手手段と、前記継手手段の嵌合溝に装着される弾性変形可能なOリングとからなる着脱機構において、前記継手手段の案内溝は、前記器具を前記継手手段へ着脱自在に取り付けるために前記係合突起を受け入れた後、前記器具の継手接続用受口の端部が前記継手手段のOリングへ当接するように前記係合突起を案内するための管軸方向に沿って延びた第1の垂直壁と、当接後、前記継手接続用受口を周方向へ回転することにより、前記継手接続用受口の端部が前記Oリングを押圧しながら前進するように前記係合突起を案内するための管軸に対して斜め方向に延びた第2の垂直壁と、前記継手接続用受口の端部が前記Oリング上を通過した後、さらに前記継手接続用受口を周方向へ回転することにより、前記器具が前記継手手段から離脱しないように前記係合突起を保持するための管軸に対して直交する方向に延びた第3の垂直壁と、そして前記継手接続用受口の周方向への回転を停止するように前記係合突起を係止するための管軸方向に沿って延びた第4の垂直壁とからなる連続した案内壁を少なくとも片側に含んでいる点にある。
【0016】
このように、本発明では、排水ますまたは立管の側壁若しくは受口へ取り付けられる継手手段の接続部(器具接続用差口)の外周面上に、隣り合う壁同士の平面角度が異なる連続した第1ないし第4の垂直壁を含み且つOリングを固定するための嵌合溝と連絡している案内溝が設けられている。そのため器具の受口を、その係合突起が継手手段の案内溝と係合するように継手手段の差口へ押し込むと、(1)器具の受口は、継手手段の管軸方向に沿って案内され、そして継手手段の嵌合溝に装着されたOリングに当接するか若しくはOリングに少し乗り上げて強い摩擦抵抗を受けてその前進を停止する(第1の垂直壁の作用効果)。
【0017】
(2)前進を停止した器具の受口を周方向に回転すると、器具は回転を伴ってOリングの長手方向に対し斜交するように前進し、そしてOリングを押圧しながら通過する(第2の垂直壁の作用効果)。このように、本発明では、器具の受口が回転を伴って斜め方向に前進するので、前記受口の端部がOリングに損傷を与えたり若しくはOリングを嵌合溝から除去するようなことがない。また、上述の回転を伴った前進には係合突起を介した第2の垂直壁からの反力も働くので、Oリングの大きな変形、大きな押圧抵抗を伴う前進であっても小さな力で操作することができる。また、その結果、本発明の着脱機構によればOリングへ十分に大きな弾性変形を与えることができるので、確実で且つ高いシール性を得ることができる。
【0018】
(3)器具の受口の先端部がOリング上を通過した後、さらに前記受口を周方向へ回転すると、器具は管軸方向への前進を停止し、そして管軸方向に沿った引抜き力が生じても継手手段から離脱することがない位置へ案内される(第3の垂直壁の作用効果)。
【0019】
(4)そして、器具の受口の前進を伴わない回転は、器具の係合突起が案内溝の第4の垂直壁へ当接することにより停止し、その時Oリングとの間で大きな摩擦力も働いているので、その位置に確実に係止される(第4の垂直壁の作用効果)。なお、本発明による着脱機構は、係止力のバランスを保つために上下1対の配置など管軸に対し対称に少なくとも2つ以上設けることが好ましい。
【0020】
また、本発明では、上述した第1ないし第4の垂直壁を含む案内溝はOリングを固定するための嵌合溝と連絡しているため、嵌合溝に装着されるOリングは、実質的に器具の受口またはその係合突起の動きを規制するための「第5の壁」とし機能し、そして摩擦力によりそれらを係止するための「弾性壁」としても機能する。このため、本発明では、器具の受口またはその係合突起と、継手手段の案内溝およびOリングとが連携したそれらの相乗効果により、水封用エルボ等の器具の確実な係止と、器具と継手手段との間で確実且つ高いシール性を得ることができる。また、案内溝と嵌合溝は一体となって形成されているので、継手手段の成形および加工が容易となり製造コストが低減されるという効果もある。
【0021】
本発明による他の形態としては、案内溝と嵌合溝を一体化することによる加工の容易化および製造コストの低減という効果を得ることはできなくなるが、係合突起を継手手段の器具接続用差口の外周面上に設け、案内溝を器具の継手接続用受口の内周面上に設けることにより、係合突起と案内溝とが形成されるそれぞれの部品を入れ換えることもできる。
【0022】
すなわち、本発明においてこの形態の特徴とするところは、排水ますの内部に装着される器具と前記ますの外部排水管とを流体連通に連結するため、前記ますまたは立管の側壁若しくは受口へ取り付けられる筒状の継手手段であって、内周面上に案内溝を有する継手接続用受口を備えた前記器具と接続するための器具接続用差口と、前記排水管と接続するための排水管接続部とを備え、そして前記器具接続用差口の外周面上にはOリングを固定するための嵌合溝と、それより器具接続側に前記器具の案内溝と係合する係合突起とが設けられている前記継手手段と、前記継手手段の嵌合溝に装着される弾性変形可能なOリングとからなる着脱機構において、前記器具の案内溝は、前記器具を前記継手手段へ着脱自在に取り付けるために前記係合突起を受け入れた後、前記器具の継手接続用受口の端部が前記継手手段のOリングへ当接するように前記係合突起を案内するための管軸方向に沿って延びた第1の垂直壁と、当接後、前記継手接続用受口を周方向へ回転することにより、前記継手接続用受口の端部が前記Oリングを押圧しながら前進するように前記係合突起を案内するための管軸に対して斜め方向に延びた第2の垂直壁と、前記継手接続用受口の端部が前記Oリング上を通過した後、さらに前記継手接続用受口を周方向へ回転することにより、前記器具が前記継手手段から離脱しないように前記係合突起を保持するための管軸に対して直交する方向に延びた第3の垂直壁と、そして前記継手接続用受口の周方向への回転を停止するように前記係合突起を係止するための管軸方向に沿って延びた第4の垂直壁とからなる連続した案内壁を少なくとも片側に含んでいる点にある。
【0023】
この場合、水封用エルボ等の器具の接続部(継手手段接続用受口)の内周面上には、上述したような隣り合う壁同士の平面角度が異なる連続した第1ないし第4の垂直壁を含む案内溝が設けられている。そのため器具の受口を、その案内溝が継手手段の係合突起と係合するように継手手段の差口へ押し込むと、第1ないし第4の垂直壁により、上述のような(1)ないし(4)の作用効果を得ることができる。
【0024】
また、上述のように係合突起を継手手段の器具接続用差口の外周面上に設け、案内溝を器具の継手接続用受口の内周面に設けた場合、第1ないし第4の垂直壁を含む案内溝は、Oリングを固定するために継手手段に設けられた嵌合溝と連絡させることができない。しかしながら、この場合においても器具の受口と継手手段のOリングとが連携したそれらの相乗効果により、水封用エルボ等の器具の確実な係止と、器具と継手手段との間での確実且つ高いシール性を得ることを目的として、嵌合溝に装着されたOリングを実質的に器具の受口の動きを規制するための「第5の壁」として機能させ、そして摩擦によりそれを係止するための「弾性壁」として機能させる必要もある。
【0025】
そこで、本発明によるこのタイプの形態では、Oリングを固定するための嵌合溝を係合突起より器具接続用差口の先端から離れた位置に設け、器具の受口の先端部が継手手段のOリングと直接当接するように配置することで上記の課題を解決している。
【0026】
本発明では、継手手段として、排水ますまたは立管の側壁に開口部を設け、継手手段の外周面上に設けられたフランジ壁と対向するナットを締め付けることにより前記開口部を貫通してその周囲の側壁へ着脱自在に取り付けられるナット締付型支管の基本構造を採り入れることができる。
【0027】
ナット締め付け型支管としては、例えば、特許文献5(特開2001−56083号公報)の中に開示されているような合成樹脂製ナット締付け型支管の基本構造を採り入れることができる。このタイプのナット締付型支管の場合、外部ナットと協働して内部から支管本体を支持するフランジ壁へ器具接続用差口を設け、その差口へ上述した本発明の着脱機構を設けることによりその目的が達成される。また、排水ますまたは立管の側壁の開口部は、公知のホールソーなどを使用することにより簡単に設けることができる。
【0028】
この結果、本発明の着脱機構を備えたナット締付型支管タイプの継手手段は、施工現場において外部排水管との接続位置に合わせて排水ますまたは立管の側壁の任意の位置に取り付けることができるので、専用の排水ますを製造および準備する必要がなくなり、前記ますの製造コストまたは現場での作業負荷が大幅に削減される。
【0029】
本発明では、継手接続用受口と器具接続用差口とを備えた継手手段を、排水ますの受口の内部へ嵌め込むことにより固定するタイプの継手手段として設計することもできる。
【0030】
この場合、排水ますの受口へ取り付けられる継手手段の口径は、前記受口のオリジナルの口径(内径)より必ず小さくなるので、この意味において上記の継手手段は、受口の口径を実質的に縮径する「異径継手」の1つ形態と看做すことができる。したがって、異径継手を取り付ける排水ますは、器具の口径が小さくならないように、接続される外部排水管や内部器具の口径より1ランク大きな口径(内径)の受口を有する排水ますを選定し準備することが好ましい。しかしながら、異径継手を使用すれば、排水ますまたは立管の側壁に開口部を設ける必要性がなくなるので、継手手段として先述のナット締付型支管を使用する場合よりも作業時間が短縮される。
【0031】
一般に、排水ますの内部に装着される器具と接続するための器具接続用差口は、それと接続される受口との接続代を確保するために排水ますの本体または立管の内壁面より内部側へ突出している。しかしながら、器具接続用差口が排水ます等の内壁面から突出すると、限定された寸法(直径)を有する排水ます等の内部において器具を接続するために利用できる残りのスペースが小さくなるので、所望の大きさの内部器具を取り付けられなくなるという不都合を生じる。そこで、本発明は、継手手段の器具接続用差口を二重管構造とすることにより上記の問題を解決している。
【0032】
すなわち、本発明による器具接続用差口を二重管構造とした継手手段は、器具接続用差口と排水管接続部とを備えている内筒体と、内筒体の器具接続用差口の外側領域で一定の間隙を開けて同心円状に配置されている外筒体と、そして器具接続用差口の先端から離れた位置において、前記間隙を密封するように内筒体から外筒体へ向けて延びたリング状の底壁とを含んでおり、そして外筒体を排水ますまたは立管の側壁若しくは受口へ固定することにより、内筒体の器具接続用差口の全部または一部が前記ますまたは立管の内部から外部へ変位するように支持される。その結果、継手手段の器具接続用差口は、器具を接続するために必要な接続代を確保しながら排水ます1の内壁面からの突出が抑制される。
【0033】
このため、本発明において継手手段の器具接続用差口を二重管構造とする場合、排水ます等の内部に占める器具接続用差口の省スペース化を図ることができ、排水ます等の内部スペースを最大限に活用した有効利用が可能となると共に、器具を着脱するために利用できる残りのスペースが大きくなるので、器具の着脱や排水ますの下部に配設される泥溜めバケットのメンテナンスなどが容易となる。
【0034】
器具接続用差口を二重管構造とした継手手段の外筒体は、排水ますまたは立管の側壁に沿って湾曲した、外筒体から放射状に延びた鍔状のフランジ壁を含んでいてもよい。
【0035】
この場合、継手手段の外筒体は、排水ますまたは立管の側壁に設けた開口部の口縁(端面)よるのではなく、排水ますまたは立管の側壁の壁面上への接着または圧接によって支持されるので、排水ますまたは立管の側壁の厚みによらず、前記継手手段を側壁へ液密に無理なく固定することができる。
【0036】
本発明において、継手手段と接続される内部器具は特に限定されるものでないが、一般的に防臭のための水封用エルボ、逆流防止のための逆流防止弁付エルボ、流量調節用のオリフィスまたは異物除去用のフィルターなどの器具に対し本発明による着脱機構が適用される。特に、逆流防止弁付エルボなど内部に可動部を有するものは、その外部の全部または一部を透明にすると逆流防止弁などの可動部品の作動状況の確認および点検が容易となるので好ましい。
【発明の効果】
【0037】
本発明によれば、継手手段と接続される器具の受口は、回転を伴って継手手段のOリング上を斜め方向に前進するので、前記受口の端部がOリングに損傷を与えたり若しくはOリングをリング溝から除去するようなことがない。また、受口の回転を伴った前進には係合突起を介した第2の垂直壁からの反力も働くので、Oリングの大きな変形、大きな押圧抵抗を伴う前進であっても小さな力で操作することができる。また、その結果、本発明の着脱機構によればOリングへ十分に大きな弾性変形を与えることができるので、確実で且つ高いシール性を得ることができる。
【0038】
また、本発明によれば、嵌合溝に装着されたOリングは、実質的に器具の受口またはその係合突起の動きを規制するための「第5の壁」として機能し、そして摩擦によりそれらを係止するための「弾性壁」としても機能することができる。このため、本発明では、器具の受口またはその係合突起と、継手手段の案内溝およびOリングとが連携したそれらの相乗効果により、水封用エルボ等の器具の確実な係止と、器具と継手手段との間で確実且つ高いシール性を得ることができる。
【0039】
また、第1ないし第4の垂直壁を含む案内溝と嵌合溝が一体となって形成されている場合は、継手手段の成形および加工が容易になり、製造コストが低減されるという効果もある。
【0040】
さらに、継手手段の器具接続用差口を二重管構造とした場合、排水ます等の内部に占める器具接続用差口の省スペース化を図ることができ、排水ます等の内部スペースを最大限に活用した有効利用が可能となると共に、器具を着脱するために利用できる残りのスペースが大きくなるので、器具の着脱やさらに排水ますの下部に配設される泥溜めバケットのメンテナンスなどが容易となる効果もある。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】第1の実施例の本発明による着脱機構により接続されている、排水ますの受口へ取り付けられた継手手段と逆流防止弁付水封用エルボの平面図である。
【図2】図1に示される第1の実施例のA−A断面図である。
【図3】図1に示される継手手段の平面図である。
【図4】図2に示される第1の実施例のB部を拡大した説明用の断面図である。
【図5】本発明による着脱機構の使用方法を示した概略図である。
【図6】第2の実施例の本発明による着脱機構により接続されている、排水ますの側壁へ取り付けられた継手手段と逆流防止弁付水封用エルボの平面図である。
【図7】図6に示される第2の実施例のC−C断面図である。
【図8】図6,7に示されるナット締付型支管タイプの継手手段と逆流防止弁付水封用エルボの組立状態における平面図、側面図および中心断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、排水ます等の内部へ取り付けられる器具と外部の排水管とを流体連通に連結するために前記ますへ取り付けられる本発明の一実施形態に係る継手手段の着脱機構について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明は、以下に示される実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で各種の変更が可能である。
【実施例】
【0043】
[実施例1]
図1の中には、第1の実施例の本発明による着脱機構4(図示せず)により接続されている、排水ます1の受口13へ取り付けられた継手手段2と逆流防止弁付水封用エルボ3の平面図が示されている。また、図2の中には、図1に示されている第1の実施例のA−A断面で切り取った断面図が示されている。また、図示しないが、排水ます本体10の上部には開閉蓋が着脱自在に載置されており、水封用エルボ3の点検および取り付けが可能である。
【0044】
図1および2の中に示されているように、本発明による着脱機構4が適用された排水ます1は、円筒形の排水ます本体10と、泥溜めバッケット(図示せず)などを収容するためにその下部に連結される底部11とから構成されており、排水ます本体の側壁12には予め受口13が形成されている。そして排水ます1は、受口13に水封用エルボ3を接続するための継手手段2を取り付け、そして受口13と同軸上であって排水ます本体10の側壁12の対向する面に開口部15を設け、その開口部15を貫通してその周囲の側壁12へ継手手段2と同じ口径の受口を有する支管14を後付けすることにより、水封機能を有する排水ます1として使用することができる。
【0045】
すなわち、排水ます1では、支管14および受口13を排水の流入口および流出口として使用し、そして受口13に装着された水封用エルボ3の先端31が水に浸かるように封水を底部11に溜めることにより、水封機能を発揮させている。
【0046】
図2の中に示されるように、本発明による着脱機構4を備えた一方の接続部品である継手手段2は、いわゆる二重管構造を有する同芯異径管継手であって、水封用エルボ3を接続するための器具接続用差口22と外部排水管を接続するための排水管接続部(受口)23を備えた内筒体20と、排水ます1の受口10の中へ取り付けるために前記内筒体20と連結した外筒体21とを含んでいる。そして、外筒体21を排水ます1の受口13の内部へ嵌め込むことにより、継手手段2を排水ます1へ固定する。また、図1を参照して理解されるように、排水ます本体10内の流路断面積は、通水が妨げられないように水封用エルボ3の流路断面積に比べて狭小とならないように設計されている。
【0047】
この場合、排水ます1の受口13へ取り付けられる継手手段2の口径は、受口13のオリジナルの口径(内径)より必ず小さくなるので、この意味において継手手段2は、受口13の口径を実質的に縮径する「異径継手」の1つ形態と看做すことができる。したがって、第1の実施例のように管継手2として異径継手を取り付ける排水ます1は、器具の口径が小さくならないように、接続される外部排水管(図示せず)や水封用エルボ3の受口30の口径より1ランク大きな口径(内径)の受口13を有する排水ます1が選定されている。しかしながら、異径継手を使用すれば、排水ます1または立管(図示せず)の側壁10に開口部を設ける必要性がなくなるので、作業時間が短縮される。
【0048】
一方、本発明による着脱機構4を備えた他方の接続部品である逆流防止弁付水封用エルボ3は、排水の流れを鉛直方向から水平方向へ変換するいわゆる90°エルボであって、その接続端には継手手段2の器具接続用差口22と嵌合する継手接続用受口30を備えており、さらにその内部には、排水の流れが順フローの時は開き逆フローの時は閉じるように作動する片持ち支持の逆流防止弁32を備えている(図2,8参照)。
【0049】
本発明による着脱機構4を説明するため、図3の中には、図1に示されている排水ます1の受口13の中へ取り付けられている継手手段2のみを表した平面図が示されている。また、図4の中には、図2に示されている第1の実施例のB部を拡大した説明用の断面図が示されている。さらに、図5の中には、本発明による着脱機構4の使用方法が概略図(a)〜(b)により段階的に示されている。
【0050】
図3の中に示されているように、継手手段2の器具接続用差口22の外周面上にはOリングを固定するための嵌合溝40と、水封用エルボ3の係合突起42(図4(a)参照)と係合し且つ嵌合溝40と連絡している案内溝41とが形成されている。
【0051】
図3を参照して理解されるように、継手手段2の案内溝41は、水封用エルボ3を継手手段2へ着脱自在に取り付けるために係合突起42を受け入れた後、水封用エルボ3の継手接続用受口30の端部が継手手段2のOリング(図示せず)へ当接するように係合突起42を案内するための管軸方向24に沿って延びた第1の垂直壁401と、当接後、水封用エルボ3の継手接続用受口30を周方向へ回転することにより、継手接続用受口30の端部がOリングを押圧しながら前進するように係合突起42を案内するための管軸24に対して斜め方向に延びた第2の垂直壁402と、継手接続用受口30の端部がOリング上を通過した後、さらに継手接続用受口30を周方向へ回転することにより、水封用エルボ3が継手手段2から離脱しないように係合突起42を保持するための管軸24に対して直交する方向に延びた第3の垂直壁403と、そして継手接続用受口30の周方向への回転を停止するように係合突起42を係止するための管軸方向24に沿って延びた第4の垂直壁404とからなる連続した案内壁400を片側に含んでいる。また、水封用エルボ3の継手接続用受口30の外部表面には、係合突起42を案内溝41へ挿入し易くするため、係合突起42の位置を示す目印43が取り付けられている(図5参照)。
【0052】
そして、第1の実施例では、隣り合う壁同士の平面角度が異なる連続した第1ないし第4の垂直壁401,402,403,404を含み且つOリングを固定するための嵌合溝40と連絡するように案内溝41を配設した結果、水封用エルボ3の受口30を、その係合突起42が継手手段2の案内溝41と係合するように継手手段2の差口22へ押し込むと、図4,5に示されるように(1)水封用エルボ3の受口30は、継手手段2の管軸24方向に沿って案内され、そして継手手段2の嵌合溝40に装着されたOリング5(図5参照)に当接するか若しくはOリング5に少し乗り上げて強い摩擦抵抗を受けてその前進を停止する(第1の垂直壁401の作用効果、図5(a),(b)参照)。
【0053】
(2)前進を停止した水封用エルボ3の受口30を周方向に回転すると、水封用エルボ3は回転を伴ってOリング5の長手方向に対し斜交するように前進し、そしてOリング5を押圧しながら通過する(第2の垂直壁402の作用効果、図5(b),(c)参照)。このように第1の実施例では、水封用エルボ3の受口30が回転を伴って斜め方向に前進するので、受口30の端部がOリング5に損傷を与えたり若しくはOリング5を嵌合溝40から除去するようなことがない。また、上述の回転を伴った前進には係合突起42を介した第2の垂直壁402からの反力も働くので、Oリング5の大きな変形、大きな押圧抵抗を伴う前進であっても小さな力で操作することができる。また、その結果、本発明の着脱機構4によればOリング5へ十分に大きな弾性変形を与えることができ、確実で且つ高いシール性を得ることができる(図4(a)参照)。
【0054】
(3)水封用エルボ3の受口30の先端部がOリング5上を通過した後、さらに受口30を周方向へ回転すると、水封用エルボ3は、管軸24方向への前進を停止しそして管軸24方向に沿った引抜き力が生じても継手手段2から離脱することがない位置へ案内される(第3の垂直壁403の作用効果、図5(c)参照)。
【0055】
(4)そして、水封用エルボ3の受口30の前進を伴わない回転は、水封用エルボ3の係合突起42が案内溝41の第4の垂直壁404へ当接することにより停止し、その時Oリング5との間で大きな摩擦力も働いているのでその位置に確実に係止される(第4の垂直壁404の作用効果、図4(a),図5(c)参照)。なお、着脱機構は、その係止力のバランスを保つために少なくとも管軸に対して対称に2つ以上配置するのが好ましく、第1の実施例では、管軸24に対し上下対称に2つの着脱機構4を配置している。
【0056】
また、図3を参照して理解されるように、第1の実施例では、第1ないし第4の垂直壁401,402,403,404を含む案内溝41はOリング5を固定するための嵌合溝40と連絡しているため、嵌合溝40に装着されるOリング5は、実質的に水封用エルボ3の受口30またはその係合突起42の動きを規制するための「第5の壁」とし機能し、そして摩擦力によりそれらを係止するための「弾性壁」としても機能する。このため、第1の実施例では、水封用エルボ3の受口30またはその係合突起42と、継手手段2の案内溝41およびOリング5とが連携したそれらの相乗効果により、水封用エルボ3の確実な係止と、水封用エルボ3と継手手段2との間で確実且つ高いシール性を得ることができる。また、案内溝41と嵌合溝40は一体となって形成されているので、継手手段2の成形および加工が容易になり製造コストが低減されるという効果もある。
【0057】
本発明による他の実施形態としては、第1の実施例のような案内溝41と嵌合溝40を一体化することによる加工の容易化および製造コストの低減という効果を得ることはできなくなるが、係合突起42を継手手段2の器具接続用差口22の外周面上に設け、案内溝41を水封用エルボ3の継手接続用受口30の内周面上に設けることにより、係合突起42と案内溝41とが形成されるそれぞれの部品を図4(b)の中に示されるように入れ換えることもできる。
【0058】
この場合、水封用エルボ3の継手手段接続用受口30の内周面上には、上述したような隣り合う壁同士の平面角度が異なる連続した第1ないし第4の垂直壁401,402,403,404を含む案内溝41が設けられる。そのため水封用エルボ3の受口30を、その案内溝41が継手手段2の係合突起42と係合するように継手手段2の差口22へ押し込むと、第1ないし第4の垂直壁により上述のような(1)ないし(4)の作用効果を得ることができる。
【0059】
[実施例2]
図6の中には、第2の実施例の本発明による着脱機構4(図示せず)により接続されている、排水ます1の側壁12に設けた開口部16へ取り付けられた継手手段6と逆流防止弁付水封用エルボ3の平面図が示されている。また、図7の中には、図6に示されている第2の実施例のC−C断面で切り取った断面図が示されている。
【0060】
ところで、図6,7を参照して理解されるように、第1の実施例と第2の実施例の相違点は、第1の実施例の継手手段2が排水ます1の受口13へ取り付ける二重管構造を有する同芯異径管継手であるのに対し、第2の実施例の継手手段6は排水ます1の側壁12に設けた開口部16を貫通してその周囲の側壁12へ取り付けるナット締付型支管タイプの継手手段であることのみである。したがって、第2の実施例において、継手手段のタイプが異なること及び排水ます1に予め受口が設けられていないこと以外の構成については第1の実施例と同じであるので、図面の中で同じ構成の部品については同じ符号を用い、同じ構成についての説明は省略する。
【0061】
第2の実施例で使用されるナット締め付け型支管としては、例えば、特許文献5(特開2001−56083号公報)の中に開示されているような合成樹脂製ナット締付け型支管の基本構造を採り入れることができる。ナット締付型支管タイプの継手手段6の場合、外部ナット60と協働して内部から支管本体61を支持するフランジ壁62へ器具接続用差口63を設け、その差口63へ本発明による着脱機構4(図3,4,5参照)を設けることによりその目的が達成される。また、排水ます1の側壁12の開口部16は、公知のホールソーなどを使用することにより簡単に設けることができる。
【0062】
図8の中には、第2の実施例で使用されるナット締付型支管タイプの継手手段6と逆流防止弁付水封用エルボ3の組立状態における平面図(a)、側面図(b)および中心断面図(c)が示されている。
【0063】
ナット締付型支管タイプの継手手段6は、合成樹脂製、たとえば塩化ビニール射出成形品であって、支管本体61と、支管本体61上にスライド自在に嵌め合わされるスペーサー64と、支管本体61上に刻まれた雄ネジ65と回転して嵌まり合うナット60とから構成されており、支管本体61とスペーサー64との間はOリング66を介在させてシ−ルされている(図8(c)参照)。
【0064】
この支管本体61の一端側には、外向きに拡がったフランジ壁62が支管本体61の管軸70に対して直交するように一体成形されており、且つ排水ます1の側壁12と内側から接するフランジ壁62の外向きの面は、側壁12の内面に密接するように弯曲している(図8(a),(b)参照)。
【0065】
ナット締付型支管タイプの継手手段6は、フランジ壁62を排水ます1の側壁12に設けた開口部16の中を通過させることにより内部へ挿入するため、フランジ壁62の内面近傍には側壁12の開口部端面と当接する段差部67と、これに隣接した凹部68とが支管本体61の外周面上に設けられている(図8(c)参照)。
【0066】
そして支管本体61は、フランジ壁62に連続してその内部側に器具接続用差口63を設け、器具接続用差口63の反対側には、外部排水管と接続するための規格化された寸法の受口69を形成している。この受口69の外周部には、雄ネジ65が刻まれている(図8(c)参照)。
【0067】
したがって、ナット締付型支管タイプの継手手段6を排水ます1の側壁に設けた開口部16を貫通してその周囲の側壁12へ取り付けるためには、フランジ壁62を開口部16に対して傾けて排水ます1の内部へ通過させた後、凹部68が開口部16の口縁に載るようにして配置する。
【0068】
次いで、この支管本体61を側壁12の外部へ若干引き抜き、開口部16の口縁に段差部67を当接すると共に、フランジ壁62を側壁12の内面へ押し付け、ナット60を締め付けることによりスペーサー64を前進させて、これを排水ます1の側壁12へ液密に固定する(図7参照)。
【0069】
この結果、フランジ壁62とスペーサー64との間で排水ます1の側壁12を内側および外側から挟み込むことにより、ナット締付型支管タイプの継手手段6を排水ます1の側壁12の任意の位置へ取り付けることができるので、専用の排水ます1を製造および準備する必要がなくなり、排水ます1の製造コストまたは現場での作業負荷が大幅に削減される。
【0070】
図8(a)〜(c)の中には、本発明による着脱機構4を備えた他方の接続部品である逆流防止弁付水封用エルボ3が、ナット締付型支管タイプの継手手段6へ装着された状態で図示されている。図8(c)を参照して理解されるように、水封用エルボ3は排水の流れを鉛直方向から水平方向へ変換するいわゆる90°エルボであって、その接続端には継手手段6の器具接続用差口63と嵌合する継手接続用受口30を備えており、さらにその内部には、排水の流れが順フローの時は開き逆フローの時は閉じるように作動する片持ち支持の逆流防止弁32を備えている。また、継手手段6との着脱を容易にするために、その上部には取手33が設けられている。
【0071】
本発明において、継手手段2,6と接続される内部器具は特に限定されるものでないが、一般的に防臭のための水封用エルボ、逆流防止のための逆流防止弁付エルボ、流量調節用のオリフィスまたは異物除去用のフィルターなどの器具に対し本発明による着脱機構4が適用される。特に、上述のような逆流防止弁付水封用エルボ3など内部に可動部を有するものは、その外部の全部または一部を透明にすると逆流防止弁32などの可動部品の作動状況の確認および点検が容易となるので好ましい。
【0072】
図6,7の中に示されるナット締付型支管タイプの継手手段6の場合、継手手段6の器具接続用差口63は、それと接続される水封用エルボ3の受口30との接続代を確保するために排水ます1の本体10の内壁面より内部側へ突出している。しかしながら、器具接続用差口63が排水ます等の内壁面から突出すると、限定された寸法(直径)を有する排水ます1の内部において水封用エルボ3を接続するために利用できる残りのスペースが小さくなるので、所望の大きさの内部器具を取り付けられなくなるという不都合を生じる。そこで本発明では、継手手段の器具接続用差口を二重管構造とすることにより上記の問題を解決している。
【0073】
例えば、図1,2の中に示されるように器具接続用差口22を二重管構造とした継手手段2は、器具接続用差口22と排水管接続部23とを備えている内筒体20と、内筒体20の器具接続用差口22の外側領域で一定の間隙を開けて同心円状に配置されている外筒体21と、そして器具接続用差口22の先端から離れた位置において、前記間隙を密封するように内筒体20から外筒体21へ向けて延びたリング状の底壁25とを含んでおり、そして外筒体21を排水ます1の受口13へ固定することにより、内筒体20の器具接続用差口22の一部が排水ます1の内部から外部へ変位するように支持される。その結果、継手手段2の器具接続用差口22は、器具を接続するために必要の接続代を確保しながら排水ます1の内壁面からの突出が抑制される。
【0074】
また、継手手段の器具接続用差口を二重管構造とすることによる前記器具接続用差口の突出抑制方法は、図1,2の中に示される排水ます1の受口13へ取り付けられる同芯異径管継手に限定されるものではなく、例えば、図6,7の中に示されるような排水ます1の側壁12に取り付けられるナット締付型支管タイプの継手手段6に対しても適用することができる。すなわち、ナット締付型支管タイプの継手手段6の構成要素うち支管本体61の差口63を、内筒体と外筒体そしてそれらを連結する底壁とからなる二重管構造とすることによりその目的が達成される。
【0075】
このように、本発明において継手手段の器具接続用差口を二重管構造とする場合、排水ます1の内部に占める器具接続用差口の省スペース化を図ることができ、排水ます1の内部スペースを最大限に活用した有効利用が可能となると共に、器具を着脱するために利用できる残りのスペースが大きくなるので、器具の着脱や排水ますの下部に配設される泥溜めバケットのメンテナンスなどが容易となる。
【0076】
図示しないが、器具接続用差口を二重管構造とした継手手段の外筒体は、排水ますまたは立管の側壁に沿って湾曲した、外筒体から放射状に延びた鍔状のフランジ壁を含んでいてもよい。
【0077】
この場合、継手手段の外筒体は、排水ますまたは立管の側壁に設けた開口部口縁(端面)よるのではなく、排水ますまたは立管の側壁の壁面上への接着または圧接によって支持されるので、排水ますまたは立管の側壁の厚みによらず、前記継手手段を側壁へ液密に無理なく固定することができる。
【符号の説明】
【0078】
1 ・・・・・・・・・・・・・ 排水ます
10 ・・・・・・・・・・・ 排水ます本体
11 ・・・・・・・・・・・ 底部
12 ・・・・・・・・・・・ 側壁
13 ・・・・・・・・・・・ 受口
14 ・・・・・・・・・・・ 支管
15,16 ・・・・・・ 開口部
2 ・・・・・・・・・・・・・ 継手手段
20 ・・・・・・・・・・・ 内筒体
21 ・・・・・・・・・・・ 外筒体
22 ・・・・・・・・・・・ 器具接続用差口
24 ・・・・・・・・・・・ 管軸
3 ・・・・・・・・・・・・・ 逆流防止弁付水封用エルボ(器具)
30 ・・・・・・・・・・・ 継手接続用受口
32 ・・・・・・・・・・・ 逆流防止弁
4 ・・・・・・・・・・・・・ 着脱機構
40 ・・・・・・・・・・・ 嵌合溝
41 ・・・・・・・・・・・ 案内溝
400 ・・・・・・・・・ 案内壁
401 ・・・・・・・・・ 第1の垂直壁
402 ・・・・・・・・・ 第2の垂直壁
403 ・・・・・・・・・ 第3の垂直壁
404 ・・・・・・・・・ 第4の垂直壁
5 ・・・・・・・・・・・・・ Oリング
6 ・・・・・・・・・・・・・ ナット締付型支管タイプの継手手段
60 ・・・・・・・・・・・ ナット
61 ・・・・・・・・・・・ 支管本体
62 ・・・・・・・・・・・ フランジ壁
63 ・・・・・・・・・・・ 器具接続用差口
64 ・・・・・・・・・・・ スペーサー
66 ・・・・・・・・・・・ パッキン
70 ・・・・・・・・・・・ 管軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排水ますの内部に装着される器具と前記ますの外部排水管とを流体連通に連結するため、前記ますまたは立管の側壁若しくは受口へ取り付けられる筒状の継手手段であって、内周面上に係合突起を有する継手接続用受口を備えた前記器具と接続するための器具接続用差口と、前記排水管と接続するための排水管接続部とを備え、そして前記器具接続用差口の外周面上にはOリングを固定するための嵌合溝と、前記器具の係合突起と係合し且つ前記嵌合溝と連絡している案内溝とが設けられている前記継手手段と、
前記継手手段の嵌合溝に装着される弾性変形可能なOリングと
からなる着脱機構において、
前記継手手段の案内溝は、前記器具を前記継手手段へ着脱自在に取り付けるために前記係合突起を受け入れた後、前記器具の継手接続用受口の端部が前記継手手段のOリングへ当接するように前記係合突起を案内するための管軸方向に沿って延びた第1の垂直壁と、当接後、前記継手接続用受口を周方向へ回転することにより、前記継手接続用受口の端部が前記Oリングを押圧しながら前進するように前記係合突起を案内するための管軸に対して斜め方向に延びた第2の垂直壁と、前記継手接続用受口の端部が前記Oリング上を通過した後、さらに前記継手接続用受口を周方向へ回転することにより、前記器具が前記継手手段から離脱しないように前記係合突起を保持するための管軸に対して直交する方向に延びた第3の垂直壁と、そして前記継手接続用受口の周方向への回転を停止するように前記係合突起を係止するための管軸方向に沿って延びた第4の垂直壁とからなる連続した案内壁を少なくとも片側に含んでいることを特徴とする着脱機構。
【請求項2】
排水ますの内部に装着される器具と前記ますの外部排水管とを流体連通に連結するため、前記ますまたは立管の側壁若しくは受口へ取り付けられる筒状の継手手段であって、内周面上に案内溝を有する継手接続用受口を備えた前記器具と接続するための器具接続用差口と、前記排水管と接続するための排水管接続部とを備え、そして前記器具接続用差口の外周面上にはOリングを固定するための嵌合溝と、それより器具接続側に前記器具の案内溝と係合する係合突起とが設けられている前記継手手段と、
前記継手手段の嵌合溝に装着される弾性変形可能なOリングと
からなる着脱機構において、
前記器具の案内溝は、前記器具を前記継手手段へ着脱自在に取り付けるために前記係合突起を受け入れた後、前記器具の継手接続用受口の端部が前記継手手段のOリングへ当接するように前記係合突起を案内するための管軸方向に沿って延びた第1の垂直壁と、当接後、前記継手接続用受口を周方向へ回転することにより、前記継手接続用受口の端部が前記Oリングを押圧しながら前進するように前記係合突起を案内するための管軸に対して斜め方向に延びた第2の垂直壁と、前記継手接続用受口の端部が前記Oリング上を通過した後、さらに前記継手接続用受口を周方向へ回転することにより、前記器具が前記継手手段から離脱しないように前記係合突起を保持するための管軸に対して直交する方向に延びた第3の垂直壁と、そして前記継手接続用受口の周方向への回転を停止するように前記係合突起を係止するための管軸方向に沿って延びた第4の垂直壁とからなる連続した案内壁を少なくとも片側に含んでいることを特徴とする着脱機構。
【請求項3】
前記継手手段は、排水ますまたは立管の側壁へ開口部を設け、前記継手手段の外周面上に設けられたフランジ壁と対向するナットを締め付けることにより前記開口部を貫通してその周囲の側壁へ着脱自在に取り付けられるナット締付型支管であることを特徴とする請求項1又は2に記載の着脱機構。
【請求項4】
前記継手手段は、排水ますの受口へ取り付けられる異径継手であることを特徴とする請求項1又は2に記載の着脱機構。
【請求項5】
前記継手手段は、継手接続用受口を備えた前記器具と接続するための器具接続用差口と、前記排水管と接続するための排水管接続部とを備えている内筒体と、そして前記内筒体の器具接続用差口の外側領域で一定の間隙を開けて同心円状に配置されている外筒体と、前記器具接続用差口の先端から離れた位置において、前記間隙を密封するように前記内筒体から前記外筒体へ向けて延びたリング状の底壁とを含んでおり、前記外筒体を前記ますまたは立管の側壁若しくは受口へ固定することにより、前記内筒体の器具接続用差口の全部または一部が前記ますまたは立管の内部から外部へ変位するように支持されることを特徴とする請求項1又は2に記載の着脱機構。
【請求項6】
前記外筒体は、前記側壁に沿って湾曲したフランジ壁を前記側壁の壁面上へ接着または圧接することにより、前記外筒体を前記側壁へ液密に固定するための前記外筒体から放射状に延びた鍔状のフランジ壁をさらに含んでいることを特徴とする請求項5に記載の着脱機構。
【請求項7】
前記器具は、防臭のための水封用エルボ、逆流防止のための逆流防止弁付エルボ、流量調節用のオリフィスまたは異物除去用のフィルターであることを特徴とする請求項1又は2に記載の着脱機構。
【請求項8】
排水ますまたは立管の側壁若しくは受口へ、請求項1ないし7のいずれかに記載の着脱機構が適用された継手手段および器具を備えている排水ます。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−220012(P2011−220012A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−91208(P2010−91208)
【出願日】平成22年4月12日(2010.4.12)
【出願人】(000000505)アロン化成株式会社 (317)
【Fターム(参考)】