説明

排水トラップ回動式便器

【課題】排水トラップ後端部に、開口部から排出された汚物が乗り上げることを抑制できる排水トラップ回動式便器を提案する。
【解決手段】本発明の排水トラップ回動式便器1では、トラップケース2内で回動機構3によって、排水トラップ後端部40の開口部41が上方を向く封水姿勢と、開口部41が後下方または下方を向く排水姿勢との間で回動される。そして、開口部41が後方を向く後向き姿勢での排水トラップ後端部40の上端部となる箇所42に、開口部41から排出された汚物が排水トラップ後端部40へ乗り上げることを防止するための乗り上げ防止用突片5を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラップケース内で排水トラップ後端部が回動機構により上下に回動される排水トラップ回動式便器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、特許文献1等によって、トラップケース内で排水トラップ後端部が回動機構により上下に回動される排水トラップ回動式便器が提案されている。
【0003】
こういった排水トラップ回動式便器9では、図5(a)に示すように、トラップケース2に設けられた回動機構3によって、排水トラップ後端部40を成すトラップ保持部32の開口部41が上方を向く封水姿勢と、開口部41が後下方を向く排水姿勢との間で回動される。排水姿勢では、開口部41がトラップケース2の下部に設けた排水口20に向く状態となる。
【0004】
この排水トラップ回動式便器9では、開口部41が後方(真後ろ)を向く後向き姿勢のときに、排水トラップ後端部40とトラップケース2の後壁21との間が極力狭くなるように形成して、便器の前後幅のコンパクト化を図っている。また、このように形成することで、後向き姿勢での開口部41を後壁21によって蓋をしたようになる。そのため、後向き姿勢から排水姿勢に到達するまでの開口部41からの水漏れを減らすことができ、排水姿勢において排水トラップ内の水を勢いよく放出することができる。これにより、節水化を図れる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−210055号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、このように後向き姿勢の排水トラップ後端部40とトラップケース2の後壁21との間が狭くなるように形成すると、以下のような問題が発生するおそれがある。
【0007】
すなわち、排水トラップ後端部40が封水姿勢から下方に回動して後向き姿勢となった際に、図6(a)に示すように、開口部41から排出された汚物が、開口部41周縁とトラップケース2の後壁21との間に挟まる。そして、この状態で排水トラップ後端部40が排水姿勢へと下方に回動すると、図6(b)に示すように、その汚物が排水トラップ後端部40に乗り上げてしまう。このように汚物が排水トラップ後端部40に乗り上げてしまっては、排水トラップ後端部40の回動に支障が出たり、トラップケース2内に汚物が残留する等のおそれがある。
【0008】
そこで、上記事情を鑑みて、本発明は、排水トラップ後端部に、開口部から排出された汚物が乗り上げることを抑制できる排水トラップ回動式便器を提案することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決する本発明は、トラップケース内で回動機構によって、排水トラップ後端部の開口部が上方を向く封水姿勢と、前記開口部が後下方または下方を向く排水姿勢との間で回動される排水トラップ回動式便器において、前記開口部が後方を向く後向き姿勢での前記排水トラップ後端部の上端部となる箇所に、前記開口部から排出された汚物が前記トラップ後端部へ乗り上げることを防止するための乗り上げ防止用突片を備えることを特徴とする。
【0010】
また、前記乗り上げ防止用突片は、前記開口部が前記後向き姿勢にある状態で、上方に向けて突出し、その突出先端部は、前記開口部よりも前方に位置することが好ましい。
【0011】
また、前記トラップケースは、その下部に、後方または後下方に向けて開口する排水口を備え、前記排水姿勢は、前記開口部が後下方を向く姿勢であることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の排水トラップ回動式便器は、排水トラップ後端部に、開口部から排出された汚物が乗り上げることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第一実施形態の排水トラップ回動式便器を示し、(a)は要部の側面断面図であり、(b)は乗り上げ防止用突片を備えたトラップ保持部の斜視図である。
【図2】(a)(b)は、同上の乗り上げ防止用突片によって、排水トラップ後端部の開口部から排出された汚物が排水トラップ後端部へ乗り上げることを防止する流れを説明するための説明図である。
【図3】本発明の第二実施形態の排水トラップ回動式便器を示し、(a)は要部の側面断面図であり、(b)は乗り上げ防止用突片を備えたトラップ保持部の斜視図である。
【図4】(a)(b)は、同上の乗り上げ防止用突片によって、排水トラップ後端部の開口部から排出された汚物が排水トラップ後端部へ乗り上げることを防止する流れを説明するための説明図である。
【図5】従来例の排水トラップ回動式便器を示し、(a)は要部の側面断面図であり、(b)はトラップ保持部の斜視図である。
【図6】(a)(b)は、同上の排水トラップ回動式便器において、排水トラップ後端部の開口部から排出された汚物が排水トラップ後端部へ乗り上げることを説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて説明する。本発明においては、便器1に着座した人を基準として、図1(a)の左側を前方向とし、その逆側を後方向とし、図1(a)の上側を上方向とし、その逆側を下方向とする。また、図1(a)の手前側を左方向とし、その逆側を右方向として、各構成の説明を行う。
【0015】
第一実施形態の排水トラップ回動式便器1は、便器本体のボウル部の排出口に前端が接続された排水トラップ4の後端が、図1(a)に示すようにトラップケース2内で回動機構3により上下に回動されるものである。なお、図示は省略するが、便器本体の前下部にボウル部を備え、便器本体の前上部に便座と便蓋を備える。そして、便器本体の後下部にトラップケース2を備え、便器本体の後上部に機能ケース(局部洗浄ノズル、温風装置、脱臭装置、給水装置、加温装置や、これらを制御する制御装置等を内蔵したもの)を備える。
【0016】
排水トラップ4は、蛇腹状の管状体であり、屈曲柔軟性を有し、変形可能である。そして、この排水トラップ4を内蔵するトラップケース2は、中空の箱体であり、その前壁には、排水トラップ4の前端部が、トラップケース2内の空気や液体が外部に流出しないようにシール状態で固定されている。そして、トラップケース2の後壁21には、その下端部に後方(真後ろ)に向けて開口する排水口20が設けられている。なお、この排水口20は、後下方に向けて開口するように設けてもかまわない。また、トラップケース2の側壁には、排水トラップ後端部40を上下に回動させる回動機構3が備えてある。
【0017】
回動機構3は、回動中心となる回動中心軸部30と、排水トラップ4の後端を保持するトラップ保持部32と、回動中心軸部30とトラップ保持部32とを連結する連結部31と、回動中心軸部30を回転させるモータ(図示せず)とから構成されている。回動機構3のうち、回動中心軸部30がトラップケース2の側壁に回転自在に取り付けられており、この側壁外側に配設されたモータによって回動中心軸部30は回転される。この回動中心軸部30に連結部31の一端部が固定されており、連結部31の他端部にトラップ保持部32が固定されている。これにより、モータの回転に伴って、排水トラップ後端部40を成すトラップ保持部32が上下に回動する。以下、このトラップ保持部32については、排水トラップ4の後端に一体に設けた図1(a)に示す状態を基準として、説明を行う。
【0018】
トラップ保持部32は、図1(b)に示すように略円環状である。トラップ保持部32は、排水トラップ4の後端の開口周縁に、全周に亘って固定される。トラップ保持部32は、下流端の開口部41周縁の端面33が、側面視円弧状となるように形成されている。この円弧は、回動中心軸部30を中心とする円弧である。これにより、トラップ保持部32が上下に回動する際、開口部41周縁の端面33全体が、回動中心軸部30を中心とする所定の径の円軌跡L1上に位置する。
【0019】
排水トラップ後端部40を成すトラップ保持部32は、回動機構3のモータによって、図1(a)に示す開口部41が上方を向く封水姿勢と、開口部41が真後ろよりわずかに下がった後下方を向く排水姿勢との間で回動される。排水姿勢では、開口部41がトラップケース2の排水口20に向く状態となる。この封水姿勢において、排水トラップ4は封水される状態となり、排水姿勢において、便器本体のボウル部と排水トラップ4内の水及びティッシュペーパーなどの汚物はトラップケース2の排水口20を介して外部の下水管へと排出される状態になる。
【0020】
トラップケース2の後壁21は、その内側面のうち、トラップ保持部32の開口部41が真後ろを向いた後向き姿勢におけるその開口部41に対向する部分が、開口部41との間の距離が僅かとなるように形成されている。これにより、この後壁21の対向部分は、後向き姿勢における開口部41から水や汚物が漏れ出すのを抑制する蓋のような役割を果たす。本実施形態では、図2に示すように、後壁21の対向部分の内側面が、開口部41周縁の端面33に沿った円弧状となるように形成している。これにより、開口部41と後壁21との間を上下に亘って狭くできる。なお、上述の後壁21の対向部分の内側面は、円弧状とすることに限定されず、後向き姿勢の開口部41の端面33に沿うとともに、開口部41との間に僅かな隙間ができるように形成されればよい。
【0021】
トラップ保持部32は、図1(b)に示すように、略円環状のトラップ保持部32の径外方向に向けて突出する突出片部50からなる乗り上げ防止用突片5を備える。乗り上げ防止用突片5は、トラップ保持部32の外周面のうち、後向き姿勢でのトラップ保持部32の上端部となる箇所42に配置されている。また、乗り上げ防止用突片5は、左右方向に長尺の略矩形平板状をなしている。乗り上げ防止用突片5は、その突出先端部が、トラップ保持部32を回動させた際に、トラップ保持部32の端面33がたどる円軌跡L1よりも少し大径の円軌跡を描くように形成されている。なお、本実施形態では、トラップ保持部32の外周面の前後方向の中央部から、乗り上げ防止用突片5を、外周面に対して垂直となるように設けているが、必ずしも垂直である必要はなく、端面33側に傾斜するように設けてもよい。
【0022】
本実施形態では、図1(a)に示すように、排水姿勢において、乗り上げ防止用突片5がトラップケース2の後壁21の手前に位置するかあるいは後壁21に接触するように、排水姿勢の位置を設定している。すなわち、封水姿勢から排水姿勢へと回動する際に、乗り上げ防止用突片5が、後壁21の手前で停止するか、あるいは後壁21に当たった状態で停止するように、排水姿勢の位置を設定している。また、それに併せて、トラップケース2の排水口20の位置を設定している。そのため、本実施形態では、乗り上げ防止用突片5の先端部を回動時に開口部41よりも後壁21側に近づくように突出させて形成しているものの、この先端部が通過するためのスペースを後向き姿勢における排水トラップ後端部40と後壁21間に設けなくてもよい。よって、この間の前後幅を抑えて、トラップケース2の前後幅、ひいては、便器の前後幅をコンパクト化することができる。
【0023】
続いて、上述した回動機構3によって、排水トラップ後端部40をなすトラップ保持部32を封水姿勢から排水姿勢へと回動させる際の、排水トラップ4内の水や汚物が排出される様子を説明する。
【0024】
排水トラップ後端部40(トラップ保持部32)を、封水姿勢から排水姿勢へと下方に回動させると、後向き姿勢となるあたりで、トラップ保持部32の開口部41がトラップケース2の後壁21に近づく。このとき開口部41から排水トラップ4内の水や汚物が流出しようとする。しかし、本実施形態では、開口部41と後壁21間の距離が短いため、開口部41が後壁21によって蓋をされたような状態となり、開口部41からの水や汚物の流出量を抑えることができる。そのため、後向き姿勢から排水姿勢に到達するまでの開口部41からの水漏れを減らして、排水姿勢において排水トラップ4内の水を勢いよく放出できる。これにより、節水化を図れる。
【0025】
ここで、後壁21によって流出を防止できなかった一部の汚物が、開口部41周縁の端面33と後壁21との間に挟まってしまう場合がある。この開口部41と後壁21との隙間のうち、隙間下部に挟まった汚物は、開口部41の下方への回動に伴ってそのまま流下して、トラップケース2の排水口20へと流れる。
【0026】
それに対して、隙間上部に挟まった汚物は、開口部41に次いで、開口部41よりも後壁21側に近づくように下方に回動する乗り上げ防止用突片5によって、図2(a),図2(b)に示すように、下方へと掻き落とされる。
【0027】
そして、排水トラップ後端部40が排水姿勢に位置した状態で、排水トラップ4内の水と汚物が、トラップケース2の排水口20を介して、外部の下水管へと排出される。
【0028】
以上のように、本実施形態では、乗り上げ防止用突片5を備えることによって、開口部41から排出された汚物が、排水トラップ後端部40に乗り上げてしまうことを防止できる。
【0029】
続いて、図3,図4に示す第二実施形態の排水トラップ回動式便器1について説明する。第二実施形態の排水トラップ回動式便器1は、第一実施形態の排水トラップ回動式便器1とは、乗り上げ防止用突片5のみ異なる。そこで、第一実施形態の排水トラップ回動式便器1と同じ構成については図中に同じ符号を付けて詳しい説明は省略する。
【0030】
第二実施形態の排水トラップ回動式便器1では、乗り上げ防止用突片5は、基端側の突出片部50と、突出先端側の延出部51とを備えている。突出片部50は、排水トラップ後端部40を成すトラップ保持部32から、その径外方向に向けて突出している。延出部51は、突出片部50の突出方向よりもトラップ保持部32の回動中心(回動中心軸部30)側に傾斜した方向に突出している。つまり、乗り上げ防止用突片5は、開口部41が真後ろを向いた後向き姿勢にある状態で、上方に向けて突出し、乗り上げ防止用突片5は途中で折れ曲がって、その突出先端部53は、開口部41よりも前方に位置する。この開口部41が後向き姿勢にある状態で、突出片部50は真上に向けて突出し、延出部51は、この突出片部50の突出先端部52から突出先端側ほど前方に位置するように傾斜して突出している。突出片部50と延出部51とがなす角度は、本実施形態では、135度程度であるが、この角度は適宜設定可能である。
【0031】
突出片部50と延出部51は、図3(b)に示すように、左右方向に長尺の略矩形板状をなしている。突出片部50は、その突出先端部52が、トラップ保持部32を回動させた際に、トラップ保持部32の端面33がたどる円軌跡L1よりも少し大径の円軌跡を描くように形成されている。なお、本実施形態では、突出片部50を、開口部41が後向き姿勢にある状態で、真上に向けて突出しているが、後上方に向けて突出してもよい。
【0032】
また、本実施形態では、延出部51は、図3(a)に示すように、突出片部50の突出先端部52が回動時に描く円軌跡の内側に収まる範囲で、突出片部50との間になす角度が極力大きくなるように傾斜させて設けられている。これにより、限られた前後幅のトラップケース2内で、延出部51、つまりは乗り上げ防止用突片5を極力長く形成することができる。なお、延出部51は、トラップ保持部32が回動する際に、トラップケース2に衝突しないように形成すればよく、延出部51は、突出片部50の突出先端部52が回動時に描く円軌跡よりも外側に位置するようにしてもよい。
【0033】
続いて、上述した乗り上げ防止用突片5を備えるトラップ保持部32を封水姿勢から排水姿勢へと回動させる際の、排水トラップ4内の水や汚物が排出される様子を説明する。
【0034】
図4(a),(b)に示すように、開口部41周縁(端面33)と後壁21との隙間上部に挟まった汚物は、開口部41に次いで、開口部41よりも後壁21側に近づくように下方に回動する乗り上げ防止用突片5の突出片部50によって、下方へと掻き落とされる。
【0035】
このとき、本実施形態では、乗り上げ防止用突片5が延出部51の分だけ長くなっているため、隙間上部に挟まった汚物が、乗り上げ防止用突片5を乗り越えにくくなっている。しかも、延出部51は、図4(a)に示す後向き姿勢から図4(b)に示す排水姿勢の際に、後側ほど下方に位置するように傾斜した様態となるため、延出部51上の汚物は、後下方へ落下させることができる。これによっても、汚物が乗り上げ防止用突片5を乗り越えにくくなっている。
【0036】
以上のように、本実施形態では、限られた前後幅のトラップケース2内で、乗り上げ防止用突片5を極力長く形成して、開口部41から排出された汚物が、排水トラップ後端部40に乗り上げてしまうことをさらに防止できるものとなっている。
【0037】
以上まとめると、第一及び第二実施形態の排水トラップ回動式便器1では、トラップケース2内で回動機構3によって、排水トラップ後端部40の開口部41が上方を向く封水姿勢と、開口部41が後下方を向く排水姿勢との間で回動される。そして、開口部41が後方を向く後向き姿勢での排水トラップ後端部40の上端部となる箇所42に、開口部41から排出された汚物が排水トラップ後端部40へ乗り上げることを防止するための乗り上げ防止用突片5を備える。
【0038】
このような構成とすることで、後向き姿勢の排水トラップ後端部40とトラップケース2の後壁21との間が狭くなるように形成しても、排水トラップ後端部40が封水姿勢から排水姿勢へと下方に回動する際、開口部41に次いで乗り上げ防止用突片5が下方に回動する。このとき、この乗り上げ防止用突片5によって、開口部41から排出された汚物が排水トラップ後端部40に乗り上げることを防止できる。よって、第一及び第二実施形態の排水トラップ回動式便器1では、排水トラップ後端部40に開口部41から排出された汚物が乗り上げることを抑制できる。
【0039】
また、第二実施形態の排水トラップ回動式便器1では、乗り上げ防止用突片5は、開口部41が前記後向き姿勢にある状態で、上方に向けて突出し、その突出先端部53は、開口部41よりも前方に位置する。
【0040】
このような構成とすることで、第二実施形態の排水トラップ回動式便器1では、前後幅の限られたトラップケース2内で、乗り上げ防止用突片5を極力長く形成して、汚物の乗り越えを抑制することができる。
【0041】
また、第一及び第二実施形態の排水トラップ回動式便器1では、トラップケース2は、その下部に、後方または後下方に向けて開口する排水口20を備え、前記排水姿勢は、開口部41が後下方を向く姿勢である。
【0042】
このようにトラップケース2に後方または後下方に向けて開口する排水口20を設けることによって、乗り上げ防止用突片5がトラップケース2の後壁21に接触する手前もしくは、接触した箇所で止まるように排水姿勢を設定することができる。これにより、後向き姿勢の排水トラップ後端部40と、トラップケース2の後壁21との間に乗り上げ防止用突片5が通過するためのスペースを確保しなくてもよいので、この間の前後幅を抑えることができる。よって、トラップケース2の前後幅を抑えて、便器の前後幅のコンパクト化を図ることができる。
【0043】
なお、上述した第二実施形態の乗り上げ防止用突片5は、開口部41が真後ろを向いた後向き姿勢にある状態で、上方に向けて突出し、その突出先端部53が、開口部41よりも前方に位置するように形成すればよく、図3(b)に示す形状に限定されない。例えば、乗り上げ防止用突片5を円弧状に屈曲させて形成してもよい。
【0044】
以上、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記の各実施形態に限定されるものではなく、本発明の意図する範囲内であれば、適宜の設計変更が可能である。
【符号の説明】
【0045】
1 排水トラップ回動式便器
2 トラップケース
20 排水口
3 回動機構
40 排水トラップ後端部
41 開口部
42 箇所
5 乗り上げ防止用突片
53 突出先端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラップケース内で回動機構によって、排水トラップ後端部の開口部が上方を向く封水姿勢と、前記開口部が後下方または下方を向く排水姿勢との間で回動される排水トラップ回動式便器において、
前記開口部が後方を向く後向き姿勢での前記排水トラップ後端部の上端部となる箇所に、前記開口部から排出された汚物が前記排水トラップ後端部へ乗り上げることを防止するための乗り上げ防止用突片を備えることを特徴とする排水トラップ回動式便器。
【請求項2】
前記乗り上げ防止用突片は、前記開口部が前記後向き姿勢にある状態で、上方に向けて突出し、その突出先端部は、前記開口部よりも前方に位置することを特徴とする請求項1に記載の排水トラップ回動式便器。
【請求項3】
前記トラップケースは、後方または後下方に向けて開口する排水口を備え、
前記排水姿勢は、前記開口部が後下方を向く姿勢であることを特徴とする請求項1または2に記載の排水トラップ回動式便器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−79564(P2013−79564A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−91601(P2012−91601)
【出願日】平成24年4月13日(2012.4.13)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】