説明

排水プラグ

【課題】車体パネルの接合部により近い位置に水抜き孔を形成でき、水抜きを充分に行うことができる排水プラグを提供する。
【解決手段】この排水プラグ10は、車体パネル端縁の水抜き孔に嵌着されるもので、水抜き孔を覆うように水抜き孔の表側周縁に配置される頭部20と、頭部20裏側に形成され、水抜き孔に挿入係止される係止脚30とを備え、係止脚30は、前壁31と両側壁33,33とを有し、後部が開口した枠状壁32で構成され、枠状壁32の先端部が、車体パネルの端縁部から一対のパネルの間隔が広がる方向に向け、かつ、頭部20から離れる方向に斜めに延出され、枠状壁32の後部は、車体パネルの端縁部側に面しており、両側壁33,33には、水抜き孔の裏側周縁に係合する係合部37が形成され、前壁31の頭部20側の面は、係合部37を水抜き孔の裏面側周縁に導くガイド面39をなしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体パネル内に溜まった水を排水するための排水プラグに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、自動車の荷室のリッドや、トランクリッド、ドア、フェンダー等は、外側パネルと内側パネルとからなる車体パネルからなる。すなわち、外側パネルと内側パネルとの端部どうしが互いに当接して接合されていると共に、両パネルどうしの間隔が適宜広げられて、所定厚さの車体パネルが形成されている。このような一対のパネルからなる車体パネルの内部には、雨水や車体清掃時の洗浄水等が浸入して溜まってしまうことがある。そのため、車体パネルに水抜き用の孔を形成し、ここから車体パネル内の水を外部へ水抜きすることが行われている。
【0003】
しかし、このような水抜き孔を開口したままでは、そこから燃料等の匂いや、泥水、粉塵、音等が車体内に進入する虞れがあった。そのため、水抜き孔を閉塞すると共に、水抜き孔からの水抜きを許容するプラグが取付けられている。
【0004】
例えば、下記特許文献1には、フランジ状の頭部(非挿入部)と、該頭部に連設された水抜き孔への挿入部とからなる水抜きプラグが開示されている。前記挿入部は、前記頭部の裏側から円筒状に所定高さで突出すると共に、その周方向一部が扇形の切欠溝により切り欠かれた形状をなしており、更に挿入部の先端部外周には、外径方向に向けて所定高さの係合爪部が突設されている。そして、前記挿入部を車体パネルに形成された水抜き孔に挿入すると、水抜き孔の表側に頭部が係合すると共に、挿入部外周に設けられた係合爪部が水抜き孔の裏側に係合して、水抜き孔にプラグが取付けられるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭61−226375号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
プラグが取付けられる車体パネルは、一対のパネルどうしが所定間隔をあけて配置されているものの、パネルどうしが接合した部分に近づくにつれて、一方のパネルが他方のパネルに対して近接するように湾曲したり、両パネルが互いに近接するように湾曲して、パネルどうしの間隔が小さくなるように形成されている。そして、車体パネル内に浸入した水は、その自重によって、パネルどうしの接合部に達して溜まることとなる。そのため、水抜き孔は、パネルどうしの接合部にできるだけ近接して設けることが好ましい。
【0007】
しかし、上記特許文献1のプラグの挿入部は、略円筒状をなして所定高さで突設しているので、パネルどうしの間隔が狭くなると、水抜き孔への挿入ストロークが足りず、プラグを取付けることができない。そのため、荷室のリッドやトランクリッドのように、端縁部で一対のパネルの間隔が非常に狭くなっている場合には、端縁部に近接して水抜き孔を設けることができなくなるという不都合が生じる。
【0008】
したがって、本発明の目的は、車体パネルの接合部により近い位置に水抜き孔を形成することができ、水抜きを充分に行うことができる、排水プラグを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明は、外側及び内側の一対のパネルで構成される車体パネルの端縁部に形成された水抜き孔に嵌着される排水プラグにおいて、前記水抜き孔を覆うように、水抜き孔の表側周縁に配置される頭部と、該頭部の裏側に形成されると共に、前記水抜き孔に挿入係止される係止脚とを備え、該係止脚は、前壁と両側壁とを有し、後部が開口した枠状壁で構成され、該枠状壁の先端部が、前記車体パネルの端縁部から前記一対のパネルの間隔が広がる方向に向けて、かつ、前記頭部から離れる方向に斜めに延出されており、更に該枠状壁の後部は、前記車体パネルの端縁部側に面しており、前記両側壁には、前記水抜き孔の裏側周縁に係合する係合部が形成され、前記前壁の前記頭部側の面は、前記係合部を前記水抜き孔の裏面側周縁に導くガイド面をなしていることを特徴とする。
【0010】
本発明においては、前記頭部は、その中央に形成された肉厚部と、該肉厚部の周縁から該肉厚部よりも薄い厚さでフランジ状に広がり、前記水抜き孔の表側周縁に弾性的に当接する肉薄フランジ部とを有し、更に、前記肉厚部の裏側の、前記係止脚の前記係合部に対面する位置に、前記水抜き孔の表側周縁に当接する押え凸部が形成されていることが好ましい。
【0011】
本発明においては、前記押え凸部は、前記肉厚部の裏側の、前記係止脚の前記係合部に対面する位置にあって、前記係止脚の延出方向に対して直交する方向にリブ状に伸びていることが好ましい。
【0012】
本発明においては、前記肉薄フランジ部の裏面側であって、前記係止脚の枠状壁の後部側に位置する部分には、前記水抜き孔の表側周縁と前記肉薄フランジ部との間に、排水用の隙間を形成するリブ又は凹部が形成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、係止脚の枠状壁の先端部を水抜き孔に差し込んで、ガイド面に沿って係止脚を斜めに挿入することにより、両側壁の係合部が水抜き孔の裏側周縁に係合すると共に、頭部が水抜き孔の表側周縁に当接して、係止脚と頭部との間に水抜き孔周縁を挟み込むことにより、水抜き孔に排水プラグを取付けることができる。
【0014】
このとき、係止脚の枠状壁の先端部が、前記車体パネルの端縁部から前記一対のパネルの間隔が広がる方向に向けて、かつ、前記頭部から離れる方向に斜めに延出されているので、水抜き孔に対して係止脚を斜めに挿入することができ、水抜き孔が車体パネルの端縁部にあって、一対のパネルの間隔が狭くなっている場合でも、排水プラグを取付けることができる。その結果、水抜き孔を車体パネルの一対のパネルの接合部により近づけて形成することができ、枠状壁の、車体パネルの端縁部側に面した後部の開口部から、水抜きを充分に行わせることが可能となる。
【0015】
また、係止脚は、前壁と両側壁とを有し、後部が開口した枠状壁で構成されているので、例えば、ゴムやエラストマー等の柔軟な材料から排水プラグが形成されている場合であっても、十分な剛性を確保することができる。更に、係止脚の内部に水が浸入しても後部の開口から抜けるので、係止脚の内部に水が溜まるのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の排水プラグの一実施形態を示しており、(a)は斜視図、(b)は(a)の反対側から見たときの斜視図である。
【図2】同排水プラグを示しており、(a)は底面図、(b)は側面図である。
【図3】同排水プラグを示しており、(a)は図2(a)のA−A矢示線における断面図、(b)は図2(a)のB−B矢示線における断面図である。
【図4】同排水プラグを水抜き孔に取付けた状態を示す断面図である。
【図5】同排水プラグが取付けられた車体パネルを、開閉するリッドに適用した場合の説明図である。
【図6】本発明の排水プラグの他の実施形態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図1〜5を参照して、本発明の排水プラグの一実施形態について説明する。
【0018】
図4,5に示すように、この排水プラグ10は、例えば、自動車の荷室のリッドや、トランクリッド、ドア、フェンダー等の、外側パネル2及び内側パネル3で構成される車体パネル1の端縁部に形成された水抜き孔5に嵌着されるものである。図5に示すように、この実施形態における車体パネル1は、車両後部の荷室6の開口部に開閉可能に取付けられるリッドであって、内側パネル3の端部が外側パネル2のU字状屈曲部で挟み込まれると共に、両パネル2,3の端部どうしが当接して、この当接した部分がスポット溶接等で互いに接合されて構成されている(図4参照)。前記内側パネル3は所定形状に屈曲した形状をなし、車体パネル1を構成する両パネル2,3の間隔は、接合部4から離れるにつれて広がるようになっている。また、前記水抜き孔5は、前記内側パネル3に矩形状に形成されている。
【0019】
なお、前記荷室6は、所定の屈曲形状をなしたアウター7と、同アウター7に接合されるインナー8とからなり、その接合部前方にはウェザーストリップ9が取付けられており、図5に示すようにリッドを閉じると、荷室6の開口部が閉塞されるようになっている。
【0020】
図1〜3に示すように、この排水プラグ10は、例えば、ゴムや弾性エラストマー等の軟質樹脂で形成されており、前記水抜き孔5を覆うように、水抜き孔5の表側周縁に配置される頭部20と、該頭部20の裏側に形成されると共に、前記水抜き孔5に挿入係止される係止脚30とを有している。
【0021】
前記頭部20は、所定方向に長く伸びる横長の肉厚部21と、該肉厚部21の周縁から肉厚部21よりも薄い厚さでフランジ状に広がり、前記水抜き孔5の表側周縁に弾性的に当接する肉薄フランジ部25とを有している。
【0022】
図3(b)に示すように、この実施形態の肉厚部21は、内側パネル3の屈曲形状に対応して、係止脚30の、後述する枠状壁32の先端部が延出する方向(以下、「係止脚30の延出方向」という)に沿った断面形状が、裏面側に向けて湾曲した形状をなしている。また、図1(a)に示すように、肉厚部21の表側には、上記係止脚30の延出方向に直交する方向に沿って伸びる突条からなる滑り止め突部22が、所定間隔で平行に設けられている。これら複数の滑り止め突部22は、排水プラグ10を水抜き孔5へ挿入すべく、頭部20を押圧するときの滑り止めをなす。
【0023】
また、図2(a)及び図3(a)に示すように、肉厚部21の裏側の長手方向両側部であって、係止脚30の後述する一対の係合部37,37に対面する位置には、水抜き孔5の表側周縁に当接する押え凸部23,23が突設されている。この実施形態における押え凸部23は、係止脚30の延出方向に対して直交する方向に、リブ状に伸びている。
【0024】
一方、前記肉薄フランジ部25は、上記肉厚部21の外周縁から裏面側に向けて、所定角度で斜め外方にフランジ状に広がる形状をなしている。この肉薄フランジ部25は、前述した肉厚部21と同様に内側パネル3の屈曲形状に対応して、屈曲した形状となっている。また、肉薄フランジ部25は、前記肉厚部21よりも肉薄で、かつ、その延出方向先端に向けて次第に肉薄となっている(図3(b)参照)。
【0025】
また、図2(a)及び図4に示すように、肉薄フランジ部25の裏面側であって、係止脚30の後述する枠状壁32の後部側(開口部35側)に位置する部分には、水抜き孔5の表側周縁と肉薄フランジ部25との間に、排水用の隙間G(図4参照)を形成するリブ26が設けられている。この実施形態では、肉薄フランジ部25の開口部35側の一側辺であって、開口部35の両側に、一対のリブ26,26が係止脚30の延出方向の反対方向に向けて平行に伸びている。
【0026】
次に係止脚30について説明する。この係止脚30は、前壁31と両側壁33,33とを有し、後部が開口部35をなす枠状壁32で構成され、該枠状壁32の先端部が、車体パネル1の端縁部から一対のパネル2,3の間隔が広がる方向に向けて、かつ、頭部20から離れる方向に斜めに延出されており、更に枠状壁32の後部の開口部35は、前記車体パネル1の端縁部側に面して開口するように構成されている。
【0027】
図1(b)及び図3(b)に示すように、前壁31は、頭部20の肉厚部21裏側から、同肉厚部21の長手方向に沿って所定幅で、かつ、所定高さで垂設した部分31aを有すると共に(図3(b)参照)、この垂設した部分31aの先端から、前方(一対のパネル2,3の間隔が広がる方向)に向けて、かつ、頭部20に対して離れるように斜め外方に延出し、かつ、延出するにつれて次第に幅狭となる形状をなしている(図2参照)。
【0028】
一方、両側壁33,33は、前壁31の両側縁部に連結されていて、頭部20の肉厚部21裏側から垂設する部分と、頭部20から離れるように斜め外方に延出する部分とを有している。
【0029】
そして、上記の前壁31と両側壁33,33とが延出すると共に、延出方向反対側の後部が開口部35をなしていることによって、裏面側から見たとき、略V字状の枠状壁32が構成されている。すなわち、図2(a)に示すように、前壁31は、延出方向先端に向けて次第に幅狭とされていると共に、図2(b)及び図3(b)に示すように、両側壁33,33も、延出方向先端に向けて次第に幅狭となるように形成されているので、係止脚30を構成する枠状壁32は、側方から見て延出方向先端が細く(図2(b)及び図3(b)参照)、底面側から見ても延出方向先端が細い形状となっている(図2(a)参照)。
【0030】
また、両側壁33,33の外側面には、水抜き孔5の裏側周縁に係合するように所定高さで突出する係合部37,37が設けられている。この係合部37の、頭部20側の係合面37a(図3(a)参照)は、所定角度で傾斜した形状をなしている。
【0031】
更に、両側壁33,33の、頭部20とは反対側の外側縁には、係止脚30の延出方向に沿ってテーパ面33a,33aが形成されている(図2(a)参照)。このテーパ面33aは、前記係合部37の、頭部20とは反対側の面に至るまで形成されている(図3(a)参照)。これらのテーパ面33a,33aにより、係止脚30の突出方向先端部の幅が狭くされているので、係止脚30を水抜き孔5に挿入する際に、水抜き孔5内周に引っ掛かることを防止して、係止脚30をスムーズに挿入できるようになっている。
【0032】
そして、図2(b)に示すように、前壁31の頭部20側の面は、前記係合部37の係合面37aに対して段差がなく、滑らかに連続した形状のガイド面39をなしている。このガイド面39により、係止脚30を水抜き孔5に挿入していくときに、前記係合部37がガイドされて水抜き孔5の裏側周縁に導かれるようになっている。なお、前記ガイド面39と係合部37の係合面37aとの間に多少の段差があっても、係止脚30を水抜き孔5に挿入していくときに乗り越え可能な程度の高さであれば問題ない。
【0033】
次に上記構成からなる排水プラグ10の使用方法について説明する。
【0034】
すなわち、排水プラグ10の頭部20を把持し、係止脚30の延出した先端部の向きを、両パネル2,3の間隔が広がる方向となるように整合させて、係止脚30の先端部を、車体パネル1の水抜き孔5に斜めに差し込む。このとき、係止脚30は、排水プラグ10の側面及び底面から見たときに、先細の枠状壁をなしているので(図2参照)、水抜き孔5に容易に挿入できるようになっている。また、係止脚30の延出部両側も、テーパ面33a,33aが設けられているので、水抜き孔5内周に引っ掛かることが防止される。
【0035】
上記のように水抜き孔5に係止脚30の先端部を差し込んだ後、前壁31に形成された頭部20側のガイド面39に沿って、係止脚30を水抜き孔5に対して斜めに挿入していく(図4の想像線参照)。すると、水抜き孔5内周にガイド面39が摺接して、係止脚30が徐々にパネル2,3間に入り込んでいくと共に、ガイド面39に連続した係合面37aもガイドされて、水抜き孔5の裏側に潜り込むようにして挿入され、水抜き孔5の裏側周縁に係合する。それと共に、肉薄フランジ部25が、内側パネル3の屈曲形状に対応して撓み変形して、水抜き孔5の表側周縁に弾性的に当接する。その結果、内側パネル3に形成された水抜き孔5の表裏周縁が、肉薄フランジ部25と係合部37とで挟み込まれて、水抜き孔5に排水プラグ10が嵌着される(図3(b)参照)。
【0036】
このとき、肉薄フランジ部25の係止脚30の延出方向反対側の側辺では、一対のリブ26,26が水抜き孔5の表側周縁に当接して、水抜き孔5の表側周縁と肉薄フランジ部25との間に排水用の隙間Gが形成されると共に(図4参照)、係止脚30の延出方向に直交する部分では、肉厚部21裏側の一対の押え凸部23,23が、水抜き孔5の表側周縁に線状に接触するようになっている(図3(a)参照)
そして、この排水プラグ10においては、係止脚30の枠状壁の先端部が、車体パネル1の端縁部から一対のパネル2,3の間隔が広がる方向に向けて、かつ、前記頭部20から離れる方向に斜めに延出されている。したがって、上述したように水抜き孔5に対して係止脚30を斜めに挿入することができるので、図4に示すように、水抜き孔5が車体パネル1の端縁部にあって、一対のパネル2,3の間隔が狭くなっている場合でも、排水プラグ10を確実に取付けることができる。その結果、水抜き孔5を、車体パネル1の一対のパネル2,3の接合部4により近づけて形成することができる(図4参照)。それによって、枠状壁32の後部の開口部35から、一対のパネル2,3の間に溜まった水を、できるだけ残さないように水抜き孔5から排出させることができる、また、水抜き孔5の周縁が肉薄フランジ部25によりシールされるので、排ガス等の臭いが水抜き孔5から進入するのを抑制することができる。
【0037】
また、この実施形態においては、肉薄フランジ部25の裏面側であって、係止脚30の枠状壁の後部側に位置する部分に、排水用の隙間Gを形成するためのリブ26を設けたので、リブ26により形成された排水用の隙間Gから、一対のパネル2,3間に溜まった水を排水しやすくすることができる。また、肉薄フランジ部25の裏側にリブ26を設けたことにより、排水用の隙間Gを確保しつつ、水抜き孔5の表側周縁と肉薄フランジ部25との隙間を最小限にして、排ガス等の臭いが水抜き孔5から進入するのを効果的に抑制することができる。
【0038】
更に、この排水プラグ10における係止脚30は、前壁31と両側壁33,33とを有し、後部が開口した枠状壁32で構成されているので、例えば、ゴムやエラストマー等の柔軟な材料から排水プラグ10が形成されている場合であっても、十分な剛性を確保することができる。また、係止脚30の内部に水が浸入しても後部の開口部35から抜けて、上述したように排水用の隙間Gから排水することができるので、係止脚30の内部に水が溜まるのを防止することができる。
【0039】
ところで、この排水プラグ10においては、係止脚30の延出方向とは反対側の後部に開口部35を設けたので、係止脚30を、一対のパネル2,3の間隔が広がる方向に差し込むことにより、開口部35を一対のパネル2,3の間隔が狭い部分に配置することができ、開口部35の向き(ここでは下向き)を間違える虞れがない。
【0040】
また、この実施形態においては、頭部20は、肉厚部21とフランジ状に広がる肉薄フランジ部25とを有し、肉厚部21裏側の、係止脚30の係合部37に対面する位置に、水抜き孔5の表側周縁に当接する一対の押え凸部23,23が形成されている。そのため、水抜き孔5に係止脚30を挿入することにより、水抜き孔5の裏側周縁に係止脚30の係合部37が係合すると共に、水抜き孔5の表側周縁に押え凸部23が当接し、両者によって内側パネル3の水抜き孔5周縁が挟み込まれて、水抜き孔5に排水プラグ10を取付けることができる。このとき、一対の押え凸部23,23が肉厚部21に形成されていることにより、プラグ取付時の荷重を押え凸部23,23に集中させて、肉薄フランジ部25の柔軟性を維持することができるので、肉薄フランジ部25を内側パネル3の形状に沿って柔軟に変形させて、密接させることができる。
【0041】
更に、この実施形態においては、前記一対の押え凸部23,23は、係止脚30の延出方向に対して直交する方向にリブ状に伸びているので、これらの押え凸部23,23が水抜き孔5の表側周縁に線状に接触することとなり、この押え凸部23を支点として水抜き孔5に対する頭部20の角度を適宜変更することができ、排水プラグ10を内側パネル3の屈曲した形状に柔軟に対応させて取付けることができ、車種によって水抜き孔5周辺の形状が異なっていても適用することができる。
【0042】
図6には、本発明の排水プラグの他の実施形態が示されている。なお、前記実施形態と実質的に同一部分には同符号を付してその説明を省略する。
【0043】
この実施形態の排水プラグ10aには、肉薄フランジ部25の裏面側であって、係止脚30の開口部35側に位置する部分に、排水用の隙間を形成するための凹部27が形成されている。この実施形態では、肉薄フランジ部25の、開口部35側の一側辺の中央に、凹部27が係止脚30の延出方向とは反対方向に沿って形成されている。
【0044】
そして、この排水プラグ10を水抜き孔5に取付けたとき、肉薄フランジ部25の凹部27周縁が水抜き孔5の表側周縁に当接して、水抜き孔5をシールすると共に、凹部27により排水用の隙間が形成されて、排ガス等の臭いの進入を抑制しつつ、水抜きを行うことができるようになっている。
【符号の説明】
【0045】
1 車体パネル
2 外側パネル
3 内側パネル
4 接合部
5 水抜き孔
10,10a 排水プラグ
20 頭部
21 肉厚部
23 押え凸部
25 肉薄フランジ部
26 リブ
27 凹部
30 係止脚
32 枠状壁
31 前壁
33,33 両側壁
35 開口部
37 係合部
39 ガイド面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外側及び内側の一対のパネルで構成される車体パネルの端縁部に形成された水抜き孔に嵌着される排水プラグにおいて、
前記水抜き孔を覆うように、水抜き孔の表側周縁に配置される頭部と、
該頭部の裏側に形成されると共に、前記水抜き孔に挿入係止される係止脚とを備え、
該係止脚は、前壁と両側壁とを有し、後部が開口した枠状壁で構成され、該枠状壁の先端部が、前記車体パネルの端縁部から前記一対のパネルの間隔が広がる方向に向けて、かつ、前記頭部から離れる方向に斜めに延出されており、更に該枠状壁の後部は、前記車体パネルの端縁部側に面しており、
前記両側壁には、前記水抜き孔の裏側周縁に係合する係合部が形成され、前記前壁の前記頭部側の面は、前記係合部を前記水抜き孔の裏面側周縁に導くガイド面をなしていることを特徴とする排水プラグ。
【請求項2】
前記頭部は、その中央に形成された肉厚部と、該肉厚部の周縁から該肉厚部よりも薄い厚さでフランジ状に広がり、前記水抜き孔の表側周縁に弾性的に当接する肉薄フランジ部とを有し、更に、前記肉厚部の裏側の、前記係止脚の前記係合部に対面する位置に、前記水抜き孔の表側周縁に当接する押え凸部が形成されている請求項1記載の排水プラグ。
【請求項3】
前記押え凸部は、前記肉厚部の裏側の、前記係止脚の前記係合部に対面する位置にあって、前記係止脚の延出方向に対して直交する方向にリブ状に伸びている請求項2記載の排水プラグ。
【請求項4】
前記肉薄フランジ部の裏面側であって、前記係止脚の枠状壁の後部側に位置する部分には、前記水抜き孔の表側周縁と前記肉薄フランジ部との間に、排水用の隙間を形成するリブ又は凹部が形成されている請求項2又は3記載の排水プラグ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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