説明

排水処理方法および排水処理用制御システム

本発明は排水処理方法に関し、この排水処理方法は排水装置1のリザーバ2に水を供給する段階と、供給された水をリザーバ2内に集める段階と、水をリザーバ2から少なくとも1つの水を消費するリザーバ20に案内する段階と、水質を観測する段階と、水質が許容レベルよりも下がれば排水装置1のリザーバ2および/または水消費部18のリザーバ20から下水ドレイン管22、24に出水する段階とを備えた。更に本発明は、排水装置1を制御する制御システム34、排水装置1および制御システム34を備えた排水を再利用するシステム、および特にトイレなど前記システム34に連結される水分消費部18に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は排水処理方法、排水装置を制御する制御システム、排水を再利用するシステムおよびそのようなシステムに連結された排水消費部に関する。
【0002】
環境のエネルギを経済的に処理する方法は、僅かに汚染された水を再利用することである。下水処理装置により多大な努力および費用を掛け浄化された水道水の代わりに、清潔さの劣る非飲用水を例えばトイレを流すなどいくつかの使用例として使用することができる。このように、集められた雨水を使用すること、および洗面器や洗濯機で使用された水と同様に僅かに汚された風呂やシャワーの水を再利用するのを着想することができる。このように僅かに汚された水はまた、排水と呼ばれる。更に、水を再利用することによる節約はまた、下水道にかかる負荷の低減をももたらす。
【背景技術】
【0003】
本願出願人のオランダ特許第NL-1,011,371号には、排水供給部およびトイレなど排水消費部に連結された配管を備えた排水用リザーバが記載されている。前記リザーバには下水道に接続された排水口が設けられ、また制御時間になるとタイマーにより開口される閉鎖装置(closing device)が設けられている。前述の試みは、定期的に排水を出水することにより、有害臭となる望まれない臭気が発達するのを限定するためになされている。
【0004】
上述したオランダ特許の中で述べた装置の欠点は、リザーバから単に時間通りに出水することは実用化する中で生じる非常に多くの状況に対処すること、およびそれら種々の状況の中で臭気の発達を防止することに対しては実際に不適当であるのが分かったことである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、導入部で挙げられた型式の排水処理方法を改良すること、および実用化する中で望まれない臭気の発達を防止するのに適した方法を創出することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は本発明に係る排水処理方法により達成され、この排水処理方法は、
排水装置のリザーバに水を供給する段階と、
供給された水を前記リザーバ内に集める段階と、
水を前記リザーバから、水消費部の少なくとも1つのリザーバに案内する段階と、
水質を監視する段階と、
水質が許容レベルよりも下がれば、前記排水装置のリザーバおよび/または前記水消費部のリザーバから下水ドレイン管(sewer drain)に出水する段階とを備えた。
【0007】
本発明による方法において、水質が決定され、相互作用的な態様で排水装置のリザーバおよび/または水消費部のリザーバの中にある水が下水ドレイン管に出水されるべきであるかどうかの決定がなされるという事実の結果として、時間で切り替える方法と比べて柔軟な態様で実用化する中で起こる種々の状況に対処することができる方法が生み出される。
【0008】
本発明の方法により、例えばトイレの流水リザーバなど水消費部のリザーバと同様に排水装置のリザーバから出水することは、水消費部内の有害臭をもたらす排水が長時間止まることを防止する。特に水消費部が、例えばシャワールームの中など比較的温かい環境に設置されるときには、排水内のバクテリアは流水リザーバ内の培養物および/または動物相(fauna)をより速く発達させることができる。排水装置のリザーバから供給される排水を有するトイレの流水リザーバからの流出も制御されることにより、ユーザが最も頻繁に過ごす部屋の中での有害臭を防ぐことができる。
【0009】
本発明の好適な実施形態において、水質を監視する段階は、水質を決定する特性またはパラメータの少なくとも1つを頻繁に、かつ十分に測定することを含む。把握され、かつ予期される水質の変化に基づいて、水質が許容レベルを下回ると排水システムは集水リザーバ(collecting reservoir)からおよび/または水消費部のリザーバから水を出水することにより対処する。実際に排水システム内の水は新鮮に保たれる。本発明は、’水を新鮮に保つ’という原理に基づいている。水質が十分頻繁に推定、推測または測定される事実の結果として、排水処理方法は状況の変化を把握し相互作用的にそれらに対処することができる。当業者にとって、本発明を使用するときに”十分頻繁に”という言葉は、例えばおよそ1Hzなど十分に高いサンプル周波数(sample frequency)での周期的サンプリング(デジタル式)と連続サンプリング(アナログ式)を含むことが明らかである。
【0010】
本発明の好適な実施形態において、更に、
集められた水に水質値を割り当てる段階と、
水質値を水質に影響する少なくとも1つのパラメータに応じて適応させる段階を備えた。
【0011】
集められた排水は水質値が割り当てられ、この水質値は水源(例えばシャワー)などの要因およびこの水源から供給される排水の量(シャワーを短時間または長時間使用する)に依存する。後者は排水内の汚染要因物の予期される濃度の目安になるからである。水質値は水質に影響を与える少なくとも1つのパラメータに応じて相互作用的に適応される。この相互作用的に適応された水質値に基づいて、排水システムは水質が許容レベルを下回ると排水装置のリザーバおよび/または水消費部(例えばトイレ)のリザーバから下水ドレイン管に水を出水する。相互作用的に適応された水質値に基づいてリザーバを空にすることにより、’水が新鮮に保たれる’およびリザーバ内の培養物および/または動物相の発達が防止される。これにより、有害臭もまた防がれる。
【0012】
更に、好適な実施形態において、排水処理方法は水質を
供給された水の温度
前記排水装置のリザーバ周辺温度
前記水消費部のリザーバ周辺温度
供給された水の発生源
水の中に存在する添加物
供給された水の量
水がいずれのリザーバに貯まるのか
というパラメータのうち少なくとも1つに応じて適応させる段階を更に備えた。
【0013】
暖かい環境の中ではバクテリアはより発達するので、供給された水の温度−これは例えば誰かが冷たい、または暖かいシャワーを利用するときに変化する−は、予期されるバクテリアの成長に影響を与える。更に、排水装置および水消費部の周囲の温度と、排水が集められた集水リザーバの周囲の温度は、前述したリザーバ内のバクテリアの成長に影響を与える。更にまた、供給される水の量−シャワーを利用する時間と共に変動する−は、供給される水の中に存在する汚染要因物の濃度に影響を与える。水質を決定づける前述した種々のパラメータを採り入れることにより、本発明の方法は多様で実用的な状況に柔軟に対処することができる。
【0014】
本発明による好適な実施形態において、供給される水の発生源はシャワー、風呂、食器洗い機または雨水の少なくとも1つである。これら供給源のそれぞれは特有の汚染要因物を包含するので、予期される水質は利用する発生源により決められ、適した処理が適応される。例えば、石けんの端切れはシャワーおよび風呂の水の中に存在して水面に浮かび、髪の毛および肌の断片も存在するが、これらは水の密度よりも高い場合には沈む。石けんである汚染要因物の存在はシャワーおよび風呂の水に若干の基礎的な酸性を与える一方で、雨水に由来する水には期待されない。更に、洗面器の水に由来する水の中には油脂や食べ物の残部の形をとった汚染要因物の存在が予期される。
【0015】
更に好適な実施形態において、本発明による方法は、
水の電気伝導性を測定する、
炭化水素の濃度を測定する、
酸素の濃度を測定する、
尿素の濃度を測定する、
大腸菌成分の濃度を測定する、
水の中の鉄含量を測定する、
水の酸性を測定する、
バイオセンサの補助により測定する、
汚染要因物の結果として生成される副生成物の存在を測定する、
のうち少なくとも1つにより、水の中に存在する汚染要因物を検出する段階を更に備えた。
【0016】
実際には水の中の炭水化物の存在、例えばガソリンまたはディーゼル燃料により汚れた体の一部を洗うことの結果としての炭水化物の存在は、排水システム内で有害臭の可能性が大となる結果になることが分かっている。酸素濃度さえ、望まれない有害臭が発達する原因になることが分かっている嫌気性バクテリアの成長を決定するときに、重要な指標になることが判明した。尿および糞便の存在はそれぞれ、尿濃度および大腸菌成分の測定により検出される。特に、子供がシャワーを使用し幼児が洗われると、水の中で排水の質に不利な影響を与えるこれらの要素が水中に行き着くようになる。更にまた、血液の存在は水の中の鉄分を測定することにより検出される。水の酸性はいわゆるphを測定することにより決定され、水の中に存在する他の汚染要因物はバイオセンサの補助により検出される。汚染要因物の結果として生成される副生成物の存在を測定すること、例えば硝酸塩に由来するいくつかのバクテリアにより変換された亜硝酸塩を測定することは、これらバクテリアの存在を示すことになる。
【0017】
好適な実施形態において、本発明による方法は水質に応じて、水質に影響を与える浄化添加物を積極的に添加する段階を更に備えた。水質に応じて能動的な態様で浄化添加物を添加することが好ましいが、浄化添加物の受動的な添加もまた水質に影響を与えられることが明らかである。更に、他のバクテリア駆除の可能性は例えば、紫外線の光源を使用するなどが考えられる。
【0018】
好適な実施形態において、水の中の添加物、例えば殺菌剤など浄化添加物を含有する添加物が検知される。特に塩素など浄化添加物を加えることにより水質は影響を受ける。着色剤や防臭剤など他の添加物を水に加えることも同様に考えられる。例えばスペインなど複数の国では、着色剤の添加は明確な態様で水道水から排水を区別するために必須とされている。
【0019】
好適な実施形態において、水を下水ドレイン管に出水するかどうかを決定する下限値として機能を果たす水質の許容レベルは、水が貯められるリザーバの型に依存する。その結果、リザーバの型式、リサーバの位置および問題となるリザーバでの有害臭の発達に対する感度によって、前記システムが排水の最適な使用を実現する。それにより排水装置内で培養物および/または動物相が発達することを防止する。水質の悪さは、通常はトイレの流水リザーバなど水消費部のリザーバ内では許容されるが、その中の有害臭が発達する前に出水すべきである。
【0020】
好適な実施形態において、本発明による方法は水位、流水量、排水装置のリザーバへの水の流入、および排水装置のバイパス導管内への水の出水のうち少なくとも1つを検出するセンサにより、供給される水の量を決定する段階を更に備えた。供給される水量を測定することにより、供給された水の中に存在するであろう汚染要因物の濃度を同時に推定することができる。特に有利な実施例において、水の供給源もまた考慮される。排水システムが水道水で充填されると、排水の濃度が薄くなり水質を改善する。
【0021】
好適な実施形態において、本発明による方法は供給される水量が予め決められた閾値以下になると、前記排水装置のリザーバ内に集められた水を出水する段階を更に備えた。この方法においては、非常に高濃度の汚染要因物を含有する水がリザーバ内に貯められることを防止する。
【0022】
好適な実施形態において、本発明による方法は時間周期の経過前に水消費部により水が使用されると、排水装置のリザーバ内の水が出水するのを防止する段階を更に備えた。
【0023】
好適な実施形態においてさえも、時間周期の経過前に水消費部により水が使用されるときに排水の集水リザーバ内の水が出水するのを防止することにより、水が不必要に出水されるのを防止する。臭気の発達は排水が長時間止まる間にのみ発生するので、高濃度の汚染要因物を含有する排水が短時間内に使用されるときには、臭気の発達は結局、生じない。
【0024】
本発明に係る方法の好適な実施形態により、予め決められた値よりも少ない量の水の供給は、水の供給としては無視される。これによって、例えば誰かがシャワーで何かを洗うなどによるシャワー水の短時間の流入が、汚染要因物は高濃度であるというリスクを高める短時間のシャワーの使用と見なされることを防止する。従って、排水システムが排水を不必要に出水することを防止する。また前記システムはこの手段により、漏れやすい蛇口または他の意図しない非常にわずかな水の供給の結果としてのエラーメッセージに対する感度が低くなる。
【0025】
排水処理方法に関する本発明は更に、
排水装置のリザーバへの水の連続する供給の間の間隔時間を測定する段階と、
連続する供給が予め決められた間隔時間内に行われるときには、その連続する供給を単一の水供給と規定する段階と、
連続する供給が予め決められた間隔時間外に行われるときには、その連続する供給を別の1回目および次の供給と規定する段階と、
更に1回目の供給の水を前記リザーバ外に出水し、次の供給からの水で前記リザーバを充填する段階と、
を備えた。
【0026】
例えば3時間など典型的には数時間である予め決められた間隔時間内に連続する2回の水の供給を単一の供給と規定する結果、排水装置のリザーバは一定時間、出水せずに充填される。しかし、連続する2回の供給間隔が予め決められた時間よりも長い場合には、リザーバ内の”古い”水は出水され、リザーバが”新たに”供給される排水で充填される結果、水が新鮮に保たれ、それにより本発明に係る’水を新鮮に保つ’原理に適応する。
【0027】
更に好適な実施形態において、本発明に係る方法は、下水ドレイン管に出水してから再補給する時間を記憶し、最後の出水から予め決められた再補給する回数に到達するとリザーバ内に集められた水を出水する段階を備える。変形例または捕捉するものとして、前記方法は下水ドレイン管に出水してからの時間間隔を記録し、最後の出水から予め決められた時間間隔が経過すると集水リザーバ内に集められた水を出水する段階とを備える。排水装置の集水リザーバは上述の基準に応じて(組み合わせて)定期的に出水され、その結果、集水リザーバ内の水は下水ドレイン管に排出され、同時に集水リザーバ内に堆積した汚染要因物もまた下水道に排出される。
【0028】
更に好適な実施形態によれば、出水した後に水道水でリザーバを充填することはリザーバに定期的にきれいな水道水を供給することになり、これによりバクテリアが発達する可能性および臭気が関連発達する可能性を低減する。リザーバは好適にはほんの一部分だけが所定量の水道水で満たされるので、少なくとも水消費部のリザーバが1回または2回出水されても十分な水が残る。この態様において、排水システムを連続的に使用することができる一方で、水道水の消費は限定される。
【0029】
好適な実施形態において、浄化ユニットがリザーバ内に取り付けられ高圧でリザーバの内壁に水を吹きかけ、これにより内壁に生成し増殖するバクテリアを除去し下水ドレイン管に流す。
【0030】
予め決められた最大限時間で水道水で充填されたリザーバから下水ドレイン管に出水することは、好適な実施形態において、排水装置が長時間止まる場合にリザーバは繰り返して出水せず水道水で充填される。例えばユーザが休暇により長期間不在になる間にそのような状況が起こる。例えば2時間後など予め決められた再充填の最大限時間の後、リザーバ内の水はきれいであると想定され、この後さらに出水することは必要ない。
【0031】
本発明は排水装置を制御する制御システムに関し、該制御システムは、
制御システムに連結され、排水装置のリザーバに集められた、および/または排水装置に連結された水消費部のリザーバに集められた水の水質を測定する少なくとも1つのセンサを備え、
測定された水質に応じて水質が許容レベルを下回ると、排水装置のリザーバおよび/または前記排水装置に連結された水消費部のリザーバから水を出水する。
【0032】
本発明は更に、排水装置および制御システムを備え排水を再利用するシステムに関し、前記排水装置は、
排水を供給する水供給部と、
供給された排水を集めるリザーバと、
水消費部に連結された導管と、
下水ドレイン管および前述した制御システムと、
を備えている。
【0033】
本発明は前述した制御システムにより制御される、特にトイレなどの排水消費部に関する。
【0034】
例示的な実施形態が図面を使用しながら後述する説明の中で明らかにされており、その中で図面は本発明による排水処理用制御システムを備えた排水装置の概略的な模写である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明による排水処理用制御システムを備えた排水装置の概略的な模写図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図示するように、好適な実施形態は集水リザーバ2と、貯蔵タンク4と、除去手段(スキマー)8を有する排水口6と、バイパス導管10と、集水リザーバ2および貯蔵タンク4を連結するサイフォン管12と、排水を供給する供給管14と、下水ドレイン管22をも包含するトイレのリザーバなど水消費部18の貯水タンク20に水を排出する排水管16とを有する排水装置1を備えている。排水装置1は更に下水ドレイン管24と、集水リザーバ2と貯蔵タンク4内の上部に取り付けられた換気口26、28とを備えている。集水リザーバ2内の水が所定の高さ(図示するように)に達すると、この水はスキマー8、排水口6およびバイパス導管10を介して下水ドレイン管24に排出される。図示された実施形態において、センサ30がバイパス導管に取り付けられ、配線32を通じて制御システム(環境保護制御ユニット:ECU)34に接続されている。この制御システムは配線36を通じて洗浄弁38のアクチュエータ(図示せず)、および配線40を通じて吸引ロッド44により充填バルブ46を作動させるコイル42に接続されている。更に、排水装置1の集水リザーバ2には水道水給水部48が設けられている。
【0037】
添付図面に示された排水装置1は集水リザーバ2および貯蔵タンク4を備えているが、本特許内に説明される発明概念は、全ての種類の排水装置1に適用されてもよいことが当業者にとって明らかである。特に、このような排水装置は集水リザーバ2および貯蔵タンク4に代わり1つの貯蔵タンクのみを備えてもよく、図に示された集水リザーバ2の容量と貯蔵タンク4の容量との関係はこのスケールに再現されることはないと留意すべきである。
【0038】
図示され、集水リザーバ2、貯蔵タンク4、およびこれらの間に配設されたサイフォン管12を利用する排水装置1は、本願出願人のオランダ特許第NL-1,030,110号に説明したように、前記リザーバの連結が種々の容量を備え、小型で高効率の排水装置を生み出すことができるという、特に有利な点を有している。
【0039】
図は、停止状態にあり、水が全体に充填された集水リザーバ2を備えた本発明に係る排水装置が示されている。前記水がシャワーまたは風呂から生じるときには、水は特に石けんの残り、皮膚の断片および髪の毛によりわずかに汚染されているであろう。比較的きれいな排水を貯めるため、集水リザーバ2、貯蔵タンク4、およびこれらの間に取り付けられ、大抵の場合は集水リザーバ2の中央に接続されたサイフォン接続12を利用することにより、貯蔵タンク4に吸い出すことができる。石けんの残りなど、水の密度よりも小さい密度の汚染要因物はいずれの場合にも集水リザーバ2の中で浮かび、砂の残留物など水の密度よりも大きい密度の汚染要因物は集水リザーバ2の中で沈むであろう。それらの結果、最もきれいな水が主に集水リザーバ2の底面および上面の間のいわゆる中央部分に位置する。
【0040】
集水リザーバ2および貯蔵タンク4内に貯められた水は、配水管16を介して排水装置1からトイレ18の貯水タンク20まで案内される。トイレ18の貯水タンク20は排水で充填され、後述するようにトイレが使用されている間、排水でトイレを勢いよく流すことができる。
【0041】
排水として供給管14を介して供給される水は、シャワー、風呂、洗面器の水、洗濯機、または雨水など多数の供給源に由来してもよい。これら全ての供給源は、それぞれ特有の汚染要因物およびバクテリアを包含し、その結果、排水は長時間止まる間に望まれない臭気になり、不愉快な臭気をもたらす。不愉快な臭気になるのを防止するために水質が測定され、水質を許容範囲の水準よりも低く引き下げる際に集水リザーバ2内、排水装置1の貯蔵タンク4内、および/または排水装置1に接続されたトイレ18の貯水タンク20内の水がそれぞれ、排水装置1の下水ドレイン管24およびトイレ18の排水溝22に流出される。
【0042】
排水システムは、環境保護制御ユニット(ECU)とも呼ばれる制御ユニット34を備えている。制御ユニット34は配線32、52、56および60により種々のセンサ30、50、54、58に接続されており、これらのセンサは排水システムの中で水質を決定するための情報を制御システム34に提供する。図1に示されるように、これらのセンサは例えば、センサ54を集水リザーバ2内に設置するなど排水装置のリザーバ内に、または例えば、センサ58をトイレ18のリザーバ20内に設置するなど排水装置に接続された水消費部のリザーバ内のように種々の場所に設置することができる。更にセンサは、例えばセンサ30および50をそれぞれ、バイパス導管10および供給管14内に設けるなど、導管内に設置してもよい。
【0043】
好適な実施形態において、センサ54は集水リザーバ2内に取り付けられ、配線56により制御システム34に接続されている。センサ54は例えば、集水リザーバ内の水温を測定し、追加的に水の内部に存在する汚染要因物を測定するバイオセンサを備えてもよい。実際に水質の指標になるパラメータは水の電気伝導性、炭水化物の濃度、水の酸素含有量、尿素および大腸菌成分の濃度、水の鉄分含有量および酸性などである。しかも、例えばバクテリアにより変換された硝酸塩から生成される亜硝酸塩の存在など、汚染の結果として生成される副生成物の存在はバクテリアの存在を示す。
【0044】
センサ50は好適には排水供給管14内に取り付けられ、そのセンサは配線52により制御システム34に接続される。センサ50は水の発生源(origin)を測定するように調整されているが、発生源が種々の態様で制御システム34に伝えられることも考えられる。更に、センサ50は供給される水の温度を測定するように調節してもよい。
【0045】
制御システム34はセンサにより測定された値、および制御システム34により測定された水質に応じて洗浄弁38のアクチュエータ(図示せず)を起動し、その結果、洗浄弁38が開口する。同時に制御システム34は接続部(図示せず)を介して換気口28を開口することができ、その後、集水リザーバ2内、および/または貯蔵タンク4内に存在する排水が内部に包含する汚染要因物と共に、洗浄弁38の開口および下水ドレイン管24を介して出水され、下水になる。
【0046】
停電の場合、例えばレジオネラ菌の発生を防止するために、排水システム内の排水は最後の作動として出水され、その後、排水システムは水道水給水部48を介して集水リザーバ2に供給される水道水で充填される。更に、利用可能な排水がトイレ18の要求量を提供するのに不十分なときには、水道水が水道水給水部48を介して供給される。
【0047】
更に好適な実施形態において、浄化添加剤が積極的に水質に応じて加えられる。
【0048】
バイパス導管10内に取り付けられたセンサ30は、集水リザーバ2が完全に充填され、水が排水口6からバイパス導管10に流入する際に効果を発揮する。図示された状況になると、制御システム34は十分な量の水が供給されていると推測するので、汚染要因物の濃度は許容限度内であると推測する。供給される排水の量を測定する他の方法は、集水リザーバ2および貯蔵タンク4内の水の高さを測定し、供給導管内の流入量を測定して、集水リザーバ2からバイパス導管10への流出発生に関して既に示された記録を評価することである。供給される排水の量が所定の閾値よりも少ない場合は、このことが制御ユニット34に記録され供給された排水が短時間のうちに、または下水ドレイン管24に直接、流出される。例えば、ある人が水の使用を抑制する態様で、すなわち簡単に体を濡らした後にシャワーを止め、石けんの断片で簡単に洗い流すことにより体を洗うような状況も起こり得る。このような短時間のシャワーの使用において予期される高濃度の汚染要因物により、この水は排水装置のリザーバに貯められるべきではなく、またはごく一時的にのみ貯められるべきである。
【0049】
短時間のシャワーの使用などに由来する排水、および高濃度の汚染要因物を含有するであろう他の排水もまた、好適には流出される前に短時間だけ貯められる。トイレがこの短時間に使用されると排水はその高濃度の汚染要因物に関わらず、そのような短時間に臭気が発達するリスクは許容できる範囲内にあるので使用することができる。
【0050】
しかし、一人目が非常に簡単にシャワーを使用するのは考えられることであり、これによる高濃度の汚染要因物は当然である一方、短時間のシャワーの使用の後、予測可能な時間内にシャワーの長時間の使用があり、水質が許容範囲内にある態様で簡単なシャワーの使用により供給された水を希釈する。
【0051】
前記方法の更に好適な実施形態によれば、例えばセンサ50により測定される水の中で最小限の供給は水の供給としては無視され、これにより短時間の水の供給が、高濃度汚染要因物の不完全な推定を起因とするシステムの不必要な出水に繋がることを防止する。特に、漏れやすい蛇口、またはその他ほんの僅かに水が供給される結果としての誤ったメッセージに対するシステムの感度を低くするため、制御システム34は最小限時間、水の供給が続けられるときだけ水の供給量を規定する。この最小限時間としての値は典型的には、例えば5秒から10秒に調整されるであろう。流体の流量計または出力計としてのセンサ50の構造は、供給量を測定する変形例を形成する。
【0052】
更に好適な実施形態において、排水装置1の集水リザーバ2への水の供給のうち連続する2回の供給間隔時間が測定される。連続する2回の排水の供給が予め決められた時間内であれば、それらは制御システム34により排水の単一な供給であるとみなされる。排水の連続する2回の供給間隔時間が予め決められた時間よりも長い、すなわち典型的には数時間であれば、集水リザーバ2内にある排水は洗浄弁38を介して下水ドレイン管24に排出され、集水リザーバ2は新しい排水で充填される。この態様においては排水装置1の集水リザーバ2内の排水は可能な限り、いわゆる’新しい’状態に保持され、その結果、本発明による’水を新鮮に保つ’という原理に適合する。
【0053】
前述したように、集水リザーバ2内の排水シンクにある重い要素を含む汚染要因物と、水に浮く軽い要素を含む汚染要因物とは、スキマー8によりバイパス導管10を介して下水ドレイン管24に案内される。集水リザーバ2内に貯められた排水をトイレに放出する配水管16は、好適には集水リザーバ2の底面から所定距離のところでトイレに連結されるので、沈下した汚染要因物は排水管16を介してトイレに搬送されない。下水道への出水が既に長時間にわたり行われていないのであれば、沈下した汚染要因物が集水リザーバ2の底部に堆積する。補給回数および下水ドレイン管へ出水してからの経過時間を記憶することにより、制御システム34は集水リザーバ2内の水を出水するのに望ましい時間を決定し、集水リザーバ2内に沈下している汚染要因物を下水道に除去する。
【0054】
好適な実施形態において集水リザーバ2は出水後に水道水で充填され、または排水装置1の集水リザーバ2は浄化ユニット(図示せず)により清掃される。この浄化ユニットは例えば、水道水を高圧で集水リザーバ2および貯蔵タンク4の壁に吹きかける。望むのであれば、殺菌添加剤を加えてもよい。
【0055】
排水システムが長時間使用されないときに、排水システムが数回洗い流され水道水で充填されることを防止するために、水道水で補給された後に予め決められた清掃の最大回数が制御システム34で決定される。この予め決められた清掃の最大回数、例えば2回の清掃の後、制御システム34は排水装置1の集水リザーバ2および貯蔵タンク4内に貯められた水が汚れていないので有害臭の見込みは容認できるレベル以下であり、清掃はもはや必要ないと推測する。
【0056】
上述した実施形態は本発明の好適な実施形態に言及しているが、単に本発明を説明し、いずれの態様においても本発明の詳述に限定されないことを意図している。特に、図の説明の中で示す例示的な実施形態はトイレの形をとる1つの水消費部を示すだけであるが、いくつかの水消費部もまた、排水システムに接続することができることに留意すべきである。要求される権利は添付クレームにより決定されるが、添付クレームの範囲内で多くの改良例が考えられる。
【符号の説明】
【0057】
1 排水装置
2 集水リザーバ
4 貯蔵タンク
10 バイパス導管
18 水分消費部
20 貯水タンク
22 下水ドレイン管
24 下水ドレイン管
30 センサ
34 制御システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排水処理方法は、
排水装置のリザーバに水を供給する段階と、
供給された水を前記リザーバ内に集める段階と、
水を前記リザーバから、水消費部の少なくとも1つのリザーバに案内する段階と、
水質を監視する段階と、
水質が許容レベルよりも下がれば、前記排水装置のリザーバおよび/または前記水消費部のリザーバから下水ドレイン管に出水する段階と、
を備えたことを特徴とする排水処理方法。
【請求項2】
水質を観測する段階は頻繁に、かつ十分に、水質を決定する特性のうち少なくとも1つを測定することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
集められた水に水質値を割り当てる段階と、
水質値を水質に影響する少なくとも1つのパラメータに応じて適応させる段階と、
を更に備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
水質を
供給された水の温度
前記排水装置のリザーバ周辺温度
前記水消費部のリザーバ周辺温度
供給された水の発生源
水の中に存在する添加物
供給された水の量
水がいずれのリザーバに貯まるのか、
というパラメータのうち少なくとも1つに応じて適応させる段階を更に備えたことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
供給された水の発生源は、シャワー、風呂、食器洗い機、洗濯機または雨水という源のうち少なくとも1つであることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
水の電気伝導性を測定する、
炭化水素の濃度を測定する、
酸素の濃度を測定する、
尿素の濃度を測定する、
大腸菌成分の濃度を測定する、
水の中の鉄含量を測定する、
水の酸性を測定する、
バイオセンサの補助により測定する、
汚染要因物の結果として生成される副生成物の存在を測定する、
のうち少なくとも1つにより、水の中に存在する汚染要因物を検出する段階を更に備えたことを特徴とする請求項4または5に記載の方法。
【請求項7】
水質に応じて、浄化添加物を積極的に添加する段階を更に備えたことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
水を前記下水ドレイン管に出水するかどうかを決定する下限値として機能を果たす水質の許容レベルは、水が貯められるリザーバの型に応じることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
水位、流水量、前記排水装置のリザーバへの水の流入、および前記排水装置のバイパス導管内への水の出水のうち少なくとも1つを検出するセンサにより、供給される水の量を決定する段階を更に備えたことを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
供給される水量が予め決められた閾値以下になると、前記排水装置のリザーバ内に集められた水を出水する段階を更に備えたことを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
所定時間後に前記排水装置のリザーバに貯められた水を出水する段階を更に備えたことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
時間周期の経過前に水消費部により水が使用されると、前記排水装置のリザーバ内の水が出水するのを防止する段階を更に備えたことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項13】
予め決められた値よりも少ない量の水の供給を水の供給としては無視することを特徴とする請求項1から12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記排水装置のリザーバへの水の連続する供給の間の間隔時間を測定する段階と、
連続する供給が予め決められた間隔時間内に行われるときには、その連続する供給を単一の水供給と規定する段階と、
連続する供給が予め決められた間隔時間外に行われるときには、その連続する供給を別の1回目および次の供給と規定する段階と、
更に1回目の供給の水を前記リザーバ外に出水し、次の供給からの水で前記リザーバを充填する段階と、
を備えたことを特徴とする請求項1から13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
前記下水ドレイン管に出水してから再補給する時間を記録し、最後の出水から予め決められた再補給する回数に達すると前記リザーバ内に集めた水を出水する段階を有することを特徴とする請求項1から14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
前記下水ドレイン管に出水してからの時間間隔を記録し、最後の出水から予め決められた時間間隔が経過すると前記リザーバ内に集めた水を出水する段階を有することを特徴とする請求項1から15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
出水の後は水道水で前記リザーバを充填する段階を有することを特徴とする請求項15または16に記載の方法。
【請求項18】
予め決められた最大回数で、水道水で充填された前記リザーバから前記下水ドレイン管に出水する段階を有することを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項19】
浄化装置で前記排水装置のリザーバを浄化する段階を有することを特徴とする請求項1から15に記載の方法。
【請求項20】
制御システムに連結され、排水装置のリザーバに集められた、および/または排水装置に連結された水消費部のリザーバに集められた水の水質を測定する少なくとも1つのセンサを備え、
測定された水質に応じて水質が許容レベルを下回ると、排水装置のリザーバおよび/または前記排水装置に連結された水消費部のリザーバから水を出水することを特徴とする排水装置を制御する制御システム。
【請求項21】
前記方法は請求項1から19のいずれか1以上に従って使用されることを特徴とする請求項20に記載の制御システム。
【請求項22】
排水装置および制御システムを備え、排水を再利用するシステムであって、
前記排水装置は、
排水を供給する水供給部と、
供給された排水を集めるリザーバと、
水消費部に連結された導管と、
下水ドレイン管と、
制御システムであって、
前記排水装置のリザーバ内に集められた、および/または前記排水装置に連結された水消費部のリザーバ内に集められた水の水質を測定する制御システムに接続された少なくとも1つのセンサを有し、
測定された水質に応じて水質が許容レベルを下回ると、排水装置のリザーバおよび/または前記排水装置に連結された水消費部のリザーバから水を出水する制御システムと、
を備えたことを特徴とする排水を再利用するシステム。
【請求項23】
前記方法は請求項1から19のいずれか1以上に従って使用されることを特徴とする請求項20に記載の制御システム。
【請求項24】
特にトイレなど排水装置であって、
排水装置のリザーバに連結された第1導管と、
水供給システムに連結された第2導管と、
水を貯める貯水タンクと、
下水ドレイン管と、
前記貯水タンクに貯められた水を前記下水ドレイン管に出水すると共に制御システムに制御されるアクチュエータであって、
前記排水装置のリザーバ内に集められた、および/または前記排水装置に連結された水消費部のリザーバ内に集められた水の水質を測定する制御システムに接続された少なくとも1つのセンサを有し、
測定された水質に応じて水質が許容レベルを下がると、前記排水装置のリザーバおよび/または前記排水装置に連結された水消費部のリザーバから水を出水するアクチュエータと、
を備えたことを特徴とする排水装置。
【請求項25】
請求項1から19のいずれかによる手段が使用されることを特徴とする請求項24に記載の排水装置。

【図1】
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【公表番号】特表2010−517775(P2010−517775A)
【公表日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−550088(P2009−550088)
【出願日】平成20年2月6日(2008.2.6)
【国際出願番号】PCT/NL2008/000035
【国際公開番号】WO2008/100132
【国際公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【出願人】(508105795)エコプレイ・インターナショナル・ベスローテン・フェンノートシャップ (3)
【氏名又は名称原語表記】Ecoplay International B.V.
【Fターム(参考)】