説明

排水処理方法

【課題】排水中に含まれる難分解性物質を効率的に分解除去し、従来方法と比較して、より低濃度まで処理可能な排水処理方法を提供する。
【解決手段】難分解性物質を含む被処理水を、オゾン、紫外線及び過酸化水素のうちの少なくとも2つを用いて促進酸化処理する排水処理方法であって、前記被処理水に、炭素数1〜6のカルボン酸、炭素数1〜6のカルボン酸塩、炭酸ガスまたは水溶性の炭酸塩のうちの少なくともいずれか一からなる反応助剤の存在下、前記被処理水のpH値を6.5より大きく10以下の値に調整して、促進酸化処理を行う排水処理方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、環状エーテル等の難分解性有機物を含む排水の処理方法に係り、特に、促進酸化法(AOP処理)を用いて難分解性有機物を含む排水を無害化処理する排水処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
各工場や家庭から排出される排水には、難分解性物質を含む多くの有機物が含まれている。近年、環境保護の機運の高まりから、これらの有機物を高精度に処理したうえで、環境中に排出することが求められている。
【0003】
難分解性物質としては、たとえばダイオキシン類が知られている。ダイオキシン類は、毒性が強く、一般廃棄物最終処分場の浸出水や産業廃水等の汚水中などに微量含まれており、これを高度に分解除去する技術が求められている。
【0004】
また、パーフルオロオクンタスルホン酸(PFOS)、パーフルオロオクタン酸(PFOA)、パーフルオロアルキルスルホン酸(PFAS)、パーフルオロオクタンスルホン酸フルオリド、またはパーフルオロオクタンスルホン酸フルオリド誘導体等の有機フッ素化合物の処理が近年問題となっている。これらは、環境中で非常に安定であり、河川や地下水等の水環境への蓄積が確認されていることから、これらを排水等から分解、除去する技術が求められている。
【0005】
さらに、難分解性物質として、1,4−ジオキサンが挙げられる。1,4−ジオキサンは、一般に溶剤等として使用されており、市販のポリオキシアルキルエーテルのような洗剤中にも含まれている。このため、1,4−ジオキサンを製造する工程からの廃水中、或いはポリエチレン系の製品を製造する工程や使用する工程からの廃水中に1,4−ジオキサンが含まれ、その濃度は、前記の物質を含む排水の濃度と比較して高い場合が多い。
【0006】
環境庁の行う指定化学物質の環境汚染調査では、1,4−ジオキサンは広い範囲で検出されており、特に、河川や湖沼等の水環境中での汚染が報告されている。また、地下水から高濃度のジオキサンが検出された例も報告されている。
【0007】
そして、平成16年4月の水道法の改正に伴い、飲料水基準として1,4−ジオキサンの規制値を0.05mg/Lとする内容が導入された。このようなことから、水環境中の1,4−ジオキサンを分解除去する必要性が高まっている。
【0008】
一般に、有機物を含有する排水の処理方法としては、例えばオゾン酸化法、活性炭吸着法、凝集沈殿法、フェントン酸化法又は生物処理法等が知られている。
【0009】
しかしながら、活性炭吸着法では、活性炭に難分解性物質を吸着させた後、これを脱着させる再生操作が必要であり、その際に、脱着後の難分解性物質が、処理水中に高濃度で濃縮されるため、その処理が問題となる。
また、凝集沈殿法では、処理対象物が水溶性である場合など、原理的に適用が困難な場合があり、フェントン酸化法では、十分な分解除去効果を得難く、また反応に用いた鉄イオンの処理が困難であるという問題がある。
【0010】
一方、生物処理法は、上記のような問題を生じることなく排水処理可能な方法として現在注目されているが、一般に、処理能力が未だ十分でなく、大量の排水に対して安定した分解除去性能を得るのは困難である。
【0011】
例えば特許文献1には、1,4−ジオキサンに対する分解活性の高い微生物を用いた環状エーテルの分解方法が開示されている。しかしながら、特許文献1に開示の方法でも、難分解性物質に対する分解除去効率は必ずしも十分ではなかった。
このため、難分解性物質を、より高精度に分解除去可能な処理方法が求められている。
【0012】
上述した方法のうち、難分解性物質の分解除去に対して最も有効な手法として、オゾン酸化処理が挙げられる。中でも、促進酸化法は、過酸化水素処理及び紫外線処理を併用することで、OHラジカルの形成を促進するものであり、酸化力が強力で、かつ汚泥等の副生成物を生じないため、最も有力な方法とされている。
【0013】
例えば特許文献2には、促進酸化法を回分処理で行うか、または複数段に分けて行うとともに、複数段のうちの1段目の1,4−ジオキサン濃度が10mg/L以上50mg/L未満の範囲まで低減した後に次段目に移行させることで、高濃度の1,4−ジオキサン廃水を低濃度まで分解除去する方法が開示されている。
【0014】
しかしながら、特許文献2に開示の方法では、分解処理がある程度進行すると、OHラジカル生成反応の反応速度が低下し易く、難分解性物質の分解除去効率が低下することがある。このため、難分解性物質の含有量が十分に低減された処理水を得られないという問題がある。
【0015】
このような問題を解決するため、例えば特許文献3には、被処理水に過酸化水素、高濃度オゾンを添加、注入するとともに、脂肪族カルボン酸を添加した上で、紫外線を照射して促進酸化する水処理方法が開示されている。
【0016】
特許文献3に記載の方法では、ヒドロキシラジカルやオゾン活性種とともに、被処理水中に有機成分を共存させることで、活性種の生成が促進され、難分解性物質の分解除去効率が向上することとされている。しかしながら、特許文献3に記載の方法でも、難分解性物質の分解除去効率は十分でなく、特に、難分解性物質を高濃度で含有する被処理水では、必ずしも高い分解除去効率を得られるものでなく、さらなる向上が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特開2004−298116号公報
【特許文献2】特開2005−103401号公報
【特許文献3】特開2002−11485号公報
【特許文献4】特開2002−292379号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本願発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、排水中に含まれる難分解性物質を効率的に分解除去し、従来方法と比較して、より低濃度まで処理可能な排水処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
処理対象である被処理水中には、通常、各種のTOC成分が含まれている。促進酸化処理では、これらTOC成分から、種々の方法により反応活性なOHラジカルを生成し、これを分解反応に利用している。ところが、TOC成分の一部には、発生したOHラジカルを無駄に消費する作用を持つものがある。これは一般にスカベンジャーといわれており、この成分の有無により、分解処理効率が大幅に低減することがある。
代表的なものとして、例えば炭酸イオン、重炭酸イオン等の炭酸成分のイオンが、スカベンジャーとして知られている。またこの他に、例えば酢酸等のカルボン酸も、スカベンジャーとして知られている。特に前者は、多くの被処理水中に含まれるため、その影響は言うまでもなく過大である。
このため、従来の技術では、被処理水が炭酸成分を含む場合、被処理水を酸性条件として、炭酸を非イオン性の形態にするか、または被処理水を脱気して炭酸を除去した上で、促進酸化処理することとされていた(例えば特許文献4参照。)。
【0020】
ところが、この点について本発明者が検討した結果、事実はこれに反し、所定の無機塩を含有する被処理水を高pH値とすることで、難分解性物質を高効率的で分解除去できることを見出した。
【0021】
すなわち、本発明の排水処理方法は、難分解性物質を含む被処理水を、オゾン、紫外線及び過酸化水素のうちの少なくとも2つを用いて促進酸化処理する排水処理方法であって、前記被処理水に、炭素数1〜6のカルボン酸、炭素数1〜6のカルボン酸塩、炭酸ガスまたは水溶性の炭酸塩のうちの少なくともいずれか一からなる反応助剤の存在下、前記被処理水のpH値を6.5より大きく10以下の値に調整して、促進酸化処理を行うことを特徴とする。
【0022】
前記カルボン酸は、直鎖カルボン酸であることが好ましい。
また、前記カルボン酸は、ギ酸、酢酸、プロピオン酸のうちの少なくともいずれか一であることが好ましい。また、前記カルボン酸塩は、ギ酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、シュウ酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、酢酸アンモニウム、クエン酸アンモニウムのうちの少なくともいずれか一であることが好ましい。また、前記炭酸塩は、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムのうちの少なくともいずれか一であることが好ましい。また、前記被処理水中の前記反応助剤の濃度は、0.1〜500ppmであることが好ましい。また、前記難分解性物質は、環状エーテル、ダイオキシン類、有機フッ素化合物またはこれらの混合物であることが好ましい。また、前記難分解性物質は、1,4−ジオキサンであることが好ましい。
【発明の効果】
【0023】
本発明の排水処理方法によれば、排水中に含まれる難分解性有機物の除去効率を向上させることができ、有機物含有量が極めて低減された処理水を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の排水処理方法に用いる排水処理装置の概略構成を示す図である。
【図2】炭酸ガスを注入した被処理水の無機炭酸存在比と、被処理水pH値との関係を示す図である。
【図3】本発明の排水処理方法に用いる排水処理装置の概略構成を示す図である。
【図4】促進酸化処理前の被処理水のpH測定値と、促進酸化処理終了後の処理水の1,4−ジオキサン濃度との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の排水処理方法について説明する。
【0026】
図1は、本発明の排水処理方法に用いる排水処理装置の概略構成を示す図である。
排水処理装置1は、排水源から供給される排水(以下、被処理水という。)を収容する排水タンク2、排水タンク2から供給された被処理水を処理する処理タンク3が設けられている。
排水タンク2と処理タンク3間は、排水タンク2から処理タンク3側に被処理水を供給する配管4で接続されている。
【0027】
配管4には、オゾンガス注入器6が設けられている。オゾンガス注入器6には、配管7によりオゾン発生器8が接続されており、オゾン発生器8で発生させた高濃度のオゾンガスを、処理タンク3内に注入するように設けられている。
配管4のオゾン注入器6の上流側には、カルボン酸、炭酸ガス等の反応助剤を添加する反応助剤添加手段9、過酸化水素を添加する過酸化水素添加手段10、被処理水にpH調製剤を添加するpH調製手段11が、それぞれ配管12、13、14で接続されており、pH調製手段11の後段には、被処理水のpH値を測定するpH測定器15が設けられている。
【0028】
処理タンク3の後段には、処理タンク3の処理水内に存在する不純物や未反応の過酸化水素を除去する活性炭吸着装置16及び脱塩装置17が設けられており、さらにその後段には、処理タンク3の処理水を収容する処理水タンク18が設けられている。
処理タンク3及び活性炭吸着装置16間、活性炭吸着装置16及び脱塩装置17間、ならびに脱塩装置17及び処理水タンク18間は、活性炭吸着装置16の上流側に開閉弁B1を備えた配管19で接続されている。
【0029】
脱塩装置17としては、脱イオン処理が可能な装置であれば、特に限定することなく用いることができ、通常のイオン交換樹脂塔や、イオン交換ボンベ等のイオン交換樹脂を用いてもよく、逆浸透装置を用いてもよい。なお、イオン交換樹脂の場合には、反応助剤によって、樹脂の再生サイクル等が短くなる可能性があるため、逆浸透装置がより好適である。
【0030】
また、処理タンク3には、ガス排出管20により排オゾンガス処理装置21が接続されている。排オゾンガス処理装置21には、内部に金属触媒、活性炭、樹脂触媒等のオゾン分解剤が設けられており、このオゾン分解剤にオゾン含有ガスを通気することで、オゾンガスが分解除去されるように構成されている。
【0031】
次に、図1に基づいて、本発明の排水処理装置1を用いた排水処理方法について説明する。
【0032】
処理対象である排水は、排水源から配管22を経由して、排水タンク2に供給される。
【0033】
排水中に含まれる難分解性物質としては、例えば1,4−ジオキサン等の環状エーテル化合物の他、ポリ塩化ジベンゾパラジオキシン、、等のダイオキシン類、パーフルオロオクンタスルホン酸(PFOS)、パーフルオロオクタン酸(PFOA)、パーフルオロアルキルスルホン酸(PFAS)、パーフルオロオクタンスルホン酸フルオリド、またはパーフルオロオクタンスルホン酸フルオリド誘導体等の有機フッ素化合物等が挙げられる。難分解性物質は、上記のもの単独であってもよく、2種類以上が混合されていてもよい。
【0034】
排水タンク2内に貯留された、難分解性物質を含む排水(以下、被処理水と示す。)は、ポンプP1により配管4を経由して、処理タンク3側に供給される。
被処理水は、配管4を通過する過程で、反応助剤添加手段9により下記に詳述する反応助剤が添加されるとともに、過酸化水素添加手段10により、過酸化水素が添加される。
【0035】
反応助剤としては、カルボン酸、カルボン酸塩、炭酸ガスまたは水溶性炭酸塩を用いることができる。
【0036】
カルボン酸は、炭素数1〜6の水溶性のものを用いることができる。
カルボン酸の炭素数が6より大きいと、被処理水に対する汚染物質となり易く、分解処理効率をかえって低下させるおそれがある。また、水に対する溶解度が低く、反応助剤として機能させるのが困難な場合もある。これらの観点から、カルボン酸としては、より好ましくは炭素数1〜4の低級カルボン酸を用いることがよく、さらに好ましくは炭素数1〜2の低級カルボン酸を用いることがよい。
カルボン酸は、直鎖状のものであってもよく、側鎖を有するものであってもよいが、入手のし易さや水への溶解性の点から、直鎖状のカルボン酸を用いることが好ましい。また、カルボン酸は、モノカルボン酸が好適に用いられるが、これに限定されず、例えばジカルボン酸、トリカルボン酸であってもよい。
【0037】
カルボン酸としては、具体的には、例えばギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、ピバル酸、カプロン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、クエン酸等を用いることができ、これらは単独で用いてもよく、組み合わせて使用してもよい。
これらの中でも、入手のし易さや水への溶解性の点から、ギ酸、酢酸、プロピオン酸を、より好適に用いることができる。
【0038】
カルボン酸塩としては、上述したカルボン酸の塩で水溶性のものを用いることができ、例えば、上述したカルボン酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩を用いることができる。
カルボン酸塩としては、具体的には、例えば、ギ酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、酪酸ナトリウム、ペンタン酸ナトリウム、しゅう酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ギ酸カリウム、酢酸カリウム、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム、酢酸アンモニウム、クエン酸アンモニウム等を好適に用いることができる。
これらは単独で用いてもよく、組み合わせて使用してもよい。中でも、入手が容易で、取り扱い作業性に優れることから、ギ酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、シュウ酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、酢酸アンモニウム、クエン酸アンモニウムを好適に用いることができる。
【0039】
炭酸塩としては、水溶性のものであれば、特に限定することなく用いることができる。
水溶性炭酸塩としては、具体的には、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸カリウムナトリウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウムやこれらの水和物等を用いることができる。
これらの中でも、炭酸塩としては、被処理水に対する溶解性を保持しつつ、難分解性物質に対して高い分解除去効率を得る観点から、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムを好適に用いることができる。炭酸塩は、上述した化合物を1種単独で用いてもよく、又は2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
【0040】
また、反応助剤としては、上述したカルボン酸、カルボン酸塩、炭酸ガスまたは水溶性の炭酸塩のいずれか一種であってもよく、または二種以上を混合したものであってもよい。促進酸化処理時の取り扱い易さや、後段での処理の必要性の有無の観点から、反応助剤としては、炭酸ガスまたは炭酸塩を用いることが好ましい。
【0041】
反応助剤の含有量は、被処理水に含有される難分解性物質に対して、0.1〜500ppmとすることが好ましい。
被処理水における反応助剤の含有量が、難分解性物質の含有量に対して0.1ppm未満であると、被処理水中の難分解性物質の分解除去効果を十分に得られないおそれがある。一方、被処理水に対する反応助剤の含有量が、難分解性物質の含有量に対して500ppmを超えると、反応助剤に由来するイオンにより消費されるOHラジカルの量が多くなり、促進酸化処理の円滑な進行の妨げとなるおそれがある。被処理水における反応助剤の含有量は、より好ましくは、被処理水に含有される難分解性物質に対して1〜200ppmである。
なお、反応助剤としてカルボン酸、カルボン酸塩、炭酸塩等を混合して添加する場合、本明細書では、反応助剤の添加量とはこれらの総量を示すものとする。
【0042】
なお、上述した反応助剤に該当する物質(カルボン酸、カルボン酸塩、炭酸塩等)が、被処理水中に既に混入していた場合には、反応助剤添加手段9からの反応助剤の添加は、被処理水中の反応助剤の濃度を考慮して、添加後の含有量が上記範囲となるように調整して行えばよい。
また、被処理水中の反応助剤の含有量が上記の範囲内にある場合には、反応助剤添加手段9からの反応助剤の添加は行わなくてもよい。
【0043】
被処理水に対する過酸化水素の添加量は、被処理水における過酸化水素濃度と、後述するオゾン濃度との比(H/O(質量比))が1.0〜5.0となるように添加することがよい。被処理水中における、過酸化水素濃度とオゾン濃度との比を上記範囲とすることで、促進酸化処理において、オゾンと過酸化水素を併用したことによる相乗効果が顕著に認められる。
【0044】
反応助剤添加手段9、過酸化水素添加手段10から反応助剤、過酸化水素が添加された被処理水は、pH調製手段11によりpH調製剤が添加され、pH測定器15によるpH測定値が6.5より大きく10以下となるように調整される。
【0045】
pH調製剤としては、公知のものを用いることができ、特に限定されないが、例えば硝酸、硫酸、塩酸等の無機酸や、アンモニア、水酸化ナトリウム等の無機アルカリ成分を挙げることができる。また、pH値を安定化させるため、緩衝液を添加してもよい。
【0046】
このように、pH値が6.5より大きく10以下の範囲に調整された被処理水は、配管4により処理タンク3に供給される。処理タンク3内に供給された被処理水には、オゾン注入器6によりオゾン含有ガスが注入される。
【0047】
処理タンク3内へのオゾンガス注入は、オゾン注入器6として、例えばディフューザー(散気板)、高圧エジェクター、ラインミキサー、オゾン溶解膜等を用いて行うことができる。
【0048】
処理タンク3内に注入するオゾン含有ガスとしては、促進酸化処理の反応性の観点から、オゾン濃度が50g/Nm以上である高濃度オゾンガスとすることが好ましい。
オゾン含有ガスのオゾン濃度が50g/Nm未満であると、被処理水の促進酸化処理の円滑な進行が困難となる。処理タンク3内に注入するオゾン含有ガスのオゾン濃度としては、より好ましくは100〜150g/Nm以上である。
【0049】
オゾン注入器6からのオゾン含有ガスの注入は、被処理水中のオゾン濃度が5〜50ppm、より好ましくは10〜25ppmとなるように、その注入量を設定して行うことが好ましい。
【0050】
被処理水に注入するオゾンガスの供給圧力は、オゾン注入器6として用いるディフューザー(散気板)、高圧エジェクター、ラインミキサー等の特性に応じ、任意に設定可能である。
【0051】
オゾンガスが注入された被処理水では、オゾン(O)及び過酸化水素(H)により、HO及びOを介入した下記(1)〜(5)の連鎖反応(O/Hプロセス)が進行する。下記連鎖反応で生成したHO 等の各種活性種(ラジカル)により、被処理水中の難分解性物質が分解処理される。
【0052】
+HO ⇔ H + HO(1)
+HO+H → HO + HO+O(2)
HO+O → HO + O(3)
HO+O → HO + O(4)
HO+H → HO + O(5)
【0053】
また、被処理水がアルカリ性である場合には、被処理水中では下記(6)〜(8)の連鎖反応も進行し、OHラジカルの発生が促進される。
【0054】
OH+O → O・− + HO(6)
HO+O → HO + O(7)
HO+O → HO + O(8)
【0055】
上記反応(6)〜(8)の進行は、OHイオンの濃度に依存するため、これらの反応によるOHラジカル生成の促進効果は、被処理水のpH値に対して指数関数的に増加する。一般には、pH>7でその効果が大きくなり、pH>10で特に効果が大きくなる。
【0056】
したがって、被処理水をアルカリ性とすることで、難分解性物質を高濃度で含有する被処理水を、より効率的に分解処理することができる。
【0057】
一方、一般に、促進酸化反応では、カルボン酸や炭酸ガス等のTOC成分の一部は、上記の連鎖反応で生成したOHラジカルを無駄に消費するスカベンジャーとなり、分解処理効率を低下させることが知られており、このような機能は、上述した成分がイオン化したときに発揮されることが知られている。
例えば炭酸ガスの場合には、図2で示すように、炭酸ガスを注入した被処理水のpH値が6.5以上となると、炭酸成分の大半は、炭酸イオンや炭酸水素イオン(CO、HCO)として存在する。このため、促進酸化反応の処理効率を向上させるには、これらカルボン酸や炭酸ガス等の成分を、何らかの方法で被処理水から除去することがよいとされてきた。
【0058】
しかしながら、本発明者が鋭意検討した結果、従来スカベンジャーとして認知されてきた、カルボン酸、カルボン酸塩、炭酸ガス、または炭酸塩のうちから選択される少なとも一の成分を、一定の条件の下、被処理水中に存在させて促進酸化処理することで、難分解性物質の分解除去効率が向上することが判明した。
具体的には、pH値を6.5より大きく10以下の範囲に調整した被処理水中に、上述した成分を存在させることにより、これら成分が反応助剤として機能し、促進酸化反応による難分解性物質の分解処理が促進される。
これは、pH値を上述した範囲内にしたときの、反応助剤成分の被処理水中での存在形態に起因すると考えられる。
【0059】
すなわち、被処理水のpH値を6.5より大きく10以下とすることで、実プロセスへの適用が可能な範囲内で、カルボン酸や炭酸ガス等の反応助剤がイオン化して存在する割合が高められ、これらイオン化した成分により、OHラジカル等の活性種の生成反応や、難分解性物質の分解反応を促進することができる。このため、促進酸化処理による難分解性物質の分解除去効率を向上させることができ、難分解性物質の含有量が極めて低減された処理水を得ることができる。
【0060】
なお、これら成分の反応助剤としての詳細なメカニズムは、現在のところ不明であるが、例えば、(i)式(1)〜(5)、式(6)〜(8)で示す各反応において、上述した成分を共存させることで、OHラジカル等の活性種の生成反応を促進するか、または、(ii)当該(i)とは別のメカニズムで機能して、活性種の生成等を促進するか、のいずれか又はその双方により、難分解性物質の分解除去効率が高められていると考えられる。
【0061】
被処理水のpH値が6.5以下であると、反応助剤であるカルボン酸や炭酸ガス等が、被処理水中で十分にイオン化せず、活性種の生成促進効果を十分に得られないおそれがある。一方、被処理水のpH値が10を超えると、被処理水に添加する薬品使用量が過多となり、また処理水の後処理が煩雑となるため、実プロセスへの適用が困難となる。
【0062】
特に、難分解性物質を高濃度で含有する被処理水を促進酸化処理する場合には、その分解処理に多量のOHラジカルが必要となるが、本発明の排水処理方法では、被処理水を高pH値としているため、OHラジカルの発生量が高められており、難分解性物質を高濃度で含有する被処理水も、低濃度まで分解処理することができる。
【0063】
具体的には、促進酸化処理による分解処理を、反応助剤を使用しないで行った場合と比較して、処理水中の難分解性物質の含有量を40〜80%低減することが可能である。
【0064】
上記の工程を所定時間継続した後、開閉弁B1が開とされ、処理タンク3内の処理水の一部が配管19に供給される。配管19に供給された処理水は、ポンプP2により、活性炭吸着装置16及び脱塩装置17に供給され、粗大粒子やH等の不純物が除去された後、処理水タンク18に供給される。
【0065】
一方、処理タンク3内では、被処理水中に混入していたオゾンガスが、他のガス成分とともに被処理水の液面上に排出される。液面上に排出されたオゾン含有ガスは、ガス排出管20を経由して処理タンク3から排出され、排オゾンガス処理装置21に導出される。
排オゾンガス処理装置21には、内部に触媒樹脂が充填されており、この触媒樹脂にオゾン含有ガスを通気することで、オゾンガスが分解除去され、大気中に排出される。
【0066】
なお、処理タンク3の処理水は、必ずしもタンク等に回収しなくてもよく、下水として排出してもよい。また、処理水タンク18に回収された処理水を、さらに純水製造装置に原水として供給し、精製処理に供してもよい。
【0067】
本実施形態では、促進酸化処理として、オゾンガスと過酸化水素とを組み合わせた2元系処理の態様を示したが、促進酸化処理としては必ずしもこのような態様に限定されず、紫外線とオゾン、または紫外線と過酸化水素を組み合わせた態様であってもよく、また紫外線、オゾン、過酸化水素を組み合わせた3元系処理の態様であってもよい。
【0068】
なお、例えば紫外線とオゾンを用いた促進酸化処理は、処理タンク内に紫外線ランプを設置し、被処理水へのオゾンガスの注入と並行して紫外線照射することで、行うことができる。
【0069】
以上、本発明の排水処理方法について一例を挙げて説明したが、必ずしもこのような態様に限定されず、本発明の趣旨に反しない限度において、適宜変更することができる。
【実施例】
【0070】
次に、本発明の実施形態について説明する。
【0071】
[実験1]:1,4−ジオキサンを含む排水の促進酸化処理
図3に示した排水処理装置1を用いて、1,4−ジオキサンを含む排水の促進酸化処理を行った。実施例1〜7、比較例1〜5、参考例1の操作の詳細は以下のとおりである。
【0072】
(実施例1〜7、比較例1〜5、参考例1)
図3におけるオゾン発生器8としては、Ozone Rex OR-302W((株)ワコーシステムコントロール社製)を用い、オゾン注入器6としてはガスエゼクターを用い、pH測定器14としては、pHメーター((株)堀場製作所社製)を用いた。
【0073】
まず、1,4−ジオキサン濃度10ppm、エチレングリコール濃度100ppmの被処理水を、排水タンク2に充填した後、この被処理水に、炭酸水素ナトリウム、または酢酸ナトリウムを、それぞれ表1に示す濃度となるように添加した。次いで、排水タンク2内の被処理水に、過酸化水素を20ppmとなるように添加した。次いで、ポンプP3を駆動し、pH調整手段11により、10ppm水酸化ナトリウム、または10ppm硫酸を添加し、各被処理水のpH値をそれぞれ表1の「処理前pH値」の値となるように調整した。
【0074】
次いで、オゾン発生器8を稼働して、オゾン発生器8で発生させた65g/Nmの高濃度オゾンガスを、オゾン注入器6により、0.055MPa、440mL/minで排水タンク2内の被処理水に注入し、被処理水の促進酸化処理を行った。
排水タンク2内での上記促進酸化処理を6分間継続した後、ポンプP3を停止し、次いでオゾン発生器8を停止して、促進酸化処理反応を終了した。
【0075】
上述した促進酸化処理終了後、実施例1〜7、比較例1〜5の各処理水のpH値をpH測定器15で測定した。また、各処理水中の1,4−ジオキサン濃度を、排水タンク2中の水をサンプリングして測定した。
表1に、各実施例及び比較例の促進酸化処理前後のpH測定値と共に、各処理水の1,4−ジオキサン濃度測定値及び1,4−ジオキサン除去率を示す。
表1の結果より、促進酸化処理前の各被処理水のpH測定値と、促進酸化処理終了後の各処理水の1,4−ジオキサン濃度との関係を図4に示す。
【0076】
【表1】

【0077】
表1及び図4から明らかなように、pH値が6.5より大の被処理水に、炭酸水素ナトリウムまたは酢酸ナトリウムを添加して促進酸化処理を行った実施例1〜7では、1,4−ジオキサンの除去率が72.7%以上と高い値が得られており、難分解性物質が効率的に分解除去されることが認められた。一方、被処理水に、反応助剤である炭酸水素ナトリウムまたは酢酸ナトリウムを添加しないで促進酸化処理を行った比較例1〜4、及びpH値6.5以下の被処理水に対して促進酸化処理を行った比較例5では、1,4−ジオキサンの除去率が65.2%以下と低くなっており、十分な除去率を得ることができなかった。
【0078】
[実験2]:1,4−ジオキサンを含む排水の促進酸化処理
(比較例6)
比較例6は、被処理水中に酢酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムのいずれも添加せず、水酸化ナトリウムを被処理水に適宜添加して、被処理水のpH値を8.5〜9.5の間となるように制御しながら促進酸化反応を行ったこと以外は、実験1と同様の操作により促進酸化処理を行った。
表1に、比較例6の促進酸化処理前後のpH測定値と共に、各処理水の1,4−ジオキサン濃度測定値及び1,4−ジオキサン除去率を示す。
また、比較例6における、促進酸化処理前の被処理水のpH測定値と、促進酸化処理終了後の処理水の1,4−ジオキサン濃度との関係を図4にプロットして示す。
【0079】
上述した実施例1〜7、及び比較例1〜5では、反応中にpH値の調整を行っていないため、促進酸化処理の進行に伴って、被処理水のpH値変動が生じたと考えられる。しかしながら、実施例1〜7では、処理水において高い除去率を得られており、これは被処理水に添加した炭酸水素ナトリウムまたは酢酸ナトリウムが、pH調整剤として機能し、被処理水におけるpH値の変動を抑制したためとも考えられる。
しかしながら、被処理水のpH値の調整を行いながら促進酸化処理を行った比較例6と、上述した実施例1〜7及び比較例1〜5とを対比すると、図4から明らかなように、比較例6における1,4−ジオキサンの残留量は、炭酸水素
ナトリウムまたは酢酸ナトリウムを添加せずに促進酸化処理を行った、比較例1〜4のプロット群(実線部)と近い値を示している。
このことから、上述した実施例1〜7では、炭酸水素ナトリウムまたは酢酸ナトリウムは、被処理水中でpH調整剤として機能しただけでなく、促進酸化処理に対する促進機能を有していたことがわかる。
【0080】
[実験3]:1,4−ジオキサン及びダイオキシンを含む排水の促進酸化処理
(実施例8〜9、比較例7)
実験1で使用した被処理水に代えて、1,4−ジオキサン濃度11ppm、ダイオキシン濃度1×10(pg−TEQ/L)、エチレングリコール濃度100ppmとなるように調整した被処理水を、排水タンク2内に充填した。なお、被処理水に添加するダイオキシンとしては、ダイオキシン濃度50μg/mlのDMSO溶液を使用した。
この被処理水における、促進酸化処理前の炭酸水素ナトリウムまたは酢酸ナトリウムの濃度、及び被処理水のpH値を、それぞれ表2に示す値となるようにしたこと以外は、実験1と同様にして、促進酸化処理を行った。
表2に、実施例8〜9及び比較例7の促進酸化処理前後のpH測定値と共に、各処理水の1,4−ジオキサン濃度測定値及び1,4−ジオキサン除去率、ならびに各処理水のダイオキシン濃度測定値及びダイオキシン除去率を示す。
【0081】
【表2】

【0082】
表2から明らかなように、pH値が6.5より大の被処理水に、炭酸水素ナトリウムまたは酢酸ナトリウムを添加して促進酸化処理を行った実施例8〜9では、1,4−ジオキサンの除去率が80.9%以上、ダイオキシンの除去率が67%以上といずれも高い値が得られており、難分解性物質が効率的に分解除去されることが認められた。一方、被処理水に、反応助剤である炭酸水素ナトリウムまたは酢酸ナトリウムを添加しないで促進酸化処理を行った比較例7では、1,4−ジオキサンの除去率が52.7%、ダイオキシンの除去率が37%と低くなっており、十分な除去率を得ることができなかった。
【0083】
[実験4]:1,4−ジオキサン及びPFOS(パーフルオロオクタンスルホン酸カリウム)を含む排水の促進酸化処理
(実施例10〜11、比較例8)
実験1で使用した被処理水に代えて、1,4−ジオキサン濃度11ppm、PFOS濃度1ppm(1mg/L)、エチレングリコール濃度100ppmとなるように調整した被処理水を、排水タンク2内に充填した。
なお、被処理水に添加するPFOS(パーフルオロオクタンスルホン酸カリウム)としては、50μg/mlのパーフルオロオクタンスルホン酸カリウム標準液を使用した。
この被処理水における、促進酸化処理前の炭酸水素ナトリウムまたは酢酸ナトリウムの濃度、及び促進酸化処理前の被処理水のpH値を、それぞれ表3に示す値となるようにしたこと以外は、実験1と同様にして、促進酸化処理を行った。
表3に、実施例10〜11及び比較例8の促進酸化処理前後のpH測定値と共に、各処理水の1,4−ジオキサン濃度測定値及び1,4−ジオキサン除去率、ならびに各処理水のPFOS濃度測定値及びPFOS除去率を示す。
【0084】
【表3】

【0085】
表3から明らかなように、pH値が6.5より大の被処理水に、炭酸水素ナトリウムまたは酢酸ナトリウムを添加して促進酸化処理を行った実施例10〜11では、1,4−ジオキサンの除去率が80.0%以上、PFOSの除去率が48%以上といずれも高い値が得られており、難分解性物質が効率的に分解除去されることが認められた。一方、被処理水に、反応助剤である炭酸水素ナトリウムまたは酢酸ナトリウムを添加しないで促進酸化処理を行った比較例8では、1,4−ジオキサンの除去率が53.6%、PFOSの除去率が11%と低くなっており、十分な除去率を得ることができなかった。
【符号の説明】
【0086】
1…排水処理装置、2…排水タンク、3…処理タンク、6…オゾンガス注入器、8…オゾン発生器、9…反応助剤添加手段、10…過酸化水素添加手段、11…pH調製手段、15…pH測定器、16…活性炭吸着装置、17…脱塩装置、18…処理水タンク、21…排オゾンガス処理装置、4、7、12、13、14、19…配管、20…ガス排出管、B1…開閉弁、P1〜P4…ポンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
難分解性物質を含む被処理水を、オゾン、紫外線及び過酸化水素のうちの少なくとも2つを用いて促進酸化処理する排水処理方法であって、
前記被処理水に、炭素数1〜6のカルボン酸、炭素数1〜6のカルボン酸塩、炭酸ガスまたは水溶性の炭酸塩のうちの少なくともいずれか一からなる反応助剤の存在下、前記被処理水のpH値を6.5より大きく10以下の値に調整して、促進酸化処理を行うことを特徴とする排水処理方法。
【請求項2】
前記カルボン酸が直鎖カルボン酸である請求項1記載の排水処理方法。
【請求項3】
前記カルボン酸が、ギ酸、酢酸、プロピオン酸のうちの少なくともいずれか一である請求項1又は2記載の排水処理方法。
【請求項4】
前記カルボン酸塩が、ギ酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、シュウ酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、酢酸アンモニウム、クエン酸アンモニウムのうちの少なくともいずれか一である請求項1乃至3のいずれか1項記載の排水処理方法。
【請求項5】
前記炭酸塩が、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムのうちの少なくともいずれか一である請求項1乃至4のいずれか1項記載の排水処理方法。
【請求項6】
前記被処理水中の前記反応助剤の濃度が、0.1〜500ppmである請求項1乃至5のいずれか1項記載の排水処理方法。
【請求項7】
前記難分解性物質が、環状エーテル、ダイオキシン類、有機フッ素化合物またはこれらの混合物である請求項1乃至6のいずれか1項記載の排水処理方法。
【請求項8】
前記難分解性物質が、1,4−ジオキサンである請求項1乃至7のいずれか1項記載の排水処理方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2012−239933(P2012−239933A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−109270(P2011−109270)
【出願日】平成23年5月16日(2011.5.16)
【出願人】(000245531)野村マイクロ・サイエンス株式会社 (116)
【Fターム(参考)】