説明

排水弁装置、及び、それを備えた洗浄水タンク装置

【課題】洗浄水タンクから便器へ供給する洗浄水量を施工者が現場で安易に調整することを防ぐことができる排水弁装置及びそれを備えた洗浄水タンク装置を提供する。
【解決手段】本発明の排水弁装置28は、貯水タンク22の排水口22aから流出する洗浄水の流量を制御し、開口部76a,90d,90d'が形成された制御筒部材62,76と、この制御筒部材に取り付けられて制御筒部材の開口部の開口断面積を調節可能な調節部材92,94,96と、を有し、御筒部材の雌側嵌合部98,104,104'108,108'は、ほぼ直線的に配列され且つ制御筒部材に対する調節部材の取付位置を位置決めする位置決め用凹部を備え、この位置決め用凹部内の間隔は、調節部材の雄側嵌合部100,102,102'106,106'を制御筒部材の雌側嵌合部に嵌合させた状態で施工者による嵌合解除操作が不可能となるように、施工者の手指の幅よりも小さく設定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排水弁装置、及び、それを備えた洗浄水タンク装置に係り、特に、便器を洗浄する洗浄水を貯える洗浄水タンクの排水弁装置、及び、それを備えた洗浄水タンク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、便器を洗浄する洗浄水を貯える洗浄水タンク装置として、例えば、特許文献1に記載されているように、洗浄水タンクの底部に形成された排水口の周囲を取り囲むように設けられた流量調整用の筒体と、この筒体の内部に設けられて排水口を開閉するフロート弁(排水弁)と、筒体の側面に形成された複数の通水孔の開口断面積を調整可能な調整手段(調整バンド等)を備えた排水弁装置を備えたものが知られている。
このような従来の排水弁装置においては、調整手段を手作業で操作して筒体の通水孔の開口断面積を調整することにより、フロート弁が排水口を開放しているときに、便器へ供給される洗浄水の水量を容易に調節することができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−21144号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の排水弁装置においては、施工者による筒体の通水孔の開口断面積を調整する調整手段の操作が、施工現場において工具等を使用することなく手作業で簡単に行うことができるため、多品種の洗浄水タンクを備えた便器に応じて洗浄水量を調整することができ、排水弁装置を共用化することができる反面、施工者が調整手段を誤って操作し、洗浄水タンクから便器へ供給する洗浄水量を誤った水量に安易に設定してしまう可能性も高く、所望の洗浄水量を得ることができず、洗浄水の節水化や便器の洗浄性能に望ましくない影響を及ぼしてしまうという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、上述した従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、洗浄水タンクから便器へ供給する洗浄水量を施工者が現場で安易に調整することを防ぐことができる排水弁装置及びそれを備えた洗浄水タンク装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明は、便器を洗浄する洗浄水を貯える洗浄水タンクの排水弁装置であって、洗浄水タンクの底面に配置された排水口を開閉する弁体と、この弁体が上記排水口を開放しているときに、上記洗浄水タンクの排水口から流出する洗浄水の流量を制御する制御筒部材であって、洗浄水が上記制御筒部材を通過するための開口部が形成された上記制御筒部材と、上記制御筒部材の変更可能な所定の取付位置に取り付けられ、この取付位置に応じて上記制御筒部材の開口部の開口断面積を調節可能な調節部材と、を有し、上記制御筒部材及び上記調節部材の各々は、互いが嵌合する嵌合部を備え、上記制御筒部材の嵌合部及び上記調節部材の嵌合部のうちの一方は、雄側嵌合部であり、上記制御筒部材の嵌合部及び上記調節部材の嵌合部のうちの他方は、上記雄側嵌合部が嵌合可能な雌側嵌合部であり、この雌側嵌合部は、ほぼ直線的に配列され且つ上記制御筒部材に対する上記調節部材の取付位置を位置決めする位置決め用凹部を備え、この位置決め用凹部内の間隔は、上記調節部材の嵌合部を上記制御筒部材の嵌合部に嵌合させた状態で施工者の手指による上記雄側嵌合部と上記雌側嵌合部との嵌合の解除操作が不可能となるように、上記施工者の手指の幅よりも小さく設定されていることを特徴ことを特徴としている。
このように構成された本発明においては、制御筒部材の嵌合部及び調節部材の嵌合部の一方の雌側嵌合部において、位置決め用凹部内の間隔が施工者の手指の幅よりも小さく設定されているため、施工者の手指を位置決め用凹部内に侵入させて雄側嵌合部と雌側嵌合部との嵌合の解除操作が容易な状態になることを防ぐことができる。すなわち、調節部材の嵌合部を制御筒部材の嵌合部に嵌合させた状態では、施工者は手指の幅よりも小さい幅の工具等の手段を使わない限り、調節部材の嵌合部と制御筒部材の嵌合部との嵌合を容易に解除させることができず、調節部材を制御筒部材から容易に取り外せる状態になることを防ぐことができる。これらの結果、洗浄水タンクや排水弁装置の施工時に、施工者が誤って制御筒部材に対する調節部材の取付位置を容易に変更することができないため、洗浄水タンクから便器へ供給する洗浄水量を施工者が現場で安易に調整することを防ぐことができ、予め設定された適切な洗浄水量を便器へ供給することができる。
【0007】
本発明において、好ましくは、上記調節部材の嵌合部は、上記雄側嵌合部であり、上記制御筒部材の嵌合部は、上記雌側嵌合部であり、上記調節部材は、上記制御筒部材の所定の取付位置に上記調節部材を取り付けたときに上記制御筒部材の開口部を遮蔽する遮蔽部を備え、上記調節部材の雄側嵌合部は、上記遮蔽部の少なくとも一方の側部に設けられ且つ上記制御筒部材の雌側嵌合部の位置決め用凹部に嵌合可能な鉤爪状の突起を備えている。
このように構成された本発明においては、調節部材の雄側嵌合部における鉤爪状の突起を制御筒部材の雌側嵌合部の位置決め用凹部内に嵌合させることにより、調節部材の嵌合部を制御筒部材の嵌合部に容易に嵌合させることができる。さらに、一旦、調節部材の嵌合部を制御筒部材の嵌合部に嵌合させた状態になると、施工者は手指の幅よりも小さい幅の工具等の手段を使わない限り、調節部材の嵌合部と制御筒部材の嵌合部との嵌合を容易に解除させることができず、調節部材を制御筒部材から容易に取り外せる状態になることをより防ぐことができる。したがって、洗浄水タンクや排水弁装置の施工時に、施工者が誤って制御筒部材に対する調節部材の取付位置を容易に変更することができないため、洗浄水タンクから便器へ供給する洗浄水量を施工者が現場で安易に調整することを防ぐことができ、予め設定された適切な洗浄水量を便器へ供給することができる。
【0008】
本発明において、好ましくは、上記調節部材の雄側嵌合部は、更に、上記遮蔽部の他方の側部に設けられて上下方向に延びる長穴を形成するフレーム状の突起を備え、このフレーム状の突起は、これと対向する上記制御筒部材の雌側嵌合部の一方側の位置決め用凹部と嵌合可能であり、上記鉤爪状の突起は、上記フレーム状の突起と上記一方側の位置決め用凹部が互いに嵌合した状態で、上記鉤爪状の突起と対向する上記制御筒部材の雌側嵌合部の他方側の位置決め用凹部と嵌合可能である。
このように構成された本発明においては、調節部材を制御筒部材に嵌合させる際に、調節部材の雄側嵌合部のフレーム状の突起を制御筒部材の雌側嵌合部の一方側の位置決め用凹部に嵌合させた状態で、調節部材の雄側嵌合部の鉤爪状の突起を制御筒部材の雌側嵌合部の他方側の位置決め用凹部に容易に嵌合させることができる。したがって、調節部材を制御筒部材に容易に取り付けることができ、調節部材と制御筒部材との組立性を向上させることができる。また、一旦、調節部材の嵌合部を制御筒部材の嵌合部に嵌合させた状態になると、施工者は手指の幅よりも小さい幅の工具等の手段を使わない限り、調節部材の嵌合部と制御筒部材の嵌合部との嵌合を容易に解除させることができず、調節部材を制御筒部材から容易に取り外せる状態になることを防ぐことができる。この結果、洗浄水タンクや排水弁装置の施工時に、施工者が誤って制御筒部材に対する調節部材の取付位置を容易に変更することができないため、洗浄水タンクから便器へ供給する洗浄水量を施工者が現場で安易に調整することを防ぐことができ、予め設定された適切な洗浄水量を便器へ供給することができる。
【0009】
本発明において、好ましくは、上記制御筒部材は、上記開口部が形成された側壁を備え、上記制御筒部材の雌側嵌合部の位置決め用凹部は、上記側壁に一体に設けられている。
このように構成された本発明においては、制御筒部材の開口部が形成された側壁に位置決め用凹部が一体に設けられているため、一旦、調節部材の嵌合部を制御筒部材の嵌合部に嵌合させた状態になると、施工者は手指の幅よりも小さい幅の工具等の手段を使わない限り、調節部材の嵌合部と制御筒部材の嵌合部との嵌合を容易に解除させることができず、調節部材を制御筒部材から容易に取り外せる状態になることを防ぐことができる。また、調節部材の嵌合部と制御筒部材の嵌合部との嵌合を容易に解除させることを防止する手段を制御筒部材の位置決め用凹部以外に別途設ける必要がないため、洗浄水タンクや排水弁装置の施工時に、施工者が誤って制御筒部材に対する調節部材の取付位置を容易に変更することを簡単な構造で防ぐことができる。この結果、予め設定された適切な洗浄水量を便器へ供給することができる。
【0010】
本発明において、好ましくは、上記雌側嵌合部の位置決め用凹部内の間隔は、13mm以下に設定されている。
このように構成された本発明においては、雌側嵌合部の位置決め用凹部内の間隔について、施工者の手指の侵入を確実に防ぐできること程度の13mm以下に設定することにより、13mm以下の比較的小さい幅の工具等の手段を使わない限り、調節部材の嵌合部と制御筒部材の嵌合部との嵌合を容易に解除させることができず、調節部材を制御筒部材から容易に取り外せる状態になることを防ぐことができる。これらの結果、洗浄水タンクや排水弁装置の施工時に、施工者が誤って制御筒部材に対する調節部材の取付位置を容易に変更することができないため、洗浄水タンクから便器へ供給する洗浄水量を施工者が現場で安易に調整することを防ぐことができ、予め設定された適切な洗浄水量を便器へ供給することができる。
【0011】
また、本発明は、上記排水弁装置を備えた洗浄水タンク装置である。
このように構成された本発明においては、洗浄水タンクや排水弁装置の施工時に、施工者が誤って制御筒部材に対する調節部材の取付位置を容易に変更することができないため、洗浄水タンクから便器へ供給する洗浄水量を施工者が現場で安易に調整することを防ぐことができ、予め設定された適切な洗浄水量を便器へ供給することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の排水弁装置及びそれを備えた洗浄水タンク装置によれば、洗浄水タンクから便器へ供給する洗浄水量を施工者が現場で安易に調整することを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1実施形態による洗浄水タンク装置が適用された水洗便器の断面図である。
【図2】本発明の第1実施形態による洗浄水タンク装置について蓋体を取り外した状態で貯水タンク内の構造を前方斜め上方から見た斜視図である。
【図3】本発明の第1実施形態による洗浄水タンク装置の貯水タンク内の構造を示す平面図である。
【図4】図3のIV−IV線に沿って見た断面図である。
【図5】本発明の第1実施形態による洗浄水タンク装置の排水弁装置の分解斜視図である。
【図6】本発明の第1実施形態による洗浄水タンク装置の排水弁装置において外側制御筒部材を取り外した状態を示す斜視図である。
【図7】本発明の第1実施形態による洗浄水タンク装置の排水弁装置において内側制御筒部材に取り付けられた流量調節部材を示す拡大図である。
【図8】本発明の第1実施形態による洗浄水タンク装置の排水弁装置において内側制御筒部材に取り付けられた調節部材を示す正面側拡大図である。
【図9】本発明の第1実施形態による洗浄水タンク装置の排水弁装置において内側制御筒部材の調節部材を示す背面側拡大図である。
【図10】図7のX−X線に沿って見た断面図である。
【図11】本発明の第1実施形態による洗浄水タンク装置の排水弁装置を後方斜め上方から見た斜視図である。
【図12】本発明の第1実施形態による洗浄水タンク装置の排水弁装置を示す正面図である。
【図13】本発明の第1実施形態による洗浄水タンク装置の排水弁装置における外側制御筒部材の背面側の雌側嵌合部の位置決め用凹部と遠位側流量調節部材の雄側嵌合部のフレーム状突起との嵌合状態を示す拡大斜視図である。
【図14】本発明の第1実施形態による洗浄水タンク装置の排水弁装置における外側制御筒部材の正面側の雌側嵌合部の位置決め用凹部と遠位側流量調節部材の雄側嵌合部の鉤爪状突起との嵌合状態を示す拡大斜視図である。
【図15】本発明の第1実施形態による洗浄水タンク装置の排水弁装置における外側制御筒部材の背面側の雌側嵌合部の位置決め用凹部に遠位側流量調節部材の雄側嵌合部のフレーム状突起が嵌合された後、外側制御筒部材の正面側の雌側嵌合部の位置決め用凹部に遠位側流量調節部材の雄側嵌合部の鉤爪状突起が嵌合されるまでの状態を示す部分平面断面図である。
【図16】本発明の第1実施形態による洗浄水タンク装置の排水弁装置における外側制御筒部材の正面側の雌側嵌合部の位置決め用凹部と遠位側流量調節部材の雄側嵌合部の鉤爪状突起との嵌合部分を示す拡大平面断面図である。
【図17】図17(a)は、本発明の第1実施形態による洗浄水タンク装置の排水弁装置の切替弁における錘の取り付け前の状態を示す斜視図であり、図17(b)は、本発明の第1実施形態による洗浄水タンク装置の排水弁装置の切替弁における錘の取り付け中の状態を示す斜視図であり、図17(c)は、本発明の第1実施形態による洗浄水タンク装置の排水弁装置の切替弁における錘の取り付け完了後の状態を示す斜視図である。
【図18】本発明の第1実施形態による洗浄水タンク装置の排水弁装置における切替弁を示す正面図である。
【図19】図19(a)は、本発明の第1実施形態による洗浄水タンク装置の大洗浄モードにおける排水開始前の状態の排水弁装置を示す正面断面図であり、図19(b)は、本発明の第1実施形態による洗浄水タンク装置の大洗浄モードにおける排水開始直後の状態の排水弁装置を示す正面断面図であり、図19(c)は、本発明の第1実施形態による洗浄水タンク装置の大洗浄モードにおける排水途中の状態の排水弁装置を示す正面断面図であり、図19(d)は、本発明の第1実施形態による洗浄水タンク装置の大洗浄モードにおける排水終了後の状態の排水弁装置を示す正面断面図である。
【図20】図20(a)は、本発明の第1実施形態による洗浄水タンク装置の小洗浄モードにおける排水開始前の状態の排水弁装置を示す正面断面図であり、図20(b)は、本発明の第1実施形態による洗浄水タンク装置の小洗浄モードにおける排水開始直後の状態の排水弁装置を示す正面断面図であり、図20(c)は、本発明の第1実施形態による洗浄水タンク装置の小洗浄モードにおける排水途中の状態の排水弁装置を示す正面断面図であり、図20(d)は、本発明の第1実施形態による洗浄水タンク装置の小洗浄モードにおける排水終了後の状態の排水弁装置を示す正面断面図である。
【図21】図21(a)は、本発明の第2実施形態による洗浄水タンク装置の排水弁装置の切替弁における錘の取り付け前の状態を示す側面図であり、図21(b)は、本発明の第2実施形態による洗浄水タンク装置の排水弁装置の切替弁における錘の取り付け中の状態を示す側面図であり、図21(c)は、本発明の第1実施形態による洗浄水タンク装置の排水弁装置の切替弁における錘の取り付け完了後の状態を示す側面図である。
【図22】本発明の第2実施形態による洗浄水タンク装置の排水弁装置における切替弁を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
つぎに、添付図面により、本発明の第1実施形態による排水弁装置及びそれを備えた洗浄水タンク装置を説明する。
まず、図1により、本発明の第1実施形態による洗浄水タンク装置が適用された水洗便器を説明する。
図1は、本発明の第1実施形態による洗浄水タンク装置が適用された水洗便器の断面図である。
【0015】
図1に示すように、符号1は洗落し式の水洗便器を示し、この便器1は、便器本体2を備え、この便器本体2には、ボウル部4と、導水路6と、ボウル部4の下部と連通するトラップ管路8がそれぞれ形成されている。
便器本体2のボウル部4の上縁部には、内側にオーバーハングしたリム10と、導水路6から供給される洗浄水を吐水する第1吐水口12が形成され、この第1吐水口12から吐水された洗浄水は、旋回しながら下降してボウル部を洗浄するようになっている。
【0016】
ボウル部4の下方には、一点鎖線で貯留面W0が示された溜水部14が形成されている。この溜水部14の下方には、排水トラップ管路8の入口8aが開口し、この入口8aから上昇路8bが後方に延びている。この上昇路8bには下降路8cが連続し、下降路8cの下端は排水ソケット(図示せず)を介して床下の排出管(図示せず)に接続されている。また、ボウル部4の貯留面W0の上方位置には、導水路6から供給される洗浄水を吐水する第2吐水口16が形成され、この第2吐水口16から吐水される洗浄水が溜水部14の溜水を上下方向に旋回させる旋回流を生じさせるようになっている。
【0017】
便器本体2の導水路6の上方には、便器本体2に供給する洗浄水を貯水する洗浄水タンク装置18(詳細は後述する)が設けられている。
洗浄水タンク装置18は、陶器製の外装タンク20と、この外装タンク20内に一体となって配置され、水洗便器1を洗浄する洗浄水が貯水される貯水タンク22と、外装タンク20に載せられる蓋体24を備えている。
貯水タンク22の底部には、便器本体2の導水路6と連通する排水口22aが形成され、貯水タンク22内の洗浄水が導水路6へと排水されるようになっている。また、貯水タンク22は、便器の種類に応じて、貯水する洗浄水の量が異なっている。
なお、本実施形態による洗浄水タンク装置18においては、上述した洗落し式以外の他のタイプの水洗便器(例えば、サイホン式水洗便器など)にも適用可能である。
【0018】
つぎに、図2〜図4により、洗浄水タンク装置18の詳細について説明する。
図2は、本発明の第1実施形態による洗浄水タンク装置について蓋体を取り外した状態で貯水タンク内の構造を前方斜め上方から見た斜視図であり、図3は、本発明の第1実施形態による洗浄水タンク装置の貯水タンク内の構造を示す平面図であり、図4は、図3のIV−IV線に沿って見た断面図である。なお、図4においては、貯水タンク22の満水時の止水水位をWL0で示している。
【0019】
図2〜図4に示すように、洗浄水タンク装置18の貯水タンク22内には、この貯水タンク22内に洗浄水を供給する給水装置26と、貯水タンク22に貯えられた洗浄水について排水口22aを開放して便器本体2の導水路6に流出させる排水弁装置28とが設けられている。
【0020】
給水装置26は、外部の給水源に接続され貯水タンク22の底部から上方に延びる給水管30と、この給水管30の上端部に取り付けられ、給水管30から給水される洗浄水の貯水タンク22内への吐水と止水を切り替える給水バルブ32と、貯水タンク22内の水位の変動に応じて上下動して給水バルブ32による吐水と止水を切り替えるフロート34とを備えている。
【0021】
給水管30の外周側下端部には、吐水口36が開口し、給水バルブ32からの洗浄水がこの吐水口36から貯水タンク22内に吐水されるようになっている。
給水装置26は、更に、給水バルブ32に接続されたリフィール管38を備え、このリフィール管38の下流端は、後述する排水弁装置28のオーバーフロー管40の上端開口の上方に位置している。
【0022】
給水装置26においては、後述する排水弁装置28により、貯水タンク22内の洗浄水が便器に排水されると、洗浄水の水位が低下してフロート34が下降し、それにより給水バルブ32が開き、吐水口36から吐水が開始される、貯水タンク22内への吐水が開始される。次に、吐水が継続されて水位が上昇すると、フロート34も上昇し、それにより給水バルブ32が閉じ、吐水口36が止水される。これにより、貯水タンク22内の洗浄水の水位を所定の満水時の水位に維持するようになっている。
【0023】
つぎに、図2〜図18を参照して、排水弁装置28について詳細に説明する。
図5は、本発明の第1実施形態による洗浄水タンク装置の排水弁装置の分解斜視図である。
図2〜図5に示すように、排水弁装置28は、貯水タンク22の外部に取り付けられた操作レバー42と、一端が操作レバー42に取り付けられ、他端が貯水タンク22内まで延びて操作レバー42の操作により回転する回転軸44を備えている。
【0024】
ここで、本実施形態では、一例として、操作レバー42及び回転軸44については、使用者が操作レバー42を直接回転操作して回転軸44を回転させるような手動式の操作形態について説明するが、このような形態に限定されず、操作レバー42及び回転軸44を回転させるためのモータ等の駆動手段を設け、外部に設定された操作ボタン(図示せず)又は人感センサー(図示せず)からの指令信号によって駆動手段の作動を自動的に制御するような操作形態にしてもよい。
【0025】
また、回転軸44の他端には、回転軸44の回転と共に回転軸44の中心軸線44aを中心に回転する玉鎖引き上げ部材46が回転軸44と一体的に取り付けられている。
この玉鎖引き上げ部材46においては、回転軸44の中心軸線44aに対して一方の側には、回転軸44の回転により上下動するようになっている第1玉鎖48が取り付けられる第1玉鎖取付部46aが設けられ、回転軸44の中心軸線44aに対して他方の側には、回転軸44の回転により上下動するようになっている第2玉鎖50が取り付けられる第2玉鎖取付部46bが設けられている。
【0026】
また、第1玉鎖48及び第2玉鎖50のそれぞれの下端は、後述するフロート部材52の第1玉鎖取付部52a及び第2玉鎖取付部52bのそれぞれに取り付けられている。
さらに、玉鎖引き上げ部材46において、第2玉鎖取付部46bから操作レバー42側に隣接した所定位置に、回転軸44の回転により上下動するようになっている第3玉鎖54が取り付けられる第3玉鎖取付部46cが設けられており、第3玉鎖54の下端は、後述する切替弁56の第3玉鎖取付部56aに取り付けられている。
【0027】
また、操作レバー42を一方に回動させると、玉鎖引き上げ部材46が回転軸44と共に所定方向に回動し、第2玉鎖50及び第3玉鎖54が弛んだ状態で第1玉鎖48のみが玉鎖引き上げ部材46によって引き上げられ、切替弁56が開弁した状態のままフロート部材52と共に後述する弁体84が上昇し、後述する便器の大洗浄モードによる排水が開始されるようになっている。
一方、操作レバー42を他方に回動させると、第1玉鎖48が弛んだ状態で第2玉鎖50及び第3玉鎖54が玉鎖引き上げ部材46によって引き上げられ、フロート部材52及び弁体84が上昇すると共に切替弁56が閉弁し、後述する便器の小洗浄モードによる排水が開始されるようになっている。
【0028】
また、回転軸44の中心軸線44aは、後述する排水弁ユニット58の中心軸線58aを通過し、玉鎖引き上げ部材46の第1玉鎖取付部46aと第2玉鎖取付部46bとの間隔は、フロート部材52の第1玉鎖取付部52aと第2玉鎖取付部52bとの間隔とほぼ同一となるように設定されている。
【0029】
排水弁装置28は、図5に示すように、貯水タンク22の底面に取り付けられ且つ便器本体2の導水路6に連通する排水口22aを形成する排水口ユニット60と、この排水口ユニット60の上端に取り付けられた排水弁ユニット58と、排水口ユニット60に上方から着脱可能に取り付けられた外側制御筒部材62を備えている。
【0030】
図5に示すように、排水弁装置28の排水口ユニット60は、貯水タンク22の底面の所定位置に取り付けられて排水口22aを形成する排水口形成部材64を備えている。
この排水口形成部材64の下端部は、貯水タンク22の底面を貫き、シール部材66を介して締結部材68によって締結され、排水口形成部材64が貯水タンク22の底面に固定されている。
【0031】
また、排水口形成部材64は、排水口22aの上縁を形成する排水口上縁部70を備え、この排水口上縁部70の外周の所定の対角位置には、外側制御筒部材62が上方から着脱可能に取り付けられる取付用の保持突起72が形成されている。
さらに、排水口形成部材64の上端開口部74の外周の所定の対角位置には、後述する排水弁ユニット60の内側制御筒部材76が上方から着脱可能に取り付けられる取付用の保持突起78が形成されている。
また、排水口形成部材64は、排水口上縁部70と上端開口部74との間に円周方向に沿って所定間隔を置いて上下方向に延びる複数のリブ80を備え、これらのリブ80により、内側制御筒部材76の外側の洗浄水を排水口22aへ流入させるための複数の連通口82が形成されている。
【0032】
つぎに、図5に示すように、排水弁装置28の排水弁ユニット58は、弁体84と、オーバーフロー管40と、内側制御筒部材76と、フロート部材52と、オーバーフロー管取付部材86と、リフィール管取付部材88を備えている。
【0033】
弁体84は、シートパッキン等のシール部材からなり、図5に示すように、オーバーフロー管40の下端部の弁体保持部40aにはめ込まれて固着され、オーバーフロー管40と共に上下動して、排水口22aを開閉する排水弁として機能するようになっている。
【0034】
内側制御筒部材76は、この弁体84の上下動を制御するものとして機能するようになっており、洗浄水を貯水すると共に、この貯水された洗浄水を所定の流量で流出させる開口76aが側面に形成されたほぼ円筒状の貯水部76bと、この貯水部76bの底部の中央から上方に延びたほぼ円筒状のガイド部76cと、貯水部76bの下端部に形成されて排水口ユニット60の排水口形成部材64の保持突起78に係合される1つ又は複数の係合溝76dを備えている。この係合溝76dは、ほぼL字形の鍵穴状の溝を形成し、制御筒取付用保持突起78を下方から挿入可能した後、係合溝76dを水平方向に移動させることにより制御筒取付用保持突起78に係止可能となっている。
【0035】
また、内側制御筒部材76の貯水部76bの開口76aには、詳細は後述する流量調節部材92が取り付けられ、この流量調節部材92の取り付け位置を上下方向に変更することにより開口76aの開口断面積を調節することができるようになっている。
【0036】
また、フロート部材52は、薄肉でほぼ円環状に形成して内側制御筒部材76の貯水部76bの内周側且つガイド部76cの外周側に収容されるフロート部52cと、このフロート部52cの下端に取り付かれた底部52dを備え、フロート部52cの内側と底部52dによって内部空間が形成されている。これらのフロート部52c及び底部52dは、内側制御筒部材76の貯水部76b内に洗浄水が貯水されている状態では、浮力作用により内側制御筒部材76の貯水部76b内に浮かんだ状態で収容されており、内側制御筒部材76の貯水部76b内の洗浄水の水位の低下に伴って、内側制御筒部材76のガイド部76cにガイドされて下降するようになっている。
さらに、フロート部材52は、フロート部52cの上端に固定されて所定距離上方に延びた後、半径方向内側にアーチ状に延びてオーバーフロー管40の円筒部40bの上端が取り付けられるオーバーフロー管取付部52eを備えている。
【0037】
また、オーバーフロー管40の上下方向に円筒状に延びる円筒部40bは、内側制御筒部材76のガイド部76cの内周側に挿入され、上下方向に摺動可能にガイドされている。
さらに、オーバーフロー管40の円筒部40bの上端は、フロート部材52のオーバーフロー管取付部52eに取り付けられて、オーバーフロー管取付部材86によって固定される。
このオーバーフロー管取付部材86は、実質的には、洗浄水タンク22内の所定水位(満水水位)を超えた洗浄水が流入するオーバーフロー管40の上端の流入口86aを形成している。
また、オーバーフロー管40の上端の流入口86aは、オーバーフロー管40の管径に対して滑らかに上方且つ外側に広がるラッパ形状となっており、洗浄水タンク22内の所定水位(満水水位)を超えた洗浄水がオーバーフロー管40によって洗浄水タンク22の外部へより確実に排出されるようになっている。
【0038】
さらに、リフィール管取付部材88が、上述したリフィール管38の下流端が接続されるノズル部88aを備え、このノズル部88aの下端部の開口は、オーバーフロー管40の流入口86aの上方に位置している。
【0039】
つぎに、図5に示すように、外側制御筒部材62は、横断面形状がほぼ矩形状に形成されて上方が開放された筒体本体90を備えている。この筒体本体90の下端部は、排水口ユニット60の排水口形成部材64を上下方向に挿入可能な開口を形成し、筒体本体90の下端部の周縁には、筒体本体90をその中心軸線(排水弁ユニット58の中心軸線58aに相当)を中心に回転させることにより、排水口ユニット60の排水口形成部材64の保持突起72に着脱可能な1つ又は複数の係合溝90aが設けられている。
この係合溝90aは、ほぼL字形の鍵穴状の溝を形成し、保持突起72を下方から挿入可能した後、係合溝90aを水平方向に移動させることにより保持突起72に係止可能となっている。
【0040】
また、筒体本体90の係合溝90aが排水口ユニット60の排水口形成部材64の保持突起72に係合された状態では、操作レバー42に近位する側の筒体本体90の側壁90b(以下「近位側側壁90b」)が、排水口ユニット60及び内側制御筒部材76の一部を取り囲むように洗浄水タンク22の底面から上方に延びており、この筒体本体90の近位側側壁90bには、この近位側側壁90bを貫く洗浄モード切替用の開口部90cが形成されている。
【0041】
さらに、筒体本体90の近位側側壁90bには、開口部90cを開閉可能とする切替弁56(詳細は後述する)が取り付けられており、この切替弁56には、錘56bが着脱可能に取り付けられている。そして、切替弁56が開口部90cを開放した状態では、大洗浄モードによる排水が行われ、切替弁56が開口部90cを閉鎖した状態では、小洗浄モードによる排水が行われるようになっている。
【0042】
また、筒体本体90の近位側側壁90bにおける開口部90cの上方には、流量調節用の近位側開口部90dが形成され、これらの近位側開口部90dには、詳細は後述する近位側流量調節部材94が取り付けられている。
同様に、筒体本体90の近位側側壁90bと対向する側壁90b’(以下「遠位側側壁90d’」)にも、流量調節用の遠位側開口部90d’が形成され、これらの遠位側開口部90d’には、詳細は後述する遠位側流量調節部材96が取り付けられている。
これらの近位側流量調節部材94及び遠位側流量調節部材96のそれぞれの取り付け位置を上下方向に変更し、それぞれに対応する開口部90d,90d’の開口断面積を調節することにより、小洗浄モードにおいて貯水タンク22内の洗浄水が筒体本体90の開口部90d,90d’から筒体本体90の内部へ流入する洗浄水の流量を調節することができ、洗浄水タンク22の外部へ流出される洗浄水量を調節することができるようになっている。
【0043】
さらに、図5に示すように、内側制御筒部材76の係合溝76dが排水口ユニット60の排水口形成部材64の制御筒取付用保持突起78に係合され、且つ筒体本体90の係合溝90aが排水口ユニット60の排水口形成部材64の保持突起72に係合された状態において、内側制御筒部材76の底部から排水口22aまで延びた排水口形成部材64の側面に形成された複数の連通口82は、筒体本体90の内部と排水口22aとを連通させる連通口となっており、筒体本体90の洗浄モード切替用の開口部90cは、これらの連通口82の上端以下の高さ位置に配置されている。
【0044】
また、大洗浄モード及び小洗浄モードによる排水開始直後の排水弁ユニット58の弁体84は、図4に鎖線で示す弁体84のように、内側制御筒部材76の底部に当接する所定の最高高さ位置まで上昇するようになっているが、この弁体84の最高高さ位置は、筒体本体90の洗浄モード切替用の開口部90cの上端以上の高さ位置に設定されている。
さらに、図4に示すように、内側制御筒部材76の貯水部76bの開口76aについても、筒体本体90の洗浄モード切替用の開口部90cの上端以上の高さ位置に設定されている。
【0045】
つぎに、図6〜図10を参照して、排水弁装置28の内側制御筒部材76に取り付けられる流量調節部材92の詳細について説明する。
図6は本発明の第1実施形態による洗浄水タンク装置の排水弁装置において外側制御筒部材を取り外した状態を示す斜視図であり、図7は本発明の第1実施形態による洗浄水タンク装置の排水弁装置において内側制御筒部材の開口部の開口断面積を調節する調節部材を示す拡大図である。
また、図8は本発明の第1実施形態による洗浄水タンク装置の排水弁装置において内側制御筒部材に取り付けられた調節部材を示す正面側拡大図であり、図9は本発明の第1実施形態による洗浄水タンク装置の排水弁装置において内側制御筒部材の調節部材を示す背面側拡大図であり、図10は図7のX−X線に沿って見た断面図である。
【0046】
図6〜図10に示すように、内側制御筒部材76及び流量調節部材92の各々は、互いが嵌合する嵌合部98,100をそれぞれ備えており、内側制御筒部材76の嵌合部98は雌側の嵌合部(以下「雌側嵌合部98」)となり、流量調節部材92の嵌合部100は、内側制御筒部材76の雌側の嵌合部98に嵌合可能な雄側の嵌合部(以下「雄側嵌合部100」)となっている。
また、内側制御筒部材76の雌側嵌合部98は、内側制御筒部材76の開口76aの両側の壁部76eに一体に設けられ、流量調節部材92の取付位置を位置決めする複数の位置決め用凹部98aを備えている。これらの複数の位置決め用凹部98aの各々は、内側制御筒部材76の壁部76eの内方に凹んでおり、上下方向にほぼ直線的に配列されている。
なお、複数の位置決め用凹部98aの各々については、内側制御筒部材76の開口76aの上下両側の壁部76eに左右方向にほぼ直線的に配列させ、左右方向に流量調節部材92を位置決め可能としてよい。
【0047】
流量調節部材92は、これを内側制御筒部材76の所定の取付位置に取り付けたときに内側制御筒部材76の開口76aを遮蔽する遮蔽部92aを備えている。図7に示す流量調節部材92の取付位置の状態では、遮蔽部92aが内側制御筒部材76の開口76aのほぼ半分の高さ位置から上方の開口領域を遮蔽している状態となっている。
また、流量調節部材92の雄側嵌合部100は、特に、図10に示すように、遮蔽部92aの両側側部に上下方向に所定間隔を置いて設けられ、内側制御筒部材76の雌側嵌合部98の位置決め用凹部98aに嵌合可能な鉤爪状突起100aを備えている。
例えば、これらの流量調節部材92の鉤爪状突起100aを内側制御筒部材76の位置決め用凹部98aに取り付ける取付位置を上方に設定する程、内側制御筒部材76の開口76aの開口断面積が大きくなり、排水弁装置28の排水動作時に内側制御筒部材76の貯水部76b内の洗浄水が開口76aから流出する流量が多くなり、排水時のフロート部52c及び弁体84がより速く下降するようになっている。
【0048】
さらに、内側制御筒部材76の雌側嵌合部98の複数の位置決め用凹部98aの凹部内における上下方向の間隔d1は、いずれも等しく、内側制御筒部材76の雌側嵌合部98の位置決め用凹部98aに流量調節部材92の雄側嵌合部100の鉤爪状突起100aを嵌合させた状態では、施工者の手指による両嵌合部98,100の嵌合解除操作が不可能となるように、施工者の手指の幅よりも小さく設定されるのが好ましい。
すなわち、位置決め用凹部98aの凹部内の上下方向の間隔d1については、13mm以下に設定することが好ましく、5mm以下に設定することがより好ましい。
【0049】
なお、本実施形態おいては、排水弁装置28の内側制御筒部材76と流量調節部材92との嵌合については、一例として、内側制御筒部材76の嵌合部98を雌側嵌合部とし、流量調節部材92の嵌合部100を雄側嵌合部としている形態について説明したが、このような形態に限定されず、内側制御筒部材76の嵌合部98を雄側嵌合部とし、流量調節部材92の嵌合部100を雌側嵌合部とするような形態にしてもよい。
【0050】
つぎに、図11〜図16を参照して、排水弁装置28の外側制御筒部材62とこの外側制御筒部材62に取り付けられる近位側流量調節部材94及び遠位側流量調節部材96の詳細について説明する。
図11は、本発明の第1実施形態による洗浄水タンク装置の排水弁装置を後方斜め上方から見た斜視図であり、図12は、本発明の第1実施形態による洗浄水タンク装置の排水弁装置を示す正面図である。
また、図13は、本発明の第1実施形態による洗浄水タンク装置の排水弁装置における外側制御筒部材の背面側の雌側嵌合部の位置決め用凹部と遠位側流量調節部材の雄側嵌合部のフレーム状突起との嵌合状態を示す拡大斜視図であり、図14は、本発明の第1実施形態による洗浄水タンク装置の排水弁装置における外側制御筒部材の正面側の雌側嵌合部の位置決め用凹部と遠位側流量調節部材の雄側嵌合部の鉤爪状突起との嵌合状態を示す拡大斜視図である。
さらに、図15は、本発明の第1実施形態による洗浄水タンク装置の排水弁装置における外側制御筒部材の背面側の雌側嵌合部の位置決め用凹部に遠位側流量調節部材の雄側嵌合部のフレーム状突起が嵌合された後、外側制御筒部材の正面側の雌側嵌合部の位置決め用凹部に遠位側流量調節部材の雄側嵌合部の鉤爪状突起が嵌合されるまでの状態を示す部分平面断面図である。
また、図16は、本発明の第1実施形態による洗浄水タンク装置の排水弁装置における外側制御筒部材の正面側の雌側嵌合部の位置決め用凹部と遠位側流量調節部材の雄側嵌合部の鉤爪状突起との嵌合部分を示す拡大平面断面図である。
【0051】
図5及び図11〜図16に示すように、外側制御筒部材62の筒体本体90の近位側側壁90bに形成された近位側開口部90dにおいては、開口断面形状が矩形形状であり且つ開口断面積が等しい2つの開口が前後方向に配置されている。
同様に、外側制御筒部材62の筒体本体90の遠位側側壁90b’に形成された遠位側開口部90d’においても、開口断面形状が矩形形状であり且つ開口断面積が等しい2つの開口が前後方向に配置されている。
また、近位側開口部90dの両開口の上縁と遠位側開口部90d’の両開口の上縁とは、ほぼ等しい高さ位置にあるが、遠位側開口部90d’の両開口の下縁は、洗浄モード切替用の開口部90cの上縁よりも上方、且つ近位側開口部90dの両開口の下縁よりも下方に位置している。
したがって、両開口部90d,90d’の全開口断面を開口させた状態では、開口部90dの全開口断面積が、開口部90d’の全開口断面積よりも小さくなるようになっている。
【0052】
図5及び図11〜図16に示すように、外側制御筒部材62は、筒体本体90の近位側側壁90bの正面側に一体に設けられ且つ近位側流量調節部材94の雄側嵌合部102と嵌合する雌側嵌合部104と、筒体本体90の背面側に設けられ且つ近位側流量調節部材94の雄側嵌合部106と嵌合する雌側嵌合部108を備えている。
また、外側制御筒部材62は、筒体本体90の背面側に一体に設けられ且つ遠位側流量調節部材96の雄側嵌合部102’と嵌合する雌側嵌合部104’と、筒体本体90の遠位側側壁90b’の正面側に設けられ且つ遠位側流量調節部材96の雄側嵌合部106’と嵌合する雌側嵌合部108’を備えている。
【0053】
また、外側制御筒部材62の雌側嵌合部104,108は、近位側流量調節部材94の取付位置を位置決めする複数の位置決め用凹部104a,108aをそれぞれ備えている。これらの複数の位置決め用凹部104a,108aの各々は、外側制御筒部材62の近位側側壁92bの内方に凹んでおり、上下方向にほぼ直線的に配列されている。
同様に、外側制御筒部材62の雌側嵌合部104’,108’は、遠位側流量調節部材96の取付位置を位置決めする複数の位置決め用凹部104a’,108a’をそれぞれ備えている。これらの複数の位置決め用凹部104a’,108a’の各々は、外側制御筒部材62の遠位側側壁92b’の内方に凹んでおり、上下方向にほぼ直線的に配列されている。
【0054】
なお、外側制御筒部材62の雌側嵌合部104の位置決め用凹部104aと雌側嵌合部104’の位置決め用凹部104a’の各凹部の構成については、互いに同一の構成となっているが、位置決め用凹部104a’の個数が位置決め用凹部104aの凹部の個数よりも多く配列されている。
また、外側制御筒部材62の雌側嵌合部108の位置決め用凹部108aと雌側嵌合部108’の位置決め用凹部108a’の各凹部の構成についても、互いに同一の構成となっているが、位置決め用凹部108a’の個数が位置決め用凹部108aの凹部の個数よりも多く配列されている。
【0055】
さらに、図4及び図11〜図14に示す近位側流量調節部材94及び遠位側流量調節部材96においては、外側制御筒部材62に対するそれぞれの取り付け位置を最も下方の取付位置に設定したときの状態を示しているが、外側制御筒部材62に対する近位側流量調節部材94及び遠位側流量調節部材96のそれぞれの取り付け位置を下方に設定する程、それぞれに対応する開口部90d,90d’の開口断面積が大きく設定されるようになっている。
そして、開口部90d,90d’の開口断面積が大きく設定される程、小洗浄モードにおける排水弁装置28の排水動作時に貯水タンク22内の洗浄水が筒体本体90の開口部90d,90d’から筒体本体90の内部へ流入する洗浄水の流量が多くなり、洗浄水タンク22の排水口22aから便器本体2に供給される小洗浄モード時の洗浄水量を多く設定することができるようになっている。
ちなみに、外側制御筒部材62に対する近位側流量調節部材94及び遠位側流量調節部材96のそれぞれの取り付け位置を最も上方に設定した場合には、開口部90d,90d’が近位側流量調節部材94及び遠位側流量調節部材96のそれぞれによって閉鎖され、排水弁装置28の排水動作時に貯水タンク22内の洗浄水が筒体本体90の開口部90d,90d’から筒体本体90の内部へ流入できなくなるため、洗浄水タンク22の排水口22aから便器本体2に供給される小洗浄モード時の洗浄水量を最小に設定することができるようになっている。
【0056】
近位側流量調節部材94は、これを外側制御筒部材62の所定の取付位置に取り付けたときに外側制御筒部材62の近位側開口部90dを遮蔽する遮蔽部94aを備えている。
また、近位側流量調節部材94の雄側嵌合部102は、近位側流量調節部材94の遮蔽部94aの正面側の側部に設けられて上下方向に延びる長穴102aを形成するフレーム状突起102bを備えている。
さらに、近位側流量調節部材94の雄側嵌合部106は、近位側流量調節部材94の遮蔽部94aの背面側の側部に設けられて外側制御筒部材62の雌側嵌合部108の位置決め用凹部108aに嵌合可能な鉤爪状突起106aを備えている。
【0057】
同様に、遠位側流量調節部材96は、これを外側制御筒部材62の所定の取付位置に取り付けたときに外側制御筒部材62の遠位側開口部90d’を遮蔽する遮蔽部96aを備えている。
また、遠位側流量調節部材96の雄側嵌合部102’は、遠位側流量調節部材96の遮蔽部96aの背面側の側部に設けられて上下方向に延びる長穴102a’を形成するフレーム状突起102b’を備えている。
さらに、遠位側流量調節部材96の雄側嵌合部106’は、遠位側流量調節部材96の遮蔽部96aの正面側の側部に設けられて外側制御筒部材62の雌側嵌合部108’の位置決め用凹部108a’に嵌合可能な鉤爪状突起106a’を備えている。
【0058】
なお、近位側流量調節部材94の遮蔽部94aの上下方向の長さHは、遠位側流量調節部材96の遮蔽部96aの上下方向の長さH’よりも短くなっているが、遮蔽部94aの前後方向の長さLと遮蔽部96aの前後方向の長さL’は互いに等しくなっている。
また、近位側流量調節部材94の雄側嵌合部102のフレーム状突起102bと遠位側流量調節部材96の雄側嵌合部102’のフレーム状突起102b’の構成については同一の構成となっており、近位側流量調節部材94の雄側嵌合部106の鉤爪状突起106aと遠位側流量調節部材96の雄側嵌合部106’の鉤爪状突起106a’の構成についても同一の構成となっている。
【0059】
したがって、以下、近位側流量調節部材94の雄側嵌合部102のフレーム状突起102bと外側制御筒部材62の雌側嵌合部104の位置決め用凹部104aとの嵌合状態については、図13に示されている遠位側流量調節部材96の雄側嵌合部102’のフレーム状突起102b’と外側制御筒部材62の雌側嵌合部104’の位置決め用凹部104a’との嵌合状態と等しいため、説明を省略する。
また、近位側流量調節部材94の雄側嵌合部106の鉤爪状突起106aと外側制御筒部材62の雌側嵌合部108の位置決め用凹部108aとの嵌合状態についても、図14に示されている遠位側流量調節部材96の雄側嵌合部106’の鉤爪状突起106a’と外側制御筒部材62の雌側嵌合部108’の位置決め用凹部108a’との嵌合状態と等しいため、説明を省略する。
【0060】
図13に示すように、遠位側流量調節部材96の雄側嵌合部102’における上下方向に延びる長穴102a’を形成するフレーム状突起102b’は、上端部102c’と、下端部102d’と、この下端部102d’から上端部102c’まで所定長さ上方に延びる柱部102e’を備えている。
また、外側制御筒部材62の雌側嵌合部104’が位置する筒体本体90の角部には、内方から外側に向って突出し且つ外側制御筒部材62の雌側嵌合部104’の各位置決め用凹部104a’を形成する複数の凹部形成突起104b’が上下方向に複数配列されている。
ここで、各位置決め用凹部104a’内の上下方向の間隔d2は、いずれも等しく、各凹部形成突起104b’の隣接する突起間の上下方向の間隔に相当し、施工者の手指の幅よりも小さく設定されるのが好ましい。
すなわち、各位置決め用凹部104a’内の上下方向の間隔d2については、13mm以下に設定することが好ましく、5mm以下に設定することがより好ましい。
【0061】
つぎに、図13〜図16を参照して、遠位側流量調節部材96を外側制御筒部材62に取り付ける工程について説明する。
図13及び図15に示すように、遠位側流量調節部材96を外側制御筒部材62に取り付ける際、まず、外側制御筒部材62の雌側嵌合部104’の各位置決め用凹部104a’を形成する複数の凹部形成突起104b’と筒体本体90の背面側壁部90eの側面90fとの間に形成されて縦方向に延びる凹部90g内に遠位側流量調節部材96のフレーム状突起102b’の柱部102e’を嵌め込む。
そして、遠位側流量調節部材96について、柱部102e’を中心に外側制御筒部材62に向けて回動させることにより、遠位側流量調節部材96のフレーム状突起102b’の上端部102c’及び下端部102d’をそれぞれに対向する外側制御筒部材62の雌側嵌合部104’の位置決め用凹部104a’内に嵌合させる。
【0062】
つぎに、遠位側流量調節部材96の雄側嵌合部106’の鉤爪状突起106a’をこれと対向する外側制御筒部材62の雌側嵌合部108’の位置決め用凹部108a’内に挿入した後、鉤爪状突起106a’の先端部106b’を位置決め用凹部108a’内に形成された凹部108b’内に嵌め込むことにより、外側制御筒部材62への遠位側流量調節部材96の取り付けが完了する。
なお、各位置決め用凹部108a’内の上下方向の間隔d3は、いずれも等しく、施工者の手指の幅よりも小さく設定されるのが好ましい。
すなわち、各位置決め用凹部108a’内の上下方向の間隔d3については、13mm以下に設定することが好ましく、5mm以下に設定することがより好ましい。
【0063】
なお、本実施形態おいては、排水弁装置28の外側制御筒部材62と近位側流量調節部材94との嵌合及び外側制御筒部材62と遠位側流量調節部材96との嵌合については、一例として、外側制御筒部材62の嵌合部104,104’,108,108’のそれぞれを雌側嵌合部とし、近位側流量調節部材94の嵌合部102,106及び遠位側流量調節部材94の嵌合部102’,106’のそれぞれを雄側嵌合部としている形態について説明したが、このような形態に限定されず、雌側嵌合部と雄側嵌合部の雌雄を入れ替えた形態にしてもよい。
【0064】
また、本実施形態おいては、近位側流量調節部材94の両側の雄側嵌合部102,106、及び、遠位側流量調節部材94の両側の嵌合部102’,106’については、一例として、一方の雄側嵌合部102,102’をフレーム状突起102b,102b’とし、他方の雄側嵌合部106,106’を鉤爪状突起106a,106a’として、片側ずつ互いに異なる形態の突起を備えた形態について説明したが、このような形態に限定されず、近位側流量調節部材94の両側の嵌合部102’,106’及び遠位側流量調節部材94の両側の嵌合部102’,106’を同一の鉤爪状突起のような形態にしてもよい。
【0065】
つぎに、図5、図17及び図18を参照して、排水弁装置28の外側制御筒部材62の切替弁56の詳細について説明する。
図17(a)は、本発明の第1実施形態による洗浄水タンク装置の排水弁装置の切替弁における錘の取り付け前の状態を示す斜視図であり、図17(b)は、本発明の第1実施形態による洗浄水タンク装置の排水弁装置の切替弁における錘の取り付け中の状態を示す斜視図であり、図17(c)は、本発明の第1実施形態による洗浄水タンク装置の排水弁装置の切替弁における錘の取り付け完了後の状態を示す斜視図である。
また、図18は、本発明の第1実施形態による洗浄水タンク装置の排水弁装置における切替弁を示す正面図である。
【0066】
図5、図12、図17及び図18に示すように、外側制御筒部材62の切替弁56は、筒体本体90の近位側側壁90bに取り付けられて開口部90cを開閉可能とする樹脂製の切替弁本体56cと、水平方向に延びた薄板状のステンレス製の錘56bと、切替弁本体56cの外面に設けられて上記錘が着脱可能に取り付けられる錘取付部56dを備えている。
また、切替弁本体56cは、外側制御筒部材62の筒体本体90の開口部90cを形成する近位側側壁90bの前側下端部と後側下端部のそれぞれに設けられた一対のヒンジ部90hに回動可能に取り付けられるヒンジ部56eを備えている。この切替弁本体56cのヒンジ部56eが筒体本体90のヒンジ部90hを中心に回動することにより、切替弁本体56cが、起立して筒体本体90の開口部90cを閉鎖した状態である所定の上方位置から、筒体本体90の近位側側壁90bの外側に回動して筒体本体90の開口部90cを開放した状態である所定の下方位置まで回動可能となっている。
【0067】
さらに、錘取付部56dは、錘56bの上端及び下端をそれぞれ支持する上側支持部56f及び下側支持部56gと、これらの支持部56f,56gの前方に設けられて錘56bを前後方向に固定する弾性留め具であるスナップフィット110と、を備えている。
このスナップフィット110は、錘56bを錘取付部56dに取り付ける際には、切替弁本体56cとスナップフィット110との間に錘56bを上方から挿入することにより(図17(a)参照)、錘56bの一部が切替弁本体56cとスナップフィット110によって挟持されるようになっている(図17(b)参照)。また、この錘56bの一部が切替弁本体56cとスナップフィット110によって挟持された状態では、錘56bが切替弁本体56cとスナップフィット110との間を前後方向に通過可能にすると共に、この通過途中の錘56bに対して弾性的に接触する弾性接触手段として機能するようになっている。
【0068】
また、スナップフィット110は、切替弁本体56cの外面の下端近傍部分から外側に所定長さ突出した基端部110aと、この基端部110aから切替弁本体56cの外面と所定間隔を置いて所定長さ上方に延びた先端部110bを備えている。
さらに、スナップフィット110は、基端部110aから先端部110bまで延びる弾性変形部110cを備え、この弾性変形部110cは、錘56bを錘取付部56dに取り付ける際に、基端部110a及び先端部110bをそれぞれ固定端及び自由端とし、切替弁本体56cの外面の面外方向への弾性的な曲げ変形が可能となっており、この曲げ変形により、錘56bが切替弁本体56cとスナップフィット110との間を前後方向に通過可能となっている。
【0069】
また、弾性変形部110cは、先端部110bから切替弁本体56cの外面に向って突出する突起110dを備えている。錘56bの錘取付部への取り付け時の錘56bは、切替弁本体56cとスナップフィット110との間を前後方向に通過する際に、弾性変形部110cによる切替弁本体56cの外面の面外方向への弾性的な曲げ変形が行われた状態で、錘56bの外側表面56hと突起110dとが弾性的に接触しながら前後方向に移動可能となっている。
なお、図18においては、錘56bが切替弁本体56cとスナップフィット110との間を通過中に、弾性変形部110cによる切替弁本体56cの外面の面外方向への弾性的な曲げ変形が行われている状態のスナップフィット110を仮想線Aで示している。
【0070】
さらに、図17(c)及び図18に示すように、錘56bの全体が上側支持部56fと下側支持部56gとの間に完全に挿入され、錘56bの外側表面56hと突起110dの弾性的な接触が解除され、錘56bの錘取付部56dへの取り付けが完了するようになっている。
錘56bの錘取付部56dへの取り付けが完了した状態では、上述した弾性変形部110cによる弾性的な曲げ変形が戻り、錘56bの前端面56iとスナップフィット110の弾性変形部110cの後側(錘側)の端面110eが互いに当接し、錘56bがスナップフィット110によって前後方向に固定された状態になっている。
【0071】
つぎに、図5〜図20を参照して、本発明の第1実施形態による排水弁装置及びそれを備えた洗浄水タンク装置の動作(作用)を説明する。
ここで、図19(a)は、本発明の第1実施形態による洗浄水タンク装置の大洗浄モードにおける排水開始前の状態の排水弁装置を示す正面断面図であり、図19(b)は、本発明の第1実施形態による洗浄水タンク装置の大洗浄モードにおける排水開始直後の状態の排水弁装置を示す正面断面図であり、図19(c)は、本発明の第1実施形態による洗浄水タンク装置の大洗浄モードにおける排水途中の状態の排水弁装置を示す正面断面図であり、図19(d)は、本発明の第1実施形態による洗浄水タンク装置の大洗浄モードにおける排水終了後の状態の排水弁装置を示す正面断面図である。
また、図20(a)は、本発明の第1実施形態による洗浄水タンク装置の小洗浄モードにおける排水開始前の状態の排水弁装置を示す正面断面図であり、図20(b)は、本発明の第1実施形態による洗浄水タンク装置の小洗浄モードにおける排水開始直後の状態の排水弁装置を示す正面断面図であり、図20(c)は、本発明の第1実施形態による洗浄水タンク装置の小洗浄モードにおける排水途中の状態の排水弁装置を示す正面断面図であり、図20(d)は、本発明の第1実施形態による洗浄水タンク装置の小洗浄モードにおける排水終了後の状態の排水弁装置を示す正面断面図である。
【0072】
ここで、図19及び図20においては、洗浄水の流れを矢印で概略的に示している。
また、以下で説明する大洗浄及び小洗浄の各洗浄モードのいずれについても、内側制御筒部材76に取り付けられている流量調節部材92については、図7にも示されているように流量調節部材92の遮蔽部92aが内側制御筒部材76の開口76aのほぼ半分の高さ位置から上方の開口領域を遮蔽している状態となっている。
さらに、以下で説明する大洗浄及び小洗浄の各洗浄モードのいずれについても、外側制御筒部材62に取り付けられている近位側流量調節部材94及び遠位側流量調節部材96については、筒体本体90に対して最も下方の取付位置に取り付けられた状態であり、それぞれに対応する筒体本体90の流量調節用の近位側開口部90d及び遠位側開口部90d’がほぼ開口全域が開放された状態となっている。すなわち、遠位側流量調節部材96の上縁が近位側流量調節部材94の上縁よりも下方に位置しているため、遠位側流量調節部材96によって開放された遠位側開口部90d’の開口領域の下縁は、近位側流量調節部材94によって開放された近位側開口部90dの開口領域の下縁よりも下方且つ洗浄モード切替用の開口部90cの上縁よりも上方に位置している。
【0073】
まず、図19(a)〜(d)により、本発明の第1実施形態による洗浄水タンク装置により実行される2種類の洗浄モードのうちの大洗浄モードについて説明する。
図19(a)に示されるような大洗浄モードにおける排水が開始される前の状態の排水弁装置28においては、第1玉鎖48及び第2玉鎖50の双方が上下方向にほぼ直線状に伸ばされた状態となっている。このとき、切替弁56については、錘56bを加えた切替弁56自体の自重により、第3玉鎖54が弛んだ状態となり、外側制御筒部材62の筒体本体90の洗浄モード切替用の開口部90cを開放した状態となっている。
また、貯水タンク22内の水位は、満水時の止水水位WL0となり、内側制御筒部材76の上端よりも上方且つオーバーフロー管40の流入口86aよりも下方に位置しており、外側制御筒部材62の筒体本体90の内部及び内側制御筒部材76の貯水部76bの内部は、洗浄水で満たされている。
【0074】
つぎに、図19(b)に示すように、大洗浄モードにおける排水が開始された直後の状態の排水弁装置28においては、使用者が操作レバー42(図2〜図4参照)を手前側(正面側)に所定角度(例えば、90度)回転させると、玉鎖引き上げ部材46が回転軸44と共に回動し、第1玉鎖48が上下方向にほぼ直線状に伸ばされた状態で、第2玉鎖50が弛んだ状態となる。また、第3玉鎖54も弛んだ状態となり、切替弁56が筒体本体90の開口部90cを開放したままの状態となる。
【0075】
このとき、玉鎖引き上げ部材46の第1玉鎖取付部46aの位置は、図19(a)に示す排水開始前の状態よりも上昇するため、第1玉鎖48のみが玉鎖引き上げ部材46の第1玉鎖取付部46aによって引き上げられることにより、フロート部材52が上昇し、このフロート部材52の上昇と共に、オーバーフロー管40及び弁体84が一体的に上昇する。
また、弁体84は、内側制御筒部材76の底部に当接し、外側制御筒部材62の筒体本体90の開口部90cの上端以上の高さ位置となる最高高さ位置に位置し、引き上げが完了した状態となっており、切替弁56が筒体本体90の開口部90cを開放したままの状態で、排水口22aが開放され、排水が開始される。
【0076】
また、貯水タンク22内の外側制御筒部材62の筒体本体90の外側の領域の洗浄水は、切替弁56、近位側流量調節部材94、及び遠位側流量調節部材96のそれぞれによって開放された筒体本体90開口部90c,90d,90d’と筒体本体90の上方から筒体本体90内に流入し、内側制御筒部材76の貯水部76b内の洗浄水は、開口76aから筒体本体90内に流入する。そして、筒体本体90内の洗浄水は、排水口ユニット60の連通口82を通過し、排水口22aから便器本体2の導水路6に排出され、貯水タンク22内の水位WL1は、図19(b)に示すように、排水によって満水時の止水水位WL0よりも低下し、例えば、筒体本体90の上端よりも上方且つ内側制御筒部材76の上端よりも下方に位置している。
しかしながら、筒体本体90の外側の領域から連通口82を経て排水口22aに流れ込む流速は、内側制御筒部材76の貯水部76b内から開口76aを経て筒体本体90内に流入する流速よりも速いため、内側制御筒部材76の貯水部76b内の水位WL1’は、貯水タンク22内の水位WL1よりも高く且つ止水水位WL0よりも低い状態となる。
【0077】
つぎに、図19(c)に示すように、大洗浄モードにおける排水途中の状態の排水弁装置28においては、第1玉鎖48、フロート部材52及び弁体84の引き上げが完了した直後に操作レバー42が初期位置に戻されているため、フロート部材52が、内側制御筒部材76の貯水部76b内の洗浄水よって与えられる浮力によって浮いた状態となっており、第1玉鎖48及び第2玉鎖50が弛んだ状態となっている。
そして、貯水タンク22内の水位が、図19(b)に示す水位WL1から時間と共に低下し、筒体本体90に取り付けられた遠位側流量調節部材96の上縁(筒体本体90の遠位側開口部90d’の下縁)に達した後も、貯水タンク22内と筒体本体90内が開口部90cで連通している。このため、貯水タンク22内の水位と筒体本体90内の水位が同一の水位WL2で低下し、この水位WL2が時間と共に内側制御筒部材76の貯水部76bの開口76aの上端よりも低下すると、内側制御筒部材76の貯水部76bの開口76aから流出する貯水部76b内の洗浄水の流量に応じた所定の速度で内側制御筒部材76の貯水部76b内の水位WL2’が低下し始める。
【0078】
また、図19(c)に示す内側制御筒部材76の貯水部76b内の水位WL2’の低下に伴ってフロート部材52も下降し、このフロート部材52の下降に連動してオーバーフロー管40及び弁体84も、フロート部材52の下降速度と同じ速度で下降する。
ちなみに、流量調節部材92の鉤爪状突起100aを内側制御筒部材76の位置決め用凹部98aに取り付ける取付位置を上方に設定する程、内側制御筒部材76の開口76aの開口断面積が大きくなり、排水弁装置28の排水動作時に内側制御筒部材76の貯水部76b内の洗浄水が開口76aから流出する流量が多くなるため、排水時のフロート部52c及び弁体84がより速く下降する。したがって、弁体84が排水口22aを開放している時間(開弁時間)が短くなり、洗浄水タンク装置18から便器本体2へ供給される洗浄水量が少なくなる。
【0079】
つぎに、図19(d)に示すように、大洗浄モードにおける排水終了時の排水弁装置28においては、図19(c)に示す内側制御筒部材76の貯水部76b内の水位WL2’がフロート部材52に浮力を与えない水位(すなわち、WL2’がほぼ零)まで低下して、フロート部52cの底部52dが貯水部76bの底部に到達したとき、弁体84が排水口22aを閉鎖し、排水が終了する。
このとき、貯水タンク22内と筒体本体90内の水位は、図19(c)に示す水位WL2よりも低い死水水位DWLとなる。
【0080】
つぎに、図20(a)〜(d)により、本発明の第1実施形態による洗浄水タンク装置により実行される小洗浄モードについて説明する。
まず、図20(a)に示されるような小洗浄モードにおける排水が開始される前の状態の排水弁装置28においては、上述した図19(a)に示されている大洗浄モードの場合と同様であるため、説明は省略する。
【0081】
つぎに、図20(b)に示すように、小洗浄モードにおける排水が開始された直後の状態の排水弁装置28においては、使用者が操作レバー42を奥側(背面側)に所定角度(例えば、90度)回転させると、玉鎖引き上げ部材46が回転軸44と共に回動し、玉鎖引き上げ部材46が回転軸44と共に回動し、第2玉鎖50及び第3玉鎖54が上下方向にほぼ直線状に伸ばされた状態で、第1玉鎖48が弛んだ状態となる。
【0082】
また、図20(b)に示すように、玉鎖引き上げ部材46の第2玉鎖取付部46bの位置は、図20(a)に示す排水開始前の状態よりも上昇するため、第2玉鎖50が玉鎖引き上げ部材46の第2玉鎖取付部46bによって引き上げられることにより、フロート部材52が上昇し、このフロート部材52の上昇と共に、オーバーフロー管40及び弁体84が一体的に上昇する。
同時に、第3玉鎖54についても、玉鎖引き上げ部材46の第3玉鎖取付部46cによって引き上げられ、切替弁56の第3玉鎖取付部56bも上方に引き上げられて筒体本体90の開口部90cが切替弁56によって閉鎖される。
【0083】
このとき、弁体84は、内側制御筒部材76の底部に当接し、筒体本体90の開口部90cの上端以上の高さ位置となる最高高さ位置に位置し、引き上げが完了した状態となっており、切替弁56が筒体本体90の開口部90cを閉鎖した状態で、排水口22aが開放され、排水が開始される。
【0084】
また、図20(b)に示すように、排水開始後、筒体本体90の内部の洗浄水が筒体本体90の外部の洗浄水よりも先に排水口22aから排出されるため、筒体本体90の内部を流れる洗浄水の流速が、筒体本体90の外部を流れる洗浄水の流速より相対的に大きくなり、切替弁56の外側の水圧が内側の水圧よりも高くなり、切替弁56の内外で水圧の差圧が生じる。そして、この差圧により、切替弁56には、筒体本体90の開口部90cを閉鎖する方向の力Fが加わるため、切替弁56が閉弁状態に保持される。
【0085】
さらに、図20(b)に示すように、貯水タンク22内の筒体本体90の外側の領域の洗浄水は、近位側流量調節部材94及び遠位側流量調節部材96のそれぞれによって開放された筒体本体90開口部90d,90d’と筒体本体90の上方から筒体本体90内に流入するが、切替弁56によって閉鎖された開口部90cから筒体本体90内に流入することはない。
したがって、筒体本体90内の洗浄水は、排水口ユニット60の連通口82を通過し、排水口22aから便器本体2の導水路6に排出され、貯水タンク22内の図20(b)に示す水位WL3は、排水によって満水時の止水水位WL0よりも低下し、最終的には、図20(c)及び図20(d)に示すように、遠位側流量調節部材96の上縁(筒体本体90の遠位側開口部90d’の下縁)の高さ位置と等しい水位WL4,WL5に留まることになる。
【0086】
また、内側制御筒部材76の貯水部76b内の洗浄水は、開口76aから筒体本体90内に流入する。筒体本体90の外側の領域から連通口82を経て排水口22aに流れ込む流速は、内側制御筒部材76の貯水部76b内から開口76aを経て筒体本体90内に流入する流速よりも速いため、内側制御筒部材76の貯水部76b内の水位WL3’は、図20(b)に示すように、貯水タンク22内の水位WL3よりも高く且つ止水水位WL0よりも低い状態となる。
【0087】
つぎに、図20(c)に示すように、小洗浄モードにおける排水途中の状態の排水弁装置28においては、図20(b)に示す第2玉鎖50、第3玉鎖54、フロート部材52及び弁体84の引き上げが完了した直後に操作レバー42が初期位置に戻されているため、フロート部材52が、内側制御筒部材76の貯水部76b内の洗浄水よって与えられる浮力によって浮いた状態となっており、第1玉鎖48、第2玉鎖50及び第3玉鎖54が弛んだ状態となっている。
しかしながら、第3玉鎖54が弛んでいても、上述した切替弁56の内外で水圧の差圧によって切替弁56に筒体本体90の開口部90cを閉鎖する方向の力Fが加わった状態となっているため、切替弁56が閉弁状態に保持されている。
【0088】
また、図20(c)に示すように、貯水タンク22内の水位WL4が、図20(b)に示す水位WL3から時間と共に低下し、遠位側流量調節部材96の上縁(筒体本体90の遠位側開口部90d’の下縁)付近まで低下した時点で、筒体本体90内の洗浄水が急激に連通口82を経て排水口22aから排出されるようになる。
このとき、筒体本体90内の水位WL4”が時間と共に内側制御筒部材76の貯水部76bの開口76aの上端よりも低下すると、内側制御筒部材76の貯水部76bの開口76aから流出する貯水部76b内の洗浄水の流量に応じた所定の速度で内側制御筒部材76の貯水部76b内の水位WL4’が低下し始める。
【0089】
また、図20(c)に示す内側制御筒部材76の貯水部76b内の水位WL4’の低下に伴ってフロート部材52も下降し、このフロート部材52の下降に連動してオーバーフロー管40及び弁体84も、フロート部材52の下降速度と同じ速度で下降する。
さらに、図20(b)と同様に、切替弁56の内外で水圧の差圧によって切替弁56に筒体本体90の開口部90cを閉鎖する方向の力Fが加わった状態となっているため、切替弁56が閉弁状態に保持されている。
【0090】
つぎに、図20(d)に示すように、小洗浄モードにおける排水終了時の排水弁装置28においては、内側制御筒部材76の貯水部76b内の水位WL5’がフロート部材52に浮力を与えない水位(すなわち、WL5’がほぼ零)まで低下して、フロート部52cの底部52dが貯水部76bの底部に到達したとき、弁体84が排水口22aを閉鎖し、排水が終了する。
このとき、貯水タンク22内の水位WL5は、図20(c)に示す水位WL4と同一であり、実質的な貯水タンク22内の死水水位DWL’となる。
一方、筒体本体90内の水位WL5”は、図20(c)に示すWL4”よりも低下し、実質的な筒体本体90内の死水水位DWL”となる。
また、図20(b)及び(c)と同様に、切替弁56の内外で水圧の差圧によって切替弁56に筒体本体90の開口部90cを閉鎖する方向の力Fが加わった状態となっているため、切替弁56が閉弁状態に保持されている。
【0091】
このように、小洗浄モードにおいて、排水開始後、切替弁56が筒体本体90の開口部90cを閉鎖した状態に保持されるため、排水口22aから排出される洗浄水の流量は、大洗浄モードの場合に比べて、貯水タンク22の洗浄水が筒体本体90の外側から開口部90cを通過して排水口22aから排出される洗浄水の流量分だけ少なくなる。
ちなみに、本実施形態においては、外側制御筒部材62に対する近位側流量調節部材94及び遠位側流量調節部材96のそれぞれの取り付け位置を最も下方に設定した場合について説明しているが、外側制御筒部材62に対する近位側流量調節部材94及び遠位側流量調節部材96のそれぞれの取り付け位置を上方に設定する程、近位側流量調節部材94及び遠位側流量調節部材96のそれぞれによって開放されている開口部90d,90d’の開口面積が小さくなり、排水弁装置28の排水動作時に貯水タンク22内の洗浄水が筒体本体90の開口部90d,90d’から筒体本体90の内部へ流入できなくなるため、洗浄水タンク22の排水口22aから便器本体2に供給される小洗浄モード時の洗浄水量を少なくなる。
【0092】
上述した本発明の第1実施形態による排水弁装置28及びそれを備えた洗浄水タンク装置18によれば、流量調節部材92の雄側嵌合部100が嵌合される内側制御筒部材76の雌側嵌合部98における位置決め用凹部98aの凹部内の上下方向の間隔d1が施工者の手指の幅よりも小さく設定されている。また、近位側流量調節部材94の雄側嵌合部102が嵌合される外側制御筒部材62の雌側嵌合部104における位置決め用凹部104aの凹部内の上下方向の間隔d2及び遠位側流量調節部材96の雄側嵌合部102’が嵌合される外側制御筒部材62の雌側嵌合部104’における位置決め用凹部104a’の凹部内の上下方向の間隔d2についても、施工者の手指の幅よりも小さく設定されている。さらに、近位側流量調節部材94の雄側嵌合部106が嵌合される外側制御筒部材62の雌側嵌合部108における位置決め用凹部108aの凹部内の上下方向の間隔d3及び遠位側流量調節部材96の雄側嵌合部106’が嵌合される外側制御筒部材62の雌側嵌合部108’における位置決め用凹部108a’の凹部内の上下方向の間隔d3についても、施工者の手指の幅よりも小さく設定されている。これらの結果、施工者が現場で手指を各位置決め用凹部98a,104a,104a’,108a,108a’内に侵入させて、流量調節部材92の雄側嵌合部100と内側制御筒部材76の雌側嵌合部98との嵌合の解除操作、近位側流量調節部材94の雄側嵌合部102,106と外側制御筒部材62の雌側嵌合部104,108との嵌合解除操作、及び、遠位側流量調節部材96の雄側嵌合部102’,106’と外側制御筒部材62の雌側嵌合部104’,108’との嵌合解除操作が容易な状態になることを防ぐことができる。
すなわち、流量調節部材92の雄側嵌合部100を内側制御筒部材76の雌側嵌合部98に嵌合させた状態、近位側流量調節部材94の雄側嵌合部102,106のそれぞれを外側制御筒部材62の雌側嵌合部104,108のそれぞれに嵌合させた状態、及び、遠位側流量調節部材96の雄側嵌合部102’,106’のそれぞれを外側制御筒部材62の雌側嵌合部104’,108’のそれぞれに嵌合させた状態では、施工者は手指の幅よりも小さい幅の工具等の手段を使わない限り、これらの嵌合を容易に解除させることができず、流量調節部材92を内側制御筒部材76から容易に取り外せる状態になることを防ぐと共に、近位側流量調節部材94及び遠位側流量調節部材96を外側制御筒部材62から容易に取り外せる状態になることを防ぐことができる。
これらの結果、洗浄水タンク装置18や排水弁装置28の施工時に、施工者が誤って内側制御筒部材76に対する流量調節部材92の取付位置を容易に変更することができず、外側制御筒部材62に対する近位側流量調節部材94及び遠位側流量調節部材96の取付位置を容易に変更することができないため、貯水タンク22から便器本体2へ供給する洗浄水量を施工者が現場で安易に調整することを防ぐことができ、予め設定された適切な洗浄水量を便器本体2へ供給することができる。
【0093】
さらに、本実施形態による排水弁装置28及びそれを備えた洗浄水タンク装置18によれば、近位側流量調節部材94及び遠位側流量調節部材96を外側制御筒部材62に嵌合させる際に、近位側流量調節部材94及び遠位側流量調節部材96のそれぞれの雄側嵌合部102,102’のフレーム状突起102b,102b’を外側制御筒部材62の雌側嵌合部104,104’の位置決め用凹部104a,104a’に嵌合させた状態で、近位側流量調節部材94及び遠位側流量調節部材96のそれぞれの雄側嵌合部106,106’の鉤爪状突起106a,106a’を外側制御筒部材62の雌側嵌合部108,108’の位置決め用凹部108a,108a’に容易に嵌合させることができる。したがって、近位側流量調節部材94及び遠位側流量調節部材96のそれぞれを外側制御筒部材62に容易に取り付けることができ、近位側流量調節部材94及び遠位側流量調節部材96と外側制御筒部材62との組立性を向上させることができる。
また、一旦、近位側流量調節部材94及び遠位側流量調節部材96のそれぞれの雄側嵌合部102,102’,106,106’を外側制御筒部材62の雌側嵌合部104,104’,108,108’に嵌合させた状態になると、施工者は手指の幅よりも小さい幅の工具等の手段を使わない限り、近位側流量調節部材94及び遠位側流量調節部材96のそれぞれの雄側嵌合部102,102’,106,106’と外側制御筒部材62の雌側嵌合部104,104’,108,108’との嵌合を容易に解除させることができず、近位側流量調節部材94及び遠位側流量調節部材96を外側制御筒部材62から容易に取り外せる状態になることを防ぐことができる。この結果、洗浄水タンク装置18や排水弁装置28の施工時に、施工者が誤って外側制御筒部材62に対する近位側流量調節部材94及び遠位側流量調節部材96の取付位置を容易に変更することができないため、貯水タンク22から便器本体2へ供給する洗浄水量を施工者が現場で安易に調整することを防ぐことができ、予め設定された適切な洗浄水量を便器本体2へ供給することができる。
【0094】
また、本実施形態による排水弁装置28及びそれを備えた洗浄水タンク装置18によれば、内側制御筒部材76の雌側嵌合部98は、内側制御筒部材76の開口76aの両側の壁部76eに一体に設けられ、外側制御筒部材62の雌側嵌合部104,108が筒体本体90の近位側側壁90bに一体に設けられ、外側制御筒部材62の雌側嵌合部104’,108’が筒体本体90の近位側側壁90b’に一体に設けられているため、流量調整部材92と内側制御筒部材76との嵌合、及び、近位側流量調節部材94及び遠位側流量調節部材96と外側制御筒部材62との嵌合を容易に解除させることを防止する手段を制外側制御筒部材62の雌側嵌合部104,104’,108,108’の位置決め用凹部104a,104a’,108a,108a’以外に別途設ける必要がないため、洗浄水タンク装置18や排水弁装置28の施工時に、施工者が誤って内側制御筒部材76及び外側制御筒部材62に対する各流量調節部材92,94,96の取付位置を容易に変更することを簡単な構造で防ぐことができる。この結果、予め設定された適切な洗浄水量を便器本体2へ供給することができる。
【0095】
さらに、本実施形態による排水弁装置28及びそれを備えた洗浄水タンク装置18によれば、錘56bを外側制御筒部材62の切替弁56の錘取付部56dに取り付ける際に、切替弁本体56cとスナップフィット110との間に錘56bを上方から挿入することにより、錘56bの一部を切替弁本体56cとスナップフィット110とにより挟持した状態で、スナップフィット110の弾性変形部110cの弾性変形により錘56bとスナップフィット110の突起部110dとが弾性的に接触しながら錘56bを後方に移動させると、この弾性的な接触が解除され、錘56bが切替弁本体56cと支持部56f,56gとの間に挿入され、支持部56f,56g及びスナップフィット110の後端面110eにより錘56bを錘取付部56dに確実に固定することができる。
また、錘56bを外側制御筒部材62の切替弁56の錘取付部56dに取り付けた状態では、この錘56bによる上下方向の荷重によって、切替弁本体56cが外側制御筒部材62の開口部90cを閉鎖した所定の上方位置と外側制御筒部材62の開口部90cを開放した所定の下方位置との間で回動することができる。このとき、切替弁56の錘取付部56dの支持部56f,56gには、錘56bによる上下方向の荷重が作用するのに対し、錘56bの前端面56iを固定する切替弁56の錘取付部56dのスナップフィット110には、錘56bによる上下方向の荷重が作用しないため、上下方向の荷重に対して比較的強度の弱いスナップフィット110(例えば、スナップフィット110の基端部110a等)が、錘56bの荷重によって破損したりすることを防ぐことができる。したがって、外側制御筒部材62の切替弁56による外側制御筒部材62の開口部90cの開閉動作中に、切替弁56の錘取付部56dのスナップフィット110が破損して錘56bが錘取付部56dから抜け落ちるのを防ぐことができる。この結果、切替弁56の動作不良を防ぐことができ、排水弁装置28の信頼性を向上させることができる。
【0096】
つぎに、図21及び図22により、本発明の第2実施形態による排水弁装置及びそれを備えた洗浄水タンク装置について説明する。
ここで、図21(a)は、本発明の第2実施形態による洗浄水タンク装置の排水弁装置の切替弁における錘の取り付け前の状態を示す側面図であり、図21(b)は、本発明の第2実施形態による洗浄水タンク装置の排水弁装置の切替弁における錘の取り付け中の状態を示す側面図であり、図21(c)は、本発明の第1実施形態による洗浄水タンク装置の排水弁装置の切替弁における錘の取り付け完了後の状態を示す側面図である。
また、図22は、本発明の第2実施形態による洗浄水タンク装置の排水弁装置における切替弁を示す正面図である。
なお、図21及び図22において、上述した本発明の第1実施形態による排水弁装置の部分と同一部分については同一の符号を付し、それらの説明は省略する。
【0097】
図21及び図22に示すように、本発明の第2実施形態による排水弁装置においては、切替弁200の構成のみが、上述した本発明の第1実施形態による排水弁装置28の切替弁56の構成と異なっている。
すなわち、切替弁200は、切替弁本体56cの外側表面56h上にほぼ半球状に一体に形成され且つ錘56bを支持する上側支持部56f及び下側支持部56gの前方に配置された突起202を備えている。
錘56bを錘取付部200aに取り付ける際には、錘56bを上方から突起202の表面に接触させることにより(図21(a)参照)、この錘56bの後方の一部が下側支持部56gに支持される(図21(b)参照)。このとき、錘56bが突起202の表面に接触しながら前後方向に通過可能となっている。
【0098】
また、図21(b)及び図22に示すように、突起202の表面に接触しながら前後方向に通過する際の錘56bにおいては、切替弁本体56cの外側表面56hから面外方向に突出した突起202の高さh1によって、切替弁本体56cの外側表面56hから離間する方向に弾性的な曲げ変形が一時的に生じている。
なお、図22においては、錘56bの内側表面56jが突起202の表面に接触しながら前後方向に通過中に、切替弁本体56cの外側表面56hから離間する方向に弾性的な曲げ変形が生じている状態の錘56bを仮想線Bで示している。
【0099】
さらに、図21(c)に示すように、錘56bの全体が上側支持部56fと下側支持部56gとの間に完全に挿入されると、錘56bの内側表面56hと突起202と弾性的な接触が解除され、錘56bの錘取付部56dへの取り付けが完了するようになっている。
錘56bの錘取付部56dへの取り付けが完了した状態では、突起202による錘56bの弾性的な曲げ変形が戻り、錘56bの前端面56iと突起202の外縁202aが互いに当接し、錘56bが突起202によって前後方向に固定された状態になっている。
【0100】
上述した本発明の第2実施形態による排水弁装置によれば、図21(a)に示す取り付け前の錘56bを外側制御筒部材62の切替弁200の錘取付部200aに取り付ける際に、図21(b)に示すように、上方から錘56bの一部を突起202と一部の下側支持部56gに接触させた後、錘56bを突起202の表面に弾性的に接触させながら後方へ移動させる。このとき、図22の仮想線Bに示すように、錘56bが切替弁本体56cの外側表面56hから離間する方向に弾性的な曲げ変形が生じている状態で突起202を通過する。その後、錘56bの全体が上側支持部56fと下側支持部56gとの間に完全に挿入されると、錘56bと突起202との弾性的な接触が解除され、錘56bが切替弁本体56cと支持部56f,56gとの間に挿入され、支持部56f,56g及び突起202の外縁202aにより錘56bを錘取付部200aに確実に固定することができる。
また、錘56bを外側制御筒部材62の切替弁56の錘取付部200aに取り付けた状態では、この錘56bによる上下方向の荷重によって、切替弁本体56cが外側制御筒部材62の開口部90cを閉鎖した所定の上方位置と外側制御筒部材62の開口部90cを開放した所定の下方位置との間で回動するとき、切替弁56の錘取付部200aの支持部56f,56gには、錘56bによる上下方向の荷重が作用するのに対し、錘56bの前端面56iを固定する切替弁56の錘取付部200aの突起202の外縁202aには、錘56bによる上下方向の荷重が作用しないため、この錘56bの荷重によって突起202が破損したりすることを防ぐことができる。したがって、外側制御筒部材62の切替弁56による外側制御筒部材62の開口部90cの開閉動作中に、切替弁56の錘取付部200aの突起202が破損して錘56bが錘取付部200aから抜け落ちるのを防ぐことができる。この結果、切替弁56の動作不良を防ぐことができ、排水弁装置28の信頼性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0101】
1 水洗便器
2 便器本体
4 ボウル部
6 導水路
8 トラップ管路
8a 入口
8b 上昇路
8c 下降路
10 リム
12 第1吐水口
14 溜水部
16 第2吐水口
18 洗浄水タンク装置
20 外装タンク
22 貯水タンク
22a 排水口
24 蓋体
26 給水装置
28 排水弁装置
30 給水管
32 給水バルブ
34 フロート
36 吐水口
38 リフィール管
40 オーバーフロー管
40a 弁体保持部
40b 円筒部
40c 曲がり面
42 操作レバー
44 回転軸
44a 回転軸の中心軸線
46 玉鎖引き上げ部材
46a 第1玉鎖取付部
46b 第2玉鎖取付部
46c 第3玉鎖取付部
48 第1玉鎖
50 第2玉鎖
52 フロート部材
52a 第1玉鎖取付部
52b 第2玉鎖取付部
52c フロート部
52d 底部
52e オーバーフロー管取付部
52f フロート部の中央穴
54 第3玉鎖
56 切替弁
56a 第3玉鎖取付部
56b 錘
56c 切替弁本体
56d 錘取付部
56e 切替弁本体のヒンジ部
56f 上側支持部
56g 下側支持部
56h 錘の外側表面
56i 錘の前端面
56j 錘の内側表面
58 排水弁ユニット
58a 排水弁ユニットの中心軸線
60 排水口ユニット
62 外側制御筒部材
64 排水口形成部材
64a 流路面
66 シール部材
68 締結部材
70 排水口形成部材の排水口上縁部
72 保持突起
74 排水口形成部材の上端開口部
76 内側制御筒部材
76a 開口
76b 貯水部
76c ガイド部
76d 係合溝
76e 壁部
78 保持突起
80 排水口形成部材のリブ
82 連通口
84 弁体
86 オーバーフロー管取付部材
86a 流入口
88 リフィール管取付部材
88a ノズル部
90 筒体本体
90a 係合溝
90b 近位側側壁
90b’ 遠位側側壁
90c 洗浄モード切替用開口部
90d 流量調節用の近位側開口部
90d’ 流量調節用の遠位側開口部
90e 背面側壁部
90f 背面側壁部の側面
90g 凹部
90h ヒンジ部
92 流量調節部材
92a 流量調節部材の遮蔽部
94 近位側流量調節部材
94a 遮蔽部
96 遠位側流量調節部材
96a 遮蔽部
98 内側制御筒部材の雌側嵌合部
98a 位置決め用凹部
100 流量調節部材の雄側嵌合部
100a 鉤爪状突起
102 近位側流量調節部材の雄側嵌合部
102a 長穴
102b フレーム状突起
102’ 遠位側流量調節部材の雄側嵌合部
102a’ 長穴
102b’ フレーム状突起
102c’ フレーム状突起の上端部
102d’ フレーム状突起の下端部
102e’ 柱部
104 外側制御筒部材の雌側嵌合部
104a 位置決め用凹部
104b 凹部形成突起
104’ 外側制御筒部材の雌側嵌合部
104a’ 位置決め用凹部
106 近位側流量調節部材の雄側嵌合部
106a 鉤爪状突起
106’ 遠位側流量調節部材の雄側嵌合部
106a’ 鉤爪状突起
106b’ 鉤爪状突起の先端部
108 外側制御筒部材の雌側嵌合部
108a 位置決め用凹部
108’ 外側制御筒部材の雌側嵌合部
108a’ 位置決め用凹部
108b’ 位置決め用凹部内の凹部
110 スナップフィット(固定部、弾性接触手段、弾性留め具)
110a スナップフィットの基端部
110b スナップフィットの先端部
110c スナップフィットの弾性変形部
110d スナップフィットの突起部
110e スナップフィットの後端面
200 切替弁
200a 錘取付部
202 突起
202a 突起の外縁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器を洗浄する洗浄水を貯える洗浄水タンクの排水弁装置であって、
洗浄水タンクの底面に配置された排水口を開閉する弁体と、
この弁体が上記排水口を開放しているときに、上記洗浄水タンクの排水口から流出する洗浄水の流量を制御する制御筒部材であって、洗浄水が上記制御筒部材を通過するための開口部が形成された上記制御筒部材と、
上記制御筒部材の変更可能な所定の取付位置に取り付けられ、この取付位置に応じて上記制御筒部材の開口部の開口断面積を調節可能な調節部材と、を有し、
上記制御筒部材及び上記調節部材の各々は、互いが嵌合する嵌合部を備え、上記制御筒部材の嵌合部及び上記調節部材の嵌合部のうちの一方は、雄側嵌合部であり、上記制御筒部材の嵌合部及び上記調節部材の嵌合部のうちの他方は、上記雄側嵌合部が嵌合可能な雌側嵌合部であり、この雌側嵌合部は、ほぼ直線的に配列され且つ上記制御筒部材に対する上記調節部材の取付位置を位置決めする位置決め用凹部を備え、この位置決め用凹部内の間隔は、上記調節部材の嵌合部を上記制御筒部材の嵌合部に嵌合させた状態で施工者の手指による上記雄側嵌合部と上記雌側嵌合部との嵌合の解除操作が不可能となるように、上記施工者の手指の幅よりも小さく設定されていることを特徴とする排水弁装置。
【請求項2】
上記調節部材の嵌合部は、上記雄側嵌合部であり、上記制御筒部材の嵌合部は、上記雌側嵌合部であり、上記調節部材は、上記制御筒部材の所定の取付位置に上記調節部材を取り付けたときに上記制御筒部材の開口部を遮蔽する遮蔽部を備え、上記調節部材の雄側嵌合部は、上記遮蔽部の少なくとも一方の側部に設けられ且つ上記制御筒部材の雌側嵌合部の位置決め用凹部に嵌合可能な鉤爪状の突起を備えている請求項1記載の排水弁装置。
【請求項3】
上記調節部材の雄側嵌合部は、更に、上記遮蔽部の他方の側部に設けられて上下方向に延びる長穴を形成するフレーム状の突起を備え、このフレーム状の突起は、これと対向する上記制御筒部材の雌側嵌合部の一方側の位置決め用凹部と嵌合可能であり、上記鉤爪状の突起は、上記フレーム状の突起と上記一方側の位置決め用凹部が互いに嵌合した状態で、上記鉤爪状の突起と対向する上記制御筒部材の雌側嵌合部の他方側の位置決め用凹部と嵌合可能である請求項2記載の排水弁装置。
【請求項4】
上記制御筒部材は、上記開口部が形成された側壁を備え、上記制御筒部材の雌側嵌合部の位置決め用凹部は、上記側壁に一体に設けられている請求項1乃至3の何れか1項に記載の排水弁装置。
【請求項5】
上記雌側嵌合部の位置決め用凹部内の間隔は、13mm以下に設定されている請求項1乃至4の何れか1項に記載の排水弁装置。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか1項に記載の排水弁装置を備えた洗浄水タンク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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