説明

排水弁装置、及び、それを有する洗浄水タンク装置

【課題】閉弁動作中の弁体とこの弁体を収納する収納部との間で弁体を上昇させる方向に作用する負圧が瞬間的に消滅するのを抑制することができ、弁体が排水口を閉止する際の閉止音を低減させることができる排水弁装置を提供する。
【解決手段】排水弁装置20は、内タンク28の排水口16bを開閉する弁体40と、この弁体40が一端に設けられた管部材38と、この管部材38に接続され、この管部材38を上下動させることにより弁体40による排水口16bの開閉操作を行う操作装置22と、管部材38の一部が挿入され、管部材38の上下動をガイドするガイド部材42と、弁体40が所定以上の上昇位置まで引き上げられたときに、弁体40の上方側及び外周側を取り囲んで収納するようにガイド部材42の下方に設けられた収納部材44と、を有し、この収納部材44は、その上面に開口が形成された上面開口部を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排水弁装置、及び、それを有する洗浄水タンク装置に係り、特に、便器に洗浄水を供給する洗浄水タンクに設けられた排水弁装置、及び、それを有する洗浄水タンク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、便器に洗浄水を供給する洗浄水タンクに設けられた排水弁装置として、例えば、特許文献1に記載されているように、洗浄水タンクの排水口に対して上下動する、いわゆる直動型の排水弁が排水口を開閉することにより、洗浄水タンクから便器への洗浄水の供給・停止を行うものが知られている。
このような従来の直動型の排水弁は、弁体、オーバーフロー管及びフロートが一体となった構造であり、弁の閉止時に、フロートの浮力により弁体をゆっくりと弁座に当接させることができ、閉止音や振動が比較的小さい排水弁が採用されている。
一方、近年の洗浄水タンクにおいては、洗浄水量の節水化の要請により、少ない洗浄水量においても洗浄性能を損なわないように、洗浄水タンク内の洗浄水の圧力を確保するために、比較的横方向に長い扁平なローシルエットタイプ形状の洗浄水タンクから、比較的縦方向に長いハイシルエットタイプ形状の洗浄水タンクに設計変更し、洗浄水タンク内の止水水位を高く設定することにより、止水時に洗浄水タンク内の洗浄水の一部を残して便器に供給しないようにしたものも知られている。
【0003】
このようなハイシルエットタイプ形状の洗浄水タンクにおいても、近年コンパクト化が進められており、洗浄水タンク内の部品についてもそれに合わせてコンパクトにすることが要請されている。
しかしながら、従来の直動型の排水弁においては、フロート等の関連部品によって排水弁装置全体が占める容積が大きくなるため、コンパクトな洗浄水タンクに適用することが難しいという問題もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭61−19082号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
また、洗浄水タンクのコンパクト化に伴って、フロートを使用しないタイプの直動型の排水弁を用いた場合には、フロートによる浮力を利用することができないため、排水弁の弁体は洗浄水タンク内の水圧の影響を直接的に受けやすくなる。
ちなみに、排水弁の閉止動作が開始されてから排水口が完全に閉止されるまでの排水弁には、排水口から流出する洗浄水の圧力が弁体に下向きの力として常に作用しているが、特に、排水弁の閉止動作が開始して排水弁が下降し始めた状態では、例えば、弁体の上方側及び外周側を取り囲んで弁体を収納している収納部と弁体との間のスペースには、弁体を上昇させる方向に作用する負圧が発生している。そして、このような負圧は、収納部内の弁体が下降して収納部から抜け出す際に、収納部と弁体との間のスペース内に更なる洗浄水が侵入することにより、瞬間的に消滅するようになっている。
【0006】
しかしながら、このような負圧が瞬間的に消滅したことによる反作用によって、弁体には、洗浄水タンク内の予め下向きに作用している水圧に加えて、より大きな下向きの力が作用し、弁体が一気に排水口に押し付けられ、閉止音と振動の要因となるという問題がある。
特に、洗浄水タンクとして上述したハイシルエットタイプ形状のものを採用した場合には、ローシルエットタイプ形状のものに比べて、洗浄水タンク内の止水水位が高く設定され、洗浄水タンク内に残されている洗浄水によって弁体に作用する水圧も高くなるため、弁体が排水口を閉止する際の閉止音と振動についても、いかに抑制するかが重大な課題となっている。
【0007】
そこで、本発明は、上述した従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、閉弁動作中の弁体とこの弁体を収納する収納部との間で弁体を上昇させる方向に作用する負圧が瞬間的に消滅するのを抑制することができ、弁体が排水口を閉止する際の閉止音を低減させることができる排水弁装置、及び、それを有する洗浄水タンク装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明は、便器に洗浄水を供給する洗浄水タンクに設けられた排水弁装置であって、洗浄水タンクの底面に形成された排水口を開閉する弁体と、この弁体が一端に設けられた管部材と、この管部材に接続され、上記管部材を上下動させることにより上記弁体による上記排水口の開閉操作を行う操作部と、上記管部材の一部が挿入され、上記管部材の上下動をガイドするガイド部と、上記弁体が所定以上の上昇位置まで引き上げられたときに、上記弁体の上方側及び外周側を取り囲んで収納するように上記ガイド部の下方に設けられた収納部と、上記収納部と上記タンクの底面との間において、上記洗浄水タンク内の洗浄水を上記排水口に導く導水路と、を有し、上記収納部は、その上面に開口が形成された上面開口部を備えていることを特徴としている。
このように構成された本発明においては、収納部の上面に開口が形成された上面開口部により、弁体の上昇時(開弁時)には、弁体と収納部との間の水を収納部の外部へ逃がすことができる。一方、弁体の下降時(閉弁時)には、収納部の外側から収納部の上面開口部を介して弁体と収納部との間に容易に水を侵入させることができるため、弁体と収納部との間で弁体を上昇させる方向に作用する負圧を抑制することができると共に、このような負圧が、収納部内の弁体が下降して収納部から抜け出す際に瞬間的に消滅するのを抑制することができる。また、このような負圧の瞬間的な消滅によって弁体を急激に下降させるような水圧が弁体に作用することを抑制することができるため、閉弁動作時に下降中の弁体が急激な勢いで下降して排水口を閉止した際に発生する閉止音を低減させることができる。さらに、上述した負圧の瞬間的な消滅によって発生した水圧による弁体への負荷や弁体自体の変形を抑制することができるため、閉止時の弁体が排水口を確実に閉止することができると共に、弁体自体の耐久性を向上させることができる。また、収納部の上面開口部を介して収納部内と洗浄水タンク内とが連通することにより、弁体の上昇時にも、収納部内の水が上面開口部から上下方向に比較的自由に出入りできるため、弁体が収納部に対してスムーズに上昇することができると共に、弁体への負荷や弁体自体の変形を抑制することができる。したがって、操作部による弁体の引き上げに要する力やトルクを低減させることができ、操作部による弁体の操作性を容易にすることができる。また、操作部として、例えば、電動モータのような駆動手段を採用している場合には、消費電力を低減させることができる。
【0009】
本発明において、好ましくは、上記収納部は、更に、その側面に開口が形成された側面開口部を備えている。
このように構成された本発明においては、収納部の上面に開口が形成された上面開口部と収納部の側面に開口が形成された側面開口部により、弁体の上昇時(開弁時)には、上昇時(開弁時)の弁体と収納部との間の水をより効果的に収納部の外部へ逃がすことができる。一方、弁体の下降時(閉弁時)には、収納部の外側から収納部の上面開口部及び側面開口部を介して弁体と収納部との間に容易に水を侵入させることができるため、弁体と収納部との間に発生して弁体を上昇させる方向に作用する負圧をより効果的に抑制することができると共に、このような負圧が、収納部内の弁体が下降して収納部から抜け出す際に瞬間的に消滅するのをより効果的に抑制することができる。また、このような負圧の瞬間的な消滅によって弁体を急激に下降させるような水圧が弁体に作用することをより効果的に抑制することができるため、閉弁動作時に下降中の弁体が急激な勢いで下降して排水口を閉止した際に発生する閉止音をより効果的に低減させることができる。さらに、上述した負圧の瞬間的な消滅によって発生した水圧による弁体への負荷や弁体自体の変形をより効果的に抑制することができるため、閉止時の弁体が排水口をより確実に閉止することができると共に、弁体自体の耐久性をより向上させることができる。また、収納部の側面開口部を介して収納部内と洗浄水タンク内とが連通することにより、弁体の上昇時には、収納部内の水が側面開口部から水平方向にも比較的自由に出入りできるため、弁体が収納部に対してよりスムーズに上昇することができると共に、弁体への負荷や弁体自体の変形をより効果的に抑制することができる。したがって、操作部による弁体の引き上げに要する力やトルクをより効果的に低減させることができ、操作部による弁体の操作性をさらに容易にすることができる。また、操作部として、例えば、電動モータのような駆動手段を採用している場合には、消費電力をより効果的に低減させることができる。
【0010】
本発明において、好ましくは、上記収納部の上面開口部は、上記収納部の上面に複数の開口を形成する。
このように構成された本発明においては、複数の開口が形成された収納部の上面開口部により、弁体の下降時(閉弁時)には、収納部の外側から収納部の上面開口部を介して弁体と収納部との間にさらに容易に水を侵入させることができるため、弁体と収納部との間で弁体を上昇させる方向に作用する負圧をより効果的に抑制することができると共に、このような負圧が、収納部内の弁体が下降して収納部から抜け出す際に瞬間的に消滅するのをより効果的に抑制することができる。また、このような負圧の瞬間的な消滅によって弁体を急激に下降させるような水圧が弁体に作用することをより効果的に抑制することができるため、閉弁動作時に下降中の弁体が急激な勢いで下降して排水口を閉止した際に発生する閉止音をより効果的に低減させることができる。さらに、上述した負圧の瞬間的な消滅によって発生した水圧による弁体への負荷や弁体自体の変形をより効果的に抑制することができるため、閉止時の弁体が排水口をより確実に閉止することができると共に、弁体自体の耐久性をより向上させることができる。
【0011】
本発明において、好ましくは、上記収納部の側面開口部は、上記収納部の側面に複数の開口を形成する。
このように構成された本発明においては、複数の開口が形成された収納部の側面開口部により、弁体の下降時(閉弁時)には、収納部の外側から収納部の側面開口部を介して弁体と収納部との間にさらに容易に水を侵入させることができるため、弁体と収納部との間で弁体を上昇させる方向に作用する負圧をより効果的に抑制することができると共に、このような負圧が、収納部内の弁体が下降して収納部から抜け出す際に瞬間的に消滅するのをより効果的に抑制することができる。また、このような負圧の瞬間的な消滅によって弁体を急激に下降させるような水圧が弁体に作用することをより効果的に抑制することができるため、閉弁動作時に下降中の弁体が急激な勢いで下降して排水口を閉止した際に発生する閉止音をより効果的に低減させることができる。さらに、上述した負圧の瞬間的な消滅によって発生した水圧による弁体への負荷や弁体自体の変形をより効果的に抑制することができるため、閉止時の弁体が排水口をより確実に閉止することができると共に、弁体自体の耐久性をより向上させることができる。
【0012】
本発明において、好ましくは、上記収納部の上面開口部の複数の開口は、上記収納部の上面の中心に対して対称に配置されている。
このように構成された本発明においては、収納部の上面開口部の複数の開口が収納部の上面の中心に対して対称に配置されていることにより、下降時(閉弁時)の弁体が収納部から下降して抜け出す際に、収納部内で発生する比較的大きな水圧による弁体への負荷をバランス良く解消することができる。この結果、下降中の弁体が傾くことなく、弁体の確実な閉弁動作を実現することができると共に、弁体自体の変形をさらにより効果的に抑制することができる。
【0013】
本発明において、好ましくは、上記収納部の側面開口部の複数の開口は、上記収納部の上面の中心に対して対称に配置されている。
このように構成された本発明においては、収納部の側面開口部の複数の開口が収納部の上面の中心に対して対称に配置されていることにより、下降時(閉弁時)の弁体が収納部から下降して抜け出す際に、収納部内で発生する比較的大きな水圧による弁体への負荷をバランス良く解消することができる。この結果、下降中の弁体が傾くことなく、弁体の確実な閉弁動作を実現することができると共に、弁体自体の変形をさらにより効果的に抑制することができる。
【0014】
また、本発明は、上記排水弁装置を有することを特徴とする洗浄水タンク装置である。
【発明の効果】
【0015】
本発明の排水弁装置、及び、それを有する洗浄水タンク装置によれば、閉弁動作中の弁体とこの弁体を収納する収納部との間で弁体を上昇させる方向に作用する負圧が瞬間的に消滅するのを抑制することができ、弁体が排水口を閉止する際の閉止音を低減させることができることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態による洗浄水タンク装置が適用される水洗便器の概略断面図である。
【図2】本発明の一実施形態による手洗い吐水を省略した使用状態の洗浄水タンク装置の内部構造を背面から見た概略斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態による洗浄水タンク装置の排水弁装置を斜め上方より見た斜視図である。
【図4】本発明の一実施形態による洗浄水タンク装置の排水弁装置における収納部材及びガイド部材を示す上面図である。
【図5】本発明の一実施形態による洗浄水タンク装置を示す部分正面断面図である。
【図6】本発明の一実施形態による洗浄水タンク装置において外蓋を取り外した状態を示す平面図である。
【図7】図6のVII−VII線に沿って見た断面図である。
【図8】図2のVIII−VIII線に沿って見た断面図である。
【図9】本発明の一実施形態による結合部材を斜め上方より見た斜視図である。
【図10】図9のX−X線に沿って見た断面図である。
【図11】本発明の一実施形態よる手洗い吐水を省略しない使用状態の洗浄水タンク装置を示す側面断面図である。
【図12】本発明の一実施形態による手洗い吐水を省略しない使用状態の洗浄水タンク装置の内部構造を背面側から見た概略斜視図である。
【図13】本発明の一実施形態による洗浄水タンク装置における排水弁装置の弁体の動作を概略的に説明した図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して、本発明の一実施形態による手洗い吐水を省略した使用状態の洗浄水タンク装置の構成について説明する。
図1は、本発明の一実施形態による洗浄水タンク装置が適用される水洗便器の概略断面図であり、図2は、本発明の一実施形態による手洗い吐水を省略した使用状態の洗浄水タンク装置の内部構造を背面から見た概略斜視図である。
【0018】
図1に示すように、符号1は水洗便器を示し、この水洗便器1の上部の前方側には、ボウル部2が形成され、後方側の上部には導水路4が、導水路4の下方にはボウル部2と連通する排水トラップ管路6が、それぞれ形成されている。
【0019】
水洗便器1のボウル部2の上縁部にはオーバーハング形状のリム8が形成され、このリム8に導水路4から洗浄水が供給される1つ又は2つのリム吐水口10が形成され、洗浄水が旋回しながら下降してボウル部2を洗浄できるようになっている。また、ボウル部2の中心下部には、導水路4から洗浄水が供給されるジェット吐水口12が形成され、このジェット吐水口12から洗浄水が排水トラップ管路6に向けて吐水され、サイホンを短時間で発生させるようになっている。
【0020】
水洗便器1の導水路4の上方には、洗浄水を貯留する本実施形態による洗浄水タンク装置14が設けられている。
この洗浄水タンク装置14は、洗浄水タンクの形状の中でも比較的縦方向に長い形状である、いわゆる、ハイシルエットタイプ形状の外枠を形成する外装タンク16を備えている。この外装タンク16の底面16aには、後述する内装タンク28の排水口16bが貫通するように形成されている。
【0021】
つぎに、図1及び図2により、まず、手洗い吐水を省略した使用状態の洗浄水タンク装置14について説明する。
図1及び図2に示すように、本実施形態の洗浄水タンク装置14は、陶器製の外装タンク16と、蓋ユニット18と、排水弁装置20と、操作装置22と、給水装置24と、プラスチック等からなる合成樹脂製の結合部材26と、を備えている。
【0022】
外装タンク16は、いわゆる、ハイシルエットタイプの洗浄水タンクであり、外装タンク16の上端の位置の高さが、いわゆる、比較的横方向に長いローシルエットタイプの洗浄水タンクよりも高く設定されている。この外装タンク16の内側には、洗浄水が貯留される樹脂製の内装タンク28が設けられており、この内装タンク28も、比較的縦長形状のハイシルエット形状となっている。
内装タンク28の底面28aには、水洗便器1の導水路4に連通する排水口16bが形成されている。この内装タンク28内には、排水弁装置20、操作装置22、給水装置24、結合部材26が設けられている。また、内タンク28の外側には、断熱材29が設けられている。
【0023】
また、図2に示すように、内装タンク28内の満水時の水位(最高水位)がWL1で示されており、内装タンク28内の止水時の水位がWL2で示されているが、内装タンク28においては、その満水時の水位WL1(図2参照)が、ローシルエットタイプの洗浄水タンクにおける満水時の水位よりも高い水位まで貯水することができるようになっている。
また、詳細は後述する排水弁装置20の弁体40が排水口16bを閉止して、水洗便器1への洗浄水の供給を停止するときの内装タンク28内の止水水位WL2(図2参照)についても、ローシルエットタイプの洗浄水タンクの止水水位よりも高い水位まで残っており、ローシルエットタイプの洗浄水タンクよりも洗浄水量を低減させた場合であっても、高い洗浄水圧で、十分な洗浄能力を確保することができるようになっている。
【0024】
図1に示すように、蓋ユニット18は、非手洗い吐水用の外蓋30及び内蓋32を備えている。
詳細は後述する内蓋32は、内装タンク28の上端に結合部材26が取り付けられた状態で、内装タンク28の上方の開口と結合部材26の上方を覆うように、結合部材26と外蓋30との間に取り付けられている。
【0025】
また、外蓋30は、手洗い吐水を省略した使用状態のときに、内装タンク28に取り付けられた内蓋32を覆うように外装タンク16の上端に着脱自在に固定されている。
また、外蓋30は、手洗い吐水を省略した使用状態のときに外装タンク16の上端に設置されるものであるため、外蓋30の上面には、手洗い吐水を省略しない使用状態のときに用いられる手洗い鉢や、この手洗い鉢に吐水する吐水管は設けられておらず、ほぼ平らな平面状に形成されている。外蓋30は、外装タンク16と同一の陶器等の耐水性の材料で作られている。
【0026】
つぎに、図2〜図4により、本実施形態による洗浄水タンク14の排水弁装置20について説明する。
図3は、本発明の一実施形態による洗浄水タンク装置の排水弁装置を斜め上方より見た斜視図であり、図4は、本発明の一実施形態による洗浄水タンク装置の排水弁装置における収納部材及びガイド部材を上方より見た上面図である。
【0027】
排水弁装置20は、内装タンク28内の洗浄水を水洗便器1に供給する装置であり、ベース部材34と、支持部材36と、オーバーフロー管38と、弁体40と、ガイド部材42と、収納部材44とを備えている。
【0028】
まず、ベース部材34は、内装タンク28の底面28aに取り付けられて排水口16bを形成し、この排水口16bと水洗便器1の導水路4とを連通させている。
ベース部材34は、排水口16bの上端部に形成されて弁体40が当接可能な弁座46を備えている。弁座46は、弁体40が最低位置まで下降した際に、弁体40が上方から密接して排水口16bを密閉できるようになっている。
なお、ベース部材34と内装タンク28については、弁座46が内装タンク28の底面28aと一体に形成されるような形態でもよい。
【0029】
支持部材36は、ベース部材34から上方に延びるように設けられており、保持部36aと支持部36bを備えている。
保持部36aは、ベース部材34の四隅に設けられて且つ上方に所定長さ延びた柱状の部材であり、その上端で収納部材44をベース部材34に対して所定の上方位置に保持している。
また、支持部36bは、ベース部材34から上方に所定長さ延びた柱状の部材であり、保持部36aによってベース部材34に対して所定の上方位置に保持された収納部材44の基部44aを下側から支持している。
さらに、収納部材44が、保持部36a及び支持部36bによって所定の上方位置に保持された状態では、収納部材44とベース部材34との間に、内装タンク28内の洗浄水を排水口16bに導く導水路47を形成している。
【0030】
つぎに、オーバーフロー管38は、その下端部に位置し且つ内装タンク28の排水口16bと対向する下端開口部38aから、上方に位置する上端開口部38bにかけてほぼ円筒状に延びている管部材であり、ガイド部材42によって上下方向に摺動可能に保持されている。
オーバーフロー管38は、その外面を周方向に沿って等間隔に四等分した箇所において、この外周面から半径方向外側に突出すると共に上下方向に延びた凸部38cを備えている。
【0031】
そして、内装タンク28内の洗浄水の水位が満水時の水位WL1を超えてさらに上昇し、オーバーフロー管38の上端開口部38bの高さ位置を上回ってオーバーフローした際には、このオーバーフローした洗浄水がオーバーフロー管38の上端開口部38bから下端開口部38aを経て内装タンク28の排水口16bから水洗便器1側に排水されるようになっている。
なお、本実施形態では、一例として、オーバーフロー管38が上下方向に摺動することにより、排水口16bを開閉することができるようになっているような形態について説明しているが、このような形態に限定されず、オーバーフロー管38の代わりに、特に、オーバーフロー管としての機能を備えていない単純な管部材を適用してもよいし、中実の棒部材のようなものを適用してもよい。また、棒部材を適用する場合には、後述する補給水によるリフィルの機能を使用しないように設定される。
【0032】
また、オーバーフロー管38は、後述する結合部材26の補給水管接続部78の補給水口122aの下方に設置されている。したがって、弁体40が排水口16bを閉止した後も、補給水接続部78からの補給水が、水洗便器1への補給水(洗浄後のリフィル給水)として、オーバーフロー管38の上端開口部38bから下端開口部38aを経て内装タンク28の排水口16bから水洗便器1側に排水されるようになっている。
【0033】
さらに、オーバーフロー管38は、上端開口部38b下方に側方に突出する玉鎖取付部38dを備え、オーバーフロー管38を上下動させるための操作装置22から延びる玉鎖48がオーバーフロー管38の玉鎖取付部38dに取り付けられている。
【0034】
弁体40は、オーバーフロー管38の下端開口部38aの外周から外側に向かって固着された円環状のシール部材であり、オーバーフロー管38と一体に固定されているので、操作装置22の操作に応じてオーバーフロー管38と一体的に上昇又は下降するようになっている。オーバーフロー管38が内装タンク28内で最低位置まで下降した際には、弁体40は、弁座46に当接して停止し、オーバーフロー管38の下端部と共に弁座46と密着して内装タンク28の排水口16bを密閉する排水弁として機能することができるようになっている。
なお、弁体40は、弁座46と密着するように、ゴムや樹脂等の可撓性材料によって形成されている。
【0035】
つぎに、ガイド部材42は、上下方向にほぼ円筒状に延びるオーバーフロー管38の一部の外側を取り囲むように、収納部材44の上面から上方に延びて形成される。ガイド部材42には、オーバーフロー管38の一部が摺動可能に挿入されており、オーバーフロー管38の上下移動を垂直方向に対する横ずれや傾きが生じないようにガイドするようになっている。
具体的には、ガイド部材42は、その内面の周方向に沿って等間隔に四等分した箇所において内側に凹む4つの凹部42aを上下方向に形成している。この各凹部42aがオーバーフロー管38のそれぞれの凸部38cと対向するように形成されているため、オーバーフロー管38がガイド部材42に対して上下動する際に、垂直方向に対する横ずれや傾きが生じたり、オーバーフロー管38の長手方向の中心軸線回りの回転が生じたりするのを抑制している。したがって、弁体40を確実に収納部材44の中心に上昇及び下降させることが可能となる。
【0036】
図3及び図4に示すように、収納部材44は、ガイド部材42の下方に設けられ、弁体40が所定以上の上昇位置まで引き上げられたときに、弁体44の上方側及び外周側を取り囲んで収納するものである。
この収納部材44は、支持部材36により支持される基部44aと、上方から見てほぼ円形形状の上面部44bと、上面部44bの外周から下方に延びてほぼ円筒状に形成された側面部44cとを備えている。
収納部材44の基部44aは、支持部材36により、ベース部材34から所定距離上方の位置にほぼ水平な状態で固定されている。
【0037】
収納部材44の上面部44bは、弁体40が基部44aよりも上方の位置まで引き上げられたときに、弁体40の上方側を取り囲んでいる。
また、収納部材44の側面部44cは、弁体40が基部44aよりも上方の位置まで引き上げられたときに、弁体40の外周側を取り囲んでいる。さらに、弁体40が最も上昇した状態では、弁体40が収納部材44の上面部44bに接触することなく近接するようになっている。
【0038】
収納部材44の側面部44cは、その内径が弁体40の外径よりもわずかに大きく形成されており、弁体40が基部44aよりも上方の位置まで引き上げられたときに、収納部材44の側面部44cと弁体40の外周との間にわずかな隙間が形成されるようになっている。
【0039】
また、図3及び図4に示すように、収納部材44の上面部44bには、収納部材44の上面部44bの中心(中心軸線)Aに対して対称な位置に8つの開口52が形成されている。
さらに、図3及び図4に示すように、収納部材44の側面部44cには、収納部材44の上面部44bの中心Aに対して対称な位置に8つの開口54が形成されている。
【0040】
つぎに、図2及び図5を参照して、操作装置22について説明する。図5は、本発明の一実施形態による洗浄水タンク装置を示す部分正面断面図である。
図2及び図5に示すように、操作装置22は、操作レバー22a、回転軸22b、及び、回転駆動装置22cを備えており、回転駆動装置22cは、回転軸22bを回転させるための電動モータ等の駆動装置であり、洗浄水タンク16の上方外側に配置されている。
【0041】
また、回転軸22bは、その基端部が回転駆動装置22cに保持され、この基端部から先端部にかけてほぼ水平に延びている。
さらに、回転軸22bの先端部には操作レバー22aが固定されており、回転駆動装置22cの駆動により所定の回転角度の範囲内で回転軸22bと操作レバー22aが一体に回転し、操作レバー22aの回転方向に応じて、操作レバーに取付けられた玉鎖48が上昇又は下降するので、玉鎖48の取付けられたオーバーフロー管38が上昇又は下降移動するようになっている。
【0042】
つぎに、給水装置24の詳細について説明する。
図2に示すように、給水装置24は、給水管56、給水バルブ58、分岐部60、吐水管62、補給水管66、吐水口68、及び導水管70を備えている。
給水管56は、上流側給水管56aと下流側給水管56bを備えており、上流側給水管56aの上流側端部は外部の水道等の給水源(図示せず)に接続され、上流側給水管56aの下流側端部は、給水バルブ58に接続されている。
また、下流側給水管56bの上流側端部は、給水バルブ58に接続され、下流側給水管56bの下流側端部は、分岐部60に接続されている。
【0043】
給水バルブ58は、電磁バルブからなり、洗浄水タンク16内の水位を検知するフロートスイッチ72からなる水位センサの水位検知情報に基づいて操作装置22のコントローラ(図示せず)からの指令により給水バルブ58の開閉動作が制御され、給水装置24の吐水口68から内装タンク28内への洗浄水の給水又は止水が切り替えられるようになっている。
【0044】
分岐部60は、下流側給水管56bに接続され、手洗い吐水を省略しない使用状態のときに、分岐部60の下流側に接続された吐水管62を経て吐水口68から内装タンク28内へ供給する給水及び吐水管62の下流側に接続された補給水管66へ供給する給水と、分岐部60の下流側に接続された導水管70に供給する給水とに分岐することができるようになっている。
分岐部60に接続された吐水管62は、ほぼ水平方向に延びている。
また、分岐部60に接続された導水管70は、フレキシブルホース等の可撓性の管部材からなり、分岐部60からほぼ上方に所定距離延びた後、結合部材26に向って緩やかに曲げられ、導水管70の下流側端部が、後述する結合部材26の非手洗い吐水用導水管保持部80に接続されている。
さらに、分岐部60は、給水管56から給水される洗浄水を吐水管62及び導水管70に管内径の比率等によって所定の割合に分けて給水するようになっている。
【0045】
補給水管66は、吐水管62に接続された上流側端部から水平よりやや上向きに延びており、下流側端部には、補給水管バルブ76が設けられている。
この補給水管66の補給水管バルブ76は、結合部材26の補給水管接続部78に接続されており、吐水管62から分岐した補給水は、補給水管66から補給水管バルブ76を経て結合部材26の補給水管接続部78へ供給されるようになっている。
また、補給水管バルブ76は、その内部にニードル弁(図示せず)が内蔵され、そのニードル弁により補給水管66の下流側における流路径を調整できるように構成されている。したがって、施工業者が水洗便器1の設置環境等に応じて、その流路径を調整することで補給水口122aから供給される補給水の流量を調整することができる。
【0046】
なお、本実施形態においては、一例として、補給水管66の下流側端部に補給水管バルブ76を設けた形態について説明しているが、このような形態に限定されず、補給水管バルブ76を省略し、補給水管66の下流側端部が結合部材26の補給水管接続部78に直接的に接続された形態にしてもよい。
【0047】
つぎに、図5〜図7により、内蓋32の詳細について説明する。
図6は、本発明の一実施形態による洗浄水タンク装置において外蓋を取り外した状態を示す平面図であり、図7は、図6のVII−VII線に沿って見た断面図である。
【0048】
図5〜図7に示すように、内蓋32は、プラスチック等の耐水性の材料で作られ、内装タンク28の上方の開口部分をほぼ全体的に覆うように、内装タンク28の上縁に着脱自在に固定されている。
内蓋32には、第1手洗い用導水路82、第2手洗い用導水路84、フロートスイッチ用通気口86、補給水管バルブ用開口88、及び結露水排水口90が形成されている。
【0049】
第1手洗い用導水路82は、後述する結合部材26の水受け部92の後壁側傾斜部100と対向している。そして、手洗い吐水を省略しない使用状態において、洗浄水タンク装置14の外蓋202に設けた手洗い鉢210を使用し、手洗い吐水を行った場合に、手洗い鉢210の吐水口214から吐水された洗浄水が、第1手洗い用導水路82を経て結合部材26の水受け部92に吐水されるようになっている。
【0050】
一方、第2手洗い用導水路84は、後述する結合部材26の水受け部92の前壁側傾斜部98と対向し、手洗い吐水を省略しない使用状態において、洗浄水タンク装置14の外蓋202とは異なる形態の手洗い鉢を使用して手洗い吐水を行う場合に、手洗い鉢の吐水口から吐水された洗浄水を第2手洗い用導水路84を経て結合部材26の水受け部92に吐水させるためのものである。したがって、本実施形態では、手洗い吐水を省略した使用状態と省略しない使用状態にかかわらず、第2手洗い用導水路84は使用されない。
【0051】
また、内蓋32の上面におけるフロートスイッチの上方には、フロートスイッチ用通気口86が形成されている。
さらに、内蓋32の上面には補給水管バルブ用開口88が形成され、この補給水管バルブ用開口88から補給水管バルブ76が上方に貫くように延びている。
また、内蓋32の上面には、複数の結露水排水口90が形成され、これらの結露水排水口90により、内蓋32と外蓋30の間で発生した結露による結露水が、外蓋30の裏面から内蓋32の上面に滴下したとしても、この結露水排水口90を経て内装タンク28内に排水されるようになっている。
【0052】
つぎに、図2及び図7〜図10により、結合部材26の詳細について説明する。
図8は、図2のVIII−VIII線に沿って見た拡大部の断面図であり、図9は、本発明の一実施形態による結合部材を斜め上方より見た斜視図であり、図10は、図9のX−X線に沿って見た断面図である。
【0053】
図2及び図7〜図10に示すように、結合部材26は、水受け部92と、非手洗い吐水用導水管接続部80と、補給水管接続部78と、水位検知センサ取付部94とを備えている。
【0054】
本実施形態による手洗い吐水を省略しない使用状態の洗浄水タンク装置14の詳細については、図11及び図12を用いて後述するが、結合部材26の水受け部92は、手洗い吐水を省略しない使用状態の場合に、後述する手洗い吐水管であるスパウト212から手洗い鉢210に吐水された洗浄水を下流で受けて内装タンク28内へ導水するようになっている。
【0055】
また、結合部材26の水受け部92は、内装タンク28の前壁28bの上端に沿ってほぼ中央の所定位置に取り付けられる前壁側取付部92aと、内装タンク28の後壁28cの上端に沿ってほぼ中央の所定位置に取り付けられる後壁側取付部92bを備えている。
さらに、結合部材26の水受け部92は、内装タンク28の前壁28b及び後壁28cの上端に沿ってほぼ中央の所定位置において、内装タンク28の前壁28bと後壁28cとを架け渡すように前壁側取付部92aから後壁側取付部92bまで延びる架橋部92cを備えている。
【0056】
また、水受け部92の架橋部92cの底面は、後述する結合部材26の補給水管接続部78の補給水口122aに対して上方に位置する頂部96と、この頂部96から内装タンク28の前壁28b側に向って下り傾斜する前壁側傾斜部98と、頂部96から内装タンク28の後壁28c側に向って下り傾斜する後壁側傾斜部100を備えている。
さらに、水受け部92の架橋部92cの後壁側傾斜部100の傾斜は、前壁側傾斜部98の傾斜よりも急な傾斜となっている。
【0057】
特に、図9に示すように、結合部材26の水受け部92は、前壁102、後壁104、側壁106及び側壁108を備えている。
前壁102の下方には、ほぼ四角形状の前側吐水口110が形成されており、後壁104の下方には、ほぼ四角形状の後側吐水口112が形成されている。
【0058】
側壁106及び側壁108は、架橋部92cの頂部96、前壁側傾斜部98及び後壁側傾斜部100の両側を延びるように形成している。また、洗浄水タンク装置14が手洗い吐水を省略しない使用状態のときに、手洗い鉢210側から架橋部92c内に流れ落ちてきた洗浄水は、これらの側壁106,108により、架橋部92cの側方側へ溢れ出ないように堰き止められる共に、前壁側傾斜部98に沿って水受け部92の前側吐水口110から内装タンク28内に吐水されるか、或いは、後壁側傾斜部100に沿って水受け部92の後側吐水口112から内装タンク28内に吐水されるようになっている。
さらに、側壁108は、非手洗い吐水用導水管接続部80と、補給水管接続部78と、水位検知センサ取付部94と一体的に結合されている。
【0059】
つぎに、図2、図9及び図10を参照して、非手洗い吐水用導水管接続部80について説明する。
図2、図9及び図10に示すように、結合部材26の非手洗い吐水用導水管接続部80は、本実施形態の洗浄水タンク装置14が手洗い吐水を省略した使用状態のときに、導水管70の下流側端部70aが接続される導水管接続部本体114と、この導水管接続部本体114の下流側に一体に形成される導水部116を備えている。
【0060】
導水管接続部本体114は、ほぼ円筒状に形成され、導水管接続部本体114の外径は、導水管70の管路の内径とほぼ等しくなるように設定されている。
また、導水管接続部本体114の内側は、下流側の導水路116と連通し、ほぼ円筒状の通水路118を形成している。
さらに、導水管接続部本体114は、導水管70の下流側端部70aの管路70bに挿入されて、導水管接続部本体114の外周が導水管70に覆われた状態で導水管70と連結している。したがって、導水管70の管路70bと非手洗い吐水用導水管接続部80の導水部116とは、導水管接続部本体114の通水路118により、互いが連通している。
【0061】
導水管接続部本体114の先端部114aは、その先端から所定長さ下流側の基端に向って徐々に外径が大きくなっており導水管70の下流側端部を導水管接続部本体114に接続する際に、導水管70の下流側端部に導水管接続部本体114を挿入しやすくなっており、導水管70と導水管接続部本体114が一旦接続された状態になると、導水管70が導水管接続部本体114に強固に保持されて抜けにくくなっている。
【0062】
導水部116は、水受け部92及び導水管接続部114と一体に形成されている。
また、導水部116は、底面116aを備えており、内部を通水させる矩形の通水路を形成している。
【0063】
図2、図7及び図9に示すように、結合部材26の補給水管接続部78は、補給水管バルブ76が接続される補給水管接続部本体120と、この補給水管接続部本体120の下流側に配置された補給水導水部122を備えている。
また、補給水導水部122は、下方に延びて補給水を導水する導水路を形成し、この導水路の下流側端部には、補給水口122aが形成されている。
さらに、補給水導水部122の補給水口122aは、オーバーフロー管38の上端開口部38bの開口領域内に配置されており、
補給水管接続保持部120から補給水導水部122内に流入した補給水は、補給水口122aからオーバーフロー管38を経て水洗便器1に導水されるようになっている。
【0064】
図2、図5及び図9に示すように、結合部材26の水位検知センサ取付部94は、内装タンク28内の洗浄水の水位を検知する水位検知センサであるフロートスイッチ72が取り付けられる部分であり、水受け部92及び補給水管接続部78に一体的に結合されている。
また、水位検知センサ取付部94には、フロートスイッチ72が挿入されて取り付けられる開口94aが形成されている。
さらに、結合部材26の水位検知センサ取付部94は、内装タンク28内の上方のほぼ中央付近に配置されるようになっている。
【0065】
また、本実施形態の洗浄水タンク装置14においては、例として、結合部材26がプラスチック等の合成樹脂等により一体成形され、水受け部92、導水管接続部80、補給水管接続部78及び水位検知センサ取付部94の複数の部分を互いに一体的に結合させた形態について説明したが、このような形態に限定されず、これらの複数の部分のうちのいくつかを一体的に結合させてもよい。
【0066】
つぎに、図11及び図12を参照して、本発明の一実施形態による手洗い吐水を省略しない使用状態の洗浄水タンク装置の構成について説明する。
図11は、本発明の一実施形態による手洗い吐水を省略しない使用状態の洗浄水タンク装置を示す側面断面図であり、図12は、本発明の一実施形態による手洗い吐水を省略しない使用状態の洗浄水タンク装置の内部構造を背面側から見た概略斜視図である。
ここで、図11及び図12に示す本実施形態による手洗い吐水を省略しない使用状態の洗浄水タンク装置において、上述した手洗い吐水を省略した使用状態の洗浄水タンク装置の部分と同一の部分については同一の符号を付し、これらの説明については省略し、異なる部分のみについて説明する。
【0067】
図11及び図12に示すように、本発明の一実施形態による手洗い吐水を省略しない使用状態の洗浄水タンク装置14においては、手洗い吐水用の外蓋202が、手洗い吐水を省略した使用状態の洗浄水タンク装置14の外蓋30の代わりに外装タンク16に取り付けられている。この外蓋202は、その上面に形成された手洗い鉢210と、この手洗い鉢210の後方側に設けられ且つ導水管70に接続され、手洗い鉢210に吐水する手洗い吐水管であるスパウト212を備えている。
【0068】
手洗い鉢210は、鉢形状(ボウル形状)に形成され、その底部に手洗い鉢吐水口214が形成されている。
また、手洗い鉢吐水口214は、下方に延びて内蓋32の第1手洗い用導水路82に接続されている。
さらに、スパウト212の吐水口212bから手洗い鉢210に吐水された洗浄水は、手洗い鉢吐水口214から内蓋32の第1手洗い用導水路82に流入し、結合部材26の水受け部92の架橋部92cの後壁側傾斜部100に沿って流れ、水受け部92の後側吐水口112から内装タンク28内に吐水されるようになっている。
【0069】
なお、本実施形態の手洗い吐水を省略した使用状態の洗浄水タンク装置14においては、例として、内蓋32に対する手洗い鉢210の手洗い鉢吐水口214の配置上、手洗い鉢吐水口214と内蓋32の第1手洗い用導水路82とが連通するような形態について説明するが、このような形態に限定されず、内蓋32に対する手洗い鉢吐水口214の配置を変更し、手洗い鉢吐水口214と内蓋32の第2手洗い用導水路84とを連通させるような形態にしてもよい。
【0070】
図11に示すように、スパウト212の上流側端部には、導水管70の下流側端部70aが接続される導水管接続部212aが設けられている。
すなわち、図12に示すように、手洗い吐水を省略しない使用状態の導水管70においては、手洗い吐水を省略した使用状態の下流側端部70aが結合部材26の非手洗い吐水用導水管接続部80から取り外され、導水管70の下流側端部の接続先が、結合部材26の非手洗い吐水用導水管接続部80よりも上方に位置しているスパウト212の導水管接続部212aに切り換えられて接続されている。
したがって、手洗い吐水を省略しない使用状態の導水管70は、結合部材26の導水管接続部80には接続されていないため、導水管接続部80には給水が行われない状態となる。
【0071】
つぎに、図10及び図11に示すように、結合部材26の導水管接続部80の導水管接続部本体114内における流路径d1は、手洗い吐水を省略しない使用状態の導水管70が接続されるスパウト212の導水管接続部212aの流路径d2よりも小さくなるように設定されている。
【0072】
つぎに、図1〜図10及び図13を参照して、本発明の一実施形態による手洗い吐水を省略した使用状態の洗浄水タンク装置の動作(作用)について説明する。
図13は、本発明の一実施形態による洗浄水タンク装置における排水弁装置の弁体の動作を概略的に説明した図である。ここで、図13においては、弁体40が最も上昇して排水口16bを開放している状態における弁体40の高さ位置をh1で示し、弁体40が収納部材44の下端の高さ位置を通過する際の弁体40の高さ位置をh2で示し、弁体40が最も下降して排水口16bを閉止している状態の高さ位置をh3で示している。
【0073】
まず、図13に示すように、使用者が水洗便器1を使用後、水洗便器1に設けられている便器使用者を検知する人体検知センサ(図示せず)からの信号、或いは、水洗便器1の洗浄操作を指令する操作ボタン(図示せず)を使用者が操作した信号が操作装置22内のコントローラ(図示せず)に送られ、回転駆動装置22cの作動が開始する。そして、回転駆動装置22cが作動すると、回転軸22bと共に操作レバー22aが所定方向に回転し、この操作レバー22aに取り付けられている玉鎖48が引き上げられ、オーバーフロー管38の玉鎖取付部38dが引き上げられる。このとき、オーバーフロー管38は、ガイド部材42によって、オーバーフロー管38の上下移動を垂直方向に対する横ずれや傾きが生じないようにガイドされながらガイド部材42に対して上昇する。また、弁体40は、オーバーフロー管38の下端部に固着されているため、オーバーフロー管38の上昇に伴って弁体40も上昇する。
【0074】
弁体40が、最上位の高さ位置h1まで引き上げられると、回転駆動装置22cの作動が停止される。このとき、弁体40上方側及び外周側は、収納部材44によって取り囲まれて収納されている。
【0075】
そして、弁体40が内装タンク28の排水口16bを開放している間、内装タンク28の排水口16bから洗浄水が水洗便器1の導水路4に排水され、この導水路4内の洗浄水が水洗便器1のリム吐水口10から吐水され、水洗便器1の洗浄が行われる。
【0076】
その後、操作装置22は、所定時間経過後、或いはセンサ等の信号を受けたとき、再び回転駆動装置22cの作動を開始し、回転軸22bと共に操作レバー22aが所定方向に回転し、玉鎖48が引き下げられ、オーバーフロー管38の玉鎖取付部38dが下降を開始する。
弁体40が下降を開始すると、内装タンク28内の洗浄水が、収納部材44の上面及び側面に形成された複数の開口52,54から、収納部材44と弁体40との間の内部領域Rに流入する。
【0077】
なお、図13においては、収納部材44の上面の開口52から収納部材44の内部領域Rに流入する流れをF1で示している。
同様に、収納部材44の側面の開口54から収納部材44の内部領域Rに流入する流れをF2で示している。
【0078】
ここで、収納部材44の内部領域Rにおいて、特に、最上位の高さ位置h1の弁体40の上面と収納部材44の上面との間の領域、及び、最上位の高さ位置h1の弁体40の外周側側面と収納部材44の側面との間の内部領域Rにおいては、仮に収納部材44の開口52,54が設けられていない状態を想定した場合には、弁体40が最上位の高さ位置h1から下降が開始する際に、弁体40を上昇させる方向に作用する負圧が発生していることになる。
【0079】
また、図13において、収納部材44内の弁体40が下降して収納部材44から抜け出すときの弁体40の高さ位置をh2で示すと、仮に収納部材44の開口52,54が設けられていない状態を想定した場合には、弁体40が高さ位置h1から下降して高さ位置h2で収納部材44の内部から下方へ抜け出すと同時に、上述した弁体40を上昇させる方向に作用する負圧が瞬間的に消滅する。
しかしながら、本実施形態では、弁体40の下降時に、収納部材44の外側から収納部材44の開口52,54を介して弁体40と収納部材44との間の内部領域Rに容易に水を侵入させることができるため、弁体40と収納部44との間の内部領域Rで弁体40を上昇させる方向に作用する負圧を抑制することができる。
【0080】
さらに、本実施形態の洗浄水タンク装置14の内装タンク28は、比較的縦方向に長いハイシルエットタイプ形状であり、内装タンク28内の止水水位WL2が、上昇時の弁体40の高さ位置h1よりも高くなるように設定されており、弁体40が高さ位置h1から下降し、弁体40が高さ位置h2で収納部材44の内部から下方へ抜け出す際には、内装タンク28内にも比較的多くの洗浄水量が残されているため、この洗浄水量に相当する水圧が比較的大きな水圧として弁体40に作用することになる。
したがって、このような内装タンク28内に残されている洗浄水の比較的大きな水圧によって、弁体40と収納部44との間の内部領域Rで弁体40を上昇させる方向に作用する負圧は生じにくく、たとえ、このような負圧が弁体40に作用していたとしても、弁体40が高さ位置h2で収納部材44の内部から下方へ抜け出す際に、弁体40に作用する負圧が瞬間的に消滅して、弁体40を急激に下降させるような水圧が弁体40に作用することは起こらなくなる。
この結果、弁体40が高さ位置h2から下降して高さ位置h3で排水口16bを閉止するまでには、弁体40は、内装タンク28内に残されている洗浄水の水圧を受けながら、弁体40はほぼ一定の速度で安定した状態で下降することになる。
【0081】
さらに、弁体40の閉止時には、弁体40及びオーバーフロー管38が弁座46に比較的低い速度で当接するため、このときに発生する閉止音も抑制される。
【0082】
つぎに、弁体40が排水口16bを閉止した止水後、操作装置22のコントローラ(図示せず)からの指令により、給水装置24の給水バルブ58が開弁し、給水装置24の吐水口68から内装タンク28内への洗浄水の給水が行われ、再び内装タンク28内の水位が止水水位WL2から次第に上昇する。
また、給水装置24の給水バルブ58が開弁すると、同時に、分岐部60から導水管70に洗浄水が導水される。
さらに、導水管70に供給された洗浄水は、手洗い吐水を省略した使用状態においては、導水管70から結合部材26の非手洗い吐水用導水管接続部80の導水管接続部本体114に導水される。このとき、導水管接続部本体114の流路径d1は導水管70の内径よりも小さく形成されているため、導水管70から導水管接続部本体114の流路に流入した洗浄水については、圧力損失を受けて、流量が低下する。
【0083】
また、導水管接続部本体114から導水部116に流入した洗浄水は、図8に矢印で示した水の流れのように、導水部116の底面116aに沿って、内装タンク28の後壁28c側に差し向けられ、導水部116から内装タンク28内の後方側へ流出するか、或いは、その導水部116から流出した洗浄水の少なくとも一部が内装タンク28の後壁28cに沿って流下し、洗浄水が内装タンク28内に直接的に落水するときよりも、洗浄水の落水音を抑制することができる。
【0084】
このとき、分岐部60から吐水管62に導水された洗浄水のうちの一部の洗浄水が、補給水として、補給水管66を通過して結合部材26の補給水管接続部78へ導水される。
そして、補給水管接続部78の補給水管接続保持部120に流入した洗浄水(補給水)は、補給水導水部122を経て、補給水口122aからオーバーフロー管38内に流入する。
また、オーバーフロー管38内を流下した補給水は、排水口16bから導水路4に排水され、水洗便器1のリム吐水口10から吐水されて、水洗便器1に供給される。この補給水の補給によってサイホン作用の発生によって減少した溜水を補給(リフィル)することができる。
【0085】
さらに、内装タンク28内の水位が満水時の水位WL1に達すると、内装タンク28内の水位WL1を検知したフロートスイッチ72からの信号に基づいて、操作装置22が給水装置24に指令を出し、その指令により給水装置24の給水バルブ58が閉弁し、給水装置24の吐水口68から内装タンク28内への洗浄水の給水が停止される。
【0086】
つぎに、図1〜図12を参照して、本発明の一実施形態による手洗い吐水を省略しない使用状態の洗浄水タンク装置の動作(作用)について説明する。
ここで、上述した本発明の一実施形態による手洗い吐水を省略した使用状態の洗浄水タンク装置の動作(作用)の部分と同一の部分については説明を省略し、異なる動作(作用)の部分のみについて説明する。
なお、図11及び図12に示すように、手洗い吐水を省略した使用状態の洗浄水タンク装置14においては、手洗い吐水を省略しない使用状態の洗浄水タンク装置14の非手洗い吐水用の外蓋30の代わりに、手洗い吐水用の外蓋202が外装タンク16に取り付けられており、導水管70がスパウト212の導水管接続部212aに接続されている。
【0087】
水洗便器1への洗浄水の排水動作が完了した後、操作装置22のコントローラ(図示せず)からの指令により、給水装置24の給水バルブ58が開弁し、給水装置24の吐水管62の吐水口68から内装タンク28内への洗浄水の給水が行われ、再び内装タンク28内の水位が次第に上昇する。
給水装置24の給水バルブ58が開弁すると、同時に、給水装置24の分岐部60から導水管70に洗浄水が導水される。導水管70に供給された洗浄水は、導水管70から上方に位置するスパウト212の導水管接続部212aを経てスパウト212に導水される。このとき、スパウト212の導水管接続部212aが結合部材26の非手洗い吐水用導水管接続部80よりも上方に位置しているため、給水装置24の分岐部60から導水管70を経てスパウト212に至る流路内においては、洗浄水が上昇する流れとなっており、この上昇して流れる洗浄水は、圧力損失を受けた状態となっている。
【0088】
しかしながら、スパウト212の導水管接続部212aが結合部材26の非手洗い吐水用導水管接続部80よりも上方に位置していても、結合部材26の非手洗い吐水用導水管接続部80の流路径d1が、スパウト212の導水管接続部212aの流路径d2よりも小さく設定しているため、手洗い吐水を省略しない使用状態のときに分岐部60からスパウト212の導水管接続部212aまでの流路を流れる際の圧力損失と、手洗い吐水を省略した使用状態のときに分岐部60から結合部材26の非手洗い吐水用導水管接続部80までの流路を流れる際の圧力損失との双方の圧力損失がほぼ等しくなっている。
【0089】
つぎに、手洗い鉢210に吐水された洗浄水は、手洗い鉢吐水口214より手洗い鉢排水管216に流入し、手洗い鉢排水管216内を垂直に落下して、内蓋32の第1手洗い用導水路82内に流れる。
内蓋32の第1手洗い用導水路82に流下した洗浄水は、第1手洗い用導水路82によって、第1手洗い用導水路82の下方に位置する結合部材26の水受け部92の架橋部92cの後壁側傾斜部100に導水される。
そして、この後壁側傾斜部100の洗浄水は、図7及び図11に示すように、後壁側傾斜部100の下り傾斜した底面に沿って流下し、結合部材26の後側吐水口112から内装タンク28内の後方側へ流出するか、或いは、後側吐水口112から流出した洗浄水の少なくとも一部が内装タンク28の後壁28cに沿って流下し、洗浄水が内装タンク28内に直接的に落水するときよりも、洗浄水の落水音を抑制することができる。
【0090】
このとき、分岐部60から吐水管62に導水された洗浄水のうちの一部の洗浄水が、補給水として、補給水管66を通過して結合部材26の補給水管接続部78へ導水される。
このとき、結合部材26の非手洗い吐水用導水管接続部80の流路径d1が、スパウト212の導水管接続部212aの流路径d2よりも小さく設定しているため、手洗い吐水を省略しない使用状態のときに分岐部60からスパウト212の導水管接続部212aまでの流路を流れる際の圧力損失と、手洗い吐水を省略した使用状態のときに分岐部60から結合部材26の非手洗い吐水用導水管接続部80までの流路を流れる際の圧力損失とがほぼ等しくなっている。
この結果、給水装置24の分岐部60から吐水管62と導水管70のそれぞれに分岐して給水しても、手洗い吐水を省略しない使用状態のときに導水管70をスパウト212の導水管接続部212aに接続した場合、或いは、手洗い吐水を省略した使用状態のときに導水管70を結合部材26の非手洗い吐水用導水管接続部80に接続した場合にかかわらず、圧力損失の変動を抑制することができる。したがって、吐水管62の下流側の補給水管66における補給水量のばらつきを抑制することができ、
補給水口122aから補給水をオーバーフロー管38に安定して供給し、排水口16bから水洗便器1のボウル部2内の溜水に安定した補給水を供給することができる。
【0091】
さらに、内装タンク28内の水位が満水時の水位WL1に達すると、内装タンク12内の水位WL1を検知したフロートスイッチ72からの信号に基づいて、操作装置22が給水装置24に指令を出し、その指令により給水装置24の給水バルブ58が閉弁し、給水装置の導水管70の接続する手洗い吐水管からの手洗い鉢210への吐水、及び給水装置24の吐水口68から内装タンク28内への洗浄水の給水が停止される。
【0092】
上述した本発明の一実施形態による洗浄水タンク装置14の排水弁装置20によれば、収納部材44の上面及び側面にそれぞれ複数形成された開口52,54により、弁体40の上昇時(開弁時)には、弁体40と収納部材44との間の水を収納部材44の外部へ逃がすことができる。
一方、弁体40の下降時(閉弁時)には、収納部材44の外側から収納部材44の開口52,54を介して弁体40と収納部材44との間の内部領域Rに容易に水を侵入させることができる。この結果、弁体40と収納部44との間の内部領域Rで弁体40を上昇させる方向に作用する負圧を抑制することができると共に、このような負圧が、収納部材44内の弁体40が下降して収納部材44から抜け出す際に瞬間的に消滅するのを抑制することができる。
また、このような負圧の瞬間的な消滅によって弁体40を急激に下降させるような水圧が弁体40に作用することを抑制することができるため、閉弁動作時に下降中の弁体40が急激な勢いで下降して排水口16bを閉止した際に発生する閉止音を低減させることができる。
さらに、上述した負圧の瞬間的な消滅によって発生した水圧による弁体40への負荷や弁体40自体の変形を抑制することができるため、閉止時の弁体40が排水口16bを確実に閉止することができると共に、弁体40自体の耐久性を向上させることができる。
また、収納部材44の開口52,54を介して収納部材44の内部と内装タンク28内とが連通することにより、弁体40の上昇時にも、収納部材44内の水が開口52,54から収納部材44の上下方向と水平方向に比較的自由に出入りできるため、弁体40が収納部材44に対してスムーズに上昇することができると共に、弁体40への負荷や弁体40自体の変形を抑制することができる。したがって、操作装置22の回転駆動装置22cにおいて、回転軸22bの駆動により弁体40の引き上げに要する力やトルクを低減させることができ、操作装置22による弁体40の操作性を容易にすることができる。この結果、操作装置22の回転駆動装置22cの駆動装置の消費電力を低減させることができる。
【0093】
また、本実施形態による洗浄水タンク装置14の排水弁装置20によれば、収納部材44の複数の開口52,54が収納部材44の上面部44bの中心Aに対して対称に配置されていることにより、下降時(閉弁時)の弁体40が収納部材44から下降して抜け出す際に、収納部材44内で発生する比較的大きな水圧による弁体への負荷をバランス良く解消することができる。この結果、下降中の弁体40が傾くことなく、弁体40の確実な閉弁動作を実現することができると共に、弁体40自体の変形をさらに効果的に抑制することができる。
【0094】
上述した本発明の一実施形態による洗浄水タンク装置14によれば、結合部材26により水受け部92と非手洗い吐水用導水管接続部80が互いに一体的に結合されているため、手洗い吐水を省略した使用状態と省略しない使用状態に関わらず、結合部材26を共通部材として用いることができる。この結果、手洗い吐水を省略しない使用状態のときには、導水管70により給水装置24の分岐部60とスパウト212とが接続され、給水装置24の分岐部60から分岐した給水が導水管70を経てスパウト212へ導水され、このスパウト212から手洗い鉢210へ吐水された洗浄水が結合部材26の水受け部92で受けられた後、内装タンク28内へ吐水させることができる。
一方、手洗い吐水を省略した使用状態のときには、導水管70により給水装置24の分岐部60と結合部材26の非手洗い吐水用導水管接続部80とが接続され、給水装置24の分岐部60から分岐した給水が導水管70を経て結合部材26の非手洗い吐水用導水管接続部80へ導水された後、内装タンク28内へ吐水させることができる。
また、手洗い吐水を省略した使用状態と省略しない使用状態にかかわらず、共通な結合部材26を用いることができることにより、製造組立時における内装タンク28への結合部材26の組み付け工程を共通化させることができると共に、取付け作業の工程数を減少させることができ、生産効率を向上させることができる。
さらに、内装タンク28内における水受け部92と非手洗い吐水用導水管接続部80の配置が結合部材26によって特定箇所に集約されているため、メンテナンスの際に外装タンク16から外蓋30を取り外した状態では、結合部材26の水受け部92と非手洗い吐水用導水管接続部80が作業者の目につきやすく、結合部材26の状態を容易に確認することができる。
また、結合部材26の中に水受け部92と非手洗い吐水用導水管接続部80を一体的に設けたことにより、比較的狭い内装タンク28内に水受け部92と非手洗い吐水用導水管接続部80のそれぞれをコンパクトに配置することができ、内装タンク28内の結合部材26以外のスペースを広く確保してメンテナンスの際の作業スペースを広く確保することができ、内装タンク28内のメンテナンスが容易になる。
【0095】
また、本実施形態による洗浄水タンク装置14によれば、結合部材26の補給水管接続部78と水受け部92が互いに一体的に結合されているため、製造組立時における内装タンク28への結合部材26の組み付け工程を共通化させることができると共に、取付け作業の工程数を減少させることができ、生産効率を向上させることができる。
さらに、内装タンク28内における補給水管接続部78と水受け部92の配置が結合部材26によって特定箇所に集約されているため、メンテナンスの際に洗浄水タンクから外蓋30を取り外した状態では、結合部材26の水受け部92と補給水管接続部78が作業者の目につきやすく、結合部材26の状態を容易に確認することができる。
また、結合部材26の中に補給水管接続部78と水受け部92を一体的に設けたことにより、比較的狭い内装タンク28内に補給水管接続部78と水受け部92のそれぞれをコンパクトに配置することができ、内装タンク28内の結合部材26以外のスペースを広く確保してメンテナンスの際の作業スペースを広く確保することができ、内装タンク28内のメンテナンスが容易になる。
【0096】
さらに、本実施形態による洗浄水タンク装置14によれば、結合部材26の水位検知センサ取付部94と水受け部92が互いに一体的に結合されているため、製造組立時において水位検知センサであるフロートスイッチ72を結合部材26の水位検知センサ取付部94に容易に取り付けることができる。
また、フロートスイッチ72を結合部材26の水位検知センサ取付部94に取り付けた状態で、結合部材26を内装タンク28に取り付けるだけで、フロートスイッチ72を内装タンク28内の所定位置に容易に取り付けることができ、製造組立時におけるフロートスイッチ72の取付工程を簡略化させることができる。
さらに、内装タンク28側にフロートスイッチ72の取付部を設ける必要がなくなるため、内装タンク28の形状をシンプルにすることができる。
【0097】
また、本実施形態による洗浄水タンク装置14によれば、内装タンク28の上端の横幅方向の所定位置で内装タンク28の前壁28bと後壁28cとを架け渡すように、結合部材26の水受け部92の前壁側取付部92aから後壁側取付部92bまで延びる架橋部92cにより、変形しやすい樹脂製の内装タンク28であっても、内装タンク28の上端が歪まないように補強することができる。
さらに、架橋部92cの底面の頂部96が結合部材26の補給水管接続部78の補給水口122aに対して上方に位置し、この頂部96から前壁側傾斜部98と後壁側傾斜部100に下り傾斜させることにより、結合部材26の水受け部92の高さ寸法を抑えることができ、内装タンク全体をコンパクトにすることができる。
【0098】
さらに、本実施形態による洗浄水タンク装置14によれば、スパウト212の導水管接続部212aが結合部材26の非手洗い吐水用導水管接続部80よりも上方に位置していても、結合部材26の非手洗い吐水用導水管接続部80の流路径d1が、スパウト212の導水管接続部212aの流路径d2よりも小さく設定しているため、手洗い吐水を省略しない使用状態のときに導水管70からスパウト212の導水管接続部212aの流路を流れる際の圧力損失と、手洗い吐水を省略した使用状態のときに導水管70から結合部材26の非手洗い吐水用導水管接続部80の流路を流れる際の圧力損失との双方をほぼ等しくすることができる。
また、給水装置24の分岐部60から吐水管62と導水管70のそれぞれに分岐して給水しても、手洗い吐水を省略しない使用状態のときに導水管70をスパウト212の導水管接続部212aに接続した場合、或いは、手洗い吐水を省略した使用状態のときに導水管70を結合部材26の非手洗い吐水用導水管接続部80に接続した場合にかかわらず、圧力損失の変動を抑制することができるため、吐水管62の下流側の補給水管66における補給水量のばらつきを抑制することができる。
【0099】
また、本実施形態による洗浄水タンク装置14によれば、内装タンク28の上方を覆うように結合部材26と外蓋30との間に取り付けられた内蓋32により、洗浄水が内装タンク28内に供給された際に洗浄水が内蓋32よりも上方に跳ね上がるのを防ぐと共に、内装タンク28と内蓋32との内部で発生した音が外部へ漏れるのを低減させることもできる。
さらに、外蓋30を取り外した状態の内装タンク28の内部へのいたずらを内蓋32により防止することもできる。
また、内蓋32に形成された第1の手洗い用導水路82により、手洗い鉢210から吐水された洗浄水を結合部材26の水受け部92に確実に導水させることができ、内蓋32の第1の手洗い用導水路82から結合部材26の水受け部92へ落水する際に発生する落水音を低減させることができる。
【0100】
さらに、本実施形態による洗浄水タンク装置14によれば、フロートスイッチ72の上方の内蓋32の所定位置に形成されたフロートスイッチ用通気口86により、フロートスイッチ72の周囲の通気性を向上させることができ、内装タンク28内の湿気がフロートスイッチ78の周囲にたまるのを防ぐことができる。したがって、湿気によるフロートスイッチ72の故障を防ぐことができる。
【符号の説明】
【0101】
1 水洗便器
2 ボウル部
4 導水路
6 排水トラップ管路
8 リム
10 リム吐水口
12 ジェット吐水口
14 洗浄水タンク装置
16 洗浄水タンク本体
16a 底面
16b 排水口
18 蓋ユニット
20 排水弁装置
22 操作装置(操作部)
24 給水装置(給水部)
26 結合部材
28 内装タンク
28a 底面部
28b 前壁
28c 後壁
29 断熱材
30 外蓋
32 内蓋
34 ベース部材
36 支持部材
38 オーバーフロー管
38a オーバーフロー管の下端開口部
38b オーバーフロー管の上端開口部
38c オーバーフロー管の凸部
40 弁体
42 ガイド部材
44 収納部材
44a 基部
44b 上面部
44c 側面部
46 弁座
47 導水路
48 玉鎖
52 開口(上面開口部)
54 開口(側面開口部)
56 給水管
58 給水バルブ
60 分岐部
62 吐水管
66 補給水管
68 吐水口
70 導水管
70a 導水管の下流側端部
70b 導水管の管路
72 フロートスイッチ
76 補給水管バルブ
78 補給水管接続部
80 非手洗い吐水用導水管接続部
82 第1手洗い用導水路
84 第2手洗い用導水路
86 フロートスイッチ用通気口
88 補給水管バルブ用開口
90 結露水排水口
92 水受け部
92a 前壁側取付部
92b 後壁側取付部
92c 架橋部
94 水位検知センサ取付部
96 水受け部の架橋部の頂部
98 水受け部の架橋部の前壁側傾斜部
100 水受け部の架橋部の後壁側傾斜部
102 水受け部の前壁
104 水受け部の後壁
106 水受け部の側壁
108 水受け部の側壁
110 水受け部の前側吐水口
112 水受け部の後側吐水口
114 非手洗い吐水用導水管接続部の導水管接続部本体
114a 非手洗い吐水用導水管接続部の導水管接続部本体の先端部
116 非手洗い吐水用導水管接続部の導水部
116a 非手洗い吐水用導水管接続部の導水部の底面
118 非手洗い吐水用導水管接続部の導水管接続部本体の通水路
120 補給水管接続部本体
122 補給水導水部
122a 補給水口
202 外蓋
210 手洗い鉢
212 スパウト(手洗い吐水管)
212a 導水管接続部(手洗い吐水用導水管接続部)
214 手洗い鉢吐水口
216 手洗い鉢排水管
A 収納部材の上面部の中心
d1 導水管接続部本体の流路径
d2 スパウトの上流側端部の流路径
R 内部領域
WL1 満水水位
WL2 止水水位

【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器に洗浄水を供給する洗浄水タンクに設けられた排水弁装置であって、
洗浄水タンクの底面に形成された排水口を開閉する弁体と、
この弁体が一端に設けられた管部材と、
この管部材に接続され、上記管部材を上下動させることにより上記弁体による上記排水口の開閉操作を行う操作部と、
上記管部材の一部が挿入され、上記管部材の上下動をガイドするガイド部と、
上記弁体が所定以上の上昇位置まで引き上げられたときに、上記弁体の上方側及び外周側を取り囲んで収納するように上記ガイド部の下方に設けられた収納部と、
上記収納部と上記洗浄水タンクの底面との間において、上記洗浄水タンク内の洗浄水を上記排水口に導く導水路と、を有し、
上記収納部は、その上面に開口が形成された上面開口部を備えていることを特徴とする排水弁装置。
【請求項2】
上記収納部は、更に、その側面に開口が形成された側面開口部を備えている請求項1記載の排水弁装置。
【請求項3】
上記収納部の上面開口部は、上記収納部の上面に複数の開口を形成する請求項1記載の排水弁装置。
【請求項4】
上記収納部の側面開口部は、上記収納部の側面に複数の開口を形成する請求項2に記載の排水弁装置。
【請求項5】
上記収納部の上面開口部の複数の開口は、上記収納部の上面の中心に対して対称に配置されている請求項3記載の排水弁装置。
【請求項6】
上記収納部の側面開口部の複数の開口は、上記収納部の上面の中心に対して対称に配置されている請求項4記載の排水弁装置。
【請求項7】
上記請求項1乃至6の何れか1項に記載の排水弁装置を有する洗浄水タンク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−202122(P2012−202122A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−68028(P2011−68028)
【出願日】平成23年3月25日(2011.3.25)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】