説明

排水弁装置及びその排水弁装置を取り付けた便器洗浄用タンク装置

【課題】不適合品のフラッパ弁の誤取付を防止することができる上に、フラッパ弁開閉速度が変化しなくなることから、洗浄水排出量がばらつくことがなく、一定量の洗浄水を排出できる排水弁装置を提供すること。
【解決手段】便器の洗浄水を貯える洗浄水タンク10に配設される排水弁装置30であって、水平に突出した一対の支軸39が設けられ、排水弁座37aを有する排水弁本体部30aなどを備え、前記排水弁本体部30aに、前記支軸39に対するフラッパ弁34の係合する範囲を規制する突起部39aを設け、この突起部39aは、少なくとも前記フラッパ弁34が排水経路37bを閉鎖している場合は、前記フラッパ弁34の前記係合部53と当接し、前記フラッパ弁34が引き上げられている場合は、前記フラッパ弁34の前記係合部53と当接しないよう構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排水弁装置及びその排水弁装置を取り付けた便器洗浄用タンク装置に関する。特に、排水弁装置において、フラッパ弁の係合範囲を規制することに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、便器を洗浄するための洗浄水を貯える洗浄水タンク内において、洗浄水を吐出する排水口の開閉を行うフラッパ弁は、長い期間に亘って使用されると、水及び水圧にさらされることや繰り返し開閉作動することによって劣化したり摩耗したりする。
【0003】
このことから、劣化したフラッパ弁は、変形したりピンホールが形成されたりすることによって、水密性が保持できなくなり、水漏れの原因となることがあった。そのため、劣化したフラッパ弁は、交換されて、新しいフラッパ弁に置き換えられる。
【0004】
通常、フラッパ弁は、便器を洗浄するための洗浄水を貯える洗浄水タンクの排水口に配設される排水弁装置において、その排水弁装置の構成要素であるオーバーフロー管の下側部あるいは排水弁座に突設された支軸に係合枢支されていることから、フラッパ弁を交換する際、劣化したフラッパ弁の係合部を前述の支軸から取り外して、新しいフラッパ弁の係合部を前述の支軸に取り付けることによって交換される。
【0005】
その交換作業の際に、規格品のフラッパ弁が適切に取り付けられればよいが、オーバーフロー管の下側部の周側面あるいは排水弁座の側面に突設された支軸にはフラッパ弁の規定の係合範囲を規制する手段がない(例えば、特許文献1参照。)ことから、不適合品のフラッパ弁が誤って取り付けられることがあった。
【0006】
そこで、不適合品のフラッパ弁の取り付けを排除するために、フラッパ弁を係合枢支する前述の支軸において、支軸の基端部、すなわち支軸のオーバーフロー管側の端部周縁にわたって突起部を設けた支軸が開発されている。
【0007】
つまり、支軸の基端部の周縁にわたって設けられた突起部と不適合品のフラッパ弁の係合部とが干渉することから、不適合品のフラッパ弁は、同支軸に誤って取り付けられることがない。
【特許文献1】特開平9−291580号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、便器を洗浄するための洗浄水を貯える洗浄水タンク内に配設される排水弁装置において、その排水弁装置の構成要素であるオーバーフロー管の下側部あるいは排水弁座に突設されたフラッパ弁を取り付けるための従来の支軸は、以下の課題を有している。
【0009】
つまり、前述のようなフラッパ弁を係合枢支する一対の両支軸の基端部周縁にわたって不適合品のフラッパ弁排除用の突起部が設けられた支軸は、規格品のフラッパ弁を取り付けて、その取り付けたフラッパ弁を左右斜め上下方向に揺動しフラッパ弁を開閉作動させると、引き上げ方向と反対側の係合部と該突起部とが接触し干渉することによってフラッパ弁開閉速度が変化し、洗浄水排出量がばらつくという欠点があった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そこで、本発明は、便器を洗浄するための洗浄水を貯える洗浄水タンクに配設される排水弁装置であって、水平に突出した一対の支軸が設けられ、前記洗浄水タンクの底部に形成された排水口に取り付けられて便器への排水経路を形成する排水弁座を有する排水弁本体部と、上下揺動自在に前記支軸に係合する一対の係合部を有し、前記排水弁座の座面に離接することにより前記排水経路を開閉するフラッパ弁とを備え、前記排水弁本体部に、前記支軸に対する前記フラッパ弁の係合する範囲を規制する突起部を設け、この突起部は、少なくとも前記フラッパ弁が前記排水経路を閉鎖している場合は、前記フラッパ弁の前記係合部と当接し、前記フラッパ弁が引き上げられている場合は、前記フラッパ弁の前記係合部と当接しないことを特徴とする排水弁装置を提供するものである。
【0011】
更には、前記突起部は、前記支軸における先端から所定距離の位置に、下方へ向けて突設されていることにも特徴を有する。
【0012】
また、便器を洗浄するための洗浄水を貯える洗浄水タンクに配設される排水弁装置であって、水平に突出した一対の支軸が設けられ、前記洗浄水タンクの底部に形成された排水口に取り付けられて便器への排水経路を形成する排水弁座を有する排水弁本体部と、上下揺動自在に前記支軸に係合する一対の係合部を有し、前記排水弁座の座面に離接することにより前記排水経路を開閉するフラッパ弁とを備え、前記排水弁本体部は、前記フラッパ弁の前記一対の係合部が係合する前記一対の支軸のうち、前記フラッパ弁が引き上げられる方向と同側の支軸にのみ突起部を設け、この突起部により、前記支軸に対する前記フラッパ弁の係合する範囲を規制することを特徴とする排水弁装置を提供するものである。
【0013】
また、便器を洗浄するための洗浄水を貯える洗浄水タンクと、水平に突出した一対の支軸が設けられ、前記洗浄水タンクの底部に形成された排水口に取り付けられて便器への排水経路を形成する排水弁座を有する排水弁本体部と、上下揺動自在に前記支軸に係合する一対の係合部を有し、前記排水弁座の座面に離接することにより前記排水経路を開閉するフラッパ弁と、前記フラッパ弁を、外部操作により引き上げて前記排水経路を開閉する操作部と、この操作部と前記フラッパ弁とを連結する線状連結部材とを具備する便器洗浄用タンク装置において、前記排水弁本体部は、前記フラッパ弁の前記一対の係合部が係合する前記一対の支軸のうち、片側の支軸に下向きに突起部を設け、この突起部により、前記支軸に対する前記フラッパ弁の係合する範囲を規制することを特徴とする便器洗浄用タンク装置を提供するものである。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載の本発明によれば、前記排水弁本体部に、前記支軸に対する前記フラッパ弁の係合する範囲を規制する突起部を設けたことから、不適合品のフラッパ弁の係合部と突起部とが干渉することによって、不適合品のフラッパ弁の誤取付を防止することができ、適合品のみを取り付けることができる。そして、取り付けられた適合品のフラッパ弁の係合部は、少なくとも前記フラッパ弁が前記排水経路を閉鎖している場合は、前記突起部と当接することがあるが、前記フラッパ弁が引き上げられている場合は、前記突起部と当接しないことから、規格品のフラッパ弁の係合部は、フラッパ弁開閉作動時においては、左右とも突起部に接触し難くなり、フラッパ弁が円滑に開閉作動し、フラッパ弁開閉速度が変化しなくなることから、洗浄水排出量がばらつくことがなく、一定量の洗浄水を排出できる効果がある。
【0015】
請求項2記載の本発明によれば、前記突起部は、前記支軸における先端から所定距離の位置に、下方へ向けて突設されていることから、前述の効果に加え、フラッパ弁を左右斜め上下方向に揺動させながら開閉作動させた場合、フラッパ弁の係合部と支軸にある突起部とがより確実に接触しなくなり、フラッパ弁が円滑に開閉作動し、フラッパ弁開閉速度が変化しなくなることから、洗浄水排出量がばらつくことがなく、より確実に一定量の洗浄水を排出できる効果がある。また、突起部を支軸に突設する形態としたことから、支軸と突起部との位置関係に注意を払うことなく一体成形が可能となり、生産性が向上し、コスト上に有利となる効果がある。
【0016】
請求項3記載の本発明によれば、前記排水弁本体部は、前記フラッパ弁の前記一対の係合部が係合する前記一対の支軸のうち、前記フラッパ弁が引き上げられる方向と同側の支軸にのみ突起部を設け、この突起部により、前記支軸に対する前記フラッパ弁の係合する範囲を規制することから、不適合品のフラッパ弁の係合部と突起部とが干渉することによって、不適合品のフラッパ弁の誤取付を防止することができる。また、規格品のフラッパ弁が引き上げられる際、引き上げ方向側の係合部は、突起部から離反する方向にずれ、引き上げ方向と反対側の係合部は、突起部がないので、当然係合部と突起部とが接触しない。このことから、フラッパ弁が円滑に開閉作動し、フラッパ弁開閉速度が変化しなくなることから、洗浄水排出量がばらつくことがなく、より確実に一定量の洗浄水を排出できる効果がある。更に、支軸と突起部との位置関係に注意を払うことなく一体成形が可能となる上に突起部を支軸の片方にのみ形成すればよいので、より容易に生産することができ、より生産コストを低減する効果がある。
【0017】
請求項4記載の本発明によれば、前記排水弁本体部は、前記フラッパ弁の前記一対の係合部が係合する前記一対の支軸のうち、片側の支軸に下向きに突起部を設け、この突起部により、前記支軸に対する前記フラッパ弁の係合する範囲を規制することから、不適合品のフラッパ弁の係合部と突起部とが干渉することによって、不適合品のフラッパ弁の誤取付を防止することができる。更に、規格品のフラッパ弁を左右斜め上下方向に揺動しフラッパ弁を開閉作動させる際、その斜め上下方向の角度が大きくても、まず、引き上げ方向と反対側に突起部がある場合、引き上げ方向側の係合部は、当然突起部がないので、接触しない。一方で、引き上げ方向と反対側の係合部は、その上半部が、こじられるものの、突起部が下向きに設けられているので、接触せず、その下半部が、突起部から離反するようにこじられるので、突起部に接触しない。また、引き上げ方向側に突起部がある場合、引き上げ方向側の係合部は、突起部から離反する方向にずれるので接触しない。一方で、引き上げ方向と反対側の係合部は、当然突起部がないので、接触しない。これらのことから、どちらの場合においても、フラッパ弁が円滑に開閉作動し、フラッパ弁開閉速度が変化しなくなることから、洗浄水排出量がばらつくことがなく、一定量の洗浄水を排出できる効果がある。更に、支軸と突起部との位置関係に注意を払うことなく一体成形が可能となる上に突起部を支軸の片方にのみ形成すればよいので、より容易に生産することができ、より生産コストを低減する効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明では、便器を洗浄するための洗浄水を貯える洗浄水タンクに配設される排水弁装置であって、水平に突出した一対の支軸が設けられ、前記洗浄水タンクの底部に形成された排水口に取り付けられて便器への排水経路を形成する排水弁座を有する排水弁本体部と、上下揺動自在に前記支軸に係合する一対の係合部を有し、前記排水弁座の座面に離接することにより前記排水経路を開閉するフラッパ弁とを備え、前記排水弁本体部に、前記支軸に対する前記フラッパ弁の係合する範囲を規制する突起部を設け、この突起部は、少なくとも前記フラッパ弁が前記排水経路を閉鎖している場合は、前記フラッパ弁の前記係合部と当接し、前記フラッパ弁が引き上げられている場合は、前記フラッパ弁の前記係合部と当接しないよう構成する。
【0019】
更に、前記突起部は、前記支軸における先端から所定距離の位置に、下方へ向けて突設されていることにも特徴を有する。
【0020】
また、便器を洗浄するための洗浄水を貯える洗浄水タンクに配設される排水弁装置であって、水平に突出した一対の支軸が設けられ、前記洗浄水タンクの底部に形成された排水口に取り付けられて便器への排水経路を形成する排水弁座を有する排水弁本体部と、上下揺動自在に前記支軸に係合する一対の係合部を有し、前記排水弁座の座面に離接することにより前記排水経路を開閉するフラッパ弁とを備え、前記排水弁本体部は、前記フラッパ弁の前記一対の係合部が係合する前記一対の支軸のうち、前記フラッパ弁が引き上げられる方向と同側の支軸にのみ突起部を設け、この突起部により、前記支軸に対する前記フラッパ弁の係合する範囲を規制するよう構成する。
【0021】
また、便器を洗浄するための洗浄水を貯える洗浄水タンクと、水平に突出した一対の支軸が設けられ、前記洗浄水タンクの底部に形成された排水口に取り付けられて便器への排水経路を形成する排水弁座を有する排水弁本体部と、上下揺動自在に前記支軸に係合する一対の係合部を有し、前記排水弁座の座面に離接することにより前記排水経路を開閉するフラッパ弁と、前記フラッパ弁を、外部操作により引き上げて前記排水経路を開閉する操作部と、この操作部と前記フラッパ弁とを連結する線状連結部材とを具備する便器洗浄用タンク装置において、前記排水弁本体部は、前記フラッパ弁の前記一対の係合部が係合する前記一対の支軸のうち、片側の支軸に下向きに突起部を設け、この突起部により、前記支軸に対する前記フラッパ弁の係合する範囲を規制するよう構成する。
【実施例】
【0022】
以下に、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。図1は本発明に適用した便器洗浄用タンク装置100の概略を示す図であって、排水前の正面断面図である。
【0023】
図1に示すように、便器洗浄用タンク装置100は、図示しない便器に装着されて、この便器の種類に応じて洗浄水タンク10からの排水量を調整するものであり、例えば、排水量を小水量(例えば、6L)と大水量(例えば、8L)との間で切替える調整を行うものである。この便器洗浄用タンク装置100は、図示しない便器へ供給するための洗浄水を貯留する。洗浄水タンク10と、洗浄水タンク10内に水を供給して貯える給水装置20と、洗浄水タンク10内に貯えられた便器を洗浄するための洗浄水を図示しない便器に向けて排出する排水弁装置30とを有している。
【0024】
洗浄水タンク10は、外観視略矩形箱状を形成しており、図示しない給水源から供給された洗浄水を貯留すると共に、この洗浄水を図示しない便器へ向けて排水するためのものである。
【0025】
給水装置20は、洗浄水タンク10の底部10aから鉛直上方に向けて延設され図示しない給水源と接続された給水管21と、給水管21の上端部に配設された給水管21から洗浄水タンク10へ吐水・止水を切替える給水バルブ22と、洗浄水タンク10内の水位の変動に応じた上下動に伴って給水バルブ22による吐水・止水の切替えを行うフロート部23とを有している。
【0026】
給水装置20は、また、その一端をダイヤフラム式の弁内蔵の給水バルブ22の上端に回動自在に支持され、回動によって給水バルブ22の開閉を切替えることで給水バルブ22から吐水・止水を切替えると共に、他端にフロート部23を吊支したテコ式レバー24とを有し吐水管27により給水バルブ22の側面に突設され給水バルブ22からの吐水を洗浄水タンク10の底部10aに向けて下方に吐水する。
【0027】
給水管21は、図示しない給水源に接続され、給水源からの水圧によって、洗浄水タンク10に向けて吐水を行うようになっている。
【0028】
フロート部23は、洗浄水タンク10内の洗浄水の水位が低下したときに下降することによりテコ式レバー24を介して給水バルブ22を開く一方で、洗浄水タンク10内の洗浄水の水位が上昇したときに上昇することにより給水バルブ22を閉じるように上下動するようになっている。
【0029】
吐水管27は、吐水を行う方向である下方に向けて開口している。この吐水管27から吐水された洗浄水は、排水弁装置30による排水により水位が低下した洗浄水タンク10内に補充され、これにより、洗浄水タンク10内が所定の満水時の水位に維持されるようになっている。吐水管27は、また、その中途位置で分岐して後述のオーバーフロー管38の上端開口38aに向けて延出し、この上端開口38aから所定の距離だけ下方に挿通されるリフィール管28を有している。
【0030】
従って、給水装置20においては、排水弁装置30により、洗浄水タンク10内の洗浄水が便器に向けて排水されると、水位の低下に伴ってフロート部23が下降し、テコ式レバー24が下方に回動して給水バルブ22が開き、吐水管27から吐水が開始され、洗浄水タンク10へ給水が開始される。一方、給水の継続により水位が上昇するのに伴い、フロート部23が上昇し、テコ式レバー24が上方に回動して給水バルブ22が閉じ、吐水管27の止水が実行される。これにより、洗浄水タンク10内を所定の満水時の水位に維持する。
【0031】
次に、排水弁装置30について説明する。排水弁装置30は、図1に示すように、洗浄水タンク10の側壁に支持された操作レバー装置31と、一端を操作レバー装置31に固定され洗浄水タンク10内に略水平方向に延在し操作レバー装置31の操作に伴って回転する回転軸32とを有している。
【0032】
排水弁装置30は、また、回転軸32の他端から垂下された連結部としての線状連結部材33と、線状連結部材33の下端が係止されたフラッパ弁34と、フラッパ弁34から上方に所定の距離をおいて線状連結部材33に固定されたフロート35と、フロート35の上方にて線状連結部材33に係止された係止部材としての止輪35aと、線状連結部材33のフロート35とフラッパ弁34との間に所定の幅を持って介設され、止輪35aと共にフロート35を挟持するスリーブ36と、洗浄水タンク10の底部10aに配設されフラッパ弁34によって開閉される排水口37と、排水口37の周縁部上面に形成された排水弁座37a及びこの排水弁座37aの内部通路である排水経路37bに連通連設したオーバーフロー管38からなる排水弁本体部30aとを有している。
【0033】
オーバーフロー管38は、洗浄水タンク10内の過剰な洗浄水を排水するものであり、略円筒形状に形成されており、フラッパ弁34で開閉する排水口37の周縁部上面に形成された排水弁座37aの排水経路37bの横側方に横管を介して連通連設されている。本実施形態では、このオーバーフロー管38の下端部に、前記フラッパ弁34を上下に回動自在に支持している。
【0034】
洗浄水タンク10の側壁に所定の固定具を介して回転自在に支持された操作レバー装置31は、便器洗浄用タンク装置100の使用者の回転動作を回転軸32に伝達する操作レバー31aと、回転動作後の操作レバー31a及び回転軸32が元の位置に戻る際に抵抗力を発生させるダンパ機能を備えた操作レバー調整部31bとを有している。
【0035】
線状連結部材33は、その上端を回転軸32の操作レバー31aが接続された端部と反対側の端部に係止されており、下端をフラッパ弁34の上面に接続されており、操作部が受けた前述の操作をフラッパ弁34に伝達するために、操作部とフラッパ弁34とを連結している。操作部の操作により、回転軸32の回転を介して線状連結部材33が上方に引き上げられると、これによってフラッパ弁34が上方へ引き上げられる。このとき、線状連結部材33は、フラッパ弁34の上面に接続され、フラッパ弁34を上方へ引き上げる紐状の引き上げ部材として機能する。
【0036】
フラッパ弁34は、例えば、合成樹脂等の弾性のある素材で形成されており、その放射方向外側の下面に排水口37の排水弁座37a上端の座面に着座するシール面34aを備えた外観視略円板状の弁体51と、一端で弁体51を支持し、他端においてオーバーフロー管38下端部に突設された左右一対の支軸39に上下回動自在に枢支した一対の伸延連結部52とを有している。
【0037】
このように、フラッパ弁34は、オーバーフロー管38の下端部に突設された左右一対の支軸39に枢支され、この支軸39を中心として上下に回動することにより排水口37の排水弁座37aの排水経路37bを開閉するようになっている。
【0038】
すなわち、フラッパ弁34を、左右一対の支軸39を中心として上方に回動してシール面34aを排水口37の排水弁座37a上端の座面から離反することにより、図2に示す排水口37を開放した状態となる。一方、この開放状態からフラッパ弁34を、支軸39を中心として下方に回動してシール面34aを排水口37の排水弁座37a上端の座面に着座することにより、図1に示す排水口37を閉塞した状態となる。
【0039】
排水口37は、洗浄水タンク10の底部10aの略中央に、底部10aから所定の高さを持って配設されており、フラッパ弁34の開弁状態で洗浄水タンク10内の洗浄水を図示しない配管を介して便器に向かって排水するようになっている。
【0040】
オーバーフロー管38は、前述のようにその下端部が、横管及び排水経路37bを介して排水口37に連通しており、その上端開口38aから洗浄水タンク10内の過剰な洗浄水、すなわち満水時の水位を超える分の洗浄水を、排水口37を介して排水するようになっている。また、オーバーフロー管38は、その上端の上端開口38aから所定の距離だけ下方に挿通されたリフィール管28から供給される水を、便器に備えられた図示しないトラップ部を満たすために供給するようになっている。
【0041】
以上のように構成された便器洗浄用タンク装置100において、排水動作は、次のようになされる。
【0042】
図1に示すように、便器洗浄用タンク装置100は、洗浄水タンク10内に貯留している洗浄水の水位が満水時の水位となっており、フラッパ弁34の閉弁状態としている。この状態では、フロート35は、洗浄水中に没した状態であり浮力を生じている。フロート35は、満水時の水位にある洗浄水の水圧に基づきフラッパ弁34に対して加える略鉛直下方の力より小さい浮力しかフラッパ弁34に加えないから、フラッパ弁34は、フロート35の浮力が加えられても閉弁状態を維持している。
【0043】
この状態から、図示しない便器の洗浄をするために、操作レバー31aを回転させると、回転軸32の回転を介して線状連結部材33が上方に引き上げられ、これによりフラッパ弁34の一端が引き上げられる。
【0044】
そして、フラッパ弁34は、図2に示すように、左右一対の支軸39を中心として上方に回動して、排水口37を開放した開弁状態となり、排水口37から図示しない便器への洗浄水の排水が開始され、洗浄水タンク10内の洗浄水の水位は、満水時の水位から低下し始める。
【0045】
その後、洗浄水タンク10内の洗浄水の水位が低下し所定の高さ位置に到達するまでの間、フロート35の浮力により、フラッパ弁34の開弁状態が維持される。
【0046】
洗浄水の水位がフロート35の高さ位置に到達し、フロート35の一部が水面から露出した状態となると、フロート35の浮力は急激に減少して、排水口37の吸引力によりフラッパ弁34は、左右一対の支軸39を中心として下方に回動して、排水口37を閉塞した閉弁状態となる。すなわち、排水口37には、洗浄水の流出により、フラッパ弁34を下方に回動させるような負圧が発生するから、この負圧による力を受けてフラッパ弁34が閉弁状態となる。
【0047】
フラッパ弁34が閉弁状態となることにより、排水口37から便器への洗浄水の排水が終了し、このときの洗浄水の水位は、小水量洗浄の場合には、小水量洗浄水時における死水時の水位となっている。
【0048】
上記のように構成された便器洗浄用タンク装置100において、本発明の要旨となるのは、突起部39aを設けたことにある。
【0049】
以下、具体的に本発明の要旨の実施例を詳説する。
【0050】
図1に示すように、排水口37の周縁部上面に形成された排水弁座37aの側壁中途には、オーバーフロー管38下部のエルボ状の横管が連通連設されて、一体となって排水弁座37aを構成している。すなわち、排水弁座37aの横側方には横管を介してオーバーフロー管38が立設されている。オーバーフロー管38の継管下部の両側面には、左右一対の支軸39が突設されており、この一対の支軸39に排水弁座37aの排水経路37bを開閉するためのフラッパ弁34が枢支連結されている。なお、一対の左右支軸39は、排水弁座37aの横側方上部の両側面に突設されることもある。つまり、フラッパ弁34が枢支係合する左右一対の支軸39は、排水弁本体部30aに突設される。
【0051】
すなわち、図3に示すように、フラッパ弁34は、その基部において左右一対の伸延連結部52が連設され、その各先端には、左右一対の伸延連結部52と左右一対の支軸39とを連結するための係合部53がそれぞれ形成されている。
【0052】
係合部53は、伸延連結部52に比し、膨大部としており、中央に支軸挿貫用の軸孔54を穿設し、軸孔54は、下方を一部切欠して支軸39の自由端から挿入しやすくしている。
【0053】
なお、支軸39の自由端は、係合部53の離脱防止のため上方に折曲したストッパ39bを設けている。
【0054】
また、図4に示すように、一対の支軸39の軸芯よりも上側部の一部を除いた位置には、突起部39aを設け、一対の支軸39上におけるフラッパ弁34を規定の係合範囲を規制しており、規定規格外のフラッパ弁34、すなわち不適合品のフラッパ弁34を装着しようとしても突起部39aの位置が干渉して規定外の不適合であるフラッパ弁34の係合部53を支軸39に装着できないようにしている。
【0055】
このように、突起部39aにより、一対の支軸39上におけるフラッパ弁34の規定の係合範囲を規制することができ、例えば、洗浄水タンク10の底部10aの排水口37に設けた排水弁座37aに適合しないフラッパ弁34を誤って取替え装着しようとしても、突起部39aの位置が支軸39上におけるフラッパ弁34の規定の係合範囲を予め規制しているため、不適合品のフラッパ弁34は、この突起部39aが干渉して支軸39に取替え装着ができないことになっている。そして、取り付けられた適合品のフラッパ弁34の係合部53は、前記フラッパ弁34が前記排水経路37bを閉鎖している場合は、前記突起部39aと当接することがあったとしても、少なくとも前記フラッパ弁34が引き上げられている場合は、前記突起部39aと当接しない。このことから、規格品のフラッパ弁34の係合部53は、フラッパ弁34開閉作動時においては、左右とも突起部39aに接触し難くなり、フラッパ弁34が円滑に開閉作動し、フラッパ弁34の開閉速度が変化しなくなることから、洗浄水排出量がばらつくことがなく、一定量の洗浄水を排出できる。
【0056】
しかも、突起部39aは、支軸39の軸芯よりも上側部の一部を除いた位置に設けられているため、図11と図12に示すように、フラッパ弁34が排水弁座37aの排水経路37b開閉の操作にともなって開閉揺動する際に斜め方向からの開弁操作応力が付与されて、斜め引き上げ方向の反対側支軸においては、フラッパ弁34に偏奇荷重がかかっても、支軸39の下方向きの突起部39aにフラッパ弁34の係合部53が当接しにくくなり、フラッパ弁34の開閉にともなう係合部53の回動に干渉することなく、円滑にフラッパ弁34の開閉弁操作が行え、洗浄水タンク10からの適量の排水が行えるものである。
【0057】
また、フラッパ弁34が引き上げられる斜め方向側の支軸39においては、支軸39に突設した突起部39aと支軸先端のストッパ39bとの間では、その間に係合部53を係合しても一定の余裕のある幅員としているため、係合部53は、ストッパ39b側に逃げて突起部39aと離反して接触しない。
【0058】
なお、フラッパ弁34の開弁時の斜め引き上げ方向側の支軸39において、係合部53の突起部39a側の面が、支軸39の軸芯より下半部が突起部39a側に傾き、係合部53の下半部と突起部39a側面とが接触する場合が生起する場合が仮にあっても、係合部53の下半部、すなわち、伸延連結部52に連設した係合部53の最先端部53aが突起部39a側面に接触する際、係合部53の最先端部は、支軸39を中心とした回動時のトルクが最大となり、少々の下方突出の突起部39a側面との接触がフラッパ弁34の開弁動作に支障とならない。
【0059】
前述における、支軸39の軸芯よりも上側部の一部を除いた位置とは、フラッパ弁34を斜め上下方向に揺動させながら開閉作動させた場合において、フラッパ弁34の係合部53が支軸39を中心に回動する際に支障とはならない位置をいう。すなわち、係合部53と突起部39aとが略干渉しない位置をいう。
【0060】
以下に、支軸39の軸芯よりも上側部の一部を除いた位置に突起部39aを形成した変形例について説明する。
【0061】
図5は、第一変形例を示すものであり、左右一対の支軸39に左右の突起部39aを下方に突設する点では、前述の実施例と同様であるが、本変形例では、左右の突起部39aが左右の支軸39の基部下側面と支軸基部が連設されたオーバーフロー管38の周側面とにわたって突起部39aが設けられていることに特徴を有する。
【0062】
すなわち、左右の突起部39aは、フラッパ弁34の規定の規格大きさ、換言すれば、規定の左右伸延連結部52の間隔に合致する左右の左右位置に配設されており、かつ、オーバーフロー管38の周側面にまたがって支軸基部下方に突設されていることになる。
【0063】
かかる構成とすることにより、オーバーフロー管38への支軸39の連設部分を補強することができ、かつ、フラッパ弁34の係合部53とのこじりを解消して、斜め上方に引き上げ開弁されるフラッパ弁34の開閉弁操作を円滑にして排水機能を正しく果たすことができるようになる。
【0064】
このことから、フラッパ弁34の開閉速度が変化しなくなることから、洗浄水排出量がばらつくことがなく、洗浄水タンク10から一定量の洗浄水を排出できる。
【0065】
前記した実施例及び第一変形例、すなわち、突起部39aを支軸39下方に突設する形態とした場合は、一体成形が可能となり生産性が向上し、コスト上に有利となり、更には、例えば、オーバーフロー管38や排水弁座37aに突起部39aを形成する場合に比し係合範囲規制のための支軸39と突起部39aとの位置関係に注意を払うことなく一体成形時にこれらの位置関係が完成する効果がある。
【0066】
また、図6に示すものは、第二変形例であり、左右の突起部39aを支軸39ではなく、オーバーフロー管38の周側面に支軸39に沿って支軸39の下方位置において突設するものである。
【0067】
すなわち、この第二変形例の突起部39aは、その左右長さを規格適合のフラッパ弁34における伸延連結部52の係合部53の間隔と合致する長さとしており、しかも、支軸39の下側面との間に一定間隔を保持して支軸39の長手方向に沿って支軸基部下方のオーバーフロー管38の周側面に突設している。
【0068】
かかる構成とすることにより、この突起部39aによって、規格適合のフラッパ弁34の係合部53のみしか支軸39に係合することができず、しかも、支軸39の下方に一定の間隔を保持して突起部39aが配設されているので、フラッパ弁34の斜め上方引き上げによる開弁操作により係合部53の最先端部53aが回動してもフラッパ弁34の斜め上方引き上げ方向とは反対側の支軸39においては突起部39a側の係合部53側面は、下方位置にある突起部39a側面と接することはなく、また、フラッパ弁34の斜め引き上げ方向側の支軸39においては、一般に支軸39先端部のストッパ39b方向に係合部53が逃げるので突起部39aと接することはないが、仮に、突起部39a側面と係合部53の下半部側面とが接触することがあっても、突起部39aの位置がフラッパ弁34の規定の係合範囲内において可及的下方に位置することになるため、接触面積は小さく、かつ、係合部53の下半部、すなわち係合部最先端部53aの回転トルクが大きいことから係合部53の回動、すなわち、フラッパ弁34の開閉弁作動に支障とならない。
【0069】
このことから、フラッパ弁34が円滑に開閉作動し、フラッパ弁34の開閉速度が変化しなくなり、その結果として洗浄水排出量がばらつくことがなく、洗浄水タンク10から一定量の洗浄水を排出できる。
【0070】
前記した実施例や第一変形例や第二変形例においては、左右一対の支軸39に、左右一対の突起部39aを下方向きに突設し、あるいは突起部39aを支軸39下方において支軸39に沿ってオーバーフロー管38の周側面に突設したものを例示したが、突起部39aは左右一対に設ける場合以外に、片方にだけ設けることも可能である。
【0071】
すなわち、図7に示すものは、第三変形例であり、線状連結部材33によりフラッパ弁34を斜め上方に引き上げて開弁する場合に、フラッパ弁34の引き上げ方向と反対側に位置する支軸39にのみ突起部39aを下向きに突設し、あるいはフラッパ弁34の引き上げ方向と反対側に位置する支軸39に沿ってその下方のオーバーフロー管38周側面にのみ突起部39aを突設することができる。
【0072】
かかる片方の突起部39aにおいては、フラッパ弁34の規定の係合範囲を規制することができると同時に、フラッパ弁34開弁時の係合部53の回動に突起部39aが干渉することなく円滑にフラッパ弁34の開弁作動が可能となるものであり、特に、他方の係合部53には、突起部39aが全く存在しないため、フラッパ弁34の引き上げ方向において係合部53が傾斜回動しても、その動きに支障となるものがなく、フラッパ弁34の開弁作動がより円滑に行えるものである。
【0073】
また、片方だけの突起部39aの変形例においては、前記したように線状連結部材33によりフラッパ弁34を斜め上方に引き上げて開弁する場合において、引き上げ方向と反対側に位置する支軸39にのみ、あるいは反対側の支軸39下方においてオーバーフロー管38周側面にのみ突起部39aを下方に向けて設ける第三変形例以外に、図8に示すように、第四変形例として、フラッパ弁34の斜め上方引き上げ方向側の支軸39にのみ、あるいは、その支軸39の下方においてオーバーフロー管38周側面にのみ突起部39aを設けることも可能である。
【0074】
すなわち、フラッパ弁34引き上げ方向側の支軸39に関連して突起部39aを設ける場合、係合部53は、フラッパ弁34引き上げ方向側に逃げて引き上げ方向側の支軸39先端部であるストッパ39bに移動しがちとなり、可及的に突起部39aから離反する動きとなり、仮に係合部53の先端から回転時に突起部39aに一部接触しても、その係合部53先端の回動トルクは大きいためフラッパ弁34の開弁操作に支障とならない。
【0075】
このことから、フラッパ弁34が円滑に開閉作動し、フラッパ弁34の開閉速度が変化しなくなることから、洗浄水排出量がばらつくことがなく、洗浄水タンク10から一定量の洗浄水を排出できる。更に、支軸39と突起部39aとの位置関係に注意を払うことなく一体成形が可能となる上に突起部39aを支軸39の一方にのみ形成すればよいので、より容易に生産することができ、より生産コストを低減する効果がある。
【0076】
図9は、第五変形例を示すものであり、左右の突起部39aが左右の支軸39の基部下側面と支軸基部が連設されたオーバーフロー管38の周側面とにわたって突起部39aが形成されている点では、前述の第一変形例と同様であるが、本変形例では、支軸39の軸芯より上側部の一部を除いた位置にまで突起部39aが設けられていることに特徴を有する。
【0077】
すなわち、左右の突起部39aは、フラッパ弁34の規定の規格大きさ、換言すれば、規定の左右伸延連結部52の間隔に合致する左右の左右位置に配設されており、かつ、オーバーフロー管38周側面にまたがって支軸基部下方に突設され、更に、支軸39の軸芯より上側部の一部を除いた位置にまで形成されている。
【0078】
かかる構成とすることにより、オーバーフロー管38への支軸39の連設部分をより確実に補強することができ、かつ、フラッパ弁34の係合部53とのこじりを解消して、斜め上方に引き上げ開弁されるフラッパ弁34の開閉弁操作を円滑にして排水機能を正しく果たすことができるようになる。
【0079】
つまり、フラッパ弁34の開閉速度が変化しなくなることから、洗浄水排出量がばらつくことがなく、洗浄水タンク10から一定量の洗浄水を排出できる。
【0080】
また、図10は、第六変形例を示すものであり、左右の突起部39aを支軸39ではなく、オーバーフロー管38の周側面に支軸39に沿って突設する点では、第二変形例と同様であるが、本変形例では、支軸39の軸芯よりも上側部における係合部53と突起部39aとが干渉しない位置に突設したことに特徴を有する。
【0081】
すなわち、この第六変形例の突起部39aは、その左右長さを規格適合のフラッパ弁34における伸延連結部52の係合部53の間隔と合致する長さとしており、しかも、支軸39の上側面との間に一定間隔を保持して支軸39の長手方向に沿って支軸39の中心よりも係合部53の回動上手側、回動方向側においてオーバーフロー管38の周側面に突設されている。
【0082】
かかる構成とすることにより、この突起部39aによって、規格適合のフラッパ弁34の係合部53のみしか支軸39に係合することができず、しかも、支軸39の斜め上方に一定の間隔を保持して突起部39aが配設されているので、フラッパ弁34の斜め上方引き上げによる開弁操作により係合部53の最先端部53aが回動してもフラッパ弁34の斜め上方引き上げ方向とは反対側の支軸39においては、突起部39a側の係合部53側面は、斜め上方位置にある突起部39a側面と接するが、突起部39aが支軸39を中心にフラッパ弁34とは反対側に位置することから、接触面積は小さいので、係合部53の回動、すなわち、フラッパ弁34の開閉弁作動に支障とならない。また、フラッパ弁34の斜め引き上げ方向側の支軸39においては、一般に支軸39先端部のストッパ39b方向に係合部53が逃げる上に、係合部53が突起部39aと離反するようにこじられるので、突起部39aと接することはない。
【0083】
このことから、フラッパ弁34が円滑に開閉作動し、フラッパ弁34の開閉速度が変化しなくなり、その結果として洗浄水排出量がばらつくことがなく、洗浄水タンク10から一定量の洗浄水を排出できる。
【0084】
実施例や各変形例における突起部39aの形状や材質は、適合する規格品のフラッパ弁34の開閉動作において支障とならないように最適に選択される。例えば、形状については、支軸39において下方向きに突設された突起部39aの形状を円柱状とすることや、突起部39aをオーバーフロー管38の周側面に支軸39に沿って支軸39の下方位置において突設させる場合にその突起部39aの先端を半球状などの滑らかな形状とすることで、突起部39aとフラッパ弁34の係合部53とが接触場合の接触面積を可及的に小さくできる。
【0085】
また、材質については、例えば、突起部39aと係合部53とが接触しても円滑にフラッパ弁34が開閉動作する合成樹脂とすることもできる。
【0086】
このことから、フラッパ弁34の開閉弁操作が円滑になり、その開閉速度が変化しなくなることで、洗浄水排出量がばらつくことがなく、洗浄水タンク10から一定量の洗浄水を排出できる。
【0087】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。例えば、本件発明では、突起部39aは、オーバーフロー管38や排水弁座37aの側面に設けられているが、オーバーフロー管38近傍の排水弁座37aの上端面から上向きに立設するように設けても良い。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明に適用した便器洗浄用タンク装置の排水前の正面断面を示した概略図である。
【図2】本発明に適用した便器洗浄用タンク装置の排水中の正面断面を示した概略図である。
【図3】本発明に適用した便器洗浄用タンク装置のフラッパ弁を示した図である。
【図4】本発明の実施形態にかかる突起部を示した図である。
【図5】本発明の実施形態にかかる突起部の第一変形例を示した図である。
【図6】本発明の実施形態にかかる突起部の第二変形例を示した図である。
【図7】本発明の実施形態にかかる突起部の第三変形例を示した図である。
【図8】本発明の実施形態にかかる突起部の第四変形例を示した図である。
【図9】本発明の実施形態にかかる突起部の第五変形例を示した図である。
【図10】本発明の実施形態にかかる突起部の第六変形例を示した図である。
【図11】本発明に適用した便器洗浄用タンク装置のフラッパ弁が斜め上方に引き上げられることを示した概略図である。
【図12】図11における係合部と突起部との関係を示した模式図である。
【符号の説明】
【0089】
10 洗浄水タンク
10a 底部
20 給水装置
21 給水管
22 給水バルブ
23 フロート部
24 テコ式レバー
27 吐水管
28 リフィール管
30 排水弁装置
30a 排水弁本体部
31 操作レバー装置
31a 操作レバー
31b 操作レバー調整部
32 回転軸
33 線状連結部材
34 フラッパ弁
34a シール面
35 フロート
35a 止輪
36 スリーブ
37 排水口
37a 排水弁座
37b 排水経路
38 オーバーフロー管
38a 上端開口
39 支軸
39a 突起部
39b ストッパ
51 弁体
52 伸延連結部
53 係合部
53a 係合部の最先端部
54 軸孔
100 便器洗浄用タンク装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器を洗浄するための洗浄水を貯える洗浄水タンクに配設される排水弁装置であって、
水平に突出した一対の支軸が設けられ、前記洗浄水タンクの底部に形成された排水口に取り付けられて便器への排水経路を形成する排水弁座を有する排水弁本体部と、
上下揺動自在に前記支軸に係合する一対の係合部を有し、前記排水弁座の座面に離接することにより前記排水経路を開閉するフラッパ弁と、
を備え、
前記排水弁本体部に、前記支軸に対する前記フラッパ弁の係合する範囲を規制する突起部を設け、この突起部は、少なくとも前記フラッパ弁が前記排水経路を閉鎖している場合は、前記フラッパ弁の前記係合部と当接し、前記フラッパ弁が引き上げられている場合は、前記フラッパ弁の前記係合部と当接しないことを特徴とする排水弁装置。
【請求項2】
前記突起部は、前記支軸における先端から所定距離の位置に、下方へ向けて突設されていることを特徴とする請求項1記載の排水弁装置。
【請求項3】
便器を洗浄するための洗浄水を貯える洗浄水タンクに配設される排水弁装置であって、
水平に突出した一対の支軸が設けられ、前記洗浄水タンクの底部に形成された排水口に取り付けられて便器への排水経路を形成する排水弁座を有する排水弁本体部と、
上下揺動自在に前記支軸に係合する一対の係合部を有し、前記排水弁座の座面に離接することにより前記排水経路を開閉するフラッパ弁と、
を備え、
前記排水弁本体部は、前記フラッパ弁の前記一対の係合部が係合する前記一対の支軸のうち、前記フラッパ弁が引き上げられる方向と同側の支軸にのみ突起部を設け、この突起部により、前記支軸に対する前記フラッパ弁の係合する範囲を規制することを特徴とする排水弁装置。
【請求項4】
便器を洗浄するための洗浄水を貯える洗浄水タンクと、
水平に突出した一対の支軸が設けられ、前記洗浄水タンクの底部に形成された排水口に取り付けられて便器への排水経路を形成する排水弁座を有する排水弁本体部と、
上下揺動自在に前記支軸に係合する一対の係合部を有し、前記排水弁座の座面に離接することにより前記排水経路を開閉するフラッパ弁と、
前記フラッパ弁を、外部操作により引き上げて前記排水経路を開閉する操作部と、
この操作部と前記フラッパ弁とを連結する線状連結部材と、
を具備する便器洗浄用タンク装置において、
前記排水弁本体部は、前記フラッパ弁の前記一対の係合部が係合する前記一対の支軸のうち、片側の支軸に下向きに突起部を設け、この突起部により、前記支軸に対する前記フラッパ弁の係合する範囲を規制することを特徴とする便器洗浄用タンク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−243239(P2009−243239A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−94035(P2008−94035)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】