説明

排水栓装置

【課題】簡素化されたロック機構において、排水口の開状態におけるロックが意図せず解除されてしまうという事態をより確実に防止できる排水栓装置を提供する。
【解決手段】排水栓装置は、プランジャー81と、プランジャー81に支持される栓蓋9と、操作ハンドルを有する操作機構と、操作ハンドルの変位をプランジャー81に伝達する伝達部材4とを備える。係止部を有する内周ガイド部材と、第2被係止部を有するハンドル支持部材とを具備し、係止部を第2被係止部に係止することで排水口103が開状態でロックされる。プランジャー81は、蓋軸811と、外筒812と、ショックアブソーバースプリング813とを備え、ショックアブソーバースプリング813の最大反発力よりも第2被係止部に対する係止部の係止力が大きくされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、槽体の排水口に設けられた栓蓋を動作させるための排水栓装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、槽体(例えば、浴槽など)のオーバーフロー口に設けられた操作機構を動作させることで、遠隔操作により栓蓋を上下動(すなわち排水口を開閉)させる排水栓装置が知られている(例えば、特許文献1等参照)。具体的には、排水栓装置は、栓蓋を槽体に対して上下動可能に支持するプランジャーと、槽体やその近傍の構造物に取付けられ、槽体等に対して変位可能な操作ハンドルを有する操作機構と、操作ハンドル及びプランジャー間に設けられ、操作ハンドルの変位をプランジャーひいては栓蓋に伝達する伝達部材とを備えている。
【0003】
また、排水口の開状態におけるロック(栓蓋を上動させ、排水口が開いた状態で栓蓋の下動を規制すること)を実現すべく、排水栓装置には、ロック機構が設けられる。ロック機構としては、スラストロック機構が一般に知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4287128号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、スラストロック機構は構造が複雑であり、製造コストの増大を招いてしまうおそれがある。そこで、凸状又は凹状をなす係止部を具備してなる第1部材と、前記係止部が係止可能な被係止部を有する第2部材とを設けるとともに、第1部材及び第2部材の一方が操作ハンドルの変位により動作するように構成し、操作ハンドルを所定の位置(排水口を開く際の位置)に移動させることで栓蓋を上動させるとともに、係止部を被係止部に係止することで排水口の開状態におけるロックを実現する手法が考えられる。当該手法によれば、ロック機構の簡素化を図ることができ、製造コストの低減を期待できる。
【0006】
しかしながら、上記手法では、排水口が開状態でロックされているとき(すなわち、栓蓋が上方に位置しているとき)に、栓蓋を誤って踏んでしまった場合等において、栓蓋に対して下方側に向けた力が加わると、第1部材及び第2部材のうち操作ハンドルの変位により動作する側に、伝達部材を介して力が加わってしまう。そのため、被係止部に対する係止部の係止が解除されてしまい(つまり、排水口の開状態におけるロックが解除されてしまい)、栓蓋が閉じてしまうおそれがある。その結果、槽体に意図せず水が溜まってしまうという事態が生じ得る。
【0007】
本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、その目的は、簡素化されたロック機構において、排水口の開状態におけるロックが意図せず解除されてしまうという事態をより確実に防止することができる排水栓装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下、上記目的を解決するのに適した各手段につき、項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果を付記する。
【0009】
手段1.槽体に対して上下動可能なプランジャーと、
前記プランジャーに支持され、前記槽体の排水口を開閉可能な栓蓋と、
前記槽体又はその近傍の構造物に取付けられ、前記槽体又は前記構造物に対して変位可能な操作ハンドルを有する操作機構と、
前記操作ハンドル及び前記プランジャー間に設けられ、前記操作ハンドルの変位を前記プランジャーに伝達する伝達部材とを備える排水栓装置であって、
凸状又は凹状をなす1又は複数の係止部を有する第1部材と、前記係止部が係止可能な被係止部を有する第2部材とを具備するロック機構を備え、
前記第1部材及び前記第2部材の一方は、前記操作ハンドルの変位により動作し、前記操作ハンドルを所定の位置に移動させ、前記係止部を前記被係止部に係止することで前記排水口が開状態でロックされ、
前記排水口が開状態であるときに前記栓蓋に下方側への力を加えることで、前記第1部材及び前記第2部材のうち前記操作ハンドルの変位により動作する側には、前記伝達部材を介して力が加わり、
前記プランジャーは、
前記伝達部材の端部が当接する蓋軸と、
前記蓋軸の外周に配置され、前記栓蓋を支持する外筒と、
自身の一端部が前記蓋軸に当接するとともに、自身の他端部により前記外筒を支持するショックアブソーバースプリングとを備え、
前記ショックアブソーバースプリングの最大反発力よりも前記被係止部に対する前記係止部の係止力が大きいことを特徴とする排水栓装置。
【0010】
尚、「ショックアブソーバースプリングの最大反発力」とあるのは、排水口が開状態でロックされているときに栓蓋に力が加わり、栓蓋が槽体や槽体に設けられる排水口部材に接触したときなど、排水口の開状態でのロック時において栓蓋のそれ以上の下動が規制されたとき(つまり、プランジャー内に配置されたショックアブソーバースプリングが最も圧縮変形したとき)におけるショックアブソーバースプリングで生じる反発力を意味する。
【0011】
また、「被係止部に対する係止部の係止力」とあるのは、伝達部材のプランジャー側の端部に力を加えた際に、被係止部から係止部が外れるときの力をいう。例えば、伝達部材の外周に所定の部品(筒状の外皮など)が配置され、前記部品の内部において当該部品に接触しながら伝達部材が押し引き可能に構成されている場合、「被係止部に対する係止部の係止力」とあるのは、第1部材及び第2部材のうち操作ハンドルの変位により動作する側に力を加えたときに被係止部から係止部が外れるときの力と、伝達部材及び前記部品間で発生する摩擦力との和ということができる。
【0012】
上記手段1によれば、係止部を被係止部に係止することで、排水口の開状態におけるロックがなされるように構成されている。すなわち、スラストロック機構などの複雑な構造を利用することなく、排水口の開状態におけるロックを簡易な構造で実現することができる。その結果、製造コストの低減を図ることができる。
【0013】
一方で、上記手段1のロック機構においては、栓蓋の開時において、誤って栓蓋を踏みつけてしまったとき等には、伝達部材を介してロック機構が動作してしまい、排水口の開状態が解除され、排水口が意図せず閉じてしまうことが懸念される。
【0014】
この点、上記手段1によれば、栓蓋を支持するプランジャーの内部にショックアブソーバースプリングが設けられるとともに、ショックアブソーバースプリングの最大反発力よりも被係止部に対する係止部の係止力(ロック力)が大きくなるように構成されている。従って、誤って栓蓋を踏みつけてしまったとき等において、排水口が閉じてしまうことをより確実に防止でき、ひいては槽体に意図せず水が溜まってしまうという事態をより確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】排水栓装置の構成を示す一部破断斜視図である。
【図2】排水口に設けられた支持軸部材等を示す部分拡大断面図である。
【図3】排水口の閉時における操作ハンドル等を示す一部破断斜視図である。
【図4】排水口の開時における操作ハンドル等を示す一部破断斜視図である。
【図5】操作機構等の構成を示す分解斜視図である。
【図6】操作ハンドルの内部構成を示す部分拡大断面図である。
【図7】浴槽に設けられた操作ハンドルを示す斜視図である。
【図8】排水口の閉時における操作ハンドル等を示す斜視図である。
【図9】排水口の開時における操作ハンドル等を示す斜視図である。
【図10】ハンドル支持部材等の構成を示す分解斜視図である。
【図11】(a),(b)は、ハンドル支持部材の背面斜視図である。
【図12】内周ガイド部材の構成を示す斜視図である。
【図13】外周ガイド部材の構成を示す斜視図である。
【図14】支持軸部材等の構成を示す分解斜視図である。
【図15】排水口の開時における栓蓋駆動機構等を示す部分拡大断面図である。
【図16】ショックアブソーバースプリングの圧縮変形時における栓蓋駆動機構等を示す部分拡大断面図である。
【図17】別の実施形態におけるハンドル支持部材等の構成を示す分解斜視図である。
【図18】(a),(b)は、別の実施形態におけるハンドル支持部材の背面斜視図である。
【図19】別の実施形態における内周ガイド部材の構成を示す斜視図である。
【図20】別の実施形態におけるハンドル支持体の内部構成を示す透視模式図である。
【図21】別の実施形態におけるカバー部材の構成を示す一部破断斜視図である。
【図22】別の実施形態において、排水口が閉状態にあるときの操作ハンドルやカバー部材等を示す斜視図である。
【図23】別の実施形態において、排水口が開状態にあるときの操作ハンドルやカバー部材等を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、一実施形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態において、排水栓装置1は、図1に示すように、操作機構2、伝達部材(例えばワイヤー)4、オーバーフロー口部材5、支持軸部材6、排水口部材7、栓蓋駆動機構8、及び、栓蓋9を備えており、槽体としての浴槽100に取付けられている。
【0017】
浴槽100は、成形品であり、底壁部101と、当該底壁部101の外周に立設された側壁部102とを備えている。また、底壁部101には、浴槽100内の水を排出するための排水口103が設けられており、側壁部102の上部には、浴槽100からのオーバーフローを防止するためのオーバーフロー口104が設けられている。尚、本実施形態では、側壁部102が浴室の壁面(図示せず)に対して比較的接近しており、側壁部102の背面と前記浴室の壁面との間に形成される内部スペースがやや小さい状態となっている。
【0018】
加えて、排水口103は、図2に示すように、浴槽100から排出される水の流路となる筒状の配管105を備えている。配管105は、配管本体106と、配管本体106から枝分かれして上方側に延びる排水口接続部107とを備えている。また、排水口接続部107は、自身の端部に径方向外側に突出する鍔状のフランジ部107Aを有するとともに、自身の内周面に雌ねじ部107Bを有している。そして、排水口103に挿設され外周面に雄ねじ部71を有する前記排水口部材7を前記排水口接続部107に螺合することで、配管105を備えてなる排水口103が形成されている。
【0019】
尚、排水口103においては、排水口接続部107のフランジ部107Aと、排水口部材7のうちその上部から外周側へと突出する張出部72とにより、浴槽100の底壁部101が挟持された状態となっている。また、フランジ部107Aの上面と底壁部101の背面との間には、EPDMゴム等の弾性材料からなる環状のシール部材10が設けられている。当該シール部材10は、排水口接続部107に対する排水口部材7の螺合に伴い、フランジ部107Aと底壁部101との間で挟圧された状態となっており、その結果、排水口103からの排水時における漏水防止が図られている。加えて、排水口部材7の張出部72と底壁部101の表面との間にも、EPDMゴム等の弾性材料からなる環状のシール部材11が配置されており、浴槽100からの漏水防止が図られている。
【0020】
加えて、図3及び図4に示すように、オーバーフロー口104には、オーバーフロー口104から排出される水の流路となるオーバーフロー管108が接続されている。オーバーフロー管108は、屈曲筒状をなすオーバーフロー継手109と、筒状をなし、自身の一端部に前記オーバーフロー継手109の他端部が固定されたオーバーフロー管本体110とを備えている。また、オーバーフロー口継手109は、その一端部に径方向外側に突出する鍔状のフランジ部109Aを具備するとともに、自身の一端側内周面に雌ねじ部109Bを具備している。そして、オーバーフロー口104に挿設され外周面に雄ねじ部51が形成された前記オーバーフロー口部材5を前記オーバーフロー継手109に螺合することで、オーバーフロー口104に対してオーバーフロー管108が接続されている。
【0021】
尚、オーバーフロー管108とオーバーフロー口104とを接続した状態において、オーバーフロー口部材5の一端に形成された鍔部52とオーバーフロー継手109のフランジ部109Aとの間で、側壁部102が挟持された状態となっている。また、前記オーバーフロー口部材5の鍔部52と側壁部102の表面との間には、EPDMゴム等の弾性材料からなる環状部材12が配置されており、鍔部52の接触による浴槽100の損傷防止等が図られている。
【0022】
さらに、前記オーバーフロー継手109のフランジ部109Aと側壁部102の背面との間には、EPDMゴム等の弾性材料からなる環状のパッキン13が設けられている。当該パッキン13は、オーバーフロー継手109に対するオーバーフロー口部材5の螺合に伴い、フランジ部109Aと側壁部102との間で挟圧された状態となっている。その結果、オーバーフロー口104からの排水時における漏水防止が図られるとともに、パッキン13とオーバーフロー継手109(フランジ部109A)及び側壁部102との間の摩擦力により、オーバーフロー継手109ひいてはオーバーフロー管108が浴槽100に対して強固に固定された状態となっている。
【0023】
また、図1に示すように、オーバーフロー管108(オーバーフロー管本体110)は、自身の他端部に前記配管本体106の端部が固定されることで排水口103に接続されている。すなわち、オーバーフロー管108は、排水口103に連通された状態となっている。
【0024】
次いで、オーバーフロー口104に設けられる操作機構2について説明する。
【0025】
操作機構2は、図3〜図7(尚、図5では、側壁部102の図示を省略している)に示すように、浴槽100に対して相対回動可能な操作ハンドル21と、操作ハンドル21を支持するハンドル支持部材23(本発明の第2部材に相当する)を具備してなるハンドル支持体22とを備えている。
【0026】
まず、操作ハンドル21の構成、及び、ハンドル支持体22(ハンドル支持部材23)に対する操作ハンドル21の取付構造について説明する。
【0027】
操作ハンドル21は、所定の金属(例えば、SUS等)や樹脂により形成されるとともに、有底円筒状をなし、その表面に、自身の径方向に沿って延びる突条をなすツマミ部211を備えている。加えて、操作ハンドル21の外周面には、排水の流路となる切り欠き部21Aが設けられている。
【0028】
また、操作ハンドル21の背面中心には、凹状の取付穴212が形成されている。そして、取付穴212に対して、前記ハンドル支持部材23の表面中心に設けられた円筒状の支持軸231が挿通されることで、操作ハンドル21がハンドル支持部材23(ハンドル支持体22)に支持されている。
【0029】
加えて、図4及び図6に示すように、操作ハンドル21の背面には、自身の中心軸を挟むようにして2つの被挿入穴213A,213Bが形成されている。そして、被挿入穴213A,213Bに対してハンドル支持部材23の表面に形成された突状の挿入部232A,232Bが挿入されることで、ハンドル支持部材23に対する操作ハンドル21の相対回転が規制されている。これにより、操作ハンドル21の回動動作(変位)により、操作ハンドル21とともにハンドル支持部材23が回動動作するようになっている。
【0030】
尚、被挿入穴213A,213Bの内径はそれぞれ異なるものとされるとともに、挿入部232Aの外径は被挿入穴213Aの内径に対応する大きさとされ、挿入部232Bの外径は被挿入穴213Bの内径に対応する大きさとされている。これにより、ハンドル支持部材23に対する操作ハンドル21の取付位置が周方向に沿って180度ずれてしまうといった事態が防止され、ハンドル支持部材23に対する操作ハンドル21の取付位置が一義的に定まるようになっている。
【0031】
さらに、図5及び6に示すように、前記支持軸231の先端部には、径方向外側に突出する鉤部231Aが設けられており、当該鉤部231Aは、前記操作ハンドル21の取付穴212に形成された段部212Aに対して係止されている。加えて、鉤部231Aは、支持軸231の中心軸方向に沿って延びる2つの切り欠きの間に設けられており、径方向に沿って弾性変形可能となっている。
【0032】
また、前記取付穴212に設けられた段部212Aのうち、前記鉤部231Aが係止される面は、支持軸231の取付穴212に対する挿通方向に対して直交する形状とされている。さらに、鉤部231Aのうち段部212Aに係止される面は、支持軸231の取付穴212に対する挿通方向に対して直交する形状とされている。このため、取付穴212からの支持軸231の抜け防止が効果的に図られるようになっている。
【0033】
尚、「支持軸231の取付穴212に対する挿通方向に対して直交」とあるのは、鉤部231A(段部212A)のうち段部212A(鉤部231A)に係止される面が前記挿通方向に対して厳密に直交している場合のみならず、前記挿通方向と直交する方向に対して若干(例えば、10度以内)傾いている場合も含む。
【0034】
加えて、鉤部231Aの先端部には、先端側に向けて支持軸231の内周側に傾斜する傾斜部231Bが設けられており、取付穴212に対する支持軸231の挿通をスムーズに行えるようになっている。
【0035】
さらに、操作ハンドル21には、自身の外周面と前記取付穴212との間を連通する連通孔214が設けられており、当該連通孔214には、棒状をなす金属製のピン部材215が挿設されている。
【0036】
ピン部材215は、自身の一端部が前記鉤部231Aに対して接触可能に構成されるとともに、自身の他端面が操作ハンドル21の外周に露出している。そして、ピン部材215の他端面を操作ハンドル21の内側(鉤部231A側)へと押圧することで、ピン部材215の一端部により鉤部231Aを径方向内側に向けて弾性変形させることができるようになっている。鉤部231Aを径方向内側に向けて弾性変形させることにより、段部212Aに対する鉤部231Aの係止が解除されることとなる。
【0037】
さらに、ピン部材215の外周面には、ピン部材215の長手方向に沿って延びる凹状の没入部215Aが形成されている。また、操作ハンドル21には、前記連通孔214に向けて突出する突出部216が設けられている。そして、没入部215Aに対して突出部216が挿通されることで、操作ハンドル21の内周側及び外周側に向けたピン部材215の移動が規制されている。
【0038】
本実施形態では、没入部215Aを形成する側壁面のうち操作ハンドル21の中心側に位置する面に前記突出部216が接触した状態において、ピン部材215の他端面が、操作ハンドル21の外周面と面一となるように、突出部216及び没入部215Aの相対位置が設定されている。その結果、ピン部材215の他端面が、常には操作ハンドル21の外周面と面一又は外周面に対して没入した状態となっている。
【0039】
一方で、取付穴212に支持軸231が非挿通の状態であって、没入部215Aを形成する側壁面のうち操作ハンドル21の外周面側に位置する面に前記突出部216が接触したときに、取付穴212に対する支持軸231の挿通時(つまり、鉤部231Aが径方向内側に向けて弾性変形しているとき)において傾斜部231Bが配置される位置よりも取付穴212の中心軸側にピン部材215の一端が位置しないように構成されている。すなわち、ピン部材215が取付穴212側に向けて過度に突出しないように構成されている。
【0040】
また、ピン部材215の他端部と操作ハンドル21との間には、バネ部材219が配置されている。当該バネ部材219の弾性力により、ピン部材215を押圧する場合を除いて、没入部215Aを形成する側壁面のうち操作ハンドル21の中心側に位置する面が前記突出部216に対して圧接されることとなる。そのため、ピン部材215を押圧する場合を除いて、ピン部材215の他端面と操作ハンドル21の外周面とが面一な状態で維持される。
【0041】
さらに、前記操作ハンドル21の回動動作による駆動力は、前記ハンドル支持部材23や伝達部材4等を介して排水口103に設けられた前記栓蓋9に伝達され、その結果、排水口103の開閉が行われるようになっている。具体的には、図8(尚、図8及び次述する図9では、側壁部102を省略している)に示すように、前記ツマミ部211の延びる方向が水平となる位置に操作ハンドル21を回動させることで、排水口103が閉じられ、図9に示すように、ツマミ部211の延びる方向が鉛直方向となる位置に操作ハンドル21を回動させることで、排水口103が開かれる。
【0042】
加えて、本実施形態では、排水口103が閉状態にあるときの操作ハンドル21の配置位置(図8参照)において、操作ハンドル21の中心軸を含む水平面よりも下方側に前記切り欠き部21Aが位置するように構成されている。また、排水口103が開状態にあるときの操作ハンドル21の配置位置(図9参照)において、前記連通孔214の開口が下方に向くように構成されている。
【0043】
次に、前記ハンドル支持部材23と、当該ハンドル支持部材23の背面側に設けられたガイド部材24(本発明の第1部材に相当する)とを備えてなる前記ハンドル支持体22の構成について説明する。
【0044】
ハンドル支持体22は、図3等に示すように、前記オーバーフロー口部材5に挿設されており、オーバーフロー口部材5を介してオーバーフロー口104に対して間接的に取付けられている。また、ガイド部材24は、所定の樹脂(例えば、POM等)により形成されており、図5及び図10に示すように、ハンドル支持部材23の背面と接触する内周ガイド部材25と、内周ガイド部材25の外周に配置された外周ガイド部材26とが組み合わされることで構成されている。
【0045】
加えて、ハンドル支持部材23は、所定の樹脂(例えば、POM等)により形成されており、図10及び図11(a),(b)に示すように、自身の背面中心に、内周ガイド部材25側に向けて突出する柱状部233を備えている。さらに、柱状部233の先端側には、周方向に沿って等間隔に複数(本実施形態では、3本)の爪部233Aが設けられており、各爪部233Aの先端部は、径方向外側に向けて突出している。
【0046】
加えて、図11(a),(b)に示すように、柱状部233の外周面には、柱状部233の長手方向に沿って延びる凹状の第1被係止部236、及び、第2被係止部237(第2被係止部237が、本発明の被係止部に相当する)が設けられている。本実施形態において、第1被係止部236、及び、第2被係止部237は、それぞれ一対の凹部により形成されており、第1被係止部236を形成する両凹部間の周方向に沿った間隔と、第2被係止部237を形成する両凹部間の周方向に沿った間隔とは等しくされている。
【0047】
さらに、ハンドル支持部材23の背面のうち柱状部233の外周側には、それぞれ湾曲する溝状をなすストッパ収納部234及び溝部235が設けられている。
【0048】
併せて、ハンドル支持部材23の外周側には、径方向外側に向けて延びる複数の支持脚部238が設けられている。支持脚部238は、周方向に沿って等間隔に複数(本実施形態では、4本)設けられており、自身の先端部に、ガイド部材24側に向けて延びる足部238Aを備えている。そして、ハンドル支持部材23とガイド部材24と組み付けた状態において、前記足部238Aが外周ガイド部材26に接触することで、ハンドル支持部材23ひいてはハンドル支持部材23に支持される操作ハンドル21のガタツキが防止されるようになっている。
【0049】
前記内周ガイド部材25は、図10及び図12に示すように、自身の中心を貫通する挿通部251を有している。また、内周ガイド部材25の挿通部251の内周面には、前記第1、第2被係止部236,237に対して係止可能な係止部253が設けられている。本実施形態において、係止部253は、それぞれ弾性変形可能な一対の凸部により形成されており、両凸部間の周方向に沿った間隔は、第1被係止部236を形成する両凹部間の間隔、及び、第2被係止部237を形成する両凹部間の間隔と等しくされている。さらに、内周ガイド部材25のハンドル支持部材23側の面には、ハンドル支持部材23側へと突出するストッパ252が設けられている。
【0050】
また、内周ガイド部材25には、その外周面の接線方向に向けて突出する突出壁部254が設けられており、突出壁部254のうち後述する外周ガイド部材26の連結部263側の面には、それぞれ突状をなす一対の小突起部254A,254Bが設けられている。
【0051】
さらに、内周ガイド部材25の外表面には、湾曲状の溝部255が設けられている。本実施形態において、溝部255は、内周ガイド部材25の外表面のうち、ハンドル支持部材23側の外表面から前記突出壁部254の外表面にかけて形成されている。また、ハンドル支持部材23とガイド部材24とを組付けた状態において、溝部255は、前記ハンドル支持部材23の溝部235に対して連通されるようになっている。
【0052】
加えて、前記外周ガイド部材26は、図10及び図13に示すように、内周ガイド部材25の背面側に位置する筒状の内筒部261と、内筒部261の外周に設けられた外筒部262と、内筒部261及び外筒部262を連結する複数の連結部263,264,265(図13参照)とを備えている。
【0053】
内筒部261は、自身の中心に、円筒状の挿入筒261Aを備えており、当該挿入筒261Aは、前記内周ガイド部材25の挿通部251に対して挿通されている。
【0054】
前記連結部263,264,265は、周方向に沿って間欠的に設けられており、各連結部263,264,265間の隙間がオーバーフロー口104からの排水の流路となっている。さらに、連結部263には、内筒部261の外周面の接線方向に延びる立設壁部263Aと、一対の凹状の窪み部263B,263Cと、両窪み部263B,263C間に形成され、連結部263を貫通する伝達部材挿通部263Dとが形成されている。そして、内周ガイド部材25と外周ガイド部材26とは、内周ガイド部材25の小突起部254A,254Bを外周ガイド部材26の窪み部263B,263Cに嵌合することで、外周ガイド部材26に対する内周ガイド部材25の位置決めがなされているまた、内周ガイド部材25と外周ガイド部材26とを組付けた状態において、前記突出壁部254のうち前記溝部255の形成された側の面が前記立設壁部263Aに対して当接している。
【0055】
さらに、ハンドル支持部材23は、内周ガイド部材25と外周ガイド部材26とを組付けた上で、自身の柱状部233を内周ガイド部材25の挿通部251と外周ガイド部材26の挿入筒261Aとに挿通し、柱状部233に設けられた前記爪部233Aを外周ガイド部材26(内筒部261)の背面に係止することで、両ガイド部材25,26(ガイド部材24)に対して相対回動可能な状態で取付られている。
【0056】
また、ガイド部材24にハンドル支持部材23を取付けた状態において、ハンドル支持部材23のストッパ収納部234内に内周ガイド部材25のストッパ252が配置される。これにより、ガイド部材24に対するハンドル支持部材23の相対回動可能範囲が設定されることとなり、ひいてはハンドル支持部材23に支持される操作ハンドル21の回動可能範囲が設定されることとなる。
【0057】
加えて、ハンドル支持部材23をガイド部材24に取付けた状態において、ハンドル支持部材23及び内周ガイド部材25に形成された両溝部235,255と、これらに対向する内周ガイド部材25の外表面(ハンドル支持部材23側の面)及び外周ガイド部材26(立設壁部263A)の外表面との間で湾曲状のガイド通路27が形成される。すなわち、複数の部材(本実施形態では、ハンドル支持部材23、内周ガイド部材25、及び、外周ガイド部材26)を組み合わせることで、ガイド通路27が形成されるようになっている。
【0058】
また、前記伝達部材4は、前記伝達部材挿通部263Dを通ってガイド通路27内に配置されている。より詳しくは、伝達部材4は、樹脂等からなる筒状の外皮41で覆われており、外皮41内をこれに接触しながら押し引き可能に構成されている。そして、外皮41の一端部が外周ガイド部材26に固定されており、外皮41の一端から露出する伝達部材4の一端部が、ガイド通路27内に配置されている。
【0059】
加えて、ガイド通路27内に配置された伝達部材4の一端部は、ハンドル支持部材23に対して固定されている。詳述すると、図11(b)に示すように、ハンドル支持部材23の溝部235には、他の部位と比較して幅広のアタッチメント配置部235Aが設けられており、伝達部材4の一端部が固定された固定用アタッチメント(図示せず)を、前記アタッチメント配置部235Aに嵌合することで、伝達部材4の一端部がハンドル支持部材23に固定されている。尚、伝達部材4に対しては、後述する戻りバネ83(図2等参照)により、操作機構2側への戻り力が付与されている。
【0060】
さらに、本実施形態では、操作ハンドル21を反時計回りに回動させ、ハンドル支持部材23により伝達部材4を押すことで、栓蓋9を上動させることができる。そして、ツマミ部211の延びる方向が鉛直方向となる位置に操作ハンドル21を回動させ、内周ガイド部材25の係止部253をハンドル支持部材23の第2被係止部237に係止することで、排水口103が開状態でロックされる。
【0061】
一方で、操作ハンドル21を時計回りに回動させ、ハンドル支持部材23により伝達部材4を引くことで、栓蓋9を下動させることができる(尚、この際には、伝達部材4に対して戻りバネ83による戻り力も働く)。そして、ツマミ部211の延びる方向が水平となる位置に操作ハンドル21を回動させ、係止部253をハンドル支持部材23の第1被係止部236に係止することで、排水口103が閉状態でロックされる。すなわち、本実施形態では、ハンドル支持部材23及び内周ガイド部材25によりロック機構が構成されている。
【0062】
尚、前記係止部253を凹状とし、前記第1、第2被係止部236,237を凸状としてもよい。また、外周ガイド部材26の挿入筒261Aの内周面に係止部及び第1、第2被係止部のうちの一方を設け、柱状部233の外周面に係止部及び第1、第2両被係止部のうちの他方を設けることとしてもよい。
【0063】
また、湾曲するガイド通路27内をガイド部材24に接触しながら伝達部材4が往復動することで、操作ハンドル21の回動方向と異なった方向に伝達部材4の動作方向が変換されるようになっている。
【0064】
さらに、操作機構2から延びる伝達部材4は、オーバーフロー管108内に配設されている。そして、伝達部材4は、オーバーフロー口104の内周面、オーバーフロー管108の内周面、及び、排水口103の内周面により形成された空間において、栓蓋駆動機構8及び操作機構2に接続されている。
【0065】
加えて、伝達部材4の端部のうち、操作機構2とは反対側の端部(他端部)は排水口103に設けられた前記栓蓋駆動機構8に当接している。尚、栓蓋駆動機構8は、栓蓋9を支持し、栓蓋9を浴槽100に対して上下動させることで排水口103を開閉するものである(図2等参照)。また、栓蓋駆動機構8は円柱状をなし、その外径がオーバーフロー口104、オーバーフロー管108、及び、排水口103の内径よりも小さなものとなっている(尚、栓蓋駆動機構8の詳細は後述する)。
【0066】
さらに、本実施形態では、上述の通り、栓蓋駆動機構8の外径がオーバーフロー口104等の内径よりも小さくされることで、操作機構2と、伝達部材4と、栓蓋駆動機構8とが一体化されてなる機構(いわゆるレリース)をオーバーフロー口104から抜き出したり、組付けたりすることができるようになっている(尚、浴槽100に対する排水栓装置1の組付け手法は、後に詳述する)。
【0067】
次に、オーバーフロー口部材5に対するハンドル支持体22の挿設状態等について説明する。
【0068】
前記外周ガイド部材26は、図13に示すように、その一端側(ハンドル支持部材23側)の端部に径方向外側に向けて突出する鍔状部266を備えるとともに、その他端側に、径方向外側に突出し、径方向に沿って弾性変形可能な複数の爪部267を具備している。加えて、外周ガイド部材26の外周面であって、前記鍔状部266と前記爪部267との間の面には、周方向に沿って間欠的に形成された複数の突部268が設けられている。
【0069】
一方で、前記オーバーフロー口部材5の内周面には、図5に示すように、周方向に沿って連続的に形成された複数の凹部53が設けられている。凹部53は多数(例えば、60以上)設けられており、各凹部53の幅は、前記突部268の外周側端縁を配置可能な大きさに設定されている。
【0070】
そして、オーバーフロー口部材5に対するハンドル支持体22の挿設は、外周ガイド部材26の突部268をオーバーフロー口部材5の凹部53に係止するとともに、外周ガイド部材26の爪部267をオーバーフロー口部材5の内周面に設けられた段差に係止し、外周ガイド部材26の爪部267と鍔状部266とによりオーバーフロー口部材5を挟持することでなされている。尚、突部268が係止される凹部53を変更することで、ハンドル支持体22の回動方向におけるその配置位置を調節することができ、ひいては操作ハンドル21の回動方向におけるその配置位置を調節できるようになっている。
【0071】
併せて、外周ガイド部材26には、オーバーフロー管108側(ハンドル支持部材23とは反対側)に向けて延びる延出部269が設けられている。延出部269は、オーバーフロー継手109の内周形状にほぼ沿った湾曲形状とされている。
【0072】
また、図3及び図4に示すように、オーバーフロー継手109の上部内周面には、径方向内側に向けて突出する一対の規制部109Cが設けられている(図3及び図4では、一方の規制部109Cのみを図示している)。両規制部109Cは、オーバーフロー継手109の中心軸を含む平面を挟んだ対称位置に設けられている。
【0073】
そして、オーバーフロー口部材5にハンドル支持体22を挿設するにあたっては、前記一対の規制部109C間に前記外周ガイド部材26の延出部269が配置される。規制部109Cにより延出部269ひいては外周ガイド部材26の回転が規制され、その結果、オーバーフロー管108(オーバーフロー継手109)に対するハンドル支持体22(ガイド部材24)の相対回転が規制されるようになっている。
【0074】
次に、図2等を参照しつつ、排水口103に設けられる支持軸部材6や栓蓋駆動機構8等の構成について説明する。
【0075】
図2及び図14に示すように、支持軸部材6は、排水口部材7に固定されるとともに、前記栓蓋駆動機構8を保持するものである。支持軸部材6は、排水口部材7に取付けられる筒状の取付筒部61と、取付筒部61の内周に位置する円筒状の支持筒部62と、取付筒部61及び支持筒部62を連結するアーム部63とを備えている。
【0076】
取付筒部61は、下方側に向けて延び、下端部(先端部)が径方向外側に突出する複数の取付脚部611を備えており、取付脚部611は、周方向に沿って間欠的に設けられている。そして、取付筒部61のうち各取付脚部611の間に位置する部位を排水口部材7の内周面に設けられた突状の引掛部73上に載置するとともに、取付脚部611の下端部(先端部)を排水口部材7の内周面に設けられた段差に係止することで、排水口部材7に対して支持軸部材6が取付けられている。
【0077】
支持筒部62は、自身の内周面に、それぞれ径方向内側に突出する上側突出部621及び下側突出部622を備えている。上側突出部621は、互いに対向する一対の突起からなり、下側突出部622の上方側に形成されるとともに、下側突出部622との間で栓蓋駆動機構8を挟み込んでいる。両突出部621,622に挟まれることにより、栓蓋駆動機構8は、支持筒部62に保持されている。
【0078】
加えて、アーム部63は、支持筒部62の周方向に沿って等間隔に複数(本実施形態では、4本)設けられており、各アーム部63間の隙間が排水口103を通過する排水の流路となっている。
【0079】
栓蓋駆動機構8は、プランジャー81と、プランジャー81の外周に設けられたプランジャー支持筒82とを備えている。また、プランジャー81の外周面とプランジャー支持筒83の内周面との間には、戻りバネ83が収容されている。
【0080】
戻りバネ83は、プランジャー81の下端側外周に設けられた段差部81Aと、プランジャー支持筒82の上端側に形成された径方向内側に屈曲する屈曲部82Aとの間に挟み込まれており、プランジャー81に対して下方側に向けた戻り力を付与するようになっている。
【0081】
プランジャー81は、下端部が開口する筒状の蓋軸811と、蓋軸811の外周に配置された外筒812とを備えている。また、プランジャー81の内部には、自身の下端部が蓋軸811に接触するとともに、自身の上端部により外筒812を支持するショックアブソーバースプリング813が設けられている。
【0082】
蓋軸811は、伝達部材4の他端部が挿通されるとともに、自身の下端部に径方向外側に突出し、前記ショックアブソーバースプリング813の下端部が接触する鍔状のスプリング接触部811Aを備えている。また、蓋軸811は、伝達部材4の他端部で押圧されることにより浴槽100に対して上動し、戻りバネ83からの戻り力等により浴槽100に対して下動するようになっている。
【0083】
外筒812は、その上端部に形成された比較的小径の小径部812Aと、小径部812Aよりも下方側に位置する比較的大径の大径部812Bとを備えている。そして、外筒812の小径部812Aが、栓蓋9の背面に形成された筒状部位に嵌着されることで、栓蓋9が外筒812に支持されている。また、小径部812Aと大径部812Bとを連接する段差状の連接部812Cに対してショックアブソーバースプリング813の上端部が接触している。
【0084】
プランジャー支持筒82は、その底面部に伝達部材4が挿通される貫通孔821を備えている。加えて、プランジャー支持筒82の底面部には、上方側に向けて延び、内周空間が前記貫通孔821に連通する円筒状の蓋軸支持部822が設けられている。蓋軸支持部822は、蓋軸811に挿入されており、蓋軸811は、栓蓋支持部822の外周面に沿って上下動可能となっている。また、伝達部材4の他端部は、貫通孔821と蓋軸支持部822の内周空間とを通って、蓋軸811内に配置されている。さらに、貫通孔821には、伝達部材4の外周に設けられた前記外皮41の他端部が固定されている。
【0085】
ショックアブソーバースプリング813は、上述の通り、蓋軸811のスプリング接触部811Aと、外筒812の連接部812Cとの間に配置されており、栓蓋9から力が加わった際に圧縮変形することで、栓蓋9から伝達部材4に加わる力を緩衝するようになっている。
【0086】
加えて、プランジャー81(外筒812)に支持される栓蓋9は、排水口部材7や支持軸部材6の上方に位置しており、POM等の樹脂からなる蓋部91と、弾性変形可能な素材(例えば、樹脂やEPDMゴム等のゴム)からなる環状の栓蓋シール92とを備えている。
【0087】
蓋部91は、表面がなだらかに湾曲する形状をなしており、栓蓋シール92は、蓋部91の背面に設けられている。加えて、栓蓋シール92は、外周側に向けて徐々に薄くなるように構成されており、排水口103の閉時に、その外周縁の全周が排水口部材7の張出部72に対して接触するようになっている。
【0088】
上述した栓蓋駆動機構8においては、操作ハンドル21を回動させ、ハンドル支持部材23により伝達部材4を引くことで、図2に示すように、プランジャー81及び栓蓋9が下動し、排水口103が閉じられる。尚、排水口103が閉じた状態においては、栓蓋9(栓蓋シール92)が排水口部材7に接触するため、栓蓋9に下方側に向けた力を加えたとしても、その力が伝達部材4に対して伝達されることはない。
【0089】
一方で、操作ハンドル21を回動させ、ハンドル支持部材23により伝達部材4を押すことで、図15に示すように、伝達部材4の他端部が上動し、伝達部材4の他端部に押される形で蓋軸811が上動する。そして、栓軸811の上動に伴い、ショックアブソーバースプリング813とこれに支持された外筒812とが上動する(つまり、プランジャー81が上動する)ことで、外筒812に支持された栓蓋9が上動し、排水口103が開く。このとき、ハンドル支持部材23に設けられた第2被係止部237に内周ガイド部材25の係止部253が係止されることで、排水口103が開状態でロックされる。
【0090】
ところで、排水口103が開状態でロックされた状態では、伝達部材4により蓋軸811や栓蓋9を持ち上げているため、伝達部材4に対して栓蓋9や蓋軸811等の重量による力が加わる。しかし、第2被係止部237に対して係止部253を係止させた際の係止力(ロック力)が十分に大きくなるように、第2被係止部237に対する係止部253の係止代などが設定されているため、伝達部材4は戻り移動することなく、排水口103の開状態が維持される。尚、前記係止力(ロック力)は、伝達部材4の他端部に力を加えた際に、第2被係止部237から係止部253が外れるときの力をいい、換言すれば、排水口103の開状態におけるロックを解除させるために必要な最低限の力といえる。本実施形態において、前記係止力は、ハンドル支持部材23(操作ハンドル21)に力を加えたときに第2被係止部237から係止部253が外れるときの力と、伝達部材4及び当該伝達部材4の外周に配置される部品(外皮41及びガイド部材24)間で発生する摩擦力との和をいう。
【0091】
また、本実施形態では、排水口103が開状態であるときに栓蓋9に下方側への力を加えた場合に、伝達部材4を介してハンドル支持部材23に対して力が加わる。そのため、栓蓋9を誤って踏んでしまった場合などにおいて、ハンドル支持部材23に加わる力が過度に大きいと、第2被係止部237に対する係止部253の係止が解除され得る。
【0092】
この点を鑑みて、本実施形態では、蓋軸811の軸方向に沿って蓋軸811の上端部と外筒812の上端部との間に隙間が形成されており、当該隙間は、図16に示すように、排水口103の開時に、栓蓋9に上方から力が加わり、栓蓋9が排水口部材7に接触した際に、蓋軸811の上端部と外筒812とが接触しない大きさに設定されている。さらに、排水口103の開時に、栓蓋9に上方から力が加わり、栓蓋9が排水口部材7に接触した際のショックアブソーバースプリング813の長さが、ショックアブソーバースプリング813の密着長よりも大きなものとなるように、ショックアブソーバースプリング813が構成されている。すなわち、本実施形態では、排水口103の開時(開状態でのロック時)に上方から栓蓋9に力が加わったとき、栓蓋9が排水口部材7に接触した状態のショックアブソーバースプリング813の圧縮力(つまり、プランジャー81内に配置されたショックアブソーバースプリング813において生じる最大の反発力)以上の力が伝達部材4の他端部に加わらないように構成されている。
【0093】
併せて、本実施形態では、第2被係止部237に係止部253を係止させた際の係止力(ロック力)が、伝達部材4に加わるショックアブソーバースプリング813の最大反発力よりも大きくなるように設定されている。前記係止力をショックアブソーバースプリング813の最大反発力よりも大きくすることで、栓蓋9を誤って踏んでしまった場合など、前記最大反発力が伝達部材4に加わってしまった場合であっても、第2被係止部237から係止部253が外れることなく、ひいては排水口103が誤って閉じられてしまうという事態が防止されるようになっている。
【0094】
次いで、浴槽100に対する排水栓装置1の取付手法について説明する。
【0095】
まず、排水口103に配管105を設ける。すなわち、底壁部101の背面に、排水口接続部107を配置するとともに、排水口接続部107のフランジ部107A上にシール部材10を載置しておく。そして、排水口部材7の外周にシール部材11を配置した上で、底壁部101の開口に対して上方側から排水口部材7を挿入し、排水口部材7の外周に設けられた雄ねじ部71を排水口接続部107の内周に設けられた雌ねじ部107Bに螺合する。これにより、排水口103に配管105が設けられるとともに、排水口103に排水口部材7が配設される。
【0096】
また、配管105の配設とは別に、オーバーフロー口104にオーバーフロー継手109を接続しておく。すなわち、オーバーフロー継手109のフランジ部109Aと側壁部102との間にパッキン13を配置した上で、前記環状部材12が外周に配置されたオーバーフロー口部材5をオーバーフロー継手109に螺合する。これにより、オーバーフロー口104にオーバーフロー継手109が接続されるとともに、オーバーフロー口104にオーバーフロー口部材5が設けられる。また、オーバーフロー継手109と配管105に対してオーバーフロー管本体110を固定しておく。尚、配管105の配設やオーバーフロー継手109の接続前に、オーバーフロー管本体110を配管105やオーバーフロー継手109に固定してもよい。
【0097】
次いで、操作ハンドル21の取付穴212にハンドル支持部材23の支持軸231を挿通することで、操作ハンドル21をハンドル支持部材23に組付けるとともに、操作機構2、伝達部材4、及び、栓蓋駆動機構8が一体化されてなる機構(レリース)を、オーバーフロー口104からオーバーフロー管108内へと挿入する(尚、次述するオーバーフロー口部材5に対するハンドル支持体22の挿設後に、操作ハンドル21をハンドル支持部材23に組付けることとしてもよい)。
【0098】
その後、外周ガイド部材26に設けられた爪部267をオーバーフロー口部材5に係止することで、ハンドル支持体22(操作機構2)をオーバーフロー口部材5に対してワンタッチで挿設する。尚、オーバーフロー口部材5に対するハンドル支持体22の挿設にあたっては、操作ハンドル21のツマミ部211の延びる方向が所定の方向となるように、外周ガイド部材26の突部268が係止されるオーバーフロー口部材5の凹部53が選択される。
【0099】
また、ハンドル支持体22の挿設とは別に、栓蓋駆動機構8等を排水口103に配設する。すなわち、栓蓋駆動機構8を排水口103から浴槽100の表面側へと所定量だけ取出した上で、栓蓋駆動機構8を支持軸部材6の支持筒部62に挿通する。次いで、支持軸部材6の取付脚部611を排水口部材7に係止することで、支持軸部材6を排水口部材7に対してワンタッチで取付ける。そして最後に、栓蓋駆動機構8の外筒812を栓蓋9の背面に形成された筒状部位に嵌着することで、浴槽100に対する排水栓装置1の取付が完了する。
【0100】
尚、本実施形態では、栓蓋駆動機構8から支持軸部材6や栓蓋9を取外した上で、ハンドル支持体22をオーバーフロー口部材5から取外すことにより、操作機構2、伝達部材4、及び、栓蓋駆動機構8が一体化されてなる機構をオーバーフロー口104から抜き出すことができる。
【0101】
加えて、オーバーフロー口部材5からのハンドル支持体22の取外しは、ハンドル支持体22をオーバーフロー口部材5から引き抜くことだけで(すなわち、ワンタッチで)容易に行うことができる。また、栓蓋駆動機構8からの栓蓋9の取外しは、栓蓋9を栓蓋駆動機構8から離間する側へと引くことだけで容易に行うことができ、栓蓋駆動機構8からの支持軸部材6の取外しは、支持軸部材6から栓蓋駆動機構8を引き抜くことだけで容易に行うことができる。従って、操作機構2や伝達部材4などの故障時等において、操作機構2、伝達部材4、及び、栓蓋駆動機構8が一体化されてなる機構を、オーバーフロー口104から浴槽100の表面側より容易に抜出すことができる。一方で、上述の通り、オーバーフロー口部材5に対するハンドル支持体22等の取付はワンタッチで可能であるため、操作機構2や伝達部材4などの修理、交換後において、操作機構2、伝達部材4、及び、栓蓋駆動機構8をオーバーフロー口104から容易に組付けることができる。尚、操作機構2等の抜出しや組付け時には、オーバーフロー管108やオーバーフロー口部材5、配管105、排水口部材7を取外す必要はない。
【0102】
以上詳述したように、本実施形態によれば、内周ガイド部材25に設けられた係止部253を、ハンドル支持部材23に設けられた第1被係止部236又は第2被係止部237に係止することで、排水口103の開閉状態におけるロックがなされるように構成されている。すなわち、スラストロック機構などの複雑な構造を利用することなく、排水口103の開閉状態におけるロックを簡易な構造で実現することができる。
【0103】
さらに、本実施形態では、排水口103の開時に栓蓋9に力が加わり栓蓋9が排水口部材7に接触した状態のショックアブソーバースプリング813の圧縮力(最大反発力)以上の力が伝達部材4に加わらないように構成されるとともに、ショックアブソーバースプリング813の最大反発力よりも第2被係止部237に対する係止部253の係止力が大きくなるように構成されている。そのため、栓蓋9から伝達部材4に力が加わる状態(すなわち、排水口103が開いた状態)において、誤って栓蓋9を踏みつけてしまった場合等に、開状態におけるロックが解除され、排水口103が閉じてしまうといった事態をより確実に防止することができる。その結果、浴槽100に意図せず水が溜まってしまうといった事態をより確実に防止することができる。
【0104】
加えて、操作機構2に着目してみると、操作機構2には、湾曲状のガイド通路27が設けられており、当該ガイド通路27内を伝達部材4が往復動するという非常に簡易な構成で、伝達部材4の動作方向を変換させることができる。従って、操作機構2を簡素化することができ、操作機構2の小型化を図ることができる。また、操作ハンドル21は、回動可能とされており、操作ボタンを用いた場合と比較して、浴槽100の外側(背面側)に対する操作機構2の突出量を遥かに小さくすることができる。その結果、内部スペースがさほど大きくない浴槽100の側壁部102に対しても、操作機構2を取付けることができる。
【0105】
また、伝達部材4がガイド通路27内を往復動するだけでその動作方向を変換できるため、カムやギア等を用いる場合と比較して、製造コストの低減を図ることができる。さらに、上述の通り、操作機構2の小型化を図ることができるため、オーバーフロー口104からの排水通路を大きく確保することができ、良好な排水性を実現することができる。
【0106】
加えて、本実施形態においては、オーバーフロー管108の内部に伝達部材4が配置されるとともに、オーバーフロー口104の内周面、オーバーフロー管108の内周面、及び、排水口103の内周面により形成される空間(換言すれば、オーバーフロー管108の内部を通ってオーバーフロー口104から排水口103に至るまでの空間)において、伝達部材4が栓蓋駆動機構8及び操作機構2に接続されている。すなわち、本実施形態によれば、伝達部材4を操作機構2及び栓蓋駆動機構8に接続するために、オーバーフロー管108等に挿通孔を形成する必要がない。従って、挿通孔の存在による漏水の発生をより確実に防止することができる。
【0107】
また、操作ハンドル21は、回動可能とされており、排水口103の開時だけでなく排水口103の閉時にも(つまり、常時)浴槽100の側壁部102から大きく突出することなく構成されている。その結果、優れた外観品質及び安全性を実現することができる。
【0108】
さらに、本実施形態によれば、オーバーフロー管108やオーバーフロー口部材5、排水口部材7等をオーバーフロー口104等から取外すことなく、操作機構2、伝達部材4、及び、栓蓋駆動機構8が一体化されてなる機構を、オーバーフロー口104から浴槽100の表面側より抜き出したり、組付けたりすることができる。従って、操作機構2や栓蓋駆動機構8などが万が一故障した場合であっても、修理や交換等に要する手間や労力を低減させることができ、作業性の向上を図ることができる。
【0109】
また、常に(つまり、操作ハンドル21の回動時であっても、係止部253が両被係止部236,237の一方に係止されているときであっても)ハンドル支持部材23(柱状部233)が内周ガイド部材25(の挿通部251)に対して押し付けられる形となる。従って、操作ハンドル21の回動時などにおいて、ハンドル支持部材23の位置ずれやガタツキを防止することができ、ひいてはハンドル支持部材23に支持される操作ハンドル21の位置ずれやガタツキを防止することができる。
【0110】
加えて、伝達部材4の端部がハンドル支持部材23に固定されており、排水口103を閉じる際には、ハンドル支持部材23で伝達部材4を引くことにより、排水口103を閉じることができる。従って、ガイド通路27内に異物が入ったときなど、戻りバネ83の戻り力だけでは伝達部材4を確実に動作させることが難しくなるおそれのある場合等において、伝達部材4をより確実に動作させることができる。その結果、排水口103のより確実な開閉を実現することができる。
【0111】
併せて、ガイド通路27は、複数の部材(ハンドル支持部材23、内周ガイド部材25、及び、外周ガイド部材26)を組み合わせることで構成されている。このため、様々な形状のガイド通路27を容易に形成することができ、ひいては伝達部材4の動作方向を種々様々な方向に変換することができる。
【0112】
さらに、操作ハンドル21及びこれを支持するハンドル支持部材23に着目してみると、鉤部231A(段部212A)のうち段部212A(鉤部231A)に係止される面が支持軸231の取付穴212に対する挿通方向に対して直交しており、段部212Aに対して鉤部231Aが強固に係止された状態となっている。そのため、支持軸231から操作ハンドル21を引き抜く方向に向けて操作ハンドル21に力が加わった場合であっても、ハンドル支持部材23からの操作ハンドル21の脱落を効果的に防止することができる。
【0113】
一方で、ピン部材215の他端面を操作ハンドル21の内周側へと押し、鉤部231Aを径方向内側に向けて弾性変形させることで、段部212Aに対する鉤部231Aの係止を解除した状態とすれば、操作ハンドル21を支持軸231から容易に取外すことができる。すなわち、本実施形態によれば、通常時には、操作ハンドル21の脱落が効果的に防止される一方で、清掃時等には、特段の困難なく操作ハンドル21を取外すことができる。
【0114】
さらに、ピン部材215の他端面が、常には操作ハンドル21の外周面と面一又は当該外周面に対して没入した状態とされている。従って、ピン部材215を意図せず押してしまうという事態が生じにくくなり、操作ハンドル21の意図しない脱落をより確実に防止することができる。また、操作ハンドル21の外周面に、ピン部材215に起因する突起が形成されなくなるため、外観品質の向上を図ることができる。
【0115】
加えて、ピン部材215の没入部215Aに突出部216が挿通されているため、操作ハンドル21の外周側に向けたピン部材215の相対移動を規制することができる。これにより、操作ハンドル21からのピン部材215の抜けをより確実に防止することができる。
【0116】
併せて、没入部215Aに突出部216が挿通されることで、取付穴212に対する支持軸231の挿通時において傾斜部231Bが配置される位置よりも取付穴212の中心軸側に向けたピン部材215の移動を規制することができる。従って、ピン部材215の一端部に阻害されることで、取付穴212に対する支持軸231の挿通に支障が生じてしまうという事態を防止することができる。その結果、鉤部231Aの先端部に傾斜部231Bが設けられていることと相俟って、取付穴212に対する支持軸231の挿通(すなわち、ハンドル支持部材23に対する操作ハンドル21の取付)を容易に行うことができる。
【0117】
また、排水口103が閉状態にあるときの操作ハンドル21の配置位置において、連通孔214の開口が下方に向くように構成されている。従って、連通孔214の開口が視認しにくくなり、外観品質をより一層向上させることができる。
【0118】
また、ハンドル支持体22及びこれが挿設されるオーバーフロー口部材5に着目してみると、オーバーフロー口部材5の内周面には、多数の凹部53が設けられている。そのため、外周ガイド部材26の突部268が係止される凹部53を1つずらしたときの操作ハンドル21の回転量を非常に小さくすることができる。従って、操作ハンドル21の配置位置を細かく調節することができ、操作ハンドル21をより確実に所期の位置に配置することができる。
【0119】
尚、側壁部102の厚さ等により、オーバーフロー継手109に対するオーバーフロー口部材5の螺合量は異なり、オーバーフロー口部材5の周方向に沿った最終的な配置位置は一義的には定まらない。そのため、オーバーフロー口部材5の内周面の一部にのみ凹部を設けた場合には、オーバーフロー口部材5の最終的な配置位置により凹部の位置が変化してしまい、上述の作用効果が奏されないおそれがある。これに対して、本実施形態によれば、凹部53は周方向に沿って連続的に設けられているため、オーバーフロー口部材5の最終的な配置位置に相違が生じたとしても、上述の作用効果が確実に奏されることとなる。
【0120】
さらに、オーバーフロー管108(オーバーフロー継手109)に設けられた規制部109Cの間に、外周ガイド部材26の延出部269が配置されている。従って、オーバーフロー管108に対するハンドル支持体22の相対回転を規制することができ、ひいてはハンドル支持体22が挿設されたオーバーフロー口部材5のオーバーフロー管108に対する相対回転を規制することができる。その結果、操作ハンドル21を回動させたときなどにおいて操作ハンドル21に過大な力が加わってしまった場合であっても、オーバーフロー口部材5の緩みを効果的に防止することができる。
【0121】
また、本実施形態においては、パッキン13とオーバーフロー継手109及び側壁部102との間の摩擦力により、オーバーフロー継手109が浴槽100に対して強固に固定されているため、オーバーフロー管108に対するオーバーフロー口部材5の相対回転を規制することで、浴槽100に対するオーバーフロー口部材5の相対回転も規制することができる。その結果、操作ハンドル21に過大な力が加わってしまった場合において、操作ハンドル21のその回動方向における配置位置にずれが生じてしまうという事態をより確実に防止することができる。
【0122】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0123】
(a)上記実施形態では、戻りバネ83が栓蓋駆動機構8の内部に設けられているが、戻りバネ83を設けることなく構成してもよい。また、戻りバネ83を設ける場合において、戻りバネ83を操作機構2の内部に設けることとしてもよい。
【0124】
(b)上記実施形態では、内周ガイド部材25の内周に係止部253が設けられるとともに、ハンドル支持部材23の柱状部233に第1被係合部236及び第2被係止部237が設けられているが、係止部や第1、第2被係止部を設ける位置は特に限定されるものではない。従って、例えば、図17、図18(a),(b)、及び、図19に示すように、ハンドル支持部材23の内周ガイド部材25側の面に凹状の第1、第2被係止部236,237を設け、内周ガイド部材25のハンドル支持部材23側の面に、弾性変形可能な凸状の係止部253を設けることとしてもよい。
【0125】
尚、上記実施形態では、第1被係止部及び第2被係止部が設けられているが、1の被係止部のみを設け、当該被係止部に対して係止部が係止されることで、排水口103の開状態におけるロックが実現されるように構成してもよい。換言すれば、排水口103を閉状態においてロックする機能は設けなくてもよい。
【0126】
(c)上記実施形態では、ハンドル支持部材23及び内周ガイド部材25に溝部235,255が設けられているが、例えば、図18(a),(b)及び図19に示すように、内周ガイド部材25にのみ溝部255を設け、当該溝部255とハンドル支持部材23の外表面(内周ガイド部材25側の面)及び外周ガイド部材26の外表面(立設壁部263A)との間でガイド通路27を形成してもよい。
【0127】
(d)上記実施形態では、内周ガイド部材25にストッパ252が設けられ、ハンドル支持部材23にストッパ収納部234が設けられているが、図17及び図18(a),(b)に示すように、ハンドル支持部材23にストッパ239を設け、内周ガイド部材25にストッパ収納部257を設けることとしてもよい。
【0128】
(e)上記実施形態では、伝達部材4の一端部がハンドル支持部材23に固定されているが、少なくとも排水口103の開時において、戻りバネ83からの戻り力によりハンドル支持部材23に対して伝達部材4の一端部が接触するように構成し、伝達部材4の一端部がハンドル支持部材23に対して非固定の状態となるように構成してもよい。従って、例えば、図18(a),(b)に示すように、ハンドル支持部材23に突起部239Pを設け、図20に示すように、少なくとも排水口103の開時において、戻りバネ83からの戻り力により伝達部材4の一端部が突起部239Pに接触するように構成してもよい。この場合には、伝達部材4の端部をハンドル支持部材23に固定する必要がなくなるため、操作機構2の構造をより簡素化することができる。
【0129】
(f)上記実施形態では、複数の部材を組合わせることでガイド通路27が形成されているが、例えば、内周ガイド部材25と外周ガイド部材26とを一体成形し、孔あけ加工等を施すことにより、その内部にガイド通路27を設けることとしてもよい。
【0130】
(g)上記実施形態において、操作機構2は、オーバーフロー口104に設けられているが、操作機構2を、浴槽100のその他の部位や浴槽100の近傍に設けられた構造物に設けることとしてもよい。
【0131】
(h)上記実施形態では、操作ハンドル21として回動動作するものが用いられているが、操作ハンドル21は、浴槽100やその近傍の構造物に対して相対変位可能であればよい。従って、例えば、操作ハンドル21として側壁部102の表面に沿ってスライド移動可能なものを用いることとしてもよい。
【0132】
(i)上記実施形態では、操作機構2、伝達部材4、及び、栓蓋駆動機構8がオーバーフロー口104から組付け、抜き出し可能とされているが、操作機構2等を排水口103から抜き出し及び組付け可能としてもよい。
【0133】
(j)上記実施形態では、操作ハンドル21に設けられた切り欠き部21Aを通して排水が行われる構成となっているが、図21に示すように、正面視円板状の操作ハンドル21と側壁部102との間に筒状のカバー部材3を設け、当該カバー部材3の下半面に間欠的に設けられた複数の通水口32を通して排水を行うように構成してもよい。このように通水口32を間欠的に複数設けることで、個々の通水口32の大きさが過度に大きなものとならないように構成することができる。その結果、通水口32に対して指などが入ってしまうことをより確実に防止でき、安全性の更なる向上を図ることができる。
【0134】
また、カバー部材3は、同図に示すように、自身の端部に形成された鍔状の被挟持部31を側壁部102とオーバーフロー口部材5との間で挟み込むこと等により、浴槽100に対して相対移動不能な状態で固定することが好ましい。この場合には、図22及び図23に示すように、操作ハンドル21の配置位置に関わらず、通水口32はカバー部材3の上半面で常時隠れる形となり、通水口32を常時視認しにくい状態とすることができる。その結果、外観品質をより一層向上させることができる。
【0135】
(k)上記実施形態において、凹部53はオーバーフロー口部材5の周方向に沿って連続的に複数設けられているが、凹部53をオーバーフロー口部材5の周方向に沿って間欠的に複数設けてもよい。
【0136】
(l)上記実施形態における操作ハンドル21や操作機構2等の構成は例示であって、本発明の技術思想を適用可能な操作ハンドル21や操作機構2等の構成は特に限定されるものではない。
【0137】
(m)上記実施形態では、槽体として浴槽100を例示しているが、本発明の技術思想を適用可能な槽体は浴槽に限定されるものではない。従って、例えば、洗面化粧台の排水口、流し台の排水口などに本発明の技術思想を適用することとしてもよい。
【符号の説明】
【0138】
1…排水栓装置、2…操作機構、3…カバー部材、4…伝達部材、5…オーバーフロー口部材、8…栓蓋駆動機構、9…栓蓋、21…操作ハンドル、22…ハンドル支持体、23…ハンドル支持部材(第2部材)、24…ガイド部材(第1部材)、25…内周ガイド部材、26…外周ガイド部材、27…ガイド通路、32…通水口、51…雄ねじ部、53…凹部、81…プランジャー、83…戻りバネ、100…浴槽(槽体)、101…底壁部、102…側壁部、103…排水口、104…オーバーフロー口、108…オーバーフロー管、109B…雌ねじ部、109C…規制部、212…取付穴、212A…段部、214…連通孔、215…ピン部材、215A…没入部、216…突出部、231…支持軸、231A…鉤部、231B…傾斜部、233…柱状部、235,255…溝部、236…第1被係止部、237…第2被係止部(被係止部)、253…係止部、268…突部、269…延出部、811…蓋軸、812…外筒、813…ショックアブソーバースプリング。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
槽体に対して上下動可能なプランジャーと、
前記プランジャーに支持され、前記槽体の排水口を開閉可能な栓蓋と、
前記槽体又はその近傍の構造物に取付けられ、前記槽体又は前記構造物に対して変位可能な操作ハンドルを有する操作機構と、
前記操作ハンドル及び前記プランジャー間に設けられ、前記操作ハンドルの変位を前記プランジャーに伝達する伝達部材とを備える排水栓装置であって、
凸状又は凹状をなす1又は複数の係止部を有する第1部材と、前記係止部が係止可能な被係止部を有する第2部材とを具備するロック機構を備え、
前記第1部材及び前記第2部材の一方は、前記操作ハンドルの変位により動作し、前記操作ハンドルを所定の位置に移動させ、前記係止部を前記被係止部に係止することで前記排水口が開状態でロックされ、
前記排水口が開状態であるときに前記栓蓋に下方側への力を加えることで、前記第1部材及び前記第2部材のうち前記操作ハンドルの変位により動作する側には、前記伝達部材を介して力が加わり、
前記プランジャーは、
前記伝達部材の端部が当接する蓋軸と、
前記蓋軸の外周に配置され、前記栓蓋を支持する外筒と、
自身の一端部が前記蓋軸に当接するとともに、自身の他端部により前記外筒を支持するショックアブソーバースプリングとを備え、
前記ショックアブソーバースプリングの最大反発力よりも前記被係止部に対する前記係止部の係止力が大きいことを特徴とする排水栓装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2012−241486(P2012−241486A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−115458(P2011−115458)
【出願日】平成23年5月24日(2011.5.24)
【出願人】(302045705)株式会社LIXIL (949)
【出願人】(392028767)株式会社日本アルファ (73)
【Fターム(参考)】