説明

排水栓装置

【課題】 浴槽の上から見ても排水栓蓋の装着不良を視認することが可能な排水栓装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 浴槽10の水を排出する排水口11を閉じる排水栓蓋24と、排水栓蓋24を昇降させて排水口11を開閉する操作部21と、操作部21の動作を排水栓蓋24に伝達する伝達部23と、を備えた排水栓装置20において、伝達部23の先端部に排水栓蓋24を装着させる係合部232aを設け、伝達部23と排水栓蓋24の間に、排水栓蓋24を伝達部23の先端部に装着した状態で圧縮変形するコイルスプリング25を配設し、コイルスプリング25は、排水栓蓋24を係合部232aに装着していない状態では排水栓蓋24を伝達部23から浮かしてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴槽の排水口を開閉する排水栓蓋を有する排水栓装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載された遠隔操作式排水栓装置は、排水栓を遠隔操作するレリースワイヤの先端部に排水栓蓋を脱着自在に係合させる係合機構を設けたものである。この排水栓装置によれば、排水栓蓋をレリースワイヤのインナーワイヤの先端部に係合させることにより、操作部の開閉操作によって排水栓蓋が抜けるのを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−88853号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、この排水栓装置では、排水栓蓋をインナーワイヤの先端部側に押し込んで係合させるので、排水栓蓋を押し込む力が弱い場合には装着できないことがある。しかし、その場合、排水栓蓋はインナーワイヤの先端部の上端に支持されるから、排水栓蓋は排水口からわずかにしか上昇せず、排水栓蓋がインナーワイヤの先端部に装着されていないことが浴槽の上からでは視認しにくい。そのため、排水栓蓋の未装着に気付かず、浴槽に溜めようとした湯を無駄に排出し続けてしまうことがある。
本発明は、浴槽の上から見ても排水栓蓋の装着不良を視認することが可能な排水栓装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記した課題を解決するために、本発明の排水栓装置は、浴槽の水を排出する排水口を閉じる排水栓蓋と、前記排水栓蓋を昇降させて前記排水口を開閉する操作部と、前記操作部の動作を前記排水栓蓋に伝達する伝達部と、を備えた排水栓装置において、前記伝達部の先端部に前記排水栓蓋を装着させる係合部を設け、前記伝達部と前記排水栓蓋の間に、前記排水栓蓋を前記伝達部の先端部に装着した状態で圧縮変形する弾性体を配設し、前記弾性体は、前記排水栓蓋を前記係合部に装着していない状態では前記排水栓蓋を前記伝達部から浮かしてなることを特徴とする。
【0006】
これによれば、排水栓蓋を伝達部の先端部に装着していない状態では弾性体が排水栓蓋を浮かせるので、排水栓蓋が未装着であることがわかりやすい。よって、排水栓蓋の装着不良を早期に発見することができ、湯の無駄な排出を防止することが可能となる。
また、浴槽の上から見ただけで排水栓蓋が未装着であることがわかるので、浴槽の中に入り込んだり、浴槽にわざわざ水を溜めるなどして、排水栓蓋の装着状態を確認する作業が不要となる。よって、排水栓蓋装着の作業性が向上する。
さらに、弾性体を用いた簡単な構成で排水栓蓋の未装着状態を確認できるので、低コストで排水栓蓋の装着不良を視認可能にすることができる。
【0007】
また、前記排水栓蓋は、前記弾性体を保持する保持部を有するようにすることができる。
【0008】
これによれば、伝達部から排水栓蓋を外したときに、排水栓蓋に追従して弾性体も外れるので、弾性体を紛失する恐れがない。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、浴槽の上から見ても排水栓蓋の装着不良を視認することが可能な排水栓装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の排水栓装置の排水栓部分を示す断面図である。
【図2】図1の排水栓装置において排水口を閉じた状態を示す断面図である。
【図3】図1の排水栓装置において、排水栓蓋が装着されていない状態を示す断面図である。
【図4】排水栓装置の概要を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面に基づいて本発明の排水栓装置の実施の形態を説明する。
図4に基づき、排水栓装置の全体の概要を説明する。
排水栓装置20は、浴槽10のリム部に設けられた操作部21と、浴槽10の排水口11に設けられた排水栓部22と、操作部21の動きを排水栓部22に伝達する伝達部23と、排水栓蓋24と、を備えている。
伝達部23は、力の伝達手段として、アウターチューブの中にインナーワイヤが進退可能に収められたレリースワイヤ231が使用されている。
【0012】
次に、図1に基づいて排水栓装置の排水栓部について説明する。
排水栓部22では、浴槽10の排水口11に取り付けられた排水金具12に伝達部23の一端が取付けられている。伝達部23の先端には排水口11を開閉する排水栓蓋24が装着されている。
【0013】
さらに詳しくは、伝達部23の一端は、レリースワイヤ231のアウターチューブが固定されるとともに、インナーワイヤの動きをロッド232に伝達してロッド232を昇降させるメカボックス233となっている。ロッド232の先端には、排水栓蓋24を装着する係合部232aが設けられている。また、排水栓蓋24には、ロッド232の係合部aに装着される被係合部24aが形成されている。
【0014】
伝達部23と排水栓蓋24の間には、伝達部23に対して排水栓蓋24を弾力で浮き上がらせる弾性体として、コイルスプリング25を配設している。コイルスプリング25は、排水栓蓋24を伝達部23の先端部に装着した状態では圧縮変形されているが、排水栓蓋24が伝達部23の先端部に装着されていないとコイルスプリング25は元に復帰して栓蓋24を浮上させるのである。
【0015】
コイルスプリング25は、上部が排水栓蓋24に設けられた保持部24aに保持され、下部が伝達部23の上部、詳しくはメカボックス233の上面に載っている。すなわち、排水栓蓋24を外すとコイルスプリング25も一緒に外れるようになっている。また、メカボックス233の上面は、コイルスプリング25の載置面となっている。
【0016】
コイルスプリング25の上下高さは、排水栓蓋24を浮かせるため、ロッド232の最大飛び出し量よりも大きく設定されている。また、コイルスプリング25の弾性力は、排水栓蓋24を浮かせるため自重を支えることができ、且つ、排水栓蓋24の開閉動作及び止水性に影響が無いよう操作部21の開閉力よりも弱い程度の力となっている。
【0017】
このように排水栓蓋24の下方にコイルスプリング25が入っているので、排水栓蓋24がロッド232に装着されていない場合には、図3に示すようにコイルスプリング25が排水栓蓋24を浮かせて排水金具12から上方に大きく突出させる。そのため、浴槽10の上から排水栓蓋24を眺める作業者にも排水栓蓋24が未装着状態であることが早期に視認可能となる。したがって、排水栓蓋24が未装着のまま浴槽10に湯を溜めてしまい、排水口11から無駄に水を排出するような事態を避けることができる。
【0018】
また、コイルスプリング25に代表されるような弾性体を用いた簡単な構成で、排水栓蓋24の未装着状態を確認できるので、低コストで排水栓蓋24の装着不良を視認することができる。
【0019】
さらに、排水栓蓋24を外すとコイルスプリング25も一緒に外れるので、清掃の際にコイルスプリング25を紛失する恐れもない。
【0020】
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、排水栓蓋24を浮かせる弾性体としては、コイルスプリング25以外にも種々のバネを用いることが可能である。また、排水栓蓋24の昇降をロッド232を介して行わずに、レリースワイヤ231のインナーワイヤで直接昇降させることも可能である。
【符号の説明】
【0021】
10 … 浴槽
11 … 排水口
12 … 排水金具
20 … 排水栓装置
21 … 操作部
22 … 排水栓部
23 … 伝達部
231 … レリースワイヤ
232 … ロッド
232a … 係合部
233 … メカボックス
24 … 排水栓蓋
24a … 被係合部
24b … 保持部
25 … 弾性体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽の水を排出する排水口を閉じる排水栓蓋と、
前記排水栓蓋を昇降させて前記排水口を開閉する操作部と、
前記操作部の動作を前記排水栓蓋に伝達する伝達部と、
を備えた排水栓装置において、
前記伝達部の先端部に前記排水栓蓋を装着させる係合部を設け、
前記伝達部と前記排水栓蓋の間に、前記排水栓蓋を前記伝達部の先端部に装着した状態で圧縮変形する弾性体を配設し、
前記弾性体は、前記排水栓蓋を前記係合部に装着していない状態では前記排水栓蓋を前記伝達部から浮かしてなることを特徴とする排水栓装置。
【請求項2】
前記排水栓蓋は、前記弾性体を保持する保持部を有することを特徴とする請求項1記載の排水栓装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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