説明

排水管の接続構造

【課題】横引き排水管における排水のスムースな流れを確保する。
【解決手段】サイホンジェット式が適用され、水洗式便器1に接続された給水管2の水圧をそのまま利用するフラッシュバルブが利用された水洗式便器1の排水管の接続構造である。排水を公共下水道に排除するための排水を下流の排水管に流す一方の排水管である横引き排水管5と、横引き排水管5及び水洗式便器とを連結し、前記横引き排水管5の軸中心線c5に対して所定の角度θを持って接続される他方の排水管である排水接続継手アダプタ41とを備えている。排水接続継手アダプタ41は、上流側から下流側に行くに連れて横断面が円形から漸次縦長の楕円形状に変化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は排水管の接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
便器1の本体10に水を供給する管である給水管2は、便器本体10にその後部上方で接続されている(図5参照)。そして、給水管2の途中には、フラッシュバルブ3が備えられている(図5参照)。
【0003】
ここで、本明細書における前後とは、便器を使用するにあたり、トイレ使用者が図示しない便座に普通に着座した状態での前をいい、その反対側を後という。また、トイレ使用者が前を向いた状態で左右の側をそれぞれ左及び右という。同じく着座した状態で上下の側をそれぞれ上及び下という。
【0004】
トイレ使用者がフラッシュバルブ3の操作をすることにより、流水によって流される便は、便器後方に位置する排水接続継手アダプタ4を経由して、横引き排水管5に至る。横引き排水管5に至った排水は、その後、上下に延びる縦管や、排水本管(いずれも図示せず)経由で最終的に屎尿処理場に案内され、そこで処理される。
【0005】
ところで、一体成形されたこれまでの排水接続継手アダプタ4と横引き排水管5とは、図6に示すように横引き排水管5の軸中心線c5に対して排水接続継手アダプタ4の軸中心線c4が直交する状態で接続されていた。
【0006】
このため、排水接続継手アダプタ4から横引き排水管5に流出した排水Aは、その勢いに応じて、横引き排水管5のうち、排水接続継手アダプタ4の開口4a(図6参照)と対向する壁面である側面又は底面51(図6参照)に当たる。その結果、図6中の矢印A1及びA2で示す排水のように、排水が横引き排水管5の上流側及び下流側に分岐してしまう場合がある(排水接続継手アダプタ4から横引き排水管5に流入した排水の一部が一旦横引き排水管5内で逆流してしまう場合がある)。
【0007】
そして、横引き排水管5における上流側からの排水A3の流れが、前記上流側に分岐して流れる排水接続継手アダプタ4の排水A1によってせき止められてしまい、横引き排水管5における排水のスムースな流れの妨げになっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002−155557公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、公衆トイレなど便器が横引き排水管に沿って複数設置されている場合において、横引き排水管における排水のスムースな流れを確保することを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そこで、本発明は次の手段を採用した。
すなわち、本発明は、便器の排水を排水本管側に流す横引き排水管と、前記横引き排水管と前記便器を連通する排水接続継手アダプタとを備え、前記横引き排水管及び排水接続
継手アダプタは、横引き排水管内の流水路における軸中心線と、排水接続継手アダプタ内の流水路における軸中心線とが鋭角に交叉するよう接続している排水管の接続構造である。
【0011】
また、前記排水接続継手アダプタの流水路は、前記横引き排水管の側に凸に湾曲していることを特徴とする。
【0012】
前記排水接続継手アダプタは、その上流側から下流側に行くに連れて、その穴形状が、横断面で円形から漸次縦長の楕円形に変化すると共に、前記排水接続継手アダプタの上流側は、横引き排水管よりも高い位置にあることを特徴とする。
【0013】
前記横引き排水管を構成する部材の一部である所定幅の管路と前記排水接続継手アダプタとが一体形成され、当該一体形成物が、前記横引き排水管を構成する部材の一部として、横引き排水管に対して着脱自在にされていることを特徴とする。
【0014】
前記一体形成物は、横引き排水管を構成する部材である所定幅の管路として、前記横引き排水管の前記軸中心線周りに回動可能に接続されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、公衆トイレなど便器が横引き排水管に沿って複数設置されている場合において、横引き排水管における排水がスムースに行われる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る排水管の接続構造を水洗式便器に適用した場合の一部省略部分水平断面図である。
【図2】図1における縦断面図である。
【図3】図1の要部拡大図である。
【図4】図2の要部拡大図である。
【図5】従来技術を説明するための便器の一部省略側面図である。
【図6】従来技術の問題点を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、この発明を実施するための形態(以下、実施形態)を実施例に基づいて例示的に説明する。但し、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状その相対配置などは、特に特定的に記載がない限りは、この発明の範囲をそれらに限定する趣旨ではない。
【0018】
図1に示す水洗式便器(以下、便器)1は、周知の如く、水を溜めて水流を生じさせるためのタンク(水槽)が無い、いわゆるフラッシュバルブ方式でかつサイホン現象により便器内の汚物を吸い込んで排水管に排出する便器である。なお、この実施例では、便器本体10に付属している便座蓋等は省略してある。
【0019】
便器1は、公衆トイレなどの床面又は壁面に図示しないボルトキャップにより固定される。ボルトキャップとは、ボルト頭にキャップが被されてなる取り付けボルトである。また、便器本体10は、給水管2を有する(図1、2参照)。給水管2は、便を受けるボール部11(図2参照)に対して、水の流れの上流側で接続されている。
【0020】
また、便器1は、図1及び2に示すように、便器内に設けられ公衆トイレなどの壁面内に埋設される横引き排水管5と前記ボール部11とをつなぐ排水トラップ8、便器外に設けられ前記排水トラップ8と前記横引き排水管5とをつなぐ排水接続継手アダプタ41を
有する。排水接続継手アダプタ41としては、例えば塩ビの成形品が挙げられる。
【0021】
給水管2は、図示しない水道本管から引き込まれた管であり、便器本体10の後部上方で接続されて便器本体10に水道水(以下、洗浄水)を送る。そして、給水管2の途中には、水洗便器の洗浄水を吐出するための弁であり、弁の操作により一定時間において一定数量の洗浄水を流し給水を自動的に止めるフラッシュバルブ3が備えられている(図2参照)。フラッシュバルブ3は、排水ボタンや排水ハンドル又はセンサーをトイレ使用者が操作することで作動する。
【0022】
横引き排水管5(図1、2参照)は、ボール部11に溜まった便を敷地外に排出するための管である(図では横引き排水管5のうち便器1との接続箇所を示す。換言すると、横引き排水管5を構成する部材の一部である所定幅の管路を示す。)。そして、横引き排水管5は、その流水路5aに流入した便を流し易くすることができるように横引き排水管5に正対した状態(トイレ内で後方を見た状態)で、左上から右下に掛けて勾配が付けられている。図2ではS1が横引き排水管5の上流側端面を示し、S2が横引き排水管5の長手方向における中央部分の断面を示す。S1とS2とではS1の方が位置が高く、S2の方が位置が低い。またS1は向こう側にあるのに対し、S2は手前側にある。このことより横引き排水管5には、図2の向こう側から手前側に下り傾斜した勾配がついていることがわかる。勾配は1/100〜3/100である。
なお、横引き排水管5における上流側と下流側は図1及び図3にも示す。
【0023】
但し、横引き排水管5の延びる側に便器が連装して設けられる場合、横引き排水管5が、複数の便器によってその設置が制約されるため、前記勾配をつける作業が難しくなる。このため、横引き排水管5の勾配は、緩やかな方がその設置作業はし易いといえる。しかしながら、勾配が緩やかであると、今度は排水の流れが不十分になる虞がある。
【0024】
また、横引き排水管5のうち、排水接続継手アダプタ41と接続されている箇所を排水接続継手アダプタ取付口52という(図4参照)。当該排水接続継手アダプタ取付口52に、排水接続継手アダプタ41の下流側端である一端411(図4参照)が嵌合される。
【0025】
排水トラップ8は、図2で示す縦断面で見た形状で上側が凸状となるように湾曲している。当該凸の程度は、便器1がサイホン現象を実現するに十分な封水深を確保できる程度のものである。
【0026】
なお、図1及び図2からわかるように、便器本体10のうち給水管2と接続する部位を給水管接続部6という。給水管接続部6を便器本体10における水の流れの始点とする。つまり、給水管接続部6は、トイレ使用者が前記排水ボタンや排水ハンドルを操作することでフラッシュバルブ3が作動することにより、給水管2を経由して、水道本管(図示せず)から便器1に向けて最初に洗浄水が入る部位である。
【0027】
そして、図2に示すように、便器本体10において、前記給水管接続部6の下方に形成されかつ排水接続継手アダプタ41と接続する部位を排水管接続部7という。排水管接続部7は、便器本体10において便が洗浄水によって流される終点である。
【0028】
排水管接続部7は両端開口の筒状体であり、便器本体10の後面から後方に突出している(図2参照)。この排水管接続部7に、排水接続継手アダプタ41の上流側端である他端部413が外嵌される(図1〜4参照)。当該他端部413は、排水管接続部7に外嵌されるようになっており、その端面の内周形状は円形をしている。また、排水管接続部7の外周面には、シールリング61が取り付けられており、排水管接続部7と排水接続継手アダプタ41との嵌合箇所をシールする(図4参照)。
【0029】
次に排水接続継手アダプタ41の説明をする。既述のように、排水接続継手アダプタ41は、その流水路410(図3、4参照)における上流側端である他端部413が便器本体10の排水管接続部7と接続されている(図1〜4参照)。一方、排水接続継手アダプタ41の下流側端である一端411は、横引き排水管5の排水接続継手アダプタ取付口52と接続されている(図4参照)。排水接続継手アダプタ41を横引き排水管5に設けるにあたり、横引き排水管5のうち、排水接続継手アダプタ取付口52の設置箇所に対応する箇所には、当該箇所の周囲に巻着され、かつ排水接続継手アダプタ取付口52と一体化された金属ベルト53が、横引き排水管5の横断面でほぼ1/2ほど巻着されておりかつ横倒しのU字形のごとき形状をしている(図2参照)。金属ベルト53は、横引き排水管5と、排水接続継手アダプタとを接続する接続部として機能する。これにより、横引き排水管5を構成する部材の一部である所定幅の管路と前記排水接続継手アダプタ41とが一体形成され、当該一体形成物が、前記横引き排水管5を構成する部材の一部として、横引き排水管5に対して着脱自在にされている。
【0030】
前記一体形成物は、横引き排水管5を構成する部材である所定幅の管路として、前記横引き排水管5の前記軸中心線c5周りに回動可能に接続されている。
なお、横引き排水管5のうち接続部に接続される管は図示を省略してある。
そして、金属ベルト53は、横引き排水管5に対して、その軸中心線c5周りの回動を固定する。なお、金属ベルト53は金属に限らない。硬質ゴムでもよい。
【0031】
また、排水接続継手アダプタ41は、上流側端である他端部413の端面の内壁の形状が円形をしている。そして、下流側端である一端411の内壁の形状が縦長の楕円形状をしている(図4の符号S参照)。さらに、上流側端である他端部413及び下流側端である一端411の間の部位は、当該部位における内壁の横断面形状が、円形から楕円に漸次変化する形状をしている。
【0032】
さらに、図1より、排水接続継手アダプタ41及び横引き排水管5を水平断面で見た場合において、排水接続継手アダプタ41は、その軸中心線c41が、横引き排水管5の軸中心線c5の上流方向に対して所定の角度θを持って交叉するものであることがわかる。本実施例では、角度θは鋭角であり、例示的に0°〜90°の角度をもって、排水接続継手アダプタ41が、横引き排水管5に接続される。すなわち、排水接続継手アダプタ41は横引き排水管5の下流側に向かう水流に対して鋭角で流入する。さらに排水接続継手アダプタ41は、横引き排水管5側に凸にかつ湾曲されたものを示す。但し、角度θは、これらの範囲に限られるものではない。
【0033】
排水接続継手アダプタ41を水平断面(図1、図3参照)でみた場合の排水接続継手アダプタ41の壁面は、使用者が便器1に座して右側すなわち図1に正対して上側の壁(外縁)41aと、同じく左側すなわち下側の壁(内縁)41bとで、曲率半径r1、r2が相違するものの曲率中心Cが同じになるように湾曲してある(図3参照)。また、排水接続継手アダプタ41は、水平断面で見たときの前記上側の壁41aが、下側の壁41bよりも前記横引き排水管5の上流側に位置する状態で、前記横引き排水管5に接続される。そして、排水接続継手アダプタ41は横引き排水管5の側に凸に湾曲している。換言すると、排水接続継手アダプタ41の流水路は、当該排水接続継手アダプタ41から前記横引き排水管5を見た場合の反対方向に曲率中心が位置するよう湾曲している。なお、垂直断面(図2、4参照)については、そのようにはなっていなくてもよい。垂直断面の形状については、落差による水の勢いを増すことのみを考慮すればよいからである。但し、両方、湾曲していてもよい。
【0034】
また、排水接続継手アダプタ41の下流側端である一端411の外周面周りには、前方
に突出した先端部であるリング形状体412が形成されている(図3、4参照)。リング形状体412の外周面にも、シールリング63が取り付けられており(図3、4参照)、横引き排水管5の前記排水接続継手アダプタ取付口52と排水接続継手アダプタ41との嵌合箇所をシールする(図3、4参照)。当該嵌合状態を確保するため、排水接続継手アダプタ取付口52は、リング形状体412に外嵌される外嵌リング416が前方に突出した状態で形成されている(図3、4参照)。
【0035】
さらに、図2及び4に示すように、便器1を左側面から見たときに、排水接続継手アダプタ41の上流側端である他端部413が、横引き排水管5よりも上位に位置している。よって、便器1と横引き排水管5との間には落差を生じる。
【0036】
このため、給水管2から便器1のボール部11及び排水トラップ8を経由して、排水管接続部7に至った排水A(図2参照)は、前記落差により、前記落差が無い状態で、排水接続継手アダプタ41と横引き排水管5とを接続した場合に比べ、勢いがついた状態で排水接続継手アダプタ41を流れる。
【0037】
排水接続継手アダプタ41を経由した排水は、横引き排水管5に至り、横引き排水管5に案内された排水は、その後、横引き排水管5よりも下流の排水管であって、上下に延びる縦管や排水本管(いずれも図示せず)を経由して、最終的に屎尿処理場に案内され、そこで処理される。
以上の構成において、排水接続継手アダプタ41と横引き排水管5との接続構造を本発明に係る排水管の接続構造という。
【0038】
次にこのような構成の排水管の接続構造の作用効果を説明する。
本発明では、便器1を平面で見たときに、排水接続継手アダプタ41が、横引き排水管5の軸中心線c5に対し、前記横引き排水管5の上流側から下流側に向けて鋭角θで軸中心線c41が交叉する。また、排水接続継手アダプタ41は、水平断面で見たときの内縁である下側の壁41bと外縁である上側の壁41aとが同一の曲率中心を有する状態で湾曲されている。そして、前記上側の壁41aが、前記下側の壁41bよりも前記横引き排水管5の上流側に位置する状態で、前記横引き排水管5に前記排水接続継手アダプタ41が接続される(図1、3参照)。また、便器1を側面から見たときに、便器1の排水管接続部7と横引き排水管5との間には落差が生じるように配置されている(図2、4参照)。
【0039】
このため、排水接続継手アダプタ41を流れる排水は、横引き排水管5に至ると、横引き排水管5における排水の下流に向けた流れと同様、下流に向けて流れ、かつその流れは前記落差に起因する勢いを持った流れになる。よって、当該排水は、横引き排水管5の上流側に向けて流れにくくなる(図1の矢印A1参照)。
【0040】
したがって、排水接続継手アダプタ41から横引き排水管5に流出した排水は、横引き排水管5のうち、排水接続継手アダプタ41の出口と対向する壁面51に直交した状態で当たりにくくなる。つまり、排水接続継手アダプタ41からの排水が、横引き排水管5に流出したときに、壁面51にその正面から当たることに起因して、横引き排水管5の上流側と下流側とに排水が分岐してしまうことが起こりにくい。
【0041】
その結果、横引き排水管5における上流側からの排水の流れが、排水接続継手アダプタ41の排水によってせき止められてしまうことが抑制される。したがって、横引き排水管5における排水のスムースな流れを確保し易くなる。また、排水がスムースに流れるので便やトイレットペーパーによる詰まりが生じ難い。
【0042】
そして、排水接続継手アダプタ41は、上流側から下流側に行くに連れて、横断面が、円形から縦長の楕円に変化する。よって、排水接続継手アダプタ41が円筒の場合に比べ、排水は、排水接続継手アダプタ41内を下流に向けて進行するほど、排水接続継手アダプタ41の水深が深くなる。言い換えると、排水接続継手アダプタ41は、その下流ほど排水の水嵩が増える。水嵩が増すことで水深が深くなれば、汚物が洗浄水に浮遊し易くなる。よって、汚物が下流に向けて流れ易くなる。また、下流ほど流れも速くなる。
【0043】
ところで、横引き排水管5は、ボール部11に溜まった便を敷地外に排出する管であり、その上流側と下流側とで勾配は、既述のように、1/100〜3/100とされている。また、横引き排水管5は、家屋の壁内に配管される場合が多いが、横引き排水管5に前記勾配を付けた状態で壁内配管をする作業は面倒である。しかも、複数の便器を横引き排水管5の延びる側に連装して設ける場合、便器の数が多い程作業に手間が掛かる。
【0044】
しかしながら、本願発明に係る排水管の接続構造によれば、排水接続継手アダプタ41は、その上流側端である他端部413の穴形状は円形であるが、下流側端である一端411の穴形状は縦長の楕円形状になるように漸次変化する。よって、排水接続継手アダプタ41が横引き排水管5と交差する縦長楕円の端面に至るまでの間いおいて、排水接続継手アダプタ4を流れる排水の水嵩は次第に増える。また、便器1を横から見たときに、便器本体10において便が洗浄水によって流される終点である排水管接続部7と横引き排水管5の排水接続継手アダプタ取付口52との間には落差を生じる。
【0045】
このため、排水接続継手アダプタ41内においては、次第に水嵩が増えかつ洗浄水の流れに勢いがつくので、横引き排水管5の勾配が小さくても、排水をより遠くの下流にまで搬送することができる。よって、横引き排水管5の設置作業にあたり、横引き排水管5につける傾斜角度は小さくても済む。この結果、横引き排水管5の設置作業が比較的簡単になる。
【0046】
また、排水接続継手アダプタ41は、その上流側から下流側に行くに連れて、横断面が、円形から漸次縦長の楕円形に変化する。換言すると、排水接続継手アダプタ41は、下流側にいくに連れて、その横断面が巾狭になる。よって、横断面が一律に円形をした排水接続継手アダプタに比べ、排水接続継手アダプタ41は、先に行くほど、つまり下流側に行くほど縦長楕円になるので、それだけ横に曲げ易くなる。
【0047】
そして、既述のように、排水接続継手アダプタ41は、横引き排水管5の軸中心線c5周りに回動可能な金属ベルト53の排水接続継手アダプタ取付口52(金属ベルト53の先端部)に嵌合されている(図2参照)。よって、金属ベルト53の回動に併せて排水接続継手アダプタ41も回動する(図2の矢印A4参照)。従って、横引き排水管5のうち排水接続継手アダプタ41と接続されている箇所である排水接続継手アダプタ取付口52と、排水接続継手アダプタ41の上流側端である他端部413とは、その高さ位置を変化させることができる。よって、勾配がついた横引き排水管5の延びる側に便器が連装して設けられる場合でも、排水接続継手アダプタ41を横引き排水管5に接続し易い。このため、排水接続継手アダプタ41を所望の曲率で曲げやすいので作業効率を高められる。
【0048】
一方、便器1は隔壁によって四方が囲われており、かつ便器が横引き排水管5の長手方向に連装する場合を考慮すると、便器の設置巾は自ずと制限を受ける。一般的には、横幅は900mm位しか取ることができない。しかしながら本発明に係る排水接続継手アダプタ41によれば、既述のように、先に行くほど縦長楕円になるので、それだけ横に曲げ易くなる。また、横引き排水管5に対して排水接続継手アダプタ41を取付易い。よって、900mm程度の狭い空間でも、さらにはこれよりも狭い場合であっても排水接続継手アダプタ41を横引き排水管5に取り付けるのに制約を受けにくい。
【0049】
なお、本発明は、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
例えば、本実施例では、男女兼用の便器に適用した場合を例示したが、男性用の小便器に適用することもできる。
【0050】
また、排水接続継手アダプタ41を水平断面(図1、図3参照)でみた場合の排水接続継手アダプタ41の壁面は、使用者が便器1に座して右側すなわち図1に正対して上側の壁(外縁)41aと、同じく左側すなわち下側の壁(内縁)41bとで、曲率半径r1、r2が相違するものの曲率中心Cが同じになるように湾曲してあるものを示したが、曲率中心Cが違うものでもよい。
【符号の説明】
【0051】
1 便器
2 給水管
3 フラッシュバルブ
4 排水接続継手アダプタ
4a 排水接続継手アダプタの開口
5 横引き排水管
5a 横引き排水管の流水路
6 給水管接続部
7 排水管接続部
10 便器本体
11 ボール部
41 排水接続継手アダプタ
41a 排水接続継手アダプタの上側の壁
41b 排水接続継手アダプタの下側の壁
51 壁面
52 排水接続継手アダプタ取付口(金属ベルトの先端部、横引き排水管と排水接続継手
アダプタとを接続する接続部)
53 ベルト(横引き排水管と排水接続継手アダプタとを接続する接続部)
61 シールリング
63 シールリング
θ 角度(鋭角)
411 排水接続継手アダプタの下流側端である一端(横引き排水管と排水接続継手アダ
プタとを接続する接続部)
412 リング形状体(排水接続継手アダプタの先端部、(横引き排水管と排水接続継手
アダプタとを接続する接続部))
413 排水接続継手アダプタの上流側端である他端部
A1 横引き排水管を上流側に向けて流れる排水
A2 横引き排水管を下流側に向けて流れる排水
A3 横引き排水管を下流に向けて流れる排水
A4 金属ベルトの回動に併せて排水接続継手アダプタが回動する方向
S 排水接続継手アダプタの下流側端である一端の端面形状
S1 横引き排水管の上流側端である一端の端面形状
S2 横引き排水管の下流側端である一端の端面形状
C 排水接続継手アダプタの曲率中心
c4 排水接続継手アダプタの軸中心線
c5 横引き排水管の軸中心線
r1 排水接続継手アダプタの曲率半径
r2 排水接続継手アダプタの曲率半径

【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器の排水を排水本管側に流す横引き排水管と、
前記横引き排水管と前記便器を連通する排水接続継手アダプタとを備え、
前記横引き排水管及び排水接続継手アダプタは、横引き排水管内の流水路における軸中心線と、排水接続継手アダプタ内の流水路における軸中心線とが鋭角に交叉するよう接続している排水管の接続構造。
【請求項2】
前記排水接続継手アダプタの流水路は、前記横引き排水管の側に凸に湾曲している請求項1に記載の排水管の接続構造。
【請求項3】
前記排水接続継手アダプタは、その上流側から下流側に行くに連れて、その穴形状が、横断面で円形から漸次縦長の楕円形に変化すると共に、前記排水接続継手アダプタの上流側は、横引き排水管よりも高い位置にあることを特徴とする請求項1又は2に記載の排水管の接続構造。
【請求項4】
前記横引き排水管を構成する部材の一部である所定幅の管路と前記排水接続継手アダプタとが一体形成され、当該一体形成物が、前記横引き排水管を構成する部材の一部として、横引き排水管に対して着脱自在にされていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の排水管の接続構造。
【請求項5】
前記一体形成物は、横引き排水管を構成する部材である所定幅の管路として、前記横引き排水管の前記軸中心線周りに回動可能に接続されていることを特徴とする請求項4に記載の排水管の接続構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−19169(P2013−19169A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−153382(P2011−153382)
【出願日】平成23年7月11日(2011.7.11)
【出願人】(000155333)株式会社木村技研 (29)
【Fターム(参考)】